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2010年5月

2010年5月29日 (土)

ネタバレ禁止のみなさまにもお伝えしたいことが2つ

ただいま~!

いや、良かった。本当に良かった。
何がどういう風に良かったか、については八王子後にside-Bの方でレポートに書きますが、とにかく素晴らしかった。

で、初日参加いたしました結果。
ネタバレ禁止のみなさまにお伝えしておきたいことが2つございます。

まず、「渚でシャララですが。

振付、ある程度は必ず覚えてください

さもないと、後悔します。そういうLIVE構成になってます。
どなたとは申せませんが、ハワイに連れてってくれなきゃ覚える気が起きない~、とか言ってる場合ではございませ~ん!

そしてもうひとつ。

柴山さんの位置が、いつもと逆です!

カズラー席・ゲット!と喜んでいたみなさま・・・それは完全な加瀬ラー席ですので。でも、当然ですが、加瀬さんもイイよ~!

つまり・・・。
不肖DYNAMITE、昨年大阪に引き続き、柴山さんとのランデブー・タイム確定です!
八王子は、柴山和彦&島英二のLIVEレポと化す公算が大きいです。


あとは観てのお楽しみね!

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2010年5月27日 (木)

恒例・ネタバレリンクご活用のお願いです

まず
緊急!吉田Qさん、意外にも苦戦中です。
詳しくは1つ前の記事にて。
その後得た情報によりますと、現在、圏内の4位とは僅差、トップ3には差をつけられてしまっているとのこと(ただ、2位の票数はまだまだ充分視野に入ってます)。
4位争いはQさま含めて3つ巴という状況のようです。

そんなバカな・・・楽勝かと思ってた。

ここはひとつ、全国400人(具体的でごめんね)の伝授erのみなさまの本気を、是非とも見せてくださ~い!
ラストスパートで、最終的には1位に押し上げるくらいの気合で・・・。
よろしくお願い申しあげます。

では、僕も気を入れ直しまして。

いよいよですね。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズの全国ツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』が、遂に幕を明けます。
年齢を超越した行動力で、前人未到の境地へ。
カッコいい還暦過ぎのおじさま達の、長い長い夏が始まるのです。


拙ブログでは、地方会場が初参戦となるファンの方々にが、ツアー開始後も安心してお越し頂くため、ジュリワンLIVEの様子・セットリストについては、しばらくの間、一切触れません。
まぁ直前に「シー・シー・シー」の記事を書きましたもので、そちらのコメント欄にて僕を含め、この楽曲を歌ったかどうか、口を滑らす可能性はありますが。

とにかく本文記事は完全ネタバレ禁止制を敷きます。
「絶対ネタバレしたくない」という方々は、念のためコメント読むのを控えてくだされば、完璧のはず。

いつまでネタバレ禁止かと言うと・・・。
ごめん、8月1日までです(長っ!)。

だって、ネタバレ絶対禁止大王・YOKO君がその日川口でジュリワン初参戦なんですよ~。
ま、落選して7・17板橋に回る可能性もありますが。
今回はソロのジュリーLIVEと違い、加瀬さんの関与しないナンバーの記事はネタバレにはなりませんから、お題に困るようなことは無いですけどね。


で、初日→八王子→大分・・・と続く前半戦、参加なさったみなさまの感動のコメントは、こちらside-Bで受け付けております。
既に前日記事もアップしており、準備は万端です。

初日および八王子のLIVEレポートも、side-Bの方に執筆する予定です。
右上にも、リンク貼ってますからね~。

あとね。
ジュリワンLIVE、追加の8・6渋谷がインフォで来ましたよね。
澤會さん、この日だけ特殊な申し込み方法にしていらして、僕は浅はかにも「読みが甘いなぁ」なんて書いてしまいましたけど・・・。
そうか!

この日、ビデオ録りがあるのでは!

と、今さらながら気がつきました~。
行きたくなったかも・・・どうしよう・・・(いや、別に映りたいワケではないですけど)。

最後に、念のため。
FRIENDSHIP」のコーラス大合唱部は

♪ 流れはこっちだ
   (Time is on!)
   流れを集めて
  (Time is now!)

で、よろしくお願いいたします!
間違っても、「あんにゅい・そんぐ
(←なんなんだよそれは)」だの「バーニング・イズ・ラブ(←ひどい・・・)」だのワケのわからない伝授フレーズを歌わないように・・・ホント、平にお願いいたします(汗汗)。

それでは、次回記事からしばらくの間、ジュリワンツアー・セットリストとはまったく関係の無いお題でやってまいりますので。
何とか6月末には、”ジュリーをとりまくプロフェッショナル”コーナーにて、「雨とサンシャイン」の記事を書けますように・・・。

ネタバレ禁止のみなさまも、こちら本館には安心して遊びにいらしてくださいね~。

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恋のいいわけ

ちょっと、ひとつ記事をはさみます。

本日はASAHI SUPER DRY THE LIVE公募アーティスト出演決定web投票の中間ランキング発表の日です。
最終的に4位以内に入れば、吉田Qさんの出演が決まるのですが・・・。

午前9時現在、まだ中間ランキングの公表はされておりません。
で、ちょっとQさまブログにお邪魔いたしまして、愕然。
あくまで有志の方による自主的な調査のようですが、投票コメント数の集計によれば、おそらく今現在吉田Qさんは、5位或いは6位あたりに留まっている事が予想されるのだそうです。

ホントに涙がこぼれちゃう・・・。

ジュリーファンのみなさま、ちょっとだけ本気出して頂くわけにはまいりませんでしょうか?
僕、あれだけ煽ってその状況はかなり恥ずかしいですよ~。僕ですらこれだけ恥ずかしいということは・・・もっと恥ずかしい思いの人がたくさんいらっしゃるということです。

ジュリーファン、こんなモンじゃないよね?
最終結果が出るまでもう時間もあまり残されていません。
今この場で!とは言いません。明日渋谷、そして日曜八王子、ジュリワンLIVEに参加して、生で「涙がこぼれちゃう」「いつかの”熱視線ギャル”」を聴いた方々、その感動を投票にぶつけてください。
九州組のみなさまも、時間的には間に合います。

会員登録しても、変な害はないですから!
レミオロメンさんの新譜情報がメールで送られてきたり、とかそういう事です。何も心配はいりませんよ。

一番効果的なのはジュリーか加瀬さんに直接LIVEで言及して頂くことですが・・・さすがにそれは厳しい。
泰輝さん、次のソロLIVEで言ってくださらないかなぁ・・・。

吉田Qさんが出演できなくなったら、今後ブログでQさまネタが書き辛くなってしまう・・・川口レポにも影響するかも・・・(涙)。
そうだ・・・これからみなさまが頑張って、最終的に吉田Qさんが4位以内に入ったら、記念に拙ブログで「雨とサンシャイン」の記事を書くというのはどうだろう。
コードも歌詞も解ってるし、弾き語り映像で”一瞬「おっとっと・・・」となりつつクールにスルーするQさまのカッコ良さ”とか、語りたい!

ご本人はさぞかしご迷惑でしょうが・・・。

いずれにしても、4位以内に入らなければ、どうしようもないです。
他のエントリーのバンドはメンバーの人数が多いですから、それだけ人海戦術も倍々。たった一人で乗り込んだ吉田Qさんは基本的には不利なのです。

そこを、ジュリーファンが何とかしよう、ということです!
なにとぞよろしくお願い申しあげます。

うぅ・・・どうやら仕事が始まります。
(でも、明日は有給♪)

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2010年5月25日 (火)

ザ・タイガース 「シー・シー・シー」

『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』収録
original released on 1968、シングル

Tigerssingle

disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

-------------------------------

本当に、もうすぐそこまで迫ってきました。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズ・全国ツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』の初日が。
今週金曜日の夜には、還暦を過ぎたスーパーグループの5人が、CCレモンホールで「渚でシャララ」を踊っているんですよ!
本当に、「待ちに待った」という感じ。

しかしながらここへきて、とても残念なニュースが・・・。
スマイリーズさん公式サイトbbsにて、下山さんのジュリワン・ツアー不参加が発表されました・・・。

身体のことですから、仕方ないですね。
9月からのソロ・ツアー『秋の大運動会~涙色の空』には参加します、とハッキリ書いてくださっていますし・・・今は下山さんの回復全快を祈り、秋まで待ちたいと思います。
ソロ・ツアーの初日は、ある意味下山さんが主役になるかもしれません。会場のみなさまの大きな声援が、今からありありと想像できます。
絶対、行く!

というわけですから、今回のジュリワンLIVE、後追いの僕でも徐々に慣れてきたジュリーのソロLIVEのステージとは、かなり
異質なものになる・・・のでしょうね、きっと。
楽曲によっては下山さん不在は大きな痛手かと思いますが、泰輝さんの”神の左手”炸裂や、現役バリバリのワイルドワンズ各メンバーの大活躍に期待を寄せています。
それはそれで、大いに楽しもう。

さて、先月末から拙ブログで開始しました、”恒例・全く当たらないセットリスト予想”→”燃えろ八王子!この曲はハズせない!”シリーズ。
毎度のことで、相変わらずの無茶振りもしてきましたが(「テーブル4の女」はいくら何でも無いですね・・・)、下山さん不在という点も考え合わせ、素に戻って真剣に、というか客観的に予想をしてみますとですね。
このメンバーでステージに並ぶなら、やっぱり選曲の鍵は「コーラス」の有無が握っているんじゃないかなぁ、と。

アルバム『JULIE WITH THE WILD ONES』にジュリーが唯一作詞・作曲で提供した「熱愛台風」が如実に表しています。このあまりにもジュリーらしい楽曲を、ソロではなく、ジュリワンに捧げた、ジュリーの狙い。
コーラスありき、のナンバーということなのです。

これすなわち、加瀬さん作曲のジュリー・ナンバーも、ワイルドワンズと一緒に歌うものについては、コーラスの活躍に重きを置かれて選曲されるはず。
特に、会場皆が盛り上がるような曲を選ぶとすれば、それは必要絶対条件でしょう。

ならば、コレです。
箱さんからのプレッシャーもありつつ、奇跡元年参加の朝の自爆もありつつ、今度こそは!の気持ちで、僕は来たる渋谷初日前夜、この曲のコーラス部の歌詞を全力で予習いたします。
ザ・タイガースで「シー・シー・シー」、伝授!

この手の、循環スリーコードに追っかけコーラスが載っかっている構成の楽曲は、ロックンロール黎明期から数多く存在し、日本のGSにあっても基本中の基本と言えますが、加瀬さんが「シー・シー・シー」の作曲で主にお手本にしたのは、「ツイスト・アンド・シャウト」で間違いなさそうです。しかも、ビートルズ・ヴァージョン。
間奏とエンディングが、モロですからね~。

無論、わざと解りやすくそうしています。演奏・歌唱するタイガースの面々に指示が出し良い、ということもあったでしょう。すぎやま先生の指導と比べて、メンバーはひどく楽しかったのではないかなぁ・・・。
そんな「楽しさ」が音源から滲み出ているのが、「シー・シー・シー」最大の魅力であり、大ヒットの要因だったのではないでしょうか。

それにしても凄まじいのは、この名曲が、信じられないくらいの短時間で作曲された、という有名なお話。

♪ I’m so high  I’m so down  I’m so blue ♪
    Dm             Gm              E♭

この部分とか、詞も加瀬さんのような気が・・・。
「曲のこの辺りで、ブリッジ進行のメロディーを挟んでおいた方がいいんじゃあない?」的な即興のアイデアに思えたりします。

安井かずみさんの作詞にも即興性を感じますし、伝説通り本当にかなりの部分が”現場で”作られたナンバーなのですね。

「ツイスト・アンド・シャウト」というオマージュ元の楽曲自体が、ジュリーファンやワイルドワンズ・ファンにとってもお馴染みの名曲ですから、ここはひとつ、ジュリーの
「し~っ」
をはさんで、「シー・シー・シー」~「ツイスト・アンド・シャウト」のメドレーというのはどうかなぁ・・・。
キーが全然違うけど(「シー・シー・シー」はヘ長調、「ツイスト・アンド・シャウト」はニ長調)ね。

ところで、何人かの先輩から
「シー・シー・シー」の手拍子は難しい!
とのお話がございました。
確かにそうかもしれません。曲にノリながら、追っかけコーラス歌いながらあの手拍子、というのは結構な難易度かも。
僕の場合、大したリズム感の持ち主ではありませんが、これは普通にできます。何故かと言うと、同じパターンのハンドクラップが登場する楽曲をたくさん知っていて、身についてしまっているからです。ビートルズだけでも、かなりの数がありますからね。
つまり、他の曲で似たパターンを身にしみ込ませ、それを応用することが習得の近道なのではないかと。

「シー・シー・シー」パターンの手拍子を複雑にしているのは、3打目です。裏拍の、そのまた裏拍。文字表記すると

うん、たた、ん、た!

