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2010年8月

2010年8月29日 (日)

8.28 吉田Q 「ASAHI SUPER DRY THE LIVE」 on 千葉ポートパーク特設ステージ

暑かった~!熱かった~!

観てきましたよ。
あの吉田Qさまが、1万人の前で
「俺のバックには、沢田研二さんのファンがついてるんじゃ!」
と宣言した灼熱のステージを。

気温は35度くらいあったのでしょうか。
Qさまの出番の時間帯が一番暑かったんじゃあない?


お昼には顔馴染みさん、初対面さんの各方面ジュリー系シンジケート有志が合流しまして、入場。
その時点でもう全員汗ダクダクでございます。

大勢のお客さんが思い思いの場所にシートを広げた光景の中、歩を進めるごとにステージの演奏音が近づいてきます。あぁ、これがフェスだよなぁ、という独特の雰囲気。
ふと見上げると、特設ステージ入口付近に大スクリーンがあり、現在進行中の映像が大写しになってます。39×69さんです。Qさまの出番は次の次。


39×69さんの演奏をスクリーンで観終わった後、飲み物を買ってゾロゾロとステージエリアに入場。
色分けされたリストバンドに従って場内を進むと、ちょうどセカンドステージの上手に到達しました。sissyさんのロゴ入りタオルを持ったお客さんが目立ちます。さすがはQさまを抑えての1位通過バンドです。

最前列で場所とりをなさっていたsissyさんのファンの方々が、「次ですか?どうぞ」とポジョションを譲ってくださり、何と我々、最前列~!!
鉄人バンドスタイルのジュリーソロLIVEで言うと、ちょうど柴山さんの真ん前、といった位置どりですね。

プロと一般公募枠のバンドはステージが分けられていて、Qさま達投票通過の4バンドは、メインステージ横のセカンドステージでの演奏になります。
これは、メインとセカンドの出演バンドを交互に配置することによって、セッティングの時間を短縮するという狙いのようで、なるほどなぁ、と思いました。
つまり、次のHOME MADE 家族さんの演奏がメインステージで始まると同時に、セカンドステージではQさまのセッティングが並行して行われるのです。

で。
いましたいました~!
この気候では明らかに常軌を逸した黒スーツのふてぶてしい御姿。生Qさまが、今まさにアコギのセッティングを開始した模様です!
ステージと客席(いや、椅子なんてものはありませんけどね)との距離、約10メートル。
ステージは小高い位置にあって、柵で仕切られた客席とステージの間はかなりの急斜面になっています。
30分後、この急斜面をエイミー嬢が駆け下りるというサプライズがあるんですけどね~。

後でご挨拶させて頂いた時にわかったのですが、Qさまの身長は僕よりちょっと低いくらいなんです。ところが、セッティングの段階から、ステージ上のQさまはすごく大きく見えたんですよ。
スラリとしていて、腰が入ってると言いますか。

隣りで組長や亜紀ちんさまがいきなり
「Qちゃ~~ん!」

と叫びますと、生Qさまが「おっ?」と手を止めてこちらを見やり・・・ニッコリと笑って深々と礼!
なんちゅう礼儀正しい青年でしょうか。

ギター弾き語りスタイルでエントリーしたQさまですが、セッティングは中央にQさまのアコギ、下手にベース、奥やや上手にドラムス、そして上手のスタンドマイクにタンバリン。
フェスだからと言ってヨソ行きではなく、いつもの仲間といつものバンドスタイルで行くんだね、Qさま。

HOME MADE 家族さんの演奏が終わりました。
場内に「雨とサンシャイン」をバックにしたQさまのインタビューが流れます。

そして遂に・・・。
場内1万人の耳にアナウンスが届いたでしょうか。
つんざくような
ネクスト、ヨシダキュー!!


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1. 「女は女でつらいのよ」

「ゆきずりの男女のみなさん、こんにちは~!!」
のシャウトから始まった1曲目が、このナンバー。

「おもって、さんど♪」
のトコで、センターのお客さんが揃って拳を上げるのを見て慌てふためくシンジケート。
「むっ西の掟か?遅れをとるな!」

と、まず組長が率先してついていきます。

さて。
日頃Qさまブログをチェックなさっているみなさま、覚えていらっしゃいます?
いつかQさまがコメント欄で
「ジュリーファンが喜ぶことをやる!」
と宣言していたこと。

いきなり来ました。

この曲の間奏で、かぶっていた帽子をポ~ン!と上手に投げたんです。
いや、カッコ良かったですよ。予想もしないことを予想もしていないタイミングでやる!というのはとてもカッコ良いのです!
後でお姉さま方に
「なんで客席に投げてくれないの~」
とツッコまれて、Qさま曰く
「客席に投げたら、戻ってこないんじゃないかと心配で」
・・・衣裳を大切にするQさまなのでした。

そして、大サビ前のブリッジ部だったでしょうか。
コーラスのエイミー嬢が、小さなタンバリンを持ってステージから急斜面を駆け下りてまいりました
~!
ちょ・・・。
なんか、一目散に我々ジュリーチーム目がけて走ってくるんですけど!
柵越しに
「はい」
と箱主さまにタンバリンを手渡したその瞬間、Qさまが
「あいら~!」
のシャウト。うわ~。

これ、「オ~ライ!」の変形に聴こえるってのが上手いです。

とにかくQさまの声はバックの大音量に全く負けず、一語一語が鮮明に聞き取れます。音程もまったくフラットしません。プロを含めて、野外でこれだけの声を発揮できる人はそう多くはないでしょう。
Qさまは、間違いなく本物です。
それを確信づけるような1曲目「女は女でつらいのよ」。
選曲は大正解だったのではないでしょうか。

で、エイミー嬢から受け取ったタンバリン・・・一瞬僕の手元に来たのですが、最終的には組長が奪い取って頭上で叩きまくってました。
・・・その瞬間をカメラさんが下からナメたとか。
たぶん全国に流れます、組長狂乱のシーン。

~MC~


「何見てんだ!見せモンじゃねぇんだよ!」
「いつでもいいぜ、ドラムス!俺にビートをくれよ!いつでもいいぜ~!」

おぉ~。
これが生Qさまか~!
怖いもの知らず。しかも、本気なのか冗談なのかわからない。
Sだね。

と思ったら
「すみません次の曲行きます」

って・・・Mなの?

2. 「
雨とサンシャイン

う~、バンドスタイルでのこの曲をやるなら、ベースを近くで観たかったなぁ。
CD音源だと、エンディングの演奏部でカッコいいフレーズがバンバン出てくるんですよ、この曲。

途中で、何処だったかなぁ。Qさまが「しゅわ、しゅわ」ってシャウトしたの、元ネタはモー娘。だっけ・・・思い出せません。

で。
実は本番前に組長が
「いくつか曲の振付を決めよう!」
と言い出しまして、「雨とサンシャイン」「さよならラブ」「涙の京都駅」の3曲が考案されました。
「俺、やるんかそれ・・・」
とビビりましたが、実はシンジケートで最も発言力があるのは組長なのです。逆らえません。

結局この日のセットリストで実現したのは「雨とサンシャイン」だけだったのですが、ホッとしたような残念なような。

振付は
「Dmaj7→C#m7→Bm7」のキメの箇所が、「と~、き~、お♪」と同じ。
サビ部「雨とサンシャイ~ン♪」は両手を横に揺らした後、「きっとあるある~♪」でウサギ拝み。

おじさんは恥ずかしかったよ・・・。
でも、エイミー嬢がノッて合わせてくれていました。ありがとう、ありがとう。この日のステージで、彼女が音以外でも果たした役割ってすごく大きかったんじゃないかなぁ。

ちなみに終演後Qさまとお話させて頂いた折、勢い余って「雨のサンシャイン」と口すべらせた瞬間、
「雨サンシャインです!」
とQさまに訂正されてしまいました。ごめんなさい、しゅん・・・。

エンディングの最後の最後に
「ジュリ~!ジュリ~!ありがと~!」
と。泣けるわ・・・。

~MC~

チューニングをしながら
「なかなかフェスでこういう光景は見ないでしょ」
と。
組長の「抱いて~!」は、聞こえなかったのか、それどこじゃなかったのか、スルー。

その後、ひとしきり一般のお客さんを挑発しておいて
「吉田Qはまだまだやるんじゃコラ!」
お~、Sですね。
と思ったら
「いや、やるんじゃコラという言い方はあまり良くない・・・」
って!

「とにかく、あんまり吉田Qをナメんなよ。まず、俺は沢田研二さんと何らかの関係がある人!それは覚えとくように。言っとくけど俺のバックには、沢田研二さんのファンがついてるから!」

挙句、自分の携帯メールのアドレスを叫び
「だいたい夜中の3時くらいまでは起きてますので、メール頂けたら何らかの対処はできると思います」
大丈夫Qさま?・・・TV放送がノーカットでも・・・。

3. 恋のひとこと

「じゃ、最後の曲です」
に、一斉ブーイングのシンジケート。
たった3曲って~!「まだまだやる」んじゃなかったの~?

でもこの曲が、素晴らしかったのよ~!
Qさまのヴォーカルが気持ち良過ぎて、エンディングのリフレインがいつまでも続いて欲しいと思いました。
以前Qさまがブログで「4文字の単語を下さい!」って言ってたのは、この曲だったんですね。
ASAHIさんのサイトでさわりだけ聴けた「アイラブユ~が言えなくて~♪」っていう、あの歌です。まずサビがド~ン!と来て、Aメロからは早口になって・・・それがまたイイ!ちょっと黒っぽいミディアムテンポ・ナンバーなのです。

Qさん、贔屓目無しに、最高に歌が上手いです。言葉とメロディーが、同時にズシンと来る感じ。詞、曲どちらにも偏っていません。
正にこれが、Qさまの言う「歌」なのですね・・・。

あとね、ドラマーの西村さんが、なんだか演奏しながら爆笑してるんですよ。
何か面白いネタでもあったのかなぁ、と思っていたら。
後でジュー高さん達に聞くところによれば、西村さんは「叩きながら大笑いするドラマー」というキャラなんだそうです。ひえ~。

演奏後は大拍手の中、
「あざした~!」
と、何処までも普段通りのQさまだったようです。

エイミー嬢が再び柵の手前まで駆け下りてきてくれました。
タンバリンをお返しして、ジュリー組全員とハイタッチ。サンキュ~、ありがとうね、エイミー!全然インランじゃあないよ~!

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終演後はわざわざQさまが時間を作ってくださり、ご挨拶することができました。
何故Qさまがそんなことをしてくださったかというと。

「投票してくれたジュリーファンのみなさんに、本当に感謝しています。是非それをお伝えください」

ということだったのです。
僕以外の他のジュリーファン組の応援団のみなさま、ひとりひとりにその思いを託していらっしゃいました。
ステージ上、或いはブログから感じられるQさまのキャラとはまったく正反対の、礼儀正しく、気遣いに溢れていて、それでいて天然かつ話し出すと面白過ぎるQさまにお会いできたことは、一生の想い出となりました。
Qさま、もう二度とこんなに簡単には言葉をかけられないくらい、ビッグになって欲しい・・・。僕等はみな、そう思ったのです。

その後・・・Qさまは写真撮影に応じてくださったのですが。
日頃、「一体どのへんがダイナマイトなの?」とツッコまれまくっている僕は、うまいことQさまにノセられて、大変なことをやらかしてしまいました・・・。
おかげで初対面の亜紀ちんさまは、すんなり僕のことをダイナマイト認識なさったようです。
一方、今まで「どこがダイナマイトや」とナメていたお姉さま方がササ~ッと後ずさりした、というこの一件につきましては、Qさまが激しく後悔していらっしゃらないかとても不安です・・・。
Qさまはじめ各方面の反応をうかがいましたら、いずれ改めて。

「涙がこぼれちゃう」のオリジナリキーはニ長調(=D)とか、どういう風に作曲していったか(普段は曲先だそうですが、この曲はサビの歌詞が最初にポ~ンと出てきたそうですよ)、な~んて貴重なお話も、二人っきりの時にしてくださいました。
あとね。
「どんなオジサンかと思ってたら、本当に浪人生みたいっすね~」
だそうです、りんださま。

最後に。
Qさまは今、新たなお仕事に取り組んでいらっしゃって、次回LIVEの予定もままならない状況のようですが、もしも東京でLIVEをすることがあったら、集客はお任せください、とジュリーファン一同で見栄を切ってきてしまいました。
拙ブログでは、これからも吉田Qというアーティストを追いかけ続けますので、どうぞよろしくお願い申しあげます。

とにかく昨日は、メチャクチャにカッコ良かったよ、Qさま。
ステージ上の黒スーツのQさまも、終演後の汗まみれの髪でシャツ姿のQさまも、両方カッコ良かったです~。

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2010年8月27日 (金)

沢田研二 「月の刃」

from『パノラマ』、1991

 

Panorama

1. 失われた楽園
2. 涙が満月を曇らせる
3. SPLEEN~六月の風にゆれて
4. 2人はランデブー
5. BACK DOORから
6. 夜明け前のセレナーデ
7. STOIC HEAVY~盗まれた記憶
8. テキーラ・サンセット
9. 君の憂鬱さえも愛してる
10. 月の刃
11. Don't be afraid to LOVE

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ぐすん・・・。
世間では、ニュー・マキシ・シングル『涙色の空』が澤會さんの先行発送で届いているそうじゃないですか~!
僕がネット上であちらこちら拝見した範囲だと、到着情報が一番早かったのはazurお姉さんのお家でした。都心・地方関係なく、全国一斉先行リリース。
澤會さん、やりますね!

