ジュリーwithザ・ワイルドワンズ 「熱愛台風」
軋む骨まで
裂かれるような恋になろうぜ
号泣する恋になろうぜ
(詞・沢田研二)
~from『JULIE WITH THE WILD ONES』、2010
引き続きアルバム『JULIE WITH THE WILD ONES』よりお届けいたします。
楽曲の前にまずはお約束の”ジュリワンアルバム8大感動事項”からまいりましょうか。昨日の「プロフィール」では、ワイルドワンズのみなさまのヴォーカルパートが素晴らしい、という点を挙げましたが、さて今回は。
これ、本日のお題とあまりにも密接に関係する、重要なポイントでございます。
鉄人バンドを引き連れ!
ソロモードのジュリーが炸裂する!
『JULIE WITH THE WILD ONES』の豪華ヴァラエティーに加味された嬉しい刺激、絶妙のスパイス。そんなソロモードのロッケン・ジュリーナンバーが2曲も収録されているのですよ~。
今日はその中から、ガツンと昂ぶるアルバム4曲目。
老いて盛んな「熱愛台風」、伝授!
作詞・作曲・沢田研二
ドラムス・GRACE
ベース・上田健司
ギター・柴山和彦、下山淳
キーボード・泰輝
おぉ~~~!
ジュリーオリジナルの楽曲で、鉄人バンド、上田さん、そしてワイルドワンズが酒池肉林の大共演だぁ~!
GRACE姉さんのオープン・ハイハットのカウントに始まり、柴山さんのゴキゲンなフレーズと、下山さんのアコギ(「Pleasure Pleasure」とまったく同じ鳴りなんだこれが)がガッシャンガッシャンのストローク。
お~っと、泰輝さんは「BAMBINO EXCUSE」ばりの音色でホンキー・トンクなオルガン、そして上田さん職人芸のベースが絡みます。
ジュリーのさわやかでハートウォームな恫喝ヴォーカル(なんだろうねその表現は)を、ワンズのみなさんが愉快なコーラスで追っかけるっ!
・・・待てよ。
このコーラス、LIVEでは僕らも参加して追っかける・・・のでしょうか?
どれどれ。
コーラス部分の詞は、と・・・。
なんたって、作詞がジュリーですからね~。おそるおそる・・・。
♪瞳も唇も指も♪
うぉ~、老いて盛んな、エッチなジュリー節。
視線で舐めるパーツが、若造とは一味違うワケです。リズムに載って発音すると、楽しいですね~。
♪別離がつらくて♪
歌詞カード読んで自然に「わかれ」と発音転換してしまいましたが、ストレートに「べつり」と読ませるのね。ジュリーらしい。うんうん。
♪神経も脳も六感も♪
おお、いいじゃないですか。メロディーの抑揚に合わせて母音が伸びるフレーズ。「ロッカン」って語感も気持ち良いですし。
♪ふたりじゃ熱くて♪
良いですね、歯止めの効かない感じ。
♪夜は家で男料理♪
はは・・・独特ですね~。
♪触れ合おうイチャイチャ♪
・・・・・・。
う~む、もしも客席でコーラス参加してるのが自分一人だった場合、ここは結構恥ずかしいぞ・・・大丈夫かなぁ。
まぁ、ハナから参加することばかり考えている僕こそがオカシイですか。
「台風(タイフ~ン♪)」って箇所のハモりは、是非参加したいのですが・・・。
「熱愛台風」はこのように、”いつものジュリー”色が満載の愉快でハッピーな歌詞が、これまた”いつものジュリー”的に一筋縄ではいかないトリッキーな構成の曲に載せて展開するという、ジュリーファンにとって安心感いっぱい・ずっぱまりの名曲です。
さらに、これは多くの先輩方もそうかと思いますが、イントロの瞬間に「おぉっ鉄人バンド!」という、耳馴染んだ演奏がタマランのですね。
上田さんは鉄人バンドと相性抜群ですよ。アレンジも、メンバーの個性を重視しています。
イントロのギターフレーズ部は最初「E→E7、E→E7」とハードにコード進行するのに、フィルイン後の5小節目から、同じギターフレーズに合わせているにもかかわらず、コードが「E→A7」とポップなニュアンスの進行にチェンジしています。初めて聴いた時にはドキッとしました。
