沢田研二 「月曜日までお元気で」
『JULIE SINGLE COLLECTION BOX ~Polydor Yeas』収録
original released on 1982 シングル「麗人」B面
絶賛発売中、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのデビューシングル「渚でシャララ」。
楽曲の素晴らしさもさることながら、三浦徳子=加瀬邦彦という名コンビの作品を再びジュリーが歌う、というのもファンにとっては嬉しい驚きでしたね。
今日は、そんな三浦=加瀬コンビによるジュリーナンバー傑作群の中から、この曲。
シングル「麗人」のB面です。この曲も、僕の知らないエピソードがありそう。また先輩方のお手を煩わせてしまうやも知れませぬが・・・。
「月曜日までお元気で」、伝授!
まずは、三浦徳子さんについて。
僕はザ・ベストテン全盛期世代ですので、「沢田研二」と言われて浮かんでくる映像(もちろん、ドーム堕ち以前のお話ですよ)は、「ス・ト・リ・ッ・パ・-」であり「おまえがパラダイス」であり・・・。
まさに三浦さん作詞の楽曲で突っ走っていた頃のジュリーなのです。
しかし、僕が三浦さんのお名前を初めて意識して覚えたのは、実は八神純子さんの「パープル・タウン」の方が先でした。ジュリーの作詞をなさっていた事を認識したのは、30歳を過ぎてから。「ロイヤル・ストレート・フラッシュ2」を聴いた時です。
それまで、「ス・ト・リ・ッ・パー」は湯川れい子さんの詞だと思いこんでいました。
子供の頃の記憶なんて、そんな曖昧なものなのですねぇ。
三浦さんの詞は当時のジュリーが全身に纏っていた”いいオトコ”に非常にマッチしていて、女流作家ながら完全な男視点で描ききっていて。まさしくプロ作詞家の作品だと思います。
「月曜日までお元気で」も、もちろん例外ではありません。
基本、ロマンティックなムードで攻めますが
♪1秒早くこの部屋出たって
歴史は変わりはしないぜ♪
とか。
サビでいきなり
♪地球の男達♪
って・・・。
この突拍子もないタイミングで繰り出す大言壮語、スケールの大きいフレーズが、何とジュリーに似合うことか。
と言うより、これはジュリー限定の大技なのでしょうか。他の歌手が歌う様が想像できません。
ただこの詞、内容のキワドさもありますし、今後LIVEで聴くことは・・・残念ながら可能性は低いかなぁ。
加瀬さんの作曲も素晴らしい!
三浦さん同様、これこそがプロフェッショナルです。
僕は最近ジュリワンLIVE予習のため、ワイルドワンズのベスト盤を購入し勉強中なのですが、ワンズでの作曲とジュリーへの提供楽曲への作曲では、明らかにアプローチが違います。
ワンズの曲は、ワンズのイメージで。ジュリーの曲は、ジュリーのイメージで。
見事に使い分けていますよね。さすが、作曲段階からプロデューサーとしての感性をお持ちです。
それに、やみくもに曲を量産するのではなく、バンドやアーティストに対しての方向性をしっかりと織り交ぜる。それでいて多作、かつ高いクォリティー。
まぁジュリーに関しては「ただならぬ関係」なのですし、加瀬さんとしては「楽しく曲作りをしているから自然にそうなる」といったところなのでしょうか。
うらやむべき才能です。
Aメロ導入部は
ラ・ド・ミ(Am)→シ・レ#・ファ#・ラ(B7)→レ・ファ・ラ(Dm)
と和音進行します。これ、2番目のコードにB7を持ってきたのがカッコいい!動作に例えると、身体をひねりながら跳ね上がるような感じなのです。
アルバム『S/T/R/I/P/P/E/R』の印象と比べ、このシングル盤「麗人/月曜日までお元気で」は、良い意味で硬質な音作りになっていますが、これがまたプロフェッショナルのお仕事・・・アレンジは後藤次利さん。
サビでドラムスが2・1のアクセントで叩いて地鳴りのようなイメージ(歌詞に合わせて、地球規模ってことかな?)に転換したり、歌メロ本編には出てこない和音進行を、イントロ・間奏で使ったり。
これまで何曲かの記事でも書いていますが、ジュリーのシングルB面曲には、作曲や編曲に遊び心が満載のナンバーが多いです。ただそれは、噛み砕き自分のものにしてしまう歌い手がいなければ意味がないワケで、僕はジュリーのB面曲の魅力はそこにあると考えます。
では、そのヴォーカルです。
特にこの頃のジュリーには「妖しさ」という武器があり、歌唱自体の素晴らしさは言う間でもありませんが・・・。
僕はこの曲の
しぇいけ~っ!(「Shake it」でしょうね)
は、数あるジュリー・シャウトの中でも出色だと思うのです。
ジュリー本人のアドリブなのか、加瀬さんの構想の中に組み込まれていたのかは解りません。いずれにしても、この当時のジュリーにしか表現し得ないシャウトではないでしょうか。
ジュリーは年代に応じてヴォーカルが変わってきていますが、それはシャウト表現についても言えることだと思います。
「夜の河を渡る前に」もあれば「KI・MA・GU・RE」、「ティキティキ物語」のようなシャウトもある。そして「渚でシャララ」にも。
その年代それぞれに、独特のシャウトです。
「月曜日までお元気で」・・・この時代は、「妖艶なるシャウト」と言えるでしょう。
間奏・エンディングでひと吠えずつ。みなさまにも、是非この機に再度味わって頂きたく思います。
さて、今日は三浦=加瀬コンビの作品からお題を選ばせて頂きました。
今度はコンビ作品ではなく、三浦さん作詞ナンバー、加瀬さん作曲ナンバーでそれぞれ1つずつ書きたい曲を思いついておりますので、ただいま構想を練っているところです。
三浦さんのナンバーについては、
三浦さんの詞はいつも最高なんだけど、この曲のこの部分だけどうしても意味が解らない。誰か教えて~!
という記事に。
加瀬さんのナンバーは
「指」も「感情ドライブ」も「Shangri-la」も良いけれど、僕が一番エロさを感じるジュリー・ナンバーはこれ!
という記事になる予定です。
それでは次回、月曜日までお元気で!(たぶん)。
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コメント
DY様 おはようございます。
Shake it!
だったんですか!
スペルで聞き取れず(つまりイミがわかんない…歌詞カード見ても載ってないし、最初はシェーシェー「謝謝」て聞こえたし)不思議なシャウトだったんですが、28年目にようやくわかりました。(笑)
ありがとうございます。
この曲は作詞家は違いますが「マダムX」や「アンドロメダ」などとともに私の中では、視点が「ワンルームのベッド上から宇宙の彼方」まで言葉ひとつで伸び縮みする「ワープ系?」の名曲です。個も全もひと続きの宇宙そのものである、みたいな世界観。作詞家にとってもJULIEはイメージを無限に遊ばせることが出来る素材なのかもしれませんね。
投稿: nekomodoki | 2010年3月13日 (土) 09時55分
朝日新聞に沢田さんの記事がでるというので、新聞店で1部買いました。
ワイルドワンズとのこともかかれてあって、本当がんばってほしいですよね。
投稿: hiromi | 2010年3月13日 (土) 10時42分
nekomodoki様
おおっ!
> 「ワンルームのベッド上から宇宙の彼方」まで言葉ひとつで伸び縮みする「ワープ系」
素晴らしい表現、まさにその通りでございます!
初めて「月曜日までお元気で」と「アンドロメダ」に共通項がある事に気がつきました。
嬉しい~!
「アンドロメダ」大好きなんですよ~。
女流作家さん達は、歌い手がジュリーだからこそ、途方も無いスケールで世界を描きたくなるのでしょうね。
☆
hiromi様
朝からカミさんと出かけていて、すっかり購入しそびれてしまいました。
昨夜コメントを頂いたねこママ様のお家などで色々と情報を収集しましたが、ワンズのみならず、タイガースのことや、ニューシングルのことも言及しているようですね。
写真も素敵だったようで…。その点を心配しているお姉さま方がいらっしゃったので、良かったです。
ジュリー、本当に純粋で、働き者ですよね。
投稿: DYNAMITE | 2010年3月13日 (土) 18時46分
お久しぶりです。
ウォウオゥ~
のところで、確か両手の平を広げて、どんどん上にするのですが、もう一度出来ればいいですね。私も、この曲は、99%歌わないと思います。
日曜日の夜ですが、お邪魔します。
DY様の伝授曲のタイトルを目にした時から、私の「今日の口ずさみ曲」になってしまっていますが、この曲は、時々自然と、浮かぶ曲のひとつです。
最後の
もし、ジュリーに歌ってもらいたい曲のアンケートをとることがあったとしたら、「アンドロメダ」に一票!
いつか、必ず、歌ってくださると念じています。
それと、最近突然思い出した「祈る」聞けるように「祈ります。」
投稿: あみ | 2010年3月14日 (日) 21時48分
あみ様
いらっしゃいませ~。
やはりあみ様も、この曲のLIVEは今後ナシ、と見ますか。
仕方ないですね…この内容では。
しかしながら「アンドロメダ」!
こちらは可能性アリなのですね、ね?
歌ってくれたらダイブどころではありませんよ~。「おまえは宇宙」ですからね。
キメフレーズのあるジュリーナンバーは最高です。LIVEで聴けたらなお最高!
僕も、信じて待ちます~。
投稿: DYNAMITE | 2010年3月14日 (日) 22時54分