« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »

2010年1月

2010年1月28日 (木)

佐野元春 『Someday』 『No Damege』

さて。
名古屋、或いは来週の大阪、果ては渋谷の5日・6日まで、じっと「歌門来福」情報断ちをなさっている方々が、「ここなら安心」と、遊びに来てくださっているかもしれません。
ところが、ここ数日の本館更新は無し。

僕は今現在、ネタバレリンクの方(side-B)に初日のレポをこまめにアップしながらの執筆途中で、もうすぐ完成、といったところなのですが、本館のみ閲覧のみなさまには当然それも伝わらず。
もしかしたら、淋しく思っている方がいらっしゃるかも・・・。

そこで、新しいカテゴリーでございます。

ズバリ、「ジュリーをとりまくプロフェッショナル」。

これは、昨年の「Pleasure Pleasure」ツアーをブログ執筆者として(まだまだ末席ですが)経験したことがきっかけで、考案したものです。
コンサートツアー期間のため、ネタバレリンクとしてB面サイトを作成したのですが、その間、本館の更新ネタに詰まってしまって。

で、何かないかな~、とずっと考えておりまして、年末になってようやく思いついたのがこのコーナー。

ジュリーに楽曲を提供したことのあるアーティスト、ジュリーナンバーにプレイヤーとして絡んだことのあるミュージシャン。
例を挙げますと、アルバム「ストリッパー」のロンドンレコーディングでゲスト参加したパブロックの面々が残した名盤であったり、建さんや下山さん達がLOSERとして参加した頃の、泉谷しげるさんの作品であったり。

そういった人達の作品を、みなさまに紹介させて頂くというものです。

その趣旨から、このコーナーは1曲のみについて深く語るのではなく、アーティスト、或いはミュージシャンのアルバムやDVD作品、そしてLIVEレポまでを網羅した内容にしようと考えています。
例えば僕は今後、鉄人バンドのみなさまのジュリーLIVE以外のステージも体験するつもりでいます。そのレポートもこのカテゴリーにて記事を書いていきたいなぁ、と。

今回の「歌門来福」ツアーのようなお正月コンサートは期間が短いですから、ネタバレ禁止中にたった1、2件の記事を書くのが精一杯にはなりますが、夏ツアーではこのカテゴリーも貪欲に書いてまいります。
みなさまのジュリー活動に、少しでも広がりがあらんことを。少しでもそのお手伝いができれば嬉しいなぁ。
どうぞよろしくお願い申しあげます。

さて初っ端の今回は、オールウェイズ~エキゾチックス時代のジュリーにピッタリのナンバーを提供、光輝く名曲群を残した佐野元春さんのアルバムを2枚、ご紹介したいと思います。
伝授!

僕が佐野さんのアルバムで最も好きなのは『Time Out!』という作品ですが、ココはじゅり風呂ですから(おおっ大胆な発言)、という事で、ご紹介したいのがこの2枚。

『Someday』
『No Damege』

いずれも80年代初頭の作品。ジュリー&エキゾチックスと連動の時期、その時代を切り裂いた名盤です。
『Someday』は佐野さん3枚目のオリジナル・アルバムであり、『No Damege』の方はファーストからサードアルバムまでの代表曲に加え、リマスターやシングルB面などを加えた企画盤。
で、何故この2枚をお題に選んだのか、と言いますと。

『Someday』には
・「I'm in Blue」
・「Vanity Factory」

『No Damege』には
・「彼女はデリケート」
・「Bye Bye Handy Love」

が収録されているからです!
いずれもジュリーヴァージョンとはまた違った味わいが楽しめますよ。

「I'm in Blue」はジュリーヴァージョンよりかなり長めで、ミディアムテンポのキラキラな良質のポップス。
レコードですと、この曲がB面の1曲目でした。

「Vanity Factory」は、ジュリーがジャジーにキメるのに対し、佐野さんはエイトビートを強調したストレートな攻めのアレンジ。
なお、この曲ではジュリーもコーラスで参加しているんです。「バニティー!バニティー!」ってシャウトしまくってますよ。これは押さえといて損はないかと。

「彼女はデリケート」はジュリーヴァージョンよりもややテンポが遅めですが、ハンドクラップを強打した、ビートと疾走感が心地よいサウンドに仕上がっております。
この曲は佐野さんヴァージョンも2つあって、もうひとつは「ナイアガラ・トライアングルVOL.2」という、大瀧詠一さん、杉真理さんとのコラボ作品に収録されています。僕はそちらのヴァージョン(冒頭にセリフあり)の方が好きだったりします。

「Bye Bye Handy Love」は、「Can't Buy Me Love」などのビートルズナンバーのオマージュである事が、佐野さんヴァージョンだとハッキリ解る作りになっていますね。
ジュリーの方は、ストレイキャッツのようなアレンジとヴォーカルで組み立ててあるので、そう思う方は少なかったでしょう。

その他収録曲についても、エキゾチックス時代のジュリーが好きな方でしたら違和感なく聴けるはずです。
どの曲も、「ジュリーが歌ったらどうなっただろう」とか想像すると楽しいですしね。
佐野さんならではの、ビートの効いたロックナンバーももちろんそうですが、僕が「ジュリーが歌ったら・・・」と妄想してしまうのは、バラード楽曲なのです。
それも、佐野さん独特の、日本人離れしたクールなサイケデリック・バラード。
『Someday』ならば「真夜中に清めて」。『No Damege』なら「モリスンは朝、空港で」といったあたりですね。

あと、アルバム『Someday』には、佐野さんのキャリア中でも重要な楽曲のひとつ「Rock'n' Roll Night」が収録されており、この曲は多くのみなさまに知って頂きたいという思いがあります。

今後、ジュリーが新たに佐野さんの作品を歌いレコーディングする可能性は低いと思いますが、実現すればきっと素晴らしい楽曲に仕上がるはずです。
そんな事を考えながら、今回はジュリーナンバー以外の記事を書かせて頂きました。

興味のある方は、この機会に是非ともお聴きくださいませ。

| | コメント (21) | トラックバック (0)

2010年1月23日 (土)

恒例!ネタバレリンクご利用のお願い

明日です!
明日の今頃には「歌門来福」初日が始まっています。

今回も、ここ拙ブログ本館におきましては、ツアー終了の2月6日まで、完全ネタバレ禁止期間とさせて頂きます。
僕は初日から参加しますが、セットリストに関して、ジュリーの様子に関して、この場所で喋ることは一切いたしません。

その代わり。

半年ぶりに別館の方を更新いたします。

dynamite-encyclopedia(side-B)

右上にもリンクがございます。
「歌門来福」コンサートの感想コメント、セットリスト予習は、このside-Bにてお願いいたします。

本館ではその間、ジュリーに関わったことのある他のアーティストの作品紹介などを考えております~。
何卒よろしくお願い申しあげます。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2010年1月21日 (木)