この3つ目の「た」が曲者なのですね。
例えばこの3打目を抜いてしまうと、プレプレツアーでジュリーが先導してくれた「AZAYAKANI」の

うん、たた、うん、た!

になります。
おそらくみなさま、このパターンが身についているため、「シー・シー・シー」手拍子3打目のタイミングを迷ってしまうのだと思います。

そこで、はいはいみなさま、お手持ちのCDの中から、『A面コレクション』
、または『ROYAL STRAIGHT FLASH 2』をご用意くださいませ。
参考にいたします曲は、「OH!ギャル」でございます。結構な音量のミックスレベルで、ハンドクラップが鳴っていますよね。

うん、たん、ん、たた

そう、ちょうど「AZAYAKANI」のアクセントがひっくり返ってる感じです。
この「ん、たた!」を「OH!ギャル」を聴きながら合わせて繰り返し練習、習得すれば、そのまま「シー・シー・シー」の手拍子・3打目のタイミングに生かせるはずです。
是非お試しあれ~。

そう言えば僕はつい最近まで、加瀬さんが作曲したタイガース・ナンバーはこの「シー・シー・シー」1曲のみだと認識しておりましたが、先日「愛するアニタ」の記事執筆の際に、もう1曲あったことを遅ればせながら知りました。
『THE TIGERS CD-BOX』のdisc-5『レジェンド・オブ・ザ・タイガース』の中に、「あなたの世界」という曲が収録されていましたね。

「明治チョコ・タイガースの歌」という一般作詞公募企画の当選作だそうで、作曲を加瀬さんが担当しています。
作詞の伊藤栄知子さんは、その後特別な人生を歩まれたのでしょうか?

♪ あなたの世界が平和である      ように ♪
     Am      G           C     Bm7-5  E7  G7

という女性らしい印象的なフレーズが心に残ります。加瀬さんの作ったコード進行も、この部分に最も力を注いでいるようですね。
いい曲ですよ~。

さすがに、LIVEで「あなたの世界」が演奏される可能性はほぼ無いでしょうが、万が一ある、とすれば今回のジュリワンでのステージしかないでしょうから(加瀬さんの作曲作品だから、という可能性です)、一応僕は予習していきますぜ~。

さて、みなさまもそろそろジュリワンツアー開幕へ向けてウズウズが頂点に迫っている頃かと思いますが、格好の景気づけイベントが迫っている事を、お忘れではありませんか?
そうです。渋谷初日に先駆けて、前日の27日に

ASAHI SUPER DRY THE LIVE

で開催中の、出演公募アーティストweb投票の中間ランキング発表がございます!
投票で4位以内に入れば見事夏フェス出演が決定する吉田Qさんですが・・・。
4位以内?ちょっと待ってください。

あの「涙がこぼれちゃう」「いつかの”熱視線ギャル”」を作詞・作曲した吉田Qさんですよ。
今週末にはその2曲を、あのジュリーが実際にLIVEで歌うんです。
そしてその後、全国各地で秋までずっと歌い続けるのです。これは現実です。

そんな楽曲を作った人が、4位以内を目指す?
違うでしょ。
ここは、他のバンドが「トップ通過はあきらめよう・・・」と思うくらいのQさまブッちぎり1位を、ごく自然に予想します!

そうでない場合は、ジュリーファンがまだ本気出してないってことですよ~。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズ全国ツアーに向けて、是非勢いのつく結果を期待しましょう。
投票まだの方は、今すぐ!

最後に。
今回の『僕達ほとんどいいんじゃあない』セットリスト予想でも、ツアー直前まで色々な予習ネタ(しかも当たらない)を撒き散らかして、ごめんなさいね。
1ケ月間おつき合いくださり、ありがとうございました。

それでは近いうちに、ネタバレ禁止のお願い記事にてお会いしましょう~。

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2010年5月23日 (日)

沢田研二 「TOKIO」

from『TOKIO』、1979

 

Tokio

 

1. TOKIO
2. MITSUKO
3. ロンリー・ウルフ
4. KNOCK TURN
5. ミュータント
6. DEAR
7. コインに任せて
8. 捨てぜりふ
9. アムネジア
10. 夢を語れる相手がいれば
11. TOKIO(REPRISE)

Royal2

1. ス・ト・リ・ッ・パ・-
2. おまえがパラダイス
3. 恋のバッド・チューニング
4. TOKIO
5. OH!ギャル
6. ウインクでさよなら
7. 渚のラブレター
8. 酒場でDABADA
9. ロンリー・ウルフ
10. さよならをいう気もない
11. 立ちどまるな ふりむくな
12. コバルトの季節の中で

 

----------------------

 

”燃えろ八王子!この曲はハズせない!”
てなことで、遂に1週間後に幕を開けるジュリーwithザ・ワイルドワンズ・ツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』、セットリスト予想シリーズもいよいよ佳境です。
時間的に見て、初日までに書ける記事は、大トリに決めている「シー・シー・シー」以外であと1曲!それが今回。

 

何にしようか・・・。
渋く「恋は邪魔もの」「追憶」あたりで攻めるか。いわみ様の素晴らしい御記事を拝見以来突然ヘビロテになった「気になるお前」で、ジュリーのストーンズ性を掘り下げて語るか。

はたまた、やはりここは自分が生で一度も聴いたことのない加瀬さん作曲のヒット・ナンバーの中から「恋のバッド・チューニング」をセレクトし、「死んでもいい」との2本立てで自らの期待感を煽りまくってしまおうか。

ず~っと考えておりましたが。
え~い仕方ない、ド直球だ~!

「TOKIO」、伝授させて頂きます!

 

19800118

え、何が「仕方ない」かって?
それはね・・・「TOKIO」を書けい、という加瀬さんの声が聞こえたような気がしましてね。

 

とにかく、ここ最近の加瀬さんのブログは凄い。
全国の(え~と何万人でしたっけ・・・)カズラーさん達のニーズに真正面から応えるサービスショットの嵐です。
加瀬さん、しょあさんのブログ読んでらっしゃるんじゃないの?と思ってしまうほど、ツボを得た更新ですね~。

 

で、僕も色々と柴山さんの写真を楽しんだワケです。
関係ないけどまずエフェクターボードについてちょっと語らせて!
5月20日付の加瀬さんブログ、2枚目のショットね。
柴山さんから見て一番右端、写真で言いますと一番下に、ブルーのエフェクターが映っていますよね。
これ、BOSSのコンプレッサーです!僕も同じもの使ってます。なんか嬉しい~!

いや、それだけなんですけど。

それでは本題。

5月18日付の6枚目の写真をちょっと見てみてください。
加瀬さんと柴山さんの、ギター親子のようなツーショット(柴山さん、30代にしか見えない・・・)。
ここで、お二方とも押さえてるコードがDなんですよ。

 

ギタリストに突然
「ハイ、写真撮るから構えて~」
と言ったら、普通は押さえるコードがCかEのどちらかになると思うんです。
Cは、三つ子の魂百まで、の本能。
Eは、ギタリストが「ば~ん!」と音を鳴らした時に一番気持ちの良いコード。

 

でも、写真のお二人は、揃ってDを押さえています。
一瞬、「ダイナマイトのDか?」と考えましたが(嘘です)、これは、撮影直前までDがキーの楽曲をバンド・リハしていた名残と考えるのが自然でしょう。お一人だけならまだしも両人揃って、ですからね。

 

キーがDの曲・・・何だ?

アルバム『JULIE WITH THE WILD ONES』には該当曲がありません。とすれば、ツアーのセットリストから、加瀬さんの曲を演っていたに違いない。
加瀬さんナンバーでキーがDの曲・・・(ゴソゴソとギター片手に検証)・・・あ、「おまえがパラダイス」!
う~ん、そうかもなぁ。あの柴山さんの写真の笑顔は。
でもこの曲はすでに記事を執筆済み。

他の曲だと・・・。
あ。
「TOKIO」かぁ、な~んだ
(コラコラ)。

 

だって、「TOKIO」は今回のツアー、絶対やりますからねぇ。
ひょっとしたらソロでも演るかもしれない・・・いや、それはファイナルだけかな?(とか言ってみなさまの注意をファイナルに引きつけ、何とか初日の競争率を下げて当選しようとする俺は俺アイアムアイ・・・あ、それはB面か)

 

しかしながらジュリーwithザ・ワイルドワンズ、果たしてソロのジュリー以外のファンの方々が、どのくらいの割合でいらっしゃるのか。
特に渋谷初日は、ワイルドワンズ関係のお客さんも多いのではないか、と見ました。

 

これはジュリーにとって、格好のチャンスではないでしょうか。
「TOKIO」は誰もが知っている楽曲。でも、一部熱心なファンを除けば、それは「なつかしのカッコイイ歌謡曲」というイメージ・記憶でしかないかもしれません。事実、数年前の僕がそうでしたから。
そんなイメージを一刀両断する、ジュリー渾身のパフォーマンスと、ファンの熱いノリ。これを天下に示す最高の機会だと思うべきでは。

 

まずとにかく、先日のNHK「songs」で放映された「TOKIO」はスゴかったですよね。
『歌門来福』ファイナルのオマケで歌われた「TOKIO」が正にあんな感じでした。
ジュリー、完全なロッケン・モード。
ジュリワンアルバム収録曲の映像手法の鬱憤が大爆発したんじゃないかと、僕は勝手に思っていますが・・・。
まさかノッケから「うわちゃぁ~!」とかシャウトするとは。”懐かしい歌手”というイメージでたまたま「songs」を観ていた方々は、ブッ飛んだでしょうねぇ。
同じように、「ちょっと観てみようか」という感じで今回のツアーに来場したお客さんを吹っ飛ばす・・・「TOKIO」にはそんな役割が課せられるのでしょう。それだけで、通常のソロLIVEの「TOKIO」とは意味合いが全然違うわけです。

 

お初のお客さんは当然、ステージで雄叫びを上げながら両腕を交互に突き上げるジュリーにも圧倒されるでしょうが、ジュリーファンの一糸乱れぬキメポーズにも相当ビックリすると思いますよ。
「そ~らを飛ぶ(チャ、チャ!)♪」の部分は、『ジュリー祭り』で僕とYOKO君が、「そんなキメごとがあるのか…」と、呆然とした箇所。
僕も今では身体が勝手に反応しますけどね。一体アレはいつ頃から・・・?

