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2010年11月

2010年11月29日 (月)

[ 伝授・特別編 ] 11.27 CCレモンホール 沢田研二 『秋の大運動会~涙色の空』ファイナル セットリスト&完全レポ

出遅れた~ッ!!

LIVE当日は遅くまで飲んで帰宅後即寝。
翌日の日曜日はカミさんが出かけてる間にバンドのミックス作業、その後・・・レポ書かずに家で一人アコギで弾き語り大会。

何事かって?
これですがな。

201011281

先輩が貸してくれたんです~。
打ち上げに行ったら、「はい」と渡してくださって・・・(涙)。
アルバム『JULIE』から『JULIEⅥ』までのオリジナル曲のスコアを全曲(『Ⅲ』『Ⅴ』含む)網羅しているという大変なお宝です!

201011282

これとか、自力じゃ起こせないしぃ~。

と言いつつ、「君をのせて」を筆頭に、見る人が見れば解ると思いますが・・・これ、超適当(DYNAMITE以下)な採譜です。
おそらくギター初心者をターゲットにしたものと思われ、全曲簡単なキーになるように、曲によっては大胆に移調してありますね。
しかし、それが最高なんですよ。
こちらがプラスアルファで考える余地が充分残されているスコアというのはね。僕のブログスタイルとしては、これほどありがたいヒント集は無いです。

という事で12月中旬より開始の、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ中数曲のお題が、この素晴らしい本を参考にしてのバリバリの初期ナンバーに確定したところで、いよいよ渋谷ファイナルのレポートへと筆を進めたいと思います。

当日はまず午後3時より”吉田Q応援シンジケート”主催のお茶会というものがございまして、そこでも色んなおみやげを頂いてしまった・・・。
ケンケンジ様はじめ、大阪や広島からはるばる~な遠征のみなさまに囲まれつつ、本当に久々に千葉フェス組が顔を揃えて楽しくお話できました。
「シンジケート信じてぇよ」
などと言われたのも今は昔。余裕のフェス出場を果たされたQさまも、そろそろ新しいパパの情報をくださるでしょう。
ジュリーファンは一足お先の先輩集団ってわけだね~。

4時半くらいに移動を済ませ、入場。
やっぱりファイナルはどことなく雰囲気が違う。お客さんの気合が入ってるのが伝わってくると言うか、自分の気持ちが昂ぶってるのが解る(爆)、と言うか。
トイレ2回も行っちゃったよ・・・。

男性の姿が目立ちます。だいたいが連れのお姉さまに誘われて、って感じですが、そういった男性陣がどのような反応をするのか・・・どうもジュリー70超えへ向けて、先輩方も地道な下ごしらえを開始なさったのでは。
今、世の中の男性は知らず知らずのうちに振り分け始められてるのかもよ~。


この日僕は、敢えて最後方にお席を代わって頂いての参加です。
後ろを気にせず暴れるためです(爆)。

開演!

1曲目「ROCK' N ROLL MARCH」

Rocknrollmarch

鉄人バンドの入場からイントロまで途切れることのない拍手。これはもうみなさま解っていらっしゃる。
ジュリーは若干の掠れ声でのスタートです。今年のツアーは長かった・・・5月に始まったジュリワンからソロツアーへと雪崩れ込み、秋も深まる頃には両ツアーを並行して敢行するというハードスケジュール。
その重みが声に表れているようです。

1回目の間奏、流麗な柴山さんのソロ。バンドも調子は良いようです。
2回目はいつものように(!)ハナから飛ばす下山さんのソロ。2人のギタリストでソロが交互するのは、2回目は柴山さんがずっと「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ♪」とコーラスをとっているから。
(後註:グダグダでごめんなさい。1回目が下山さんで、2回目が柴山さん、3回目、ジュリーが歌い続けてるトコが下山さん、という構成のようです)

今ツアー、概ね下山さんのストラトの音が良く聴こえる設定が嬉しいですね。

2曲目「BAMBINO EXCUSE

Pleasure

イントロでギタリスト2人が歩を揃えてせり出してくるのはもうお約束です。

歌詞こそ怪しかったですが・・・なんと1番歌い出しから早くも上手方向にザザ~ッ!と走り出すジュリー。
この曲ではいつも下山さんのその場飛びを観てしまっていた僕ですが、今思うと今回はずっとジュリーを観ていたようです。
ジュリーは、エンディングの最後の1音にピタッと合わせて静止するんですね。

3曲目「緑色のKiss Kiss Kiss

Pleasure_2

この曲「横浜の空から~♪」というフレーズが計4回あるわけですが、ファイナルでジュリーは最後の2回を「東京の空から♪」と変えて歌ってくれました。

ところで、ハンドクラップに気をとられたり下山さんのボトルネックをガン見したりしていて今までまったく気がついていなかった(恥)ジュリーのアクションに、今回は初めてついていきました。
「ブン投げ」と「ボウリング」ですね。
某ブログさんで話題になってて、最初は「?」だったのですが、すんでのトコで「あぁ、緑色のKiss Kiss Kissかぁ!」と思いあたり、心の準備をしていったのです。
普段はバンド演奏と半々くらいに観ている僕も、ファイナルはどうしてもジュリーをメインに観たいんですよね・・・。

~MC~

「ようやくこの日までこぎつけました。感謝、感謝、感謝です。
今年は色々あって忙しかったんですが、今日がそのシメでございます。
たくさんお越しくださいまして本当にありがとうございます。ありがと~!」

4曲目「ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

千葉で「柴山さんの手数が減ったか?」と書きましたがファイナルを観る限り気のせいだったようです(汗)。
つまり、手数が減っていないのに初日よりもアクションが大きくなっている、というわけです。

この曲は手拍子はやらずにひたすらエキゾなりきりの横揺れなDYNAMITE・・・左隣のお姉さまにガッチリとチェックされてました。

そうそう、僕の周りに空席が目立ったのは非常に残念なことです。抽選に外れて涙を飲んだ先輩を何人も知っているんです。
2階は見ませんでしたが、1階後方では目に見えただけでも5つの空席。お正月コンサートではこんな光景は見たくないですね・・・。

最後のストロークを大きなアクションで決める下山さんが印象に残ったこの日の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」でした。

5曲目「ダーリング」

Konndohakareina

キメの「だ~~~~~~リ~~ン
♪」
のトコ、凄まじいリヴァーブがかかってました。

渋谷でもあの設定は初めてじゃないかなぁ。わざわざ変えてきたってことは、ジュリーからのサゼスチョンがあったと考えるのが自然。
リヴァーブってね、そのエフェクトかかってる機材(ここではジュリーのマイク)だけ残らないと、ほとんど気がつかない類の処理なんです。
最後のステージ、掠れ気味の声を考慮してそうしたのか、それともこの「ダーリング」のように、ヴォーカル1本残った時の残響効果を望んだのか・・・いずれかでしょうね。

千葉では、柴山さんに注目すべし!と言っておきながら何ですが、Aメロ部の下山さんの高速ダウンストロークも、相当キていますね。

6曲目「君をのせて

Acollection

打ち上げで、先輩方が過去にジュリーからどのような”拍手指南”を受けてきたのか、ってのを伝授されました~。
なるほどそれは身についちゃってるはずだよねぇ・・・と。

ジュリーの指導のおかげで、新し目の曲でも拍手のタイミングが解っちゃうんだそうです。
例えば、「海に向けて」なんかは、演奏が終わってジュリーが視線を落として、下を向くまでが1曲の構成なんですって。
そこで初めて拍手が理想って、深い・・・。

「君をのせて」で僕は間奏拍手をしません。何故なら、下山さんのコードフォームを確認しながら一緒に弾くから(エアですすまぬ汗)。
でも僕としては、間奏に拍手があっても構わないとは思うんです。それは歌謡曲でよくある”歌が一瞬空白になるから、歌い手にヤンヤの喝采を送る”という意味もまぁあるにはあるんだけど。

「君をのせて」の場合はね。

アレンジ上、柴山さんのレスポールは間奏単音のためにある、と言ってよいわけで・・・。
さらに、泰輝さんのピアノ。

まずは泰輝さんが4小節、Aメロと同じ音階をストリングスで弾いてから、満を持してのたった2小節。これが「君をのせて」で柴山さんの音をはっきり聴ける唯一の箇所なのです。それだけに入魂度は高い。
引き続いてのブレイク部、泰輝さんはストリングスではなくピアノに切り替えて2小節。そこへGRACE姉さんのフィル・インが絡みます。
正にバンド・アンサンブルの見せ場です。

泰輝さん、ストリングスについてはイントロ他見せ場が多いですから、この間奏では最初のストリングス箇所で
「よっ柴山さん&泰輝さん!ギター→ピアノ、準備オッケ~?」
という意味の拍手だったりも・・・するのかなぁって。
拍手がサ~ッと退いてからソロをとるのは、柴山さんもリードギター冥利なんじゃないかと。

一方でやっぱりエンディングは、最後の1音が終わってから「うわ~っ」とやった方がいいですねぇ。
僕も今回はそうしましたよ~。

7曲目「I' M IN BLUE

Gsiloveyou

渋谷ファイナルってのはちょっと異常な雰囲気がある、というのは『歌門来福』で確信したことでしたが・・・それはお客さんの手拍子ひとつとってもね。
Maybe I'm a loser♪」(74年生まれ様、ご指摘ありがとうございます~)から炸裂する頭打ちの手拍子が・・・。

は、速い!

逆に言えば、相当気持ちが入ってます。
バンドやってると、ドラマーが曲の途中でスネアの4拍連打になった途端に”走る”(テンポが速くなる)って、よくあること。それと同じ現象が起きてるんですね。
まぁそこはGRACE姉さんがしっかりリードして、しばらくすると落ち着きます。

それにしても今回のセットリスト、「I'M IN BLUE」が採り上げられて本当に良かったなぁ、と改めて感動しました。
僕は遅れてファンになった分、LIVE率の高いとされる曲の中でも「まだ生で聴けてない」ナンバーが多いんです。
「I'M IN BLUE」はクリアしたから、お正月には「ジャスト・フィット」を是非~。
信じられないでしょ?僕はまだあの曲を生で聴いてないんですよ!

8曲目「”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

う~ん、セクシーイヴに注目してたけど、指差しは微妙・・・。特定の誰かを狙ってるって感じじゃなかったなぁ。ステージが遠かったからそう見えたのかな?

柴山さんは間奏ではさすがに直立だけど、エンディングはあのフレーズ弾きながら交互の足踏みするんだよね~。
かなり神技だと思うんですが、もう何年もやってきたって証ですよね。

で、ジュリー。
冒頭の声掠れはほとんど気にならなくなってきてます。これまでLIVE観てきて思うのは、どうやらジュリーは1曲バラードを歌うと声が復活するという、素晴らしい喉の持ち主なんだなぁ、と。
今ツアーの場合、「君をのせて」がその役割を果たしているんですよね。

ファイナルでは、「ほみたい、うん!」があまりオーヴァーアクションではなかったですね。
全開でやってるこっちが恥ずかしくなっちゃうじゃないのさジュリ~!!