沢田研二 「サーモスタットな夏」

from『サーモスタットな夏』、1997

Samosutatto_2


1. サーモスタットな夏
2. オリーヴ・オイル
3. 言葉にできない僕の気持ち
4. 僕がせめぎあう
5. PEARL HARBOR LOVE STORY
6. 愛は痛い
7. ミネラル・ランチ
8. ダメ
9. 恋なんて呼ばない
10. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

----------------------

 

何たることか、「歌門来福」目前にして風邪。
症状は軽いのですが、僕の王道パターンである「身体の調子が落ち込むと口内炎ができる」というのがありまして、そちらの方に苦しんでおります。
今日になってようやく調子が戻ってきました(ホッ)。

やはり半年のブランクでいきなりの全開スタジオ作業がキツかったのか・・・。
特に高音のヴォーカルは体力を消耗します。
改めて、ジュリーはスゴイな~、と思うわけです。ハナから比較にはなりませんけどね(汗)。

 

まぁ、少し前までとは違い、今ではカミさんの協力で「栄養・睡眠」という治し方ができます。ありがたいことです。
ただ、その分記事更新もままならず・・・。
セットリスト予想シリーズは今回がラストですね。
4曲しか書けなかったか~、残念。無茶ぶりを承知で、「淋しい想い出」と「アメリカン・バラエティー」をカマすつもりだったのですが。

 

これらの楽曲は、冷静に考えてみれば別にセットリスト予想で書かずとも良いか~。

 

で、今回は僕にとっての「ジュリー祭り・リベンジ曲」の中からお題を選ばせて頂きました。
ドームでは「ずいぶん凝ったコード進行の曲だな~」くらいの感想しか持てなかったヒヨッコのDYNAMITEが、1年のジュリ勉の成果を是非とも試験されたいナンバー。
ジュリーとお客さんのかけ合い度が最も高い曲だと考えています。

1997年、50歳を目前にしたジュリー・アルバムから、タイトルチューン「サーモスタットな夏」、伝授!

 

お正月の寒い時に「夏」はないでしょ~、という理屈は通りませんよね、ジュリーのLIVEは。
昨年のお正月コンサート「奇跡元年」でも、僕の大好きな「時計/夏がいく」をセットリストにビシッと組み込んでくれました。
それに「サーモスタットな夏」の歌詞はと言いますと。

 

♪今年も暖冬さ~♪

 

てなモンでね。
真冬と言えども、ジュリーのコンサート会場はそりゃ暑い!
昨年、僕が参加したのは1月11日の「奇跡元年」。この日は外に出ると寒くてね~。
まだジュリーLIVE慣れしておらず何も知らなかった僕は、一番下にロンTを着込み、長袖シャツ、タートルネック、コートという完全防寒体勢で臨みました。
・・・大失敗でございました。
5曲目「ポラロイドGirl」終了と同時に着ているモノを次々と脱ぎ散らかし、ロンT1枚になってもまだ暑かったという・・・。
バッサバッサと服を脱ぐ男性の慌しい様子に、両隣のお姉さまはさぞかし退いたことでしょう(Oさん、どうもすみませんでした)。
結果、汗ダクになり風邪ひきました。今年は反省を生かし、一番下は半袖Tシャツで参ります~。

 

で、みなさまと一緒に熱く参加希望!の「サーモスタットな夏」。
要は、オリジナル音源のBOKE BOKE SISTERSのパートで参加するワケなのですが。

 

BOKE BOKE SUSTERSのパートを進行順に列挙いたしますと

 

・WILD, WILD, WILD!(シャウト)
・LOVE & PEACE(指サイン)
・WILD, WILD, WILD!(シャウト)
・アイス!(シャウト)
・Hi, Hi, Hi!(シャウト)
・JUMP. JUMP, JUMP!(シャウト)
・JUMP. JUMP, JUMP!(シャウト)

・間奏(リードギターを煽る)
・アンド!(シャウト)
・シカト!(シャウト)
・Hi, Hi, Hi!(シャウト)
・WILD, WILD, WILD!(シャウト)
・LOVE & PEACE(指サイン)
・やめて!(シャウト)
・WILD, WILD, WILD!(シャウト)

 

なんと、15箇所も参加できます。
「アンド!」の直後には「HI, Hi, Hi!」が無い、とか、なかなか複雑かつ忙しい構成ですが、実に参加し甲斐のあるナンバーではありませんか~!

 

「サーモスタットな夏」は楽曲それ自体もかなり複雑な構成でして、和音進行が高度、転調の連続です。
まずはイ長調で導入。イントロから「サーモスタット~な~夏~♪」までがそうです。
イ長調と言っても、出だしがC(ド・ミ・ソ)から始まり、B(シ・レ#・ファ#)と繋いで3つめの和音でようやくイ長調のトニックであるA(ラ・ド#・ミ)に着地。
ガックンガックンと落下し、再び上昇するこのコード進行、僕はその作風から、「違いのわかる男」や「オーガニック・オーガズム」と共通の手法を見出し、しばらく白井良明さんの作曲かと勘違いしていました。

 

正しくは、キーボードの朝本浩文さん作曲だったのですね。
そうしてキーボードで弾いてみますと、なるほど~。
泰輝さん作曲の「奇跡」と似た和音移動による作曲アプローチなのですね。鍵盤を使ってハード楽曲を想定したコード進行を試みると、こんな感じになるのです。

 

その後、Aメロがニ長調、「常夏はどこ夏♪」からのBメロがハ長調、そしてサビ直前の「シーガイア~♪」からサビ終了までがト長調。
めまぐるしく転調します。いや~忙しい忙しい。

 

ジュリーの作詞も、陽気な慌しさを全面に押し出しています。
翌年の「風にそよいで」や翌々年の「蜜月」ほど開き直ってはいませんが、これもまた「メロディーに載せた時の語感」を重視した作詞です。
「シ~ガイヤ~♪」とか「あ・うん・の呼吸~♪」の部分にジュリーのフレーズ選択センスを感じます。もちろん、そういった箇所はジュリーもすごく楽しそうに歌っています。

 

ところでこの曲、「夏」と言うだけあってアレンジがサーフサウンドなんですね。
この手のナンバーの一番の肝は、ベンチャーズばりの「テケテケテケ・・・」というエレキギターであることは言う間でもありませんが、もうひとつ重要なポイントとして、ドラムスの独特のアクセントが挙げられます。

1小節を8分音符で8つに分けて説明しますと、通常エイトビートのドラムスは、3番目と7番目の8分音符にアクセントを入れます。

ところがサーフサウンドの楽曲の場合は、それに加えて4番目と8番目、という裏拍部分にもアクセントを加えるのです。
そうしますと

どん・たた!どん・たた

 