それぞれの曲について、みなさまのちょっとした感想を拝読するだけでもどんどん期待が高まります。
特に評判が良いのは「まほろばの地球」。
タイトル判明直後に何かと話題になった「若者よ」は

助さん格さん、私が直接言います!

って曲なんですって~?
くぅ~。
聴きたい。説教されたい(自分、若者のつもりか?)

でも、密林さん予約組の僕は、もうしばらくお預けです。
それにしても澤會さん、早いですね~。一般販売とさほどタイムラグは無い、と予想していたのですが・・・。

拙ブログで只今執筆中の、”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ・『秋の大運動会~涙色の空』篇ですが、どうやらマキシ・シングル全曲の先行解説はスケジュール的に厳しそうです。
でも、新しいCDの収録曲記事はネタバレには当たらないと思いますので、ツアーが始まったらまずそれらのナンバーについて書きたいと考えているところです。
もちろん、記事中で他のセットリスト楽曲には絶対に触れないようにしますし、新曲がどんな曲順で歌われたかについても書かないようにします。
ただ、LIVEを体感して、演奏の見所などには言及したいと思っておりますので、その点だけ何卒ご了解くださいませ~。

さて、セットリスト予想です。
下山さん復活ということもあり、僕が最も好きな鉄人バンドの演奏スタイルである

エレキ=柴山さん アコギ=下山さん

のアンサンブルが聴けそうなナンバーを1曲書きたい、と考えておりましたところ、ちょうどぴょんた様よりキリ番ニアピン・リクエストを頂きました。
不思議なタイミングでアコギが噛むアレンジだなぁ、と以前から思っていた楽曲。
またこのナンバーについては、以前執筆した「BACK DOORから」の記事のコメントにて、morie様からも「いつか書いてください」とのお言葉を賜っておりました。
今日のセットリスト予想は、この肉感的なバラード大名曲のリクエストにお応えしたいと思います。

アルバム『PANORAMA』から。
「月の刃」、伝授!

この曲の記事を書くにあたってまず考えたのは、作詞・作曲のPANTAさんについて何処まで書いたものか・・・ということです。

後追いの僕にとっては、PANTAさんのようなロックパーソン(しかも、かなりラジカルな)がジュリーに楽曲提供していたという事実だけで、驚愕なんですよ・・・。
しかもどうやら「裏ジュリー」とまで言われるほど、PANTAさんはジュリーとの関係が深いようです。
全然知らなかったなぁ。

結局、PANTAさんについてはいずれ”ジュリーをとりまくプロフェッショナル”のカテゴリーで、主に頭脳警察というバンドの楽曲を中心に別途記事を書かせて頂くことにしました。
僕が大学に入って様々な音楽仲間と知り合っていく中、あちらこちらで「伝説」と言われていたのが頭脳警察のファーストアルバムです。
「日本語とロックは相性が悪い」という風潮が当たり前のように音楽業界に蔓延していた時代、逆手をとって、日本語独自の強力な語感でもって、過激なロックを構築したPANTAさん。
とりあえず今回は、ジュリーとPANTAさんの関係を初めて僕に教えてくれた、1冊の資料を紹介させて頂くに留めます。

この本は、お持ちの先輩方も多いと思うのですが・・・。

Tukinoyaiba1

「深夜放送ファン」(ヒヨッコの身ではまったく知らない雑誌です)、別冊の「沢田研二のすばらしい世界」という本です。
先輩からの預かり物で、タイガース、PYGの代表曲に加え、ジュリー作詞作曲自選集のスコアが掲載されているという、僕にとっては超・ヨダレなお宝でございます。
「15の時」の譜面なんて、この世に存在したんですね。

あ、表紙に「付録・大型ポスター」と書いてありますが、さすがに僕の手元の状態ですとそれらしきモノは既に影も形もございません・・・。

で、この本の巻頭に「沢田研二論」なるコーナーがあり、ジュリーと縁の深い人達がコメントを寄せているのです。
ZUZU、ムッシュかまやつ・・・矢沢永吉さんや吉田拓郎さんも。
その中に、PANTAさんもいらっしゃるんですよ~!

Tukinoyaiba2
Tukinoyaiba3

「極」のイメージで活動し、突出した詩人として評価されていたPANTAさんらしいコメントなのです。

そんなPANTAさんが書いた「月の刃」は、官能的なメロディーに載せて、明らかに”格が違う”極上の詞が展開する大名曲です。
まさに詩人。
フレーズ選択、語感の構成が傑出しています。

まずこの詞は、エロいのです。
しかしそれは恍惚のエロではありません。ギリギリと歯ぎしりするような、尖った官能。突き刺すように、吐き出すように畳みかけるフレーズ。
暴力の衝動すら伝わってくる歌詞だと思います。

細かい部分部分のフレーズも、凡人たる僕には一生かかってもひねり出せない、スケールの違い、天賦の才を感じるのです。

「指先にこぼれる未来を眺めているだけ」
とか
「幾千年の年月 それはただの瞬きひとつ」

壮大と言いますか圧巻と言いますか。
天才というのは、時間と宇宙にまで触感が及ぶものなんでしょうかねぇ・・・。

 

それでは気を取り直して(便利な言葉だ、これ)、楽曲の考察に移ります。
「月の刃」には、実に不思議なアレンジが施されている箇所があって、そこで忽然と登場するのがアコギなのです。
おそらく吉田建さんのアイデアでしょう。

2番の歌メロ

♪ 眠りつづけた記憶が ♪
    C              Em7(onB)

の冒頭から、それまで鳴っていたベース、ドラムスがササ~ッと後方に退き、突然登場するアコースティック・ギターが耳を襲います。
そう、「襲う」という表現がピタリだと僕は思うのです。
いわゆる、”泣き”のアコギでは全然なくて。
美しいメロディーの波にもがくかのように、ガシャンガシャンと主張します。何かに縛られている身体を振り乱している・・・そんなシュールな弾き方に聴こえませんか?

Aメロの繰り返し部に辿り着くと、リズム隊が普通に舞い戻ってくるのですが・・・あれ?何処行った~?
そうなんです、アコギはかき消えてしまっています。
何という斬新なアレンジ。建さん、冴えまくり!

一方、エレキギターは左サイドと中央、計2トラック演奏されています。
中央がリードギターで、間奏では敢えてサスティンを極力抑えた細い音で(設定はもちろんのこと、さらに徹底してギターの根元の方で弾いていると思います)、「刃」の刺す感じを表現しています。

凄いのは左サイドのギターです。
イントロから、まるで生き物のように動き回ります。Aメロに入っても、引き続きず~っと細かく単音を弾いていますよね。
僕などは当初、曲が間奏に到達するまでは、こちらをリードギターだと思って聴いてしまったくらいです。

ピッキング・ハーモニックスという技を時折微妙に炸裂させているのが、もう渾身・入魂の演奏と言いますか。
決してその技を派手には目立たせていないんですけど、ピックを当てたコンマ数秒のうちに、親指でギター弦にそっと触れているんですね。
そうすると
「カキ~ン♪」
というような音になるんですよ。
まさに「月の刃」です。

で、ですよ。
これがLIVEだと、どういうギターの配置になるのか。

2本のエレキギターは柴山さんが立ち代り演奏するのではないでしょうか。実際、JAZZ MASTERの時はそうだったのでしょうから。
リクエストをくださったぴょんた様は、生で観ていらっしゃったのでしょうか。とすれば、さぞかし柴山さん入魂の表情に酔われたことでしょう。

そして、下山さんはアコギを弾くと思うんです。
さすがに、CD通りに2番Aメロ一瞬参加で後はお休み、というワケには行きませんから、楽曲全体を通じてストロークを弾いてくれるのでは。
ベースレスをカバーする役目もありますからね。
今の鉄人バンドが「月の刃」を演奏したら、「届かない花々」ばりのギター・アンサンブルが聴けそうですよ~。

このように。
「月の刃」は、詞曲もアレンジも、演奏も素晴らしい。
しかしながら、他の多くの楽曲例にもれず、一番の魅力はやはりジュリーのヴォーカル!ということになってしまうのが凄いワケで。

アルバム『PANORAMA』でのジュリーのヴォーカルは、良い意味で余裕もありつつ、匂い立つような色気を感じます。40代の、選ばれし男が放つ色気です。
「月の刃」では、ジュリーの真骨頂である”吐息”が炸裂する箇所がありまして

♪ ほら、この手 離さない       で ♪
        F                  C C(onB) Am7

の「で♪」。
ここに注目なさっている方は多いと思います。

しかし僕はこの吐息以上に、1番の同進行部である

♪ 遠い夢のよう          な ♪
       F         C C(onB) Am7

の「な~♪」にヤラれてしまうのですよ~。
男らしい艶があって、喉の震動が伝わってきそうな肉感的なヴォーカル。脳に突き刺さってくるような感覚に加え、「歌」を聴いているにも関わらず、視覚に訴えてくるような迫力すら感じるのです。
「こぼれる♪」の「る♪」の部分も、そう。
それがLIVEでは一体どのような歌唱になるのか、一度体験してみたいです・・・。

僕は以前から自選のオムニバスCDをよく作るのですが、ジュリー堕ち以降その作業に拍車がかかりました。
で、ジュリーCD編集の場合、歌詞の中のワンフレーズを採り上げ、そのフレーズが登場する楽曲を集めて作成することが多いです。
一番ベタなのは「あなた」とか。「涙」とかね。
最近作成した「雨」セレクト集CDは、我が選曲ながら聴き応えがありましたね~。

そんな何枚かの自選編集CDの中で、昨年の夏、たまたま「月の刃」を大トリに配置したものを作って、よく聴いていた時期がありました。
そのせいでしょうか、『PANORAMA』を聴いていて「月の刃」が流れると、頭の中にLIVEのジュリーの映像が浮かんできて、しかもそれは、セットリストの大トリで「月の刃」を歌うシーンなんです。
つまり今回の記事は只の選曲予想ではなく、セットリストの最後の曲が「月の刃」であろう、という、正に”全然当たらない・・・”シリーズにふさわしい身勝手な思いの元に執筆しているワケです~。

まぁ、いきなり『秋の大運動会~涙色の空』での実現は無理にしても、いつかそんなシーンを観てみたい・・・。
「月の刃」はジュリーも気に入っているような気がしますから、可能性はあるかな、と自分に言い聞かせております。

さてさて。
ジュリー新譜のお預けを食らったのが、ちょうど良かった、と言うべきかどうなのか。
狼中年DYNAMITE、毎度のことで最早何の申し開きも致しませんが、明日はちょっと千葉方面へ出かけてきます。
もうね、あれだけ投票を煽った責務だと開き直って、有志と共に必死の形相で、
若きアーティスト・吉田Qさま応援に行ってこようと思っています。

近々にも執筆いたしますが・・・。
灼熱の千葉・ASAHI SUPER DRY THE LIVEレポートを、お暇でしたら読んでやってくださいね。


追記
千葉へお越しのみなさま。
たった今、情報が入りました。KREVAさんが急病で出演できず、タイムテーブルが変更になり、Qさま出演時間もずれてしまうかもしれません。
詳しい開演時間はまだ確認できていません。

再び追記
吉田Qさまの出番は14時半頃に変更になった模様です。
主催のASAHIさんは、開場時刻はそのままに、全体の開演時間を遅らせることで対応なさったようです。何も知らずに早めに来場してしまった方は時間を余らせてはしまいますが、お目当てのアーティストを見逃す、という事態はこれで避けられそうです。
たくさんの人波から同志の皆高さんを見分けて、「奇遇だね」って言いたいわけさ♪

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2010年8月23日 (月)

沢田研二 「愛に死す」

from『JULIEⅡ』、1971

Julie2


1. 霧笛
2. 港の日々
3. おれたちは船乗りだ
4. 男の友情
5. 美しい予感
6. 揺れるこころ
7. 純白の夜明け
8. 二人の生活
9. 愛に死す
10. 許されない愛
11. 嘆きの人生
12. 船出の朝

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お題とは関係ありませんが、まずはタイガース復活の話題から。
タローがLIVEにて色々と来年のお話をしてくださったようですね。

※ ツアーは秋にスタート、東京国際フォーラムから。

おぉ~!
国際フォーラムと言えば。
師走-ROMANTIX』でジュリーが「誰や、こんなデカいトコでやろう、言うたんは?あ、ワシや」とボケツッコミを炸裂させた大きな大きな会場ですね!
もちろんAだよね?Cってことないよね?
Aならば、かなり大きい会場ですからひとまず安心。

以下は、あくまでも伝え聞いた噂ですが・・・。

※ タローは、ピーのドラムス練習にも立ち合っている。

素晴らしい!
ピーの本気が伝わるお話。

タイガースナンバーに、ピーのドラムスは絶対必要なのです。
川口の打ち上げでYOKO君も言っていました。
「ラブ・ラヴ・ラヴ」のドラムスは凄い!と。
解散コンサートの音源を最近聴いたんですって。ドラムスの情念のプレイで、あの美しいバラードがロックに聴こえる、と大絶賛でした。

・・・それにしても今回の復活への動き、タローの果たしている役割はすごく大きいですよね。
メンバーの中では控え目でおとないいイメージのあるタローですが、それがこの場合逆に武器になっているような。
例えば・・・色々あってメンバー同士の気持ちが離れ解散したビートルズの面々が、リンゴ・スターのソロアルバムにだけは全員参加し協力した、ということがありました。

人徳のなせるところでしょう。
タイガースの中では、タローはきっとそんなスタンスの人。

そして、ピーの練習の話を聞いて改めて思います。
『秋の大運動会~涙色の空』では、ジュリーは敢えてタイガースのナンバーは封印するのではないでしょうか。メンバー揃っての稽古を自分で確かめるまでは。
だとしたら、拙ブログでは今ツアーのセットリストネタバレ禁止期間に、ここぞとばかりタイガースの楽曲記事を中心に書いていく、というのはどうかなぁ。
ちょうど、シネ・ヌーヴォさんで映画も上映されますしね。
(と言いながら予想が外れ、タイガースナンバー目白押しの選曲だったら、さすがにしばらくの間は書けませんが・・・)

☆     ☆     ☆

それでは、本題です。
”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ・『秋の大運動会~涙色の空』篇も4曲目。
「ジャスト・フィット」がそろそろ来るんじゃあない?と考えていたら、既にお二人のブロガーさんがそう書いていらっしゃいました(一人は組長)。
みなさん、期待するところは同じですね!