9曲目「明日」

Ikitetarasiawase

この曲はBメロのGRACE姉さんに渋~い見せ場があります。
小節の頭のキックが2拍3連符になって、曲に独特のタメを作っているんです。元々はCD音源での白井良明さんのアレンジアイデア。GRACE姉さんはそれを忠実に再現してくれます。

サビで、ドラムス以外の楽器が消える箇所がありますが、ココでのお客さんの頭打ち手拍子がまたまた速い!
柴山さんと泰輝さんが揃って頭上手拍子を煽ってるもんだからさらに速く・・・さすがのGRACE姉さんもちょっとテンポアップしたかな?
下山さんが頭を1拍ごとに振りながら「よし、よし」って感じになってるのが、萌えました。

10曲目「我が窮状」

Rocknrollmarch_2

本当に美しい曲、そしてヴォーカルだと思う・・・。
考えてみれば、大野さんがジュリーに提供した一番最近の曲なんですよね。
「大野さんの曲と相性がいい」ってジュリーが言ったのは『架空のオペラ』の時が最初なのかな?
『BALLAD AND ROCK' N ROLL』では、”BALLAD”コーナーで大野さんのナンバーがたくさん聴きたいなぁ、と思いました。

千葉で、「老いたるは無力を気骨に変えて~♪」直後の泰輝さんのピアノアレンジが進化した、って書きましたが、この日は千葉よりも手数が少なかったのです(それでも、16分音符アルペジオは炸裂していました)。
何故なら・・・。
ジュリーが「気骨に変えて♪」の部分で一瞬歌詞忘れちゃって、遅れて歌ったから。
「忘れようとして忘れてるわけじゃないんですよ!」
とは、アンコール前のMCでのお言葉でした~。


11曲目 鉄人バンドによるインスト

僕の周囲は、スタンディング率高かったです。
毎回の素晴らしい演奏・・・鉄人バンドのインスト、過去のツアーDVDを観ると、完成度は昔から凄かったんです。
でも、ここへきてお客さんの反応がグッと上がってきたのではないでしょうか。嬉しいことです。

ファイナルレポとは話が逸れてしまいますが、クリスマスに届くジュリワンのDVDだって、「情熱の渚」~「マーメイド・ドリーム」(最早僕の中ではこのタイトルのイメージがそう簡単には動きません)がとても楽しみ。
で、その「マーメイド・ドリーム」(ゆったりしたテンポの方ね)ですが・・・。
終演後に再会したちこ様が、五反田で
「柴山さんのギターはジェフ・ベック!」
って気がついたんですって。
ちこ様は、ジェフ・ベックの来日コンサートにも足を運ばれたそうです。

で、ジュリワンと言えば。
大変恐縮ながら(もう少ししたら正式に記事に書かせて頂きます)、LIVEレポ記事中で申し訳ないのですがちょっと宣伝しておきます。

現在制作中で、12月に発売予定の『新・うたの大百科2011年版』という厚めの楽譜集があるのですが、その中に、多くのジュリーファンの支持を得た名曲「涙がこぼれちゃう」が掲載されることが決定しています。
ハッキリ言ってメーカー内でこの曲を知っていたのは僕だけでしたが、有線ランキングの実績が収載案の決め手になりました。みなさまのジュリワン応援、これはそのたまものです。

http://www.amazon.co.jp/%E5%85%A8%E6%9B%B2%E6%A5%BD%E8%AD%9C%E4%BB%98-%E6%96%B0%E3%83%BB%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%AE%E5%A4%A7%E7%99%BE%E7%A7%91-2011%E5%B9%B4%E7%89%88/dp/4285128470/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1291017906&sr=1-3

興味のある方は、是非~。

12曲目「涙色の空

Namidairo

打ち上げで話題となったのは、
「ジュリーの”I believe~~~~~♪”が今ツアー最長のロングトーンだった!」
という。
これは、「ダーリング」の項で触れたリヴァーブ設定をジュリーが最大に生かした、ファイナルステージの大きな聴き所でしたね。
ジュリー自身が、声を伸ばしていて気持ち良くなる設定だったんだと思います。素晴らしかったです。
千葉での、ちこ様の質問にお応えしようと身構えていたのですが・・・マイクの設定は全然違っていたようで。ただただ聴き惚れてしまいました。

柴山さんはこの日も「ちゅくぎゅ~ん♪」ではなく「ぎゅ~ん、ぎゅ~ん♪」と噛みこんできましたが、サビ前の「きゅっ♪」はCDと同じタイミングで再現してくれました。

あとはやっぱり、アコギが残る箇所での下山さんに目を奪われました。
髪をバッサバッサとさせながら、時々32分音符(!!)のストロークまで炸裂させるという、ファイナルにふさわしい入魂の演奏。
個人的には、来年お正月にもう一度聴きたいナンバーです。


13曲目「エメラルド・アイズ

Namidairo_2

初日終了から論議されていた
「この曲は手拍子いるのかな問題」
ですが、ツアー後半に来てファンのみなさまは「手拍子はせずに自然に身体を揺らす」という聴き方に落ち着いたようですね。今になってみると、それが一番しっくりくるように僕も思います。

間奏でね、下山さんがソロをとる場合なんですけど。
この曲に限らず、下山さんが前にずずい!とせり出すタイミングが昨年の『PLEASURE PLEASURE』と比べて随分早くなったと思いませんか~?
去年は、最初の1音が始まる瞬間にはまだ歩いていたような・・・。


14曲目「まほろばの地球

Namidairo_3

「エメラルド・アイズ」が終わると、
「さぁ次は暴れるぞ!」
といった感じのお客さんの空気がヒシヒシと。
そして闇を劈く柴山さんのギター・リフが・・・。

あ、あれ?

速い!こりゃ速い!

柴山さん、会場の熱気にブッ飛びましたね~。
この史上最速の「まほろばの地球」イントロを受けて、ブッ飛んだお方がもう一人。
他でもない、ジュリーです!
歌詞がぁ~!

でも。
そのおかげで僕は初めて間奏前のジュリーの
「がっ
とわ!!」
が今ツアーで初めて聴けたような気がする~(実はこの部分の初日の記憶が無い汗)。
直前の歌詞が出てこなくて、カッコいいシャウトで調節した感じ。これは嬉しかったなぁ。

このシャウトですが、CDでは
「がっ、が!」
と聴こえますけど、正解は
「がった!」
だと思います。
何故って、これはジュリーがストーンズ好きで身についてるシャウト発音だと思うからです。
ミック・ジャガーがよくやるシャウトなんですよね。

しか~し一方では!
テンポ速過ぎで(という訳でもないでしょうが)、間奏の一番最後でGRACE姉さんがLIVEの度にキメてくれていた、ジョン・ボーナムみたいなタイミングのスネア+ハイハットのドキリとするほどスリリングな裏打ちは、無し。
ごく普通のフィル・インになってました~。


15曲目「若者よ

Namidairo_4

これまた頭打ちの手拍子が速い速い!
ついてくのに必死で、”最後のサビだけは拳振り上げにしよう運動”を忘れてました~。

この日は柴山さんのソロが相当CDとはかけ離れたフレーズでしたよね~。

「若者よ」って、リードギター以外は「涙色の空」と同じく1人1音体制ですから、LIVEでは柴山さんだけが2人分を担当しなきゃいけないんですよ。
確か渋谷初日ではCDに近いフレーズを弾いてたはず・・・ツアーを重ねるごとに、だんだん変化してきたのでしょうね。

ジュリーは「君たちがボスを選べよ♪」のトコで開場を(ジュリーから見て)左から右へとバッシバシと指さし。
本音の歌なんだろうな、と思いました。

16曲目「ひかり」

Ikitetarasiawase_2

今ツアーが終わったら、2度と生で聴くことはかなわないナンバーかもしれない・・・そんな思いが込み上げて少し淋しい気持ちに。
「まだまだたくさん曲がある」ジュリー。これからもどんどん他のナンバーで「こんなイイ曲だったのか!」と気づかせ、僕を打ちのめしてくれるでしょうけど。

ツアーをきっかけに好きになった曲って、しばらく鬼のように聴くわけです。そうすると当然、自分の中で特別な曲になってしまいます。
最後かもしれない「ひかり」を、僕はこの日はジュリーだけを見て満喫いたしました。
ライトが凄かった・・・。
僕、それは今まで気にとめていなかったです。やっぱり、ジュリーをガン見してこそ、の照明なんですねぇ・・・。

17曲目「太陽」

Ikitetarasiawase_3

この日のお席は僕にとっては神席レベルに盛り上がれる、1階最後方でした。
ちょうど泰輝さんと柴山さんの間くらいでしたが・・・この位置だとギタリストの手元などは、かえって対角線の下山さんの方がよく見えます。
柴山さんのフレットはちょっと見辛かった・・・。

ファイナルの「太陽」・・・至近距離から観た柴山さんはどんな様子だったのでしょう。
僕が観た感じですと、大阪のような陶酔状態には至っていなかったように思えました。どちらかと言うと「オラオラ~」系だったんじゃないかなぁ。

結局、ジュリーばかり観てたなぁ・・・。
「太陽」については、込められたメッセージがどんなものかまだ僕には解っていないんだけど、またいつか聴けるような気がする・・・ジュリーにとって凄まじく大切な曲であることが、今ツアーでヒシヒシと伝わってきましたから。

18曲目「世紀の片恋」

Kitarubeki

ファイナルの個人的ベストは、まず後述の「愛まで待てない」、そして次に挙げるとすればこの「世紀の片恋」です。
ジュリーの熱唱と身体のキレ、或いは柴山さんの大根切り(「Oh!Sandy」で加瀬さんがやるみたいなアクション)なども印象に残りましたが・・・何より下山さんのハッチャケぶりが凄かった。

最初から追って説明しますと、まず1番の途中で袖からローディーのお兄さんが登場し、GRACE姉さんの背後を回ってから、タムの辺りをメンテし始めたのです。
何があったのか全然気がつかなかった・・・タムの押さえがゆるんでソッポ向いちゃったとか、カウベルが外れそうになっちゃったとか、色々考えられますが、僕の席からだとよく分かりませんでした。

ドラムスのトラブルはこれまで何度か見て、GRACE姉さんってステージでは紅一点だし・・・豪快に見えてもやっぱり乙女なイメージがあって、「頑張れ!」ってハラハラしちゃうんですよね。
今回も「ああっ大丈夫かな?」と余計な心配をしておりますと、いきなり下山さんがドラムセットの前にカッ飛んできました。
GRACE姉さんの正面で腰をクイクイしながらギター弾いて、絡む絡む!

今ツアーでは、下山さんのイメージが変わりました・・・ホントに。
これは僕だけの感覚ではないですよね?

今年春にNHK『SONGS』でジュリワンの放映がありました。
初めて見る、鉄人バンドとワイルドワンズの競演シーンは圧巻でしたね。
そんな中、画面左方でベースの島さんが執拗に下山さんに絡みまくってました。その頃の下山さんは
「いや、俺そういうタイプじゃないですから・・・」
と恥ずかしそうにしてたのが、僕にはすごく微笑ましく印象に残ったんです。

直後、ジュリワンツアーを目前にして下山さんは病に倒れ、ワンズとの競演を生で観る機会はとうとうありませんでした。
島さんにちょっかい出されまくる下山さんを、八王子の神席で見たかった・・・。

そして全快してすっかり元気になった下山さんは、ソロツアーから鉄人バンドに復活したのですが。
いつの間にやら、”ちょっかいを出す方のキャラ”に大変貌していたというワケです!

下山さんに絡まれまくり、GRACE姉さんは
「いつまでやってんのよ~」
といった感じの笑顔が炸裂。
笑ってくれたら、もう安心だよね。


19曲目「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto

前曲「世紀の片恋」エンディングの”おいっちに体操”が長く、腕がパンパンになってるはずなのに、「マンジャーレ!~」イントロの頃には「まだまだ~!」となってしまう不思議(でも一旦腕を降ろして再び間奏部でやる時には反動でキツくなってる)。

最後方から見渡した「自慢の君がいる~♪」の会場のジュリー指差しが圧巻でした。みなさまもやってました?僕はまず圧倒されてしまい、ついていけませんでした。
「あれはいつ頃から?」
と打ち上げで先輩に聞いたところ、結構前からチラホラやってる方はいらっしゃったみたい。
でも今回はかなりの人数でしたよね。

「女神の君がいる♪」でも何かアクションがあったけど・・・。
どんなだったか思い出せません・・・(泣)。

ドームでの”ポカ~ン事件”から待つこと2年(正確には1年半)。今ツアーでこの曲を聴けたことに、感謝。

20曲目「愛まで待てない」

Aimadematenai

ちこ様が少し前に
”「愛まで待てない」が加速している”
と、お話されていました。ツアーが進むにつれ、このナンバーがどんどん凄いことになってるという。
千葉も確かに凄かったとは思いましたが、ファイナルの「愛まで待てない」は・・・異常!

