沢田研二 「愛しい勇気」
from『愛まで待てない』、1996
1. 愛しい勇気
2. 愛まで待てない
3. 強いHEART
4. 恋して破れて美しく
5. 嘆きの天使
6. キスまでが遠い
7. MOON NOUVEAU
8. 子猫ちゃん
9. 30th Anniversary Club Soda
10. いつか君は
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振り返ってみますと、多くの先輩方の足元には及ばないまでも、東京ドーム・ジュリー祭り以降、拙ブログも多くの楽曲について記事を書いてまいりました。
気がつけば、これまでジュリー関連だけで50曲以上のお題をご紹介させて頂いております。それでも、まだまだ先は長いんですけど。
その中で、再三「ジュリーナンバー・女性作詞家陣にハズレなし!」という確信のもと、安井かずみさん、覚和歌子さん、岡田冨美子さん、GRACE姉さんなどの素晴らしい詞についても多くの言葉を費やしてまいりましたが、まだ記事に書けていない、大好きな女流作詞家さんがお一人残っております。
朝水彼方さんです。
彼女のジュリーナンバーにおける代表作は、何といってもまず「そのキスが欲しい」ということになるでしょうね。
しかし、僕が初めて朝水さんの詞に強く惹かれたのは、同じ「Really Love Ya!」収録の「夜明けに溶けても」という曲でした。
「夜明けに溶けても」については詞のみならず、曲・演奏・ヴォーカルすべてがとてつもなく好きで、いつか必ず記事を書きますので、この曲についての詳しい考察は次の機会に譲るとしまして。
今日は朝水さんの作詞作品の中でもう1曲、やはり
「詞も、曲も、演奏も、ヴォーカルも大好き!」
なナンバー、気持ちが優しく奮い立つ名曲・「愛しい勇気」を採り上げようと思います。
アルバム「愛まで待てない」より、伝授!
朝水さんの詞はどの楽曲も「優しさ」というやわらかいテーマが基本にありながら、必ずその中に力強い意思を持つ主人公が存在しています。その主人公の気持ちの躍動が感じられる詞なのです。
まさに、ジュリーにぴったりの作詞家さんだと思われませんか?
この曲では、ズバリ「愛の真髄」という直球勝負を挑んだ朝水さん。
愛することの「愚かさ」「危うさ」・・・乗り越えたその先に、バカでかいスケールの「何か」があるらしいよ、待ちかまえてるらしいよ!
という、これは下手な作詞家さんが手を出したら逆にトホホな楽曲になってしまいそうですが、「愛しい勇気」のこの躍動感はどうでしょう!
それ故、「愛」というテーマを、他のテーマに置き換えても成立する詞とも言えます。
大げさに言えば、「生きる」というテーマに置き換えても良いですし、細かい日常の営みに置き換えても良い。
例えば、「ジュリーファンである」という事だって、そうでしょう。
僕はこうしてブログを続けていますが、時にはね、「自分の愚かさに立ち直れ」なかったり、「危うくそれだけに満たされて」いったりするワケですよ。
些細な障壁に出くわし、心が折れそうになることもありました。そんな時、「どこかにあるらしい」「その後くるらしい」・・・「それ」に向かってもう一度走り出せるのは、ジュリーが好きだから、です!
先輩のジュリーファンのみなさま、ジュリー関連のブログをやっていらっしゃるみなさまはとうにお気づきかもしれませんけど、ちょっと立ち止まってしまった時には、「愛しい勇気」!この朝永さんの詞を聴く・・・それが、想像以上のパワーを自分に与えてくれるんですよね。
また、詞だけじゃないんだなぁ、この曲がスゴイのは。
作曲は、先日「さよならを待たせて」「Whisper」の記事で触れた、八島順一さん。本当に詞と一体化した、前向きな作品です。パワフルな中に、極上のメロディーが紛れこんでいるのが八島さんの持ち味ですね。
♪ どこかにあるらしい それは ♪
「あ~るら~しい♪」と歌うんですけど、この部分など、「こりゃ、ジュリーが歌ってくれたらシビれるぞ~!」と、八島さん御本人が大盛り上がりだったのでは・・・と想像してしまいます。
そして、僕が一番気に入っている部分は。
これは、他のみなさまも「そうそう!」と仰ってくださるのではないか、と秘かに期待しているんですけど。
この曲、最後にサビを2回繰り返すじゃないですか。
その繋ぎ目です!
"woh"が1個少ない!
これ!
え、マニアック過ぎる?やっぱり・・・(泣)。
この曲のサビは基本、「woh, woh, woh, woh~」と4回目の"woh~"を伸ばして間奏へと連動する作りなのですが、最後はサビを2回繰り返すために、「woh, woh,woh」と3回で止めて、間髪入れずに「果てし~なくて~♪」と次のサビメロへとなだれこむのです。
初めて「愛しい勇気」を聴いた時、この瞬間のジュリーのヴォーカルには背中に電気が走りまくりでした。
それは、八島さんの作曲時のアイデアが最も生かされる形で、詞・ヴォーカルが一体化する瞬間でもあったのですね。
ジュリーの曲で、「落ち込んでいる時に元気が出る曲は?」と聞かれたら、僕は真っ先にこの「愛しい勇気」を挙げます。
”愛しい”「勇気」とは何か?
