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2009年10月22日 (木)

ザ・タイガース「青春」

from『自由と憧れと友情』、1970

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1. 出発のほかに何がある
2. 友情
3. 処女航海
4. もっと人生を
5. つみ木の城
6. 青春
7. 世界はまわる
8. 誰れかがいるはず
9. 脱走列車
10. 人は…
11. 海の広さを知った時
12. 誓いの明日

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「歌門来福」とツアータイトルも決まり、いよいよか~!
と、そんな感覚になってきますが、実際には、お正月コンサートまでまだ3ケ月もあるのですね。
プレプレツアーの3ケ月前にも、同じこと書いてたような気がする・・・。

 

今まで(とは言ってもドーム以降1年未満の期間ですが)、ジュリーLIVEへ向けての先輩方のご様子を、ブログを通じて、或いは実際にお話したりして感じていたのが、みなさま意外と初日にはこだわらず、ファイナルに重点を置いていらっしゃるなぁ、という印象。
ところが今回の「歌門来福」。僕の周りの先輩方に「初日、初日」と仰る方が多くて。
「奇跡元年」や「Pleasure Pleasure」の時はそんな空気は無かったように思うのに、何でだろう・・・と考えていて、ハタと気がつきました。

1・24!

 

これか~!この日付が重要なんだ、きっと!

 

ということで、本日の記事は、”タイガース=青春時代”なお姉さま方に捧げますよ~。
keikoj様からリクエストを頂いております。アルバム「自由と憧れと友情」から、ズバリ「青春」、伝授です!

 

「青春」という言葉を投げかけられた時・・・みなさまは、はっきりと自分の人生において時代の線引きがおありでしょうか?
僕は、あります。大学進学で上京し、環境が大きく変わったので。
鹿児島のド田舎から東京へ。凡人の僕にとって初めての大都会は、とにかくワケもわからず邁進するだけで、精一杯。

だから僕が、ゆるやかでありつつはかなく短い「青春」のイメージを問われたならば、それは上京前の故郷の風景・・・10代後半のイメージなんです。
「青春」にはっきりした時代の線引きを自分の中で持っている人は、このように何か特別な環境または心境の変化を体験しているのではないでしょうか。

そうしますと、タイガースをタイムリーで体験した先輩方にとって、1971年1月24日・・・この日が「青春」を区切った日であっても、おかしくない・・・そう思いました。


楽曲の「青春」では、それが淡い恋の思い出と重なり、まだ年を重ねてもいないのに振り返らずにはいられない・・・そんな心情を歌います。

イントロからバリバリのオーケストラ装飾。これがインタルードとなって、いざ本割に入ると、独りで振り返る、というイメージを狙ったのでしょうか、静かなピアノが。

ファ・ラ・ド→ファ・ラ・ド・ミ♭→ファ・シ♭・レ→ファ・シ♭・レ♭

シンプルな和音演奏に合わせて、ジュリーのヴォーカルが美しい~。
これがAメロですが、この時点でかなり深めのディレイ処理が施されています。
オケに加えて、女性コーラスが途中から加わり、う~ん、こりゃ、ジュリーのソロって趣きだなぁ。バンドの音が聴こえてこない・・・。
などと油断しておりましたら、サビ直前に独特のドラムス・フィルインがドカ~ン!と噛みこみます。

 

あぁ、このアレンジはビートルズの「ヘイ・ジュード」だ!

 

そうすると、アレンジの一番の肝は、最初に噛み込むドラムスに他なりません。
タイガースの演奏の中で、「あぁ、この人のプレイだ!」とハッキリ解るのは、ピーのドラムスなんですよね。

例えばギターについては、トッポとタロー、或いはシローの区別はなかなかつきにくく、そもそも曲によってはゲストプレイヤーが弾いてるんじゃないの?という音が(特にアルバム「自由と憧れと友情」には)結構ありますし、ベースにしても、タイガースすべての楽曲がサリーのプレイだ、と言い切る耳は、残念ながら僕にはありません。


しかし、ピーのドラムスは解る。
「あれっ、このドラムス誰?」って曲はほとんど無いのです。
独特の間を持つ、正統派マージービート。リンゴ・スター直系のスタイル。僕はこういうドラムスが大好きなのですね。
ちなみに、僕がタイガースの楽曲の中で一番「ドラムス最高!」とシビれるのは、「はだしで」。
次点が「怒りの鐘を鳴らせ」かなぁ。この2曲については、いずれ記事を書きたいと思っているところです。