まず、先程から書いている通り、お客さんの頭打ち手拍子が速い速い。
でもバンドは、この曲では敢えてその猛スピードにのっかっているように感じました。
そして

ジュリー
「ダーリン、ユ~♪」

会場
「ぎゃ~~~~!!」

再びジュリー
「ダーリン、ユ~♪」

会場
「ふぎゃぁ~~~~!!」

も一丁ジュリー
「ダ~リン、ユ~~~♪」

会場
「ふんぎゃああぁ~~~!!」

な・・・・・・。
どういう状況でしょうかこれは。

打ち上げでも話題になり、
「タイガース時代の”君だけに愛を”の指差しの時もあんな感じだったんですか?」
とヒヨッコ組が尋ねますというと、先輩方曰く

「あんなもんじゃないわよ」

ひ、ひえ~。
来年は物凄いモノが観れそうですね・・・。


21曲目「遠い夜明け

Kitarubeki_2

ファイナル直前で深町純さんの訃報。
急遽「遠い夜明け」のお題で思うところを書きました。ジュリーにとって同世代の近しい人達が次々に・・・。
ファイナルでは、そんなジュリーの胸中が反映された歌唱になるのかなぁ、と考えたのです。

安易でした。
この日再確認しました。「遠い夜明け」は決してマイナスのイメージを持つ曲ではないのですね。
「生きる」ことを歌われ、揺さぶられる・・・。
当然ながら僕には「生きることの意味」なんてまだまだ解りません。
でも、「そういうことを考えろよ」と言われたような気もしました。

ちょうど、今。
正社員として会社にお勤めの方々、ジュリーファンにもたくさんいらっしゃるでしょうけど・・・きっと、同じ思いをしている方が多いんじゃないかなぁ、と思うことがあります。
僕の手元には今、健康保険証に貼るためのシールが3種類。
そのうちのいずれかを、選ばなくてはいけません。
扶養家族がいらっしゃる方々は、それがさらに数セットあるでしょう。

僕はまだ迷っています。
ファイナルでのジュリーの素晴らしい「遠い夜明け」のヴォーカルを聴きながら、何故か僕には、まだ何処にも貼られていない3つのシールのうち、ひとつが大きくクローズアップされてきたのでした・・・。

~MC~

LIVE当日から数日経ちましたが、あやふやながらも僕は結構MCの内容をまだ覚えています。
でも、たくさんのじゅり風呂さん達が、僕の記憶以上のご報告をしてくださっていますから・・・ズラッと記述するのは今さらの感が。

ですからここでは、ジュリーの2つの注目発言をピックアップして、それについて思うことなど書いていきたいと思います。

まずはやっぱりアレですかね。

「みなさまずっと立ってお疲れでしょう。ワタシはもうお風呂に入りたい・・・」
「お風呂になさいますか?ビールになさいますか?それとも・・・(一瞬あって)ワタシ?

「ワタシ?」
で、ぴょん!と右に首をかしげるやいなや、会場は
「きゃあぁ~~」
と騒然→大拍手(笑)。

これ、当然打ち上げでも話題になりましたが、結構バトルトークになりましたよ。

「”ジュリ~~!素敵!”という狂喜の悲鳴に決まってるでしょ!」
と、先輩方。
一方の後追い組は
「”なんてこと言い出すの~!”という大ウケの拍手に聞こえた~」
と主張・・・いやいや面目ござりませぬ。

さて、真面目な話題に移りまして(汗)。

「65から70までの間というのは、これまでには考えもしなかった事が起こってくるんでしょうねぇ」
「耳も聞こえなくなって、声が大きくなる。聞こえてくるのは悪口ばかり。目もかすんでくる。そして、一番怖いのは・・・」
「忘れようとして忘れてるわけじゃないんですよ(歌詞のことですね笑)。新しいものが受けつけない身体になるんでしょうか」

・・・身体のことは、本音でしょうねぇ。
でもそれは、70越えを達成する、そこまでをキチンと決意しているからこその言葉でもあるでしょう。
そして僕は、「新しいものが受けつけなくなったら困るなぁ」という意味に聞こえたんです。つまり、ジュリーはまだまだ新曲を歌いたい、と考えているんじゃないか、と。
歌詞がなかなか瞬時に思い出せなくなったり・・・そういった事が増えてくると思うけど、できれば新しい曲も作っていきたい・・・ジュリーはそう思っているように感じます。
やれるところまでは新曲もやるよ、って決意表明にも思えましたが、みなさまはどうお感じになったでしょうか。

といったところでいつも通りのメンバー紹介。

「それではみなさま、よろしゅうございますか?」

「歌い納め!」
と叫んだ時のアクション、あ~あ・・・。
ガッチリ指を3本立てて、「今日はオマケのオマケは無いよ」って宣言しちゃったよ、ジュリー(泣)。


22曲目「ポラロイドGirl」

Karehanemurenai

この曲も、「愛まで待てない」同様、異常に盛り上がってましたね~。
後方から見てると、会場全体で「フラ~~ッシュ!」のシーンは圧巻でございました。

サビのジュリー・ジャンプは2回+5回で計7回。千葉よりは少なかったですが、会場で一緒になって飛び跳ねてる人数では圧倒的に渋谷!
無論僕もすべてのジャンプについていきましたが、お隣のお姉さまのチラ見チェックに逢ってしまいました・・・。

で、やはりここでも下山さんですよ。
例の2番直前のサイドギターが残る箇所ね。
「ずちゃっ、つ、ちゃっ、ちゃっ♪」
ではなかった!
「ずちゃっ、つ、つっちゃららっつ、ちゃっつらっつっちゃ、ちゃらっ♪」
になってて、若干譜割り無視の暴れ馬状態。
ドラムの「だん、だん、だんつちゃちゃっ」のトコでは
「だん、だん」でバックステップ。
「だんつちゃちゃっ」で見事な3回転ジャンプ!
(擬音がわかり辛くてズビバゼン)

こりゃもう、「例えコケても構わん!」という覚悟をキメてやっているとしか・・・。
ちなみにこれを、例えば1999年正月コンサートの段階でやっていたとしたら、シールドが身体に巻きついて動けなくなってます。
(ジュリーLIVEでギターシールドありだったのは、その頃までですよね?)

あと、細かいことですが1番のAメロ2回し目で、泰輝さんがエレクトリック・ピアノっぽい音とストリングス音を使い分けて演奏するのが、最高に渋いです。


23曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」

Acollection_2

この日はすぐ右前席に、奥様に誘われて来た、という感じのおじさまがいらっしゃいました。

基本座って観ていらっしゃいましたが、「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」や「ダーリング」では立ち上がってノリノリ。
「太陽」が終わり柴山さんがせり出してきて会場が「うわ~っ!」となった「世紀の片恋」では「おっ、有名な曲が来るか?」って雰囲気で立ち上がりましたが、すぐにお座りに・・・。
その後、爆裂中の隣席の奥様(僕の正面席。たぶん奥様だと思います)とは対照的に落ち着いていらっしゃいましたが、この「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」では「MOTTAINAI!」とばかりにハジけておられました。

やっぱり、力のある曲です。
あの独特のメリハリがLIVEだとまたイイんですよね~。80年代ロック屈指の大名曲ではないでしょうか。
「ハッ、ハッ、ハッ!」を目の前で繰り出されたら、そりゃ参加しなきゃ大損ですからね!誰しもそう思うでしょう。

「ハイ!」も相当の人数がキレイに揃った渋谷でした。

24曲目「いとしの惑星」

Iikazeyofuke

ジュリーが歌い出し、「残念だけどこの曲がラストだ」と思いました(オマケのオマケ、ちょっとは期待してたけどね)。
アンコール直前の3本指がね・・・。

「この曲をセットリストのラストに配置した意味は何だろう?」と、ヒヨッコは今さらのように考えるのです。
すぐに思い浮かべるのは、『生きてたらシアワセ』ツアーで歌われた意
味との共通点。あの年はお正月LIVEが『ワイルドボアの平和』。
やっぱり、地球規模の切実な思いがジュリーの中にはあるのではないでしょうか。
そして、力強い詞曲の「いとしの惑星」がトリに選ばれた・・・「若者よ、最後は念押しでコレだ!」と言われたような。

ジュリーのLIVEには、いつも考えさせられます。
ファンの立場から全問正解なんて、有り得ない!なんだかよく分からないながらも、そんな事を思った自分がいるのです。

---------------------------

鳴り止まない拍手に、2度も挨拶に出てきてくれたジュリーと鉄人バンド。
1度目は、いつも「いとしの惑星」の後にやっていたのにこの日は割愛してしまったメンバー紹介を・・・マイク無しの地声で!
しびれた!

マイクを通さないジュリーの地声を、後追いファンの僕はこの日初めて聞いたんです~。

オマケのオマケはね、ファンがその話題をスルーしだした頃を狙ってやることが多いんですって。
僕、思い切り話題にしてたなぁ(汗)。

でも、ファイナルだけに付加価値つけるのも、どうかという気もしますし、僕はヒヨッコだから期待しちゃったけど、今考えてみると普通にセットリスト通りに終わったのは良かったと思っています。
例え自分が観ていなくともね、アッと驚く地方会場で突然オマケがあって良い・・・そりゃワクワクするなぁ、とも思ったり・・・あ、話題にしちゃいけないのか。


ジュリーはMCで、
「今日がいわゆる仕事納め。12月に入ったらゆっくり休んで、お医者さんにも色々診てもらったりしようかと考えてます」
と言っていましたが、どう考えてもお正月のリハは少しでも年内にやっておかねければならないでしょうし、本当に大変ですよね。

ファンにとっては、ツアーが終わって淋しいんだけど、今回はお正月までさほど待たなくて良いという、なんとも幸せな状況。ジュリーにはいくら感謝しても足りません。
ありがとう、と何度も言いたい・・・。


そうそう、お正月コンサートのタイトル、ジュリーは

バラード・アンド・ロック・アンド・ロール

と言ってましたね。
バラードを多めに・・・な~んて言ってましたが、さてさてどうでしょう。
僕としては、まだ生で聴いたことのない曲、バラードナンバーでもたくさんありますからね。
ジュリーが決めたセットリストなら、それでオッケ~!
また意外な曲でガツンとやられることでしょう。


僕は、初日は参加できないんです。
6日の木曜日・・・この日は仕事初め2日目。早退なんて無理だなぁ。
ですから、中日の渋谷で、「ビビッドな反応」を一手に引き受けることが使命だと考えています。

ネタバレ我慢、絶対にやり遂げる!
それがジュリーから提示された、僕にとっての来年最初のテーマだと思い込むことにしよう・・・。

最後に。
今ツアー中も、本当に多くの方々にご挨拶させて頂きました。
「はじめまして」な方々、「お久しぶりです」な方々。
本当にありがとうございます。

みなさまお元気で、また来年お会いできますように・・・。

20101127


※ ちょっとした補足

どのフレーズに反応してくださったのか全く謎ですが、本記事に、新型ランドセルのトラックバックを賜りました~。
ありがとうございます~。
今年は脱・ゆとりだそうですよ~。

「ゆとり」批判と言えばあのお方。
個人的にずっと応援しているジュリーファンのプロレスラーがいらしゃるんです。
僕がジュリー堕ちした直後くらいに、某団体史上最悪最高の大ヒール(悪役という意味です)になってしまって、何度かCCレモンでお見かけしたけど怖くて近寄れなかった・・・。
突然のヒール転向は、その選手もベテランになって・・・「夢見る頃を過ぎたから、やりたいように生きる」ことを選ばれたんだ、と解釈してました。

でも実は、依然ヒールと言えど、ちょっと前から同団体での役割的に流れが変わってきたんだよね。
でもやっぱり雲の上の人なので、まだまだ近寄れないと思うなぁ。
来年のお正月も、遠くから見ていよう・・・。

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2010年11月25日 (木)

沢田研二 「遠い夜明け」

from『耒タルベキ素敵』、2000

Kitarubeki

disc-1
1. A. C. B.
2. ねじれた祈り
3. 世紀の片恋
4. アルシオネ
5. ベンチャー・サーフ
6. ブルーバード・ブルーバード
7. 月からの秋波
8. 遠い夜明け
9. 猛毒の蜜
10. 確信
11. マッサラ
12. 無事でありますよう
disc-2
1. 君のキレイのために
2. everyday Joe
3. キューバな女
4. 凡庸がいいな
5. あなたでよかった
6. ゼロになれ
7. 孤高のピアニスト
8. 生きてる実感
9. この空を見てたら
10. 海に還るべき・だろう
11. 耒タルベキ素敵

------------------------------

急遽、更新いたします。

ジュリーとも縁の深いキーボーディスト、深町純さんが亡くなりました。
昨夜、かの様のサイトにお邪魔して訃報を知り、絶句。
これから僕も深町さんについてどんどん知っていきたい、と思っていた矢先だったのに・・・。

64歳・・・ジュリーとそんなに変わりません。
ヒカシューの佐藤正治さん等と結成したばかりのバンド「僕らのしぜんの冒険」全国ツアー目前にした、本当に突然のことだったようです。

今日の記事はいつもとはまったく違い、”伝授”的な内容ではありません。
ジュリーがきっかけで注目するようになった素晴らしい鬼才・深町さんの突然の訃報に、少し思うところを書いておこう、という短い記事です。
残すところ渋谷ファイナル1本となったジュリーのソロツアー、『秋の大運動会~涙色の空』セットリストにも選ばれている名曲「遠い夜明け」を聴きながら・・・。

僕が深町純さんを知ったのは、昨年のこと。
DVD『
師走-ROMANTIX』のレビュー記事を執筆した際に色々と調べて、初めてお名前を覚えたのでした。
その後、先輩方から情報を頂いたりして、ジュリーとの関わりについても想像以上の方だったことが解ってきて・・・とにかく、僕が不勉強だっただけで、深町さんは相当有名な人物だったというわけです。

一度覚えたら、以後あちこちでお名前を見かけることに気がつきました。
仕事関連しかり、僕が好んで聴くジュリー以外のアーティストの周辺しかり。

キーボーディストとしての前衛性は無論のこと、エキセントリックな人柄でもよく知られていたようです。
その頑固に、妥協せずに仕事に打ち込む姿勢や活動を知るにつれ、深町さんはジュリーの中でも特別な存在のお一人であったのではないか、と思えてきます。

『師走-ROMANTIX』では、前半の〆部に、ゲスト出演なさった深町さんのグランドピアノをフィーチャーしたバラード3曲が歌われます。
「ユア・レディー」「遠い夜明け」「CHI SEI(君は誰)」の3曲です。
これが、いくら言葉を尽くしても足りないくらいに素晴らしいのです!

