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2010年2月

2010年2月27日 (土)

恐縮です!(幕間)

言葉が過ぎてもいけないし、足りなくてもいけない・・・。
曲がりなりにも、多くの読者の方々を持つ発信者として、僕にはまだまだ至らぬ点が多いようです。
努力しなければ、と気合を入れ直すのも、もう4度目のことです。

色々と考えているうちに、言葉が足らない方の事柄でひとつ気になる件が出てきましたので、御報告申しあげます。

先日の記事にて、GSの楽譜の発売についてみなさまに御案内さしあげたのですが、実はこの本には、書式の点でハンデがございます。
絶版商品の復刻として、以前から版下のあった60年代の収載曲と、今回新たに採譜・追加収録することになった「渚でシャララ」では、譜面の書式が統一されていないのです

復刻の譜面は、いわゆる「フリーハンド」というスタイルの版下を流用しています。
簡単に言いますと、手書きです。
昔の楽譜業界には、このフリーハンド専門の職人さんが多く活躍していました。安定した読みやすい文字、味のある音符の表記など、特殊な手作業の技術を持った職人さんの書式は、おもにギター譜、メロディー譜で重宝されておりました。
ギターを嗜む先輩方の中には、そういう書式の楽譜を御覧になった方も多いのではないでしょうか。

ところが、コンピューターの導入によって、楽譜は別に特殊な技術を持たない人でも、簡単にレイアウトできるようになり、フリーハンドは急速に需要が減り、職人さん達もいなくなってしまったのです。
ですから、今度発売となる「グループ・サウンズ・コレクション」では、60年代の名曲群がフリーハンドスタイルでズラリと収載された、その一番最後に、「渚でシャララ」の譜面が、コンピューターでレイアウトされた書式で掲載される、という統一感に欠ける作りになっております。

フリーハンドの衰退による書式不統一については各社、数多く例があり、僕も無意識のうちにそれを常識的に捉えてしまっていたようで、先日の記事には触れていませんでしたが、そういった事情を御存知ないみなさまからすれば、「何故こんな書式の状態になっているのか」と、購入後に疑問に思われるほうが自然のような気がしてまいりました。
言葉が足りなかったように思います。

楽譜業界のそういった事情を何卒踏まえて頂き、書式不統一の件についてはどうかご了承頂きたく思います。
もう予約なさって下さった方々もいらっしゃるのに、説明が遅れましたこと、大変申し訳ございませんでした。

重ねまして、どうぞよろしくお願い申しあげます。

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2010年2月26日 (金)

ザ・タイガース 「落葉の物語」

from『THE TIGERS SINGLE COLLECTION』
original released on 1968、single『君だけに愛を』B面


Tigerssingle_2

disc-1
1. 僕のマリー
2. こっちを向いて
3. シーサイド・バウンド
4. 星のプリンス
5. モナリザの微笑
6. 真赤なジャケット
7. 君だけに愛を
8. 落葉の物語
9. 銀河のロマンス
10. 花の首飾り
11. シー・シー・シー
12. 白夜の騎士
13. 廃虚の鳩
14. 光ある世界
15. 青い鳥
16. ジンジン・バンバン
disc-2
1. 美しき愛の掟
2. 風は知らない
3. 嘆き
4. はだしで
5. スマイル・フォー・ミー
6. 淋しい雨
7. ラヴ・ラヴ・ラヴ
8. 君を許す
9. 都会
10. 怒りの鐘を鳴らせ
11. 素晴しい旅行
12. 散りゆく青春
13. 誓いの明日
14. 出発のほかに何がある

--------------------

(註:すみません!
多くの方々より記事解説の記述ミスのご指摘があり、記事を訂正いたしました~。
う~恥ずかしい。僕の完全な思い違いで、申し訳ございません。
ご指摘くださったみなさま、ありがとうございました。)

本日は、下山さんと泰輝さんのコラボLIVEですね。
駆けつけるジュリーファン、鉄人バンドファンも多くいらっしゃることでしょう。うらやましいです。
参加された方々、是非感想をお願いいたします~。

さて、こちらでは引き続き、歌門来福セットリスト・おさらいシリーズ。
今日は、「我がザ・タイガース」(byジュリーMC)の登場です!

歌門来福で歌われたタイガース・ナンバー3曲は、いずれも”ジュリー祭り”セットリストからは漏れていた名曲達でした。
タイムリーなタイガースファンのみなさまには、素敵なサプライズ。僕のような後追いのファンにとっては、日頃のジュリ勉の成果を試される渋~い選曲。

余裕でクリアした自分を、ひとまずは褒めてあげたい~。

今日はその中から、「落葉の物語」を採り上げたいと思います。
イギリスならビートルズ。日本ならタイガース。60年代のバンド(グループ)ムーブメントにあって、何故彼等が特別抜きん出た存在であり、常にセールスをリードし得たか。
僕は後追いで、しかも男性ですからね。ルックスの話はしませんよ~。
ビートルズのそばにジョージ・マーティンがいたように、タイガースにはすぎやま先生がいたのだ!というお話をさせて頂きます。
伝授!

ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンという人は、元来バリバリのクラシック畑のお方でした。
EMIのお仕事でビートルズを担当する事になった際も、初めは「まぁまぁのバンドだけど・・・なんでオレがこんな奴等の音楽を・・・」という感覚があったようです。
ところが、一緒に仕事をするうち、メンバーの持つ途方もないエネルギーに圧倒され、セカンド・シングル「Please Please Me」をレコーディングする頃には、すっかりビートルズに傾倒してしまいました。

すぎやま先生の場合は、編曲・プロデュースのみならず、戦略として最初から「作曲」まで噛んでいるワケで、ちょっとジョージ・マーティンとはパターンが違いますが、明らかな共通点として

優れた素質を持つロックバンドを最高の素材として、自身の豊かなクラシックの知識・才能を、惜しみなく、エレガントに注ぎ込んだ

という姿勢が挙げられます。
中期までのビートルズが、常に他バンドのアレンジ・アプローチを凌駕し最先端を走っていけたのは、ロックバンド的な音作りの中にクラシックの隠し味をブレンドしたジョージ・マーティンの功績によるものと言えます。
「ちょっと格が違うぞ」という雰囲気が、クラシックに疎いリスナーにも、それとは気づかず何となく伝わっていたでしょう。

そして前期タイガースにも、すぎやま先生の手管によって同様のことが起こっていたのでは、と後追いの僕は想像しています。
タイガースの場合、「ロック」という概念より先に「大衆ウケし易い歌謡ポップス」の狙いがあり、基本的に楽曲もそういった作りですが、

・当時の洋楽流行を積極的に導入
・編曲(すぎやま先生の場合は作曲も)段階で、クラシックの手法をバンドサウンドに融合

この2点を、あのすぎやま先生が渾身で注入していたのですから、タイガースはNo.1グループになるべくしてなった・・・そういう条件が揃っていた、という事でしょうね。

さて、「落葉の物語」です。
まずは前回記事「SOMEBODY'S CRYIN'」で少し触れました、「15の時」を例に挙げて書いたメロディーライン説明のおさらいになりますが。

♪ なが さかみの おち~のおか~♪
(和音進行は
ファ・ラ・ド→ド・レ・ミ→レ・ファ・ラ→ファ・ラ・ド・ミ♭→
シ♭・レ・ソ[×2]→ラ・ド#・ミ・ソ→レ・ファ#・ラ・ド)

太字が小節の頭です。優雅なシンコペーション・メロディーの載せ方ね。
この極上の美しさも、すぎやま先生ならば余裕の作曲でしょう。

で、本題は。
流麗なイントロ、そして「♪す~て~きな、す~て~きな♪」から始まるサビと、次いで登場する間奏コーラスの進行なのですが。
タイムリーでこの曲を知ったみなさまも、初めて聴いた時
「あれっ、これどこかで聴いたような・・・」
とお思いだったでしょうね。


元ネタについては種々論説アリかと思いますが、僕は断言できますね。
これは、ポピュラーミュージック史の超スタンダードと言われる「ラヴァーズ・コンチェルト」ですよ。
何故そう言い切れるかと言いますと、60年代中後半、主にモッズ系の英国バンドが「ラヴァーズ・コンチェルト」をオマージュにしたナンバーを量産しているのです。
当時のロック界で、言わば熱病のような流行だったワケで。
のちに、モッズ回帰路線を打ち出して80年代に台頭したネオ・モッズの連中も、わざわざそのパターンを踏襲した楽曲を競って作曲しているほどです。
日本でトップ・グループの地位を確固たるものにしたタイガースが、そんな流行にノらない手はなかったはずですからね。

ところが、「ラヴァーズ・コンチェルト」という曲には更にウラがありまして(まぁ有名な話ですのでご存知の方も多いでしょうが)。
これは、バッハの「ト長調のメヌエット」を組み立て直した楽曲なのです(執筆の際、作曲者をショパンとベタに間違えて記述しておりましたが、訂正致しました・ご指摘くださったみなさま、ありがとうございました)。
3拍子を4拍子にして、メロディーを作り変えて。

みなさま、「陽のあたる教室」という映画をご存知かなぁ。
クラシック作曲家の夢を捨てきれない主人公のホランド先生が、生活のため仕方なく高校の音楽教師に転身。
やる気のない生徒にウンザリしながら毎日を過ごしていましたが、ある日ひょんなことからロックンロールの手ほどきをしたところ、生徒の表情が一変し、活気に満ち溢れた授業に。
ホランド先生、生徒の双方がそれぞれに一歩踏み出し、心を通わせるきっかけとなった、そんな重要なシーンがありますが。

「この曲を知ってるか」
と、「ラヴァーズ・コンチェルト」をピアノで弾く先生。こぞって挙手し、我先に答えるロッケンな生徒達・・・ですが、

違う、これはバッハ(!)のメヌエットだ!

と言い切るホランド先生。おそるべし。

脱線ついでに書かせて頂きますが、「陽のあたる教室」は僕が最も好きな映画で、長らくパッケージ再発されていませんでした。
「挿入歌の権利の関係かなぁ。仕方ない」
と、入手をあきらめていたのですが。
今回の記事執筆にあたり、このネタを思いついて久々に検索かけてみたら・・・2009年4月に再発されてた!
速攻ポチですわ。
拙ブログを長期お読み頂いている方ならご承知の通り、2009年4月に、ジュリーと関係ないDVDの検索かけてる暇は僕にはなかったです、ハイ。

あぁ、それと。
先程「最初に一応バッハと言わせて」と書いたのは。
現在ではこのメヌエット、実はベッツフォルトという作曲家の作品であった、という認識で統一されております。
元々バッハが妻子に残した音楽帳に書かれてあった譜面を、色々な作曲家が脚色して世に知られた曲ですので、ずっと原作はバッハだ、と考えられていたらしいのですね。
これは、勤務会社の出版物からの受け売り。
(註:これも後に記述ミスを訂正したものです)

はいはい、それでは「落葉の物語」のお話に戻ります。
「ラヴァーズ・コンチェルト」が「バッハのメヌエット」の改作であることを、すぎやま先生は当然ご承知。
ポップス、ロックの色合いで攻めるタイガースならば、流行りのモッズバンドに習って「ラヴァーズ・コンチェルト」のチェンバロ投入路線の踏襲だけで事足りるはずですが、すぎやま先生はおそらく編曲段階でちょっと遊び心を加えています。
イントロ、右サイドのオーケストレーションが「ラヴァーズ・コンチェルト」風、左サイドのチェンバロが「バッハのメヌエット」風、という合体技が炸裂するのです。

チェンバロの音は、スタッカート気味に響く特性があります。
「陽のあたる教室」でホランド先生がピアノで弾いたように、「ト長調のメヌエット」は1音1音歯切れよく演奏される・・・チェンバロを使って、その雰囲気を「落葉の物語」に加えたのではないでしょうか。
しかも音階は、「バッハのメヌエット」左手伴奏のアナグラムのようです。

いや、すみません。
毎度のことですが、こんな事は解らずともイイ曲はイイのであって。
例えばヴォーカル、2番からジュリーのソロに切り替わるのがタマらん!というのは、男性の僕だって、みなさまと同じように感じておりますよ~。

そして、ピーのドラムス、素晴らしいです。いつもながら、きちんと楽曲に合わせて表現してくれる、気持ちの良い演奏。
スネアをユルユルで叩く箇所とカチンカチンで叩く箇所をはっきり使い分けているんですよ。これは特に「♪ふたりで、みつけた♪」のブリッジ部を突起させる効果がありますね。
タムの「スコ~ン!」という鳴り方も大好きです。

え、ギターですか?
左サイドから、かすかにジャカジャカと・・・。コードストロークかと思いますが、いくらなんでもミックス小さ過ぎませんかこれ~?

ところで、この「落葉の物語」がお正月LIVEのセットリストに選ばれたおかげ・・・かと思うのですが、僕は2・5渋谷にて、初めてお会いしたJ先輩に明治のチョコレートのプレゼントを頂きました~!
「ショコラテです」というそのお言葉だけで、
「こんな大先輩に、同じジュリーファンとして見て頂けている」
と、とても嬉しかったのです。

この場を借りて、御礼申しあげます。

週末は、「陽のあたる教室」を本当に久しぶりに観ます。
決算で残業続き。疲れた身体をリフレッシュしたら、次回記事は「砂漠のバレリーナ」、行きますからね~!

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2010年2月25日 (木)

恐縮です!(渚でシャララ篇)

本日、加瀬さんのブログを拝見。
焦りました。ジュリーwithザ・ワイルドワンズ、スマスマの放映日が3月1日ですって~?!
そんなタイトなスケジュールなんだ・・・。

え、何を焦っているかって?