拙ブログ、ここまで執筆の3曲については、何らかの根拠・考察を元に、当たらないまでも一応真剣予想でやってまいりましたが。
ここらで1曲くらいは・・・。

この曲の失神度なら お姉さま方にさえ負けない

的なナンバーを書いておこうかと思いました。

つまり僕が個人的に”好きで好きでたまらない”ジュリーナンバー1番手集団・推定50曲の中から、お題を選ばせて頂こうという。

やっぱり既に執筆済の曲が多いんですけど、それでもまだまだ、書いていない曲がたくさん残っています。
でも、どう考えても今後のLIVEで聴けなそうなナンバーが大半で・・・セットリスト予想記事に組み込むにはいささか主旨が違うのではないかとも思いましたが、まぁこれは、読者のみなさまにね、万が一この曲やったら男の失神者が出るかもよ、という一種のお知らせのようなものだと考えてくださいませ。


今回はそれらの中で、リリース時期が最も古い楽曲を採り上げようと思います。
僕の最も好きなジュリー・アルバム『JULIEⅡ』から。
「愛に死す」、伝授!

僕はこれまで、何度もこの曲の記事を書こうとしてその都度挫折してきました。
ヴォーカルの素晴らしさをどう表現して良いのか解らず、「あまりに好き過ぎて言葉にできない、ってことがあるんだなぁ」と考えたりしていました。

僕は「ジュリーナンバーで一番好き」という曲は日替わりで、1曲に決めることはできないんですけど、「ジュリーのヴォーカルが一番好きな曲」と限定づければ文句なくこの「愛に死す」が第1位です。
ちなみに第2位が「ロンリー・ウルフ」。これまたお二人もの先輩にリクエストを頂いているのにまだ記事に書けていません。「愛に死す」同様、ヴォーカルの素晴らしさ(及び歌詞との関連性)を上手く文章にできなかったのです。
ただ、「ロンリー・ウルフ」についてはつい先日貴重な譜面を入手でき、新たな発見がありましたので、近々そちらのネタを中心に執筆できるものと思っています。

さて、「愛に死す」。
これはもう、ヴォーカルの解説はあきらめました。「好きだ好きだ」と連呼するしかありません。
でも、たったひとつだけ、分析の手がかりを得ました。
先日「あなたを想う以外には」の記事で、「ジュリーのヴォーカルが、曲の終わりに向かって徐々に燃えさかる」というような主旨のことを書いていて

あぁ、「愛に死す」も同じことが言えるなぁ

と、気がついたのでした。
「愛に死す」の歌詞はいたってシンプル。歌詞カードだけ先に読んでしまうと、穴埋め的な曲なのかな?と勘違いしてしまうほどです。
東海林修さんの作曲の凄まじさによって、そんな歌詞が生き生きと躍動、一部の無駄も無いドラマティックな楽曲へと仕上がっているのだと思っています。

歌詞がシンプルなため、まずは作曲構成からして変則的なのです。

♪ めぐり                    逢えば
    Am  Am7  Fmaj7   Am   Am7  Fmaj7

  けして 終わりの来ない愛 ♪
        Dm7        Bm7-5  E    E7

から始まるAメロ。
これが何と、登場するのが冒頭の1回のみ!

♪ こ の 世にいる   限    り        は ♪
    A  E  F#m    Bm Bm7  Esus4  E7

以降はサビメロになっていて、一旦間奏(ピアノソロから豪快なストリングスが噛んできます)に入ります。ここまでがいわゆる”1番”。

ところが間奏を受けて始まるのは、いきなり!サビ部の繰り返し。
しかも!
演奏は同進行なのに、メロが違う!!

で。
ここです!歌の神が降臨するのは!

♪ こ~の~命 消えるま~で~は~~~

太字の「は」の部分。
「わ~あぁぁあぁ~♪」
と歌われた瞬間、DYNAMITEは失神しそうになるのです。
何故かは説明できないのです。ごめんなさい・・・。

ところで、みなさまはそうお感じにはならないかもしれませんが、僕にとってアルバム『JULIEⅡ』は、70年代最先端のロック・ミュージックに感じられて仕方がないのです。
例えば、ファーストアルバム『JULIE』や、『JULIEⅥ~ある青春』の森田公一さん作品などは、もちろん大好きなんだけど、”ロック”と呼ぶには抵抗があったりします。
その違いについても、上手く説明できません。

きっと、アレンジのせいなんだろうなぁ、とは思います。
ファーストと比べると歴然なのですが、ベースやギター、そして特にドラムスの主張が全然違うんですよ。
タイガース在籍時にリリースされた『JULIE』をタイムリーでお聴きになった先輩方・・・確かに「君を許す」とかはかぶっていますが、タイガースに比べて全体的に演奏がおとなしいなぁ、とお感じになりませんでしたか?
それは、ピーのドラムスが聴こえているかどうか、の違いだと言っても過言ではないのです。

ピーのドラムスが情念溢れるロックバンドの音であるのと同じように、『JULIEⅡ』のドラムスも、単なるセッションプレイヤーの音ではなく、ロックバンド的なアプローチのように僕には聴こえます。
「愛に死す」のエンディングで、ジュリーのヴォーカルが終った後に、各楽器のテンションがどんどん上がっていくあたり、ドラムスが一番目立っていますね。
もちろん、そんな演奏を聴きながら歌っているからこそ、ジュリーに歌の神が舞い降りているのですが。

ところで、そのエンディング。
初めて聴いた時から、演奏・アレンジがローリング・ストーンズの「ラヴィング・カップ」という曲にソックリだなぁ、と感じていました(特にピアノとドラムス)。
単なる偶然か、それとも東海林さんにオマージュのアイデアがあったのか。
それは分かりません。

もしもオマージュだとすれば、タイムラグはほとんどなく(「ラヴィング・カップ」は72年春のリリースです)、相当鋭いアンテナだなぁ、と思います。
(後註:執筆時、『JULIEⅡ』リリース年を誤って1972年と認識してこの文章を書いていました。2曲の相関関係は無さそうです。残念なようなホッとしたような・・・。
しかし1971年ですか~。「男の友情」と「オール・シングス・マスト・パス」、「揺れるこころ」とドアーズ・・・これらもまったくの偶然かもしれません。どれだけ時代を先取りしたアルバムなんだ、と改めて考える次第です。
『JULIEⅡ』は邦楽ロックの金字塔、とすら宣言したくなってまいります・・・)

「愛に死す」・・・今後LIVEで聴くのは難しそうな楽曲ですが、以前より何人かのJ先輩方に、この曲のLIVEを生で観た、というお話を伺うにつけ、どうしようもないうらやましさが込み上げてきています。
万が一、『秋の大運動会~涙色の空』で聴くことができたら・・・。
失神は半分冗談にしても、間違いなく泣いてしまうでしょう。

そういう曲は人それぞれ違うでしょうが、ジュリーLIVEにはそれだけ多くのファンの数だけの期待が、長い年月に熟成されながら詰まっています。
ジュリーが毎年歌い続けているからこそ、味わえることですよね。

そんな思いを抱きつつ、自分にとって大切な楽曲を5、6曲胸に秘めながら、僕も初日を迎えようと思っています。
その中の1曲が、「愛に死す」ということで。

もう2週間切ってますよ~!!
ドキドキ。

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2010年8月21日 (土)

相良光紀・著 『作詞術101の秘密+(プラス)』

泰輝さんのブログにupされている写真の下山さんが、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のドクに見えて仕方ない今日この頃です。
ともあれ、遂に鉄人バンド全員集合。めでたや~。

さて、拙ブログでは現在『秋の大運動会~涙色の空』セットリスト予想の最中でございますが、今回の記事は、ジュリーのお話ではありません。
でも、僕が『ジュリー祭り』以降、このブログを執筆するようになったことと、まったく無関係な話でもありません。
不思議な縁が繋がって、このたび発売されることになった1冊の本を、恐縮ながら今日は紹介させて頂きたいと思います。

きっかけは、いわみ先輩のブログでした。
それは、DEVILSというバンドのヴォーカリストだった高橋不二人さんの復活について語られる御記事で、不勉強な僕にとっては未知の世界・・・知らなかったことが詳しく紹介されていました。

http://sekkaikou.tenkomori.tv/e173385.html

興味深く読み進めるうち、不意に文中に懐かしい名前が目に飛び込んできたのです。

相良光紀さん。
DEVILSではサイドギターと作詞を担当していた、といわみ先輩が書いてくださっていましたが、これは僕のまったく知らなかったことでした。

・・・実は相良さんと僕は数年間、僕の勤務する会社関連で一緒に仕事をしていた時期があるのです。

とは言っても、相良さんは当然ながら企画のトップ中のトップ。それに対して僕は当時まだ20代、底辺でウロウロしていた一兵卒でした。
ですから相良さんが果たして僕のことなど覚えていらっしゃるかどうか・・・それは分かりません。
その頃の僕はプライドばかり先行しているどうしようもない奴で、目上の方に対しても思いついたことはズケズケと言う、それがロックだ、などという浅はか極まりない態度で働いていましたから、まぁ覚えていらっしゃらない方がありがたいのですが(恥)。

そんな僕ですが、ご本人に伝わっていたかどうかはともかく、周囲の人とは違う目で相良さんを見ていました。
それは単純に、僕が初めて身近にした”プロのロックの先輩”という気がしていたからです。
ただ、相良さんのキャリアは当時の僕が考えていたものとはずいぶん違っていたことを、今になっていわみ先輩の御記事で知ったのでした。

最初、僕は相良さんを「LOOKの詞を書いていた方」と紹介されたのです。
昔バンドを組んでいらっしゃった、という話も後に聞きましたが、それはアマチュアとしてのキャリアなのかな、と(今さらですが)大きな勘違いをしてしまいました。
そんな訳で僕はその頃、相良さんを”作詞家”として見ていたのです。

それから数年が経ち、僕も30代に突入。
一方相良さんは、メインの企画とは別に『作詞術101の秘密』という本を執筆、発行なさいました。
本は良く売れ、僕も熟読しました。
プロの作詞家さんがどんなことを考えているのか、どんな状況で仕事をなさっているのか、それを知るだけでも面白かったのですが、とにかく濃密な内容で、いわゆる指南本というものではなく、読み物として充分楽しめる著作。
とても感動したものでした。

その直後くらいだったと思います。
これはまず相良さんは覚えていらっしゃらないでしょうが、仕事絡みの酒宴の席で、僕は相良さんと同じテーブルになったのです。
相良さんは、若造の無遠慮な態度にも嫌な顔を見せず、色々なお話をしてくださいました。
若き中島みゆきさんのステージを観て、歌の聴き方が変わったことなど、詞に関するお話はもちろん、ジャズのお話、剣道のお話・・・等々。

そんな中、「自分で自分の限界を作るな」「他人の評価とは別に、自分の好きなものを大切に」といった言葉はやはり印象に残りましたが、それは『作詞術101の秘密』という著作にも書かれていらしゃったことでした。

月日が流れ、そんな記憶も薄れてきていた2010年。

いわみ先輩のブログで相良さんのお名前を見かけ、僕はそんな名著が現在品切れ状態であることを思い出しました。
ダメ元で編集部のK嬢に、相良さんに出版依頼の連絡がとれるかどうか聞いてみたところ、半年ほど前にコンタクトがあったと言うではないですか!
僕はすぐさま『作詞術101の秘密』復刻の企画案を出し、K嬢を通じて
「DEVILS時代の思い出話などがあったら是非追加して書いてください」
とお願いしました。

相良さん、ビックリしたでしょうね。
誰がそんなことを言ってるんだろう?と。

そんな経緯で、正に来週早々にも発売となるのが、相良光紀・著『作詞術101の秘密+(プラス)』。

Sakusi101

この「+(プラス)」というのが、相良さんが今回復刻にあたって熱筆してくださった巻末の文章を表しているのです。
そこで相良さんは、DEVILSについてはもちろん、ご自身のバンドキャリアをすべて書いてくださっています。

