お宝ですか?⑤
今回のブツは、ジュリーファン全員にとっての「お宝」とは言い難い局地的なアイテムなのですが・・・。
僕にとりましては、日頃油断しがちな自らの背筋を伸ばしてくれる、貴重なお宝。
これを手にとってパラパラとめくるだけで、喝が入る・・・そんな本(楽譜)を紹介したいと思います。
なにごとにも先達はあらまほしきことなり。
で、良かったっけ・・・。
意味合いは少し違うんですけど、今日は”偉大なる先輩を称える”記事を書かせて頂きます!
実は先日、勤務先でこのような古本を発掘いたしました。
返本の中にひっそりと、それはありました。
版型はA5、いわゆるポケットサイズ。
「へ~、こんなものがあったか~」と、何気なく目次ページをめくって、まずビックリ。
タ、タイガースが15曲収載ですと~?!!
しかも、選曲がスゴイ・・・。
「白夜の騎士」「都会」「光ある世界」の渋さもかなりキテますが、何といっても目を引くのは「忘れかけた子守唄」でしょう。
シングルB面曲ですらない、アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』の1収録曲。
キチンとタイガースを聴き込んでいなければありえない大抜擢・大英断のピックアップです。
たとえシングルではなくても、自身が名曲と見込んだナンバーは是が非にも収載する!という情熱。
キーの嬰ハ長調に悩み、加えて時間を惜しんだばかりに、大名曲「涙がこぼれちゃう」のGS復刻本への緊急収載指示を敢えて見送ってしまった僕としては、自らのせせこましい了見を本当に恥じ入るばかりです。
自分が名曲と思ったら、貫け!
ということですね・・・。
参りました!
しかし、GS楽譜リニューアルの企画なら、この本をやるべきだったんじゃないか~?!
と、僕が一瞬激しく頭を抱えたことは言う間でもありません。
ただ、よくよく中身を見てみますと・・・あぁなるほど、メロディー譜かぁ。
昔よく雑誌の付録などについていた採譜形式で、イントロ・間奏・エンディングを割愛し、歌メロ部のみを抜粋した譜面なのですね。
「渚でシャララ」をイントロ・間奏抜きで収載ってのはさすがに・・・ねぇ。
で、メロディー譜の上部には一応コードが付いているのですが、まぁそこは、おおらかな時代だったというべきでしょうか。
「廃墟の鳩」とか、「いったいいつまで同じコードで歌わすの~!」というほどFコードで押しまくる箇所があったりとか。
全曲校正するには、かなり時間がかかりそうでした。いずれにせよ、今回のタイミングでの復刻はちょっと実現できなかったでしょうね。
でもね。
なぜそういうおおらかなコード表記になっているかっていうと、逆に言えばこれは編集者の情熱の証明でもあるのですよ。
限られた予算と少ない時間の中、「コードくらいはつけてあげたい」という心意気。外注に頼らず、自分でギターを弾いて、1字1字丁寧に書き込んでいったわけです。
範としなければならない姿勢だと思いました。
商品評価というものは、すぐに答えが出るものではない・・・使い捨てが当たり前の現代、このように熱い情熱に裏付けられて制作された楽譜は、「歌い継がれる」ということを考えさせてくれます。これこそ、時代を超えた豊穣なるお宝です。
本来、「歌」というジャンルが、そうであるように。
さてさて、目次ページではいくつかのバンドの写真が掲載されています。
さすがにタイガースは無理だったようで見当たらず・・・残念。
しかしながら、若き日のショーケンや、堯之さん、大野さんの姿を確認できて嬉しかったです~。
小さくてわかりにくいかな?
話題のワイルドワンズは、このたび復刻した「グループ・サウンズ・コレクション」と比較しますと、「愛するアニタ」の代わりに「夕陽と共に」という曲が収載されています。
僕が今回のツアー予習のために購入したワンズのベスト盤には、2曲目に入っていました。
先日、いわみ先輩のブログで「加瀬さんは夕陽(SUNSET)が好き」ということを勉強したばかりです。
「夕陽と共に」も、そんな加瀬さんの一面が見える名曲のひとつなのでしょうね。
さて最後に。
僕がこの本の収載曲目で一番驚いたのは、実はタイガースのラインナップではありません。
これ!
うへ~!
何という渾身の選曲!