 

この「青春」という楽曲、タイガースメンバーに限ってはほとんどジュリーとピーの二人舞台と化しておりますが、実は「ヘイ・ジュード」もそうなんですよ。あちらは、ポールとリンゴ。
アコギのミックスが極端に小さいのは、「ヘイ・ジュード」を意識しての作業だと思われます。

 

しかし、「ヘイ・ジュード」がエンディングに向かって怒涛ににぎやかになりフェイドアウトするのに対し、「青春」は安井かずみさんの歌詞構成を最大限に生かした起承転結があります。

 

♪ 振り返るにはまだ早すぎる
    初恋の愛とその涙 ♪

 

最後の最後まで「初恋」という言葉をとっておくのです。

1番において「青い風の物語」というフレーズで聴き手にイメージを投げかけ、2番で「いつの日にか泣いて読み返す♪」と表現される「日記」という言葉が重要な「承」の役目を果たしているのですね。
だから3番で「幸せとは何か」と問いかけた後の、最後の「初恋」というフレーズが生きる。
最初から「恋」と言ってしまっては、聴き手のイメージを束縛してしまいます。

 

タイムリーでタイガースを体験したお姉さま方にとって、「初恋」がタイガースそのものであったのかもしれません。それが「青春」であり、1月24日という日が、ひとつの結末であったのかもしれません。
しかし、ですよ。
ジュリーと同世代のアラ還の先輩方も、ジュリーのファンである限り、正に「振り返るにはまだ早すぎる」のです!

 

「若者は未来を夢に見、年老いた者は過去を夢見る」
という言葉がありますが、ジュリーは未だ現役。ジュリー自身が、まだ未来へ向けて夢を見ている限り、ファンである我々も、未来を夢に見続けられるのです。
ジュリーが「セルフカバーなんてやらん!」と言ったり、「いい曲ができた!」と語ってくれるのが、どれほど素晴らしいことか。それらの言葉は、ジュリーが今も常に未来へ向かっている事の証明ではないでしょうか。
ファンは、そんなジュリーに導かれています。

 

線引きは、一度払拭してみよう。
先輩方も、僕も、同志のみなさまも、今が「青春」!しつこく青春!
「歌門来福」というメッセージを受けた直後だからでしょうか、僕は今日「青春」という曲を聴き直して、そんな事を考えたのでした。

ってことは、中抜け組のみなさまは、突然の青春復活、ということになりますか。
ある意味うらやましい~。

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みなさまからのリクエスト伝授!」カテゴリの記事

コメント

DYさん、心機一転お邪魔します。「青春」は歌手沢田研二の面目躍如ですね。バンド作品だけど。実際のジュリーの青春は「A・C・B」で書いているとおり苦かった(沢田研二のジュリー以前の青春時代はその世代より、現代の若者に極めて近いのは個人的に興味深い)「青春」は、ある意味タイガースを象徴する作品かもしれません。
で、「自由と憧れと友情」の内容を知ってから、個人的な推理を巡らせたのですが、プロデュースのクレジットはザ・タイガースになっていますが、実質的なプロデュースをしたのはピーさんだったのではないでしょうか。だから「自由と憧れと友情」は単発CD化されないのでは?ピーさんがアマチュア時代にリーダーを務めていたこと、ロック史上稀にみる転身を遂げた知性を思い起こせば、あながち外れていないのでは…あくまでも個人的推理ですが。

投稿: 74年生まれ | 2009年10月23日 (金) 00時33分

この楽曲が記事なることを
秘かに心待ちにしてました。
じぶんなりの分析を以前から
持っていたからです。
お伝え済みですが,拙は
ZUZU信奉者です。何故かと
申しますと、安井かずみ女史
による数々の随筆や歌詞が,
自己確立の助けになったから
です,特に30歳を迎える頃。そして
『風にそよぐ葦』
『ひとりぼっちのバラード』
この二曲は過去コメントにも
記しましたように、「孤独を
生きる心情と決意」が込め
られており,そこに共感した
のです。且つ、彼女の詩には
「男は優しくてもよいのだ」
という価値観が有りますので
柔和で繊細な性格である拙に
とっては、肯定的メッセージ
に成り得る歌が,女史の作詞
によるものに多く見付けます
ジュリーへの提供作品のみならず,です。