波に乗ってうねってる感じのリズムになるんですね~。
う~ん、やっぱり夏の曲かこれは・・・。

 

さて。
先に述べました、BOKE BOKE SISTERSパート参加につきまして。
1箇所だけ、初日の僕の2階後方席からではどうする事もできないパートがあるんですよ。
と言いますか、ごくごく限られた松席の、そのまたごくごく限られた方々にしか参加できない箇所。

ズバリ、間奏・リードギタリストへの煽りです!
1階1桁・柴山さん側。それが選ばれし者のお席。ステージ前方にずずいとせり出してきてソロを決める柴山さんに向かって、手をヒラヒラさせながら「キャ~!」。
これ、重要なパートですから!
あるのと無いのでは、ジュリーも鉄人バンドも、ステージ上での手応えが違うでしょう。

 

選ばれしお席のみなさま。
僕の分まで、お任せしましたよ!

| | コメント (16) | トラックバック (0)

2010年1月16日 (土)

ザ・タイガース 「朝に別れのほほえみを」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968

Human

1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

--------------------

「歌門来福」、あと1週間ほどにまで迫ってまいりました~。

みなさまがセットリストを予想していく中で、「果たしてタイガースのナンバーは歌われるのか?」というのも重要な事項のひとつでしょう。寅年ですし(←こだわる)ね。

僕も、(自分の都合の良いように)考えてみました。
鉄人バンドが、これまで一度も演奏したことのないタイガースの楽曲をレパートリーに加えることは、今回はなさそうな気がいたします。
となると、歌門来福で歌われるタイガース・ナンバーは、ジュリー祭りのラインナップから選ばれる、ということ。
実は、是非もう1度聴きたい曲があるんですよ~。

このナンバーがドーム80曲に組み込まれたのが、いかに意義深いことだったか。
2008年12月3日のDYNAMITEはその点まったく理解せず、アレンジを聴いてタイガースの曲だと決めつけ(いや、そのこと自体は合ってたんだけどさ)、歌詞を断片的に咀嚼し、「あぁ、コレは例の有名なコンセプトアルバムに入ってるヤツだな」くらいの感想しか持たなかったという・・・。

情けない!
今日はそんな名曲を、日頃のジュリ勉成果を見せるべく、セットリスト予想として採り上げてまいりたいと思います。
ビートルズの「サージャント・ペッパーズ~」をきっかけに、全世界に巻き起こったコンセプト・アルバム形式のサイケデリック・ムーブメント。その中で日本の王者・タイガースが放ったアルバム=「ヒューマン・ルネッサンス」より。
「朝に別れのほほえみを」、伝授!

畏れながら、昨年の僕のジュリ勉に関して誇れる点は、「奇跡元年」レポ時の
「タイガースまでちゃんと勉強する!」
という宣言をキチンと実践できたことですね~。
もちろんそれは多くの先輩方のご指導あってのことでしたし、僕が勉強したのはあくまで楽曲について、だけですけど。


タイガースの後追い勉強は、本当に楽しかった~。
だって僕は元々、ビートルズからロックの世界に入って、ビートルズに関係するバンド、ビートルズのライバルバンド、ビートルズの曲をオマージュしたバンド・・・といった流れで、どんどん自分の間口を拡げてきたのです。
この歳になって、ようやくその総仕上げ。それが昨年出逢ったタイガース・ナンバーの数々(最初、「カズカズ」と変換した爆)でした!

「ヒューマン・ルネッサンス」の特性は、メンバーのクオリティー向上もさることながら、すぎやまこういちさんと村井邦彦さんの両巨頭が並び立った作品であることです。

初期には初期の色があり、後期には後期の志があるタイガース。
それはそのまますぎやまさんと村井さんの魅力とも言い換えることもでき、お二人の魅力がアルバムとして同時に凝縮された「ヒューマン・ルネッサンス」はやはり必然の名盤であり、タイガースにとって絶頂・謳歌の時期だったのでしょう。

タイガースは、やはりビートルズを筆頭とする洋楽バンドの影響を抜きには語れません。この時代に活躍した邦楽バンドはすべてそうなのですが。
では、才能あるれる作家陣がどのようにして当時の洋楽と向き合い、タイガースのイメージに落とし込んでいったのか、というのが今回の主題。

すぎやまさんと村井さんの、洋楽曲へのオマージュ手法には目立った違いがあります。
すぎやまさんは、洋楽をご自身の土俵に引っ張り込むやり方です。
当時のロックの旬な作曲・アレンジにはクラシックの流れを汲む、いわば「古典的元ネタ」というものがまだ存在します。
バッハであったりショパンであったり・・・任意の洋楽曲のオイシイ部分を抜き取り、それをググッと盆に帰す(元ネタであるクラシックの色合いに中和する)のが、すぎやまさんの真骨頂。

洋楽の強いロック色をクラシカルに和らげる手法は、中世の貴公子、というルックスのイメージにもピタリですね。「落葉の物語」などが解りやすい例です。

一方の村井さんは、任意の洋楽曲を1曲に指定せずに、なかなか普通の人が気がつきにくい優れた共通項を持った数曲を選び出し、合わせ技で新しい形へと昇華させます。
そして、選ばれた数曲のビートルズ率が高いことも、大きな特徴と言えます。
この「朝に別れのほほえみを」作曲について村井さんが選んだ洋楽曲のうち、僕は2曲までを指定することができます。
いずれもビートルズで

「IF I FELL」
「HERE, THERE AND EVERYWHERE」

そして、この2曲に関して村井さんが探し出した「普通の人が気づきにくい共通項」とは何か。それはズバリ

イントロのみで使用されるメロがあり、それが楽曲全体の枕になっている

というものです。
ビートルズにはこのパターンを擁する楽曲も他に多いのですが(「DO YOU WANT TO KNOW A SECRET」など)、村井さんが選んだ2曲にはいずれも斬新なコード進行があり、歌の枕部分のみならず、様々な長所を貪欲にオマージュとして採り入れていますね。

まずは枕の部分。


「HERE THERE AND EVERYWHERE」が

(ソ・シ・レ) To lead a better life♪
(シ♭・レ・ファ) I need my love to be♪
(ラ・ド・ミ) here~♪ (ラ・レ・ファ#)
コードで言いますと、G→B♭→Am→D

「朝に別れのほほえみを」が

(レ♭・ファ・ラ♭) 別れの~♪
(ミ・ソ#・シ) 朝が♪
(ミ♭・ソ♭・シ♭)今き (ミ♭・ラ♭・ド) た~♪
コードだと、D♭→E→E♭m→A♭

それぞれ、2番目の和音が、流れの中で突飛な移行であるのがお解かりでしょうか。
この2曲の枕部、調が違うだけで理屈はまったく同じ進行なんです。それぞれの和音にお互いのメロディーを交換して歌うことができますよ~。