僕はその頃、『CROQUEMADAME & HOTCAKES』のDVDを観たばかりで、ブッ飛んでるロックなジュリーを期待して映像作品を漁っておりましたが、その僕が『師走-ROMANTIX』では、深町さんのピアノと共に歌うジュリーのバラードに完全に心を奪われてしまいました。
特に「CHI SEI」なんて、僕はそれまで大して気にとめていなかったジュリーナンバーだったのに、背筋に電気が走りまくり、圧倒されたものです。

そんな「CHI SEI」「ユア・レディー」という、いかにも洋風な(当たり前ですが)2曲に挟まれた「遠い夜明け」の素晴らしいヴォーカル。
今ツアーの「遠い夜明け」もそりゃあ素晴らしいですけど、『師走-ROMANTIX』を生で観ていたとしたら・・・打ちのめされたと思います。そのくらい、この3曲のヴォーカルは凄いのです。

そんなジュリーのヴォーカルを引き出したのは、深町純さんのピアノだったのでしょうか・・・。

『師走-ROMANTIX』で深町さんは、後半のロッケン・タイムに移行してもそのまま演奏者としてステージに残り、シンセサイザーを駆使したアレンジで魅了してくれます。
一番感動したのは、「A. C. B.」のハンドクラップ音を忠実に再現してくれたこと。
柴山さんがすごく嬉しそうなんですよ・・・。

もちろんアルバム『耒タルベキ素敵』で聴いた時から名曲だとは思っていましたが、「遠い夜明け」はLIVEですね。
『師走-ROMANTIX』でそうお感じになったジュリーファンの先輩方、たくさんいらっしゃったんじゃないかなぁ。

週末の『秋の大運動会~涙色の空』、渋谷ファイナルで「遠い夜明け」を歌うジュリーの脳裏に、深町さんとの思い出がよぎるのでしょうか。
「遠い夜明け」は、切ないながらも前向きな、力強い意思を込めた覚和歌子さんの詞が印象に残りますが・・・。
ファイナルでは、とても悲しく聴こえてしまいそうです。

こんなにももがいて生きることの意味が解る、「その時」とは・・・。

深町純さんのご冥福を、心よりお祈り申しあげます。

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2010年11月20日 (土)

沢田研二 「外は吹雪」

from『いくつかの場面』、1975

Ikutuka


1. 時の過ぎゆくままに
2. 外は吹雪
3. 燃えつきた二人
4. 人待ち顔
5. 遥かなるラグタイム
6. U. F. O.
7. めぐり逢う日のために
8. 黄昏のなかで
9. あの娘に御用心
10. 流転
11. いくつかの場面

--------------------------------

ソロツアーも大詰め、ジュリワンファイナルも目前に迫ったというこの時期に、唐突のお題ですみません。

今日はちょっと、とりとめもない個人的な思い出や読書嗜好なども織り交ぜながら、今週たまたまマイブームだったアルバム『いくつかの場面』から1曲採り上げたいと思います。
『いくつかの場面』『チャコールグレイの肖像』『LOVE~愛とは不幸を怖れないこと』の3枚は、とにかく寒い季節に聴くのが最高なんですよね。
と言っても冬はまだまだこれからですが・・・。

予定ですと今回の記事、お題はアルバム『生きてたらシアワセ』から、「太陽」になるはずだったんです。
『秋の大運動会~涙色の空』セットリストからもう1曲書いておきたいと公言していたナンバーが「太陽」だったというわけなのですが・・・。

LIVEに参加すること3会場。
徐々に、自分がツアー以前に音源だけで解釈していた考察では甘いのではないか、との思いが強くなってきました。
「太陽になるんだ」というジュリーの強い意志、決意を込めた詞。そんな僕の解釈とは裏腹に、ステージで「太陽」を歌うジュリーはくるおしいほどの悲しい表情で・・・圧倒されるばかり。
これは僕の解釈以上の何かがあるに違いないとは思えど、結論は出せず。今後の大きな課題曲となりました。
(課題曲がどんどん溜まっていく・・・涙)
でも、ジュリーの楽曲はずいぶん後になってから「そうだったのか!」と気がついたり先輩方に教わったりすることが多いですから、いつか書く日が来るでしょう。

そこで、何か別のお題を・・・何にしようかな、と漠然と考えながらネット巡りをしていた先週に出くわしたのが、加瀬さんのブログ記事。
ずばり「外は吹雪」というタイトルで、ジュリーwithザ・ワイルドワンズin北海道シリーズ・締めの地である新冠へ向かう様子を書き綴っておられました。

北海道かぁ。
僕はたった一度25歳の時に、当時加入していたバンドで襟裳岬に遠征しました。北海道に降り立ったのは後にも先にもその時だけ。
かの有名な”苫小牧発、仙台行きフェリー”(吉田拓郎さん「落陽」)の逆コースで行ったっけなぁ(仙台までは鈍行電車、帰りは飛行機で帰京)。
岬で食べた”えりもラーメン”が忘れられない・・・。麺の上を大量の貝で覆った豪快な塩ラーメンでした。

って、なんだか加瀬さんのブログを拝見していると、食べ物のことばかり考えてしまいます。

いやいや食べ物ばかりではない。
加瀬さんのブログには、記事タイトル以外にも文中にしばしばジュリーナンバーが引用されていて、ファンの心をくすぐりますよね。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズの代表取締役ばかりでなく、ジュリーファンの代表取締役みたい。

で、今回の加瀬さんの引用は
「外は吹雪・・・吹雪」
と、さすが、楽曲で最もジュリーのヴォーカルが冴え渡るタイトル連呼部分を抜粋しているという。
加瀬さんに導かれるようにしてすぐさま僕はアルバム『いくつかの場面』を取り出し、ここのところずっと繰り返し聴くことになったのでした。

というわけで本当に唐突ながら。
ジュリーの無垢なヴォーカル&シャウト、そしてタイトな演奏が素晴らし過ぎる大名曲「外は吹雪」、伝授いたします!

僕は北の大地での生活を知らないので、「外は吹雪」の世界をリアルに感じとることができません。
豪雪地方にお住まいの先輩方がこのナンバーにどんな思いを寄せていらしゃるのか・・・是非教えてくださいね。
ですからここでは、僕が及川恒平さんの詞から受けている私的なイメージを語らせてください。

僕がこのナンバーで想起するのは何故だか、学生運動家の悲劇的な恋や志の行く末なのです。
「吹雪」というフレーズから「山荘」を連想したことがその理由のひとつです。この点については以前「U・F・O」の記事で書かせて頂きました。

食料調達もままならない環境の中で、若い男の矜持や憤怒・葛藤、そして志を同じくする恋人への欲望が激しく燃えている・・・詞にはそんなことは具体的には描かれていないのですが、「外は吹雪」の世界から、相当閉塞した密空間を思い浮かべる人は多いのではないかと僕は考えてしまったんですよね。

僕がこの詞に強く惹かれるのにはもうひとつ理由があります。
幼い頃からミステリー小説を好んで読んできた僕にとって、”吹雪の山荘”というのは特別なシチュエーションなのです。

ミステリー小説で”吹雪の山荘”と言えばそれは”大きな密室”を意味します。
外部との接触、連絡がまったく途絶えた状況下で殺人事件が起こります。すなわち、犯人は山荘内にいる数人の男女の中の一人・・・ということになり、男女は互いに疑心暗鬼しつつ、そんな精神描写を描きながら物語が進んでいくわけです。
僕はこの設定がすごく好きで、登場人物に恋愛沙汰があったりするとなお面白い。
日本人作家の作品にも、この設定を生かした名作がたくさんあります。
一押しなのは、今をときめく東野圭吾さんの最初期作「ある閉ざされた雪の山荘で」。これは、日本ミステリー史上屈指のウルトラCが炸裂する大名作だと思っています。
”吹雪の山荘”には限りませんが、他にも綾辻行人さんなどはこの系統の作品髄一の使い手ですね。
・・・と、詳しい方ならお察しの通り、僕はいわゆる”新本格系”の世代の作家さんが荒々しいながらも情熱を惜しみなくつぎ込んだ、若々しいミステリー小説の支持者なのです。

ずいぶん話が逸れているようですが・・・要は”吹雪の山荘”においては限られた登場人物の間だけで物語世界が構築され完結しているのだ、ということ。
「外は吹雪」の登場人物は若い男女二人、と解釈している僕はこのナンバーに良い意味での閉塞感を見てとり、ジュリー・ヴォーカルの抜群の表現力によって進行していくスリリングな物語に引き込まれるというわけです。

それでは、大野さんの作曲について。
数年後に阿久悠さんとのコンビで一躍大作曲家としての地位を不動のものとした大野さん。アルバム『いくつかの場面』で阿久さん作詞の「時の過ぎゆくままに」を競作の末勝ち取ったことがその布石(というにはあまりにも有名な楽曲ですか)ですが、その逸話に裏づけられるように、大野さんは当時”詞先”の作曲を得意とされていたようですね。
「外は吹雪」もきっとそうです。

♪ 誕生日のテーブル 君の手料理 ♪
    D♭7                    E♭      Fm

この部分の言葉の載せ方などは、詞先特有のメロディーのように思います。
70年代、多くの作曲家が「まず良い詞があって、そこからイメージして曲を作る」というスタンスだったようです。都倉さんと阿久さんのコンビで逆パターンがあった、と阿久さんの追悼番組で知った時は意外な感じがしました。ですから大野さんについても逆パターンありだったかもしれませんから、「外は吹雪」については僕の推測に過ぎないのですが・・・。

ともあれ「外は吹雪」での大野さんの作曲には、のちに阿久さん、ジュリーとのトライアングルにおける必殺のパターン、”キャッチーなアップテンポの短調ナンバー”という手法をこの時点で垣間見ることができるのです。

そしてこの曲は何と言っても演奏が素晴らしいです。
『いくつかの場面』収録のこの「外は吹雪」
や、『チャコールグレイの肖像』収録の「夜の河を渡る前に」「桃いろの旅行者」「影絵」の演奏・アレンジは、それぞれのアルバム中屈指の完成度を誇り、正に70年代ロックの醍醐味だと僕は考えています。
それがジュリーのヴォーカルと共に味わえる幸せ・・・。

まずは堯之さんと速水さんのコンビネーション。
やはり間奏、後奏のリードギターが耳を奪います。これは堯之さんですよね?
(速水さんだそうです。KHM様より教えて頂きました。ありがとうございます)
フェイドアウト間際で半音上がるのが渋い!

さらに僕が最も耳ダンボになってしまうのは、鈴木二郎さんのドラムスです!
左チャンネルに振られているおかげで、より明瞭な音として伝わります。これはミキシング段階で、ドラムスを特に聴かせたいというスタッフアイデアがあったかったからに違いありません。他のアルバム収録曲には、ドラムストラックにこんな明確なチャンネル配置は見られないからです。

エフェクトもほとんどかかっていないですね。若干イコライザーで硬質に処理している感じでしょうか。
「ドスンドスン!」という、空気の振動が聴こえてくるようなキック、シャキシャキとしたスネア。
何か不安を抱きながらも、衝動に忠実に人生に没頭する空気・・・曲の雰囲気にピタリと合っています。60年代ロックのレコーディング作品には無かった音です。
エンディングのギターソロ部、「ちゅくきゅん!」と言わせる箇所があるのですが、その直後のドラムスの暴れっぷりは最高!