さて、『♪青春』についての
拙なりの解釈です。この詞は
ザ・タイガースを愛していた
思春期の女子ファンを対象に
書きつつ、安井さんの高校生
時代を想って綴ったのだろう
と推察します…女学院卒業。

いっ般的に男子高校生って,
幸せとは何か、を話して
「いつの日かやってくる」
という結びにはしないし、
「日記を泣いて読みかえす」
なんて発想は無いでしょ。。

ZUZUさんからの贈りもの
思春期青春期をザタイガース
と共に過していたオンナコ達
への…。。

投稿: 鉛筆 | 2009年10月23日 (金) 02時12分

こんにちは dynamite様

「青春」伝授 ありがとうございます
とても ステキな解説に 感激しました。
この曲 最後にレコードを聴いたのはいつだっただろうか。 もう何十年も前のことだと思う。
dynamite様の記事を読みながら、一生懸命 ジュリーの声や演奏を思い出そうとしましたが、なかなか思い出せません。
それでも なにかの拍子に この歌が口をついて出てくることは 今までも しばしばありました。とても好きなうたです。CDで再販してくれないかな~

>1,24
今でも せつない感情なしでは 聞くことができない日付です。

タイガースファンになったことは 青春のというよりは人生の大きな一線です。
それまで 超まじめ少女だった私が、タイガース!ジュリー!と叫び、歌番組をせっせと見、ラジオを聴き、ビートルズだ ローリングストーンズだと 口走り、洋楽にまで興味を持ちだしたのです。それこそ 聞くもの、読むもの・・・・、生活が一変しました。

>突然の青春復活
そのとうりです。
昔と違い、ネットがあります。見ようと思えば、毎日だって、1日じゅうだって、ジュリーをみていられるのよ!!!(笑)
 かなり日常に支障をきたしています

41年の時を経て、また 青春はじめています。

投稿: keikoj | 2009年10月23日 (金) 14時48分

みなさま~。
今回も早速のコメント、どうもありがとうございます!

実はちょっと風邪気味で…昨日まではメチャクチャ元気だったのですが。
週末、ゆっくり過ごそうと思います。

74年生まれ様

仰るように、瞳さんは相当プロデュース能力がある方のように僕も思います。
プロデューサーというのはまず、アーティストやメンバーからの人望、これが第一で、次に必要なのが客観性と意思の強さ。
当時のタイガースのメンバーですと、瞳さんにはその適性があったと思われますよね。

ただ、「自由と憧れと友情」は、ドラムスの後録りナンバーが多いんですよ。
オケ或いはピアノが先行で録音されて、その上から「この部分にドラムスを足して」という指示の元で瞳さんがプレイしている、という状況ですね。
この「青春」もそういったナンバーのひとつです。

訂正部分、直しておきますね。
わざわざありがとうございました~。

鉛筆様

素晴らしい考察です!
おそらく鉛筆様の仰る通りですね。

考えてみますとこの頃(タイガース後期からジュリーのソロ初期)の安井さんの詞って、すべて安井さん自身の視点によるものなんですよね。
つまり、女性視点。
それを、いとも簡単に消化し、自分のものにしてしまうジュリーのヴォーカルは、改めてスゴイと思えますよね。

ジュリーのソロだと、シングルB面にそんなタイプの楽曲が多いですね。
きっと安井さんは日記を書いていて、そこから詞のインスピレーションを得ていたのでしょうね…。

keikoj様

keikoj様の思い出の1曲、僭越ながら今回書かせて頂きました。どうもありがとうございます!