そして、主メロは一転、「IF I FELL」のクールな世界に入り込みます。途中、大胆な転調があるのも共通点ですね。
「朝に別れの~」は変ニ長調からホ長調への転調なのですが、ここで枕に出てきた2番目の和音(ミ・ソ#・シ)をトニックとするホ長調に持ってくる、というのが奇跡、渾身の手管なのです。
村井さんのこのアプローチはすぐ後に、「ひとりぼっちのバラード」の斬新な転調構成へと進化していくのです。

あ、長々と理屈ばかりで・・・。
ここらでジュリーについても触れておかねば。

ヴォーカルの素晴らしさは言う間でもないのですが、やはりここは間奏のセリフでしょう。
天性ですよねぇ。
ある刑事ドラマの演出家さんの言葉に

「セリフは棒読みでかまわない。色が出せているかどうかが勝負だ」

という役者評があるんですが、ジュリーのセリフの「色」はそれこそ凄まじい。
ジュリーの場合、「棒読み」と言うよりは、若干照れているんですよね。
並みのヴォーカリストならば、それは致命傷となり、聴き手は思わず「イタタタ・・・」と感じてしまうでしょう。
ところが。

照れながら発せられるジュリーのセリフは、それでも全然イタくない!

むしろ、魅力が倍加しています。
これはおそらく努力で出せる技ではないでしょうねぇ。「出発のほかに何がある」「いづみ」にもセリフが登場しますが、天性の魅力は一様です。

ギター2本とベース、ドラムのシンプルな構成。
「朝に別れのほほえみを」は、演奏面においても自我が出てきたタイガースの面々に手応えを抱かせる楽曲だっと思います。ぶっちゃけ、「そんなに難易度が高くなく、それでいて優雅」というのがポイントだったりするのですが。

ところでこの、「朝に別れのほほえみを」。
LIVE映像だけ持っていればとりあえずそれでオッケ~、って曲じゃあナイんですよ~。
アルバムの中で、次曲「忘れかけた子守歌」との繋がりが非常に重要で。
「ヒューマン・ルネッサンス」はすべての収録曲に何らかの相互作用がありますが、この2曲は抜きん出て密接な関連性を持っており、「2曲でひとつ」と言ってもよいくらいです。
作詞・作曲者はまったく異なると言うのに・・・。この時代のタイガースならではのマジックと言えるでしょう。

ですから必ず、アルバムで聴きましょうね!

ルックスの貴公子から、表現者としての貴公子へ。
う~ん、「ヒューマン・ルネッサンス」、やっぱり世紀の大名盤じゃぁないですか~。

| | コメント (31) | トラックバック (0)

2010年1月15日 (金)

沢田研二 「蜜月」

from『いい風よ吹け』、1999

Iikazeyofuke


1. インチキ小町
2. 真夏・白昼夢
3. 鼓動
4. 無邪気な酔っぱらい
5. いい風よ吹け
6. 奇跡
7. 蜜月
8. ティキティキ物語
9. いとしの惑星
10. お気楽が極楽
11. 涙と微笑み

---------------------

 

「歌門来福」セットリスト予想シリーズ。
第2回目にして早くも個人趣味に走ってしまいます~(汗)。

ちょっとベースレスでこの曲演るのはキツいかな・・・とは思いますが、可能性は無くは無い、そんな気がいたします。
いかにも白井良明さん好みの、ニューウェーヴ系×グランジ系の合わせ技アレンジによる、これぞ「通」な作りの隠れた名曲。
アルバム「いい風よ吹け」より、「蜜月」、伝授!

 

作曲・アレンジにあたって白井さんは、XTCというバンドの影響を受けていると思われますね。
それも、彼等のアルバムで言えば「ブラック・シー」の頃の音作り。その頃のXTCの名曲群について、主だった特徴を挙げてみましょうか。

 

・不気味なイントロから重々しいAメロで導入
・Aメロとは全然印象の違う渋いBメロが展開
・と思ったら、驚くほど印象を一変するキャッチーなサビで脳天をつんざく
・サビでは意味不明の咆哮が炸裂し、なんだかワケも解らず盛り上がっている

 

ね?
「蜜月」との共通項だらけでしょ~。

そして、白井さん渾身の工夫は、Bメロの前に一度美しい旋律のサビメロをはさみこんでジャブを入れておき、Bメロ直後に「サビもう一丁!のダメ押しでノックアウト」・・・ここまででひとかたまり、というあまりにも斬新な構成につきますね。

 

あと、個人的にすごく熱く語りたい重要な部分が。
それは白井さん自身による、間奏のリードギターですよ!
通常発想のアレンジだと、この重々しいAメロと同進行の間奏では、超絶な早弾きであるとか、終始ギュワンギュワンなフレーズで攻めるか、どちらかに落ち着くはずなんです。
確かに間奏後半に向かうに連れてギュワンギュワンなギターが迫ってきますが、問題は前半のフレーズ。

 

♪どんでででんどん、でんでん、どんでん、でで~ん♪

 

何のお祭りですか~!!

と、唖然→狂喜→脱帽いたしました、このセンス。
腕を誇示するよりもまず、コンセプトありき!という心意気を教えられます。白井さんのアレンジには、探求というコンセプトがどの曲でも必ずあるように思います。
「蜜月」の、クルクルと表情を変えるメロディー、沸き立つようなギターソロ。これは是非ともみなさまにもう一度注意して聴いて頂きたいポイントなのです。

そしてもし「歌門来福」で「蜜月」を演ってくれたら僕は、今度は下山さんの、白井さんをも凌駕する変態ギター間奏に釘付けになるでしょう。
あ~観たい、観たいです!


ともかく「蜜月」は、白井さんにとって「よっしゃ!」という手ごたえ、プレイヤー、そしてアレンジャーとしての満足度が相当高かったと思うんですよ。
「最高にゴキゲンな曲ができた!ジュリーあとは頼むよっ!」
と、預けられたジュリーがこの曲に載せてきた歌詞が・・・。

 

???