さらに言うと、少し前の僕なら、この選曲のスゴさにまったく気づけなかったワケで・・・。
この本の編集を担当した大先輩のFさんは、ベンチャーズが大好きな気さくなおじさまでしたが、もうずいぶん前に退社してしまいました。
でも、こうして後輩の僕等に情熱や心意気をしめしてくれるものが、形として残っています。ありがたいことですし、偉大な先輩が切り開いた道を歩んでいけることは、男子の本懐だと思いました。
またひとつ、ジュリーに導かれて人生の糧を得たような気がするなぁ・・・。
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コメント
DYさん、こんばんは。
目次ページ、タイガースは写真じゃなくシルエットで掲載ですね。
大先輩の心意気というかこのセンス、素晴しいですわ!
投稿: 黄身 | 2010年4月23日 (金) 22時53分
黄身様
おぉぉ!やはりそうなのですね!
僕も「むむ、これは!」とは思いましたが自信がありませんでした。
ジュリーが足を組んで椅子に座っている、あのショットですよね!
黄身様のお墨つき、大変嬉しいです。
この本、イラストも自前だと思うんです。
本当に情熱を感じます。
僕なんて、まだまだです…。
投稿: DYNAMITE | 2010年4月23日 (金) 23時02分
DYNAMITEさま ご無沙汰です。
)
(地域ランキングはあげてましたが
徒然草ですね。
私、まったくの初見でございます。当時、GSがらみの書籍類は山とありましたからね。
楽器が出来ない私には、楽譜集、縁がございませんでした。
大先輩のFさまの、タイガースへの並々ならぬ「愛
」を感じますわ!

スタンダードナンバーの中で一曲、燦然と輝く「忘れかけた子守唄」
しかも、シルエット!!ニクイ
素敵なものを見せて頂きました。
「いやあ、GSって、やっぱりいいですね~
」
「JULIE with THE WILD ONES」ライブでは、ぜひトップに「シー・シー・シー」を!←希望・願望
投稿: みゆきママ | 2010年4月23日 (金) 23時22分
みゆきママ様
ありがとうございます~。
仰る通りです。
ある山里に訪ね入ることはべりしに、なヤツです。
ジュリワンLIVE、僕は「シーシーシー」はオーラスを予想しております。
「シーシーシー」からコーダ部のみ「ツイスト・アンド・シャウト」へのメドレーで。
某所から圧力がかかりましたので、「シーシーシー」の記事、来月末までに書きますよ~。
投稿: DYNAMITE | 2010年4月24日 (土) 17時52分
こんばんは。
お宝のご開帳、ありがとうございます。
大先輩・Fさまの手になる(ですよね?)ジェノバのページのイラスト。
これはやはり…サハリンにさよならしているのでしょうか(笑)
(あ、あれはサードでしたか)
それにしても、ジュリーに堕ちたはずが、そこから世界がどんどん広がっていきますよね。
この間もニュース画面のテロップに「町からGSが消える」と出たので食いついたところ、それは“ガソリンスタンド”のことでした~。
先日の御記事ではないですが、いつから私は“GS=グループ・サウンズ”と反応する体になってしまったのか。
でも、それもまた楽し、です~♪
投稿: だんぼ | 2010年4月24日 (土) 21時25分
DY様
これ、見覚えはあるんです。でも買った覚えがない。いつ頃のものなんでしょう。
学生の頃はお小遣いが少なくて欲しくてもあきらめたことが多かったからなー。でも立ち読みはしっかりしてました。(笑)
「白夜の騎士」に萌えました。
投稿: nekomodoki | 2010年4月24日 (土) 23時53分
だんぼ様
ありがとうございます。
で、このイラストですが、自前であることは確実なのですが。
ジェノバだけでなく、全曲のタイトルページがこのイラストなんですよ~。
群集の中失神寸前の乙女
を描いたものと思いますが、なるほどジェノバのページだけ切り取ってイラストを見ますと、「サハリン~」のための渾身の絵に見えてきます。
筆致がシュールなのですかね…。
☆
nekomodoki様
本の発行自体はそんなに古くないのですが、それ故に「白夜の騎士」収載には、色々な意味で萌えます。
この曲、確か歌詞が一般公募作品ですよね?