エンディングと言えば、ジュリーの

♪ そ・とは~~、吹雪~~
ぃぃいいやあっ!♪
     D♭ B♭m         Fm 


というカッコ良すぎるシャウトが合図ですが、実はココ、ジュリーの細かい工夫があります。「外は~~♪」の伸ばし方が、それまでの繰り返し部より短くなっていて、切るように歌っているのです。
明らかに、直後の「ぃぃいいやあっ!」に気合をとっておくための
歌唱アイデアと考えられるのです。
ココは絶対にシャウトが必要、というね。素晴らしい!

最後に・・・。
まったくの蛇足ですが、僕は”焼きりんご”という食べ物がよくわかりません。
アップルパイの中身・・・で合ってるのでしょうか?


(あ、神戸、京都、五反田、大宮の感想などもお待ちいたしております~)

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2010年11月 9日 (火)

[ 伝授・特別編 ] 11.7千葉文化会館 沢田研二 『秋の大運動会~涙色の空』 セットリスト&完全レポ

みなさま、お元気ですか~!?
僕はすっかり元気です。無事に『秋の大運動会~涙色の空』 in千葉に行ってまいりました。
2列目を頂いていた10・29渋谷を病欠するという大失態で、多くのみなさまにもご心配をおかけしてしまっていました。
何より僕自身が、しばらくツアー・セットリストの記事執筆が辛くてできない、そんな心境に陥っていました。

ただ、ジュリーへの飢えが凹んだ気持ちを上回ったのでしょうか、千葉の数日前にはすっかり体調も復活、純粋にLIVEが待ち遠しい、あのいつもの感覚が戻ってきたのです。
そして当日。
思いがけない僥倖が待っていました。

というわけで、今回のレポには一部「妄想」と言われても仕方のないような記述が混ざります。僕としては珍しいことです。
その件があったため、後半はちょっと開放し過ぎたと言いますか・・・飛ぶは跳ねるわで、後方のお席のみなさまに迷惑がかかったのでは・・・と今さらながら思い返します。ごめんなさい。

ただ、本当に救われたLIVEでした。
もう渋谷病欠の悔しさ、未練は払拭しています。ご心配くださったみなさま、ありがとうございます。
もう大丈夫です!

さて。
この日は仕事関連で2名、初ジュリーLIVEとなる男性(偉い人と若い人)を誘っていたのですが・・・若手の方が「Dの呪い」に倒れました。

「Dの呪い」(ひいきゃん様命名)というのは今、巷を席捲している流行り風邪で、喉の痛みと発熱、頭痛が症状の特徴でございます。
でもまぁ、その若手はさほどの症状だったのか、と。
だってこの風邪、ジュリーLIVEへの期待の大きさと症状の重さが比例する、と言われていますからね
(←と、自らの大失態を正当化してみた)

で、困ったことに連絡が入ったのが開演30分前だったんですよ~。
偉い人の方は(普段からそう決めているらしいですが)、会場全体が見渡せる位置で観たい、ということで別に2階席のチケットをとっていたんです。
若手の席は、僕の隣り・・・9列目!

僕ねぇ、”ギリ1桁席の鬼”って勝手に名乗ってるんですけど、9列目のお席を頂くのが3度目なんです。
本神席こそ未経験ですが、結構それより前の1桁席も多くて、他のみなさまより席運はいいみたい・・・申し訳ないです。
ってこんな事書いてたら来年はお仕置き席だらけになりそうだ・・・。

この日の9列目は、下山さんサイドのブロックですが通路沿いで、ほぼセンター。
そんなジュリーから丸見えのトコを空席にはでき~ん!

とりあえずもう時間が無いので、外でチケットさばくのはあきらめて入場し、入り口付近を闊歩することに。
もしも顔見知りの方が見つかりその方が後ろの方のお席だったら、欠席の若手に代わって僕のお隣に座って頂こうという作戦です。

しかしそんな時に限ってどなたにも逢えないのね。
本千葉駅前では、何人もの方にお声をかけて頂いたというのに~。

途方に暮れておりますと、顔見知りではないお姉さまが「瀬戸口さんですか~?」と。
それがこの日初対面となった、ちこ様でいらっしゃいました。
すぐにチケットの件をご相談しますと、ちこ様お持ちのチケットは壁とお友達~なお席でしたようで、めでたくお隣に来て頂けることになりました。

「わたしうるさいですよ~」
「いえいえ、思う存分どうぞ~」

という会話だけでも、開演前の気持ちが盛り上がるというもの。
やっぱり初参加の若造がポケ~ッとしているのを気にしながら観るよりはね・・・。
周囲が盛り上がっていれば、自分も盛り上がれる。ジュリーのLIVEだけではないでしょうが、そういう感覚ってありますよね!

と話が決まってから、何人かの先輩方にお会いしました(爆)。
最近お気に入りのじゅり風呂さん”なみだがこぼれちゃう”のshamrock様にもお会いできました~。

最高の気分で、開演を迎えます!

1曲目「ROCK' N' ROLL MARCH」


Rocknrollmarch_2

何処でしたっけ・・・ジュリーが
「演奏が始まるまで拍手してくれてありがとう」
って言った会場は?
もう、ファンの方々は全員そのことを知っているようで・・・鉄人バンドの入場からイントロ、そしてジュリーの登場まで切れ目のない大拍手で盛大な幕開け。
すぐさま立ち上がるDYNAMITE。
後ろや2階席の様子は見なかったけど・・・どうだったのかなぁ。少なくとも9列目の僕から見える範囲のお客さんは総立ちです!

千葉文化会館、音響イイ!
バンドの音が心地良い会場ですね。
その分、ヴォーカルの音量が若干絞られている感じですか。前方席の僕はまったく問題ありませんでしたが、ひょっとしたら客席の位置によってはジュリーの声が遠かったかも。
でも、ロックバンドのコンサートって、だいたいこういうバランスなんですよ。


下山さん、元気だ元気だとは聞いておりましたが本当にノッケから飛ばしてます。
これまでジュリーのバックで下山さんは、どちらかというと「静」のイメージだったわけですが・・・どうやら今ツアーで何かが変わったようですね。

初めて僕のお隣になるお方の第一の試練。
いきなりのこの曲。
至近距離での「ヘイ、ヘイ、ヘイ!」全力DYNAMITEシャウトでございますが・・・いやぁ、ちこ様も同じように叫ぶのね。
心強い!頼もしい!


2曲目「BAMBINO EXCUSE

Pleasure_2

何ということでしょう。
ジュリーの歌詞、ほぼ完璧だったんじゃあない?
まるでこちらがしっかり歌詞を覚えているかどうか試されているような感じで、スパ~ン!と叩きつけてくるヴォーカル。凄いぞ~。

下山さんこれまであんなに激しくピョンピョン飛んでましたっけ、この曲。プレプレの時からジャンプはしてたけど・・・。
で、柴山さんが嬉しそうに同じタイミングで飛ぶのね~。

3拍子のリズムチェンジ部でお客さんの手拍子がグダグダになるのは、もうご愛嬌ってことで。


3曲目「緑色のKiss Kiss Kiss

Pleasure

巷で話題の「ラヴ!アンド・ピース!ノー・ニュークス!」は、間奏の「タイキ~!」の前振り部と、エンディング部の2回でした。
去年のツアー後半、この曲の歌詞がだんだん怪しくなっていったジュリーですが、今ツアーではこれまで僕が観た限り、一番楽々と言葉が発せられているステージだったと思います。


「千葉の空から♪」はさすがに無く、普通に「横浜の空から~♪」と歌っていましたね。
もうしジュリーが普通に電車で会場に来てたら(そんなわけないけど)、最寄り駅を確認して「本千葉の空から~♪」とかやってくれたかもしれないけど・・・。
あと僕は、ちょっとひねって「房総の空から♪」ってのが来るんじゃないか、とか考えてたんですけどね~。

~MC~

「やってまいりました。千葉文化会館!このようなところにおいでくださり・・・ありがとうございます」
の、「ありがとうございます」はまず正面に一礼ののち、下手・上手・再び正面・の順に、顔をプルプルさせる老人ヴァージョンで!
良かった・・・。
これが出る時のジュリーはごきげん、というイメージが僕にはあるのです。

最後はいきなり
「ちば!」
と言ってからしばらく無言でずずっ、と前にせり出してきて
「ありがとう、ありがとう、千葉~!」


4曲目「ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

ありゃ?柴山さんの手数が減ってる・・・かな?
リフのメロディーは泰輝さんのオルガンで。
考えてみますとこのナンバーって、オリジナル音源はキーボードレス。ギター3人にベース、ドラムっていう構成なんですよね。だから弦楽器軍団の横揺れがカッコイイわけで。

そこで柴山さん・・・ははぁ~ん、揺れる方を選びましたね~。
それでも忙しいことには変わりなく、下山さんに比べるとアクションが大変そうです。

僕は条件反射的に下山さんと鏡になって横揺れやるんですけどね。今から思うと、この辺りでちょっとジュリーにチラチラ見られていたような・・・。気もせいかもしれませんが。


5曲目「ダーリング」

Konndohakareina

この日のお席はとても満足。ステージの誰も死角にならないんです。
僕は3列目、4列目、7列目、8列目、9列目(この千葉で3回目!)と1桁席の経験がありますが(2列目?無いよ。もう平気だもん!)、ステージ全員よく見えた、ってのは初めてのことだったのです。

で、この曲では途中から柴山さんを観てたんです。
Bメロの「これから言うことを~♪」のトコのピッキングが凄くて。「海に向けて」の高速ヴァージョンって言って通じますかね・・・。
それにね~。リフ部、Aメロ、Bメロ、サビと、部分部分によって全く弾き方が違うんですよ!
この曲、これまで意外にカズラーのみなさまに語られていないような気がしますよ!次回は是非。

・・・でも、会場のほとんどのお客さんは、ジュリーのジャケットプレイに釘づけでしょうね。


6曲目「君をのせて

Acollection

隣りでちこさまがウットリしてるのがビシビシ伝わってくるんですけど・・・。

後ろから僕の様子を見てたら、可笑しかったと思います。
下山さんブロック、客席全員首を右に向けてジュリーに見とれる中、ただ一人、やや左を向いて下山さんガン見の男。

とにかく!
「ああ~ああ君をのせて♪」
のトコのF→F#dimのフォームチェンジがさりげなくカッコ良すぎる、下山さん!

でね。
結構間近で観ましたから断言できるんですけど。
「知ったときには~♪」
のトコは、Dadd9→B♭(6弦オミットのローポジション)→C→E7と細かくコードチェンジさせています。
1拍1拍ごとに、振り下ろすように、うなずくように大きなストロークで長髪が揺れていました。

下山さんばかり観て一緒にフォームを左手で作っていましたが、ジュリーの声は、しっかり聴いていましたから。
素晴らしいヴォーカルでした。全然苦しそうじゃなかった。
演奏は無論、オリジナル・キーのままでしたよ!


7曲目「I'M IN BLUE

Gsiloveyou

この曲は、74年生まれ様にご指摘頂いたサビ前のメロディーをチェック!
1番は、ご指摘通りメロを変えていましたね。佐野さんヴァージョンとも違う、きれいな下降メロディーでした。
2番はオリジナル音源と同じでしたが、会場によってヴァリエーションが異なるのかもしれません。

コーラスは基本的に泰輝さんとGRACE姉さんのハミング。しか~し!途中から柴山さんが大音量で噛んできます。オールウェイズ時代の血が騒ぐ?


8曲目「”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

今回レポの目玉曲!
いよいよ妄想のお時間がやってまいりました。

まず、ご縁あってお隣にいらっしゃった、ちこ様。これまでこの曲でジュリーの「セクシー・イヴ!」指差し攻撃を2度も賜ったという幸せなお方であることは、お会いする以前より知っていました。
「へぇ~。”おまえにチェック・イン”にそんなサービスがあったのか~」と、僕はそのお話を伺うまで全然そんな事には気がついてなくて。

というのも僕はこの曲、ドームからそうだったんですけど手拍子はせずにひたすら足踏み&エアギターなのね。
サビ以外は、『快傑ジュリーの冒険』収録の、エキゾティクスがやってるようなアクションのノリで観たいんです。
だから、ほぼ無心になっちゃってるワケで。

え、サビですか?そんなん、「ほみたい、うん!」に決まっとるやないですか!

この日も途中まではそんな調子で。
ところが、2番直前でジュリーが下手に歩いてきた瞬間
「あ、もうすぐセクシーイヴがあるんだ!」
と気がついた。
お~っと、、ちこ様、ま~たジュリーの目の前にいらっしゃるのでは?
って、ちこ様3度目の至福を期待したわけですよ、この時は。
でも。

「お・ぼ・えた、ば~かり♪」

あれ?
何だ?
目が合っちゃって・・・る?