それは、この曲を聴いたそれぞれの人が、それぞれの答えを持てば良いのでしょう。
「他人(ひと)には見えなくてもいい」んですよね。
しっかりと、自分の中に持ってさえいれば、ね!
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コメント
おおっ!私の好きな作品Best5に入る曲!私の不動のオープニング曲No.1!…熱くなってしまいました。朝永さんの歌詞も良いのですが、その詞を心の底から信じて歌うジュリーのボーカルがいい!ジュリーが朝永さんの歌詞を自分の言葉として歌うから、聴き手の心を揺さぶるのです。「woh, woh, woh」のところはその意志の強さの表れですね。
で、八島順一さんは、こういう真っすぐな歌詞を生かす曲作りは、得意技なんですよ。もちろん内容は少し違いますが、所属していたバンドで数々のメッセージを伝えてきました。だから、この曲は、これぞ八島順一!という曲です。だから同世代の人たちにもぜひ聞いて欲しい作品です。
熱くなりすぎてたら、すいません
投稿: 74年生まれ | 2009年10月20日 (火) 00時35分
★アルバムタイトルを
『愛しい勇気』
にしてくれれればよかった
なぁ…と思いませんか?
*調布グリーンホールでのコンサートを当時体験したんです。〔NHKふたりのビッグショー出演不成立をスポーツ紙が報道〕直後だったんで、舞台のジュリーの憤慨MCは長いし,その日の氏は元気ながらもマスメディアやNHKプロデューサーへの憤りやらが積もった気分を、聴衆に投げつける(=共感を求める)ような,感情が先走った(=気持に正直な)ライヴだったので、こちらに八つ当たりされても困るなぁ,その話は知らずに音楽を聴きに来たんだし,と感じて楽しくなかった。僕と同じような印象を抱いてた女性ファンも見受けられた。記憶に残ってるコンサートです。ジュリーの気分屋(=感情に素直)加減に直面させられた、
はた迷惑(ある意味で貴重)な体験でした。。
投稿: 鉛筆 | 2009年10月20日 (火) 04時00分
拙コメント者は現在、当時のジュリーと同じ48歳だ。
年男+寄せ来るイソジ,に
在るがゆえに、あの頃の氏の気概が,いま分かる…。
現役でいることが大切だ・
若い後輩からはオトウサン的存在に見られたくない・まだ自らの発想と実行で進みたい、etc…。
セルフプロデュースアルバムだからジュリーの意向が各曲に色付けされている。
拙も『愛しい勇気』が好きです。メロディーも演奏も「イケてる。カッコイイ。」
作詞者・作曲者が、このアルバムには幾つかの組合わせが有りますね。詩づくりにおいて深みや技術を持つ覚さんには敬服します。
『愛まで待てない』には、
アイ+ナイ・マデ+マテ,の押韻。ジュリーの好みを感じます。先行シングルですし。
拙個人的には、吉田光さんの作曲ものは全て,体質に合わないんですょ。
八島さん作品は受けいれられます。
話を戻しまして、48歳の今の気分で申せば…
〔愛まで待てない〕ではなく
〔愛しい勇気〕が,ぴったり、なんですよね。。
センスは人それぞれ,ですょ
もちろん。
♪
投稿: 鉛筆 | 2009年10月20日 (火) 16時53分
みなさま~。
今回も早速のコメント、ありがとうございます!
☆
74年生まれ様
わかります!
僕もこの曲のジュリーのヴォーカルは、詞曲の良さをすべて飲み込むほどの素晴らしいテイクだと思いますよ。
そして、僕も自分で編集CDを作る際に、「愛しい勇気」を1発目に収録することが多いんですよ。
メドレー部でブツッと切れるのが気にならないよう、MTR(録音機材です)でイイ感じにフェイドアウトさせたものをわざわざ作り、編集しております~。
☆
鉛筆様
ジュリーはご機嫌ナナメLIVEのお話をよく聞きますねぇ。
去年の小平とか。
「愛まで待てない」は、おそらくヘドバン系のステージを想定してアルバムタイトルにしているのではないでしょうか?