 

では、楽曲自体のお話を。
まずこれは、詞先だろうか曲先だろうか、というね。
詞曲どちらも完璧なヒットチューンであり、しかも相当な高水準なのですが、もし詞先なら、この詞に後からここまでテンション右肩上がりの曲をつけた加瀬さんは相当キテいますし、逆なら糸井重里さんのメロディー共鳴センスたるや、神技の域だと考えます。

加瀬さんの作曲手法は、ジュリーが阿久=大野時代を邁進している間に、少し変化してきたようです。
和音割りが明らかに細かくなっているんですね。
もちろん、従来の加瀬ナンバーの魅力は残されたまま、いわゆる”プラス洋楽”80年代歌謡曲のヒットチューンを習得。
そうなんです。「TOKIO」がアルバムのタイトルチューンとしてリリースされたのは1979年なのですが、この曲は明らかに80年代の手管で作曲・アレンジされているのです。
日本レコード界で、他ならぬジュリーが80年代の扉を開けたと言えるのですよ。

 

♪ と~、き~、お! ♪
     Em   F#m  Bm

 

このサビは歌メロというより、リフなんですね。
意味を考えるよりも先に脳に擦り込まれてしまう・・・一度聴いたら覚えてしまう・・・。
加瀬さんが「危険なふたり」のギターリフで確立した手法を、今度は純粋に旋律でやってのけようという。
この「TOKIO」で加瀬さんは、完全に時代をリードする作曲家となりました。次作「恋のバッド・チューニング」もキチンと「TOKIO」の流れを汲みながら、時代のニーズに合わせてきています。本当に冴えまくっていますね。

 

ところでこの「TOKIO」、アルバムとシングルではヴァージョンが違います。
アルバムの方は、いかにもタイトルチューンらしく冒頭のS.E.から流れるように始まり、コーダ部のコーラスのみによる「REPRISE」(おそらく本編フェイドアウト処理後のテイク)がアルバムラスト・11曲目に収録されています。
タイトルチューンが「REPRISE」としてもう1度収録されるというのは、ビートルズが「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」で開発した”コンセプト・アルバム”の基本形。
『JULIEⅡ』で冒頭の「霧笛」イントロとラストの「船出の朝」エンディングに同じS.E.が施されている事と、アルバム構成の意味付けは同じです。

 

加瀬さんは最初からこの「TOKIO」をシングルカット曲として推したそうですが、ジュリーが選んだのは渋く「ロンリー・ウルフ」。この辺りのいきさつは「songs」でも語られましたね。
結局「ロンリー・ウルフ」は思うように売れず、「絶対売らなければならない」という事で、よりソリッドでキャッチーなバンドサウンドに纏められた、シングルヴァージョンの「TOKIO」がリリースされたのです。

 

シングルヴァージョンの歌唱は、Aメロとサビを力強く、ブリッジをなめらかに、という切り替えがより強調されています。
僕はアルバム『TOKIO』それ自体を、”ロックと歌謡曲を積極的に融合した最初のジュリー・アルバム”として捉えておりまして、「MITSUKO」の叙情性と「ミュータント」の前衛性が同じレコードで味わえる作りを特に評価しているのですが、「TOKIO」という楽曲にはその2つの要素が内包されていて・・・これぞタイトルチューン!だと思いますし、これぞヒットチューン!とも思う・・・2つのヴァージョンが存在する必然性、そこにまず感動してしまいます。
いずれにしても僕がグッとくる箇所は

 

♪ 見つめていると 死にそうだと ♪
    G          F#7   Bm     E7+6 E7

 

激しいだけでなく、こんな美しい進行のメロディーが飛び出すのが、「TOKIO」最大の魅力。そして

 

♪ くわえ煙草で 涙落とした ♪
   Em      F#m  G    A7

 

で、うなるロックへと回帰。歌詞もメロディーもヴォーカルも、いちいちカッコ良過ぎますね。加瀬さんは長いキャリアの中で、「TOKIO」に最も自信を持っているんじゃないかなぁ…。 

2つのヴァージョンを比較しますと、完成度はシングルの方が高いですが、アルバムヴァージョンには自由度の高さがあります。
フェイドアウト間際のジュリーのシャウトなどは、アルバムヴァージョンならでは。
「TOKIO」(あと、「サムライ」も)は是非アルバムヴァージョンを多くの方に知ってほしいです。
LIVEで演るのは、シングルの方ですけどね。

 

♪ 闇を裂き スーパーシティが舞い上がる ♪
  D            C          G         D

 

スーパーシティかぁ・・・。
地方出身者の僕として若干悔しいけど、「TOKIO」は渋谷のステージによく映えると思います。
そして。
このジュリワンツアー、敢えて1曲目「TOKIO」と予想いたします!(それだとジュリワンではなく、ジュリカセツアーではないのか)
いや、加瀬さん派手好きそうだから・・・。

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2010年5月20日 (木)

秋も大忙し

21日朝まで、記事本文に大阪の日程が抜けてました~。ごめんなさい。

気になる・・・。
作詞・ジュリー/作曲・柴山和彦による「若者よ」。
ついに説教ソング?それとも人生指南?

というわけで。
本日はコメントのレスの前に、サクッと記事あげときます。

澤会さんからインフォきました~。
なんちゅうハードスケジュール!下山さん大丈夫かな・・・。

まずジュリワン追加が8・6渋谷。
ジュリワンはその後10月末までお休みで、9・3渋谷が待望のソロツアー『秋の大運動会・涙色の空』の初日でございます!
この日だけは行くよ!何があっても!
落選しても、行く!

だから澤会さま、2階席最後方で良いので、当選お願いしますだ~。

その後ジュリー&鉄人バンドは伊勢原、宮崎、鹿児島、広島の次が9・17大阪、山陰に入って島根そして豊岡(カミさんが腰ぬかしてた。そんなに辺鄙なトコなの?)と回り、神奈川県民が9・23。
で、武蔵野、韮崎、栃木と来て愛知芸術が10・3。
その後まだまだ荒川、佐賀の後に10・10が福岡市民。そして藤岡(群馬らしい)をはさんで10・29渋谷、10・31仙台イズミティなのですが・・・。

何と、この時点でジュリワンツアーも重なって行われてます!
10・20長野から再スタートし、三重、奈良。

11月に入りますと。
ソロで館林、多摩、浜松、千葉。
かと思ったら今度はジュリワンで北海道へ渡り、札幌が11・12.その後に函館(ココだけ一般不参加の特殊な企画みたい)、新冠(何処?)。ジュリワンのインフォはここまで。
今年のジュリワンのフィナーレはこの新冠町ってことでしょうか?
で、またまたソロに戻って11・19が神戸、20が京都。
そしてそして11・23大宮、11・27渋谷で締め!

う~ん、北が少ないですね・・・。

僕はソロ初日以外は、まだ何処に行くか決めていません。
とにかく、ソロの初日だけは譲れん~。

さてさてインフォには当然、新作CDの購入御案内も。
4曲入りの腹八分目(?)シングル!

1. 涙色の空(泰輝さん)
2. エメラルド・アイズ(下山さん)
3. まほろばの地球(GRACE姉さん)
4. 若者よ(柴山さん)

カッコ内が、作曲&編曲者
作詞はすべてジュリー。演奏はもちろん鉄人バンドです!
1900円。澤会さんに6月30日までに申し込めば、8月下旬に届けてくれるみたいですよ。充分予習できますね。

あとは、トークショーですね。7・21横浜ロイヤルパークホテル。

でね。
ジュリワンの渋谷追加が申し込み多数と予想されるので、8・6だけは申し込み方法が他とは違い、ハガキで、ということなんですけど・・・。
澤会さん、それは違うんだ!
史上最大の争奪戦になるのは、ソロの渋谷初日とファイナルなんですよ~。
読み違えましたね・・・。

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2010年5月19日 (水)

沢田研二 「死んでもいい」

from single、1972
『A面コレクション』収録

Acollection

disc-1
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなただけでいい
4. 死んでもいい
5. あなたへの愛
6. 危険なふたり
7. 胸いっぱいの悲しみ
8. 魅せられた夜
9. 恋は邪魔もの
10. 追憶
11. 愛の逃亡者
12. 白い部屋
13. 巴里にひとり
14. 時の過ぎゆくままに
15. 立ちどまるな ふりむくな
16. ウィンクでさよなら
disc-2
1. コバルトの季節の中で
2. さよならをいう気もない
3. 勝手にしやがれ
4. MEMORIES(メモリーズ)
5. 憎みきれないろくでなし
6. サムライ
7. ダーリング
8. ヤマトより愛をこめて
9. LOVE(抱きしめたい)
10. カサブランカ・ダンディ
11. OH!ギャル
12. ロンリー・ウルフ
13. TOKIO
14. 恋のバッド・チューニング
disc-3
1. 酒場でDABADA
2. おまえがパラダイス
3. 渚のラブレター
4. ス・ト・リ・ッ・パ・-
5. 麗人
6. ”おまえにチェック・イン”
7. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
8. 背中まで45分
9. 晴れのちBLUE BOY
10. きめてやる今夜
11. どん底
12. 渡り鳥はぐれ鳥
13. AMAPOLA
14. 灰とダイヤモンド

----------------------------------

ふ~。
A面コレクションの曲目リストを書くだけで結構大変でしたが・・・こうして見るとやっぱり僕のブログは、有名曲の過去記事が少ないですねぇ。

今日は枕からいきなり、お題をド~ンと前面に出しますが。

「死んでもいい」!


死んでもいい、とはまたストレートと言うか大上段と言うか・・・まぁとりあえず冒頭でこの曲の収録作品としてA面コレクションをご紹介させて頂いたワケですが、僕としてはできればこれ、ポリドール・イヤーズのシングルBOXで聴く方がおススメなのです。
なんたって

「死んでもいい/愛はもう偽り」

いや~、日本歌謡曲レコード史上に、すごいシングルがあったものですね。

では、どのようにスゴイのか。
まずは、「このシングルは果たして歌謡曲なのだろうか?」という、過激なお話から始めなければなりません。
”燃えろ八王子!この曲はハズせない!”ということで、ジュリーwithザ・ワイルドワンズ・ツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』セットリスト予想シリーズも、いよいよラストスパートに入りました。
「死んでもいい」、伝授!

Img4291

ジュリーのソロ4枚目のシングル。
2枚目「許されない愛」~3枚目「あなただけでいい」という流れを受けて、歌謡曲界の仕掛け的には、”禁断の愛に苦悩する年下キャラ”が続行しています。
コンセプトとしてはあくまで、「歌謡界の偶像たれ」という意図がハッキリしているのですが・・・。
このシングル盤「死んでもいい/愛はもう偽り」、どうも様子がおかしい。

明らかにおかしいのは・・・演奏。
クリームばりにゴリゴリ言わせながら執拗に噛んでくるギターが、「許されない愛」路線を引き継ぐホーン・セクションを完全に食ってしまっています!
無論、イントロから豪快に炸裂するホーン・セクションもかなりのハイテンションではあるのですが、この曲、ミックスが

(最左) ホーンセクション
(中央やや左) ベース、ピアノ
(中央) ヴォーカル、ドラムス
(最右) エレキギター


と、精鋭のトラック数を見事に配置してあって。
ヘッドホンで聴くと、右耳を刺激するギターが一番目立つようになっているわけです。
バッキングとリードギターを縦横無尽に行き来するトレブリーなエレキギターは、ビートルズのアルバム『リボルバー』で確立し、様々なバンドによって進化を遂げながら現在まで引き継がれる、正しく「リードギター」的な音。すなわちロックの音以外の何物でもないのですね。

また、ドラムスも相当キテます。
「僕など、余計者だよ~♪」から始まるBメロは、まさしく歌の主人公の心情になり代わったかのごとく、ドッカンドッカン!とスネアを叩きつけていて、通常2拍目と4拍目に入るべきアクセントが3拍目にも加えられています。しかも、サビに近づいてきますと、何と4拍とも連打してしまうという入魂のプレイです。
刻み音をハイハットからトップシンバルに切り替えるタイミングも、素晴らしい!プログレかと思いましたよ。

こういったロック寄りの演奏(特にギター)は、前作「あなただけでいい」にも見受けられますが、まだまだ「丁寧な」作りでした。
あくまでもセンス良く「規格からはみ出す」のが、ロックバンド演奏の醍醐味。ソロのジュリーにあって、「死んでもいい/愛はもう偽り」は、その意味で最初の1枚と言えるでしょう。

大体、「死んでもいい」の場合は、曲構成からして既に怪しい。
これが歌謡曲の範疇ならば、

1番→2番→間奏→3番→サビもう一丁

となるべきところ、「死んでもいい」ですと

1番!間奏!2番!ギターソロ!で終わり!