おまえの名前、セクシー・イヴ!

俺ですか~!!!

俺はセクシーですか?
それ以前にイヴですか?

ハートにズキュ~ン!とはまさにこのこと。

後でちこ様に
「来た、と思ったのに!何で瀬戸口さんなの~!」
と言われましたが・・・僕はとにかく、あまりの事に動転していて。
「驚いた、ビックリした」
としか言えませんでした。

この時のジュリーの心の動きを推察してみましょう。

・2番歌い出しで、いつもとは逆方向に動いてしまった。
(ちこ様曰く、セクシーイヴのサービスはこれまでずっと上手の方でやってたんだそうです)
・まぁええわ、と今日のターゲットを探す。
・視線の先のお姉さまに標準・・・。

「ん?あの娘はこの前もおったな。
確かその時に指差した。さすがにそうそう贔屓するわけにはいかん・・・あぁっ時間が無い!
しゃ~ない、隣りのエアギター男、食らえ~!!」

今僕は倖せです・・・。

まぁ、気のせい・・・かもしれないのですが。
僕の真後ろの、10列19番のお姉さまがどのようにお感じになられたのか、ご意見を伺いたいところですけど・・・ちこ様は、僕に来たと思ってくださったようです。

先程も書いた通り、その瞬間は動転しました。
僕は普段、ジュリーと目を合わせたい、とかそういう事はまったく考えていない奴なので、不意打ちを食らったような感じで・・・。

じわじわと興奮してきたのは、LIVEを終えてからだったんですよ。
帰りの電車内、就寝前・・・その時のジュリーの表情を完璧に覚えているんです。それが、何度も何度も脳内に甦ってくるのです。
実は未だにポ~ッとしているくらい。
何なんでしょうね・・・男なのに。今までにない感覚です。
まぁ、変な方に気持ちが行ったりはしてませんが、妄想系のみなさまのお気持ちが解った、と申しますかいやはや・・・。

ともかく、もう一度言わせてください。
今僕は倖せです!
「ほみたい、うん!」にも力が入ろうというものですよ!

あ、ラストの「tu、tu、tu・・・」、ジュリーはコーラスパートとは別のメロディーを即興で歌っていました。
これは、バックコーラスが良く聴こえていたからこそ、そうしたのだと思います。
今ツアーではこの曲、下山さんが元気にコーラス参加していますからね!

9曲目「明日」


Ikitetarasiawase_4

2階席でジュリーLIVE初参加の同年代の男性・・・実はかなり偉い人なんですけどね。
これまで数限りないほどに様々なアーティストのLIVEを体験し、少々のことでは驚かない彼がこの日ド肝を抜かれた最初のシーン・・・それがこの「明日」。
おいっちに体操ですわ。
ジュリーは始めると同時に会場のお客さんのほとんどが参加するでしょ?
「な、何が始まったんだ?」
と、びっくりしたらしくて。

で、その後「世紀の片恋」「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」「ポラロイドGirl」と進んでようやく、なにやらそういう決まり事があるらしい、と理解したようですが、さすがに参加できなかったって。


10曲目「我が窮状」

Rocknrollmarch

ジュリー、いい声でした。ハードスケジュールの週で少しかすれているのが逆に良かった。
かすれていると言っても、声が出ていないという感じではなく、歌いこんだ声。ビートルズのファースト「ベイビー・イッツ・ユー」等で、ジョンが出してるような声なんですよ。

「老いたるは無力を~♪」のトコ、泰輝さんのトリルっぽい16分音符のアルペジオ(!)が炸裂してました。
これは昨年のプレプレ含め、初めて聴くフレーズでしたね。今ツアーも後半になり、お馴染みの”進化するタイキ・アレンジ”、健在です。

エンディングのピアノ・ソロ部ではもうメンバーのコーラス・パートは無く、柴山さんも下山さんもただ立ちつくすのみでしたが・・・ふとGRACE姉さんに目をやると、タオルで一生懸命お鼻を拭いてます。ごしごしごしごし・・・と、ハムスターのような動きで・・・。
ちょっと萌えました~。


11曲目~鉄人バンドによるインスト~

どこかのお風呂で拝見しましたが、これ、泰輝さんの作曲作品とか。
なかなか語られることは少ないですが、鉄人バンドは全員素晴らしい作曲家ですし、中でも泰輝さんの曲はヴァリエーションに富んでいますね。

この曲を聴くのはもう3回目・・・しかし未だにイントロのフェイクに引っかかります。
おそらく最初のフレーズが2拍分シンコペしているか、或いは変則的なアクセントのフレーズになっているか、どちらかだと思うんだけど、柴山さんが手拍子を煽るタイミングに一瞬「あれっ?」となって、リズムに乗るまで数秒かかってしまうんですよねぇ・・・。
僕だけかな?


12曲目「涙色の空


Namidairo_4

インストでは前方の席のお客さんが半分くらい座ってしまいましたが、ジュリーの登場で再び総立ち。
後半1曲目がバラードという事もあって、他会場ではこの曲も座ったままの方が多かった、と聞くこともありますけど。

柴山さんの噛みこみ方がいつの間にか
「ちゅくぎゅ~ん!」
ではなく
「ぎゅ~~ん、ぎゅ~~~ん」
に変わっていますねぇ。
渋谷初日では本当に(他メンバー含めて)CDと全く同じ演奏でした。1人1音というオリジナル音源の楽曲だからこそ、僕はその点とても感動しました。「I Believe~♪」直前でフレットを「きゅっ」と言わせたりするのも、そのまんま再現していましたからね。
でもこうやって徐々に変化していくのも良いものです。

CD、そして渋谷初日だと、この曲のラストでは泰輝さんが「ぽろり~ん♪」とやって締めるんだけど、その部分も変わってきていて、柴山さんのサスティンが最後まで残っているパターンになっています。
そこで気がついた!
お隣のちこ様は、バラードナンバーの演奏をしっかり最後の1音が途切れるまで聴き終えてから拍手を送るんです。「君をのせて」もそうだったので、「あっ!」とここで気がついたというわけ。
僕を含め多くのみなさまは、まだ音が続いている時点で拍手に雪崩れ込むんだけど・・・やっぱりバラードの場合は静かに最後の1音まで聴き入っていた方が、ステージのジュリーや鉄人バンドのみなさまもやり易いかもしれない、と思ったりしました。


13曲目「エメラルド・アイズ

Namidairo_3

どのようにノレば良いのか・・・今ツアー、ファンの課題のひとつとなっておりますこの曲。千葉では、強引な手拍子は無し。自然にリズムに身を委ねるようにしてみなさま聴いていらっしゃいました。
それで良いのかもしれませんね。2番のAメロに手拍子が残ると違和感があったりしますから。

ラストの「ヴェッ、ヴェッ、ヴェッ(←すみませんこんな表現しか思いつかなくて)」は今回は無く、エンディング演奏の最初の8小節では目を薄く開けて遠くを睨むように、そして次の8小節に突入したとたん、くわっ!と目を見開くジュリー。
詞の内容とリンクした、深い意味がありそうな仕草です。

ちこ様はこのナンバーが大好きなのだそうです。
僕は、ちこ様とは曲の感想が似通うことが多いんです。おそらくジュリー堕ち以前の下地・・・聴いていた洋楽が近いので、楽曲に対して同じエッセンスを感じ取るのかもしれません。

ちこ様からは終演後、「エメラルド・アイズ」LIVEでのヴォーカル・エフェクトについて尋ねられました。
この曲で使われているのは、ディレイです。
ディレイは基本、「タイム」「ディプス」「リピート」という3つのイコライザーの組み合わせによって、楽曲に応じた表現を設定します。
「タイム」とは残響音にかかる時間の長さ。「ディプス」は深さ(お風呂度)。「リピート」は残響音を繰り返す回数のことです。
「エメラルド・アイズ」では、「タイム」を強め(残響音が返ってくるまでにかかる時間が遅れる)、「ディプス」を弱め、そして「リピート」を1回に設定しているものと思います。
その設定によって、もう一人のジュリーが歌っているジュリーを追いかけてくるような効果が得られるのですね。


14曲目「まほろばの地球

Namidairo_2

入場時、スタッフさんに頂いたインフォの束の中にこのような素敵なものがあったことを、翌日になって気がつきました。

File0581

今ツアー・ファイナルの翌日、泰輝さんLIVEのインフォメーションです。
で、このインフォには裏面もあって、泰輝さんのメッセージとともに、プロフィールも掲載されていました。

File0582

ちょっと小さくて分かり辛いですか・・・。
プロフィール欄に
「ビリー・ジョエルと出逢ってピアニストを志した」
という一文があったのです。

実は僕、以前執筆した「まほろばの地球」の記事で、泰輝さんのピアノにビリー・ジョエルを想起させられた、というような事を書いたんです。
泰輝さんがビリー・ジョエルをお好きかどうかなど知らず、個人的に感じたまま考察したわけですが、このプロフィールを読んで「やっぱり!」と嬉しくなりました。

僕が泰輝さんのピアノにビリー・ジョエル的なエッセンスを見出すのは、実はバラードナンバーではなく、ブルース色が強いロック・ナンバーなのです。
「まほろばの地球」しかり。
「緑色のKiss Kiss Kiss」の間奏もそうです。
きっと泰輝さんは、「ルート・ビアー・ラグ」とか「メキシカン・コネクション」をコピーして青春時代を過ごされたんじゃないかなぁ。

ジュリーの官能的なヴォーカル・アクションやハードなギターの影に隠れていますが、「まほろばの地球」のピアノはとてもイカしていますよ!


15曲目「若者よ

Namidairo

新譜の中では一番お客さんのノリが良い、この曲。
DYNAMITEはこの日、かねてより考えていた「手拍子と拳振り上げのミックス」で挑むことに。
特に最後のサビ部。演奏が頭打ちになる部分を手拍子で、楽器が噛み込んできてからは拳で、と決めて臨みました。
気持ち良かったですよ~。


16曲目「ひかり

Ikitetarasiawase_3

やっぱり自作曲だけあって、GRACE姉さんのドラムスは気持ちが入っていると思います。
ハードな演奏ながら、急いでも台無し、間が大切なナンバー。
「ドラムスはバンドの土台」と言われますが、それだけに今ツアーの演奏面、僕はこの「ひかり」をセットリスト中一番の完成度かと考えています。

「ひかりある場所」・・・それが正にステージ上のジュリーの周りの空間であるような。
GRACE姉さんの詞に込められているのは、八方塞がりで光明が見出せないでいる心の閉塞感の中、ようやく探し当てた希望の道筋。

それがジュリーのオーラである、というのはやはり自然な解釈のような気がしています。

shamrock様も書いていらっしゃいましたが、この曲が好きなお客さんは、演奏に委ねてゆっくりと身体を動かしています。
もちろん僕もその一人です。


17曲目「太陽」


Ikitetarasiawase_2

アルバム『生きてたらシアワセ』を聴いて大好きになった「太陽」。
ちょっとLIVEで聴くのは無理かな、と漠然と考えてしまっていたので、今ツアーで採り上げられたのは本当に嬉しかったのですが。
生で歌っているジュリーをここまで3回観てきて、果たして僕の楽曲解釈は合っているのかな・・・とそんなふうに感じ始めてきています。

今までの僕はこの曲を、「自分は太陽のようになるんだ!」というジュリーの強さ、決意と捉えていました。
でも。

ステージで「太陽」を歌うジュリーは、とても悲しそうなんだ・・・。
どんな情景や人物がジュリーの頭をよぎっているのでしょう。やっぱり、ジュリー自身の作詞だから、ジュリーにとって大切なメッセージが込められているに違いないのでしょうが、こんなに切ない表情で歌う、その意味とは・・・。

僕の初めて観るジュリーがいるんですよねぇ。
「悲しそう」と言っても、例えばプレプレツアーでの「いくつかの場面」とは全然表情が違うんです。

ジュリーの気持ちの中に、過去の出来事ではなく、現在進行形の「何か」が深く根ざしている・・・僕が間近で観て受けたイメージは、そんな感じです。

この日の柴山さんは、丁寧に弾くことよりもイク方を優先してましたね(笑)。渋谷初日&大阪と比較して、ずいぶんステージ前方ギリギリまでせり出していました。
あと、箱さんが書いていましたが、泰輝さんのキーボードは両刀で、ピアノ以外にキラキラした高音を駆使しています。

僕の手持ちのキーボードだと、「ベル」(鐘ですね)系のパッチに近い音がありますね。「鉄琴」だともうちょっと余韻音が少なく音幅が細いはずですが、音色は似ています。エフェクターをかけているのかもしれません。

18曲目「世紀の片恋」

Kitarubeki_2

大阪でお話したところ、いわみ先輩はステージ上のジュリーにミック・ジャガーを思い起こすことが多いそうです。
同感!と思うのは、この曲。身体のくねらせ方とかね~。
楽曲からしてストーンズっぽい、と僕は思ってます。

まずはイントロからAメロへと続く、カウベルですね。
ビートルズのカウベル導入曲はどちらかと言うとマニアックなナンバーが多いけど、ストーンズは「誰もが知る有名曲」でそれをやってる・・・カウベルはストーンズの代名詞のひとつなのではないかと。


あとはスライドギターね。スライドギターと言えばストーンズの大名盤「ベガーズ・バンケット」だもの。
そういえばジュリーばっかり観てて、下山さんの霊力チェック忘れてた~!
気がついたら、極太ボトルは指を離れてました。

そしてもうひとつ、マニアックなストーンズ的要素とは。
「ハッピ~、ハッピ~♪」と繰り返す箇所のドラムスです!
8分音符の刻みをフロアタム(向かって一番左にある、ドコドコと低い音の出るでっかい太鼓)でやるのよ~!
これは、ストーンズヴァージョンの「マネー」そっくりなんです。

僕がこの「世紀の片恋」で一番我を忘れてノル部分です。みなさまも是非!