「活発に走り回る」というツアーコンセプトがあったように感じます。
DVD「愛まで待てない」は、セットリストの面からもおススメですよ~。
そういえば、鉛筆様が飾っておられた加藤さんのLP、僕のバンドの友人が(最近ブログを始めた彼です)、「あのLPはいいジャケットだ」と、鉛筆様のセンスに同意しておりました~。
投稿: DYNAMITE | 2009年10月20日 (火) 23時27分
ウェブマスター様としては
[毎回の記事に挙げる各
お題の曲と収録アルバム]
への[コメント数]と
[その音楽作品に対する
人気度]は比例するとお考えですか?。
それともコンサートツアー中
の公演日の記事だから反応が
多い等の結果に左右されたり
する,とお感じですか?。
『♪UFO』にはコメントが20を越えてるでしょ
でも、この曲には意見が少ないですよね。
なんでだろうなんでだろう
と思ったもんですから…
投稿: 鉛筆 | 2009年10月22日 (木) 23時17分
鉛筆様、いらっしゃいませ~。
たぶん、「コメント数」と「人気度」は関係ないのではないかと…。
僕が楽しいのは、「この曲好き!」といつもより高いテンションで書き込んでくださる方がいらっしゃった時ですね。
「U・F・O」は意外やそんな方々がたくさんいらして、とても嬉しかったですね~。
ただ、アクセス数については、ハッキリと「ツアー開催期間中」を反映します。
特に、ライブレポートを書いた次の日は明らかに常連さん以外の人がアクセスして下さっているようです。
「Pleasure Pleasure」の最終週は特にスゴかったですよ~。
今は、若干沈静化しております。
そうそう、ちょうどそのスゴい時期に、鉛筆様がなかなか足跡を残してくださらなかったので、心配していたのですよ~。
「飽きられちゃったのかなぁ」とか思っておりましたです、ハイ。
投稿: DYNAMITE | 2009年10月23日 (金) 00時12分
はじめまして。いつも、痺れながら(古い!)嫉妬しながら嬉々として読んでおります。ネタバレになります。お困りなら削除してください。この歌、歌門来福ツアーで、聞いてきました。が、ガン見しつつ、シレーッと聴いていたもので、心根入れ替えて、来週お復習してまいります。いつも、幸せにしていただきありがとうございます。
投稿: コツコツ | 2010年1月30日 (土) 11時12分
コツコツ様
ようこそいらっしゃいました~。
レスが遅くなり申し訳ありません。
> いつも、幸せにしていただきありがとうございます
そんな…滅相もございません。ありがとうございます。信じがたいくらいの嬉しいお言葉、恐縮してしまいます…。
僕としては、自分が好きなジュリーナンバーについて長々と語っているだけの事なのですが、多くの先輩方に支えられてここまで続けてまいりました。
僕もコツコツ様と同じく、来週の「愛しい勇気」がとても楽しみです。
ネタバレは1曲くらいならきっと許していただけますよ。
これからもどうぞよろしくお願い申しあげます!
投稿: DYNAMITE | 2010年1月31日 (日) 18時17分
2/3噛みしめて聞いてまいりました。ウルっときて、気がつけばマニアックな継ぎ目には気が付かず、次回持ち越しになりました。懐かしい曲やイントロ?で振り回された最高のライヴでした。懐かしい曲を聞くと今のジュリーで「船はインドへ」や「夜の河を…」を聞きたくなりますよ。又、幸せにしてくださいね。楽しみにしております。
投稿: コツコツ | 2010年2月 6日 (土) 16時09分
コツコツ様
僕は幸運にも、初日・昨日に続いてファイナルに参加する事ができました。
そして、ファイナルでの「愛しい勇気」の客席の一体化はすさまじいものがありました。
手拍子のパターンがワンランク上がったのです。
詳しくはレポにて。
これからもどうぞよろしくお願い申しあげます!
投稿: DYNAMITE | 2010年2月 6日 (土) 19時17分
瀬戸口様
ファイナルレポありがとうございます。
5日に2010年代のジュリーを見て、よしっ!と思っていたら、
当然のこととは言え、6日凄かったのですね。
チケットが舞い降りたのは、その興奮をわたしたちに伝える使命があったのですわ。
♪アリフ~砂漠、♪ロータスの陶酔は特別でしたが「愛おしい勇気」に意外なほど心が高ぶって、後を引きました。
これは伝授にあったはずだとやって来たのです。
伝授されました。
おっしゃるとおりです(エラソー)
詞、曲、ヴォーカルの一体感。
美しい疾走感。
14年前、ジュリー48歳。
当時としてもこれをリアルに歌えるのは、かれだけだったでしょう。
それを61歳の今、観客を駆り立ててしまうほどリアルに歌う凄さ。
「どこかにあるらしい」「そのあと来るらしい」と。
「歌の力」と同時に「今を生きる力」ですね。
年齢を超えることの力強さ、アンエイジングなどというしゃらくさい(失礼)のうそくささを思い知らせる力です。
こじつけみたいですが、
誰もが無謀と思った2ドーム公演を敢行、大成功させた「愛おしい勇気」の「そのあと来るらしい」の「それ」をジュリーは実感しているのではと思ってしまいます。
レポ完成、お待ちしています。
瀬戸口様、
こんなふうにして、ずぶずぶとジュリーの罠にはまって行くのですわ(笑)
投稿: momo | 2010年2月 7日 (日) 23時56分
momo様
ありがとうございます!
ファイナルのこの曲は、そりゃもう・・・。
何と言うのでしょう。あの突発的な会場の雰囲気は…。
レポでもうまく説明できませんでしたが、とにかく感動しました。
> こんなふうにして、ずぶずぶとジュリーの罠にはまって行くのですわ
自覚しておりま~す。
罠にハマる自分が誇らしいです!
投稿: DYNAMITE | 2010年2月 8日 (月) 21時42分