自らの詞がレコードになった時、有川さんは時ならぬ収入に喜びとともにとまどったことでしょうが、時は流れ、こんな楽譜が出版されるにあたって。
ジャスラックさんを通して、発刊当時に、有川さんには作詞者印税が支払われているはずなのです。
「白夜の騎士」収載に喜んでくださっていたら、良かったのですが…。
投稿: DYNAMITE | 2010年4月25日 (日) 16時50分
ジャケットを見ると作詞有川正子さん・補作詞が橋本淳先生ですね。公募曲だったってDY様に聞いて思いだしました。(最近記憶がかなーりあやしくて。)ハーモニーが大好きな曲です。 こんなベタな王子様路線になんの違和感もなくはまってしまうグループは後にも先にもTGしかいません。と、いうわけで次は…いえ、なんでも。
投稿: nekomodoki | 2010年4月25日 (日) 20時31分
nekomodoki様
騎士路線のコンセプトはわかりますが…
「王子」という表現は後追い男性ファンにとって高い壁です。
みなさまそう仰るのに自分だけ蚊帳の外…という体験が何度か…。
「白夜の騎士」は、すれていない魅力に満ちていて、歌の基本を考えさせられるナンバーだと思っていますが…。
投稿: DYNAMITE | 2010年4月25日 (日) 23時12分
お久しぶりです。
)
いつもDYさんの伝授や皆さんのコメントを読むだけで感心してしまって通り過ぎております
「忘れかけた子守唄」はB面でもなかったんですか。
当時、DYさんよりちょっと?お姉さんの私は、自分でレコードを買えるわけもなく、
近所のお姉ちゃんがいらなくなった(なぜ?!)TGのシングル版をどさっとくれたんですが、(多分そこんちに遊びに行った時、かかっているのを小1ぐらいの私が、目の色変えて聞いていたんだと思います
てことは、そこには入ってなかった訳だ。
もちろんアルバムも持っていなかったんですが、
小学生の私は、この曲をしっかり知っていました。
大好きでした。涙モノでした。
明星や平凡の歌本にも載っていたように思います。
後に弾き語りもしたと思いますので。
なぜ知っていたんだろう?
という訳で、大抜擢というか、かなりメジャーだったのではないかと思うのです。
投稿: toko | 2010年4月25日 (日) 23時59分
ディズニーの「眠れる森の美女」にあこがれた乙女(笑)にとっては「王子」と「騎士」はイコールに近いんです。
確か、これが映画では最初に見たアニメで、王子=姫のために戦う騎士、とインプットされちゃいまして。
「「王子」ではない騎士のイメージは鎧をまとったむさくるしい髭面しか思いうかばなくて、すみません。
投稿: nekomodoki | 2010年4月26日 (月) 00時07分
「忘れかけた子守唄」は発売当時から評価が高くTVでもよく歌われて、雑誌付録の歌本にもシングル曲と並んで楽譜も掲載されていました
。
「夕陽と共に」は植田さんがリード・ヴォーカルを取る路線に転換して記念すべき曲、この曲がヒットしなければ「青空のある限り」「愛するアニタ」もなかったかもしれません。
確証はないのですが、「白夜の騎士」の有川正子さんは後に作詞家になられた有川正沙子さんではないかと思います。そうであれば、あまり印税で驚かれることもなかったと思いますし、もしそうでなかったとしても、この曲は解散後もLPやCDに収録されていますので、定期的に印税が入ってきていたはずだと思います。
投稿: GSマニア | 2010年4月26日 (月) 02時29分
toko様
小1でタイガースデビューでいらっしゃいましたか!
GSマニア様がコメントを下さったように、「忘れかけた子守唄」は、代表曲として世間の認知があった曲なのですね。
不思議な気がします。
政治的なメッセージの楽曲を認知させるのに洋楽の先駆者達はずいぶん時間をかけたのですが…。
やはりフラワー・ムーブメントが大きかったのでしょうか。
toko様は旦那さま共々、ギターを嗜まれるのですよね?
一番熱心に練習した時期に覚えた曲って、忘れないものですよね。
☆
nekomodoki様
あぁ、なるほど~。
王子=騎士なのですね!
僕の場合はnekomodoki様とは逆に、「王子」、というとなぜかしらん小学生くらいの男の子を連想してしまうのですよ~。
困ったものです…。
☆
GSマニア様
ご教授ありがとうございます!
び、びっくりしました…そして、確信しました。
有川正沙子さん…そうですね!間違いないと思います。
何故そう思うかと申しますと、僕はつい最近、寺尾聰さんの「リフレクションズ」をCDで再購入し、有川さんの詞を吟味していたからです。
言われてみますとなるほど…「白夜の騎士」と共通点が多いではないですか!
ジュリーに堕ちてから、こういうことが頻繁にあります。
青少年時代に何気なく聴いていたいろいろな音楽が、ジュリーとの関わりでひとつの流れに集約されていくような気がするのです。
このたびは、大変勉強になりました…。
投稿: DYNAMITE | 2010年4月26日 (月) 23時37分
DYさん、はじめましてm(_ _)m
私はピー&タイガース(以下TG)のファンでありますが、でもピーがいなかった永い間
(ここ12年程は諸事情により以前のように 毎回、毎年ではありませんが…)
1971年12月のジュリー自身も初のソロコンである日生劇場のリサイタル以来、ず~っと!