 

・・・いや、実はこれは「蜜月」だけの話ではなくて。
僕は正直、初めてアルバム「いい風よ吹け」を聴いた時、ジュリーの作詞ナンバー数曲について、とまどいがありました。


「すごくカッコイイ曲に、なんだか変な歌詞が載ってる・・・曲と詞の内容が合ってない・・・」

ヒヨッコは、まずそう感じてしまったのです。
へりくだってはいませんよ。拙ブログの長い読者のみなさまなら、僕が初めて「いい風よ吹け」を聴いた頃=2008年12月の時点でDYNAMITEがいかにヒヨッコだったかは御存知のはずですからね。

ところが、繰り返し聴いていきますと、この「合ってない感じ」が妙にクセになってきましてねぇ。
そして、昨年春頃になって、僕の中ではジュリーの作詞スタンスというものに結論も出てきました。
年代ごとに、色分けできると思うんですよね。

 

・70年代→安井かずみさんをを手本とした、感性重視の心情描写
・80年代→確立したスーパースター像を崩さない、偶像投影
 (後註:この間、CO-CoLO期をはさんで)
・90年代以降→作詞家らしいフレージングに囚われず、メロディーに載せた際の語感を重視した「個」性派

 

ちなみに、少しの例外はありましょうが、70年代が詞先、90年代以降は曲先、と考えて間違いないと思います。
90年代以降の作詞については、アルバム「第六感」が強烈なターニングポイントになっていて、「ホームページLOVE」「風にそよいで」は明らかに「メロディーに載せて気持ちいい語感」狙い。

この2曲でジュリーは作詞という作業に対して、良い意味での開き直りも持ちつつ、開眼を果たしたのではないでしょうか。
しかるに、次作「いい風よ吹け」収録曲は、その点迷いが無いのです。
さすがに「真夏・白昼夢」の「♪芋洗ってる♪」は僕にとって大きな試練でしたが、乗り越えてしまえば何のことはない、今は大好きです。この曲もLIVEで聴きたいですね。こちらは柴山さんが楽しみ。

 

で、「蜜月」の歌詞。
これはおそらく、サビから先に書いていますよ。

 

♪オゥ、オゥぉ~枯れ木に
  オゥ、オゥぉ~花よ咲け♪

 

♪オゥ、オゥぉ~花よ咲け
  血が騒ぐ 蜜月♪

 

おそらく最初にこの2箇所を作り、それを起点にして全体を膨らませたのではないでしょうか。
メロディーに載せた語感の盛り上がりが、サビ部に突出しているように思うのです。ジュリーのヴォーカルも、この部分が一番楽しげで、力強いように感じます。

 

さぁ、最後になりますが。
サビ部に登場します、意味不明の咆哮。これは、もしLIVEで演ってくれたらお客さんは全員参加・・・ですよね?
僕だけ?それは寂しいなぁ・・・。
あ、咆哮するタイミングに難しい箇所があって、戸惑っていらっしゃいます?
確かに、1番・2番のBメロ前の中サビ部に2箇所、4拍目の裏でシャウトする箇所があります。その他の、4拍目ジャストでの咆哮は、みなさまタイミングは自然にとれるでしょうから、問題は裏拍の方ですよね。

 

これはね。

♪オゥオゥおぅ、枯れ木ぃに~(はっ!)
♪オゥオゥおぅ、花よ~咲~け~(う・はっ!)

 

と、覚えてください。
♪花よ咲け♪の次が裏拍です。
難しいことは考えず、「う」で溜めて「はっ!」でシャウト。これで大丈夫。
さぁ、みなさまも今日から予習予習!

 

結果、セットリストで見事にスカされ、努力が徒労に終わってもどうか許してくださいませ~。
(あぁ、みなさまの貴重なお時間が・・・)。

| | コメント (13) | トラックバック (0)

2010年1月11日 (月)

沢田研二 「Come On !! Come On !!」

from『REALLY LOVE YA!!』、1993

Reallyloveya


1. Come On !! Come ON !!
2. 憂鬱なパルス
3. そのキスが欲しい
4. DON'T SAY IT
5. 幻の恋
6. あなたを想う以外には
7. Child
8. F. S. M
9. 勝利者
10. 夜明けに溶けても
11. AFTERMATH

--------------------

みなさまそうかと思いますが、チケットの現物を手にしまして、僕はすっかり歌門来福モードです。

何と言っても、祈る思いで参加を切望いたしておりました初日・・・これを確定できたのは大きい。
1月24日、CCレモンホールは2階後方席・・・まったく問題ありませんよ!
会場の誰もがセットリストを知らない、その緊張感。
僕にとって初日は参加できるだけで僥倖ですし、おそらく興奮して我を忘れた暑苦しいレポを書く事になるでしょう。

もう2週間切ってるんですよ~、キャ~(乙女かっ)!。


というワケで、初日までに残された日々を、当たらないセットリスト予想などしつつ過ごそうかと。
予想はするだけタダですから、そりゃもう贅沢なラインナップを想像し放題で・・・至福ですね~。

昨年の5月頃も、まさにそんな感じでした。
そこで、「Pleasure Pleasure」ツアー直前の拙ブログ「セットリスト・希望!」記事を振り返ってみますれば・・・。

・「船はインドへ
・「
Shangri-la

などと、かなり無茶ぶりしてますね・・・(汗)。
当てる気などサラサラなく、単に自分がLIVEで聴きたい曲を無秩序に並べていたようです。
楽しいじゃございませんか(爆)。

今回も、当てに行ってるのか当てる気が無いのかよくわからないラインナップにて、約2週間、非常に未熟な予想になるかとは思いますが、「歌門来福・セットリスト希望!」ナンバーの記事を書いてまいりたいと思います。
よろしくお願いいたします。

まずは!
「歌門来福」、1発目ナンバーのベタベタな予想といたしまして、アルバム「REALLY LOVE YA !!」収録のセンシティブなロック・ナンバーを。
「Come On !! Come On !!」、伝授!

「歌門」だから、1発目は「Come On」。
このベタな予想を無碍にできないトコがジュリーの油断ならないセンスでもあるワケで。
思えば昨年のお正月コンサート「奇跡元年」1発目のナンバーは、しっかりと「奇跡」でしたよね~。

さて、拙ブログにてこれまで何度も「自分はベストテン世代である」と書いてきましたが、実は「ベストテン世代」というのは概ね、20代になるとそのまま「イカ天世代」へとシフトする・・・音楽的にとてもコアな年代なのです。

中学生くらいでなんとなく「ベストテン」を離れ、歌謡曲を離れ、ロックを志した少年がバンドを組んで青春を賭ける時代。そんな世代のアマチュア・トップクラスが君臨したお化け番組が「イカすバンド天国」となるのですね。

番組を詳しく御存知ない方のためにサッと説明しますと。
「イカ天」は週に一度、チャンピオン(イカ天キング)バンドの勝ち抜き形式。
映像審査にパスしたバンドが毎週10組登場し、萩原健太さんを委員長とする審査員によって挑戦者バンド1組を選出、イカ天キングは前週とは違った曲目の演奏でそのバンドを迎え撃ち、最終審査によって勝ち抜き或いはイカ天キングの交代が決定するというもの。
で、5週連続で勝ち抜いたバンドは「グランド・イカ天キング」となり番組を勇退となります。
グランド・イカ天キングを勝ち取ったバンドは当然数少なく、初代・「FLYING KIDS」から始まり「BEGIN」「たま」に続いての4代目に輝いたのが「マルコシアス・バンプ」というバンド。
そしてそのマルコシアス・バンプを率いていたのが、今回のお題「Come On !! Come On !!」の作詞・作曲者である秋間経夫さんでした。