難しい箇所ではなく、何てことのない、それでいて必ず聴き手の耳に残るであろうポイントでこのひとひねり。細かいですが素晴らしいアレンジセンスです。
おそらくジュリーが作った「E→A7」のイントロ・コードに、上田さんがハードな4小節分の導入部を加えた、って感じでしょうね。
詞のヤンチャが目立つ曲ではありますが、相変わらずジュリーの作るコード進行は面白い。
型に嵌った着地をせず、小節のキメの部分で放り出すような進行なのです。
♪ア~、情熱のキスだ~♪
A B7 E G#7
このG#7の放り投げ。
普通ホ長調の曲でG#7使う場合はもっと露骨に泣かせ進行にしちゃうモンだけどねぇ。やっぱり、そのあたりがジュリー作曲の魅力ですか。
僕はこの部分、同じホ長調のナンバーで
♪ゾッコンなんだよね~♪
E G#7
ってのを思い起こしましたけどね。
でもこれは、他にモロ同じな進行のジュリーナンバーがある!と僕の貧弱な記憶をたよりに脳が叫んでいます。思い出したらまた註で書きますわ~。
ヤケクソのようなサビメロ(褒めてます!)もジュリーらしくて、これ、音階だけで言うと
♪ミミミミ~ミミミ、ミミミミ~ミミミ~♪
オイオイ、ってなもんですが、コード進行は
♪シビレル~ような、恋にな~ろうぜ~♪
C A E
ギターを弾く方はお気づきかと思いますが、ここに登場する「C」「A」「E」の3つの和音をローポジションで弾いた際、コードフォーム上、1弦はすべて開放なのですね。
1弦の開放音は、高い「ミ」です。つまり
ジュリーはこの曲をギターのローポジションでコードチェンジしながら、1弦の音を耳で拾ってメロディーをつけた
という作曲手法の証明ができてしまうサビなんです、これは。
ずっと伸ばしていた爪を切ってギター弾いて
「エエ曲ができたんですよ~」
と、プレプレツアーのMCで報告してくれたのは、どうやらこの「熱愛台風」ですかね~。いやぁ、エエ曲ですよ、ジュリー!
それにしても、ここへきて鉄人バンドは本当に、ジュリーも含め、「このメンバーでないと出せない!」というバンドとしての音を確立してしまいましたねぇ。
長く長く、続けてほしい。
そんなことも感じさせてくれた『JULIE WITH THE WILD ONES』の4曲目。
こんな収録曲が入っていることもまた、予想以上の歓びでした。
つくづく、懐の深いアルバムですよね~。
そうそう、最後にひとつだけ。
歌詞で
♪Ah 熟愛テクだ~♪
という、いかにもジュリー!ってフレーズが出てくるじゃないですか。
これ、「熟愛手管」のダブルミーニングですかね。
深読みし過ぎ?
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コメント
DYさん、お邪魔します。
私は、この作品を聴いて「G.S. I LOVE YOU」の主人公の還暦ライフと受け取りました。「G.S.~」のどの作品とは限定できないし、ジュリーには、そういう意図は全くないと思いますが、この作品のジュリーのボーカルには、そう思わせるところがあります。この感想は、私だけかもしれませんが。
私も、熱愛テクだ→熱愛手管は正解だと思います。これは、ジュリーが意図して書いたと確信しています。
投稿: 74年生まれ | 2010年3月27日 (土) 19時28分
DY様 74年生まれ様
私も歌詞見ないで最初に聞いたとき「恋愛手管」と脳内漢字変換してました。でもテクニックも手管もこの場合ほとんど同じ意味ですもんね。ライブで「熱愛台風」と「ハートにズキューン」とどっちが破壊力が上か、楽しみです。
それにしても歌詞カード読むの大変…。
投稿: nekomodoki | 2010年3月27日 (土) 20時02分
DY様、こんばんは。
遠距離恋愛している彼と久しぶりに会ったときのような気分かな?
