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2009年8月23日 (日)

ザ・タイガース 「処女航海」

from『自由と憧れと友情』、1970

Jiyuutoakogaretoyuujou

1. 出発のほかに何がある
2. 友情
3. 処女航海
4. もっと人生を
5. つみ木の城
6. 青春
7. 世界はまわる
8. 誰れかがいるはず
9. 脱走列車
10. 人は・・・
11. 海の広さを知った時
12. 誓いの明日

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本当に、唐突ですがタイガースです。

先日のコメント欄に少し書きましたが、僕は昨日初めて「自由と憧れと友情」というアルバムを聴きました。
これはスゴかった。衝撃の作品でした。
ソロも含めたジュリー関連の全アルバムの中で、常に僕のフェイヴァリット作品第2位の座を争っております、「S/T/R/I/P/P/E/R」やら「今度は、華麗な宴にどうぞ」などの錚々たる選りすぐりの名盤軍団の群れに、いきなりハナ差で食らいついてきましたよ(でも1位は相変わらず10馬身差で「JULIEⅡ」ですごめん)。

僕は、タイガースというバンドをタイムリーで知りません。
ですから彼等の辿った道のりやキャリア変遷などの作品背景の予備知識を全く持たず、純粋に音源のみをマッサラな状態で聴くことになります。

「ヒューマン・ルネッサンス」を聴いた時には、確かに名盤だと思いました。しかし、それは自分の中で「歴史に埋もれていた遺産をようやくこの手にした」というような、言わば学習感覚だったのです。
ところがこの「自由と憧れと友情」は、ロック少年(いや、だから自分で言うなって)がタイムリーなバンドの新譜を聴いて「スゲェ!」と我を忘れて興奮しまくる、そういう聴き方ができたのでした。
音のアプローチや演奏のコンセプトに、懐古の要素を全く感じなかったのです。

このアルバムの収録曲は、今後も機を見て4、5曲は記事を書きたいと思いますが、今日はプレジャーツアーのセットリストに引っかけて、コレです。
ジュリー自身の作曲作品から「処女航海」、伝授!

え、ドコがプレジャーツアーと引っかけてるかって?

だって。
この曲はアルバムの3曲目なんですけど、もう、2曲目「友情」くらいで「こりゃ絶対名盤!」って予感がビシビシだったんですね。優れたコンセプトアルバムってのは、大抵そういうモンです。
で、次の3曲目にロッケンなナンバーが来て欲しい、とか思いながら身構えてました(僕は曲順フェチでもあります)。
そこへ「処女航海」のイントロです。
思わず立ち上がりました。そして、何ということでしょう、腕を交互に突き上げる、あのジュリーLIVE独特のアクションが出てしまったではないですか~!
無意識にイントロに載せて歌ってしまいました。

♪けい、あい、えむ、えい~♪

いや、当然違う曲でしたけどね。

「処女航海」や「KI・MA・GU・RE」のイントロアレンジって、ホーンセクションが絡むセブンスコード・ロックナンバーの常道と言えば常道。だからさして驚くことはないんですけど、僕は思わず余計な心配をしましたよ。
タイガースからジュリーを追いかけてきて、途中で離れていった中抜けのファンの方々が、今ツアー怒涛のようにジュリーLIVEに復帰していると聞きますからねぇ。
長っいMCの後、「KI・MA・GU・RE」のノリノリのイントロで「おお~っ!処女航海!」と、あちこちの会場で暴発なさっているのではないか、と。

ジュリーは初のソロコンサートで「若い作曲家」と自分の事をおどけて紹介していますが、その萌芽をタイガース時代にしっかりと見てとれました。あくまでアルバムの収録曲というスタンスであるが故に、思い切り自分の好みのロック・ナンバーを書く、その心意気、と言うか挑戦者魂と言うか。
このアルバムではすっかり、ジュリー&タローという作曲の2枚看板が確立していますからね。

つい先日、「希望」の記事で書いた、尖った洋楽ロック・ナンバーで流行りのコード進行が、「処女航海」でいち早く取り入れられている事にも驚きました。
ジュリーはやはり作曲という作業について、歌と同じくらいの天賦のセンスを持っているようです。

アルバム「自由と憧れと友情」は、ジュリーのソロで言うと「G. S. I LOVE YOU」のようなアプローチの音作りであると言えます。
メンバー以外のGSアーティストの参加もその一例ですし、何よりも完全な洋楽ロックへのシフトが見てとれるのです。

「処女航海」で言うと、全体的に何だかフニャ~とした効果音を感じませんか?
「なにこれ~」と思った先輩方も多いでしょうが、これはフランジャーというエフェクトを全体にセンドリターンさせてミックスする、という、アフターサイケ時代独特の流行手法です。
有名なところではドアーズ、あと、”クラトゥー”というバンドが好んで使用するミックス。
シングル曲ではさすがにやらない事ですが、「何だか倒錯した変なアルバムにしよう」という意図の下で、「処女航海」にこの処理が適用されたのだと想像できます。

そう、これは「やり過ぎたアルバム」なのです。僕が喜ばないワケがない!