・・・というワケで新カテゴリー「恐縮です!」今日はその第1弾です。
このカテゴリーでは、微力・底辺ながら僕が少しでもジュリーに関連する仕事に携わった事柄について、大変恐縮ではあるのですが、多くのみなさまにご紹介させて頂こうというものです。
いつもいつもそれが可能かどうか解りませんが、少しでもジュリーや加瀬さん達の活動を世に広めるため、今回のようにこうして記事を書かせて頂きたいと思っています。よろしくお願い申しあげます。

何かと言いますと。
3月に、僕の勤務する会社から、GSの名曲群を収載したギター弾き語り対応の楽譜が出版されます。
タイトルは「グループ・サウンズ・コレクション」。
ず~っと絶版状態、中古で6000円を超える価格で売られたりしていた本の、復刻版となります。
今日はこの商品のご案内をさせてくださいませ。

元々は、会社の後輩の企画。
「以前出版していたGSのギター弾き語りの復刻なんて、どうですかね・・・?」
今年の初め、企画のネタ探しに奔放している後輩が、そう打診してきました。
世は未曾有の大不況。楽譜もなかなか思うように売れない状況が続いていた中、普通なら
「そんなん、ダメ!きっと在庫残るで~」
と、シビアに却下なのですが。

それが、今年の1月早々の話ですよ。
すべてのジュリーファンが(もちろん僕も)
「GSで日本を元気に!」
と、その気になってた矢先のことですよ。

「よし、のった!」
と二つ返事。後輩もビックリしたでしょうね。
さらに

「旧版そのままの復刻じゃアカン!急いで1曲追加して、3月に発行できるか?」
「はぁ・・・」
「追加する曲は、”渚でシャララ”だ!」
「何ですかそれは・・・」
「今月の”ひるおび”のテーマソングになっている、2月11日発売のジュリーwithザ・ワイルドワンズのデビューシングルだぁ!」
「はぁ・・・あ、この旧版、グループごとに五十音順に並んで収録されてますから、最後がワイルドワンズなんです。ワイルドワンズ絡みの曲なら、その後の一番最後に付け足しても自然ですね!それでしたら作業もすぐです!(註:ページを入れ替える作業が発生すると、原稿割りの作業が大変で時間がかかるのです)」
「おっしゃ~、キマリや~!」

と、かなりハシょり、かなり脚色してますが、そんな会話がありまして。
で、数日後、後輩にリサーチの結果を聞いてみると。

「探したら、エーベックスさんから12月に資料が来てました~」

なんだと~!
(ということは当然多くのライバル会社にも同じものが届いてる)
急げ!急いで進めろ!
と言うかその前に・・・
早く聴かせてぇ~!!

あ、以前にも「渚でシャララ」の記事にて申しあげた通り、こうして僕はいち早く音源を耳にすることができましたが、ちゃんと正規のCDも発売日に購入しておりますから。
そこは何卒ご容赦くださいませ。

ジュリーの写真がついているわけでもない、GSのオムニバス。楽器を弾かない方々にとっては用もない・・・ただの譜面しか載っていない本。
ですが、「渚でシャララ」を世に広めたい!という、一介のしがないファンの情念によって、この企画は無事に進行しました。
密林さんでは便宜上3月末日の発売という設定になっていますが、中旬には出来上がってくるはずです。

しかし。
冒頭で僕が焦っていたのは、ですね。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズが、テレビで「渚でシャララ」を歌う・・・その直後には普通にみなさまが購入できる、というタイミングで、発売したかったのです。
まさかスマスマが3月頭の放映とは・・・無念。
まぁ加瀬さんも「3月1日ではないかな?」と書いていらっしゃって、まだ確定情報ではないようですが。

そんなワケで、「渚でシャララ」TV放映直後の発売、とはいかなそうな雲行きですが、密林さんではもう予約を受け付けております。↓

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AE%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%BC%BE%E3%81%8D%E8%AA%9E%E3%82%8A-%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/dp/4285126419/ref=sr_1_6?ie=UTF8&s=books&qid=1267107029&sr=1-6

本の中に写真も無いし、オフィシャルグッズでもない。興味のある方は少ないとは思います。
でもこの商品は、欲張って大きなリスクを持って制作してはいません。
ですから、決して派手に売れなくとも、そこそこに売れて「おっ、思ったより動くね」という反応が掴めれば、それで大満足なのです。
「予想より売れたのは、”渚でシャララ”を収載したからだよ」
と、さりげなく主張もしてみたいし。

そうやって、徐々に徐々にジュリー人気の底力を会社や世間が認知してくれたら、また次があります。
正直、僕は”ジュリー70越え”の年に照準を絞っているのです。
その時こそ、微力ながら大きな企画商品の仕事に少しでも関われたら、と夢に描いています。今回は、そのための小さな第一歩ということになります。

それでも、この夏ジュリワンが大爆発して、僕が何も言わなくても、会社がアルバムのマッチングスコアまで企画検討、なんていう状況になる事もちょっと期待したりして。
(ちなみに、僕はアルバムについては先取りして聴いてはいません。僕の立場としては、メジャーリリースCDならば先んじて聴く手だてはいくらでもあるのですが、直接アルバムの企画が無い状況でそれを求めるのはフェアではない、とファンだからこそそう思いました。僕もみなさまと同じく、発売日を心待ちにしているところです。)

僕は、「渚でシャララ」は多くの人が「踊って&歌える」楽曲だと思っています。
一人でもギターを弾ける人がいれば、そこに集まった人達が、「渚でシャララ」を伴奏付きで歌って踊れる。その中にジュリーファンでない人が混ざっていたら、その人はそこで曲を覚えてCDを購入する・・・そんな流れが起こってくれたら、最高なんですけど。

そうそう、ひとつ後悔している事がありまして。
シングルのB面「涙がこぼれちゃう」を追加収録に押し込めなかったことです。
音源を聴いて、これはギターを弾く方なら絶対弾き語りたい曲だ、と思ったし、あの時の会社の雰囲気なら、僕が強く推せば自然にもう1曲追加できたはずなんです。

ただ、今回は迅速な作業を第一に、という事で自分を抑えてしまいました。
それに・・・「キーがC#かぁ~」なんて余計な事も考えてしまって。
「カポでCプレイでもいいけど、そしたら転調部がE♭になっちゃうし、カポつけてE♭ってのもなぁ・・・」
なんて。
余計な事考えずに、原調のまま載せときゃ良かった!
素晴らしい曲だとは思いながら、まさかこんなに他のジュリーファンのみなさまのハートを掴むことになるとは・・・予想できませんでした。
残念無念・・・涙がこぼれちゃいますよ。

気をとり直して。
譜面はですね、僕のような適当な者が手をかけたのではなく、キチンとした楽譜専門のアレンジャーさんが採譜してくださっておりますので。
どうぞご安心ください。

譜面にはコードが付いておりますので、何とか鍵盤系の方々にも・・・と思っています。
鍵盤を弾く方で、コードの和音構成が解らない方は、遠慮なく拙ブログを通じて僕に聞いてくださって、構いませんからね!
是非ピアノやキーボードでも、「渚でシャララ」弾き語りを~。

最後に、この楽譜集「グループ・サウンズ・コレクション」の収載曲をお知らせしておきますね。
「渚でシャララ」以外は、昔発行していた絶版商品と同じ選曲。ちょっと当たり前な感じの曲並びで新鮮味に乏しい、とお感じになる方もいらしゃるかもしれませんが・・・。
タイガース世代の方々ならば、誰もが耳にしたことのある名曲ばかりかと思っています。
「懐かしい!」と思って頂けたら、それだけでかなり嬉しいです。

*ザ・ヴィレッジ・シンガース
「亜麻色の髪の乙女」
「好きだから」
「バラ色の雲」

*オックス
「スワンの涙」
「ガール・フレンド」

*ザ・カーナビッツ
「好きさ好きさ好きさ」

*ザ・ゴールデン・カップス
「愛する君に」
「長い髪の少女」
「本牧ブルース」

*ザ・サベージ
「いつまでもいつまでも」

*シャープ・ホークス
「遠い渚」

*ザ・ジャガーズ
「君に会いたい」
「キサナドゥーの伝説」

*スウィング・ウエスト
「雨のバラード」

*ザ・スパイダース
「いつまでもどこまでも」
「風が泣いている」
「ノー・ノー・ボーイ」
「夕陽が泣いている」

*ザ・タイガース
「青い鳥」
「君だけに愛を」
「シーサイド・バウンド」
「銀河のロマンス」
「花の首飾り」
「僕のマリー」
「モナリザの微笑」

*ザ・テンプターズ
「エメラルドの伝説」
「おかあさん」
「神様お願い」
「忘れ得ぬ君」

*ザ・ハプニングス・フォー
「あなたが欲しい」

*バニーズ
「太陽野郎」

*パープル・シャドウズ
「小さなスナック」

*ブルー・コメッツ
「北国の二人」
「青い渚」
「青い瞳」
「草原の輝き」
「ブルー・シャトウ」

*ザ・ワイルド・ワンズ
「愛するアニタ」
「青空のある限り」
「想い出の渚」

*ジュリーwithザ・ワイルドワンズ
「渚でシャララ」

僕は大したことはしていません。最初に企画立案してくれた後輩や、デザイン、製作の人達が頑張ってくれました。
ただ、限られた文字数の中で、背表紙の煽り文句を必死に考えて、何度も何度も指示を出し念を押しました。
例えば
「渚」だぞ!「渚」じゃないぞ!
とか。
煩かっただろうなぁ。
購入を考えてくださる方がいらっしゃったら、そちらもお楽しみに。

どうぞよろしくお願い申しあげます!

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2010年2月23日 (火)

沢田研二 「SOMEBODY'S CRYIN'」

from『BEAUTIFUL WORLD』、1992

Beautifulworld

1. alone
2. SOMEBODY'S CRYING
3. 太陽のひとりごと
4. 坂道
5. a long good-bye
6. Beautiful World
7. 懲りないスクリプト
8. SAYONARA
9. 月明かりなら眩しすぎない
10. 約束の地
11. Courage

--------------------
 

 

引き続きまして、今回も歌門来福セットリスト・おさらいシリーズでございます。

まずは2.5渋谷のMCから、(ファンにしてみれば)ジュリーの意外な言葉を引用させて頂きますと。
曰く、

「今、世間じゃ”沢田研二?誰それ?”って人がほとんどですよ」

とのことです。

故に、テレビに出ていくというのは、敵だらけの場所で自分を晒すに等しい、その覚悟を持ってジュリーwithザ・ワイルドワンズをやる!というお話でした。

 

「”誰それ?”」なんて事はさすがにナイ、とみなさま(僕も)思ったでしょう。
事実そのMC時に会場は、「え~っ?」という反応でしたからね。しかしジュリーの考えでは、それもファンの贔屓目だそうで。
そうなのかなぁ・・・。


考えてみました。
その通りだとするならば、では、ファンではないながらもジュリーを知っている人達にとって、「沢田研二」とは一体何者でありましょうか。

歌手。
俳優。

おそらくそういった認識でしょうね。
そしてそれは、まぁ正しい。
例えば、ジュリーに対して「ロッカー」という認識が世間一般に無いことは、容易に想像できてしまうのです。それは、他ならぬ僕自身が証明してしまっている・・・僕は最初に購入したオリジナル・アルバム『TOKIO』で「ミュータント」や「捨てぜりふ」を聴くまで、ジュリーを「ロッカー」と認識した事はまったく無かったのですから(恥)。
なので、世間の認識はそんなものだろう、とは素直に思えるワケです。

 

では、「ロッカー」以外で、世間が認識していないジュリーの肩書の中、最も重要なものは何か・・・。これは是非バシッと言っておきたいのですが。

「作曲家」

これですわ。
この肩書については、実は長いファンの先輩方の中にも、胸を張っていらっしゃる方々が少ないように思います。

これが、「プロデューサー」とか「作詞家」といった話になりますと、もちろん僕はそのどちらもジュリーの素晴らしい魅力だとは思うけれど、それが主観の域であることも、何となく承知しています。
多くの先輩方も、同じ感覚をお持ちかもしれません。あくまで一般世間に通用するジュリーの肩書は、「歌手」「俳優」であろう、と。その他の分野での認知は、一般的にはされなくても仕方ないんじゃないか、と考えていらしゃる方が多いのではないでしょうか。

 

でも、「作曲家」は違いますよ(wikiでも、しっかり「作曲家」の肩書は書き加えられています。編集なさったお方、GJです)。
ジュリーの作曲には傑出した天性のセンスがあります。
ジュリーは「タイガースのリードヴォーカル」という伝説的スタンスと歌唱力、ルックスから、特殊な歌手人生を歩んだワケですけど、実はタイガース解散後に

「GS出身の大物作曲家」

という道も選び得た・・・それくらいの才能の持ち主だったという事を、まずファンのみなさまから、しっかり認識して頂きたいと思うのです。
世間に堂々と主張して間違いのない、ジュリーの「作曲家」という一面を、ファンの間で当たり前の認識として共有したい、僕は日頃からそう思っています。

 

あぁ、またしても前置きが長くなってしまっております。
今回のお題は、そんなジュリー自身による作曲作品。

歌門来福、初日のお客さんのイントロでの反応がいまひとつだったのが、悔しかった・・・。噛めば噛むほどに味を増す、本当に優れたナンバーです。
アルバム『Beautiful World』から、「SOMEBODY'S CRYIN'」、伝授!

 

レポにも書きましたが、歌門来福セットリストは僕にとって、ジュリー・フェイバリット・ソングス2番手集団の波状攻撃でした。個人的に「大好きだけれど深い考察に至らず、解釈が甘いまま」の楽曲を、「どうや!」とばかりの連発連打。
それまで気がついていなかった楽曲の魅力に打ちのめされました。参りました。
中でも「SOMEBODY'S CRYIN'」は、元々「大好き」という思いがあったにもかかわらず、LIVEで聴けたことが意外であり、新たな魅力が心に迫ってきて、初日帰宅後まず最初に改めてCDで聴き直したナンバーでしたね。

『Beautiful World』というのは僕の中では不思議な位置づけで、”2番手集団目白押し”のアルバムなのです。
大傑出して好き(「U・F・O」とかのレベル)な曲は無く、目立たないけれど聴くごとに大好きになる、そんな曲ばかりがギッシリと詰まった贅沢な作品集。

特に好きな楽曲をいくつか挙げなさい、と言われれば、「懲りないスクリプト」「Courage」、そして今回のお題である「SOMEBODY'S CRYIN'」という事になるでしょう。

これら3曲には、共通点があります。
それは、アルバム『Beautiful World』収録曲の中で、ジュリーが作曲を担ったのがズバリこの3曲!ということ。

 

このアルバムは、作詞がすべて覚和歌子さんなのですね(「Courage」のみ、ジュリーと覚さんの共作)。
覚さんの多彩かつ統一感のある作品が、それぞれ名うての作曲家陣とコンビを組んで仕上げられています。大野さんや建さんをはじめ、鈴木慶一さん、井上大輔さん、南佳孝さん、楠瀬誠志郎さん・・・ビッグネームがズラリと並ぶ中、ひときわ輝きを放つジュリーの作曲センス。
良くも悪くも「まず楽曲ありき」でジュリー作品を聴いてしまう僕が、名だたる作家陣を押しのけて、ジュリー作曲の3つのナンバーに強く惹かれた・・・僕にとって『Beautiful World』は、それだけで特殊な名盤と言えるのです。

 