和製グラムロックの雄として絶賛されたマルコシアス・バンプがジュリーをリスペクトしていたという話はあちこちで聞きますが、「REALLY LOVE YA !!」での秋間さんによる楽曲提供は吉田建さん(イカ天最辛の審査委員)繋がりだったのでしょうか。
当然、マルコシアス・バンプのメンバー(特にベースの佐藤さん)は、和製グラムロックの本家が「夜の河を渡る前に」をはじめとするジュリーナンバーである事を知った上での、真剣なリスペクトであったようです。

作詞・作曲の分担作業が当たり前になった80年代楽曲提供システムにあって、秋間さんがかつてのジュリー・ナンバー作家の一角・佐野元春さんと同じく、一人でキチンと詞曲両方を担った事は特筆すべき事です。
アルバム冒頭に相応しい、絢爛な味わいのある楽曲。
やはり秋間さんにはグラムロックのセンスがあり、ジュリーのヴォーカルとは相性が良いのですね。

A(ラ・ド#・ミ)の和音を軸とした正統的な和音構成ながら、Aメロ、Bメロ、サビとそれぞれが様々な順序で組み合わされ、高音から低音へス~ッと下降するAメロ、粘っこくせり上がるサビメロと、まずメロディーありきでコード進行を振り分けた作曲だと推測できます。
安易な「泣き」は採らず、サイケデリック・ロックの進化形のようなアレンジがさすが建さん!でして、エンディングの最後の最後、フェイドアウト間際で突如シンセサイザーのフレーズを強調するミックスも見事。
おそらくこれは建さんのアイデアでしょう。次の曲へ余韻を残す手法で、いかにもプロデューサー的なミックス指示だと思います。

この曲はドラムスのフィル・インに始まって、パワフルな前奏がまず炸裂しますから、LIVEの1曲目にはうってつけ。イントロで鉄人バンドに送られる喝采、満を持して登場するジュリーに浴びせられる悲鳴・嬌声・・・想像に難くないですね~。
というワケで、「歌門来福」1発目は「Come On !! Come On !!」に1票!

問題は、このナンバーを知らない方々にとって、アルバム「REALLY LOVE YA !!」が大変な入手困難であるという現況。
ホント、吉田建さんプロデュース期の5枚は、ファンのひいき目抜きにしても当然再発されるべきアルバムなのですが・・・未だそれは叶わぬ状況です。

しかし、幸いなことに「REALLY LOVE YA !!」はツアーDVDが残されています。
幻の恋」の記事にも書きましたが、実は僕、このアルバムはCDよりDVDの方が先でした。DVDを観て、多くのアルバム収録曲が好きになり、すぐにCDを購入。当時はまだ普通に売られていましたよ~。ラッキーでした。
つまり、DVDでも「REALLY LOVE YA !!」収録のナンバーの素晴らしさは充分解るということです。アルバム収録曲以外のセットリストもかなり良いですし、この期に是非オススメしたい1枚ですね。

DVDですともう1枚、「祝・2000年正月大運動会」。
このLIVEでも迫力ある「Come On !! Come On !!」を楽しむことができます。特に、鉄人バンドのファンの方にはこちらをおススメしたいところ。
DVD「REALLY LOVE YA」「祝・2000年大運動会」、いずれの作品も、相互リンクさせて頂いておりますあいら様のお家に濃ゆ~いレビューがありますので、購入をお悩みの方々、是非お読みくださいませ。

さて、最後に。
「イカ天世代」・・・多数のバンドマンにとって豊穣の時代だったことは確かですが、底辺に位置していた僕のような者にとっては、身の程知らずな苦闘の時代でもあったワケです。
今でこそ「オイオイ何様だよ」と自分にツッコミ入れたくなりますが、逆立ちしても絶対に太刀打ちできない、才気溢れるイカ天出身バンドのみなさまに、本気でジェラシーを感じていましたからね~。

そんな身の程知らずな連中が、あちらこちらのライブハウスにウヨウヨしていた時代。
「本物・沢田研二」をそんな輩にガツンとお見舞いし、一掃した時点で、建さんのジュリー・プロデュースは完結したのかもしれません。
毎月のようにLIVEをやっていたあの頃の僕が、もしもジュリーをタイムリーで聴いていたらどう感じただろうなぁ・・・。
ジュリーを通じて建さんに本物をお見舞いされ、逆に喜んでいたかも。

だから、建さんプロデュース期・EMI時代のジュリーは、最も「ロック」という冠がしっくりくる時期だと言えるのです。
再発しなきゃ~!

| | コメント (27) | トラックバック (0)

2010年1月 7日 (木)

感謝と使命感を持って、行ってまいります

新カテゴリーです。
って、引っ越したから地名が変わっただけやん~(東京発が埼玉発になった)。
しかも、茶封筒ではなくてグレイの簡易書留封筒の速報ですけどね、今日は。

澤会さん、以前お問い合わせの際に伺った通り、昨日6日から「歌門来福」チケットの発送作業だったようでございます。
我が家には早速、本日到着~。
僕は生来ポジティブ全開のキャラ(マヤ占いでは黄色い戦士)でして、昨年末から事あるごとに

「自分が抽選に外れる気がしない!」

と根拠なく放言、あちらこちらでたしなめられておりましたが。

結果、見事に。

最終日を外しました~(泣)。


6日にお会いする予定だったみなさま・・・残念です。
申し訳ありません。

まぁそこで「その代わり、最終日しか参加できない方に僕の外れた分のチケットが回ってるんだ」と前向きに考えて、すぐにリセットできましたけどね。

まず何と言っても、初日には絶対行きたかったのです。
おかげさまで、そこは無事にクリアしました。

最終日のチケットは第二希望の2月5日に振り替えられたワケですが、「災い転じて」と言いますか、「悲劇と喜劇は裏表~♪」、と言いますか・・・運良く代替のその日に良席を頂くことができました。
仕事との折り合いが厳しいですが、スケジュールを調整し、なんとか参加できそうです。

ただね・・・。
やっぱり、抽選を外して1日も行けなくなった方や、YOKO君のように仕事で参加を断念せざるを得なかった方がたくさんいらしゃるかと思うと、手放しでは喜べません。
僕のような新規ファンがこのお正月、2日もジュリーLIVEを体験できる・・・感謝の気持ちを忘れてはいけない、と自分に言い聞かせているところです。