またもや僕の知らないことだらけで・・・。
特に、布袋寅泰さんも加わっていたTHE PETSというバンドでエコー&ザ・バニーメンのオープニング・アクトを務め、演奏後の楽屋でイアン・マッカロクに「リバプールに来いよ」と誘われた、というお話には驚きました。
やっぱりそういう体験をしてきた方だったんだなぁ、あのオーラは・・・と、今さらながら納得してしまいました。

現在、CD、音楽出版の販売業界は、ともに先行きの見えない未曾有の不況と言われています。
ただ、どう考えても「音楽」そのものが消えてなくなることはないですし、それは「文章」についても同じことが言えると思います。
『作詞術101の秘密+(プラス)』には、相良さんにしか書けない文章がギッシリ詰まっています。
そして相良さんはその中でこう仰るのです。

「あなたにも、あなたにしか書けないものを書く可能性がある。その可能性を自ら限定してはいけない」

そんなことを教えてくれる、素晴らしい本なのです。
正しい日本語を使いなさい、なんていう野暮な指南は一切無し。
”感いっぱい”上等!というワケです。

興味のある方は、是非手にとってみて下さい。
http://www.amazon.co.jp/%E8%AA%AD%E3%82%81%E3%81%B0%E8%A7%A3%E3%81%8B%E3%82%8B-%E4%BD%9C%E8%A9%9E%E8%A1%93-101%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86/dp/428512761X/ref=sr_1_5?s=books&ie=UTF8&qid=1282280460&sr=1-5

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2010年8月19日 (木)

沢田研二 「あなたを想う以外には」

fromREALLY LOVE YA!!、1993

Reallyloveya

1. Come On !! Come On !!
2. 憂鬱なパルス
3. そのキスが欲しい
4. DON'T SAY IT
5. 幻の恋
6. あなたを想う以外には
7. Child
8. F. S. M
9. 勝利者
10. 夜明けに溶けても
11. AFTERMATH

----------------------------------

「いつか、バラードしか歌えなくなる日が来る」

このジュリーの言葉は、逆に言えば「なんとか行ける」という70歳、それ以降も可能な限りステージで歌い続けたいという決意とも受け取れます。
80歳になった時のステージのセットリストが、既に頭の中にある・・・ジュリーならば、そこまで考えていたとしても不思議ではありません。

ジュリーのLIVEセットリストには以前から要所に熱唱系のバラードが組み込まれ、ファンを虜にしていますし、バラードだけでも充分ステージが成立するだけの魅力はあると思います。
でもあと数年は、ガンガンにロックするジュリーが、ふと姿勢を正して満を持して歌いだすバラード、という選曲構成に酔いたいものですね。

『奇跡元年』での「約束の地」のように。
『Pleasure Pleasure』での「さよならを待たせて」のように。
『歌門来福』での「砂漠のバレリーナ」のように。

そして『秋の大運動会~涙色の空』では・・・。

”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズ3曲目は、ジュリーの数多い熱唱系のバラード名曲群の中から、お題を選ばせて頂きました。
アルバム『BEAUTIFUL WORLD』収録の「月明かりなら眩しすぎない」とどちらにするか迷ったのですが、シフォン様よりリクエストを頂いていたこともあり、こちらに決めました。また、空桜様もコメントにてこの曲を「LIVEで聴きたい大好きな曲」として挙げていらっしゃいます。

きっと多くの先輩方が支持する、人気の高いバラードなのでしょう。
アルバム『REALLY LOVE YA!!』から。
「あなたを想う以外には」、伝授!

みなさまはどうお考えか分かりませんが、僕はこの曲、近々LIVEで歌われるのでは?そうだといいなぁ・・・とそのように思っています。
その理由は。
楽器構成が、現在の鉄人バンド・スタイルにピッタリと嵌るんですよ~。

イントロはサイドギターから。CD音源ですと、左チャンネルに振られていますね。
ちょっとコンクリートの残響音っぽいエフェクトがかかっているのが
お解りかと思います。
これは80年代後半から世界的に流行したエフェクト処理で、実はLOSER時代の泉谷しげるさんのナンバーにも、このようなギターの音色を使用した楽曲がいくつかあるのです。
ですからイントロはまず、下山さんの出番でしょう。振り下ろすようにしてコード・カッティングを弾く姿が、今から目に浮かぶようです。

続いてフィルインで噛み込むドラムス。
『Pleasure Pleasure』ツアーで僕は「探偵~哀しきチェイサー」でのGRACE姉さんのドラムスにとても感動しましたが、「あなたを想う以外には」も「探偵~」と同じく、小節の中で1拍目と2拍目の裏(8分音符で言うと1つ目と4つ目)にアクセントがあるナンバーですから、これは期待大です!

フィルイン直後からは、泰輝さんの奏でるオルガン系の音色が縦横無尽に炸裂するでしょう。泰輝さんの凄いところは、ツアーを回っている間にフレーズがどんどん進化して、ファイナルでは全然違うアプローチにまで変わるのです。
う~ん、やっぱりファイナル、行きたい。抽選当たれ~!

そしてそして、リードギターですよ。
この曲が今の鉄人バンドで演奏されたら、まず間違いなく、柴山さんのイク姿が観られると思います!
何故なら、タメが命!のフレーズですから。
美しい単音の合間合間に「ブラッシング」「チョップ」という細かい技を挟みこむリードギター。
表現しにくいんですが、ところどころに”グシャッ”といった擦るような音が交ざっているのが聴きとれますでしょうか。その部分が、技を使っている箇所なのです。
もちろんLIVEとなれば、柴山さんはその瞬間「くあっ!」とか「いぃやぁっ!」とかいう表情をしてくれるはず。
これは是非とも要チェックですよ、みなさま。

・・・っと。
もうセットリストが確定したかのように、いきなりLIVE演奏の見所から語ってしまいました。

それでは、「あなたを想う以外には」楽曲考察に移ります。

作詞・朝水彼方さん。作曲・中川進さん。
編曲はもちろん吉田建さんです。

僕は朝水さん作詞のジュリーナンバーがとても好きです。心の奥にしまってある揺ぎない決意が語られるような詞が多いと思うのです。
『REALLY LOVE YA!!』収録曲では、これも朝水さん作詞の「夜明けに溶けても」が最も好きなのですが、「あなたを想う以外には」の詞もまた朝水さんらしい独特の魅力があります。

それは、冒頭の

♪ 流し続       ける~ ♪
     D  F#m7    G   Gadd9(onA)

という穏やかな描写に始まった主人公の気持ちが、曲のエンディングに向かって徐々に激しく沸騰してくかのように燃え上がるという、「曲線的な」詞だということです。
その曲線、美しいカーブを描いて見事なまでに右肩上がり。

また、ジュリーがそういう歌い方をしているんですよね。
この曲のジュリー・ヴォーカルの物語への溶け込み方は凄い。それこそジュリーナンバーで1、2を争うほどではないでしょうか。

1番よりも2番の方が激しく。
「波が寄せてくる♪」からのブリッジ部で魂を開放させて。
ダメ押しのエンディングサビ部は、それこそジュリーの情熱の波に押し流されそうになります。
朝水さんの詞を、ジュリーが極限にまで「歌」というエクスタシーの境地にまで昇華させている・・・僕はそのように思います。

例えばエンディングのサビ部では、歌詞それ自体は1番と2番の繰り返しなのに、ジュリーのヴォーカルと聴き手の距離が縮まっているように聴こえます。
「夜明けまでに月に追いつく」という歌ですからね。エンディングの時点で、ジュリーの表現しようとする歌の情景は、夜明けに限りなく近づいているのでしょう。

♪ さよなら投げ合ったのも愛で ♪
  F#m7                         G

  すべてを海に崩したら ♪
     Bm                A

この部分の歌詞を噛みしめると、物語で語られる男女は過去に危機的状況にあったのかなぁ、と僕などは想像してしまうわけで。
障壁を乗り越えた二人の物語なのだ、と受け取っていますがいかがでしょうか。

一方、作曲の中川さんについては知識がなく、今回少し調べました。
ご自身がフロントマンを務めるバンド活動をしていらっしゃるようです。
元々べーシストだったそうですが、レッド・ツェッペリンの映画に感銘を受けてギタリストに転身なさったとか。
伊藤銀次さんのステージのサポート・ギタリストとしても活躍なさっているそうですよ。

ツェッペリン・フォロワーらしく、「あなたを想う以外には」も、バラードながら重厚で骨太な仕上がりの作曲になっていると思います。

最後に、編曲そしてベースの吉田建さんの近況にも触れておきます。
結果的に本作『REALLY LOVE YA!!』のアルバムツアーからジュリーと離れてしまった建さん。
その後、ビッグネームのプロデューサーとして大成功しましたね。ジュリーがテレビに出なくなっても、建さんはしょっちゅう観た、という先輩方も多いのではないでしょうか。

そんな建さん、今でも現役、大活躍中。
え~、『月刊songs』という雑誌がありまして。どちらかと言うとアイドル系寄りの音楽情報&歌本の雑誌ですから、みなさまご存知ないでしょうけど。
その雑誌、最新の2010年9月号巻末に、堂○剛さんのライヴレポートがあり、いくつかのフォトの中、バックバンドのメンバーも紹介されていました。

もちろん、バンドマスターとしてイの一番に掲載されているのは、我らが建さんです。

Yosidaken

貫禄!
(←決して他意はありませ・・・いや少しありますすみません)
ベーシストがイの一番に紹介、というのはそれだけで何故だかとても嬉しいものです。

そうそう、バンドメンバーの中にはこんなお方も見つかりましたよ。

Tomoji

何と言ってもあの「涙がこぼれちゃう」の素敵なアレンジを担当なさった人ですから。
ジュリーと仕事をした人はブレイクする!
Qさまだけでなく、十川さんの今後にも注目しましょう。

ということで。
今となっては、”最強のベーシストが、ジュリーと一緒にツアーを回っていた”ということ自体が伝説になってしまったとも言えるのですが、僕は当然ながら、建さんがジュリーのバンドとしてベースを弾いたステージを生で観てはいません。
こと演奏面に関しては、それが後追いファンとして一番悔しいことです。

あ、LOSERでは観てますけどね~。

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2010年8月16日 (月)

PYG 「初めての涙」

『PYG/ゴールデン☆ベスト』収録
original released on single、1972

 

Pygbest

1. 花、太陽、雨(Single Version)
2. やすらぎを求めて(Single Version)
3. 自由に歩いて愛して
4. 淋しさをわかりかけた時
5. もどらない日々
6. 何もない部屋
7. 遠いふるさとへ
8. おもいでの恋
9. 初めての涙
10. お前と俺
11. 花、太陽、雨(Album Version)
12. やすらぎを求めて(Album Version)
13. ラブ・アンド・ピース・アンド・ホープ
14. 淋しさをわかりかけた時(Live Version)
15. 戻れない道(Live Version)
16. 何もない部屋(Live Version)
17. 自由に歩いて愛して(Live Version)
18. 祈る(Live Version)

----------------------------------

 

まずはお題と関係ない話題から少々。

仕事が本決算の8月、貴重な連休を僕は夏風邪で無為に過ごしてしまいました。カミさんにも申し訳なかった・・・。
そんなお盆休みの間、ココログにまったくログインできなくなった期間があり、困りました。
つい先日、たまたまアメーバ登録を行う機会があったので、いっそブログもアメブロに乗り換えてしまおうかと思っていた矢先、復旧したようです。

僕は、データのバックアップって一切やってないんですよ。
ここまで記事数が増えてくるとさすがに愛着もわいています。一気にすべてのデータが消し飛んだら、果てしなく落ち込むでしょうね・・・。
何か対策を講じるべきかもしれません。

さて、拙ブログでは前回記事から”恒例・全然当たらないセットリスト予想”シリーズに突入。機を合わせるかのように、ソロツアー『秋の大運動会~涙色の空』のチケットもやって参りました。
初めて澤會さんの抽選に当たり、初日CCレモンホールを2階席後方ながらゲット。
何を贅沢が申せましょうや。行けるだけでありがたいのでございます。

で、もう1会場、今回ちょっと遠征いたします大阪グランキューブのチケットも一緒に来たんですけどね。
最初にチケットの文字をパッと見た時、僕は座席列をこう読みました。

A1

おぉ~~~~~っっ!!
「Aの1番」ってことは何か?
遂に、と言うかこのヒヨッコに早くも来たか、本神席!

と大興奮しましてすぐさまネットでグランキューブの座席表を検索。
すると最前列から順に、こう明記されています。

「Aa」「Ab」「Ac」「Ad」・・・・・・。

な~んだ。
アルファベットの小文字かよ・・・。

いや、すみません。
お松なお席であることは解っております。ただ、一瞬最前列と勘違いしてしまったがために、このような不遜なテンションになってしまいまして。

で、ね。
しげしげとチケット見ると、こう表記されてるのね。

Al

l」って・・・。
「i」(アイ)だったら上に点があってしかるべきだし、「l」(エル)だったらもっと縦長であるべきじゃないすか?


どっちだよこれ~!!


ジュリーwithザ・ワイルドワンズで大阪グランキューブに参加なさった先輩方。
きっと、僕と同じことで迷ったお方がいらっしゃるかと思います。どうかこのヒヨッコにご伝授くださいませぬか・・・。
僕のチケットは、「i」なのか「l」なのか。
「i」なら一応ギリギリ1桁だからね~。センター通路に面した下手ブロックだから、昨年の柴山さんガン見に引き続き、今度の大阪は下山さんガン見のレポートになるかな?