東京&その周辺のライブに足を運んでおります
去年の夏あたりからDYさんも含めアチコチのサイトやらブログやら覗いてはいたものの
特にジュリーに関してはあまりにも多すぎて躊躇してたのですが
とうとう2年半も前のこの記事にひっかかってしまい思いきってお邪魔する事に致しました
私この楽譜本、もってます。目次やイラストにTG以外の写真等、中身はそのままのようですが
こちらは赤い表紙にバンドのような写真みたいですネ
実は
今 あの懐かしい興奮が帰って来る
G・S・コレクション
というタイトルで昭和51年10月10日ドレミ楽譜出版社からピンク色の表紙で発行されてたんです
そして大きな違いがもうひとつ!どうしてTGの写真がないのか凄く疑問ですよね?
何故かジュリー無しの目次にあるTGの白抜きのシルエット。元は表紙にも黒抜きで描かれてて
ジュリーの部分である真ん中にモナリザの微笑の頃の衣装を着たTGの写真がここに載ってるんですよ
いつのまに表紙だけ差し替えられたんでしょう。表紙のTGは何処へいってしまったのでしょうね。不思議です(^^♪
投稿: hiko | 2012年11月 1日 (木) 17時57分
hiko様
はじめまして!
ようこそお越しくださいました。
ピーのファンサイトの書き込み、hiko様のコメントも先程拝見いたしました。
実は昨日、久々にブログのアクセスがとても多かったので、何だろうと思っていたのですが…ピーファンのみなさまがたくさん遊びにいらしてくださっていたのですね。
嬉し恥ずかし状態です…ありがとうございます!
楽譜のお話はビックリしました。まったく知りませんでしたよ…。無論、資料本ももう何処にもありません。
制作にあたって、タイガースの写真を借りていたんですね…。改訂時にそれが無くなってしまったのは、何か大人の事情か、それともその時のコストの問題か…いやいや謎ですね~。
それにしても、僕がまだほんの子供だった頃から、未来に向けて色々なことが繋がって、こうして今タイガースファンの先輩からお言葉を頂いているという状況が、なんだか不思議な気がします…。本当に有難いことです。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます!
投稿: DYNAMITE | 2012年11月 1日 (木) 21時57分
DYさん
早速のレス、ありがとうございます
…にしてもピーの記事にコメせずにハッキリ言ってマイナーなこの楽譜本記事にカキコする私って何ナノ~┐(´-`)┌(笑)
ピーへの想いは強すぎるからもありますけどね。仲間ですし永年、応援してきたジュリーも、そりゃァ好きですよ(ピーに対する好きとは全く違いますが)
ある意味、空気みたいなものですよ
なのでジュリーについては完全になるべく出しゃばらない程度に昔記事を追いかけてになりますね。
正直ここ20年程は、たとえライブに行っててもジュリーの歌やCDについて語る自信は全くありません。反対に勉強させて頂きますのでよろしくお願いいたします
さて折角ですから補足を少し…
この楽譜本、発行はドレミですが編集制作は
「自由現代社」なんです。お心当たりございますか?
写真提供はポリドールの名しか記されてないので多分、表紙写真に対してのみなんでしょうね
PCは便利ですね。普通なら全く知り合う筈のない者同士が簡単に思いを交わすなんて不思議ですよね
PCに不馴れなので本の表紙をUP出来ず申し訳ありません。でも、もしかして11/19にお逢いできるのかな?
いずれにしてもきっとどこかでの可能性はありますよね。楽しみにしてますネ(^^♪
投稿: hiko | 2012年11月 2日 (金) 00時20分
hiko様
ありがとうございます!
なるほど…制作経緯、なんとなく分かりました。おそらくこの版下は現在、『哀愁のグループサウンズ全集』という自由現代社のスコアに改訂修正を経て受け継がれていると思われます。タイガースの写真はやはり無くなっていますが…。
老虎ツアーで顔馴染みとなったピーのファンサイトのかたが何人かいらっしゃって、19日にはご挨拶させて頂く予定でいます。もしhiko様がみなさまとご一緒であれば、お会いできるかもしれません。
ライヴともども、楽しみにしております!
投稿: DYNAMITE | 2012年11月 2日 (金) 19時02分