19曲目「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

Samosutatto

今ツアー参加は3回目だけど・・・毎回思うんです。「世紀の片恋」の長尺のエンディングでず~っと”おいっちに体操”を続けた後、間髪入れずに「マンジャーレ!」のイントロ。そこでもジュリーは手抜きなく拳を上下させて、次曲「愛まで待てない」で走り回るわけですから、確実にお客さんの10倍くらいは体力使うはず。
62歳ですよ。普通ありえないですって!

そう、この曲の間奏で僕がエアギターに切り替えるのは・・・腕が疲れて”おいっちに体操”を1回休みにしてるんです。あぁ面目ない。

さてその間奏ですが。
気がついた人いらっしゃるかなぁ。柴山さんの後を受けてソロに入った下山さんの最初のワンフレーズ、ヴォリュームコントロールを上げ損ねてたんです。単音がほとんど聴こえない状況。
そこまでなら、まぁよくある話。
驚いたのは、瞬時に泰輝さんがキーボードでリードギターのフレーズを弾いてフォローしたんですよ!
ほんの一瞬でした。
何と言うチームワークでしょうか、鉄人バンド。もはや余人は入っていけませんね。


20曲目「愛まで待てない」

Aimadematenai

走り回るジュリー。
間奏で柴山さんと下山さんがずずいとせり出してきて密着プレイを始めたタイミングでドラムセットのトコまで引き返し、二人の背後でペットボトルを口に含みます。
戻ってきて豪快に水しぶき!
水しぶきはエンディングでも連発。最前列にふりかかってるように見えるのですが、先輩方のお話によりますと、ジュリーはいつもお客さんにかからないギリギリのラインでやってるんだそうですね。


そうそう、ちこ様は「ダーリン・ユー!」を賜ったそうです。
だから僕の「セクシー・イヴ!」も許してくださるんですって~。


21曲目「遠い夜明け」

Kitarubeki

この曲はまだコードを起こしてなくて。
ちょっと変わった感じだなぁ、と日頃考えていましたので、お松なお席で下山さんガン見です。
あぁ、これはポール・マッカートニーがあの”イエスタディ”で世に広めたコード進行のヴァリエーションなんですね!

ト長調(キーがG)でF#m→B7→Emと移行する、悲しいような甘酸っぱいような進行です。
調は違うけど、これをアップテンポでやったのがアルバム『LOVE~愛とは不幸を怖れないこと』収録の「TWO」(こちらはハ長調)だったりします。

下山さんはこの進行を1番と2番で表現を変え、”ズン・チャチャチャ”というアルペジオと、振り下ろすストロークを合い混ぜながらの渾身プレイ。
なるほど、こりゃプリンストのお姉さま方(増えてきてます)が堕ちるのも道理ですわ~。

この曲ではほとんどの人がジュリーの表情に酔いしれるでしょうし、もちろん僕もそうなのですが、下山さんのアコースティック・ギターや、ピアノ、ストリングス、バンドネオンの3音色を瞬時に使い分ける泰輝さんの演奏なども、大きな見所と言えるのではないでしょうか。


~MC~

「みなさん、お疲れでしょう。やってる方はもっと疲れる」

「いつ走れなくなるかもしれない、と思って走っているけど、(逆に)じっとしてると歌えないんじゃないか、なんて(笑)。私がこうして走っているのは、別に入場料の中に含まれているわけじゃないんですよ。私が自主的にそうしているだけのことでございます(笑)」

「50の時に60までやる、と言うのと、60になってから70までやる、と言うのでは全然違う。昔は88までやるとか言ってた時もあったけど、60過ぎて、どんどん身体がおかしくなってくる。目もほとんど見えなくなって、耳もどんどん聞こえなくなって、聞こえてくるのは悪口ばかり。何か食べる時とか、もっとよく(食べるものを)見たいねん(笑)」

「62歳でね・・・あと3年で、年金が貰えるんですよ・・・。そういう年だってことですよ。何か助けがいるんじゃないか、そういう年齢なんじゃないか、と国が考えるような、そんな年なんです。早い人だともっと早く貰えるんだけど、一定以上の収入があると貰えないんですよ。
65になっても、ある一定以上の収入があると貰えないんです。一体いつになったらその”ある一定以上の収入”以下の収入になるのか(笑)・・・たぶん一生無いんじゃないかと(拍手)」

「私らにとって一番困るのは、物忘れが激しくなる、ということです(笑)。まぁそれは今に始まったことではありませんが・・・(笑)。そのうちまったく思い出せなくなる時がくる・・・そうなったらね、その時はフォークの人達みたいに譜面台を立ててやれば良いかなと。
でも立てたら動けないですからね。こっちに(と左に走る真似)動いて、ちょっと不安やな、と思ったらすぐ(真ん中に)戻ってこなきゃいかん。
ですから譜面台は頭の上に吊るす(笑)。歌詞を全部そこに書いて、こっち向いたらココ!こっち向いたらココ!と自分の目の前に(譜面台が)来るようにね(笑)」

「健康食品なんて、効き目には個人差がある、ってちゃんと書いてある。アレは、これは効きませんって書いてるようなもん。ビタミンCなんてね、いくら取ったって大半は身体の外へ出ていくんですよ。それが、今まで吸収されなかったビタミンCが、これだと吸収されます、なんて言われてもね・・・。それって、今までにない、体験したことのないことが身体に起こる、ってことでしょ?いきなりそんな状態になって、イヤやわ~。そんなん体験したくないですよ」

「山の水が何故おいしいのか。それは、適度に不純物が入ってるからでしょう!良いものばかりじゃなくて、悪いものも少しは必要なんですよ。毒は必要なんです!」

「とにかく健康管理というのはね、他人に言われてやるんじゃなくて、自分でしっかり考えてやってきかないといけませんよ。私が70になった時にみなさまはおいくつになられるのかわかりませんが、お互い健康でその時を迎えられることを願いまして、甚だ簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございます」

そしていつもの順にメンバー紹介。
「それではオマケです~!」


22曲目「ポラロイドGirl」


Karehanemurenai

この曲で再確認。下山さん、元気過ぎる!
館林、多摩、浜松、千葉・・・ この週はそれでなくともハードスケジュールなのに、下山さんは白崎映美さんのLIVE出演もあって水曜日から5連チャンだったのです。疲れていないはずはないけど・・・とにかく2番直前のアクションが観るたびに激しくなっていってます。
演奏する歓び・・・でしょうか。


しかし、ジュリーはさらに凄い!
サビのジャンプは、2回+2回+6回の計10回。
何で覚えてるかって?そりゃ、一緒に飛んだもの。
いつもは後ろのお客さんに気を遣って軽くその場飛びなんだけど、ごめんなさい、千葉はちょっと箍が外れてしまいました。
思いっきり飛んでたら、少しずつ前方に移動しちゃってたみたいで(通路にはみだしてた、ということでもあります)、9回目のジャンプで段差につんのめって10回目を飛べず・・・無念です。


23曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」

Royal3

この日は鉄人バンドの「ハッ、ハッ、ハッ!」のタイミング、何をやっているのかに注目してみました。
拳振り上げに参加可能なのにサボってるメンバーはおるまいな、と。

GRACE姉さんはやはり、それドコではなさそうですね。
「ハッ、ハッ、ハッ!」と同じリズムで両手スネアの猛打です。


泰輝さんはキーボードの音色を残したまま。
これは手を離すと音が消える類のパッチですからずっと鍵盤を押さえていなければなりませんね。


柴山さんはずずいと前にせり出してきまして、嬉しそうにジュリーと一緒に「ハッ、ハッ、ハッ!」と拳振り上げてます。
エキゾの魂、不滅です。

下山さんは・・・あれ?
ベースの変わりに低音ストロークしてるのかと思ってたけど・・・そこまで激しく演奏参加してない・・・。
泰輝さんのキーボードが残ってるし、左手ミュートで右手開けることはできそう・・・。
これはひょっとして・・・サボリでは?
恥ずかしいんでしょうかね。

と言うか、今後の残りの会場でいきなり拳参加!ということも充分考えられますよ。
プリンストのみなさま、要チェックです!


24曲目「いとしの惑星」

Iikazeyofuke

今回からGRACE姉さんの「だん・だん・だだだ!」(フロアタムとスネアの両打ちかな?)を手拍子参加したんだけど、周囲で結構やってる人が多くてちょっとびっくり。

エンディング、ジュリーはまず左手花道へ迷いなく進出。一瞬「おっとっと」と足元を気にするシーンもありました。
その後右手はフェイント1回入れてましたね。

さて、柴山さんはずいっと前方に進出しても、戻る時にはササ~ッと、という術を完全に取得しているのに対し、下山さんは「せり出す→引っ込む」というのがまだ慣れないようですよ。
今ツアーは「ポラロイドGirl」でジャンイング・バックステップを開発するなど、徐々に技は増えていますけどね。

柴山さんと下山さんのツインリードで終わるこの曲。
最後の1音をガ~ン!と弾いて、柴山さんは本当に自然にステージ後方に歩いていきますが、下山さんは
「あっ、沢田さんは何処?俺がジャマにならないように・・・うあ足元が!」
とさりげなく逡巡しているのが見てとれました。

演奏を終え、再びメンバー紹介。
ジュリーは四方に手を振って、時計チェックのゼスチャーで退場していきました。

☆    ☆    ☆

席を立つ頃から「セクシー・イヴ」のジュリー指差し映像を脳裏で繰り返している自分にビックリ・・・。
これが1週間経ったいまだに続いているという驚異。ジュリーおそるべし・・・瞬時に効かず後からジワジワって・・・何だか強力な薬みたいです。

ちこ様が隣でハッチャけてくださいましたので、僕も何も心配せず心を開放することができました。
渋谷欠席のリベンジを果たすにふさわしいお席、会場、そしてステージングだったと思います。とても満足しています。

同行した男性には色々と説明をしなくてはなりませんでした。何故ベースがいないのか、何故MCが長いのか、などなど。
ただ
「何曲やった?ずいぶんやったよね?」
と聞くので
「インスト入れて24曲だよ」
と言うと「そりゃ凄い!」と。
当然ですがすかさず
「おととしのドームじゃ、60曲だぜ(註:80曲です滝汗)」
と。
「えぇぇ~!」
と驚いてましたね。彼は業界人ですが、意外と『ジュリー祭り』の内容って知られていないですねぇ。
僕としては、どうしても誇らしげに話をしてしまいます。それこそ「僕には自慢のジュリーがいる」ってことになってしまうのです。

彼は「ステージで鳴っている音と、客層が合ってない」と正直に言いました。それがどれほど凄いことかを僕は2年かけて学んできていますが、一言で説明するのは難しい。
「ジュリーファンは、自分ではそう思っていなくても知らず知らずに耳が肥えているんだよ。そしてほんのここ数年で、多くのファンがその自覚を持ち始めた」
僕はそんなふうに彼に言いました。これは本音でもあるし、作戦でもある・・・とにかく彼は”沢田研二”というアーティストに新しいイメージと興味を持ったようです。

今回もたくさんのみなさまにお声をかけて頂きました。
何人かの先輩に渋谷のことをなぐさめられたり、身体の心配をして頂いたのには驚きました。変わらず読んでくださっているのですね・・・。どうもありがとうございます。
そうそう、本千葉駅前でakichanご夫妻とも再会しましたが、福岡遠征でお会いしたという先輩からの伝言がとても嬉しかった・・・。

新たにご挨拶させて頂いたちこ様、shamrock様・・・ジュリー人脈の拡大は止まるところを知りません。
色んな意味で、ジュリーの70歳超えはジュリーファンにとってもそれぞれの人生の大舞台になっているような気がいたします。

今回はレポの執筆にずいぶん時間がかかってしまいました。いつの間にか、ジュリワン北海道シリーズも始まっちゃってるし。
お待ち頂き、そしてこの大長文におつき合い頂き、ありがとうございます。

携帯からだと、ま~た24分割とかになってるのでしょうか・・・。

20101107

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2010年11月 7日 (日)

とり急ぎご報告~

本当に多くのみなさまから、
「DYNAMITEは、今日はちゃんと行けたんかいな?」
というメール等頂いております。
うぅ・・・ありがとうございます。

無事、千葉に行ってまいりました~!!
素晴らしいステージ・・・そして、渋谷欠席を完全に取り戻す大事件も~!
思わずハンドルネームを"DYNAMITE"から"SEXY EVE"に変更してしまおうかと考えてしまったほどのその件については、これから書くレポで。
8曲目注目!