・・・これは完全にロックの手法ではありませんか。
さらに演奏について言えば、B面「愛はもう偽り」はA面に輪をかけて凄まじい演奏になっています(特にベースはね)。
歌謡曲戦略としてお仕着せられた(それもまた良いのですが)主人公のキャラクターは引継ぎつつも、音のニュアンスはどんどん尖ってきているのですね。

さて、こうなってきますとジュリーのヴォーカルもタダでは済みません。

冷静に考えますと、ものすごい歌詞、ものすごいタイトルなんですよね、この曲。
レコーディング前、ジュリーと加瀬さんとの間で

「し、しんでもいい・・・ですか・・・加瀬さん?」
「そうだ、ジュリー。死んでもいい、だ!さぁ、死んでもいい気持ちで歌うんだ!」

などという会話があったのかどうか。
でも、今改めてこの曲の素晴らしいジュリーのヴォーカルを聴くと、先日放映のNHK「songs」第2夜での加瀬さんの言葉がまざまざと思いだされます。

「結局、こちらの要求以上のものを見せてくれるから。ジュリーは」

番組中では、70年代後半くらいの思い出としてそう語られていましたけど、加瀬さんにとってジュリーは、最初からそういうヴォーカリストだったということでしょう。
「死んでもいい」のヴォーカルは、如実にそれを示しています。

聴いていて、個人的にビリビリと電気が走る箇所を挙げてみましょうか。
一番凄まじいのはサビ部です。

愛の、愛の、愛のために~ 死んでもいい~ ♪

「愛の、愛の、愛の♪」は吐き出すように、「死んでもいい~♪」はしぼり出すように歌うジュリー。
特に2番初っ端の「愛の♪」がスゴい。男性の僕でも鼻血が出そうです。

あとは細かい箇所なのですが

♪ 僕のことを 思うだろう

の、最後の「か」が必殺の吐息系だったりとか

♪ 僕は~、僕は~、の~果て~ ♪

「旅」の吐き出し方。「たび」と言うより「だび」と発音しているかのような迫力。
さらには

♪ だけど だけど このい~のち~ ♪

の「い~♪」が、潰し系のロック声でエロティックに舞う。

このあたりは細か過ぎますか?
でも

♪ やさしい人を待つだろう~、あぁ

なんてのは、いわゆる”「あぁ」のジュリー”の真髄とも言えるドキッとするほどの歌唱で、多くのみなさまもシビれていらっしゃるのではないか、と。
ここは、ジュリーのアドリブのようにこれまで聴いていましたけど、ひょっとしたら加瀬さんの指示だったのかもしれませんね。。


そして、歌メロの最後の最後

♪ 僕はいま~~~ぁぁぁああっっ!

と、文字通り”決死”のシャウトでキメてくれます。
ジュリーは元々タイガース時代から、洋楽カバーなどではこのようなアプローチで歌っていますよね。
自分の歌声の中にある”ロック的なもの”をどうやって歌謡曲の枠組みに取り入れていくか、というのは常にジュリーが考えていたことでしょう。
それを受け入れ、引き出してくれるのが、加瀬さんの楽曲だったのです。

こういったヴォーカルの凄みも、やはり商業的にはちょっと時代が早かったのでしょうか。はたまた、当時としてはバタくさい印象でもあったのでしょうか。
「死んでもいい」のセールスはさほどでもなく、次作「あなたへの愛」では、洋楽ロック的アプローチは残しながらも、「許されない愛」のような、ある程度制御されたアレンジと演奏に回帰します。
それはそれで”完璧な楽曲”という仕上がりになり、素晴らしいのですが。

ところで、『ジュリー祭り』が初ジュリーLIVEだった僕は、「死んでもいい」を生で聴いたことがありません。
LIVEの選曲頻度があまり高くない楽曲なのでしょうか?ジュリー自身の中に、歌唱に関してはレコード音源で「やりつくした」感があるのかなぁ・・・。

ちょっと手持ちのDVDで調べてみますと・・・。
おぉ、この曲『ROYAL STRAIGHT FLASH』(1998年正月コンサートのツアータイトルの方ね)の1発目だったんですよね~。
多くのジュリーファンにとって、お正月コンサートが始まって初めて”新年”という感覚かと思っておりますが、「死んでもいい」で始まる新年って・・・どうよ?
ちょっとスゴいですね・・・いやいや、リアルタイムで体験なさった先輩方がうらやましい。

とにかく、ジュリーがトークショーで語ったところによれば、「新旧とりまぜ加瀬さんの曲を歌う!」らしい今回のツアー、僕にとっては「死んでもいい」が生で聴ける大きなチャンスです。
是非歌ってもらいた~い!

B面「愛はもう偽り」も演ってほしいけど・・・さすがに無理かな。
もしも演ったら、ネタバレ解禁日記事のお題はそれですね。

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2010年5月17日 (月)

沢田研二 「ねじれた祈り」

from『耒タルベキ素敵』、2000

Kitarubeki

disc-1
1. A. C. B.
2. ねじれた祈り
3. 世紀の片恋
4. アルシオネ
5. ベンチャー・サーフ
6. ブルーバード・ブルーバード
7. 月からの秋波
8. 遠い夜明け
9. 猛毒の蜜
10. 確信
11. マッサラ
12. 無事でありますよう
disc-2
1. 君のキレイのために
2. everyday Joe
3. キューバな女
4. 凡庸がいいな
5. あなたでよかった
6. ゼロになれ
7. 孤高のピアニスト
8. 生きてる実感
9. この空を見てたら
10. 海に還るべき・だろう
11. 耒タルベキ素敵

---------------------------------------

”燃えろ八王子!この曲はハズせない!”
と改めまして先日「あなたへの愛」にて再スタートを切りました、ジュリーwithザ・ワイルドワンズ・ツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』、セットリスト予想シリーズ。

このまま有名曲の速射砲で大トリの「シー・シー・シー」へと繋げるつもりでおりましたが、ちょっと待った、リクエストが入りました。
このタイミングで加瀬さんナンバーのリクエストを頂いたら、そりゃツアー前にやっておかねばなりません。

それにね。
お題の記事を語るにふさわしい、嬉しいニュースも飛び込んできましたから。

そのお題、今回はりんだ様からリクエストを頂きましたが、以前にシロップ。様からもご依頼を受けております。

アルバム『耒タルベキ素敵』から、「ねじれた祈り」、伝授!

この曲は何と言いましても、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのアルバム収録曲の中でも人気の高い「Oh!Sandy」との共通点が多いです。

まずは”作詞・GRACE=作曲・加瀬邦彦”という年の差仲良しコンビのペンによる作品であること。
いや~、御自身のブログで拝見するに、加瀬さんはGRACE姉さんがかなりお気に入りのご様子。
バレンタインデーにチョコを貰って舞い上がっていらっしゃいましたし、つい最近も、ジュリワンのリハーサル開始の御報告がてら、アツアツのツーショットをupなさっていましたねぇ。

繊細な歌心を持つ作詞家ドラマー・GRACE姉さんと、トコトン前向きで陽気な作曲家・加瀬さんの組み合わせは、ジュリーナンバーにふさわしいと言えますね。
現時点では「ねじれた祈り」と「Oh!Sandy」の2曲だけですが・・・。今後まだまだ、このコンビの新たな楽曲をジュリーに歌って欲しいと思います。

そして、「ねじれた祈り」と「Oh!Sandy」は、リズムと曲調にも共通点があります。ハード・ロカビリーなのですね。この事は「Oh!Sandy」の記事でも既に少し書かせて頂いています。
アルバム『耒タルベキ素敵』の特性からすると、「ねじれた祈り」にも洋楽のオマージュ元があると考えられますが、残念ながら僕には解りません。
ただ、これだけは言えます。「Oh!Sandy」ともども、相当高い水準の演奏力を求められるナンバーだ、ということです。

ジュリワンLIVEに向けて、つい先日まで僕には大きな不安がありました。
もしも・・・もしも下山さん不在、なんて状態になったら、「プロフィール」と「Oh!Sandy」の2曲はかなりキツイ事になるんじゃないか、と。
いわんや「ねじれた祈り」なんて・・・下山さん抜きではちょっと考えられません。リードにしろ、バッキングにしろ、絶対に柴山さんとのアンサンブルが不可欠だと思います。

でも、「下山さん退院!」のニュースが、本当にギリギリのタイミング(これ以上遅れたらリハに間に合わない)でジュリー界を駆け巡りました。
もちろん、先に述べた「嬉しいニュース」とはこのことです。
やった、やった!
これで安心。

絶対に無理はしてほしくありませんが、下山さんは御自身のブログで「この埋め合わせは音で返す!」とカッコイイことを仰っていますし、ジュリワンツアーには参加してくださると思います。
近いうちに、加瀬さんのブログにさりげな~く写っている痩身のギタリストの御姿が確認できることでしょう。下山さんだけは、写っているのが下半身のみだろうが何だろうが、他のメンバーの誰とも間違えようがない(爆)。

実は、ギタリストって、楽器プレイヤーの中で最もブランクに強い演奏者なのですよ。
僕の身近の話ですと、つい先頃、バンド関係の友人の佐藤君(現在はタブラ奏者)に、10数年ぶりに無理矢理ギターを弾いてもらいまして。
本人も、「う~ん・・・」的な部分も多少あったにせよ、最終的には「意外と弾けるもんだな」とビックリしていました。少し音を出して他楽器と合わせただけで、かつての感覚が甦るみたいなのです。指とか、勝手に動いてしまうんですって。
しかもマーシャルではなく、ジャズコでそれでしたからね~。
相当の腕前とは言え、アマチュアのギタリストがすぐに勘を取り戻すくらいですから、優れたギタリストの復活能力たるや・・・凄まじいものなのですね。

そもそも下山さんは元来の格が違います。
ギターを究極まで突き詰めたお方ですから、ひとたび復活なされば音に関してはまったく問題はないはずです。

今回の退院報告で一番ホッと胸を撫で下ろし、心から喜んだのは、同じギタリストの柴山さんかもしれませんね・・・。

下山さんが健在ならば、お題の「ねじれた祈り」は例えベースレスであっても演奏の心配はいりません。柴山さんとの組み合わせは、いかようにもアレンジ可能ですから。
島さんがベースを弾いてくれたら、なお最高!

では、その「ねじれた祈り」アレンジの最大の肝であるベースラインを少し紐解いてみましょう。
まずはイントロのベース・ソロにご注目あれ。
隙間で、何かカタカタと音が鳴っていますよね。
これは打楽器の音ではありません。ウッドベースの弦をしなやかにはじいた時に発生する、ネックの表面をベーシストが叩いている音なのです。
ウッドベース奏者は、この音にすごくこだわります。アタック音もひとつのリズムとして演奏に加味するからです。
LIVE直前のモニター確認作業で、ウッドベースのアタック音作りにミキサーさんが腐心しているのを、僕も何度か現場で観たことがあります。

あ、僕は一応20代の頃、ウッドベースを練習してました。結局モノにはならず、ステージで演奏するには至らなかったんですけど・・・。
練習の際、徹底して教わったのが次の4つのポイントでした。

・3連符のシンコペーション
・理にかなった運指
・コードチェンジの経過音挿入
・開放弦を利用したフレーズ創作

演奏の際、これらを常に意識せよ、と。
ジャズの基本、ランニングベースは、ブロックスケール以外の音で、「経過音」(構成和音移動の際の繋ぎの音)を付け加えることが常識とされ、いわゆるロック・ベースとの最大の違いはその点にあります。経過音習得の過程で、様々なテンションコードをも同時に覚えていくわけです。

シンコペーションフレーズを初めて意識したのもウッドベースの練習期で、以来、プロのロック・ベーシストの中でも、サラッとシンコペーションを加味するプレイヤーの音を聴くと、「あぁ、この人は今まで僕が知らなかったことをキチンと会得していたんだなぁ」と、改めて味わうことができるようになり、吉田建さんはその代表格でした。
無論、「ねじれた祈り」のスティング宮本さんにも、それがあります。

「ねじれた祈り」のキーはBm(ロ短調)で、ベースの1弦(ソ)、2弦(レ)、3弦(ラ)の音を開放で弾く事が可能な進行。宮本さんは高音を中心にベースラインを組み立てていますが、ところどころに開放を使った刺激的なフレーズが登場するの事も、見逃せません。

さて、「ねじれた祈り」の演奏面で書きたいことはもうひとつあります。
ここでみなさまには、歌詞カードの演奏者クレジットをもう一度見て頂きたいのですが・・・。
キーボードの島田昌典さんの表記が、”オルガン”と”シンセサイザー”にわざわざ区別して書かれていますよね。

オルガンパートについては、みなさまも曲を聴けば一目かと思いますが・・・ではシンセサイザーは?

これはですね。
「この曲のサックスは本物じゃないよ。シンセの音だよ」
と、クレジットでわざとただし書きしているんですよ~!これ、『耒タルベキ素敵』というアルバムに散りばめられている”遊び心”のひとつだと思うんです。

それにしても、やっぱりプロのキーボーディストが弾くとそれっぽく聴こえるものですね。ちゃんと、スウィングしてます。
そうそう、ジュリーナンバーの中でも派手な「ブラス・ロック」と言える「渡り鳥 はぐれ鳥」も、当時のステージでこそ生のホーンセクションが振り付けと共に大活躍していますが、レコード音源はシンセサイザーの音なんですよ。まぁこの曲の場合は、かなりシンセ音の特徴を逆手にとって録音されていますけどね。

一方「ねじれた祈り」は、結構リアルな音でやってますね。
今では、それなりのシンセサイザーを使えば、管楽器系は素人でもわりと生に近い音が出せるのです。


↓ ちょこっとだけサンプル
「assyou.wma」をダウンロード
~DYNAMITEが目下制作中の、架空刑事ドラマのサントラ(井上バンドのパロディーとも言う汗)から、「圧勝のテーマ」先行試聴。1番Aメロがテナーサックス音、Bメロがトランペット音。イントロや刻み部のアンサンブルは、それらの音色にトロンボーン音が加わります。CD完成したら拙ブログにて宣伝します(無謀)~

(5月20日註:ごくごく一部の方にご好評につき、もう1曲ちょこっとサンプル貼ります。「謹慎のテーマ」です。シンセサイザーは、トランペットとストリングスとオルガンの音です。サンプル音源では登場しませんが、他の箇所ではフルート音も使用しています)
「kinsin.wma」をダウンロード

(5月22日註:またサンプル貼ります。もはや「ねじれた祈り」とはまったく関係ないな・・・。多くのみなさまが「シンセサイザー」という言葉から連想する音は、こんな感じだと思います。「衝突のテーマ」です。
「syoutotu.wma」をダウンロード

僕はあまり上等な耳を持っておりませんが、趣味でこんな事ばかりやっているおかげで、管楽器についてはいつの間にか生音とシンセサイザーの区別がつけられるようになりました~(弦楽器は未だにアヤシイ)。

「ねじれた祈り」のジュリーのヴォーカルはいい意味で隙が無い。これは、アルバム『第六感』あたりから徐々に練られ、『耒タルベキ素敵』で確立した白井良明さんのリミッターバリバリなサウンドメイキングに、ジュリーが敏感に反応しているのではないでしょうか。
そして21世紀のジュリーは、太い声質を生かしたヴォーカルスタイルへと変化していくことになるのです。

「ねじれた祈り」は「Oh!Sandy」と印象がかぶる可能性があるので、今回のツアーで選曲されるかどうかは微妙かと思っていますが、そこはホレ、僕の予想はよく外れるでしょ?「微妙」とか書いておけば、やるかも知れないって事ですよ。

それでは、次回はまた有名曲の記事に戻ります。
初日までもう2週間切ってるよ~。可能な限り頑張って、少しでも多くの曲を語っておかなければ!

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2010年5月14日 (金)

沢田研二 「あなたへの愛」

from single、1973
『ROYAL STRAIGHT FLUSH 3』収録

Royal3


1. どん底
2. きめてやる今夜
3. 晴れのちBLUE BOY
4. 背中まで45分
5. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
6. ”おまえにチェック・イン”
7. 麗人
8. ス・ト・リ・ッ・パ・-
9. TOKIO
10. サムライ
11. 勝手にしやがれ
12. あなたへの愛

---------------------------------

いきなり当てに行って、すみません。
今回から、
”全然当たらないセットリスト予想”
改め
”燃えろ八王子!この曲は外せない”シリーズに突入したく・・・。
大トリの「シー・シー・シー」の記事まで有名曲攻勢で疾走して参りたい。

当初は、「風吹く頃」「燃えつきた二人」「夜の翼」「愛はもう偽り」など、僕の大好きな、加瀬さんの隠れた名曲群で怒涛に攻めるつもりだったのですが。
どう考えても演らないじゃないですか、これらの曲達。

今回のジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー、加瀬さんの気合に満ち満ちた言葉を目にしますと、やはりアルバム収録曲以外は、会場全体が盛り上がるヒット・パレードで選曲構想を練っていると思うわけですよ。

(その反動で、9月のジュリー・ソロツアーがまたイントロ当てクイズ状態になることも期待)

夏のお祭り。歴史に残る伝説のコラボツアー。
それには、加瀬さんがジュリーに捧げた「誰もが知ってる」あの歌、この歌・・・そんなヒットチューン目白押しのセットリストがふさわしい。
僕等としても、それを楽しみに気持ちを高めていくべきではないかなぁ・・・なんて考えました。
意表を突く選曲があったら、それは嬉しいオマケということでね。

今回は、「加瀬さんの曲」というヒントがあるわけですから、いかな僕の予想が当たらないと言えど、加瀬さん作曲のヒットチューンを羅列して書いて行けば、2、3曲はビンゴするでしょう。
気持ちも新たに・・・3週間後に迫ったツアー開始まで、よろしくお願い申しあげます!

まずはこれです。文句のつけようのない、完璧な曲。
初期ジュリー・ナンバーの中、歴史的価値、普遍性は「君をのせて」と双璧でしょう。
「あなたへの愛」、伝授!

僕がこの大名曲を知ったのは、実はかなり遅いのです。タイムリーでは全然知らないんですよ。
ベスト盤『ROYAL STRAIGHT FLASH 3』のリマスター復刻盤で初めて聴いたのでした。

僕には”第1期ジュリー堕ち”という時代がありまして、30代後半の頃です。
仕事関係で、ジュリーのベスト盤3枚が復刻された事を知り、「懐かしいなぁ」と思いながら聴いて、ハマったというわけ。
それを期に、怒涛の大人買いでポリドール時代の復刻盤をすべて揃えましたが、何故かLIVEには行かず、徐々に情熱がフェイドアウトしかけた頃に「ジュリー祭り」でヤラれてしまって・・・そこから後が第2期。これ以降の僕の状態については、拙ブログ読者のみなさまならよく御存知でしょうか・・・。
”第3期”というのはたぶん来ないですね。第2期が永遠に続くでしょうから。

「あなたへの愛」との出逢いは、その第1期の初っ端だったのです。

僕の世代にとって、”ジュリーがヒット曲を歌っている”というタイムリーな記憶は、やはり「勝手にしやがれ」が最初なのです(YOKO君は、ジュリーファンの叔母さんの影響で「コバルトの季節の中で」を鮮明に覚えているようですが)。
「時の過ぎゆくままに」「危険なふたり」も何となく知っていましたが、それがタイムリーであったかどうかすら解らないほどの曖昧な記憶でしかありませんでした。
そして、「あなたのへの愛」に至っては、まったく未知の楽曲だったのです。

ちなみに、僕とYOKO君の付き合いは20代の頃から。でも、実は出会ってから10年以上も、ジュリーの話なんてしたことなかったんですよ、ずっと。
30代後半で第1期ジュリー堕ちした僕が
「今度、沢田研二の『ROYAL STRAIGHT FLASH』が3枚再発されたんだけど、これがかなりイイんだよ~」
と何気なく話を振ったところ、彼はすでに『快傑ジュリーの冒険』と、古い『A面コレクション』を持っていた、という次第で。
長電話で「酒場でDABADA」の映像の話とか、いきなりされちゃって・・・それを機に、それぞれが競うようにポリドール時代のアルバムを聴きまくり、東京ドーム参戦に至る・・・そんな流れがあったわけです。

そうした中、「あなたへの愛」は両者ともに大絶賛(意外とYOKO君とは”とてつもなく大好きなジュリー・ナンバー”がかぶっていない)の楽曲となりました。
ところが。
当時頻繁に行われていた真夜中の長電話ジュリートークで「あなたへの愛」の話をしていた際、YOKO君に「はぁ?」と言われる事態が勃発。

何かと申しますと。
僕の手持ちの『ROYAL STRAIGHT FLASH 3』は、リマスターの初版なのですが、歌詞カードのクレジットに致命的な誤植があるのです~(涙)。

↓ これ!

File0507

いくらジュリーと加瀬さんがただならぬ関係とは言え、さすがにこれは・・・。

という事で、僕はYOKO君に指摘されるまで、当初「あなたへの愛」の作曲者をジュリー自身だと認識しておりました~。
最近になってから『ROYAL STRAIGHT FLASH 3』をご購入のみなさま。再版でちゃんと直っているかどうか、チェックしてみてくださいね。

では、楽曲それ自体のお話を。
「あなたへの愛」は、B面が「淋しい想い出」という事も合わせて、完璧なシングル曲だと思います。
完璧な詞曲、アレンジ、演奏、そしてヴォーカル。

ジュリーのヴォーカルは、出し惜しみないですねぇ。
何と言いましても、多くの方が仰る通り、「あぁ♪」の連発がスゴい。そう言えば加瀬さんは、「君をのせて」でのジュリーの「あぁ♪」を激賞していらしたとか。
『爛漫甲申独唱会』のMCでジュリーがそう言ってました。
「それ以来ワタシは、あ~あ♪と歌う曲が多くなりました」って。

下手するとこの「あなたへの愛」、安井かずみさんの最初の作詞の時点では、「あぁ」なんて全く書かれていなかったかもしれませんよ。
すべて加瀬さんの策略だったのでは・・・。
加瀬さんはト長調のこの曲を、わざわざ最後のサビ繰り返し部でイ長調にまで跳ね上げ、ジュリーの”あ~あ悶え”を引き出そうとしていますね。これ、おそらく「君をのせて」のラストの転調を聴いて「自分の曲でもやってみよう!」と思ったんじゃないかなぁ。
高いド#から高いソ#という超高音域を行ったり来たりする転調部のジュリーヴォーカルは、圧巻です。加瀬さん大成功!

ただ、ジュリーがヴォーカリストとして感情移入しやすいアレンジ、演奏になっている点は見逃せません。
特にイカしているのはドラムスです。変に泣かせの意識がなく、カッコ良く、しっかりと楽曲を噛み砕いた構成に仕上げています。
Aメロとサビのニュアンスの違いが、素晴らしいんですよ~。
基本エイトビートのリズムですが、サビではキックだけ16分音符で跳ねまくるのです。解り易く仮名表記いたしますと、Aメロが

どん、た・ど
どん、たん♪

それが

♪ 誰にも負けない あぁ、あなたへの 愛を ♪
    G       Bm                  C  Am  Am7 D7

の部分から

どっどど・たん・どど、どっどど・たん♪

という躍動の演奏に変わるのです。
まるで、歌の主人公の湧き出る意思を汲んでいるように。

Aメロの楽器が、ドラムス、ベース、アコギの3つしか鳴っていない、というのもスゴイ事です。よほど優れたメロディー&歌唱でないと、演奏の薄さばかりが際立つでしょうが、「あなたへの愛」については全く問題ありません。

そのシンプルなバンド演奏に載せたヴォーカルの隙間に絡むリードギターの音色が、初めて聴いた時は懐かしかったなぁ。これは、コーラス・エフェクターにちょっとだけディストーションをかけ合わせて出る音なんですよ。初めて自分のバンドを録音した時に、僕はリードギターにこの音色を選んだものでした・・・。
Aメロ2番からは、オケとコーラスも噛んできますが、金楽器は最初は低音だけ。サビ直前にゴリゴリのトランペットがカッ飛んでくるのがカッコ良過ぎます。

あとですね、気づきにくいでしょうが、コーラスにはかすかに男声もミックスされていますよね?
右サイドから聴こえます。これが妙に効いています。

シンプルな楽器編成から始まり、ふと気がつくといつの間にか贅沢なアレンジの大海の中に身を委ねている・・・「あなたへの愛」は、そんな大名曲です。
是非ジュリワンLIVEで聴きたいけど・・・さてどうでしょう?