最低限僕にできる事は、全身全霊、渾身のLIVEレポート記事を書くこと。
拙ブログは有り難いことに、読者のみなさまに支えられ、特にLIVE開催期間中に多くのアクセスを頂くようになってきました。
今の僕には、そんな読者のみなさまのニーズに応える使命があると思っています。

感謝の思いと使命感を持って、「歌門来福」に参加させて頂きます!
今月末は、久しぶりにネタバレコーナーの更新だなぁ。

| | コメント (30) | トラックバック (0)

2010年1月 5日 (火)

沢田研二 「MAYBE TONIGHT」

from『G. S. I LOVE YOU』、1980

Gsiloveyou

1. HEY!MR.MONKEY
2. NOISE
3. 彼女はデリケート
4. 午前3時のエレベーター
5. MAYBE TONIGHT
6. CAFE ビアンカ
7. おまえがパラダイス
8. I'M IN BLUE
9. I'LL BE ON MY WAY
10. SHE SAID・・・・・・
11. THE VANITY FACTORY
12. G. S. I LOVE YOU

---------------------

いやぁみなさま、お正月早々シャララっとジュリーモード全開のご様子。レスは本日帰宅後にいたしますのでしばしお待ちを~。


というワケでですね。
僕は今日からバッタバッタとお仕事ですので、「ひるおび」で「渚でシャララ」を聴くのは昨日が最初で最後です。
かえってその方が、CDリリース時の楽しみが大きいんじゃないか、と自分を慰めている次第。

まぁ、テレビ観ながら瞬時のことでしたので、ハッキリ分析できたのは結局
♪渚でシャ~ララッ♪
から始まるサビ部だけでしたが。

先日「夕なぎ」を引き合いに出した僕の予想は見事にはずれました。
「渚でシャララ」・・・サビを一瞬吟味した限りでは、全体的に「Pleasure Pleasure」のような雰囲気ではないでしょうか。全部聴くまではわかりませんけどね。

サビのコード進行は、トニック→ドミナント→ドミナント→トニックという理屈で、非常にシンプルでしたが、実はこのパターン、ロック&ポップス界では意外や珍しい。
起伏が少ない進行なので、よほど良いメロディーや優れた楽曲コンセプトが無いと地味になってしまう・・・通常、もっと複雑な進行を付け足す場合が多いんですよ。
言わば、贅肉の無いむき出しのコード進行。

ですから、そこにキャッチーな歌詞と覚え易いメロディーが載った時の相互作用・破壊力もまたスゴイ。
「渚でシャララ」はそんな名曲の予感がします。
浮動票の取り込みも期待できそうですね。

さてそんな理由もあって、同コード進行を擁する楽曲は「渚でシャララ」のような大ヒット曲(と、今から決めつけてしまえば景気づくかな?)は少なく、「地味で目立たないけど実はすごくカッコイイ」というナンバーが多くなります。
ことに、大物の作曲家が敢えて地味なこの進行を採用した際には、「さすが!」と格の違いを示してくれるんですよね。
正にそんな楽曲が、ジュリーにもありますよ。
アルバム「G. S. I Love You」から。鈴木キサブロー御大作曲のブルース・ポップ・ロック・ナンバー。

「MAYBE TONIGHT」、伝授!

この曲はニ長調で、サビ(とAメロ)のコード進行は
D(レ・ファ#・ラ)→A(ミ・ラ・ド#)→A7(ミ・ソ・ラ・ド#)→D

調こそ「渚でシャララ」とは違いますが、トニックからすぐにドミナントへ移行し、粘ってまたトニックへ帰ってくる、という進行は理論的には同じです。
通常ロック&ポップス寄りの楽曲はサブ・ドミナントのコードを多用してポピュラリティーを持たせようと作られますので、トニックとドミナントだけで押す「MAYBE TONIGHT」パターンは、「渋い」進行と言えそうです。

加えてこの曲は、シャッフルリズム(3連符)を骨子としたブルースナンバーでもあります。
ビートルズ的な解釈による白っぽいブルース。それをクールにキメるのがカッコ良いとされ、「日本人がブルースをやってもオッケ~な形」として、当時は多くの邦楽アーティストがこのパターンのブルースナンバーに力を注ぎました。

和製ロックで最初にハッキリとこの形を主張したのは、佐野元春さんでした。ファーストアルバムに「Please Don't Tell Me A Lie」という曲が収録されています。そして、この曲をお手本にしたと思われるジュリー・ナンバーが、アルバム「ス・ト・リ・ッ・パ・-」収録の「DIRTY WORK」。
「MAYBE TONIGHT」はその中間にリリースされていますが、大御所鈴木キサブローさんが「お、和製ブルースロックが流行りはじめたな」と敏感に察知、ちょいと貫禄をしめしておいた・・・というのはうがった見方でしょうかねぇ。
その貫禄が、先に説明した渋いコード進行を敢えて採用する事で存分に示されたのですから。

BメロでA→Bm→G7→A7と進行、構成音を使って「ミ→ファ#→ソ→ラ」とサビ直前まで上昇していく浮遊メロ(しかもちょっと泣ける)を挿入するのがまたニクい。
同じキサブローさん作曲の「どうして朝」サビ直前のメロディーにも、同様の手法がありました。


ところで、アルバム「G. S. I Love You」はジュリーのキャリア中唯一の「ビートルズライクなアルバム」ですが、実はアレンジの仕かけについては、グラムロックのオマージュが多く散りばめられています。
「MAYBE TONIGHT」ではTレックスのようなギター、ベースのイコライジングが見られますね。ネオ・モッズばりの擬似ステレオ・ミックスも含めて、こういう仕かけは銀次兄さんの遊び心だと思われます。

ジュリーのヴォーカルは余裕あるロカビリーのスタイル。しゃっくりのようにひっくり返るファルセットを交えた、「不良少年」スタイルです。
つまり、次作「ス・ト・リ・ッ・パー」で更に深まるパブ・ロック的アプローチが、既にこの曲で聴くことができるのです。
周囲のサジェスチョンもあったかと思いますが、ヴォーカルについてはおそらくストレイ・キャッツの影響だったのではないでしょうか。

三浦徳子さんの詞は、どんなフレーズであっても前向きな感じで前にせり出してきますから、不良少年・ジュリーの面目躍如。キサブローさん、さすがです。「どうして朝」同様、これまたジュリーにピッタリの曲ですよね。

♪種をまいても すぐに花が咲くとは限らないのさ♪

と、1980年のジュリーが、この詞を前向きに、カッコよく歌います。
イタズラを企んでいる、不良少年のイノセンス。そういう歌唱表現は、ジュリーの得意技のひとつですね~。

当時すでに花盛りに見えたジュリーですが、本当の花はこれからだったりして。

さぁ2010年、どんな花が咲くのでしょうか?