この「音」は・・・。
何も言わなくても、通じるものがある安心感。
会えなかった時間も空間も一気に飛び越えて、
まるで昨日まで会っていたような気持ちにさせてくれる一曲。
この曲を聴けただけで、アルバムを買ってよかったと思いましたもの。
あっ、もちろん、ほかの曲もいいですよぉ~。
でも、今の私には、やっぱり「熱愛台風」が一番です。
ジュリーのシングル集も、楽しみですね。
投稿: azur | 2010年3月27日 (土) 21時16分
おはようございます。
今朝は寒いです…。
☆
74年生まれ様
僕はこれ、いつもの嫁LOVEソングかとは思いますが…少し練れてきていると言いますか、歌詞はかなり外向きの視線になってきています。
不思議なフレーズセンスは相変わらずですけどね~。
やはり手管ですよね、これは。
☆
nekomodoki様
僕は、最初「手管」で作詞して、のちに「テクだ」に置き換えた、という順序のような気もしていますよ。
破壊力は「ズキューン」でしょうが、こちらは例の”拳交互突き上げポーズ”(「TOKIO」とかでやるやつね)が出そうなリズム&テンポです。
いずれにしても盛り上がること間違いなし!
歌詞カード、字小さいですね。
僕だとまだ普通に読めますから、やはりエイベックスさんのターゲットは40代?
☆
azur様
同じく!なのです~。
僕も、音を聴く前にまずは歌詞カードのクレジットチェックをしました。
おぉ~、各曲ごとに演奏クレジットがついてる!とまずは感動。
そして、言うまでもなく「熱愛台風」の演奏メンバーにビクンと反応いたしました。
azur様、本当に良かったですね!
ジュリーの中は、鉄人バンドと今の自分の音楽が完全に結びついているんですよ。
それは、このアルバムの鉄人バンド参加曲を見れば明らかです。
「ハートにズキューン」も頑張って記事書きますよ~!
投稿: DYNAMITE | 2010年3月28日 (日) 09時49分
瀬戸口さま。
いいアルバムができましたね。
どれもこれも、ジュリワンとしての個性にあふれていて、聴いてると頬がゆるみます。
「熱愛台風」は特に笑ってしまう。
オシャレな熟年カップルの生活を揶揄し
て、そんな歌詞の合間に♪しびれるような恋、♪号泣するような恋という正反対の言葉を入れてからかってる~
ジュリーの作詞技術もだんだん高度に(笑)
曲もノリノリでいいし、歌い方は大好き。
オゥ!とかの入り方カッコイイ!
ご伝授、続きを楽しみにしています。
投稿: momo | 2010年3月28日 (日) 13時17分
DYNAMITEさま こんばんは。
“テクだ=手管”、まったく思い至りませんでした…。
というのも、直前の“熟愛”に「なんかエロ~い」と気をとられてしまったからなのでした。
熟愛→熟柿→果肉がと~ろとろ、と瞬時に連想したものと思われます。
(文字にするとあられもない感じ…笑)
あ、私も「プロフィール」「いつかの”熱視線ギャル”」推奨派、「プロフィール」で泣いたクチです。
26日のライブレポ並みの長文伝授に、DYNAMITEさまの興奮が伝わってきました。
残り6曲も楽しみにしています。
投稿: だんぼ | 2010年3月28日 (日) 19時22分
ひゃ~、DY様のご伝授で1日も早く「熱愛台風」聴きたくなりました!が、只今来日に向けてジェフ・ベックの新譜を予習中ですのでもうしばらくDY様のレヴューのみで我慢します。
ジュリーの作詞・作曲もの大好きなんです。不思議系で飽きないでしょ!?絶対ジュリーにしか書けないし!「手管」ですか。ジュリーらしいなぁ。
この曲は楽しみです。ライブでノリノリでコーラス参加されるDY様も、今から楽しみにしています♪
投稿: フェリーチェ | 2010年3月28日 (日) 22時12分
ありがとうございます!
今日は実際に数人のJ先輩のみなさまとお話する機会がありましたが、ジュリワンアルバム、大好評ですよ~。ジュリーファンの反応を実感しました。
あとは、世間に広めるのみ!
これからも頑張って発信いたします~。
☆
momo様
名盤の完成。発売と同じタイミングでmタイムリーに触れる歓び…大きいです。
新規ファンの僕は猛烈に感動しましたよ~。
そうそう、「熱愛台風」はさすがジュリー・オリジナルだけあって、
「おぅ!」
「あぅ!」
の雄叫びがビッシビシと炸裂するのも魅力のひとつでしたね!
☆
だんぼ様
はは…確かに文字にするとあられもない…。
しかし、仰っている事はわかりますね~。
「熱愛♪」の箇所は、ワンズのみなさまのコーラス語尾とかぶっているのもポイントなのでは?
ジュリーの声って、他の人の声の後に入ってくると、威力倍増のような気がするんです。
> 私も「プロフィール」「いつかの”熱視線ギャル”」推奨派
嬉しいです~。
☆
フェリーチェ様
おぉっ!
フェリーチェ様、ベックに参戦ですかぁ!
今回のツアーもベースはあの娘でしょうか、スゴイですからね彼女は。
ベックと言えば、ニューアルバムの
「ギターを持ってはばたくイーグル」
という、ジュリワンとかぶりまくりのジャケットが話題ですよね。
今日、J先輩数人にお会いできたので聞き込みにあたりましたが、どうやら「熱愛台風」のコーラスは、僕だけの孤独な参加になりそうです…。
投稿: DYNAMITE | 2010年3月28日 (日) 23時03分
このコメントは非公開ということで…。
いま「いいんじゃない」を聴きながら、ですが、ふーーー
憂歌の木村くんみたいなみたいな加瀬邦彦の歌を聴きながら、やっぱ加藤和彦のパパヘミングウェイだなーぁ、と。無国籍みたいでいいなぁー~。
この名盤でさえ売れないんなら、
ジュリーは何が売れるのかなぁ、と。うっうっ。しくしくしく。やだやだ
投稿: ぬこ | 2010年3月29日 (月) 02時11分
はい、ベックのベースのあの娘、超すごいです!
それでもってベーステクもさることながら可愛いんですわあの娘!
でもでも、DY様聞いてください!前回のジェフ・ベックのライブ、前から3列目をゲットしルンルンで出かけて行ったのですが、なんとベックったらライブ中、終始視線はあの娘に・・・。ま、オヤジ視線ではなく孫を見守るおじいちゃんのようなまなざしだったのが救いでしたが、はっきり言って不愉快でした(ジェラシーです)。我らがジュリー様はライブ中ずーっとグレース嬢を見つめるなど決してしないぞっ!とジェフ・ベックに言っておきますわ。
それにしてもバンドへの女性の起用、CDジャケにはワシさんと、なぜかだぶりますね、この二人。
では、ジュリーライブで「熱愛台風」にノリノリで参加の男性を見つけたら、その方がDY様の可能性大ですね♪
投稿: フェリーチェ | 2010年3月29日 (月) 21時05分
ぬこ様
ファン以外の方々に…というお気持ち、僕もまったく同感です。
いやいや、このジュリワンアルバム、充分売れているのですよ。
オリコン初登場13位というのは。
例えば、このたび自身の音楽活動集大成なる豪華なベスト盤をリリースした若手アーティストがいます。
世間では、相当「売れている」イメージのあるお方ですよ。
僕の勤務先でも、それに合わせて、かな~りリキを入れ、かな~り投資して企画トライしているアーティストなのですが、今回リリースタイミングがジュリワンとかぶったんです。
オリコン初登場、ジュリワンよりも下位でした。
それだけで僕は驚きましたけどね~。
でしから、純然たるセールス評価として、ジュリワンはもう役目を充分に果たしているとは言えるのです。
しかし!
世に知らない人々がまだまだいらっしゃる。
そこですよね。
songsに期待しようではありませんか。
☆
フェリーチェ様
やはり今回もそうですか~。
あのベーシストの娘さん、初めてベックと来日した時に、カメラマンの友人がLIVEを観て
「ベースの女の子スゴイぞ、観に行け!」
と連絡してきたんですよね~。
最近はスゴ腕の若い女性プレイヤーがたくさんいて、驚かされることが多くなってきました。
「熱愛台風」でノリノリ…というのは、みなさんそうでしょうから少し解り辛いですかね~。
「シーサイドバウンド」でダンス、とか、「プロフィール」で号泣、とか「熱視線ギャル」でエアギター、とか、DYNAMITEを見分ける方法は多いかと思いますが…汗汗。
投稿: DYNAMITE | 2010年3月30日 (火) 09時15分