歌詞完璧!
MCでは新ネタも。

次回更新まで、しばしお待ちを~。

201011071

意外と遠かった・・・本千葉。

201011072

なりた旅館さんから入った道をまっすぐ!
・・・こんなに分かり易い会場だったのに、帰り道は人の流れについていったらモノレールの駅に着いてしまい、しばらく迷いました・・・。

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2010年11月 5日 (金)

沢田研二 「君が嫁いだ景色」

from『sur←』、1995

Sur


1. sur←
2. 緑色の部屋
3. ZA ZA ZA
4. 恋がしたいな
5. 時計/夏がいく
6. さよならを待たせて
7. あんじょうやりや
8. 君が嫁いだ景色
9. 泥棒
10. 銀の骨

-----------------------------------

今週末の千葉へ向けて、とにかく睡眠とりまくり体制で備えておりますDYNAMITEです。
もう二度と、あんな失態はごめんですからね。自分を責めることほど不幸な時間はありません。

今回の『秋の大運動会~涙色の空』セットリストからは、あと1、2曲は記事に書いておきたいと考えていますが、先日の病欠のおかげで、最後にステージを観たのは9月の大阪グランキューブという状況。
ジュリーは今週、館林→多摩→浜松→千葉と精力的に各地を廻るスケジュールの最中ではありますが、改めて今ツアー・セットリストを見つめ直すのは、来る11月7日、千葉を無事に参加し終えてからにしようと思います。

そこで今日は、記事執筆に備えてコツコツと楽曲構成を吟味してきていたナンバーをお題に採り上げます。
アルバム『sur←』から「君が嫁いだ景色」、伝授です!

みなさま覚えておいででしょうか。
7月にこのアルバムのタイトルチューンである「sur←」の記事を執筆した際、多くの方々からコメントを頂けた中、nekomodoki様やキミちゃん様が、アルバム『sur←』収録曲のジュリー自身による作詞ナンバー「君が嫁いだ景色」について、ジュリーが誰に向けて思いをこめた歌なのか、という命題を僕に与えてくださいました。

その時僕は、ジュリーが鑑賞した映画か何かのワンシーンに喚起されて風景構築したのではないか、などとお返事してしまったのですが、直後に日頃より拙ブログを読んでくださっているあるJ先輩からのメールにて、その先輩の解釈を聞かせて頂きました。
先輩曰く、「あくまで個人的な考え」とのことでしたが、僕はその解釈に強く惹かれ、いつか記事でご紹介したい、と思っていたのです。
今日は、その点に基づいて記事を書かせて頂きます。曲の解釈というのは人それぞれですが、僕はこんなふうに聴くようになりましたよ、という事で・・・。

僕は半年ほど前から、記事執筆にあたって可能な限りお題曲のコードを起こし、自分で一度弾き語ってみることによって、それまで気がついていなかった曲の個性や特徴、音域などを吟味する、という作業を課しています。
すぐに「君が嫁いだ景色」の採譜作業を始めたのですが・・・いやぁ手こずりました。
聴くと採譜するのとではエライ違い。
普通にドミナントに向かって流れていくパターンのように聴こえていた部分でディミニッシュ・コードが挿し込まれていたり、見逃していた細かい進行が多かったのです。
すごく優しく親しみやすいメロディーなのですが、相当凝っていて・・・。正にギターの求道者が細部まで気を遣って練り上げた楽曲、そんな作曲過程を少なからず体感することができました。

そう、「君は嫁いだ景色」の作曲者は、あの井上堯之さんなのです。

アルバム『sur←』のリリースは1995年。
ジュリーが堯之さんの作曲作品をレコーディングしたのは、「I am I(俺は俺)」以来ということになるのでしょうか。
10年をゆうに超えるコンビ復活・・・それだけで、この曲には”特別な何か”が込められているのではないか、と考えてしまいます。

さて、「君が嫁いだ景色」は、花嫁を送り出す父親の心情を描いた作品には違いないですから、1995年にジュリーの周囲で”娘さんが結婚した人”を思い挙げていけば、その先輩の導き出した答えがみなさまにも容易にお分かりになるかもしれません。
ちょうどこのアルバム『sur←』レコーディングの直前・・・1995年7月7日に、内田裕也さんの娘さんである也哉子さんが結婚式を挙げているのですね。

ジュリーにとって、詞を書いてまで自分の楽曲に思いを込めて祝福したい人物と考えますと、裕也さんほどピッタリくる人はいません。
先輩の解釈とは、内田也哉子さんの結婚式に向けた楽曲だった、というものなのです。
そして僕はそのお考えを聞いた時、「そうに違いない」と思いました。
ジュリーと裕也さんの関係を少しは知った今となっては・・・そう考えてこの曲を聴くのがとてもしっくりくるのです。
だってこれ・・・とてつもなく優しい詞じゃないですか!
ジュリーがこんなに無邪気なまでに優しい詞を贈りたい気持ちになった、その相手が裕也さんだという推測は、まったく違和感がありません。

以下は、ジュリーが他でもない堯之さんの曲に載せ、娘さんを送り出す裕也さんの気持ちになり代わって作詞したものと想像しての記述になります。

解釈が正しいかどうかはわかりません。でも、先輩の考えに感銘し、そう考えることでそれまでにない愛しさがこみあげてきた「君が嫁いだ景色」というナンバーを、僕はそんなふうにして語りたいのです。
堯之さんの、本当に丁寧でこまやかな作曲の素晴らしさも合わせて・・・。

♪ 君が嫁       いだ   景色を忘れない
  E♭ Edim    F  D7   Gm     C7     Fsus4  F

  いつもふた   り で   愛を育てていけ ah
     E♭   Edim  F  D7   Gm    C7      F  Faug

  幸  せ願ってる   護   ってる ♪
  B♭ F   D7    Gm  E♭ F    B♭

このサビ部をはじめとして、「君が嫁いだ景色」はジュリーの作詞の才能がいかんなく発揮された楽曲と言えます。ジュリーナンバー全体を通しても、屈指の詞作ではないでしょうか。
シンプルながら、普遍的な心情を描いた名編だと思います。

「護る」という、のちのちジュリー詞作のキーワードとなるフレーズがここで既に使われていますね。
また、これは「遠い夏」などにも通じるところですが、ジュリーは夏の風景を涼しげに描くことにかけては相当秀でています。
このナンバーの場合、何処にも「夏」というフレーズは登場しないのに、涼しげな夏の空気と情景がまず浮かび上がってくるのです。
「雨上がりの陽」は夏を思わせますが、とても涼しそう。直後の、厳かに進む「嫁入りの行列」というフレーズが効いているのだと考えます。

そんな風景描写の中、ジュリーは裕也さんになり代わって、つぶやくようにこう歌います。

♪ 型通り挨     拶     シャン!としな きゃ ♪
    B♭ F  B♭ F7 B♭ E♭      Edim  Dm  Fdim

あの裕也さんが「型通り」の挨拶・・・ジュリーはそれを想像し詞にしたただけで少し涙ながらにも可笑しく、クスッとしてしまう感覚があったかもしれませんね。
ちなみにこの部分の最後の箇所、Fdimで2拍分の採譜になっていますが、ギター1本で弾き語る場合は「Fdim→G7」と1拍ずつ意訳して鳴らしてあげると、美しいメロディーにマッチしてグッと雰囲気が出ます。原曲アレンジでの、オルガンパートの役割を強調する、という意味合いの進行になるのです。
ギターを嗜むみなさまは、試してみてくださいね。


そして

♪ 僕  はキュン!となる   性質だからゴメンネ ♪
     E♭F       Dm       Gm  Cm        F7       B♭

この表現がまた限りなく優しい。ジュリーらしい。
「性質」は「たち」と読ませていますね。不器用な男心・親心にピッタリの表現です。
ジュリーから見た裕也さん像が浮かび上がる・・・そして何よりも頼れる弟分(というのも何か変な言い方ですが)として、ジュリーだからこそ表現できる、嬉しさ、切なさ、照れくささが合い混ざった花嫁の父・裕也さんの心情をストレートに捉えた詞なのだ、と思わず頷いてしまうところです。 

そして強烈にジュリーの優しさ、愛情を感じるのが、ラストの

♪ 僕な ら大丈夫    気   楽だよ ♪
  B♭   F  D7  Gm   E♭  F    B♭

男が男に「気楽な奴」と烙印を押すのは、固い友情・信頼、そして尊敬の証。ジュリーがこのナンバーで裕也さんをそういう風に表現したのだと考えれば、聴いていてとても心温まるものがあります。
男は、どんな友人に好かれ慕われているのか、というのが一番の甲斐性ですからね。

全体の構成で言いますと、1番と2番の間のたった2小節の間奏が渋い!
2番直後の間奏が普通にメロディー部と同進行であるのに対し、この短い小節数でいきなり転調していきなる元に戻ってくる(D♭→E♭→B♭と進行します)という・・・。
この部分につては、堯之さんではなく編曲を担当した大村憲司さんのアイデアだった可能性もあります。
この曲での大村さんのアレンジも秀逸で、同じ鍵盤楽器のピアノとオルガンのバランスがまずカッコイイですし、特筆したいのは2種類のリードギターの配置です。
イントロと2番直後の間奏は、ボトルネックのアコースティック・ギター。先述した1番と2番の間の短い間奏と、エンディングは泣きのエレキギター。
2色の味わいが一度に楽しめる楽曲に仕上げられているのです。

このように「君が嫁いだ景色」は、堯之さんの作った素晴らしいメロディーと丁寧な和音構成に、ジュリーが限りなく優しい、愛情のこもった詞を載せ、さらに大村さんの的確なアレンジアイデアを得た珠玉の名曲、と僕は捉えていますがいかがでしょうか・・・。

しかし、毎度のことながら最も素晴らしいのはジュリーのヴォーカルです。
まず、音域が広い!これは同じ堯之さんの作曲作品である「美しい予感」に良く似た振り幅で、ここでもジュリーは楽々と歌っているように聴こえてしまいます。
そして、何よりもこのジュリーの表現力です。単純にメリハリ、という言葉を使うのが悔しいほどに、表情豊かな歌唱。
しっとりとしたタッチ、時に昂ぶる幸福、そして感情の開放・・・いかに頑固で硬派なロンクンローラーだろうと、こんなふうに自分の気持ちを代弁して歌われたら、憚りなく号泣してしまうんじゃないだろうか・・・。

ディミニッシュ・コードを多用した、アコースティック・ギター弾き語りにピッタリのこのナンバー。
ジュリーの曲を人前で歌うなど畏れ多いほどにヴォーカルがダメダメな僕ですが、いつか友人の娘さんの結婚式などで歌ってみたい・・・「君が嫁いだ景色」は、そんなふうにすら思わせてくれる、本当に優しい曲、人に幸せを与えたくなる曲です。

それにしましても。
またまた”ある一瞬を機に劇的に印象が一変する”というジュリーナンバーに出逢ってしまいました。
これほどの名曲であることを気づかせてくださった先輩に、ひたすら感謝です!

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