はいはい、イントロはここまで。
ここまで無駄に文章を弄しているようですが、実は今回のお題はPYGなのです。
PYGこそ、後追いファンの僕等が、ジュリーのこれまでの歴史の中で最も「タイムリー聖域」を感じるバンド。

今、ちょうどタイガースの話題が盛り上がっているじゃないですか。
来年の復活が現実にあるとして、それでもジュリーはタイガースについてはソロのLIVEで試し斬りをするようなことはしないと思うのです。
ファンが期待しているのは解っているはずだけど、たぶん正規メンバーでの稽古が始まるまでは、音に触れないでいるのではないでしょうか。

”全然当たらないセットリスト予想マスター”の僕としましては、今回のソロツアー、タイガースの機運が盛り上がっている中で、ジュリーは敢えてPYGの楽曲で意表をついてきそうな気がします。

今日はそんなPYGの名曲群の中から、畏れながら僕が最も好きなナンバーをお題に採り上げたいと思います。
「初めての涙」、伝授!

まず僕は、ポリドール時代のCD大人買い期まで「PYG」というバンドの存在すら知らなかったというヒヨッコです。
いや、正確にはメンバー構成や結成背景を知らなかった、というべきですか。字面それ自体は、楽譜のインデックスで見覚えがあったし。
ですからYOKO君に
「ジュリーとショーケンが同じバンドにいた」
と聞いた時は、エライ衝撃を受けたものです。

そんなの、アリなのか!

と、ヒヨッコたる所以でしょうけど、それが後追いファンの正直な反応だったのです。

教えてくれたYOKO君にしても当然後追いなワケで、「PYG」をそのまま「ピー・ワイ・ジー」と読んでしまっていて、未だに僕等二人共に「ピッグ」と瞬時に発音できません。
今まで会場などで僕とお話した先輩方の中にも、僕がうっかり「ピー・ワイ・ジー」と言ってしまったのを「・・・?」と怪訝に聞いていらっしゃった方々がおられるかも。
(ちなみに以前「花、太陽、雨」の記事を執筆した際はまだ正解を知らず、文中「PYG」と表記した箇所すべて、僕的には「ピー・ワイ・ジー」と発音変換されているという状態でした)

ということですから、僕などがPYGの楽曲を語るのは正直10年早いのです。
(いつか、いわみ先輩の考察などを是非拝見したいものです)
しかし「初めての涙」という名曲には、明らかな洋楽のオマージュ元があることは僕にも解りますから、その辺りを中心に今日は書かせて頂こうと思います。

オマージュ元の楽曲はズバリ、ビートルズ。
2枚組の大名盤『THE BEATLES(通称・ホワイトアルバム』に収録されている、ジョージ・ハリスン作曲の「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」がそれです。
メロディーやアレンジばかりでなく、トニックを同じまま短調から長調へと転調する展開もソックリで、大野さん、これは確信犯ですね~。
もちろん、新たな解釈も加味されていて、「初めての涙」は当時の日本語ロックの最先端と言える完成度を誇る名曲に仕上がっています。

その後のPYGに大きな期待を抱かせるこの楽曲が、残念ながら彼らの最後のシングル盤となってしまった・・・『PYG/ゴールデン☆ベスト』のライナーノートにはそのように書かれています。僕も後追いながら、しみじみとしてしまいますね・・・。

ちょっとジョージ・ハリスンの話をしますと、彼にとってビートルズ時代に作曲した「サムシング」「ヒア・カムズ・ザ・サン」、そして「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」は世間のみならずジョージ自身にとっても自作の金字塔という認識があったらしく。解散後のソロで、この3曲を自らパクってます(マジです)。
「ホワイル・マイ・ギター~」は、『ジョージ・ハリスン帝国』収録の「ギターは泣いている(This Guitar Can't Keep From Crying)」、「ヒア・カムズ・ザ・サン」は『慈愛の輝き』収録の「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」、「サムシング」は、『ゴーン・トロッポ』収録の「アンノウン・ディライト」(これはタイトルこそかぶっていませんが、コード進行と間奏ギターソロがソックリ)。
「ネタ切れ」などと揶揄されたりしましたが、これら3曲それぞれが本家と肩を並べるほどの名曲なのです。興味のある方は、是非。

話を戻します。
大野さんの「ホワイル・マイ・ギター~」へのオマージュ作曲は、幾多の手法のひとつではありますが、大野さんの才能が一気に花開くきっかけとなったのは、「初めての涙」のような短調のハードな楽曲作りにあったと言えそうです。
それは、おなじみ「太陽にほえろ!」などのインストゥルメンタル・ナンバーの作曲で顕著に表れているでしょう。

そう言えば、「初めての涙」のシングルB面「お前と俺」(後註:すみません。当初「俺とお前」と表記してました恥。ちゃちゃ様、ご指摘ありがとうございました~)は演奏・アレンジが「太陽にほえろ!」挿入曲の「怒りのテーマ」とほぼ同じ。
大野さんの組み立てた構成に、堯之さんが作ったメロディーを載せたのでしょうね。ですからインストゥルメンタル「怒りのテーマ」の作曲が大野さんで、「お前と俺」の作曲が堯之さん、というクレジットに分かれているのだと思います。

さて、「初めての涙」
(←何回話を戻してる爆)
イントロからまず、堯之さんの泣きのギターが噛んでくるのが素晴らしいですね。

オマージュ元である「ホワイル・マイ・ギター~」では、リードギターを弾いているのがビートルズのメンバーではなく、ゲストのエリック・クラプトンです。
ジョージ・ハリスンはこの崇高な自作曲のギターを、親友であるクラプトンに依頼したのです。クラプトンは当初「ビートルズの音源に参加するなんて畏れ多い・・・」と渋ったそうですが、ジョージが「何が畏れ多い?僕の曲だぞ!」と強引に押し切り、結局ノンクレジットでの参加を条件に、クラプトンのあの名演が誕生したというのは有名な話です。

堯之さんのギターは、そんなクラプトンが在籍したクリームというバンド、或いはザ・フーのギターの音色を彷彿させる切なくも力強い、これまた大名演だと思います。音がすごく太いんですよね。
またそれは、アンプの振動まで伝わってきそうなサリーのベースラインと噛んでなお光ると思うのです。この曲の肝は何と言ってもGmを軸にして

ソ→ファ#→ファ→ミ

と半音ずつルートが下がっていく進行。
ここでの堯之さんとサリーの荒々しいコンビネーションは、とてつもなくハードで、それでいて品格があります。

そんな荒ぶる演奏に反して、ジュリーとショーケンのユニゾンヴォーカルが囁くようなスタイル。この対比も、「初めての涙」に不思議な魔法をかけています。
70年代中盤から末にかけての洋楽ロックで、後に「ネコ声」と評されるようなヴォーカルスタイルが流行しました。ハードな曲調のナンバーを、わざと感情を押し殺して囁くように歌い、哀愁を表現するのです。

70年代前半にはそんなスタイルの予兆を感じさせるような洋楽ナンバーがチラホラと見受けられるのですが、PYGでそのさきがけのひとつとも言える楽曲に出会うとは。
メンバーやスタッフは特に意識はしていなかったのかもしれませんが、凄いバンドだったんだなぁ、と改めて思います。

僕はやはりこのユニゾンヴォーカルにジュリーの声を求めるようにして聴いてしまいますが、それでも時折、ショーケンの存在感にドキリとする箇所があります。
ショーケンの濁点音の発音が、非常に個性的・ロック的なのです。

冒頭、「心を閉ざして♪」の「ざ」。
2番の「初めての涙♪」の「だ」。

この辺りは、良い意味で発声音量にばらつきのあるショーケンのヴォーカルが強い色を主張している箇所ではないでしょうか。

また、この曲はバックコーラスも魅力的で

♪ それは           初めての涙
            (sha、la、lala、la~) (sha、la、lala、la~) ♪ 
           G                  Bm7     Em        Bm

この部分のト長調への転調は、「ホワイル・マイ・ギター~」とそっくりな構成なのですが、印象に残るのは、ちょっと調子っぱずれなのが逆に不思議な美しさを放つ「シャ・ラ・ラ・・・♪」というバック・コーラス。

これ、おそらく元ネタはビートルズではなくキンクスです。バンドメンバーの誰が意識したものか、非常に興味があるところです。
「ウォータールー・サンセット」や「道化師の死」といったサイケデリック期に多用された”かぶりまくりのコーラス”技で、裏声で、しかもちょっとフラットさせているのが特徴。主に、美しい旋律を擁する楽曲の、高音から徐々にメロディーが下がっていく部分に採用されます。

この「初めての涙」のサビ部コーラスは、楽曲の哀愁を表現する上で大きな役割を果たしていますね。長調に転調しているのに、どこか物悲しい雰囲気を作り上げているように感じます。

最後に・・・もはや恒例、ヒヨッコが故の、乞・逆伝授です(汗)。
この曲、エンディングの演奏部で
「tu、tu、tu・・・♪」
と、クールで美しいハミングが炸裂しますよね。
とてもカッコ良く大変好きな声で、何度聴いてもゾクゾクしますが、これはジュリー・・・でしょうか?それともショーケン?
ドーム堕ち・新参者の僕には、

ジュリーなら「chu、chu、chu・・・♪」と歌うはず

という刷り込みがあったりするのですよ~。
・・・というのは言い訳で、要は聴き取りに自信が無いのですね。センスの無い僕の耳には、一瞬シローの声のように聴こえてしまったり(絶対違うって)。
先日書いた「あの日は雨」のファルセットにしてもそうですが、僕はみなさまと比べジュリーアンテナがずいぶん未開発のようで、お恥ずかしい次第です。
ジュリワンツアーの時だって、八王子までは、冒頭の鳥塚さんのナレーション部分をジュリーだと思って聞いていましたし・・・。

「初めての涙」のような名曲が、普通に「夜のヒットスタジオ」で演奏されたと知っただけで血が沸き立つような思いがするこのヒヨッコに、どうかタイムリーな先輩方の逆伝授、よろしくお願い申しあげます!

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2010年8月11日 (水)

沢田研二 「あの日は雨」

from『新しい想い出2001』、2001

 

Atarasiiomoide

 

1. 大切な普通
2. 愛だけが世界基準
3. 心の宇宙(ソラ)
4. あの日は雨
5. 「C」
6. AZAYAKANI
7. ハートの青さなら 空にさえ負けない
8. バラード491
9. Good good day

 

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お久しぶりでございます~。
いよいよ、待望のソロツアー『秋の大運動会~涙色の空』初日まで1ケ月を切りましたね。

ジュリワン川口が終った後、YOKO君にメールしました。
「俺等二人が並んでると、どうも俺はYOKOの付け人に見えるらしい(涙)」
と書いたのですが。
すかさず
「泣くこたぁねぇよ。それがドリフの大爆笑なら、俺が志村であんたがジュリーDA!」
と、心優しい激励メールが返ってきました。
・・・た、確かに!(あ、石は投げないでください)

と、3ケ月に渡るジュリワンモードにも、そんな楽屋落ちがついたところで。
拙ブログでは今回から、「恒例・全然当たらないセットリスト予想」シリーズに突入いたします。
今月はなかなか忙しく、何曲書けることやら・・・という状況。
当初はセットリスト予想にかこつけて、死ぬほど好きな曲を列挙していこうかと企んでおりましたが、死ぬほど好きなジュリーナンバーが多過ぎて収拾がつかないため

本気で当てにいってるのに全然当たらない!

という僕本来の姿に立ち返って、一応真剣予想で頑張ってみようかと思います。
よろしくお願いいたします~。

さてさて第一回のお題はもう、今ツアーの見所はこれしかないでしょう、というテーマで行きますよ。

おかえりさない下山さん!

ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアーでは無念の欠席となってしまった、鉄人バンドのスリム担当・下山淳さまが、いよいよ僕等ジュリーファンの前に完全復活の勇姿を見せてくれます!

下山さんは、8・6渋谷のジュリーwithザ・ワイルドワンズ公演に、”挨拶に”行って、”何年ぶりなんだァ~”という、客席からのジュリーのステージを堪能されたとか。
でもきっと
「やっぱり俺はステージから客席を見渡す方がいいな」
と思ったはずです。
”渋公”だから余計にね。

で、みなさま、ご覧になりましたか?
下山さんのブログにアップされた、ジュリワンLIVE本番直前の鉄人バンド3人の写真。
あんな表情、今の下山さんでなきゃ撮れないですよね。

「このヤロ、やっと帰ってきたな!」
と、悪友の復帰を出迎えるような泰輝さん。
「おかえりなさい」
と、はにかみながら兄を迎える妹のようなGRACE姉さん。
そして
「よかったな、また一緒にやろうぜ」
と、恐縮する弟の肩を叩くようなお兄ちゃん表情の柴山さん。

思いは共通。
ようやく鉄人バンドが全員揃った、この時を待っていた。そんな表情なのです。
これからもずっとこの4人で。そして、復活のソロツアーでは是非とも1曲は下山さん作曲のナンバーを・・・。
あの写真を見ると、僕にはそんな思いがこみあげてきます。
ジュリーファンなら誰しもそうでしょう。

そこで今回のお題は・・・。
シングル曲ということで、下山さん作曲ジュリーナンバーの代表曲と言って良いでしょうね。
アルバム『新しい想い出2001』より、崇高かつ重厚なアコースティック・バラードです。
「あの日は雨」、伝授!

とにかく、鉄人バンドの中で最も”雨”が似合うのが下山さんです。
ジュリーを含め、燃える炎のようなメンバーが揃った鉄人バンドの中で、濡れる水の匂いでキラキラと炎を反射するクールなギタリスト。
時折通り過ぎる車が飛沫を上げる山合いのハイウェイが「あの日は雨」の情景だとすれば、そこで歌うジュリーの横に絵として浮かぶ演奏者は、やっぱり涼しげな下山さんの姿が一番しっくりときます。

「あの日は雨」で描かれている物語は、季節で言うといつなのでしょうか・・・。
たとえそれが真夏だとしても、この曲から暑さは感じませんよね。
Beloved」の記事で書いたように、下山さんの楽曲には”涼しげな山並み”を思わせる何かがあります。景色の中には”海”があるんですけど、何て言うんだろう・・・高い標高から見下ろしているような感じがするのです。

アルバム『新しい想い出2001』は、1998年の『第六感』から加速してきたハードなアレンジが「パワーポップ」というアメリカで進化してきたロック・ムーヴメントに着地した作品だと僕は考えます。

ハードな演奏の中に極上のポップ・メロディーが包まれているのが、パワーポップというジャンルの大きな特徴であり、そのためアコースティック・ギターのレコーディングに革命的な解釈があります。
ポップス寄りのロック界では主に、「キレイに美しく聴かせる」という、いわば楽器として女性的役割から導入されてきたアコースティックギターが、武骨なまでの圧力で耳に直接ズシンと迫ってくる男っぽい楽器としてミックスされ、鳴っているのです。
簡単に言うと、アルペジオであってもひとつひとつの音が太いということです。

オアシス、B・ベンソンなどが確立させた新しいポップス・レコーディングのスタイルは、アコースティック・ギター先導の楽曲でこそ真価を発揮します。
「あの日は雨」はイントロから”バラード”の雰囲気がありますが、アコギの音はとてもパワフルに聴こえますよね。
まるで鋼鉄のピックで弾いているようなイメージ。
こういった音作りは現代のJ-POPでも主流となっています。
太いアコギの鳴りが、途中から噛みこむベースとドラムスをより際立たせていて、シンプルな楽器構成を力強いアレンジへと昇華させるのです。

実はこのパワーポップ流の武骨なアコギ録音、遡ればレッド・ツェッペリンの音に回帰するのではないかと僕は考えています。
例えば「あの日は雨」で言うと、この曲のキーはA(=イ長調)ですが、1弦2フレットの音(ファ#)を強調するコードフォームが目立ちます。これはジミー・ペイジのアコースティック・ギターの組み立てを彷彿させるのです。
きっと下山さんの作曲段階から、コードフォームのアイデアはあったんじゃないかなぁ。

ところで、「あの日は雨」のヴォーカルについてなのですが・・・。ここで僕のヒヨッコぶりを露呈しなければなりません。
まずこの曲のヴォーカルの肝は、やっぱりあのファルセット部だと思うのです。
ジュリーナンバーでここまでファルセットヴォーカルがフィーチャーされている楽曲は他にありません。「風に押され僕は」「神々たちよ護れ」で一瞬登場するくらいです。

そして・・・恥ずかしながら。
(あくまでCD音源の話ですが)僕には「あの日は雨」のファルセットが果たしてジュリー本人の歌唱なのかどうか、聴き分けられないのです~。

最初にCD聴いた時は、普通に伊豆田洋之さんの声だと思っていました。
その後LIVE映像でジュリー自身が歌っているのを観て、「やっぱりジュリーなのかな?」と思い直したり・・・。

僕の場合、声は聴き分けられないのに下手にミックスを聴き分けたりするのでさらに悩ましい。
例えば1番の「いとおしい日々♪」のファルセット部は、別トラックにレコーディングされたテイクがミックス段階で挿し込まれていると思うのです。
わざわざ別録りしているとなると、ここは伊豆田さんのコーラスパートかな、と思ってしまうワケで。
ところが2番の「煙ったハイウェイ♪」の部分は前後との繋がりも自然で、ワンテイクで一気に歌ったように聴こえます。
ならばジュリーなのか、と・・・。1番で別テイクがミックスされているのは、単にその部分だけジュリーがもう一度後で歌い直した、という可能性が出てくるのですね。
結論が出せないのです~。
みなさまはどのようにお考えでしょうか。

覚和歌子さんの詞は・・・切な過ぎます。
さよならを待たせて」や「嘆きの天使」の流れを汲む作品でしょうか。

♪ すぐに変わる 人も街景色も
     Amaj7            F#m7

  流行り歌のように 僕だけを置いて ♪
     Dmaj7                 Bm7    E7

主人公の「時」が”あの日”から止まっていることを思わせる一節です。

救いのない気持ちを、しぼり出すような、一見不器用なリードギターで表現した白井良明さんのアレンジが、さらに胸をしめつけます。
白井さんは本当に、常に楽曲の内容を踏まえたアレンジを練り、曲にふさわしいフレーズを弾きます。
楽曲の内容と無関係に技に走るようなギタリストではないのです。やっぱりこの人はアレンジャー体質なんだなぁ。

「あの日は雨」はシングル盤が別ヴァージョンなのですね。
「永遠に」のように180度違うアレンジではなく、基本の演奏進行は同じですがトラックは別物で、アコギのミックスレベルはアルバムヴァージョン以上に強く、イントロから重厚なコーラスがフィーチャーされていたりします。
これらも白井さんのアイデアかと・・・。白井さんのようなタイプのミュージシャンは、”ヴァージョン違いフェチ”に違いないと思うのです。

ツアータイトルのシングル盤『涙色の空』は編曲クレジットも鉄人バンドで、白井さんの名前が見当たらないのが少し寂しいです。
いつかまたジュリーのお仕事をしてくれるといいなぁ。僕のジュリー大人買い期間は、まず白井さんの再評価から始まった、と言っても過言ではありませんから。

最後に。
「あの日は雨」が今回のソロツアーで歌われるとすれば、もちろん下山さんの勇姿やジュリーのヴォーカルに注目したいところですが、僕はこの曲で泰輝さんがどんな演奏をしてくれるか、楽しみなのです。
オリジナル音源の太いベース音を再現するのか、はたまた楽曲の内容に合わせた独自のピアノ或いはオルガンパートが炸裂するのか。

CD音源での白井さん同様、LIVEにおいては泰輝さんがアレンジの要。
歌心あふれる演奏に期待しています!

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2010年8月 4日 (水)

[ 伝授・特別編 ] 8・1川口リリア ジュリーwithザ・ワイルドワンズ『僕達ほとんどいいんじゃあない』セットリスト&完全レポ

僕にとってはラスト・ジュリワンとなる川口に参加して参りました。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズ&鉄人バンドの演奏・歌唱はともに完成度が高く、素晴らしいステージを見せてくれました。

ただ1点・・・これはバンドそれ自体の問題ではなく会場の音響的なことなのですが、ミックスバランスに疑問が残るシーンがいくつかありましたが・・・。
そういったことも取り混ぜながら、僕のラストジュリワン、気合を入れてレポートさせて頂きます。

まずは川口駅近くのライオンにて、カミさんとYOKO君を引き合わせ。
ごく狭い世間で懸案とされ注目を浴びていた、現妻×元彼バトルも無事終了いたしました。

それにしても会場内外でのYOKO君の知名度の高さには驚きましたわ~。しかも大人気だし。
挙句、「西城秀樹に似てる」などと言われたり。
(本人の弁によりますと、ヒデキはヒデキでも、数十年前に弾き語りLIVEの先輩と打ち合わせ中、突然「YOKOって松井に似てるよね」と言われ思わず胸ぐらを掴んだとか掴まなかったとか)
カミさんが撮ったツーショットの写真(後姿だけどね)が何人かの地方の先輩にご開帳されたようですが
「元アイドルとその付け人」
という感想が・・・。
無論僕が付け人です(泣)。

さてさてそんなこんなで会場入り。
川口リリアは10年以上ぶりかなぁ。仕事関係であまり好きではないバンドを良席で観たんだっけ・・・。

開演前にも書ききれないほどの先輩方にご挨拶させて頂きました。
特に、『歌門来福』ファイナルのチケットでお世話になったAKI様(体調を崩して不参加となったチケットの嫁ぎ先を、J先輩を通じて声をかけて頂き、僕はあの素晴らしいLIVEに参加できたのです)に直接お礼を申しあげることができて、良かったです。

今回のお席は、加瀬さん寄りのブロック。
センターブロック隣の通路側からYOKO君、僕、カミさんと並びます。まったくの偶然ですが目の前に某箱方面の”川口の熱視線ギャル”がいらっしゃって、左手センターエリアは何とミックス機器が並ぶモニタースペース。
YOKO君早くも「最高」と興奮してます。彼はこれまで参加したジュリーLIVE(ジュリー祭りとプレプレ大宮)がいずれも2階席でしたからね。

ちょうどYOKO君が最近購入したという、コンパクトサイズのコンデンサーマイク内臓MTRと同じものがミキサーの右端に取り付けてあって、「何のためだろう」とひとしきり談義。
モニターの返しに客席の音を拾っているのかな?

ブザーが鳴り、お馴染みの波&カモメS.E.が流れます・・・っと、お馴染みじゃない男が横にいるんだった!
そう、セットリストをまったく知らないYOKO君は

「おお~っ!1曲目はパールハーバーか!」

・・・・・・・・・・・・違うから。

開演!

1曲目「シー・シー・シー

Tigerssingle

イントロが始まるとYOKO君は、「ベース!うぉ~ベース来た!」と叫びながら立ち上がります。
やっぱり立つか~、177cmのお兄さんが。
後ろの先輩方、ホントすみません。どうか勘弁してやってください。まぁ、そう言いながら僕も立つわけですが。

まったく予習ができていないYOKO君、「うん・たた・ん・たた!」の手拍子が出来ません。意外とハンドクラップ駄目だな、この男。「Pleasure Pleasure」の時も結局出来なかったし。
会場全体的に、板橋の方が手拍子は揃ってましたね。6日の渋谷はもっとスゴイんだろうけどさ(悔)。

2曲目「セシリア」

Wildones

ジュリーナンバーの予習はまるっきりのYOKO君ですが、事前にワイルドワンズの楽曲は僕から教授しておきました。この「セシリア」は「夕なぎ」の別歌詞ヴァージョンということもあってノリノリの様子です。ファニーフェイス(YOKO君談)・柴山さんのソロが炸裂しますしね。

で、前述した会場のミックスバランスについてなのですが。
ここまでの2曲は完璧だったんです。理由は簡単に推測できます。
通常、開演前のリハーサルは「逆リハ」と言って、セットリストを逆から行うのですね。全曲はやらないにしても、例えばリードヴォーカル担当や楽器編成が異なる楽曲や、コーラスパートが中心となる楽曲など、要点を確認しながら、エンディング曲→1曲目の順に抜粋してバランスやモニターの確認をするワケです。
何故逆にやるかと言うと、最後に確認した1曲目の設定そのままの状態で、本番を迎えられるからです。

2曲目「セシリア」も、鳥塚さんのヴォーカル確認のため、リハが行われたのではないでしょうか。
楽器の音量バランス含め、ミキサーさんの作業記憶も新しいということなのですね。

~MC~

まずはジュリーが
「ギッシリ満員のお客さんです。ありがとうございます!」
と丁寧に3方に礼。必ず2階のお客さんを見上げてから頭を下げるのが、ジュリーらしいと思うのです。

引き継いだ代表取締役プロデューサー恒例の
「こども店長の加瀬邦彦です!」
の後、

「若い女性が多いから緊張で声が高くなっちゃったよ。実際は暗くてよく見えないんだけど・・・若いよね?」

と、とうとうお客さんイジリのネタを繰り出してきた加瀬さん。何故ジュリーwithザ・ワイルドワンズが結成されたか、というくだりでは

「僕らは皆、60を超えています。中にはもう70に引っかかっちゃってる人もいる!」

と自虐ネタまで披露。植田さんがスティックで突っ込みを入れます。
いつになく饒舌な加瀬さんは、続くトマトの味噌汁ネタについて
「60年間生きてきて初めて食べた味だった」
と言うと、ジュリーと植田さんが
「えっ、60?おかしくない?」
みたいなゼスチャーで突っ込み。加瀬さんは動じず
「いや、初めて味噌汁飲んだのが小学校高学年だったからね」
ということで

「今日は、そんなトマトの味噌汁のように、みなさんが今まで味わったことのないステージです!」

3曲目「熱愛台風

Juliewiththewildones

え~っ?
加瀬さんのアクションがスゴイ!
いつから?初日からそうだったの?
初めて気がつきました。ジュリワン5回目となる僕ですが、考えてみれば加瀬さんサイドのお席は川口が初なのです。
おそるべしワイルドワンズ!おそるべし加瀬さん69才!
さすが現役のLIVEバンドです。

打ち上げでYOKO君が言ってました。
「やっぱり、GS出身の演奏表現力はスゴイんだなぁ。現代からすると考えられないような劣悪なモニター、セット環境で何度も演奏を経験してきた人達なんだから。しかもワイルドワンズは現役・・・俺達、ちょっとナメてたよな・・・」

仰る通りでございます(恥)。

4曲目「いつかの”熱視線ギャル”

Juliewiththewildones_2

ここでDYNAMITEは、まず気がついたのでございます。
ヴォーカルのミックスバランスがこれまでと違う、ということ。この曲ではそれが効を奏していたように思いましたが、ワイルドワンズのコーラスがかなり鮮明に聴こえるんですよ。
特に加瀬さんのマイク音量の設定は相当上げていますね。
ただそれは裏を返せば必然的に、一番声量の大きいジュリーの設定が下がっているわけです(この状態でジュリーのマイク設定を上げたら間違いなくハウりますから)。

イントロの前に泰輝さんが「ソシレソ~♪」とガイド音を鳴らし、GRACE姉さんのカウントに続いて「woo~♪」とコーラスが始まった瞬間は素晴らしかったですね。当たり前ですが、キチンとハモっていて。

で、ジュリー。
「ロッケンロ~・ミュージック♪」の腰ヒネリが小じんまりしていたのは残念でしたが、「ビビりまくる俺♪」の下半身ブルブルが激しい~!
しかも、最前方にせり出してきてやりましたからね。
あの勢い以上の動きが6日の渋谷で披露された日にゃ・・・・・・チャック、飛ぶよ。
乞ご期待!(違)

5曲目「ハートにズキューン

Juliewiththewildones_3

カミさん、YOKO君とお茶してた際、この曲の話になったのね。
なんでもYOKO君、高橋ゲタ夫さんのベース教則ビデオを見たことがあるらしくて。
「あの人はスゴイ!ベースの教則ビデオなのに、いきなり踊り出す!」
と言いながら怪しげな腰使いを伝授してくれました。
で、ビビッドなYOKO君、ズキュ~ンなイントロの瞬間にすかさずゲタ夫ダンスを踊り出します。仕方ない、僕も付き合っとこう。
・・・カミさんに笑われました。

で、ここでまたミックスバランスの話をしなければならないのです。
先に述べた通り、ジュリーのヴォーカル音量設定がいつもより小さいのね。
「熱視線ギャル」は問題なかったのですが、この曲では
「ズキュ~~~~ン♪」
の「~~~~♪」のロングトーンを、マイクが拾いきれていなかったのですよ・・・。
ジュリー自身は絶好調でよく声が出ていたのに、細かいところでそれが生かされない設定と言いますか。
確かに、ワンズの追っかけコーラスは今までよりハッキリ聴こえましたから、こういうヴォーカル設定もアリだと思いますけど、畏れながら完全に曲を覚えてるミキサーさんであれば、「ズキュ~ン♪」の箇所だけフェーダー操作して欲しかったところです。

あとね、間奏直後のハミング部の柴山さんのユニゾンギターが小さかったのです。
あそこはジュリーがカッコ良く裏声で「tu~♪」ってやるのが見せ場ですから、この段階では「仕方ないかな」とは思っていましたが、この日のギター音量バランスが
加瀬さん>柴山さん
という状態になっていることにも、この曲で気がつきました。

ところでYOKO君、「ズキュ~ン♪」のたびにひとさし指で僕の横腹を突き刺すのは、やめてくれ。

~MC~

鳥塚さんと加瀬さんのコーナー。
ここは、ほぼ板橋と変わらないトークだったかなぁ。
加瀬さん苦心のセットリスト・・・「色々なところからかき集めてきた」というワイルドワンズの名曲群。僕はもう今ツアーですっかり覚えてしまいました。

6曲目「白い水平線」

Wildones_2

打ち上げでYOKO君が「”想い出の渚”のマイナーコード版だよね」と。
言われてみれば確かに。テンポとか、サビのコード進行とかね。
この曲は「ワイルドワンズ再結成時の曲」ということですから、敢えて加瀬さんがそういうメロディーやアレンジ、楽曲の雰囲気を作り上げたのでしょう。
さすがに音楽仲間と一緒に観てると、これまで見落としていた要素にも気づかされることがありますね~。

7曲目「追憶」

Julie8

コーラス、バッチリ聴こえました。
植田さんはなかなか難しいパートを歌ってますね~。

ジュリーの「オ~、ニ~ナ~♪」の「オ~」がシャウト系と言うか、ジョン声だったのが印象に残りました。若干声がかすれたかな、といった場合にジュリーはこの唄法を多用しますね。

8曲目「海にむけて」

Rocknrollmarch

この日の柴山さんは、プレプレの「いい風よ吹け」に近い音でした。観るごとにギター設定が微妙に変わっていますよ、この曲。

そして、ここでさらに今回のミックスバランスの特徴に気がつくDYNAMITE。
柴山さんのギターが小さかったこともそうですが、ベースの音量設定が最初から同じなのですね。
いや、この曲の場合それは歓迎なのです。この日の設定は基本的に低音強めのバランスでしたから、オリジナルヴァージョンがベースレスの「海に向けて」で島さんの重厚なルート音が聴けたことはとても良かったです。

ジュリーのヴォーカルはサラリとしていました。もちろん良い意味で。
僕はこの「海にむけて」に関しては、慟哭系の歌唱よりも、サラリと歌うヴァージョンの方が好きかも・・・。

9曲目「夕陽と共に」

Wildones_3

おもむろにYOKO君は一度座ります。コラコラ。
・・・と思ったら加瀬さんの手元ガン見ですか。さすがは、こちらもLIVE現役のYOKO君。大先輩から何かを得ようとしているようです。

加瀬さんのリードギター・パートはさほど難易度が高くはありませんが、12弦の特性をフルに生かしたフレーズ考案こそ、この楽曲の肝でしょう。ストーンズの「黒くぬれ」をお手本にしたのではないかと僕は思うのですが、どうでしょうか。
無論、「およげ!たいやきくん」とは何の関係もございません。

10曲目「涙がこぼれちゃう

Juliewiththewildones_5

立ち上がるYOKO君。
それにしてもイントロで「キャ~」みたいな雰囲気が会場に充満するのは、初日から変わっていません。「涙がこぼれちゃう」という楽曲は、間違いなくファンから圧倒的な支持を受けているのです。
そして、加瀬さんのブログを読むと、加瀬さんもこの曲が大好きのようです。

僕は、思わずステージに語りかけてしまいます。
加瀬さん・・・もしも年末にあの番組に出演なさるのでしたら、やっぱり「涙がこぼれちゃう」で行きませんか?
シングルの売れ行きにも、第2のムーブメントが来るかもしれませんよ・・・。

そう、この曲では加瀬さんが情感たっぷりにリードギターを弾くのです。柴山さんはバッキングに徹しています。
もしもジュリワンツアーに下山さんが参加していても、このスタイルは変わらなかったはず。下山さんはアコギを持った可能性が大きいんじゃないかなぁ。


そうそう、アコギと言えば開演前にYOKO君がこう言っていました。
「鳥塚さんって、今まで”歌のお兄さん”のイメージしかなかったけど、映像予習してみたら、アコギのストローク凄いわ。16ビートでガガ~ッ!とかき鳴らすのが意外だった」
う~ん、僕なんかより全然予習バッチリじゃないですか、その点。

今ツアーの「涙がこぼれちゃう」は、どうやらCDよりも半音下げて、ハ長調で演奏されているようです。
鳥塚さんのローコードならではのアコギストロークは決して目立ちませんが、例えばこの曲のブレイク部など、YOKO君の言う通り16分音符のリズムで激しく弾いていたのですね。
これもまた、YOKO君が参加したからこその発見でした。

板橋に続いて、ジュリーは完璧なヴォーカルとアクション。
「声もかけられず♪」のトコで、遠くを切なそうに見つめる仕草が好きだぁ!

11曲目「懐かしきラブソング」

Wildones_4

え~と。
これからこのレポートでは後半、ミックスバランスに苦言を呈する記述がいくつか登場する予定でいるのですが・・・。
この曲のミックスはズバリでした!本当に素晴らしい!
(と言うより、この日のミックス設定が最も生きたのがこの曲だったと言うべきですか)

とにかくBメロ部のジュリー&加瀬さん&島さんの、男声三部バランスが絶妙!
特に加瀬さんの高音は、ジュリーの艶やかな声とあいまって非常に聴き取りやすく、感動のあまり電気が走りました。
板橋のレポで、「懐かしきラブソング」が今までで一番良かった、と書きましたけど、川口ではあっさりそれを超えたのです。
加瀬さんは後半になると、追っかけコーラスを担当しているのですね。今まで気がつかなかったことです。ハッキリ聴こえていなかった、ということでしょう。
この点については、ミキサーさんに大感謝。

Aメロを歌う鳥塚さんと植田さんも最高の出来でした。特に鳥塚さんの急激な進歩は見逃せません。
鳥塚さん自身も、「思いをこめて歌えている!」という手応えがあったのでしょう。1番と2番の間の演奏部で、ず~~っと右手を上げて、力強く拳を握っていました。

ワイルドワンズが誇る大名曲であることを確信すると共に、ジュリワンツアーで最も進化した楽曲は「懐かしきラブソング」である、と僕は断言したいです。
6日渋谷では、おそらくこの川口をも超えるでしょう。
映像を観るのがとても楽しみです。

終演直後、「懐かしきラブソング」のこの日の素晴らしさについて、たまたま某組長にお話をしたのですが、組長はひとまず”激しく同意”しながらも
「でもアタシ、この曲になると次のインストが気になって気になって、それドコじゃないの」

・・・・・・だそうです。

12~13曲目 鉄人バンドによるインスト

なんか、ジュリワンメンバー一旦退場のタイミングで、あちこちから
「カズさぁ~ん!」
の声が。
まぁ、ひとりは確実に誰だかわかってますけど。

で、「懐かしきラブ・ソング」のミックスを絶賛したばかりだというのに、ここで落とし穴です。

インスト2曲目(組長命名の仮題・「マーメイド・ドリーム」)では、思わずミキサーさんに
「代わって!」
と言いたくなりましたよ。さすがにそれは身の程知らずな発言ですけどね・・・。

いや何かと言いますと、出だしで柴山さんのギター音量が、明らかに、極端なまでに小さかったのです!
さすがにミキサーさんも気がついて音量調整したと思ったら、今度はハウりそうになるし。
僕の感覚からしますと、「音が小さい」と気がついてからの設定修正にかかる時間が、長いんですよ。対処が遅い、と思ってしまいました。ワンフレーズの時間があれば充分なはずだと思うのですが・・・。

まぁ、右側の卓のお兄さまはそれでも、必死に対処してベストを尽くしたものと信じます。
ショックだったのは、左の卓のお二方がそんな状況にも関わらず、雑談をしていたことです・・・。
少なくとも僕の席では会話の内容まで聴こえていました。お仕事の話ではなかったですね・・・。

実は僕は、板橋でもミックススペースの隣の席でした。
川口と同じように、(僕の見立てだと)右がバランス卓、左がモニター切替の卓という配置。
板橋ではね、ミキサーさんは時々、最後列だった僕の席のさらに後ろに移動して、会場全体の音の鳴りを確認しながら、要所要所で設定を変えていましたよ。
すごくリラックスしながらも、押さえるべきところはキチッと押さえていらっしゃって、「さすがプロだなぁ」と思ったのです。
ミキサーさんって、各会場で違うのでしょうか?

確かに川口でも、この鉄人バンドのインスト部はお客さんが席を立ってトイレに、という光景がありましたし、ミキサーさんの集中力は途切れてしまいがちかもしれません。
でも、ステージで音が鳴っている以上、僕はより良いバランスで聴きたいと思いますし、それは特別贅沢な望みでもないと思うのです。
鉄人バンドの演奏それ自体は素晴らしかっただけに、残念な思いが残りました。

14曲目「想い出の渚」

Wildones_5

というワケで、ジュリー達より一足早く、「気をとり直して・・・」てな感じで後半戦。
カウントはGRACE姉さんが小さな音で出してるっぽかったけど、ハッキリ確認まではできませんでした。

イントロが流れた瞬間、YOKO君がガバッ!と僕の肩を抱いて、横揺れを強要。
恥ずかしいからヤメテ~!
と、振りほどくDYNAMITE。
いえ、決してYOKO君の愛を拒絶したのではありません。だって、僕とYOKO君が密着したら、後ろのお姉さまがステージ見えなくなっちゃうじゃないですか。

YOKO君は「いつま~でも♪」の箇所で、「C7→B7」と一旦半音上がってからドミナントに着地するコード進行がお気に入りみたい。
そういや、彼の自作曲でもたまにあるね、このパターン。

15曲目「あなたへの愛

Acollection

YOKO君の大好きソングなのですが・・・。彼はどうも、オリジナル音源のアレンジに相当の思い入れがあるようです。
打ち上げの席で
「柴山さんに、あのギターフレーズを弾いて欲しかった・・・」
と嘆いていました。

確かに今ツアーの「追憶」「あなたへの愛」の2曲は思い切ったアレンジです。僕としては、ジュリーのソロでは聴けない貴重なテイクとして楽しみましたけど・・・YOKO君の主張もなんとなく解るような気がします。

しかしながら
「my love~~~♪」の追っかけコーラス後の一瞬の静止、空白だけですぐさま一気に跳ね上がる転調部など、今ツアーのアレンジならではの素晴らしいジュリー・ヴォーカルが聴けるのですから。
僕としては、”ジュリワンスペシャル”として大いにこのアレンジを評価したいと思います。


~MC~

植田さんのMCにも今回ちょっとアドリブがありました。
「女性の声援の中に交じって、時々、野太い男性の声で”ジュリ~~~っッ!”って聞こえてきます」
それはつまり植田さん、男性から声援を受けるジュリーが羨ましい、と・・・?

そんな植田さんをヨソに、この日もジュリー&加瀬さんによるラブラブなやりとり&楽曲紹介は変わりません。


16曲目「僕達ほとんどいいんじゃあない

Juliewiththewildones

打ち上げで、例の年末番組出演があるならば是非「涙がこぼれちゃう」を演ってほしい、という大多数の意見の中、たった一人だけ

「僕達ほとんどいいんじゃあない」で出てほしい!

と堂々主張するYOKO君。
ある意味凄いアイデアですがさすがにそれは・・・。いやでも、加瀬さんに聞かせてあげたいお話です。

~MC~

ジュリーの「気をとり直して」「口直しに」に加瀬さんが突っ込むスタイルは不変。
このシーン、映像も非常に楽しみなワケですが・・・何ですか、トークショーでジュリーが、「6日にカメラ入れるのはNHK」って言ったのですか?
「songs」?
だったら最初から最後までは、観られないんじゃ・・・。楽屋裏とか貴重な映像はありそうですけど。

みなさまそうだと思いますが、やっぱりDVDを発売して欲しいのよ!
加瀬さん、どうかお願いいたします。

17曲目「アオゾラ

Juliewiththewildones_2

どうやらこの日のヴォーカル・エフェクト設定、ジュリーのリードヴォーカルはナチュラル、ワイルドワンズのコーラスはかなり深めのリヴァーブ、といった具合に割振られているようです。これはまったく問題なく、イカした設定だと思いました。
植田さんのスタンドマイクは、その中間くらいの設定でしょうか。これも良かったですよ~。
「立って歌うのは2曲が精一杯」と言う植田さんですが、何をご謙遜仰いますやら!
あれだけ激しいドラムを叩きながらのリードヴォーカルを炸裂させる植田さんですから、ヴォーカル1本に集中できる「アオゾラ」に立ち向かう体力は充分。
川口でもまた、入魂の歌声を聴かせてくれました。

拙ブログでは以前から、「アオゾラ」のキーワード検索でいらっしゃる方がとても多いのです。
「涙がこぼれちゃう」と共に、「アオゾラ」もまたアルバムの中で人気が高い曲なのではないでしょうか。

~MC~

川口では、鳥塚さんもたくさん喋ることができました~。
ジュリーがMCで触れる「カックラキン大放送」って、野口五郎さんが「刑事ゴロンボ」とかやってた番組でしたっけ・・・?
DYNAMITEは小学生ですねぇ、たぶん。

18曲目「プロフィール

Juliewiththewildones_3

これは板橋や長野の方が数段良かったなぁ。まぁ決して川口が悪かったわけではなく、初日のグダグダは何だったのか・・・と、バンドの進化を改めて感じた次第です。
でも、僕にとってやっぱりこの曲はLIVEよりもCDの方がグッと来る、という珍しいパターンの楽曲ですね。
下山さんがいたらなぁ・・・。最高だったと思う。

ジュリーのそこはかとない2番Aメロの8分音符連打は、すっかりお馴染みのアクションでございます。

19曲目「Oh Sandy

Juliewiththewildones_4

毎回盛り上がりますねぇ、これは。
何たって加瀬さんがスゴイから!
ジュリーがね、加瀬さんの動きを注意しながら移動いてるのが微笑ましいです。一度ぶつかっちゃった事があったらしいですからね。
でも、加瀬さんはジュリーが近づいてくると、スス~と寄ってっちゃうのよ~。

で、間奏では柴山さんが「僕も、僕も」といった感じの激しいアプローチ。加瀬さんに肘打ちせんばかりに迫りまくります。
この柴山さんの行為、アンコールで加瀬さんの倍返しを食らうことになるのですが・・・。

20曲目「青空のある限り」

Wildones

演奏が終った後、YOKO君が
「カッケ~~~!!」
と大興奮していましたよ。
「い~つも~、ヘヘヘイ!」の拳振り上げも、僕の真似して参加してたし。

まだツアーが始まる前、いわみ先輩がこのナンバーを強烈に推していたんですよね。
「LIVEのこの曲は、ロックだぞ!」
と。
間違いなかったですね。何度観ても、ワイルドワンズの底力を見せつけられる曲です。

21曲目「TOKIO

Acollection

で。
もう大盛り上がり・・・だったことは確かですけど・・・。
イントロから僕は

柴山さんのギターが小さいって!!

とミックスのお兄さんに必死で念を送っていたのですよ・・・。

これはね、ステージのメンバーも同じことを感じていたと思うんです。
みなさま気がつかれましたか?
1番では加瀬さんが、「そーらを飛ぶ♪チャ・チャ!」の手拍子も、「と~き、お!」の拳振り上げも煽らずに、黙々とギターを弾いてたでしょ?
「カズのギターが小さい!」
という加瀬さんの判断だった、と僕は解釈しています。

修正されたのはBメロ部になってからでした。
「海に、浮かんだ♪」のトコで、加瀬さんが小節の頭で8分音符を3つ弾くんですが
「ジャララ♪・・・ラッ・・・
ラッ・・・ラッ・・・」
という深いディレイがハッキリ聴こえちゃってたのよ・・・。これ、間奏のS.E.の設定なんです。あらかじめローディーさんが用意して渡してくれた設定の音なのでしょう。
その設定が、Bメロでここまで聴こえてはバランスが悪いのでは・・・ということでやっとここで加瀬さんと柴山さんの音量が修正されたのですが。

今度は間奏で、加瀬さん渾身のS.E.ギターが聴こえな~い!!
再び修正されるまでに4小節もの時間がかかってるし・・・。

僕だけかもしれませんが、ちょっと残念でした、この日の「TOKIO」は。
打ち上げでYOKO君に
「全体的にワイルドワンズの音が主役で、鉄人バンドは一歩引いてるんだね」
と言われたのがねぇ・・・。何か心が痛かったです。

ジュリーは下手の花道進出、上手がフェイント。
そうそう、下手進出時に後ろから全速で駆けていらっしゃったお姉さま。お気持ちは解りますがちょっとアレは危ないです~。ハラハラしましたよ・・・。


22曲目「FRIENDSHIP

Juliewiththewildones_5

八王子のハプニング体験後、僕はこの曲を長野、板橋、そして今回の川口と3回聴いたことになりますが、いずれも素晴らしいものでした。
歌詞は完璧、演奏は充実。
差をつけるとすればエンディングの「Sail Away~♪」のお客さん参加率ということになるでしょうか。
その点川口はとても良かったように思います。

ジュリーのヴォーカルはもちろん、植田さんの追っかけコーラスが強く印象に残るLIVEヴァージョン。
是非、CD音源とは違うこの生演奏の「FRIENDSHIP」を全国放映して頂きたいですね。頼みましたよ、NHKさま!

~アンコール~

23曲目「渚でシャララ

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さぁ、この時が来ました。どうするYOKO君?
「え、何?カラオケ・・・・・・・・?」
と一瞬たじろぎながら立ち上がるYOKO君ですが・・・おぉっ、踊った~!素晴らしい!
ハッキリ言ってこれは、普段付き合ってる音楽仲間達にとっては信じ難い光景でありましょう。黙っといてやるからな!

板橋ではカミさんにダメ出しされた僕のダンスですが、初参加のYOKO君はそれに輪をかけてグダグダです~。

で、最後の最後にまたしても間違うジュリー。
その瞬間、会場がド~ッと沸きます。「あぁっ、間違えちゃった!」というどよめきではなく、「やった~、間違ってくれた~!」と言わんばかりの嬉々とした喝采なのは何故だ~。
皆(加瀬さん含む)、ジュリーの地団太が見たいのですね・・・。

期待に応えて「また間違えた!」と地団太を踏むジュリー。この時の声は、LIVEで「あの日は雨」の「いと~しい日々~♪」と歌うあの部分で使うファルセットヴォイスです(CDでは伊豆田さん・・・のように思うのですがどうでしょう?)。

~MC~

ジュリーがひとしきり悔しがった後(今となってはワイルドワンズ&鉄人バンドのダンスが完璧なだけにね)、メンバー紹介。
残念ながらここでも柴山さんはごくごく普通にお辞儀。長野のアレは一体何だったんだろ・・・。
で、終演後にカズラー3名様の前で、”長野限定・カズさんアイドルポーズ”を僭越ながら伝授させて頂きました。

24曲目「危険なふたり

Acollection_2

「オマケです~」に続いての大盛り上がり。
でもね・・・。

ジュリーのヴォーカルと柴山さんのギターが小さいってば!!

その分、「おぉ、加瀬さん細かいことやってるなぁ」ってのは分かりましたから、まぁ良かったですけどね・・・。
島さんが必死にモニターの前で耳を傾けて・・・しばらくして首をかしげながら定位置に戻っていくのを見たりするとさ。演奏者にもよく聴こえていない音があったんじゃないかなぁ。
島さんが確認したかったのは、ジュリーのヴォーカルの返りだと思うのですが・・・。

でも、ジュリーも柴山さんも楽しそうにしていましたから。こちらも楽しまないとね。
ということで、板橋に続いて披露された柴山さんの前方交互蹴り上げステップを、今回も一緒にやってきました~。

25曲目「愛するアニタ

Wildones_2

はは・・・これはかえって今回のミックスバランスが逆に面白かったです。
島さんの「アニタ~~~~~~!!!」のリヴァーブが物凄いのよ。で、YOKO君も注意して観てたらしいけど、ミキサーのお兄さんが丁寧にフェーダー操作していました。
念入りにリハしたんでしょうね。照明さんの確認も絶対必要ですからね、この曲は。

で、ジュリーの「アニタ~~~!」がほぼリヴァーブ無し、という対比が新鮮だったのです。やっぱりジュリーの声量は凄いですよ。マイク設定が下げられている分、地声が聴こえていましたから。
前の方のお客さん、得してますよ!


26曲目「気になるお前」

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もうここまで来たら
「せっかくのジュリー&加瀬さんの1本マイク・パフォーマンスのヴォーカルを拾いきれてないじゃん!」
とか、ミックスに文句をつけるのはやめましょう(って、結局書いてるんですが)。
本当に楽しいエンディングを、味わいつくしました。

特筆すべきは何と言いましても間奏のギターバトルで、柴山さんに出番が来たその瞬間

加瀬さんが柴山さんに接吻を迫る!

という空前絶後のシーンですわな~。
柴山さんは素でビックリしてましたねぇ。組長はもっとビックリしたかもしれませんが。
それでも柴山さん、ギターはしっかり弾いて、なおかつニコニコしながら口唇5秒・あと2センチのところでスルリとかわします。さすが!

ジュリーは「TOKIO」でフェイントした上手花道に進出。律儀ですね~。
そういえば渋谷にはこのような袖部の花道が無いですから、このシーンは映像には残らないわけか・・・。残念。

演奏が終わるといつものように全員一列になって、三方に礼。
これでジュリワンも見納めなのか・・・と感慨深いものがありましたが、何故かこのシーンで最後の最後に僕は変なチェックをしてしまいました。
全員の身長差を確認!(何をやってる~)
一番小さいのは柴山さんで、やや加瀬さんの方が高い感じ。
この2人に次いで、鳥塚さんとGRACE姉さんがちょうど同じくらいですね。で、泰輝さん→ジュリー→植田さん→島さんですか。
考えてみれば、ハッキリ僕より身長が高いのは植田さんと島さんだけですか・・・。なんだか信じられないなぁ。ステージ上のメンバーは皆、あんなに大きく見えるのにね。

打ち上げでYOKO君が名言を吐きました。
「みんな(特に柴山さんはあんなに小さいのに)、ギターに負けてない」
と。
彼は常々、日本人はどうもギターを弾いてる姿を見た時、ギターのボディーに負けちゃってる感じがするんですって。
でも、ステージのメンバーは、ギターが身体に馴染んでると。それは・・・経験によるものだと。

今回のジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー、鉄人バンドも含めて全員が現役のミュージシャンだということ。
それを改めて思うのです。そうでなければ、ここまで成功したかどうか。
見習わなければなりません。60を超えたオッサンバンドに、学ぶべき点は山ほどあるのです・・・。

終演後、某シンジケート関連の方々と待ち合わせのため出口付近で待機しておりますと、通りがかりの人が、リリアからゾロゾロと出てくるお客さんの様子を見て
「今日は韓流かしら」
と仰っていました~(爆)。
確かにお客さんの層は似てるだろうけどさ。僕はともかく、韓流のコンサートにYOKO君みたいな男はいないでしょ~に。

僕のジュリワンは川口で終わりました(たぶんね)。
今、6日の午後9時ちょっと過ぎ。
渋谷も終わった頃ですね。

速報をくださったJ先輩によりますと、ピーが観に来てたんですって?
(すみません、訂正が入りました~。正解はトッポだそうです。僕の勘違いで失礼いたしました。トッポは1階にいらっしゃったようです。今の僕なら見つけられるなぁ・・・。これまたスゴイことかと)
そうかぁ。
お楽しみはまだまだこれからってことね。

ありがとう、ジュリーwithザ・ワイルドワンズ!!
楽しい夏でした~。

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