まずは「渚でシャララ」で始動!
しっかりついてまいりましょう。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2010年1月 4日 (月)

いやぁイイ感じの曲じゃないですか~

聴きましたよ~。
ほんと、サワリだけでしたけど、「渚でシャララ」。
テーマは直球、音は進化形GSロック。

サビは覚え易く
♪なっぎさで、シャ~ララっ!♪
♪ミっファ#ラファ#、シ~シシっ♪
サビのコードはA→E→E7→A
イ長調。

う~ん今日の解析はここまで~。
フルで聴けないのが、せつないけれど。
せつない思いは砂にうずめて♪

重要なポイントは
・まずヴォーカルがスッと耳に入ってくる
・わかりやすいサビ(おそらくAメロ、Bメロはそのぶん凝ったメロディー)
・なつかし系に留まらない、GS進化形としての16分音符によるビート

みんなでヒットさせましょ~。
僕はもう、シングルもアルバムも予約しましたよ!

| | コメント (17) | トラックバック (0)

2010年1月 3日 (日)

沢田研二 「夕なぎ」

「JULIE SINGLE COLLECTION BOX ~Polydor Yeas」収録
original released on 1976 シングル「コバルトの季節の中で」B面

みなさまはもう御存知かと思いますが、ジュリーwithワイルドワンズの先行シングル「渚でシャララ」が、TV番組「ひるおび」(TBS系、11:00~13:53)エンディングテーマとして、1月4日より毎日お茶の間に流れます。
多くのジュリーファンが「どんな曲だろう?」と待ち焦がれていた中、思ったよりも随分早いお披露目になりましたね~。

みなさまそれぞれに、楽曲の雰囲気や音作りについて、予想をたてていらっしゃると思います。
で、僕の予想はと言いますとですね。

「渚でシャララ」というタイトルを聞いて、すぐに思い浮かべた曲があります。
作曲が加瀬さんだろうという勝手な思い込みから、スパ~ンと脳裏に降りてきた、70年代のジュリー・ナンバー。
「これと似た感じの曲じゃないのかなぁ」って。

シングル「コバルトの季節の中で」のB面です。
タイガースもそうですが、ジュリー・ソロのシングルもまた、B面は名曲の宝庫!このナンバーも、そんな名曲群のひとつと言えるでしょう。
「夕なぎ」、伝授!

僕は聴いた事がないのですが、ズバリ、ワイルドワンズのナンバーに「セシリア」というタイトル違いの曲があるそうですね。
加瀬さんの自信作だったのでしょうか。

「コバルトの季節の中で」とカップリングということは、アルバム「チャコールグレイの肖像」と同時期の録音作品と考えるのが自然なのでしょうが、この「夕なぎ」の演奏は少し当時のテンションとは異質のような気がします。
すごく余裕のある、楽しげな演奏なのですね。
「チャコールグレイの肖像」収録曲の、鬼気迫るピリピリしたレコーディングとは時期を異にしている可能性があると思っています。

同時期の録音であったとすれば、演奏メンバー自体が違うのかもしれませんし、ジュリー自身の作曲でなく、それまでジュリーナンバーの歴史をずっと作ってきた加瀬さんの作曲、という理由でメンバーが緊張から開放され、ほのぼのとした雰囲気が音に反映したのかもしれません。
もちろん、加瀬さんの作曲が湘南的というかその手のメロディーですから、「鬼気迫る」という演奏だとそぐわないのですが。

その穏やかなメロディーを全面に押し出しながらも、「夕なぎ」は一風変わった楽曲構成を擁しています。
一見歌メロとまったく関係ない進行の「裏テーマ」とも言うべきヴァースを作り、イントロ・間奏・エンディングに挟み込むように配置しているのです。
男声の渋いコーラスから入り、ベースが縦横無尽に動きまくる、あの部分ですね。

このヴァース、コード進行で表記すると、
Fmaj7→Cmaj7→Fmaj7→Cmaj7→E♭→F→G
この曲はハ長調ですので、ヴァースの最後のGコードがトニック(=C)へと向かうドミナントの役割を果たしています。
変わっているのはテンポが2分の1になったFmaj7→Cmaj7の箇所で、まぁこれは

♪夕なぎの浜をさざ波が
  また寄せて返していく♪

という山上路夫さんの歌詞からインスパイアされたアレンジでしょう。
maj7(メジャーセブン)というのはシャンソンなどで多く使用される「ぽよ~ん」とした独特のセンチメンタルな響きを持つ和音。
Fmaj7(ファ・ラ・ド・ミ)→Cmaj7(ド・ミ・ソ・シ)という音の構成になります。
そう、「夕なぎ」のコード進行アプローチは、「チャコールグレイの肖像」よりも「KENJI SAWADA」のイメージに近いのですね。

エンディングはドミナントへ向かう進行部分が無く、ひたすらFmaj7→Cmaj7の繰り返しでフェイドアウト。
曲の終わりに近づくに連れて、突如サックスやシンセサイザーが場違いなタイミングで絡んできたりするのが、いかにもB面っぽくて・・・僕、こういう突飛な仕掛けは大変好きですね~。

ところで、僕はソロデビュー後のジュリーのヴォーカルについて、時代ごとに大まかに区分をして、それぞれ突起した魅力を持っているように考えているのですが。
実はその時代区分の一番最初。

無防備なまでに無垢に伸び上がる高音

この魅力を持ったジュリーは、「夕なぎ」以降は現れないんです。
個人的な感想ですし、またそれ以降に別の素晴らしい魅力が出てくるワケですが、アルバム「JULIEⅡ」で「愛に死す」を聴いた瞬間、「歌の神」と僕の脳に植えつけられた無垢な高音の魅力は、「夕なぎ」の

♪失くしかけてた~あた~たかさ~♪

以降、封印されてしまったように思います。
ある意味ではジュリーがヴォーカリストとして大人になった、ということかもしれません。

しかし、もしジュリーのヴォーカルスタイルの変化が、時代による楽曲の変化に呼応しているものだとすれば。
そして、「渚でシャララ」という楽曲が70年代を彷彿するナンバーだとすれば。

あのヴォーカルスタイルが帰ってくるのかもしれない。
少し、そんな期待もしているところです。

| | コメント (37) | トラックバック (0)

2010年1月 1日 (金)

謹賀新年

Newyear2010

あけましておめでとうございます。
おめでたいジュリーショット&招福虎でございます。

2010年。寅年。
さしあたっての今年の目標は、できる限り多くのJ先輩・J同志のみなさまにご挨拶することです。

本年もどうぞよろしくお願い申しあげます!

| | コメント (19) | トラックバック (0)

« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »