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2009年9月 5日 (土)

沢田研二 「コバルトの季節の中で」

from『チャコールグレイの肖像』、1976

Tyakoruglay

1. ジョセフィーヌのために
2. 夜の河を渡る前に
3. 何を失くしてもかまわない
4. コバルトの季節の中で
5. 桃いろの旅行者
6. 片腕の賭博師
7. ヘヴィーだね
8. ロ・メロメロ
9. 影絵
10. あのままだよ

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この数ヶ月、本当に色々なジュリーファンの方々と出会い、LIVE会場でお話させて頂いたり、ブログにてコメントを頂いたりする中で、数多くの方々から
「ブログの文章にジュリーへの愛情を感じる」
と、過分なお言葉を頂いたりしています。

実はこれは僕にとって、すごく意外な、あまりに畏れ多い評価なのです。
自分としては、いわゆる「愛情」という点について、ジュリーファンの先輩方には全く太刀打ちできない、かなわない、という思いがあるんですよ。
僕のジュリーへの愛情の中には、「LOVE」という観念が無いのです。「リスペクト」や「憧れ」は充満しているんですけど。
特に女性の先輩方が持つ「LOVE」パワーには、とても勝てる気がいたしません。

まぁそれは、僕が男性である以上当然、と思っていましたが、どうも世間的にはそうでもないらしい・・・。
普通に男性がジュリーに「LOVE」な感情を持つ可能性を考えているファンの方々が多いんですね。
実際にはどうだか分からないですけど、久世光彦さんなどは、そんな観点からファンの間で語られる事が多い、という状況を僕はつい最近まで知らなかったのです。

今日は、その久世さんが”小谷夏”名義で作詞、ジュリーが作曲した超メジャーなナンバーを。
実は昨年末に、東京ドーム参戦の相方であるYOKO君からリクエストされていたのですが、ずっと放置していた曲。
さらに言えば、有名な曲であるにも関わらず、アルバムで聴くまではほとんどメロすら覚えていなかった、という・・・。

先日、幸せソナタ様から新たにリクエストを頂きましたので、このナンバーにぴったりの秋風の中(東京は明日からまた暑いらしいですが)、お題に採り上げてみたいと思います。
アルバム「チャコール・グレイの肖像」4曲目、無論ジュリー祭りでも歌われ、多くの観客を感動させました。
アルバムからは唯一のシングル曲でもある「コバルトの季節の中で」、僭越ながら伝授!

最初に断っておかなければならないのですが、僕は長い間、久世光彦さんをかろうじて名前だけ知っているという状態でした。
「悪魔のようなあいつ」も未だにキチンと観る事ができていません。
ですから、ジュリーと久世さんの関係(いや、いわゆる普通に言うトコロの「関係」よ)についても認識が甘い。
トンチンカンな事を書いていたら、遠慮なく叱咤してくださいね。

まずは、初めてアルバム「チャコール・グレイの肖像」を聴いた時、純粋に「コバルトの季節の中で」という楽曲に抱いた印象から語るのが、僕にとっては一番自然かなぁ。

このアルバム、1曲目が「ジョセフィーヌのために」じゃないですか。
僕は基本、初めての音源は歌詞カードを熟読しながら聴きます。当然、作曲クレジットや演奏者をチェックしながら。

作詞・小谷夏?知らんなぁ・・・。

ヒヨッコの僕は、まずそう思ったワケですね。
「ジョセフィーヌのために」の退廃・耽美紙一重の詞の世界は一発で気に入りました。そしてヒヨッコは、こうも思ったのです。

やはり、ジュリーナンバーの女性作詞陣にハズレなし!

そう、僕は完全に”小谷夏”という作詞家を、女性と勘違いしてしまいました。
いやね、みなさまも一度知識をリセットして、「ジョセフィーヌ~」の歌詞だけ読み返してみて下さいよ。
この視点が男性とはとても思えない。と言うより、歌詞中の「あなた」が男性にしか見えないから、当然それを見つめている主人公は女性である、と認識するしかなかったんです。

アルバムは進んで、いよいよ「コバルトの季節の中で」。
へぇ、この曲も小谷さんって女の人が書いてるのか・・・と思いながら、噛みしめるように聴きました。大名曲だ・・・ジュリーの曲もイイけど、歌詞最高!

で、ここでも歌詞中の「あなた」を男性=ジュリーと認識するに至ったワケですね。
それにしても

♪だから今朝は何も話しかけません♪

このフレーズなんて特に、相手(あなた)を全肯定している究極の愛情表現だと思うんですよ。
「あなた」の行動はすべて肯定する、受け入れる、それ以上は望まない・・・そんな視点です。ただ、見つめさせていてほしい、という。

この詞は、”小谷さん”からジュリーへのラブレターなんだろうなぁ、と思いました。
髪型を変えたのも、風の日が嫌いなのも、ジュリーの事なんじゃないか・・・。

♪あなたを見失いたくないのです♪

いい詞だなぁ・・・。
ラブレター出した相手が、それに曲つけて、しかも歌ってくれてるんだから、幸せな作詞家さんだよなぁ、と。

で、後日YOKO君が小谷夏=久世さんについて教えてくれました。

へぇ~。
男だったのか!
あんな視点で詞が書けるなんて、どんだけ才能ある人なんだよ!

と、その時点ではまぁそのくらいの感想だったんですけど、ドーム後に色々と調べていくうちに、どうも久世さんとジュリーの間に妖美な空気が漂っている(らしい)事が分かってきました。そうしますと

「コバルト~」の詞は才気あふれる男性(久世さん)が敢えて女性視点を狙って書いた作品ではなくて、実は本気も本気、大本気なんじゃないか?

という結論に、勝手に至ってしまいました。
自分の無知から二転三転した末での都合の良い解釈ではありますが、そんなに的はずれな考察でもないんじゃないか、と僕は思っているのですが。どうなんでしょうかねぇ。

もちろん比較するのも畏れ多い事ですが、僕が久世さんのような愛情をジュリーに持てるかと言ったら、それは無理。
人格、才能の桁外れな差・・・それ以上に、もっと何か深いところで、僕は劣っているのだと思えてきます。

ちょっとヤバい話になってきましたので、楽曲考察を普通の方向に転換(おいおい)。
「コバルトの季節の中で」は、メロディーとコード進行も実に華麗で、作曲家・ジュリーの実力を、初めてお堅い評論家の方々にも知らしめたナンバーであった事が想像できます。
この曲以前のジュリーの作るコード進行は、良くも悪くも、洋楽を手本に色々な工夫を凝らしたものでしたが、「コバルト~」で言うと

♪足早に 過ぎていく この秋の中で♪

の部分。
オリジナルキーは変ホ長調ですが、便宜上ハ長調に移調して表記しますと

(最初にCを鳴らしてから歌ってね)
F(ファ・ラ・ド)→B(シ・レ#・ファ#)→C(ド・ミ・ソ)→D(レ・ファ#・ラ)

この進行は世界初、ジュリー・オリジナルでしょう。
サブ・ドミナントのFから、Bなんていうトコへ一見素っ頓狂な移行をしたかと思うと、さらにトニックのCから1音上がってDへの浮遊。この見たこともない和音展開がこれほど美しいとは!
これは、ある程度ギターやピアノの弾き語り経験がある人なら「うぉ~!」と唸るに違いない、驚愕のコード進行なんですよ~。

さて最後に蛇足ですが。

女性だと思ってたら実は男性だった!と世間が徐々に認識し始めている人物と言えば、YOKO君もその一人ですね(どれだけ狭い世間だよ)。
「ようこ君」、ではなく「よこ君」です。

色んな人から
「え~と・・・YOKO君とはどういう関係?」
と聞かれる・・・(泣)。

「そういう面白そうな話は、拾っとけ!」
と、肝の据わったYOKO君は言ってますけどね。

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みなさまからのリクエスト伝授!」カテゴリの記事

コメント

この作品は、ジュリーがbullettrainで暴言吐いた男と揉めて、自宅謹慎中に造った作品なんですよ。だから、他の作品とは違う色あいの歌詞になったのかもしれませんね。
この作品は、ジュリーのボーカルがものすごくハマってますね!特にこれはカバーできないだろう!という箇所をあげると、見失い~たく~と歌い上げながら、ない~の~です~、とサラッと終わるところがgood!good

投稿: 74年生まれ | 2009年9月 5日 (土) 13時21分

長い間「ジュリーの歌の中でいちばん好きな曲」でした
今は他にも好きな曲があるので迷うところですが、常にベスト3には入ります

リリース時には小谷夏=久世さんとはしりませんでしたが
なんの疑いもなく男性作詞家が女性のことを歌っているのだと思いましたわ~
久世さんはジュリーのことを「女優」って言ってた人ですもんね

この曲は加瀬さんや大野さんがイントロを手直ししてくれて
3人の合作だとラジオで言ってました

この季節になると、つい口ずさんでしまいます

投稿: メイ | 2009年9月 5日 (土) 20時43分

みなさま~!

やはり、と言うか、僕の浅はかな認識に光明を射してくださる貴重なコメント、ありがとうございます!

本当に、このブログって実は逆伝授の場なんですよね、僕にとっては。

74年生まれ様

おぉっ、言われてみればそんな時期ですね、「チャコール」って。
なるほど、それで全曲ジュリー作曲…いや深い!考えもしませんでした~。

謹慎中にジュリーは曲作りという作業と向き合っていたという事になりますか!

当時から、時間のほとんどを歌に関する仕事に注ぎ込んでいたんですね、ジュリー。

納得!

メイ様

ずっとジュリーと歩んでこられたメイ様が「長い間一番好きだった」とのこと。
やはりこの曲は、ファンにとって特別な魅力を持っているようですね。

女性ファンの方々はねぇ…。
ジュリーが「あなた」と歌えばそれは女性=自分…なのでしょうね。

イントロは加瀬さんと大野さんが絡んでいましたか!
イントロには1ケ所、素人離れした和音が出てきますから、おそらくその部分でしょうね。
言われてみますと「青い恋人たち」に、似た進行がありますよ~。

納得!

投稿: DYNAMITE | 2009年9月 6日 (日) 01時11分

ダイナマイトさん ありがとうございました。(週末は、私事の事情で仕事にでかけていて、今帰ってきてプログを楽しみにあけてみたら、「コバルトの・」が分析されていてうれしかったのです。)9月に入り、秋風が気にかかるこの頃、グッドタイミングな選曲、以前から分析を希望されていたyoko君さんにもありがとうございます。

 そうなんですね。小谷夏さんが久世さんだったのですね。そうなると、すべての符号がぴたりと一致します。(亡くなった栗本薫さんの書いた小説。・・・)でも、そんなことうわさもあるかもしれないけど、超越して、本当は、謹慎事件をおこすぐらい男っぽいジュリーさんは、やっぱり全部含めて好きなんです。♪足早に♪の進行が世界初ジュリーオリジナルなんですね。詞もメロディーも「華麗」う~ん素敵な分析です。そして、ジュリーの歌声の高音が伸びやかで、つやがあって、甘くて、哀愁があって・・・よい歌です。
74年生まれ様、そうなんですね。♪あなた~を~見失いたく♪歌い上げるところいいですね。メイ様、ありがとう。私的ジュリー好き歌no5にはいります。
ほんとうにみなさんありがとう。

投稿: 幸せソナタ | 2009年9月 6日 (日) 13時39分

コバルトは高校のスキー教室のバスの中で歌ったな~bus
コードの長ーいあのガーガーマイクです。
そのころからずっと大好きな歌ですnote
伝授ありがとうございますwink

投稿: エリザベス | 2009年9月 6日 (日) 20時01分

みなさま、今日もコメントありがとうございます!

しみじみと、先輩方にとっては思い入れの深い曲なんだなぁと思います。
それは先輩のみなさまが、当時色々あったジュリーと同時代を過ごされてきた、という要素が大きいことも今回分かってまいりました。

こちらこそ、勉強させて頂いております。
ありがとうございます。

幸せソナタ様

この度は本当にご丁寧に、ありがとうございます!
何も知らない新規ジュリーファンが歩いてきたこの半年ちょっとの期間を応援して頂けていたことは、何よりの励みですよ~。

仰る通り、ジュリーって、どうしようもなく「男性」なんだと思います。
当時から、普通に女の子が好きで、仲間とつるんでガチャガチャやるのが好きで…という。

それを解っていて敢えて久世さんはジュリーに入れ込んだし、栗本さんはああいう物語を書いたのではないでしょうか。

それにしても深い、ジュリー道。
今後も頑張ってまいります!

エリザベス様

バスの中で!
それは回し歌いってヤツですね。伴奏ナシの。
それは僕の高校時代にもありましたね。

バスで「麗人」を歌ってた女子がクラスにいた事を思い出しました~。
今まですっかり忘れてましたが、「あの子がジュリーファンだったのか…意外」という感じですね。
ストーンズがどうたらこうたら、とか当時偉そうに言ってた僕の今の状況を知ったら、笑うだろうなぁ…。

それはそうとエリザベス様!
大阪まであと僅かとなってきましたよ~。
お互い体調に万全を期してまいりましょうね!

投稿: DYNAMITE | 2009年9月 7日 (月) 00時08分

DYちゃん、こんにちはsun

「コバルト~」の伝授ありがとうございます。
じゅりーの素っ頓狂なコード進行で、思い出しました。
アルバム「今、僕は倖せです」を出した頃、井上堯之さんが「沢田は、プロでは考えられないようなコード進行の曲を作る」と、ジュリーのラジオ番組に出演した時に笑いながら言っていました。


それから「YOKO君」問題ですが、私は「よーこー君」と勝手に脳内変換しておりました。(陽光くんor洋行くん)
ちがったのね~。ごめんなさ~い!

投稿: みかん | 2009年9月 8日 (火) 12時37分

みかん様

いらっしゃいませ~。
「JULIEⅣ」の頃に尭之さんがそんな発言を…
それは興味深いお話です。

例えば「今僕は倖せです」だと
「友達もいるし~♪」
の「いるし~♪」の箇所などが、相当風変わりな進行なんですよ。

尭之さん自身も「美しい予感」や「遠い旅」ではかなり大胆な転調を導入しているんですが、美しく、流れるように纏めていらっしゃいます。

しかしジュリーの進行は、「ガクン!」って感じの唐突な一瞬転調だったりして、それがすごく新鮮に感じていらっしゃったのでしょうね~。
尭之さん、ジュリーの作った曲に合わせてギターフレーズを考えるのが、とても楽しかったと思いますよ。

YOKO君は、自分の本名がおキライみたいなんですよ。
もし今後彼と会う機会がありましたら、気軽に「よこ君」とか「よこさん」とか呼んであげてくださいね!

投稿: DYNAMITE | 2009年9月 9日 (水) 00時00分

ウェブマスター殿

簡潔に申し並べます。
『コバルトの季節の中で』
『ジョセフィーヌのために』
…この二曲は1つのドラマ
として仕立てて聴けますょ
「同棲カップルのひとりが
出て行った」
「残されたほうのひとりが
むかし友人だった異性に
出あう秋」もしくは「出ていったほうのひとりが孤独を感じ、むかし馴染みの異性に会う,秋」

〜ごく個人的な空想です。


それとは別の曲、
『桃いろの旅行者』歌詞の
〔ボク〕=桃井かおり
の少女時代の心情。その
奥底を綴ったがゆえに、
〔アタシ〕ではなく〔ボク〕
という主語を選んだ。。
これは紛れもない真実?。
(この曲での井上尭之バンド
演奏は至上の出来ですねぇ)

投稿: 鉛筆 | 2009年10月16日 (金) 21時04分

鉛筆様

いやぁ、久々に鉛筆様の神出鬼没コメントを授かりました。ありがとうございます!
読者の方々が過去記事に目を通してくださるのは、本当に嬉しいことなのです。

久世さんの2作品、なるほど連続性がありますねぇ。
僕にはまだ、視点が女性のような気がしてなりません。美しい詞です。

そして、「桃いろの旅行者」の演奏!
本当に素晴らしいですよね~。
フェイドアウト間際に、ガックンガックンなリズムアクセントが繰り返されるところが特に好きです。
ベース、ドラムス、サイドギターも素晴らしいですが、何と言ってもあのリードギター。
一度詞の世界を飲み込んでから聴き直すと、イントロのリードギターで、もう泣けますものね。

この曲は、いつか詳しく考察記事を書きたいと思っております~。

投稿: DYNAMITE | 2009年10月16日 (金) 22時47分

DY様

私も大好きな歌です。
特にボーカルとサウンドです。私の中では、このボーカルテイクが現在に至る迄で、一番良質ではないかと思っています。

そしてサウンドです。ストリングスの入ったアレンジがそれまでとは違う何かを感じました。後々分かったことは、この曲が大瀧詠一さんのナイアガラサウンドや元春の『サムデイ』にも通じて、オールディーズの匂いがするポップス曲になっているということです。(断言出来る程、詳しくはありませんが)
そしてこの後、アレンジをした「船山基紀」さんは、ジュリーのヒット曲を連発させたんですね。

更に、船山さんのアレンジは、『コバルト~』があって円広志さんの『夢想花』に繋がっていると思います。

久世さんがこの歌詞を作った背景を何かで語っていて、確か「ユーミン」が作詞した『ウィンクでさよなら』に影響を受けたとか。何となくフェミニンな感覚が似ていますね。だからこの後に、あの武骨な阿久悠作品になるとは、誰が予想したでしょうか?

投稿: ヨッシー | 2012年7月 5日 (木) 03時22分

ヨッシー様

ありがとうございます!

この曲がオールディース・テイストというのはヨッシー様にコメント頂くまで僕は考えもしていませんでした。なるほどそう言われてみますと確かに…。

この後の阿久=大野時代での船山さんのアレンジ貢献度は凄いと僕も思います。

僕が船山さんのアレンジでジュリーの黄金期を引き継いでいるなぁと感じるのは、田○俊○さんお「ごめんよ涙」です。実は僕はジュリー堕ち以前からこの曲はかなり好きでした。
さらに言いますと、「涙が満月を曇らせる」を初めて聴いた際に「随分アレンジ似てるな~」と思ったりしたものです…。

投稿: DYNAMITE | 2012年7月 6日 (金) 21時44分

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