僕も後追いでようやく解ったことなのですが、ソロデビュー当時から、ジュリーの作曲作品はキラキラと光っていました。
ファーストシングル「君をのせて」のB面「恋から愛へ」がまず素晴らしいですし、自作で固められたアルバム『JULIEⅣ~今僕は倖せです』『チャコールグレイの肖像』は言うに及ばず。
セールス絶頂期に自らのペンによる「ス・ト・リ・ッ・パ・-」「麗人」が見事に大ヒット。
80年代に入ると、アルバム収録曲やシングルB面で、タイプの異なる名曲を次々に手がけていきます。「Hey!Mr. Monkey」「バタフライ・ムーン」「ロマンティックはご一緒に」・・・数え挙げればキリがありません。
そして、その創作意欲を一気に爆発させたCO-CoLO期、そして現在に至るセルフプロデュース期についてはみなさまご存知の通りですよね。

 

そんな中、建さんプロデュース期に少しお休みがあるのですが、『パノラマ』あたりで自作曲への渇望が顔を出しはじめます。
『Beautiful World』では、覚さんの詞を起点にアルバム制作を、というコンセプトがあったことを以前先輩に教えて頂きましたが、この時点ですでに、覚さんの最大の理解者は他ならぬジュリー自身だったのではないでしょうか。「覚さんの詞と自分の曲の組み合わせなら、よりコンセプトを明確に表現できるはず」というジュリーの意思が、少なからずあったように思います。

 

「SOMEBODY'S CRYIN'」は、メロディーのリズムへの載せ方が、とてもしなやかなのですね。これは譜読をなさる方なら賛同して頂けると思うのですが・・・。
例えばAメロ。力点が小節の頭へ向かってグッとうねるような感じがします。
このようなシンコペーションを使用した作曲は、平凡な作曲家の場合だと、よほど意識しないと書けない。自作曲を歌うプロのバンドで、シンコペーションを使ったメロディー楽曲が皆無、という例も見られるほどです。

ジュリーは、若い頃からすでにこのシンコペーション感覚を発揮しています。

一番解りやすい楽曲が、「15の時」。歌詞で表記しますと

 

♪なに わか なに 見えに♪

 

太字の部分が小節の頭になります。Aメロは終始このようなシンコペーションのメロディーで押しまくり、

 

♪今日らは おそる こは 何ない~♪

 

というダメ押しの大サビ(通常のサビとは別に、エンディングに強烈なメロディーを配置する)へと、最終的に繋がります。

「SOMEBODY'S CRYIN'」のメロディー作りは、この「15の時」作曲手法の応用・進化形と言うことができます。
さらに「SOMEBODY'S CRYIN'」には、単純なエイトビートではなく、ファンクやソウルのリズムニュアンスが加わり、16分音符が多用されているのも特徴のひとつ。「懲りないスクリプト」でも同様の狙いが見られますね。

 

「Lonely Night♪」から始まるメロディー導入部は、「レ・ファ#・ラ」→「レ・ファ#・ラ#」→「レ・ファ#・シ」という和音移行です。3つ目の構成音が半音ずつ上がっていくという展開なのですが、これは単にギターコードをジャ~ンと鳴らして作曲、というやり方ではなかなか組み立てが難しい。
まず頭の中でグルーブさせたメロディーに応じて、後から和音装飾していく、という作曲作業だったと想像できます。

むしろ、鍵盤による作曲であった可能性もある、と僕は思うのですが・・・。
いずれにせよ、ギター弾き語りによる作曲が中心だった70年代と比べ、創作アプローチが進化・多様化してきていることは間違いありません。

 

サビの「Somebody's Cryin'♪」の箇所も、

F#→G→Bm→Bm7→D→D7


という、ジュリー独特の風変わりな進行で、このあたりが「ジュリーの曲は、普通では考えられないコード進行をする」というかつての堯之さんの発言(これもブログを通じて先輩に教えて頂いたお話)に通じる点でしょう。

 

吉田建さんプロデュース期のジュリーは、軽く飄々と歌っているように聴こえるのが何故かセクシー、というヴォーカルが多いですけど、自作曲だとその度合も増していますよね。
「SOMEBODY'S CRYIN'」も、そんなナンバーだと思います。

 

さて。
折りしも、「渚でシャララ」草の根広報活動真っ最中の先輩方が多くいらっしゃるようです。
一般のジュリー認知度は、今どんな感じなのでしょうか。僕は、結構手ごたえを感じているクチなんですけどね。
みなさまが、ファン以外の方に今回のジュリワンCDを紹介する時、まずは「あのタイガースのジュリーが・・・」というお話から始められるのでしょうが、

「あまり知られていないけど、実はその後、ジュリーは作曲家としても才能を発揮していて・・・」


と、是非自信満々で説明をつけ加え、ジュリーのソロ作品をも薦めて頂きた~い!
お願いいたします~。

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2010年2月19日 (金)

沢田研二 「光線」

from『単純な永遠』、1990

Sinpurunaeienn

1. a・b・c...i love you
2. 世界はUp & Fall
3. PLANET
4. プライド
5. 光線
6. New Song
7. この僕が消える時
8. 不安にさせよう
9. 気にしてない
10. ジェラシーが濡れてゆく
11. 月のギター
12. 単純な永遠

--------------------

さて今日のお題は。
「ジュリーwithザ・ワイルドワンズ、アルバム発売までの間、ちょっと歌門来福をおさらいしてみよう!」シリーズ・第1弾でございます。

カッコ良かったですね~、歌門来福のセットリスト。
「まだまだ歌う曲がある」
プレプレツアーのMCでジュリーはさかんにそう言っておりましたが、2010年お正月、早速の有限実行、ファンの期待に応えてくれました~。
歌門LIVE以前はさほど強い印象を持っていなかった楽曲が、1夜でとてつもなく好きになる、というマジック。たっぷりと味わった方々が、僕以外にもたくさんいらしゃったことでしょう。

そんな中、今回を期に個人的にヤラれてしまったナンバーとして、まずこれは外せない。
刺激的なオープニングチューンとして、歌門来福セットリストを飾りました。
アルバム『単純な永遠』から、「光線」、伝授!

今でも思い出すとゾクゾクします。
僕は今回のツアー初日、2階席後方だったのですね。ですから、オープニングでジュリーがドラムセットの後ろから歩いてくるシーンが、暗くて見えなかったのです。
激しく点滅するライトの交差で、いきなりジュリーの立ち姿が浮かび上がりました。雷光の中に忽然と現れたように見えて、興奮しましたねぇ。

この曲は、少し前まではLIVE率も高かったのですね。
でも久しぶりには違いないでしょう。
僕が初めて「光線」という楽曲を知ったのは、DVD『REALLY LOVE YA!』収録のライヴ映像でした。
このDVDは僕などが言う間でもなく素晴らしい映像音源作品で、『REALLY LOVE YA!』はその後すぐにCDも購入しましたが、「光線」については、すぐにレコーディング音源に出逢うには至らず。

『単純な永遠』CDを購入したのはずっと後のことで、しかも「気にしてない」の記事にも書きました通り、僕はドーム以降の大人買いにかまけて、この大名盤を昨年春頃まであまり真剣に聴いていなかったのでした(恥)。

今となってはこの『単純な永遠』、僕のジュリー・フェイバリット・アルバムとして2番手集団のかなりイイ位置につけておりますが(しつこいようですがトップはダントツで『JULIEⅡ』)、それでも「光線」というナンバーの素晴らしさは不覚にも見逃していた、と言わざるをえません。
もうね、「こんなカッコイイ曲だったか~!」と。
身震いしたと言いますか。

今回LIVEを体感して今さらながら気がついたカッコ良さ・・・1番シビレたのは、意外やコーラスワークなのでした。エンディングに近い、サビのダメ押し部分ですね。

♪お~お~お、お~♪

徐々に下降していくコード進行の演奏に合わせて、繰り返される幻惑的なコーラス。
大きく分けて4回しするんですが、何と、最後の4回し目だけリードギターがユニゾンで噛んでくるのです。細かいことながら、このアレンジは素晴らしく渋い!
これは本当に、歌門来福セットリストの復習で初めて気がついたことなのです。
この渋いリードギター・パート、歌門LIVEでは柴山さん、下山さんのどちらかが再現していたのかなぁ。もし演っていたとすれば、末席とは言えこんなスタイルのブログをやっている僕こそが気づかなきゃダメじゃないか!と反省しきりです。


あと、これもLIVEの話になってしまうのですが、サビ部のギター・バッキング。
柴山さんは「ガッガッガッガッ・・・」とダウンピッキングの8分音符連打。一方の下山さんは、撫でつけるように「3+3+2」のアクセントで弾くのです。
普段のお二人のスタイルからすると、役割が逆転しているんですよ。
これは、柴山さんがオーバードライヴ系、下山さんがリバーブ系の音色を強調しているが故のコンビネーション。ベース不在がまったく気にならない、素晴らしい演奏でした。

歌門来福に参加して後、CD音源をヘビロテで聴いておりますと、詞も曲も圧倒的な魅力で耳に迫ってきます。
そして、ジュリーの叩きつけるようなヴォーカルが、何とカッコ良いことか。
時折歌詞に英語のフレーズが混ざるのが、ジュリーのヴォーカルにかかると全然嫌味じゃない。「スパ~ン!」とジャストで飛び込んできますね。
”シンクロニシティー”という印象に残るフレーズがありますが、これを聴くとやはり、ザ・ポリスの名盤を思い出します。
『シンクロニシティー』というタイトルの、コンセプトアルバム。
言葉の意味もロクに知らず、妙にカッコ良い響きだけで、高校生の僕は虜にされたものです(ちなみにこのアルバムからのシングルヒット「見つめていたい」は、大沢誉志幸さんの「そして僕は途方にくれる」のオマージュ元になっていると考えられます)。
アルバム『単純な永遠』では、サエキけんぞうさんの作詞も大きな核となっていて、「光線」に使用された”シンクロニシティー”のように、語感が良くて、その上深遠な意味を持つフレーズが多く組み込まれています。

作曲は、ジュリーナンバーのハードな面を開拓した作家のお一人、吉田光さん。
吉田さんの作品の中では「Shangri-la」がダントツで好きな僕ですが、「光線」もかなり凝ったナンバーであったことをこのたび再確認しました。
全体を通してハードな短調の楽曲。そんな中、間奏の前半部だけ(!)長調に転調するのです。
歌門LIVEで、柴山さんがステージ最前までカッ飛んできた箇所ですよ。
演奏していても、かなりの刺激を感じることができるアイデアなのでしょう。作曲者としては、してやったり。
おいしい転調アイデアをグッと1箇所のみの配置で耐えることが、楽曲のクオリティ-を高めていると言えます。

あとは、「光線」と言えばやはりこれ。
イントロのコーラス・アルペジオ(CD音源だとエレアコ)に引き続いて登場する

♪ ジャッ、ジャッ、ジャ、ジャッ、
    ジャッ、ジャッ、ジャ、ジャジャ ♪

という印象的なリフレインがありますよね。

なんと、ココ、7拍子ですから!
ジュリーがヘドバンになるわけだ~。
プログレッシブ・ロックから始まった、ハードな楽曲における、刺激的な変拍子の導入。
このリフはイントロ以外にも登場するので(エンディングで連発)、それまで気持ち良く2・4拍で手拍子を叩いていたお客さんはそこで「おっとっと・・・」となってしまうワケです。
歌門来福セットリストの中で、この「おっとっと現象」はもう1曲、「BAMBINO EXCUSE」でも起こっていましたね~。

「♪デジタルでいい~♪」って箇所から3拍子に切り替わるんですよ、あの曲。
とにかく、手拍子のタイミングが「あれれ?」となった時には、ヘドバンで対処しましょう。そうしとけば、マチガイないです(全拍連打でも良いですけどね)。

しかし、歌門来福でつくづく思い知らされました。
こんなに素晴らしい楽曲を見逃していることがあるのですね。

そういえば、以前からの常連さんでいらっしゃる、ぬこ様。何と、一番お好きなジュリーナンバーが「光線」ですって~?
ぬこ様は関西ですから、初日に参加できず、ネタバレの後に歌門LIVEに参加なさったわけですが、もしもセットリストの予備知識なしに、1曲目「光線」攻撃を受けたらどうなってしまわれたことでしょう。
ネタバレしていたにしても、自分の最も好きな楽曲がLIVEの1曲目って、一体どんな感覚に陥るのでしょうか。

「1番好き」なジュリーナンバーが30曲くらいある僕にだったら、いつかそれを体感できる日が来るのかなぁ。

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2010年2月15日 (月)

ありがとうございます

またしても、予期せぬ僥倖にみまわれました。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズ、絶賛発売中シングル「渚でシャララ」のカップリング曲、「涙がこぼれちゃう」の作者・吉田Qさまが、先日の僕の記事を、御自身のブログで紹介してくださったのです。

予期せぬ驚き。
身に余る光栄。
「うれし恥ずかしとはまさしくこのこと」とは、まさしくこのこと。
どうもありがとうございます!

吉田Qさまは、「ジュリーブログさんを回覧中」とのことでしたから、正直、1度くらいは僕のトコにもいらっしゃってるだろうなぁ、とは思っておりましたが・・・。
此の度、まさか「DY兄さま」などと呼んで頂けるとは!
連呼して下さっていたあいら様に、感謝せねばなりません。

しかも・・・ご自身の作品をここまでクドクドと拙文で綴られ、不快な点もあったはずですのに、心優しきお言葉。
感謝・感激、他に言葉が思いつきません。

不吉なことを申しあげるようですが、僕が吉田Qさまの作品について記事を書くのは、「涙がこぼれちゃう」という楽曲限りではありません。
なにせ、昨年のプレプレツアー時に、

「これからリリースされるジュリーのアルバムは、タイムリーで全曲レビュー記事を書く!」

などと宣言してしまっております。
ワンズとのコラボ、例外ではありません。
チェック済の方も多いでしょう。ジュリワン公式サイトにて、アルバム収録全曲のクレジットが既に公になっております。

8曲目「いつかの”熱視線ギャル”」

もちろん書かせて頂きます。
このタイトルで、作者が吉田Qさまと来れば、これは期待するなという方が無理!
一体どんな楽曲でしょう・・・ワクワク。

3月になれば、Qさまもまたお腹をすかせてくださるかと思います。
今度こそ失礼のないように、頑張ります。

最後に、畏れ多いことですが、僕の方からもリスペクトと感謝をこめまして、自分のアンテナ(右下の「近い旅」コーナー)に、Qさまのブログリンクを加えさせて頂きました。

吉田Qさま、今回は本当にありがとうございました。
情報をくださった先輩方にも、感謝です!

DYNAMITE 拝

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2010年2月14日 (日)

ジュリーwithザ・ワイルドワンズ 「涙がこぼれちゃう」

たまに優しい言葉をかけてくれたなら
それだけで 人は生きてゆけるのさ
だから寂しくてやりきれぬ夜は
ためらわず電話しなよ 涙がこぼれちゃう

(詞・吉田Q)

from 『JULIE WITH THE WILD ONES』、2010

(2010年6月14日註:
「涙がこぼれちゃう」の検索フレーズでこちらにお越しのみなさま。
この大名曲を作詞・作曲した吉田Qさんに是非とも力をお貸しくださいませ。
ASAHI SUPER DRY THE LIVE
真夏のフェス出場を賭けて、吉田Qさんがweb投票にエントリー中です!投票は今週18日・金曜日が締切なのです。
まずは投票頂いてから読んでたもれ~。

(2010年6月25日註:みなさまの応援のおかげで、吉田Qさんは見事web投票2位で夏フェス出場権を獲得いたしました~。ありがとうございます!)

--------------------------------------

風邪も治りまして、先日に引き続きジュリワン・デビューシングルのお題です。
このB面曲(と、敢えて呼びたい。「シングルB面」と言うだけで、名曲の匂いがするじゃないですか~)、予想以上にみなさまの大好評を博しているようですね。
おおむね、「カワイイ」「メロメロ」といった乙女な感想が多いようでして。このナンバーをジュリーに歌わせた加瀬さん、会心の勝利と言えましょう。

先日「渚でシャララ」の記事でも触れたように、万が一ですが、作曲者御本人の目に触れるという可能性もございますので、気合を入れて、真剣に長文更新いたします。
名曲「涙がこぼれちゃう」、僭越ながら伝授!

みなさまより1ケ月も早く、このシングル盤の音源と情報を得た(恐縮です)僕ですが、その時エイベックスさんのプロモーション書類に綴じこまれていた歌詞カードのクレジットを見て、まずは「ん?」と思ったのでした。
もちとん、A面「渚でシャララ」の三浦徳子さん=加瀬さんのコンビ復活には狂喜乱舞。
ところが一方のB面に、「作詞・作曲・吉田Q」という文字。

何と、不勉強にてまったく初めて目にするお名前です。
しかも詞曲両方を担当なさっているという事で、おそらく僕の知らないシンガーソングライターの方だろうと目星をつけ、早速検索!

非常に個性溢れる、エキセントリックなアーティスト・サイトがヒットいたしました。
アンダーグラウンドの煮えたぎる空気が漂う、只ならぬ雰囲気。
まずはオリジナル楽曲のダウンロードコーナーにリンクし、その場で数曲を拝聴いたしますと。

こ、これは・・・。
ひと筋縄ではいかない才能。
手元にきたばかりの「涙がこぼれちゃう」1曲でイメージを固められるような、簡単なお方ではなさそうです。

結局、検索をかけ続けても多くの情報には辿り着けず。
ジュリー絡みでここまで”謎”の人は久しぶりですね。
1985年生まれ・・・ジュリーのアルバムで言うと「架空のオペラ」の年ですか~!スゴイ話ですね。

ダウンロードさせて頂いた吉田Qさんの楽曲には、意外やどの曲も冷静に醒めた視点がありました。随所に織り交ぜられるユーモラスな表現は、優れた客観性の為せる業でしょうか。
「情緒的な風景を客観で捉える」という能力が作詞においてとても大切だという事は、ようやくこの年になって僕にも理解できるようになってきました。激しい感情が邪魔になる場合があるのですね。
吉田Qさんの楽曲は、そんな才能を若くして充分に発揮したものばかりでした。

ところがここで、吉田Qさんのレパートリーの中ではおそらく直球系に分類されるであろう、「涙がこぼれちゃう」という楽曲が加瀬さんに見出され、ジュリーwithザ・ワイルドワンズによってカバーされることになります。

この曲をジュリーに歌わせようと思いついた加瀬さんの眼力は、本当にスゴイ。
ポジティブな思考、面白いと思った事は何でも挑戦、という加瀬さんのキャラクターならではの発想です。
結果、ジュリーと吉田Qさんの組み合わせは、凄まじい融合作用を生むことに。

これはあくまで僕のとらえた感覚なのですが、「涙がこぼれちゃう」という楽曲、吉田Qさんが歌っていた段階では、若い男のドツボな失恋状況をトコトンまでツッコみ、面白おかしく描いたシュールなポップソングだったと思うのです。

ところが!
ジュリーがこの曲を歌うと。
まず、瞬時にして時空が広がる!

時はあっという間に数十年を駆け巡り、歌の主人公は、いっぱしのオトコになっています。
野生の匂いすら漂う大人の男。もう過去の恋愛にクヨクヨ悩む歳ではないでしょう。
しかし時に挫折が男を襲います。仕事のトラブルかもしれないし、ひょんな人間関係かもしれない・・・そんな挫ける心を吐露する先は、青春時代の恋のお相手だったりとか。

ジュリーが歌う事によって、そこまで話が違ってくるワケです。
しかも。
もうすでに、登場する男女(元カレ&元カノ)二人に既に何らかのコトが起こった、その直後の男側の独白のように・・・(ジュリーのヴォーカルだと)聴こえるのですが・・・深読みし過ぎですか?

歌詞については・・・分析はほどほどにしておいた方が良さそうです。主観の領域でしょうから。
ただ、この詞で胸キュンになったみなさまは、すごく素直にジュリーヴォーカルだけを聴いた方々なのでは、と思うのです。
「渚でシャララ」と続けて聴く、というのも重要なポイント。CD1枚通しての世界観が、既に用意されているワケです。
予備知識なしに、まずジュリーの声ありき、でシングル盤を聴いた方が、この「涙がこぼれちゃう」の歌詞のインパクトは強いはず。
楽曲が、歌詞ごと自分の手を離れていくような目眩めく感覚を、吉田Qさんは味わったのではないでしょうか。

それでは、メロディーと楽曲構成について。
主調は嬰ハ長調(C#)。まったくの偶然ながら、主調とブリッジ部(E→F#と進行、元調ドミナントのG#へと向かい上昇していく)の相関性は、先日記事に採り上げたばかりの「朝の別れにほほえみを」とまったく同じ転調です。
ただ、アレンジから言えば、同じ理屈で転調する楽曲例として「生きてる実感」を挙げた方が、みなさまにとっては解り良いでしょうか。

「涙がこぼれちゃう」のブリッジは、
♪過ちだらけでもいい~♪(「いい♪」のコーラスが、GSにも通じるアレンジ工夫ですね)
と、カッコ良く転調しますが、この部分、「生きてる実感」で、
♪倦怠は迷い♪
と導入するブリッジ部と似ている、と感じた方も多いのでは?
これもまったくの偶然でしょうが、和音進行の理屈のみならず、ヴォーカルにトリッキーな細工が施されている点や、覚え易いメロディーでありながら、独特の譜割りを持つ点など、共通項が多いですね。
どちらもジュリーの「開き直り」物語が聴けるというのも。

Aメロ途中にディミニッシュコードを挟みこむなど、湘南系アレンジにはピタリ。
ワイルドワンズのイメージに近いアレンジに耐え得るという点も、加瀬さんがこの曲に惚れた要因のひとつでしょうが、吉田Qさんはこういったコード進行による作曲を、サザンオールスターズから習得したのではないでしょうか。御本人のブログを拝見しますと、そんな気がいたします。
そして重要なのは、A面「渚でシャララ」と同じくこの曲も、「まず頭からサビ!」という構成を持っているということです。

♪ たまに優しい言葉をかけてくれたなら
  それだけで 人はきっと生きてゆけるのさ
  だから寂しくてやりきれぬ夜は ためらわず
  電話しなよ 涙がこぼれちゃう ♪

何度も言いますが、この詞とメロディーは相当強力です。
「生きてゆけるのさ~♪」の部分、ジュリーのヴォーカルは抜群の抜けを見せてくれます。GS回帰という狙いで言えば、ヴォーカルの説得力はA面をも凌ぐものがあるでしょう。
それを、若い作曲家の作品でやってしまった、というのが会心ではないですか~!

このように、「涙がこぼれちゃう」はジュリーが歌うことによって大きなマジックがかかり、物語が変化していった楽曲と言えますが、吉田Qさんの強靭な個性も、最後まで残っていると思うのです。
それは、主人公のダメージに反して、この曲には暗いイメージがまったく無いということです。
情けなくも弱っている男の心情を描きながら、とても可愛らしく、聴いていて笑ってしまうような作品。それは、吉田Qさんの普段の持ち味がそのまま残ったように思われるのですが、いかがでしょう。

先程も述べたように「涙がこぼれちゃう」のキーはC#(嬰ハ長調)なんですが、吉田Qさんはかなりのハイトーンの持ち主のようですから、オリジナルはD(ニ長調)、或いはもっと上の調だったのかもしれません。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズがカバーするにあたり、移調した可能性もありますね。
ともあれ、ジュリーのこれまでの歴史を紐解いた時、この「涙がこぼれちゃう」は「名曲たる宿命」を持っていると言えましょう。
それは、先行シングルのB面&アルバムの1曲目だから!

『ヒューマン・ルネッサンス』の「光ある世界」。
『自由と憧れと友情』の「出発のほかに何がある」。

過去に同様の位置づけを持ったGS・・・ズバリ、タイガースの曲達です。
タイガースをタイムリーで知らない僕が言うのもどうかと思いますが、この「1曲目」というスタンスは、まさに名曲のためのものでしょう。

1曲目を「涙がこぼれちゃう」でキュートにスタートさせるジュリーwithザ・ワイルドワンズのアルバムが、今度は3月に発売されます。
こちらも大いに期待しようではありませんか!

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2010年2月 9日 (火)

ジュリーwithザ・ワイルドワンズ 「渚でシャララ」

泣いてた君を 今のぼくならば
ぎゅっと抱きしめてあげられるだろ
詞・三浦徳子)

from『JULIE WITH THE WILD ONES』、2010

予定より1日早いけど・・・。
もう店頭に並んでるみたいだし、更新しちゃおう!
この曲、さすがにまだお聴きでない人の方が多いと思います。豪快にネタバレいたしますのでご注意を!
というわけで。

ぷはぁぁぁぁ~っ!

やっとこの日が来ました。

な、長かった・・・この1ケ月。
ようやく記事にできます。この、やる気に満ち溢れウキウキと胸躍る、それでいてとても可愛らしいシングル盤について。

まずは、みなさまにお詫びしなければなりません。

この曲の作詞・作曲者予想など、みなさまの会話に敢えて入っていかなかったこと。
或いはB面「涙がこぼれちゃう」のタイトルについて、トホホな予感に怯えていらっしゃる(いや、それが楽しいネタフリだという事は承知しておりますが)先輩方に
「大丈夫ですよ、すごくイイ曲ですから」
とお知らせして、安心させてあげられなかったこと。
申し訳ありませんでした・・・。

実は僕、「ひるおび」で「渚のシャララ」のサワリを聴いた、その約1週間後に、このジュリーwithザ・ワイルドワンズ、4曲入り(「渚でシャララ」「涙がこぼれちゃう」+2曲のインストゥルメンタル・テイク)デビューシングルの試聴盤を聴くことができたのでした~。

リリース前の音源についてリークしない、というのは業界の大切なルールですから、僕もじっと我慢して、口を閉ざしておりました。
必死に自分を抑えなければならないくらいの、本当に素敵なシングル盤でしたね。

いや、この展開に一番驚いたのは、他ならぬ自分自身なのでありまして・・・。

僕は何も、特別な仕事をしているわけではありません。
一介のサラリーマンです。
ただ、音楽業界(末端ながら)に少なからず関わる職種だったりは、します。

僕がこのたび、リリースに大きく先立ってCD音源を聴けることになった経緯につきましては、3月上旬あたりに詳しくご報告できるかと思いますが、とにかく。
僕のような者が、そんな予想だにしていなかった僥倖にあずかれた、という時点で、ですね。

相当本気のプロモーションが展開されている!

という事は、断言できます
そうでなければ、こんなに早々と、僕などの手元に試聴盤が回ってくることはあり得ません。
これが、メジャーリリースの威力とも言えましょう。

では、そんなプロモートに比して、楽曲にそれだけの魅力があるのか、と申しますと。

あります!

A面もB面も、本当に素敵な楽曲。
最近のジュリーナンバーとはまた違った魅力が生まれていますし(これは、加瀬さんが既にそう仰っていますね)、加えて、ハッキリした狙いもあります。

今日は、文字通り満を持しての記事更新です。
まずは、PVも話題のA面から。

ジュリーwithザ・ワイルドワンズのデビューシングル、「渚でシャララ」、発売同時伝授!

70年代~80年代のジュリーナンバー作曲・プロデュース、また御自身のワイルドワンズを率いての活動を通じ、加瀬さんの中には、「ヒット曲とはこういうものだ」といういくつかのイメージがあるのではないでしょうか。
「渚でシャララ」には、それが凝縮されていると思うのです。

覚え易いリフ。
キャッチーな歌詞と甘酸っぱいメロディー。
そして、いきなり曲の頭から「バコ~ン!」と炸裂するサビのメロディー。
Aメロの前にまずサビを聴かせる、という構成(これは、B面「涙がこぼれちゃう」についても同様なのですが)に、並々ならぬ加瀬さんの気合を感じます。

こうして思いつくままに挙げただけでも、シングルヒット、という要素がギュギュッと詰まっているではありませんか。

さて、そのサビメロですが。

ミ・ファ#・ラ・ファ#・シ~シ・シ(渚でシャ~ララ)!
シ・シ・シ・ソ#・ラ~ラ・ラ(二人でシャ~ララ)!

と、音階移動だとこの表記だけで片付きますけどね。
なんと、楽曲全体を通じて、この部分のコード進行(楽器のソロ部含む)には3種類の振り分けがあるのです!

まず、僕が「ひるおび」で聴きとって、すぐにブログに記事を書いた進行が
A→E→E7→A

これが基本パターンである事は確かですが、他の箇所で
A→D→E7→A
或いは
F#m→D→E7→A

という贅沢なヴァリエーションが登場。
この3通りのコード進行すべて、「渚でシャ~ララ!」というメロディーがキレイに載っかるというのが、今回加瀬さん渾身のアイデアでしょう。。
特にF#mからちょっと胸キュンな進行に載せる演奏箇所(フィルイン後のイントロ3小節目と6小節目、1分44秒のあたりなど数箇所)にはドキッとさせられます。
以前「光と花の思い出」の記事で、コード進行のヴァリエーションの魅力について書きましたけど、それに匹敵する素晴らしさ・・・このアイデアは「渚でシャララ」という楽曲の、大切なかくし味になっていると思います。

イントロも良いですね~。
まずベースソロが3小節。新たなレコーディング音源で、ジュリーのヴォーカルとベースが同居していること自体が、まず新鮮で。
バックでは、懐かしいサーフィン・エレキな効果音。そして4小節目のウキウキするドラムス・フィルインがカッコ良すぎ!

そこから、サビメロと同じ旋律を擁した本格的な前奏へと突入します。
バックに絡むホーンセクションはシンセと思いますが、泰輝さんがステージで弾いている姿が目に浮かぶような音色で、楽しいことこの上ありません。

Aメロのヴォーカルパートは、1番が植田さん→鳥塚さん、2番が鳥塚さん→植田さん、で合ってるのかなぁ。
ワイルドワンズのメンバーのヴォーカルを、初めてじっくり聴きました。
それぞれタイプの異なる個性派でいらっしゃいます。これからもっと勉強しなければ。

そして、
♪ 若過ぎたせい、理由(わけ)も聞かずに右と左 ♪
の部分から再びジュリーが歌うのですが、ここがすごく胸キュンなメロディーだと思うんです。
ワンズのお二人のヴォーカルパートを挟んで、「ここでジュリーが来たっ!」という聴き手の心情効果もあるのでしょう。ジュリーの声で歌詞の説得力が増しているような気がします。
僕が「渚でシャララ」を通して一番好きな箇所ですね。

それを受けて、楽曲は甘やかなブリッジ部に移行。
これが、また!おいしいコード進行です。
洋楽から導入され、日本でも、昭和の懐かしいヒット・ポップスに多く使われている進行で、トニックの和音から1小節ごとに、ルート音から半音ずつ下がった音がどんどん足されていくというパターン。
有名な曲で例を挙げますと、ジュリーもカバーしている、ビートルズ「サムシング」のAメロが同じ進行ですね。

そしてそして、ブリッジ部の最後。
「つのる思いは砂に隠して~♪アオッ!!」

この「アオッ!!」、大変重要です。

ホーンセクションがちょうど終わるタイミングで、言わば、「それいけ間奏!」という合図のシャウトなのですが、今のジュリーのスタイルで自然にやるなら、ここは

「おぅ!」
とか
「おぉや!」

になったはずだと思うんですよ。
「神々たちよ護れ」でやってるような感じのシャウトですね。

しかし、そうはならなかった。

僕の想像ですが、これは加瀬さんが
「アオッ!でやってくれ!」
とジュリーにリクエストしたんじゃないか、と。
この、微妙にわざとらしい感じ(褒めてます)がGSヒット曲の味だ、という狙いではないでしょうか。
「ワンズの世界に入ってもらう」
と加瀬さんが言っていたことをジュリーが実践している・・・その象徴のような「アオッ!」。
僕にはそう思えます。

さて、「渚でシャララ」の歌詞(三浦徳子さん!)と曲調から窺える、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのトータルコンセプトについて考察してみますと。
これはもう、シングル2曲を聴いただけで解ることですが、「青春=恋の思い出」ということになります。

ちょっとちょっと!
「ベタやな~」と退かないでくださいよ~。
たとえベタであろうとも、その伝わり方は、手法や志によって素晴らしいメッセージへと昇華するのですから。
それが詞曲一体となった音楽の凄いところです。

しかも、AB面ともにそのテーマを押し出していながら、その先に広がる世界や含有する動機づけが全く違ったり、と奥が深い。
同じコンセプトを、違う作詞家・作曲家が担った時の対比の面白さが味わえます。

では、そのコンセプトを具体的にどう表現しているのか。
これが、アラ還バンドならでは、でございまして。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズのメンバー(特に歌い手=ほぼジュリー)が、別れて長い年月の経った元カレ役を演ずるというものです!

え、誰の元カレかって?

奥さま、あなたです!

いや、マジですよ。
その昔、音楽を通してジュリー(或いはワンズのメンバー)と恋に落ちた乙女は、今ジュリー以外の男性と一緒になり、幸せな生活を送っている・・・そんなあなたの元に、突然元カレからコンタクトが!
懐かしさもあって、ひさしぶりに会ってみますと、

君は、あの日のまま!

なんて言われたりなんかして。
あとね、これはB面だけど、「涙がこぼれちゃう」の

さみしくてやりきれぬ夜は
ためらわず電話しなよ

こんな事を、元カレ・ジュリーに歌われちゃったら、どうよ~!

と、まぁこれでお分かりの通り、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのターゲットは、団塊の世代!
2月5日の「歌門来福」MCでジュリー自身もそう語っておりました。
新しいファン(しかも男性)としては、そんな世代の甘~い再会を応援する立場で聴いてしまいますね~。

少し話がそれるようですが、僕は、加瀬さんの「オリコン1位!」という決意表明を知った時、YMOが「君に、胸キュン」を引っさげて、本気でレコードセールスに打って出た時のことを思い出したのでした。

「ライディーン」で一世を風靡したYMO。
もちろんその後もずっと継続して素晴らしい楽曲を世に送り出していたのですが、その間のTV出演はほぼ皆無。
知名度は高いもののマニアックな存在であった彼らが、ザ・ベストテン隆盛期の歌謡界に、突然正面から挑んでいったのです。
YMOの場合も、まずはTV出演から、でしたね。
ベストテンのスポットライト出演時に、高橋ユキヒロさんが決意表明をしました。
「ベストテン1位獲得!」
「レコード大賞受賞!」
いずれも、当時の歌謡界では最高の勲章です。それを狙いにいく、と。

結果、惜しくも目標達成とはいきませんでしたが、「君に、胸キュン」は、それに準ずる大きな成果、セールスを残しました。
それこそ、長く彼らを支持してきたファンに加えて、中抜け・新規組を巻き込んだムーブメントが起こったのです。

ジュリーwithザ・ワイルドワンズにも、同じくらい、またはそれ以上の成果が待っているでしょう。
しかも、ですよ。
本気のセールスに挑んだYMOの、「ライディーン」から「君に、胸キュン」までの雄伏期間が数年であったのに比べ、ジュリーや加瀬さん達ワイルドワンズは、GSブームから数えて40年にもなろうかという長期の仕込みがあるわけです。
舞い戻ってくるファン、新しいファンの潜在人数は計り知れません。

つまり、ジュリーwithザ・ワイルドワンズは「年齢を重ねている」という事を最大の武器として勇躍しようとしているのです。
なんとも痛快なおじさま達ではありませんか。

微力ながら、そんな素敵な人達を応援する自分、そのおかげで一歩ずつ進んでいる自分を今は実感しています。
僕はジュリーwithザ・ワイルドワンズに、夢への入口を感じます。
少しずつ、あせらず、欲ばらずに。
頑張るじゃん!

あと、今回の記事ではほんの少し触れるに留めましたが、B面「涙がこぼれちゃう」も素晴らしい楽曲ですから、いずれ別に記事を書きたいと思っています。
なんたってココは、箱さんからワンクリックで飛んで来れますからね。
万が一という事もございます。気合の入ったレビューを書かなければ。

そうそう、早めに音源を聴けたと言っても、無論CDは予約していますよ~。
明日届くのでしょうね。

さぁ、「渚でシャララ」の振付けは、歌門来福でジュリーに教わったばかりだし。
あとは、加瀬さん達のオリコン1位ポーズ。
みなさまと共に、僕もしっかり覚えなきゃ~!

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2010年2月 6日 (土)

[ 伝授・特別編 ] 沢田研二 2.5&2.6 渋谷CCレモンホール「歌門来福」ファイナル2Days・セットリスト&完全レポ

何から話せば良いのでしょうか。
とにかく、興奮醒めやらず・・・。予想だにしなかった僥倖で参加させて頂いた2.6渋谷ファイナル。これが何と、2階席奥・あと少しで最後壁、という状況だったにも関わらず、いやはや・・・。

今まで観たジュリーLIVEの中で一番良かった!

僕が持ち帰った思いは、抽選に漏れた方々に本当に申し訳ない感想。
しかし、僕の中ではそれが圧倒的な真実でした。


今までは、良席という条件がなければ「生涯最高!」なんていうLIVEには巡り合わないと思っていました。
プレプレファイナルもとても感動したけれど、LIVE自体の感想を求められるならば、大阪厚生年金や安城の方が上でしたから。

しかも今回は2days、5日は1桁席を頂いていましたから、純粋にLIVEとしての楽しみについては、5日の方が期待が大きかったのでした。
申し訳ありません。
ファイナルはスゴかった。
特に「あんじょうやりや」「砂漠のバレリーナ」「忘却の天才」の完成度、「愛しい勇気」の客席の一体化、そして・・・「TOKIO」のイントロで炸裂する歓喜。

あぁ、まだ冷静に筆が運びません。

今回も記事完成までには数日をかける予定です。
(註:2日で終わった爆)
どうぞよろしくお願い申しあげます。

さて、本記事の渋谷レポは、基本的に6日ファイナルを中心に、5日の特記点を随所に散りばめながら進行させていきたいと思います。
と言うのも、5日の方はですね。
レポやコメンターの方々が濃ゆ~いメンツで勢揃いしておりまして、わざわざ僕などが詳しくレポ書かずとも・・・というメンバーが集結しました。
お会いしただけでも、いてまえ隊、箱ラー、カズラーの精鋭陣。
それぞれのみなさまの、個性的な感想が多く聞けるでしょう。
あとね。
1桁席で散々ハジけまくる自信で臨んだのですが、僕の斜め前方にハンパでなくノッリノリのお兄さまがいらして・・・。不肖DYNAMITE、「負けた・・・」と肩を落としているように見えたとか見えないとか。


ですから僕は、とりあえずファイナルのレポートで頑張ろう。
そう考えております。

さて、その2.6渋谷ファイナル。
はからずも前日5日、みゆきママ様が「オマケのオマケでTOKIOとかやってた頃が懐かしい・・・」と仰っていたり、6日当日直前の喫茶店にて、九州から大遠征のJ先輩達が帰りの飛行機の時間のお話をされていて、「オマケのオマケがあったら焦りますね~」「いや、それはナイでしょ~」なんていう会話があったり。
結論から言えば、それが言霊となっていたのかどうか。

ともあれ、「TOKIO」1曲追加のファイナル限定セットリストにて、順に御案内させて頂きます!

1曲目「光線

Sinpurunaeienn

5日は、どうしたわけか相当圧しました。10分ほどの遅れで開演でしたね。
6日はほぼ予定通り。
1階にサリーの姿がありました。


コーラス(声のことではなくエフェクターの名称です)を効かせたギターに続き、7拍子の刺激的なイントロ。両日ここでヘドバンのDYNAMITE。
もちろん1曲目から総立ちの渋谷でございました。

ジュリーは舞台中央から雷光に晒されたシルエットで登場します。

間奏で1曲目からせり出す柴山さんと下山さん。飛ばしてましたね~。
基本、柴山さんはすべてダウンストロークで8分音符を刻み、下山さんは「ジャ~ッ、チャッ」というアクセントで音を長く伸ばします。
ソロは柴山さん。ツアー期間通して、この1曲目から早くも足を大きく上げるアクションが見られました。

この曲、今回の歌門来福を契機にヘビロテ中。
6日は勢い余って最後の「うぉ~お~お~お~♪」のコーラスにも参加して参りました。

2曲目「彼は眠れない」

Karehanemurenai

イントロ、頭上での手拍子を煽るジュリー。
プレプレでも思ったことですが、ツアーファイナルは、こういう時の雰囲気が違う。
もう、「これで最後!」というお客さんの激しい参加意思がね、ビッシビッシと伝わるのです。
初日、5日に歌詞忘れがありましたが、6日は即興作詞しながらヴォーカルも声量全開。

あと、6日は柴山さんの後ろ足蹴り上げが終始連発で繰り出されておりました。

3曲目「ハートの青さなら 空にさえ負けない

Atarasiiomoide

ジュリーの身悶えは日を追うごとに派手になっていきます。
初日よりも5日、さらにファイナル。
5日は中央、ファイナルでは下山さんサイドでの立ち止まり身悶えが多くて・・・どちらの日もその近辺神席に、お世話になっている先輩がいらっしゃったんですが、無事だったかな?ヤラレてしまったかもしれません。

さて、松席の5日に確認しましたが、泰輝さんはシンセでベースパートを弾いていらっしゃいますね。
あと、GRACE姉さんのコーラスが素晴らしいのです。
間奏の「love you~」だけでなく、ラストのサビ繰り返しでの追っかけコーラスが美しい!
すべてのコーラス部、GRACE姉さんとユニゾンで参加させて頂きました~。

~MC~

(基本的には話の内容は初日から変わらず。
6日の記憶で書かせて頂きます。)

「今日もたくさん来ていただきまして、ありがとうございます!
歌う門には福来たる!(5日は、「笑う門には福来たる」と噛みながらおっしゃっておりました涙)
今年は例年よりだいぶ遅い1月24日に、このお正月コンサートが始まりました。
忘れもしません。39年前、我がタイガ-スが日本武道館にて解散したというその日から、今年のツアーが始まりました。
その後、大阪、名古屋、大阪と回りまして、昨日・今日の渋谷でこのお正月コンサートも終わりとなります。
節分も過ぎ、立春も過ぎたというのに、今朝はなんだか大変に冷え込みまして・・・。
良いお天気の中、こんなうっとおしい所においで頂き(笑)、ありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。お願いします(と、四方に頭を下げる)。ありがとう。ありがとう、渋谷!CCレモンホール!」

4曲目「SOMEBODY'S CRYIN'

Beautifulworld

まずは5日、松席で細かい演奏分担をチェック。
カウベル(メイ様曰く、イントロでカポカポいう音)がこの曲の肝、と初日のレポに書きましたが、プレイヤーはGRACE姉さんでしたね。
ハイハットが変則の刻みですし、手数の負担を考えると泰輝さんのシンセかもしれないと思っていたのですが。

しかしこの曲、初日は多くのお客さん方が「???」って雰囲気だったんですよ~。
ところが5日、6日はノリノリでございまして。
柴山さんも思わず背伸びしながらせり出してきたりなんかしまして、大変盛り上がりました。

エンディングでキーボードとカウベルが残り、音が薄くなったと思わせておいて、2拍目と4拍目に「どか~ん!」とアクセントをつけるギターとドラムスのキックの迫力は、CD音源では普通に聴こえる箇所なのに、LIVEだとビンビン来るんですね。

5曲目「あんじょうやりや

Sur

ファイナル、スゴかった~!
即興作詞家・ジュリーの大活躍。
歌詞を忘れて黙ってしまったり(他の曲も含め、5日はそのパターンが多かった)、早口言葉で急いで後追いするジュリーにハラハラする人は多いと思いますが、6日の即興作詞は安心して身を委ねられましたし、メロディーと言うよりドスの効いたセリフのように変わっていたのがシビれました~!

「オマエな、ワケわからんメチャクチャやで!」

とかね。
で、初日・5日よりも「な?」がしつこかったのよ~。

「な?おい、な?な?」
と、にじり寄るジュリー。でも、いつも最後には

エ~~~~ッ?」
これ・・・まだ慣れない・・・。
慣れる前にツアー終わっちゃったなぁ。

ネクタイをほどいて首をこすりながらの
「エ~~~~ッ?」
ですからね。記憶には残るでしょう。

演奏に発見もありました。これは5日の段階で気づいたこと。
基本のリフについては、間奏を柴山さん→下山さんと回すため、両者が同じフレーズを別々の箇所で弾くことになるのです。
最初の「ズッズッ、チャッ」というフレーズを、柴山さんはダウンピックで「ズッズッ」は小さく「チャッ」は大きく振り下ろしますが、一方の下山さんは「チャッ」の部分だけアップストロークで大きく跳ね上げて弾きます。
「ウキウキ」と「ギスギス」・・・音の出し方で、お二人のこのナンバーに対する解釈が違うように思えてしまいます。

いや、実際は単なる演奏のクセだと思いますけど。興味深い発見ではありました。

ファイナル、間奏でギターに渡す直前の、泰輝さんの不協スレスレのエレクトリック・ピアノ・ソロが特にカッコ良かったですね~。

6曲目「胸いっぱいの悲しみ」

Julie6

さぁリベンジや~!
side-Bの初日レポにおいて、「胸いっぱいの愛を」と間違えてタイトル明記したまま5日間ほど晒され続けておりましたもので
(←ソレかい)
ちなみに「胸いっぱいの愛を」というのはレッド・ツェッペリンの楽曲でございました。

5日の松席で発見したこと。
イントロ・間奏・後奏に登場する「チャ、チャ、チャ、チャ~♪」から始まるテーマメロディーのオーケストラパートですが、これ泰輝さんのキーボードとGRACE姉さんのコーラスによる合体技だったのですね。
2小節目までがユニゾン、3小節~4小節目は対位法で、GRACE姉さんの方は徐々に音階を下降させています。美しかった!
ファイナルでもバッチリそこは聴けましたから、初日に気づかなかったのは、興奮し過ぎていたか、GRACE姉さんのマイク設定が小さかったからでしょうね。

「こ~れでもう~♪」
「お~ちば舞う~♪」

ジュリーがこの部分で、手刀を振りかざしながらドスを効かせて吠えるように歌うこのナンバーは、歌門来福の大きな見所のひとつ。
70年代には無い良さでもあるし、一方で懐かしい優しさも垣間見られます。
「胸いっぱいの悲しみ」は、完全なロッカ・バラードの一歩手前で立ち止まって歌うのが良いのですね。
その点、同じリズムの「ハートの青さ~」とは、ハッキリ歌唱スタイルを区別してきていました。さすがジュリーです。深い!

7曲目「ジンジン・バンバン」

Tigerssingle_3

ツアー大づめの5日やファイナルあたりまで来ますと、お客さんもイントロのギターで「えっ、何?」ってのが無くて、「来るぞ来るぞ~」みたいな雰囲気なのですね。
そう考えますと、イントロ当てクイズ連発だった初日のステージも、ファイナルと同じくらい貴重だったと思います。

で、笑い箇所(で通じるでしょうか)。
5日は「きゃっきゃっきゃっ」→「ウッハッハ!越後屋、オヌシもワルよのう・・・」。
6日は「うひゃひゃひゃひゃ」→固まった顔で客席を凝視。
いずれも会場の笑いをとっておりました。
なるほど、「鉄人バンドがやってくれないから、お客さん手伝って!」という事だったのね。

この曲は、アップテンポの箇所になるとライトがかなり明るいので、2階後方からは、神席で大ハシャギの方々が丸見えだったのですが。
間奏で下山さんが相当前方までせり出してきているのに、サイドで走り回るジュリーの動きに合わせてみなさまの首が動いていらっしゃるのが、何とも面白かったです。

8曲目「落葉の物語

Tigerssingle_2

初日に比べると、5日、ファイナルともに柴山さんのマイク音量が小さくなっていましたね。
その分GRACE姉さんの声がよく聴こえました。
初日から通して、泰輝さんの声があまり聴き取れなかったのは残念です。泰輝さんはこの曲の追っかけコーラスを担当して歌っていたと思われますので。

「忘れ~られませ~ん~、あ~あ~♪」
の「あ~あ~♪」を、ジュリーはこの2days、アルトで歌いました。

もちろん僕はタイガースなんて後追いも後追いですから、当時からの決め事はまったくわかりません。
一応初日・5日の勉強を生かして、Aメロは横揺れ、「ふたりで、見つけた♪」からのブリッジ部は腰ひねり、で「す~て~きな、す~て~きな♪」から再び横揺れに戻る、というヴァリエーションでファイナルを乗り切りましたが・・・これで合ってるのでしょうか。

9曲目「スマイル・フォー・ミー」

Tigerssingle

さぁ、5日の下山さん側松席で一番「ええ~っ!」と思った曲がこれです。
調がオリジナル音源と違いました。半音低かったんです。
オリジナルは、ハ長調→嬰ハ長調の転調。
ところがこの日、ふと気がつくと転調後に下山さんのフォームがローコードになっています。嬰ハ長調でローコードはありえない!と考えているうちに、先日カオリー様と話題にしておりましたGフォームもバッチリ登場いたしまして。
つまりこの日(ファイナルも遠くからガン見しましたが、同じでした)「スマイル・フォー・ミー」は、ロ長調→ハ長調というキーで演奏されていたのです。
したがって、「ふぉ~・み~♪」の最高到達音は「ソ」という事になるのですね。

残念ながら僕には絶対音感が無いので、初日のキーが元調だったのか、それとも最初から半音下がって演奏されていたのか、不明なのです。
ただ、ジュリーがすごく苦しそうにしていたのは覚えていて、「もうこの曲は今年が最後なんじゃないか」とすら考えてしまいました。
初日(あるいは直後の大阪)までが元調で、その後「声が出ていた」と多くの先輩方のご報告があった名古屋から、半音下げて演奏するようになっていた、という事も充分考えられると思います。
謎を残したまま、ツアーは終わってしまいました・・・。

ちなみに下山さんのアコギですが。
転調後がハ長調となって、ローコードで弾いているのですが、最後の「so smile~♪」のB♭は6フレットのハイポジションへ移行、そのままずらして昇っていく形で「for me~♪」のCを8フレットで弾きます。
そうかと思ったら、直後の「for me~♪」の連打は一転してローポジションに舞い戻って、残響音を強調するのです。
調を半音下げていなければあり得なかったアプローチ。これが見られただけでも、5日松席には感謝しなければなりませんね。

10曲目「LOVE~抱きしめたい」

Love

初日に続き、またGRACE姉さんのドラムスの話をしますけど、本当に素晴らしい。
僕は普段から、超絶テクニックよりもまず、楽曲にどれだけ合致しているか、全体のアレンジにどれだけ貢献しているか、という観点で音楽の演奏を聴きます。
ジュリー祭りでの「コバルトの季節の中で」「ヤマトより愛をこめて」、プレプレツアーでの「探偵~哀しきチェイサー」、そして歌門来福ではこの「LOVE~抱きしめたい」。GRACE姉さんのドラムスにヤラれました。

おそらく「落葉の物語」や「スマイル・フォー・ミー」、或いは「ロータスの子守歌」に合わせたのだと思いますが、今ツアーはスネアドラムのチューニングが少し柔らかめなのです。
そのため、硬いリムショットと柔らかいスネアドラムの対比が美しく、リムショットを多用する「LOVE~抱きしめたい」と「砂漠のバレリーナ」は随分得をしたなぁ、と思います。
情念溢れるフロアタムのフィルインも素晴らしい。タムを両スティックで微妙にずらすようにして力いっぱい打つんですね。こういうのも、松席の5日ならではの発見です。

慟哭のヴォーカル。ジュリーは今ツアー、誰かを思い出してこの曲を歌ったのでしょうかね・・・。
情念の楽曲、という印象のある「LOVE~抱きしめたい」。
浅川さんのイメージとも重なります。

「さよなら~」とゆっくりと手を振り、感動的に終わらせておいて、いきなりプイと横を向き去っていくのは、初日からのお約束です。

11曲目・鉄人バンドによるインスト

結局、未だオリジナルなのかカバー曲なのかすら明らかになっておりませんが、イイ曲です、これ!
5日には、下山さんのフォームから和音進行をさらってみました。
便宜上、イ短調に移調して柴山さんのリードギター音階(記憶のみの採譜ですので細かい部分は怪しい)と合わせて表記しますと

(ラドミソ)Am(ラ~、ラシラ)→E7(ソ#~)
→G(ソ~、ソラソ)→D7(ファ#~、ミレ)
→E7(ミ~)→F7(ファソファ)→E7(ミ~)

これが「テーマ」とも言うべき主旋律。
柴山さんは2回し目から超ハイポジションの高音に移行します。
「ぬお~~~」「ぐあ~~~」の連発。
カッコ良かったですよ~。

その後、テーマ旋律以外のアドリブ部は、柴山さん→泰輝さん→下山さんと回すのですが、問題はその後!
これも5日松席で気づいたのですが、ソロを回し終えた3人が混沌とした崩しメロを奏でる中、次の4小節はGRACE姉さんが、両手のパターンはそのままに、キックだけ8分音符で連打してるんです。「ドッドッドッドッドッドッドッドッ!」と、かなりの強打でして、僕の8列目からは、バスドラムが大きく振動しているのが肉眼でも確認できました。

そして演奏は再び柴山さんのテーマ旋律・ソロへ。
カッコいい曲です。是非クレジットの詳細が知りたいですね~。
「やわらかな後悔」と似通ったコード進行。柴山さんのオリジナルかなぁ。
クリシェするメロディーが得意な、泰輝さん作曲の線も捨てがたい・・・。

12曲目「神々たちよ護れ」

Rocknrollmarch

鉄人バンドのインストが終わると、間髪入れずにGRACE姉さんのフィルインから、「還暦ロック」なナンバーのカッコいいイントロが始まります。
駆け込んで登場のジュリー、とにかく動く動く!
アクションをマネしたいんだけど、僕はあの「スタンディング腕立て伏せ」(この表現で伝わるでしょうか)に瞬間反応できないんですよ(泣)。

そう言えば、ファイナルでは僕の斜め右前に、よくジュリーLIVEでお見かけする白スーツ&白帽子のお兄さまがいらっしゃいました。で、通路を挟んでさらにその右斜め前方が、箱ラーのno-aさま。
後半1曲目のこの曲あたりから、お二方ともかなりスゴい状態になっていらっしゃって、僕も追随する勇気を頂きました~。

「右脳左脳がさしあう~♪」のトコ、ジュリーが自分の頭を交互に指差すのがカッコいいです。
あと、
か~みが~みたちよ~♪」のポーズは、お客さんでやる方は少ないのですね。勿体ない。
斜めに掻き切るように右腕を振り上げるポーズ、僕は大好きです!

13曲目「BAMBINO EXCUSE

Pleasure

この指突き上げポーズについては、当然の会場全員参加でございます。
しかも、「最後は6回!」と全員承知しているのがスゴイですわ。
演奏部では、ジュリーが頭上手拍子を煽ります。左のお姉さまがすごく頑張っています。若手(すまん一応)男子としては、こりゃ負けていられません。

ジュリーが煽る中、ギター兄弟もそれぞれ前にせり出してきます。
この曲で「あの下山さんがピョンピョンジャンプをしている」というのはプレプレツアーからの有名な話でしたね。

14曲目「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」

Royal80

「奇跡元年」との細かい相違点を求め、5日松席ではバンドメンバーのガン見タイム。
するとイントロから発見が。
あのガムランみたいな音は、サンプリングだったのか~!
泰輝さん、無茶なほど手数が増えとる、と初日に感じたのはそのためだったようです。
GRACE姉さんは、どこからテンポを拾ってるんだろう・・・。
サンプリングはイントロだけでなく、エンディングにも登場しますからね。

下山さんのリードギターはね、これはLOSERの音なんですよ。
LOSERヴァージョンの「春夏秋冬」のイントロで、リヴァーブの効いた拡がりのある音色と、16分音符の細かく刻んだピッキングが聴けますが、あの手法の応用なのですね。
CO-CoLO時代のオリジナル音源とは趣を異にします。
このようなエキゾティックな音作りは、下山さんの最も得意とする手法のひとつで、DVD「1999正月コンサート」収録の「Courage」でも、同じアプローチを堪能することができます。
興味のある方は、是非。

15曲目「砂漠のバレリーナ

Kakuunoopera

ファイナルでしみじみ・・・美しい曲ですねぇ。
なかなかサビに行かないトコがイイんだよなぁ。

この曲がセットリストに連なって、一番悩んだのは泰輝さんだと思います。
原曲音源では、イントロとラストでヴァイオリンの見せ場がありますよね。ここをどうするか。

シンセサイザーの音色技術は1990年代にはほぼ出尽くし、ヴァイオリンの音もかなり近い音にまで出せるようにはなったのです。
しかしながら、ホーンやストリングス・アンサンブルと違い、「やはりどこか偽者っぽい」というイメージは残されたままなのですね。実はギターもそうなんです。弦楽器音色の技術的再現の宿命とも言えます。

泰輝さんが最終的に出した結論は、「偽者っぽい」ヴァイオリン音色は避け、新たな音色で勝負するというものでした。
「砂漠のバレリーナ」、ひいてはアルバム「架空のオペラ」のオリエンタルな退廃美的雰囲気を壊さない、という条件を踏まえつつ、今回のLIVEに相応しい音色は何なのか。それを泰輝さんは探しました。

選ばれたのは、木管楽器系の乾いた音でした。
僕の所有するシンセサイザーで言いますすと、フルートと尺八のパッチを掛け合わせた時に出る音が、近いでしょうか。
少し機械的な感じを残してあげることで、硬質で冷たい感触も醸し出されていました。

セットリストの貴重さ、ジュリーの比類なきヴォーカルについては多くの方が語っておられるので、僕はキーボード音色の隠れた工夫について書かせていただきたい、とファイナルでこの曲を聴きながら考えていました。
泰輝さん、素晴らしい演奏でした~。

16曲目「Pleasure Pleasure

Pleasure_2

まず、5日のお話をしておきましょう。
昨年のプレプレツアーから、この歌門来福に至るまで。
このナンバーでここまでボロボロになった下山さんを初めて観ました・・・(泣)。

まず1番が終わり、ジュリーの「へ~い!」を合図に前方へと歩を進める下山さん。
が、いつもならここでセンターへと戻るジュリーが、この日は何故か「俺のJUNを見るな!」とばかりに左サイドに仁王立ちのまま。
でね。
これまでの下山さんなら、そのままジュリーの影に隠れて我が道・リードギターをうつむきながら弾いたはずなのですよ。
ところが下山さん、ここ数ヶ月でのプリンスト大量増殖を肌で感じ取っていらっしゃったのでしょうか。
「沢田さん、ここはオレの見せ場ですから!」
と、ジュリーをひょいと避けて、瞬時にセンター方向に移動したんです。
そのコンマ数秒の動きが、染み付いていたはずのフレット感触を鈍らせたのでしょうか。

4小節のソロで間違えまくり・・・。

なんとか最後の1音で辻褄を合わすも、「俺としたことが・・・」と退散する後姿は、涙を誘いました。

話はそこで終わりません。
2番では通常より早くせり出してきた下山さん。
「1番と同じテツは踏まんぜ!」
という気合に満ちた表情です。あぁっ、なんだかいつもより肩に力が入っていらっしゃるのでは・・・。

案の定、また間違えた・・・

さすがの下山さんも、これにはご自分で苦笑していらっしゃいました。
非常に珍しいシーンでしたね。

さて、ファイナルです。
5日しか観ていらっしゃらないみなさまには申し訳ないことに、演奏は文句なく素晴らしく、もちろん下山さんのソロも完璧。

プレジャープレジャー♪(ぱんぱん!)

この部分の手拍子を、何の打ち合わせもないのに、会場全員が頭上でやったのよ~。
これがファイナル独特の雰囲気なんですよね。
チケット競争率が高いのも、頷けます。

17曲目「溢れる涙」

Hello

大阪、名古屋ではこの曲の高音が苦しそうだった、とのご報告が多く心配しておりましたが、5日、ファイナルともに、僕はその点気になりませんでした。

LIVE後、いつもお世話になっている先輩から
「師走-ROMANTIXの時に、この曲をやるんじゃないか、ってみんな言ってたんだけどやらなかったのよ~」
と、「溢れる涙」についての逸話を教えて頂きました。
「忘れた頃に」というセットリストだったのでしょうか。
てことは、「Come On !! Come On !!」もいずれ、来ますかね。

18曲目「忘却の天才

Boukyaku

5日は歌詞がズタボロでございました。楽しかったですけどね。
一方のファイナル。これが、前日のグダグダが嘘のように絶好調でして~。
唯一、エンディングが遅れて
「いいじゃん夢みたい~で~♪」
が早口言葉になり焦りましたが、ファイナルの場合はね、歌詞を忘れて遅れたんじゃないんです。

「天上交互指差し忘却爺踊り」
ジュリーがコレに夢中になってしまいまして。歌そっちのけで踊りまくり。
何でしょうか、あの愉快な動きは。
後で聞くところによりますと、下山さんが必死で笑いを堪え、ジュリーの方を見ないように見ないようにしてたんですって。

結局この歌門来福では、指差し上げクルクルポーズは無し。残念。
まぁその代わりにあの忘却音頭が誕生したと思えば・・・。

19曲目「この空を見てたら」

Kitarubeki

リベンジや~!
大阪の後、メイ様が「この曲もタイガース」と書いていらして、「何の話だっけ?」と、歌詞カードのクレジットを見まして・・・なるほど!と。
とにかくこの曲は僕にとってはエアポケットなナンバーで、歌詞をほとんど覚えておらず、初日は悔しい思いをしました。

翌日からは、歌門来福セットリストCDで毎日復習。
その甲斐あって・・・と言いたいトコですが、5日の方はとにかく斜め前方にもの凄いノリノリお兄さんがいらして。
「ぽ~いぽ~いぽ~い」とか「す~いす~いす~い」を大きいアクションでやるんですよ。参りました。
ファイナルでお会いしたOさんが、5日は2階席から下が良く見えたとかで、そのお兄さんが僕だと思っていらしたそうです。

まぁ、ファイナルはその分取り返しましたけどね。
やっぱり僕は、ジュリーの動きやポーズについていくよりも、演奏のリズムにシンクロする方が、自然に気持ちを開放できるみたい。
だったら、CCレモンの場合は2階席の方が、ってことになるねぇ・・・。

20曲目「愛しい勇気

Aimadematenai

ハイ、これスゴかったです、ファイナル。
ファイナルのみご参加のみなさま、前日まではあんなの無かったんですよ。会場が一体となっての揃いまくりの手拍子。
歌メロの1番・・・最初は1階の一部の方でリードされたそれは、滾って優しく心の地下から2階にも伝染しまして。
見事に!
サビのみ、1小節4拍全連打の手拍子(プレプレツアーでの「すべてはこの夜に」の「Hang on me~♪」から始まるサビ部のタイミングと同じ)が会場すべてに浸透!
2番からは完全に揃いました。
当然、ブリッジを挟んでサビが2回繰り返される部分は、
全拍連打手拍子→「Wow,Wow,Wow」の拳突き上げ→全拍連打手拍子→再び拳突き上げ
と、忙しい忙しい。

オマケのオマケ「TOKIO」のインパクトが無かったら、ファイナルで一番印象に残った曲はダントツでこの「愛しい勇気」だったでしょう。
なんせこの僕が、これだけ好きな曲なのに、バンドの演奏をまったく観ていませんからね。

あ、ボトルネックが柴山さんなのは、5日に確認いたしました~。

☆☆☆☆☆

一度ステージを去るジュリー。熱狂的な拍手。
思えば、この時点で予感はありました。何か尋常でない空気が漂っている感じ。
それが結実する瞬間を、会場の全員が作ろうとしている連帯感。
今だから言えるのかもしれませんが・・・。

再登場時のMCは、ファイナルの記憶を振り絞って書きたいと思います。
5日はあいら様に任せた!

あ、でも5日のMCでひとつだけ。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズの活動についてのお話で、
「これが今年の大きな目玉と言ってもよいでしょう。まぁしかし、ワイルドワンズのメンバーで大きな目玉の人はいないんですよ。鳥塚さんがちょっと・・・というくらいでね」
というくだりが、妙に僕のツボでございました。

さぁ、では脳を全開にして記憶を掘り起こします!

☆☆☆☆☆

ジュリー、単独で再び登場。

「ありがとう~ありがとう~。最後まであたたかい声援、ありがとうございます~。オジサンはボロボロです。頭がボ~ッ、足も棒~(初日と同じオヤジギャグです)。疲れた~(と、目を閉じてユラユラと)・・・あ、失礼いたしました。眠ってしまいました。2夜連続、というスケジュールは今ツアー初でございまして、今日は声が心配でしたが、何とか最後まで出たようでございます・・・と言いながらいつの間にか目を閉じてしまっております(笑)・・・あ、失礼いたしました。また眠ってしまっておりました」

このタイミングだったと思います。
プレプレファイナルに次いで、また「頑張れ~」のかけ声が~(涙)。
なんでいっつも2階左サイドからなの~。

「こんなに頑張ってるのに、頑張れと言われる・・・まだ言ってる~。こんなに頑張ってる奴、おらんよ!」

「これが終わりますと、テレビに出るのでございます(拍手)。今年の目玉、ジュリーwithザ・ワイルドワンズ。10日にシングル「渚でシャララ」が発売されます。アルバムももう完成しています。え~のが出来たよ~(拍手)。ワタシが目を行き届かせましたからね。逆にそれが心配なんや、という方もおられるでしょうが・・・。ともあれ、シングル「渚の・・・でシャララ(苦笑)」、アルバムのプロモーションとして、テレビ出演するワケです。まずNHKソングスが2夜連続。「やってみないか~」という話がありまして「そうですか~♪」と(笑)。そしてSMAP×SMAP・・・(拍手)。これはフジテレビのプロデューサーの方からお話を頂きまして、「出てみないか~」(笑)と。たったの4分間ではございますが、いろんなことを覚悟の上で!出演するワケですよ。少ない時間の中で、「シーサイド・バウンド」「想い出の渚」、そして「渚でシャララ」と3曲歌う予定です(大拍手)」

DY註:「シーサイド・バウンド」を演るのかぁ。てことはツアーでも演るよな~。あの曲は立って聴かないと意味が無い・・・やっぱり初日の渋谷行こう!)

「シングル「渚でシャララ」、どんな曲かと申しますと・・・(と、横を向いて腰を落とし、指を鳴らしながらイントロを口ずさむと、場内から手拍子が)・・・なんで手拍子やねん!やめ!(と言いながらも、振り付けを披露。マネするDYNAMITE爆)。この振り付けを、ワタシがSMAPにも教えんで~。いや、ウソです。振り付けを考えたのは、オカマのタナカ君。(裏声になって)ボク、オカマのタナカです!ジュリー、ハグして~(固まった表情をするジュリーに場内爆笑)」

「5月に入りましたら、ジュリーwithザ・ワイルドワンズのツアー稽古が始まります。ツアーは9月まで続きまして、その後、いつものようにソロのコンサートも30ケ所ほど予定しております。この不景気な時代にこんなに仕事があるというのはありがたいことでございます。いやね~、ワタシもこの仕事の量、仕事を求めてる人達に分けてあげたいよ!でもね・・・残念ながら、生のLIVEは、ワタシじゃないとアカンのよ!(大拍手)」

「え~ワイルドワンズの加瀬さんとワタシは、ただならぬ仲でございまして(笑)・・・と申しましても肌を合わせたことはございませんが(爆笑)・・・まぁ、フランスにいったりした時はね、よくひとつのベッドで寝たりもしまして、「男同士♪」とか言いながらジロジロと身体を見られたことはあるんですが(悲鳴)、決して肌は合わせていませんので(スゴい爆笑。みなさんこういう話がお好きなのでしょうか)。加瀬さんはワタシにとって、プロデューサーであり、友達であり、兄であり、弟であり(笑)。そんな加瀬さんが「オリジナル・コンフィデンス・・・オリコンチャートの1位を取ろう!」と言ってくださったので、ワタシも乗ってみようかなと」

「そんなこんなで、今年もよろしくお願い申しあげます(深々と一礼)。それではメンバーを紹介いたします。ジュリーwithザ・ワイルドワンズも、このメンバーと一緒にやります!(拍手)・・・それではみなさん、ようございますか~、ようございますね~。オ・マ・ケ・で・すぅ~!!」

21曲目「明日は晴れる」

Asuhahareru

5日松席では、キーボードレスのこのナンバーでの泰輝さんの動向をチェック。最初のうちはオルガンで、途中ピアノの8分音符連打がありました。
僕の希望としては、この曲ではベースラインを弾いてほしかったです。他楽器がエイトビートで、ベースが16分音符で跳ねる、というのがこの曲の醍醐味だと思っているものですから・・・。

ジュリーの咆哮は、2段階に分けて上がっていきますから、途中でひっくり返る心配は無いのですが、それでもシャウトの連続はキツそう。
脳にビンビン響いているかと思うと、やっぱりあんまり無理はしてほしくないなぁ・・・。
ともあれ、無事に歌い終えました。

22曲目「届かない花々

Croquemadame

5日はねぇ。ヴォーカル自体は良かったんですが歌詞飛びが多くて。
この曲では最後の最後のキメ「世界中の~♪」が飛んでしまいまして、ほとんどバンドの演奏が「ジャ~ン!」と終わるくらいのタイミングで「ごにょごにょ・・・届かない花々~♪」と早口で追いかけていました。

下山さんのアコギフォームがプレプレとは変わっていました。
キーはドーム→プレプレと同じイ長調だったようです。オリジナル音源は変ロ長調ですけどね。

ファイナルはヴォーカルも演奏も完璧。
この曲もキーボードレスですが、泰輝さんはオルガンを弾きます。この音色選択については、最高に曲に合っていると思います。

23曲目「A. C. B.」

Kitarubeki_2

これがまたファイナルの一体感がスゴかった。
会場の皆が、「思いきりノれる曲はこれで最後!」という思いを抱いていたのでしょう。それは良い意味で裏切られることになるのですが。

柴山さんの煽りは、お客さんがなかなかついて来ずに諦めたのか、ファイナルは普通の裏拍のみの手拍子になっていました。
5日は1箇所だけ
うん、たん!うん、たん!うん、たんたん!
って、やってくれたんだけどな~。

そうそう、5日に気づいた事で、しょあ様ともマニアックなお話をしたんですけどね。
この曲、柴山さんのギターはSGなのです。
しばらく前に「ジュリーな毎日」のtomi様が「SGはヘッドが下がって、ヘタすると「くるん」と1回転しそうになる」と書いていらっしゃいましたが、その通りの事が柴山さんを襲っていましたね~。
両手をギターから離して手拍子煽っていると、どんどんギターのヘッドが下がってきて真っ逆さまに。
2回し目直前で「えいやっ!」とヘッドを拾い上げ、右足でボディーを跳ね上げてスタンバイする姿には、「あぁ、カズラーはこういう仕草に萌えるんだな・・・」と納得!

5日、ファイナル共にジュリーは「2010年でもくたばってなかった♪」の部分で、2本指と両手のひらで数字のゼスチャーを盛り込んでおりました。

ちなみに、レポとはまったく関係ありませぬが、12月に、明治通りが甲州街道と交わるあたりの家具屋さんに行ってきた際、写真を撮ってきましたので貼っておきます。

Noboritei_2

「A.C.B.」の詞に描かれている建物で、現存しているのはコレだけです。

24曲目「ロータスの子守歌」

Saintinthenight

とうとう最後の曲になってしまった・・・
そんな会場の吐息の中、泰輝さんの印象的なキーボードが流れます。これは「砂漠のバレリーナ」よりもやわらかい木管系の音色で、クラリネットのパッチではないか、と僕は推測しています。

柴山さんのソロは、このタイプの楽曲では王道の音ですね。
ウイングスの「ベイビーズ・リクエスト」のような、素晴らしいピッキングテクニック。5日はちょっとトチりましたが、ファイナルでは鳥肌モノでした。

ジュリー、5日はエンディングの「シーっ」あり。
ファイナルは両手を広げての大団円。

☆☆☆☆☆

改めてメンバー紹介をし、腕時計確認のゼスチャーで、おどけて去っていくジュリー。
最後まで声援に応える鉄人バンド。
飛び交う悲鳴。拍手。「ジュリー!」の嬌声。
帰り支度をし、階段へ向かう数人の観客の姿。
その一方で、僕も含め、まったく席を立つ気もなく、拍手を送り続ける大勢のファンの熱気。
プレプレファイナルでも観た光景です。

でも、何か違う。
ライトは一応明るくなってるけど、アナウンスは流れない。
1階左端の最前列に陣取っている男性の会場スタッフが、動く気配すらない。
「これは、ジュリーがもう1度最後の挨拶に出てきてくれるんだな・・・」
と、その時は思いました。
今考えると、ステージの様子も怪しかったんだけどね。

10分くらい経った頃でしょうか。
手を振って、出てきてくれました、ジュリー。

「ありがとう、ありがとう~。○○○の引退、どう思う~?」
から始まる軽~いノリのおしゃべり。
しばらく話した後、
「あ、全然関係ない話をしてしまいまして・・・
それでは、もう1度メンバーに登場して頂きましょう!」

拍手の渦の中、再登場する鉄人バンド。
この段階ではね、メンバー全員で関東1本締めのパターンかな、と僕は思ってましたよ。
多くのみなさまも、そうだったでしょう。

しか~し!!

あれ?
GRACE姉さんが、ドラムセットに着席。
下山さんが、ローディーさんからギターを受け取り、ゆっくりとストラップに身を通す。
柴山さんと泰輝さんが、ニコニコしながら所定の位置へと歩を進める・・・。

「やるんだ?!!?!」

僕は思わず叫びましたよ。
5メートル四方の方々には、そのエキサイトし過ぎて裏返った素っ頓狂な男の声を聞かれたと思います。


ジュリーはおどけて
「じゃ、最後にバンドの音でも聴いて頂きましょうか!」
と、「自分はもう何もしないよ」みたいな仕草。
柴山さんが「ジャッ、ジャッ」と適当な音を鳴らして呼応します。

「ウソやて!最後がコレやったら怒るやろ~?そりゃ怒るわな~。散々、自分の代わりはいない、みたいな事言うたばっかりやからな!」

その時僕は・・・まだ、信じられない。
目の前で何が起ころうとしているのか。
たぶん、会場全体もそうでした、この時までは。

「じゃぁ、行くで~!!!」

ここで、会場は沸騰し、一気に爆発。
大きなうねり。耳が痛くなるほどの歓声。CCレモンホールが揺れている!続けて、歓声をもつんざくジュリーのシャウト。

「トキオ~!!」

25曲目「TOKIO

Tokio

大きな感動が、一定の場所にいる人達全員に襲い来る場合、その沸点というのはあるものでして。
ジュリーの「じゃあ行くで~!」から「TOKIO」のイントロまでが、そうだったのでしょう。
まぁ、冷静になれというのが無理な話で。
後ろのお席のみなさま、本当にごめんなさい。
僕は、イントロの柴山さんのギターの段階から、全開で、遠慮なくピョンピョン飛び跳ねていました。だって、柴山さんの動きもハンパじゃなかったですもん!横に揺れておりました。
ホント、この時ばかりは全く遠慮していません。高校生時代の、体力テストの垂直飛びより高くジャンプしていたかもしれません。しかも連続で。

今、その感動を振り返りながら文章を書いているワケですが、僕は「TOKIO」の演奏中、思考自体はほぼストップしていたと思います。
ステージを駆け回るジュリーや、会場全体の凄まじいまでに爆発したその光景は目に焼きついていますが、何を考えながらそれを見ていたのか、ほとんど覚えていません。
ただ、夢中で

「そ~らを飛ぶ♪(チャ、チャ!)」を、思いきり頭上でやったこと。
「ト~キ~オ!」ポーズを、腕を真っ直ぐに伸ばして、振り上げたこと。
最後の指差しポーズが、いつまでも終わらないでほしい、と思っていたこと。
そして、皆が僕と同じようにしていたこと。

それを、辛うじて覚えています。
あっという間に終わった、「TOKIO」。
プレプレツアーで、「またTOKIOですか~」なんて、セットリストにちょっとひねくれた思いを抱いていたりした僕が、半年ぶりに聴く生の「TOKIO」で昇天しました。

曲が終わるとジュリーは、スッと、にこやかに去っていきました。
満足の歓声、感動のフィナーレ。
心からの、惜しみない拍手。

最後の最後に、皆で声を揃えて歌った「TOKIO」。
歌う門には福が来ました。

☆☆☆☆☆

濃密な2daysが、濃密に終わりました。
お会いできた方々は、書ききれないくらい。みなさま僕のような者に非常に丁寧に接してくださり、あらためてジュリーファンで良かった、と思いました。
2daysで新たにご挨拶させて頂いたのは、しょあ様、カオリー様、ジュリ友Y様、azur様、yuki様ご姉妹、74年生まれ様、みなとみらい様。ぴょんた様も何処かにいらっしゃったはず。おそらくあの方かな、と目星をつけていたりとか。あと、6日直前に合流したお二方。お顔は覚えておりまする~。

5日の打ち上げは、関東・関西・東海・九州のいてまえ勢が箱主・箱ラー、そして伝授者(何様だ?)と一堂に会した大人数でしたが、先輩方が色々な貴重な資料を回覧に回してくださったり、ジュリーについての話題は本当に尽きることなく、気がつけば23時を回っていましたね。
遅くまでおつきあい頂き、ありがとうございました。

そして6日。
ファイナルに参加できなかった、日頃リスペクトしている先輩や同志の方々に、どうしてもこの感動を伝えたくて、数人の方に
「TOKIOやった~!!」
と、幼稚園児のようなメールを送りつけてしまいました。
申し訳ございませんでした。

反省するし♪

チケットを譲ってくださったAKI様には、何とお礼を・・・。
いつか必ず、直接お会いして、お礼を申しあげたいです。

歌門来福は終わりました。
燃えつきた感で満たされているのですが、そうも言っておられません。
ジュリーはもう、次なるステップへと向かっています。
僕も、微力ながら、応援していきたい。ジュリーのやろうとしている事を、広めていきたい。
もう、その一歩を踏み出しています。

次回更新、2月10日にお会いしましょ~!

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2010年2月 4日 (木)

悩みましたが

明日から、歌門来福ラストの渋谷2days。
それを目前にしまして、思いがけないお話が僕に舞い込んできました。

お世話になっているJ先輩のお友達のそのまたお友達のファイナルチケットが直前になって余ってしまい、困っていらっしゃるという・・・。
巡り巡って、僕のところまでお話が回ってきました。

悩みました。
もちろん、行きたい!その気持ちはハッキリしています。
しかし、僕だけがそんな良い目を見てしまっていいものだろうか。
抽選に外れて悲しい思いをしていらっしゃる方に、申し訳が立たないではありませんか。その90パーセント以上が、間違いなく僕より先輩の方でしょう。

渋谷初日には、あの寒い中、チケットを求めて会場前にじっと立っていらっしゃる女性の方を拝見しました。
当日券売り場にも何人かの方が、最後まで並んでいらっしゃいました。その中には、プロレスラーの新井健一郎選手の姿もありました。
それらの方々が全員無事に入場できたかと言えば、可能性は低いでしょう。

いくら僕が「みなさまの気持ちを背負って」と言ってみたり、せめても全力でレポートを書いて報いようとしても、やっぱり、参加できなかった方々の悔しさ、悲しみが消えるわけではありません。

このドタン場で、悩み迷いました。
しかし、カミさんの「行きたい気持ちがあるなら、悩むより先に行ってくれば」という言葉もあり、行く決意をしました。

1枚の、宙に浮いた本当に貴重なチケット(2階後方とのことです)は、この、歌門来福3度目という果報者の新規ファンの手元にやってきます。
複雑な思いを抱きながらのファイナル参加。
僕がこのLIVEをどのように感じ、何を思うのか、自分でも予測がつきません。

多くのみなさまに、心の底から感謝しています。
”ジュリーを正しく伝える勉強”修行途中の身である僕に、これはある意味、最初の試練かもしれませんね。

その上で、楽しむ心を持てたら、これに勝る歓びはないでしょう。
頑張ります。

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2010年2月 3日 (水)

井上堯之バンド 『太陽にほえろ!ベスト』

寒いですね~。
本日、ジュリー&鉄人バンドは大阪でございますが。
週末の渋谷に向け、まだまだネタバレ禁止期間続行中の方もいらっしゃいます。
大阪組のみなさまの、寒さを吹き飛ばす熱いご報告は、引き続きside-Bの方に是非ともお願いしたく。

こちら本館では、何事もなかったかのように、先日より開始しました新カテゴリー「ジュリーをとりまくプロフェッショナル」をお届けいたします~。


第2回の本日は、重鎮・井上堯之バンドの登場です。
誰もが知る不朽の刑事ドラマ、「太陽にほえろ!」の数多いサントラ盤の中、荒ぶる井上バンドの演奏が最も凝縮された初期の音源集。
「太陽にほえろ!ベスト」、伝授!

思い起こせば僕が中学生になってブラスバンド部に入部、スネアドラムのパートを志願したのは、「太陽にほえろ!」の挿入歌でカッコ良く大暴れするドラムスに憧れていた事が、大きな動機でした。
ただ、それが直接、井上バンドの作品を真剣にリスニングするには至らなくて。

僕はその頃、「ロック」に関する認識が甘く、ずいぶん狭い幅で考えていたような気がします

例えばこの「太陽にほえろ!」というドラマで流れる音楽について。
今改めて聴いてみると、このサントラ音源が志の高いロックである事は明白。DYNAMITE少年には、それが解らなかったんだなぁ。

「太陽にほえろ!」以前のそれまでの刑事ドラマ(或いはそれに類するドラマ)のメインテーマの中で、ロック的手法の楽曲は稀です。僕の知る中ですと、「キイハンター」のテーマくらいでしょうか。
その「キイハンター」と比しても、「太陽にほえろ!」の音源は、更に突出したロック色を持っているように僕には聴こえます。
何故そう聴こえるのか、その理由は。
それは、井上バンドが明らかに

「ロック・バンドのアプローチ」

を持って演奏している、という1点に尽きると思うのです。


「太陽にほえろ!」のサントラは、正真正銘のバンドサウンド!。オーケストラに頼らない、剥き出しのロック・バンドの音。
そこが、当時或いはそれ以前の他類似ドラマ作品のサントラとは、決定的に異なっているのです。

演奏のテンションと音作りは、ザ・フーに通じるものがあります。アグレッシブに奏でられる、ディストーションの効いたギター、アタックの強いベース、縦横無尽に跳ね飛ぶドラムス。
カッコいいロック・バンドの音なのです。
ギターとベースなんて、アンプの振動まで伝わってくるかのようです。

そこに、作曲者でもある大野さんの、ヴォーカルにも匹敵するような表現力を持つオルガンが絡み、曲に応じて主旋律パートにサックス、トランペット、フルートを織り交ぜた、スリリングなアレンジ。
実はDYNAMITE、30代半ばでいきなりトランペット吹きを志しまして、当然「青春のテーマ」にチャレンジしたワケですが。

同じ音を連続で跳ねるように吹くのが、これほど難しかったとは・・・。
挫折。

チャッチャッチャッ、チャラララッラッ♪

の「ラララッラッ」が、どうしても上手く吹けない。
この部分の難易度の高さは、聴いてるだけだと全く解りませんでした。


有名なメインテーマの方は、すぐに吹けるようになったんだけどねぇ。あれはトランペットではなくサックスのパートだからなぁ・・・。
以来、「青春のテーマ」を完璧に吹けるようになる事は、僕のささやかな夢のひとつです。

さて、音源の素晴らしさに加え、今回みなさまに特にご紹介したいのが、このサントラ作品のジャケットについて。
当然この作品はレコードでのリリースが最初にあり、のちにCD化という流れで、僕が入手したのはCDになってからでした。

ですので元々のLPジャケットがどういうものかは知らないのですが、手元のCD盤のジャケ(おそらくレコードと同じデザインでしょう)についてご紹介いたしますと。

まず表ジャケは、出演刑事達の勢ぞろいショットです。石原裕次郎さん(ボス)を中心に、音源リリース時の新人刑事役・宮内淳さん(ボン)まで。

そして、裏ジャケでは

File0483

井上バンドのメンバーがしっかりとフィーチャーされているんですね~。
制作者サイドが、音楽を担当した「井上堯之バンド」という存在を強く世間に広めようとしていたことが、この裏ジャケットで解ります。
中でも
「作曲・編曲・大野克夫」
というクレジットと共に、大野さんのみ別に単独ショットがあります。

あとは、ライナーの丸々1ページをさいて、バンドメンバーのフリー・ショットが。

File0482

みなさんカッコいいですね~。
自分達の音楽に確信を持ち、自信に満ち溢れた表情ばかりです。
若き先鋭バンド、ここに有り!といった雰囲気ではないでしょうか。

ところで、私事ですが僕は自分の趣味で、架空刑事ドラマのサントラ盤を制作中であります。
まぁパロディーの一種という事になりますが、それっぽい曲を作曲・編曲して、25曲前後を収録したCDを作るつもりです。
さすがにこのような変テコな活動には音楽仲間の賛同は得られず、ドラムスは打ち込み、それ以外の楽器は全部自分で演奏、という非常に拡がりの無い世界での音作りになってしまっていますが、できれば今年中に完成させたいなぁ、と思っていたり。
拙ブログに遊びに来てくださっている方々の中に、無理矢理音源を聴かせられる、という災難な方が・・・いらっしゃるかも。

最後に、恥ずかしいヒヨッコのお話をひとつ。
僕は昨年春頃、初めて「PYGベスト」CDを購入し大変感銘を受けましたが、その中でも「やすらぎを求めて」を聴いた瞬間、

おぉっ、カッケ~!井上堯之バンドみたいだ!

などと一人興奮しておりました。

「井上堯之バンドみたい」って・・・。
当たり前ですよね(恥)。

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2010年2月 2日 (火)

「僕達ほとんどいいんじゃあない」ツアー、インフォがきました~

いやぁ、もう九州にも届いているみたいなので、速報でも何でもないのですが。
澤会さんより茶封筒到着。
もちろん、JULIE with THE WILD ONESのインフォですよ~!

大阪のMC、多くのみなさまのレポを拝見しましたけど、ツアータイトルが「僕達ほとんどいいんじゃあない」ってのが、マジなのかそれともジュリーのネタなのか、判別できずにいました。
マジでした。

5月28日(金)渋谷を皮切りに、八王子→大分→熊本→京都→石川→富山→岡山→松山→たつの→江東→小平→群馬→大阪→茅ヶ崎→松戸→長野→相模→板橋→静岡→川口と回ります。
川口が8月1日(日)。今回のインフォはここまでですが、ツアーは秋まであるとのことでしたから、この後北海道、東北に向かうものと思われます。

さて。
僕はこのジュリーwithザ・ワイルドワンズについては、初日を避けます。
そして、積極的にネタバレ情報を漁ります!

今回はジュリー単独のLIVEと違い、自分に予習の時間が必要だと思っているからです。
3月発売のアルバムをしっかり聴くことはもちろんしますが、セットリストに過去のワンズのナンバーや、僕の知らない洋楽などが練りこまれるような気がするんですよね。
客席の若手(いや、一応)のはしくれとして、ポカン曲に遭遇して盛り上がりに水を差すことは避けたい。

おそらく、充分な予習ののち、板橋・川口と攻めます。
余裕があったら6月にどこか1箇所入れたいけど、まぁ財布と相談ですわ。
カミさんやYOKO君の意見も聞かないと。

YOKO君なんて、頑固なポリシー振りかざすからね。朝までずっと揉める~♪

でもその前に!
明日は大阪、週末は渋谷。
僕はあと5日を残すのみだけど、とにかく歌門来福を満喫してから、ゆっくり考えよ。

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