「青春」以上の「人生」の区切りですか。
僕は当時幼稚園児ですから当然知らないのですが、この頃は男子よりも女子の方が洋楽に詳しかったであろう事は、想像できますよ~。
それこそがイイ時代。音楽業界にとってもそれが理想なのです。
やはり、購買層を女性がリードする状態が、ロックにとって大きな力となるのですよ。これは自分が今の仕事に就いて改めて確信した事でもあります。

これからまだまだ、keikoj様の青春は続きますよ!
ジュリーを振り返るにはまだ早い!
そしてきっと、タイガースも。

投稿: DYNAMITE | 2009年10月23日 (金) 21時43分

DY様 嬉しい…。朝からウルッとしました。ピーのことを、
何の遠慮もわだかまりもなく話せる日が本当に来たんだなぁと実感して。

別の世界での彼の活躍を心ひそかに誇らしく思いつつ、いつしか、
ピーのことは触れてはいけない悲しい思い出のようになっていました。

それが、Long-Good-by、ドームコンサート、4人の再会 と劇的な展開。
同時に始まったジュリーブログ巡りが、DY様始め
たくさんの素敵な管理人様達のお蔭で、今や私の生活の大きな楽しみです。
おっしゃる通り、タイガースを思った気持ちは”恋”に近いのかも知れませんね。
だから、今でも涙が出る。

ピーのドラム=1・24解散コンサートの「ラブ・ラブ・ラブ」でしたが、
これからはこちらも明るく、もっと彼の演奏に注目して聞いて行きたいと
思います。 あ~幸せ。

深まる秋と共に、ドーム記念日が近づいてきます。
まさか、ジュリーに二度堕ちするとは夢にも思っていませんでしたが、
もう離れないぞと決意してる私にとって、
DY様が、この面白くて為になるブログを、ボチボチとで結構ですから
御自分のペースで、楽しんで続けていってくだされば、本当~に有難い。
御自作曲(きれいで優しくて好き)のご紹介も待ってますよ。

ご推薦を確かめたくて「JULIE・JULIE Ⅱ」(LP盤、処分してしまった…)
「DVD・愛まで待てない」ポチリました。 お風邪、お大事に。

投稿: 真樹 | 2009年10月23日 (金) 23時57分

真樹様、いらっしゃいませ~。

10時間くらい寝て、風邪もだいぶ楽になりました。
ありがとうございます~。

そうでしたか…やはりタイムリーのファンの方々には複雑な思いが…。
そんな方々が昨年のNHK「Songs」→ジュリー祭り、と観てしまったら…そりゃ青春復活ですよねぇ。

「JULIE」「JULIEⅡ」の2枚は、LPを最後にお聴きになってからどのくらい経つのでしょう?
久しぶりに聴くと泣いちゃいますよ~、きっと。

本当に、もうすぐドーム記念日が近づいてきますね。
僕は新規ファンですから、ジュリー関連で大切な記念日と言うと、12・3が最初です。
これからどんどん記念日が増えていくといいなぁ。

真樹様、お正月には再会できるのでしょうか?
僕は、真樹様のお顔を覚えておりますよ~。
大宮でご挨拶させて頂き、大きな力を頂いたこと、今でも鮮明に思い出せます!

投稿: DYNAMITE | 2009年10月24日 (土) 12時23分

DY様 
>覚えておりますよ~。
ハハハ(*´v゚*)ゞ、まん丸顔を
覚えていて下さって光栄です。
一応、初日とラストを申し込んだのですが…。
あたる気がしない。
何となく、半ばヤケで書いた第2希望の大阪になりそう…。
遠征費用貯めなきゃ…ぶつぶつ

ん!?今から弱気でどうする!

というわけで、是非、お正月、渋谷でまたお会いしましょう!!

投稿: 真樹 | 2009年10月26日 (月) 21時05分

真樹様~。

初日とファイナルですか!
ドンピシャ、同じ日程でございます。
って、そういう方々が多いから抽選なのでしょうが。

女性のみなさまは、万が一外れたときのガッカリ感を緩和するために、そういう予測も敢えてたてていらっしゃるようですね。
最近、「あぁ、そういう考え方なんだなぁ」と分かってまいりました。

男はその点、能天気ですよ~。
ハズす気がまったくしません!
ジュリーがプレプレツアー何箇所かのMCで
「死ぬ気がしません!」
って断言したのも、男だなぁ~と思いました。
まぁ、ジュリーと僕とでは天運が違うでしょうけど(汗)。
実際、ハズれる気がいたしません。

是非、真樹様との再会を果たしたいと思っております~。

投稿: DYNAMITE | 2009年10月26日 (月) 22時15分

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