それにしましても、改めて今回調べましたら・・・このシングルは何とまぁ元旦リリースでしたか!
当時ですと、どう考えたってレコード屋さんは開いてないですよね・・・。
お年玉かかえたまま、3が日を悶々と過ごした先輩方も多かったのではないですか~?

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2010年5月12日 (水)

沢田研二 「NOISE」

from『G. S. I LOVE YOU』、1980

Gsiloveyou_2 

1. HEY!MR. MONKEY
2. NOISE
3. 彼女はデリケート
4. 午前3時のエレベーター
5. MAYBE TONIGHT
6. CAFE ビアンカ
7. おまえがパラダイス
8. I'M IN BLUE
9. I'LL BE ON MY WAY
10. SHE SAID…
11. THE VANITY FACTORY
12. G. S. I LOVE YOU

--------------------------------------

はじめに・・・。
「オマエ、またか!」
とお怒りになる方も多いと思いますが、やはり正直に書きます。

僕が八王子盛り上げ隊長に立候補している事に変わりはないのですが・・・実は初日にも行くことにいたしました。
プレプレファイナル、歌門ファイナルに続き、ここまで来るともはや狼少年・・・否、狼中年の域なのではないか、と我ながら思います・・・。

今回の「僕達ほとんどいいんじゃなあい」ツアーについては本当に、運命に従うつもりでいたのです。
渋谷に落選したことを記事に書き、その後親切にチケットをお譲りくださることを申し出て頂いた先輩方にも、僕の心情を説明し「僕は八王子を盛り上げます」とのことで、なるべく普段LIVEに参加しないみなさまや、渋谷しか予定の空けられない先輩方に初日のチケットが届けられるよう配慮しまして、事実この5日間にも何件かの仲介をしてまいりました。

しかし、唯一。
「そんなうまい話はないだろうけど、ただひとつの条件ズバリのチケットにめぐり逢えたら、その時は行こう」
と考えていた、僕にとっての最神席というのが、実は頭にありました。
それは・・・他のみなさまにしてみれば「あまり良くない席」ということになるのでしょうが、1階最後列なんです。

僕が何故そのポジションに思い入れがあるか、というのは、2009年1月11日『 奇跡元年』のLIVEレポートを読んで頂ければお解かりになるかもしれません。
身長170cmの僕がジュリーファンのお姉さま方の中に入ってしまうと、どうしても頭ひとつ高くなってしまいます。スタンディングはしたい、でも後ろのお客さんがステージを見辛くなってしまう事は避けたい・・・。
これまでのジュリーLIVEは、常にその配慮をしてきたつもりです。立つには立つけれど、腕を突き上げたりする行為は、できるだけ控えてきました。
ただ1回だけ、何の遠慮もなく心のままに身体を動かし暴れまくったLIVEが、1階最後列の『奇跡元年』だったのです。

そして先日、ある先輩から「ご迷惑でなかったら」とお申し出を頂いた初日のチケットが、1階最後列でした。
ブログを執筆しているというだけでこの役得。納得のいかないファンの方々も多いと思っていますから一瞬考えましたが、行くことに決めました。
本当にありがたいことです。

でも、落選直後に心に決めたことは変わっていません。
今回八王子で同じ空間を共有することになったみなさまと力を合わせ、5月30日のステージを楽しみに待ち、大いに盛り上げて行こう!と。

考えてみますと、演奏や歌唱それ自体は、大抵ツアー初日より2日目の方が出来がイイことが多いんですよ。
初日からバシッと完璧、なんて滅多にありません。それを是正しステージ慣れして臨む2日目が良いのは、必然。
ましてや今回は初のワイルドワンズと鉄人バンドのコラボになるわけですから、なおさらですよねぇ。

今回は初っ端の渋谷が2daysではないから、”2日目”に当たるのがズバリ八王子なのです。
これはかなり期待してイイと思います。
あとは、お客さんのノリ!
僕も微力ながら何とか頑張って、会場の盛り上げに役立ちたい、と思う次第です。
LIVEレポートも、初日の様子を軽く振り返りながら、八王子を中心に書こうと決めています。
初日は他のブロガーさん達も大勢いらっしゃるようですしね。
八王子の席を生かし、島さんの演奏をじっくり観てくるつもりです(心配なのは下山さんですが・・・)。

そんな事情もありつつ、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズは今日も続きます。
でもね、今回あたりから若干当てに行ってるかも。

お題は、アルバム『G. S. I LOVE YOU』から。
三浦=加瀬コンビの傑作群の中でも、これは最高に渋い、尖ったロック・ナンバーをお届けいたします。
「NOISE」、伝授!

これは、媚びの無い曲です。
アイドル歌手のアルバムならば収録の余地などない、歌謡曲とはかけ離れたアプローチのナンバー。
しかも、「この曲が好き!」という先輩方の何と多いことか。そこがジュリーの凄いところでもあります。

以前の『G. S. I LOVE YOU』収録曲記事にも少し書きました通り、僕はこのアルバムのミックスの特殊性に惹かれていて、アルバム1枚通して聴く意義というものを強く感じています。
各パートのミックスバランスが、「擬似・擬似ステレオ」(ダブっているのは誤植ではありませんよ~)と言うべき大胆な手法で行われているのですね。

「擬似ステレオ」というのは、60年代、まだステレオ録音技術が存在せず、モノラルでレコーディングされた楽曲を、後世に名を残すミキサーやエンジニア達が強引にステレオ・リミックスしたビートルズの初期作品を指して言う言葉です。

この独特の音の振り分けが多くのビートルズフリークのミックス嗜好を生み、80年代初期のネオ・モッズの連中は、わざとそういう古臭いミックスで作品を発表していったのでした。これらをして、「擬似・擬似ステレオ」。
そして同じ頃・・・日本でもそれを敢行したロッカーの作品が存在した!
その作品こそ、ジュリーの『G. S. I LOVE YOU』というわけです。

特にアルバムの中でも冒頭3曲の流れは、ミキサーの執念を感じるほどに徹底しています。
「HEY!MR. MONKEY」→「NOISE」→「彼女はデリケート」の、耳よりも脳に直接訴えてくるような疾走感とスリルは、そんな秘技に裏打ちされたものなんですよ~。
曲間にそれぞれトリッキーな工夫があるのも良いですね。

また、『G. S. I LOVE YOU』は各楽器のミックスだけでなく、ジュリーのヴォーカルに施されているエフェクトリターン設定にも大きな特徴があります。
ディレイ・タイムと言って、声のはねっかえりを調節する技術があるのですが、これを「あ♪」という声に施した場合の両極端な手法を2種類説明しますと

① SHORT
「あ♪
ああああっ・・・

② LONG
「あ♪・・・・・あ・・・・
あ・・・・あ・・・あ・・・

「NOISE」はじめ、『G. S. I LOVE YOU』収録曲の多くに、②の手法が使われているのがお分かりでしょうか?
しかも、残響音をわざわざ右サイドに振って(1980年の時点では、これはまだまだ手間のかかる作業ですよ。ミキシングへの情熱がなければなかなかここまではできません))目立たせています。

ジュリーのヴォーカルやバックの演奏それ自体の凄みは当然として、こういったヴォーカル&楽器のミックス手法はロック的アプローチでしかあり得ないことで、ジュリーが当時から単なるアイドル歌手ではなかったことを知らしめてくれます。
後追いの僕は、『G. S. I LOVE YOU』を30代後半で初めて聴き、その点大いに驚いたものです・・・。

この時代、ステレオレコーディング技術に何の問題もないわけですから、わざと60年代の擬似ステレオを模していることになるのですが、同じことは楽曲のアレンジについても言えるのですね。
洋楽を熱心に聴いていた方なら、『G. S. I LOVE YOU』収録曲に「あの曲に似ている!」と、多くのオマージュを見出すことでしょう。
これも、わざとそうしているのです。「どのくらい気づいてくれるかな?」という狙いなんですよ。

例えば「NOISE」は、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」を引き合いに出されることが多いようです。
「たん・たん・たたた!」というタンバリンのリズムや、リードギターのフレーズなどから受ける印象なのでしょうが、実はこれは「サティスファクション」が有名な曲だから(ジュリー自身がよく歌っていますしね)という、線の中から点をとるくらいに過ぎなかったりします。

「NOISE」のオマージュ元は、ストーンズだけでも数曲あります。ハッキリしているものだけでも「サティスファクション」以外に2曲。
印象的な「Hey、Hey」のフレーズ連呼は「サティスファクション」だけでなく、どちらかと言うと「ひとりぼっちの世界」という楽曲からのオマージュですし、ギターは「19回目の神経衰弱」。
その他にも、明確ではありませんが、「ザ・ラスト・タイム」や「オール・ソールド・アウト」といった楽曲のエッセンスが取り入れられているようです。

ストーンズ以外ですと、キンクスの「豪邸売ります」とか。
「NOISE」はコード進行も(密かに)凝っていて、Aメロがホ長調で、Bメロ→サビでいつの間にやらイ長調に化けるんです。
Bメロの

♪ NOISE、 It's a NOISE、It's a NOISE~ ♪
    A                  D                 E7

の部分。
これはイ長調のスリーコードでして、通常最後のE7のコードがドミナントになってAに戻るはずなんですが、そのままE7で1小節引っ張って、次の小節では、ホ長調であるAメロのトニックにそのまますりかわっています。
これはレイ・ディヴィス(キンクス)の得意技なのですね。

まぁしかし、「サティスファクション」が一番解りやすいことは確かで。
このような幾つものオマージュ元の合わせ技は、作曲段階のアイデアではなく、アレンジやプロデュースによって楽曲を「いじる」やり方で練られたのではないか、と僕は推測します。
やるとなったら、あくまでも堂々と、ね。
加瀬さんと銀次兄さんのコンビなら、作業もすごく楽しかっただろうと思いますよ。

別の曲のお話になりますが、どのくらい堂々としているかと言いますと。
アルバム収録曲の中でも人気の高い「THE VANITY FACTORY」。この曲を1998年の正月コンサートでは、オマージュ元で一番有名な、これまたストーンズの「アンダー・マイ・サム」と続けて演奏する、というニクイ演出がありました。

そんな選曲をしてしまうジュリーと、冒険心溢れる策士・加瀬さんの二人が揃っているのですから、今回のジュリワンLIVEで、「NOISE」~「サティスファクション」のメドレー演奏!なんて演出も考えられなくはありませんよ~。

同じようなことは、「シー・シー・シー」の記事でも書く予定ですが。

あと、細かいことですがS.E.の時計のベルの音が僕にはツボです。
「ジリジリジリ・・・」というあの音色を選んだのは、銀次兄さんでしょうか?さすがです。
ビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を始め、60年代サイケデリック・ロックで、多くのバンドが使用した”トリップするS.E.”代表格の音色ですね。

さてさて。
拙ブログのアクセス数が、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー初日に大きく先立ちまして、次のキリ番(40万ヒット)を迎えることになりそうです。
ありがたいことです。

執筆内容が纏まらず、リクエストをお待たせしている方々も多いのですが、キリ番リクエストに限っては何とか頭を捻って速やかにお応えすることを、ささやかながらの自分の方針としております。
八王子のLIVEレポが終わったくらいのタイミングで、何とか。

キリ番踏まれた方、是非リクエストのコメントをくださいね~。

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2010年5月 9日 (日)

沢田研二 「今夜の雨はいい奴」

from『BAD TUNING』、1980

Badtuning

1. 恋のバッド・チューニング
2. どうして朝
3. WOMAN WOMAN
4. PRETENDER
5. マダムⅩ
6. アンドロメダ
7. 世紀末ブルース
8. みんないい娘
9. お月さん万才!
10. 今夜の雨はいい奴

-------------------------------------

おもに関東地方を中心に猛威をふるったジュリワン・ツアー初日の抽選騒動もどうやらおさまり、自分の気持ちも完全にシフトさせました。
とにかく、秘かにワンズのメンバーの中で最大のキーマンとして期待していた島さんの一挙手一投足をガン見できそうなお席にて、”炎の8王子(と、グレース姫)”レポを書くことになりそうです。
頑張ります。

それにしても、この間新宿高島屋で偶然お会いして「じゃ、次はジュリワン渋谷初日にお会いしましょ~!」と言って別れたお三方全員と、見事八王子で再会決定のようですわ。やっぱり、スゴイ競争率だったのですね・・・。

さぁ、拙ブログではその八王子へ向けまして、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズを続けてまいりましょう!
今日はですね。
アコースティック・ギター或いはオーケシトレーションに頼らずとも、普通のロック・バンドの楽器編成だけで、こんなにもしっとりとしたバラードが演奏表現できるのだ!
という話をしようと思います。

加瀬さん作曲の作品に、格好のナンバーがあるのです。
「沢田研二はロックをやっているんだ!」と万人に対して断言し得る、最初のジュリーのオリジナルアルバム『BAD TUNING』。
お題はその大トリを飾る、ブルージーながらも何故か明るさを感じさせる瑞々しいバラード・ナンバーです。
「今夜の雨はいい奴」、伝授!

先日、今回のお題について”元サヤバラード”って予告をしたんですけど、この「今夜の雨はいい奴」をそういう風に捉えているのは、僕とYOKO君、他おそらく数名という超・少数派でしょう。
普通に聴けば、別れた女性を思い出しながら深夜にくだを巻いている情けない男の歌。
でも僕は、この歌にまったく悲壮感を見出せない。
キラキラと輝かしい”明日”すら見えちゃうんだなぁ・・・。これが、ロック的なアレンジのマジックだと思うんだ。

加瀬さんの作曲作品って、実はいわゆる楽曲構成ジャンルとしての”バラード”が数えるほどしか無いのです。
ここで言う”バラード”というのは、ゆったりしっとりと、スローに聴かせる類のヤツね。

例えば「あなたへの愛」などはバラードと言えなくもないのですが、テンポはミディアムで、僕の中では”キャッチーなポップチューン”という印象なのですね。

きっと加瀬さんは基本的にウキウキするような曲が好きで、得意なのでしょう。そんな中「今夜の雨はいい奴」などのバラードナンバーは、「刀を抜いた」という感じで逆に加瀬さんの魅力が光ります。

「今夜の雨はいい奴」は歌詞の表面だけなぞると、恋人と「激しい諍い」の末に別れてしまい、酒場で飲んだくれている孤独な男の物語です。

♪ おまえの思い出が入ってくる ♪
  C           Em7     Dm7     C   C7

とか

♪ もう一度この手で抱きしめたい ♪
     F            Em     Am         Fm

など、別れた女性を思う切実な描写も出てきます。
しかし、僕には主人公とその恋人(または奥さま)がこのまま音信不通となり、不幸な幕切れを迎えたようには、聴こえない。これが重要、アレンジの為せる技!


この曲の楽器編成を、ステレオ位置関係から挙げていきますと

(LEFT to RIGHT)
エレキギター(2nd)
エレキギター(1st)
ドラムス
ベース
シンセサイザー(organ)
シンセサイザー(electric piano)

この6つ。
アコースティック・ギターやオーケストレーションに頼らないバラード・アレンジは、60年代後半から70年代前半のアメリカン・ロックの特徴でもあります。オマージュはザ・バンドあたりにあるのかなぁ、と考えますが、僕がこの「今夜の雨はいい奴」を初めて聴いて想起したのは、大好きなロッカーであるジョン・ハイアットの「FEELS LIKE RAIN」という曲でした。楽器編成がほぼ同じバラードなんです。
自分の中にささやかながら築き上げてきた洋楽エッセンスとピッタリ重ね合わさった時のジュリー・ナンバーというのは、僕にとって大きな破壊力を持ちますね~。

「今夜の雨はいい奴」では、上記6つの楽器パートが巧みに入れ替わり立ち替わり、計算され尽くした演奏を見せます。
編曲は後藤次利さん。さすが
です!

1番では最右サイドのエレクトリック・ピアノの音色が大活躍しますが、2番ではス~ッと後ろに退いて地味な演奏に徹し、代わりに叙情的なオルガンがやや右寄りに忽然と登場します。
印象的な「ド~レミレドファ~♪」というリフを奏でるのは中央のファーストリード・ギターであるのに対し、歌メロの隙間を縫うようにして、バッキングと単音を使い分ける最左サイドのセカンド・リー・ド・ギターも素晴らしい。

ジュリーwithザ・ワイルドワンズのLIVEで万が一「今夜の雨はいい奴」が聴けるのであれば、ギターについてはファーストリードを下山さん、セカンドリードを柴山さん、という配置でお願いしたいなぁ。
あと、泰輝さんは間違いなくピアノでしょうが、この曲のピアノはさほど難易度が高くないし、是非とも泰輝さんの”神の左手”によるオルガン・パートを加えて頂くことも期待した~い!

そして、何と言ってもこの曲のドラムスはGRACE姉さん向きです。
こういったブルース・ロックっぽいアレンジのバラードの場合、ドラマーは通常のスティックの代わりに「ブラシ」という特殊な武器を使用します。
一番の効果は、アタックがやわらかくなること。
クラッシュシンバルが荘厳な響きになったり、ハイハットではなくスネアドラムの縁に近い部分を使って8分音符や16分音符の刻みを入れたり。
チューニングが緩めの演奏が多いGRACE姉さんにはピッタリのバラードだと思うのですが・・・。

・・・そんなワケで、徹底的にロックなアプローチのこのナンバー、おかげで僕は哀しいイメージをまったく持てないのですが、岡田冨美子さんの詞も相変わらずのカッコ良さでございます。
何度も登場する「今夜の雨はいい奴♪」というフレーズが、最後の最後

♪ 今夜の雨は・・・mmm~mmm~ ♪
        Em7    Dm7      G7       C       F       C      F

というハミングに取って代わります。ジュリーのヴォーカル、これが最高にシビれるのですが、この部分は岡田さん作詞の段階から言葉を途切れさせていたのではないかと思うのです。
夜明けに雨が止んだのか。思い人が迎えにやってきたのか。
そんな明るさを象徴しているような気がします。”元サヤ”の予感、バリバリです。
この「今夜の雨は・・・」という絶句をして”嗚咽”と受け止める方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はそうではないように思うんですよね・・・。だって、ジュリーのヴォーカルに悲壮感が無い。むしろ温かいものが伝わってくるんですよ。

ちょっと、他のジュリー・ナンバーと比較してみましょうか。
例えば、歌詞の表面だけだと完全な「元サヤバラード」とも言える、これまた加瀬さん作曲の「二人の肖像」という楽曲があります(作詞は安井かずみさん)。
アルバム『JULIEⅥ~ある青春』の収録曲ですね。
こちらは、”何回揉めてもやっぱり君が好きだ”という内容なのですが、キーは短調で、ジュリーも悲しげに歌うものですから、「最終的には別れてしまう二人なのかなぁ」という気がしてしまうのです。
これはこれで名曲です(いつか記事を書きますね)けど、明るい気持ちにはなりにくくて。
やっぱり、メロディーやアレンジから受ける印象は大きいです。しかもジュリーは、バックの演奏に敏感なヴォーカリストですからね。

じめじめしていない爽やかなバラードもまた、ジュリーの真骨頂とも言えるわけですが・・・「今夜の雨はいい奴」のヴォーカルは本当に素晴らしい。
美しく深い味わいに満ち、心が洗われる。悲しみや躓きが四散していく・・・そんな歌声だと思うのです。

このアルバムにはもう1曲、「PRETENDER」というバラード(こちらも大名曲)も収録されていますが、いずれも「ロック」としか言いようのないアレンジ・演奏が徹底されているのが特徴です。
「ロンリー・ウルフ」でジュリーがチャレンジした”あくまでもロックなアプローチの演奏とメロディー・アレンジによるバラード”という萌芽は、『BAD TUNING』収録のこの2曲に直結して受け継がれ、その後永遠にジュリーの揺るぎない魅力として確立した、というのが僕の考え方なのです。
大げさに言葉を連ねているようですが、仕方ありません。ジュリーのこういう曲が大好きなものですから。

まぁ・・・実際にLIVEで聴ける可能性は少なそうですけどね・・・。

さてさて、次回記事ですが。
もう残すところ数週間となり、この機に是非書きたい、と決めていた曲を順番に片付けていかねばなりません。
次のお題はもう決まっていて、アルバム『G. S. I LOVE YOU』から。
ジュリワンLIVEに向けて、何人かのファンのみなさまの期待大だという事が判明いたしましたあの曲を行っときます!
「サティスファクション」だけじゃなくて、色々な洋楽エッセンスが詰まってるのよ~、という話をしますね。

とにかく!
僕は八王子の盛り上げに全力を尽くします!

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2010年5月 7日 (金)

八王子だョ!全員集合!

来ました、チケット。

セットリスト予想シリーズに臨み、「薔薇の真心」の記事にて、チケット到着を心待ちにしている自分の心境を「15の時」の替え歌で

♪ この愛は 決して許さない 落選を ♪

などと表現したワケなんですけど。

まず到着した封筒をパッと見て目に入った・・・小さな小さな文字は

八王子1

その瞬間僕はガクンと膝をつき(本当に肩を落としガックリと膝をつきました。カミさんが証人です)、”全然当たらないセットリスト予想”シリーズに「愛はもう偽り」を加える決意をいたしました。

しか~し!
ガサガサと封筒を破って取り出した八王子市民会館のチケット座席番号を見て、一転、橋のたもとのグリコポーズばりのジャンプをしながら(忙しい奴だ)、今度はセットリスト予想に「あなたへの愛」を加えたくなりました。

神様はね、僕にこう仰るのですよ。

初日のレポはあいら様にお任せなさい。
なぁに今回は、たった2日の辛抱じゃないか。
その代わり、八王子でキッチリと「アニター!」に拳振り上げで応えている元気な男性ファンがいる事を、島さんに見てもらいなさい
そして、下山さんがどのくらい元気になったのか、しっかりと指の動きまで細かくチェックしてレポートしなさい。

・・・と。

わかりました~!!
抽選ゲット率は未だ0割でも、これで1桁席率は5割に戻したじゃないか。しかも今回はファンのみなさま言うところの松席じゃなくて、ギリギリ神席の範疇だろう。
こんな贅沢な人生に、文句などありません。初日不参加は余裕でガマンできます。大丈夫です!

たったひとつだけ、みなさまにお願いがあります。
初日参加直後の感想は、ネタバレコーナーにしかるべき記事をあらかじめ用意いたしますので、そちらにお願いいたします。
その際、レスは30日以降までお待ちください。

どうかよろしくお願いいたします!

ひいきゃん様、マルコ様・・・きっと他にもいっぱいいらっしゃいますね。
ご一緒に八王子を盛り上げてまいりましょ~!

さて、シャララ踊りの練習しよ。

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2010年5月 1日 (土)

沢田研二 「パフューム」

from『A WONDERFUL TIME.』、1982

 

Wonderfultime

 

1. ”おまえにチェック・イン”
2. PAPER DREAM
3. STOP WEDDING BELL
4. WHY OH WHY
5. A WONDERFUL TIME
6. WE BEGAN TO START
7. 氷づめのHONEY
8. ZOKKON
9. パフューム
10. 素肌に星を散りばめて

 

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本題に入る前に、まずはこの場を借りて吉田Qさんに御礼を申しあげなければなりません。

何かと言いますと、拙ブログ右上にリンクしております、真夏の祭典・ASAHI SUPER DRY THE LIVE、公募アーティストによる出演権を賭けたweb投票。
このたびジュリーwithザ・ワイルドワンズに提供した「涙がこぼれちゃう」「いつかの”熱視線ギャル”」で吉田Qさんを知ったジュリーファンのみなさま(かく言う僕もその一人です)の熱い支持もあり、エントリーNO.8のQさま、見事なスタートダッシュをキメちゃったそうです。
「フェラーリに乗ってる気分」だそうですよ。

「songs」放映の効果でしょうか、世間では「涙がこぼれちゃう」の認知度が急上昇中。
ネット上でも吉田Qさんの情報が溢れる涙がこぼれちゃう状態ですから、ジュリーファンのみならず、浮動票の獲得も大いに期待できそうです。
しかし、投票期間はまだまだ続きます。投票数4位以内で決定する出場権を目指し、油断はできません。
投票がまだの方々は、是非。

 

Qさまは、スタートダッシュの感謝の気持ちをこめ、特製の花束(?)を用意してくださいました。この不肖・DYNAMITEに、ジュリーファン代表として受け取って欲しい、と・・・身に余る光栄でございます。本当にありがとうございます。
Qさまのたくさんの女性ファンを泣かさないように、とのことで敢えて男性の僕を選んでくださったのだと思いますが、僭越ながら

 

御礼を申しあげたいのは、我々の方なんです!

 

という多くのみなさまのお気持ちを、ジュリーファンを代表いたしまして、吉田Qさんに是非お伝えしたいのです。

 

それにしましても、Qさまが”橋のたもとでシャララ”と題してブログにupしてくださった2番目のお写真・・・。
「何でシャララのB面曲が収録されてないねん!」
と、全員から指差されてるようで、大汗かきました~。
ここはひとつ、Qさまが今夏のフェスをステップにビッグになり、メジャーデビューCD大絶賛発売の暁に、お仕事をおねだりがてら陳謝に乗り込もうかと企んでおります。
どうかその日が現実になりますように・・・。

 

吉田Qさんについては、「涙の京都駅」などの楽曲を初めて試聴した今年1月の時点からしますと、ずいぶん僕の中でのイメージが変わってきておりまして、今では、”徹底的に男性視点の直球”で、さまざまな男心を表現するアーティストさんなのかなぁ、と考えています。

男心と言えば何と言ってもジュリーの真骨頂。故に、吉田Qさんの作品との相乗効果は必然だったと言えるでしょう。
しかし、阿久悠さんのような偉大な才能を例外とすると、これまでジュリーの男心は、ほとんど女性作詞家の手によって表現されてきたのですね。

 

そんなわけで今日は、80年代版「涙がこぼれちゃう」なナンバーをお題に選ばせて頂きました。
いよいよ今月28日に渋谷でスタートを切る、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー『僕達ほとんどいいんじゃあない』に向けて断行されております拙ブログの”全然当たらないセットリスト予想”シリーズ。
何度も申しあげますがこのシリーズは、吉田Qさんにとっても真に恩人でありましょう加瀬さんのペンによるジュリーナンバーを、セットリスト予想にかこつけて次々に語り倒そうというものです。

 

前回の「テーブル4の女」に引き続きまして、三浦徳子さん=加瀬邦彦御大の名曲群から。
アルバム『A WONDERFUL TIME』の中では、「PAPER DRERAM」と並んで僕のハートを鷲掴みにした曲ですね。いかにも80年代のロック・サウンド。佐野元春さんを聴いていた人は、おそらくこの曲の耳あたりが相当好きだと思います。
「パフューム」、伝授!

 

まず、僕にとって『A WONDERFUL TIME』という作品はどういう位置づけであるのか、この点を懺悔がてらお話しておきたいのですが・・・。
僕は、アルバムの大トリ「素肌に星を散りばめて」が未だにダメで、克服できておりません。
歌詞も何となく苦手ですし、曲(というかアレンジ)は反射的に
「♪ようこそ~ここへ~遊ぼうよパラダ~イス♪」
というメロディーを同時想起してしまいます。


いや、この曲が多くの先輩方に熱烈に支持されていることは、勉強済みです。
ですので、本質的に優れている曲なのだとは思っています。YOKO君からは「100回聴けば乗り越えられるだろ」と激励されましたが、まだ100回聴けていないということでしょう。
僕のジュリーファンとしてのキャリアが浅いばかりに・・・銀次兄さんに土下座したい気持ちでいっぱいです(僕の脳内で勝手に流れてしまう楽曲よりも、銀次兄さんの「素肌に星を散りばめて」作曲の方が全然先)。

克服の一番の方法は、生でジュリーに歌ってもらうこと。
今後のソロツアーに期待します(実は克服しなければならない曲はもうひとつあるんです・・・)。

 

と、まぁ大トリの曲がこんな評価ですから、アルバム全体のイメージがそんなによろしくありません(と言いつつ最近は、購入当時は「?」だった「氷づめのHONEY」「ZOKKON」という2曲の評価が急上昇しているため、リピート率は高い)。
しかし、もしこのアルバムが「パフューム」で締めくくられる全9曲の作品だったとしたら・・・僕は相当好きなんじゃなかろうか!
と気がついたのです。
「”おまえにチェック・イン”」で出逢った恋人達の物語が、「パフューム」でほろ苦く結末を迎える・・・おぉ、かなりイイんじゃないの~!(素肌ごめん)

 

「パフューム」・・・この意味深なタイトルも好きなんだよなぁ。
”未練”を内包した三浦徳子さんのフレーズセンスですね。女性作詞家が描くジュリーの男心は、未練の吐露がテーマではなく、徹底的にカッコ良く攻めます。ジュリーがそういう年齢だった、という事も大きいでしょう。

 

突然ですが、僕は受験生時代に、英単語を変な勉強方法で覚えました。自分の所有する洋楽レコードの歌詞に登場する単語をすべて把握する、というやり方です。
一番役立ったのは、キンクスかなぁ・・・。
普通の受験社会のシステムからすると考えられない勉強方法ですけど、集中は途切れないし楽しいし、結果的にも僕の場合はこれで正解だったようです。
ただ、そのおかげで「普通知ってるだろう」というような英単語の知識がスコ~ンと抜けていたりします(その代わり、変なスラングに詳しい)。


ちょっと、僕が20代後半、ギャンブラーだった時代の話をいたしますと(なんだか次々に自らの過去を明るみに出してるなぁ・・・)。
競馬なんですけど。
その昔、ワンダーパフュームという名前の競争牝馬がおりましてな。
桜花賞という大きなレースで鮮やかに勝ち、僕の懐を一時的に温めてくれた名馬でしたが、その後惨敗が続き、遂にはレース中の事故により亡くなってしまった、という悲劇のヒロインなのです。
僕の中では強烈に思い入れのあった馬でした。

ところが。
桜花賞を勝って有頂天になっていた時、僕はふと我に返り、こう
思ったのです。

 

ワンダーパフュームの”パフューム”って・・・何て意味だ?

 

その日帰宅後、久々に英語の辞書を引きました。使用頻度の高い印がついていましたね~。
で、後にジュリーの「パフューム」を初めて聴いた瞬間、ワンダーパフュームという馬にちなんだこのような体験を思い出したのでした。

「パフューム」で三浦さんは”香水”という意味から”残り香”をイメージ喚起させて詞を書いています。とり残される男の哀しい胸の内を、冷徹とも言えるクールな情景描写によってより際立たせているのです。

 

”つい昨日まで、ついさっきまでこの場所にいた”女性との別れを描いた歌詞はジュリーにひどく似合います。
「パフューム」の場合は、まさに別れる間際のシーンを、男性の視点と心の動きを追ってフレーズ展開していきます。

 

♪ ミルク色した真珠のイアリング
    A               C#7          F#m
    ひとつはずして僕が持ってる
    Bm                D             Dm   E7
    片方じゃまずいだろ この腕の中戻るかい ♪
          A                F#m      Bm    E7     A

 

女性作詞家の男性視点で、なおかつジュリーのあのヴォーカルがあってこそ成立する「ヨリを戻して~」の意外なカッコ良さ。
このパターンは、”男性作詞家+ジュリー”の組み合わせだとなかなかキビしいだろうなぁ、と思わせておいて、2010年に吉田Qさんという才能が出現するのですね~。やはり今回は、ジュリーの年齢が還暦を越えている、というのがポイントでしょうか。


それでは、曲構成のお話も。
80年代ロック独特の、ちょっと愁いのあるミディアム・テンポ。洋楽的要素の強いキャッチーなメロディーが、『A WONDERFUL TIME』というアルバムの中では”泣き”の位置づけになっており、当時のジュリー・ヴォーカルの魅力にも馴染んでいます。

先程、「この曲の耳当たりは、佐野元春さんを聴いていた人なら好きなはずだ」と書きました。
80年代初頭は、佐野さんの後を追うように多くのアーティストが才能を開花させ、次々にスターダムにのしあがった時代。吉川晃司さんや渡辺美里さんが顕著な例ですが、『A WONDERFUL TIME』に関連して言いますと、大沢誉志幸さんもその中に加えて良いように思います。
(そう言えば、「”おまえにチェック・イン”」のコーラス・パートは、ジュリー、佐野さん、大沢さん、銀次さんの4人体制でレコーディングされたそうですね)

アルバム『A WONDERFUL TIME』と佐野さんの関連性を語る上で重要なのは、アレンジです。
従来のソリッドなギター・サウンドに加え、ピアノやシンセサイザーなどの鍵盤楽器が重要な「キメ」のフレーズを担うのです。これこそが、”元春フォロワー”サウンドの大きな特徴なのですね。
「パフューム」では、時代の嗅覚に鋭いことでは定評のある後藤次利さんが、まさにそんなアレンジを施し、加瀬さんのメロディーを引き立たせています。

ヴォーカルの隙間に挿入される印象的なシンセサイザーのフレーズは、佐野さんの「Sugertime」や「マンハッタンブリッジにたたずんで」といったナンバーを連想させます。ミディアムテンポのキャッチーなメロディーを擁したロック・ナンバーでこそ、真価を発揮するアレンジなのですね。

この手法は、鍵盤の音色が剥き出しの直球アレンジであったアルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』と比較しますと、かなりの方向転換です。
『A WONDERFUL TIME』はよく『S/T/R/I/P/P/E/R』の流れを受けて語られますが、僕が受けるイメージはどちらかと言うと『TOKIO』に近い。これは後藤さんアレンジ曲の存在感が要因でしょう。

 

ジュリーのヴォーカルも若干変わってきているように思います。
吐き出す、歌い倒す、という表現ではなく、俯瞰した位置から歌の主人公を見つめるような、クールな歌唱。
これもまた80年代ロックのひとつの特色であり、難なくそれをクリアしたアルバム『A WONDERFUL TIME』は、ジュリーのヴォーカリストとしての才を拡げた作品として重要な1枚だったんだなぁ・・・。

さて今回は、男心という観点から”哀しく未練の心をさらす、ヨリを戻して~パターン”として、「涙がこぼれちゃう」系列の大先輩ナンバー「パフューム」をお題に選びましたが、一方で「いつかの”熱視線ギャル”」系列の、”散々迷い回り道の末のモトサヤパターン”というのもございます。


次回記事はそんなナンバーの中から、お題を予定しております。
今のところお世話になってはおりませぬが、いつかひどい夫婦喧嘩などやらかしてしまった際には、その曲を流しながら土下座して許しを乞うつもりです
(こらこら)
バラードですぜ~。加瀬さん、本当に色々なタイプの曲を作ってますよねぇ。

 

あ、私事ですが、このゴールデンウィークはカミさんの実家の法事で「橋のたもと」方面まで遠征のため、3日の朝から留守にいたします。
コメント、じゃんじゃん溜めといてくださいませ~。

連休期間にQさまの地元LIVEがあれば、観に行けたかもしれないのになぁ・・・。

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