他の曲でも、「誰れかがいるはず」のピーのドラムスが、ビートルズの「カム・トゥゲザー」をオマージュにしている素晴らしい組み立てである、とか、「人は・・・」のワケわからんストリングスアレンジを、是非あいら様に一言解説して頂きたい、とか、細かく言及したい楽曲はいっぱいあるのですが、それはまたの機会に譲ります。

何故って、まだまだタイガース勉強不足の僕は、ジュリー以外のリードヴォーカルが自信を持って特定できない(泣)し、「もっと人生を」「世界は終わる」のリードギターがタローのプレイに聴こえない・・・これ、尭之さんじゃないの?とかいう疑問にも答えを見つけられていない、そんなレベルだからです。

ただ、このアルバムを聴いて、「伝説のグループ」という自分の中のタイガースの位置づけが、「伝説のロックバンド」という言葉にとって代わった・・・それは確かなことですし、とても嬉しい作品との出逢いでした。
野性味と叙情性の融合、「自由と憧れと友情」はタイガース版「アビィー・ロード」かもしれません。

先輩方~、「タイガースをタイムリーで全然知りません」という世代の新参ジュリーファンには、どうも「ヒューマン・ルネッサンス」よりもこちらの方が衝撃が大きいようです・・・。

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タイガース復活祈願草の根伝授!」カテゴリの記事

コメント

タイガースの歌を聴くと、一瞬にして当時の感情にタイムスリップしてしまうので
純粋な音源としては聴けないんですわ~
このアルバムは特に「発展的解消」というムードが満載だし(泣)

トッポがいた時と、シローが加入してからのタイガースは別物なので
それぞれのグループでのベストワン、という位置づけでどうでしょうか
(それぞれ1枚しか出してないことになりますがw)

ボーカルはシローが3,サリーが2、ジュリーが7ですね
さあ誰がどれ?
って。わかるでしょう?声違うしw

神戸のジュリーは老いてますます盛んで^^
スマッシュtheロックやプレプレの手拍子がものすごく大きな音になってて盛り上がりました
ドームの時より楽しそうに歌ってます

投稿: メイ | 2009年8月23日 (日) 23時13分

「自由と憧れと友情」…今大急ぎで調べて初めて存在を知りました。
不覚…だってCD化されてないし、評論家やライターの人達も誰も取り上げてくれないんだもん
ザ・タイガース作品のことを決めるのは、ジュリーじゃなくて渡辺音楽出版だからなー(泣)
自力で探すしかないのか…crying

投稿: 74年生まれ | 2009年8月23日 (日) 23時17分

今回も素早いコメントありがとうございます~!
「確率」を「確立」に修正する時間など、与えては頂けない、と(爆)。

メイ様

神戸、お疲れさまでした~。
レポも読ませて頂きましたよ。ジュリーも相変わらずのご様子。
白酋長が無かったのは、意図的なものだったのでしょうか、ハプニングだったのでしょうか。

タイガースの作品に対するタイムスリップのお気持ち、解りますよ。
先輩方はみなさんそのようですね。
「自由と憧れと友情」は、ちょっとショックなタイミングでリリースされたようですし…。

このアルバムはずっと手元にあったのですが何故か昨日までスルーしておりまして(聴くモノ観るモノ溜まり過ぎ♪)、メイ様の御記事を拝見して「そういえば…」と聴いてみたんですよ。
名盤との出逢いは、いつもスリリング!

ところで。
このアルバム、タローのリードヴォーカルが無いんですね。
だったら、全曲判別できます!
妙にコブシ回してるのがサリー、のっぺり高音がシローですね!
御教授ありがとうございました~。

74年生まれ様

CDは、一応あるみたいですよ。
↓コレはそうだと思うのですが、ちょっと高いですかね…
http://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%A8%E6%86%A7%E3%82%8C%E3%81%A8%E5%8F%8B%E6%83%85-%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%B9/dp/B000063L0I

あと、タイガースBOXで「ヒューマンルネッサンス」と2INになってますけど、こちらは現在密林最安値が7万円ですわ…何と暴利な…。

60~70年代の洋楽も好きな若い世代のジュリーファンには、是非ともオススメしたいアルバムなんですけどねぇ。

ちょっとレアアイテムが多すぎますね、ジュリーって。

投稿: DYNAMITE | 2009年8月24日 (月) 00時24分

いつも楽しく読ませていただいています。
瀬戸口さんに「コバルトの季節の中で」をぜひ分析・位置づけをしていただきたくてメールしました。
タイガースのアルバム「ヒューマンルネッサンス」のレコードをもっていますが、タイガースと聞くと本当にとびあがるくらい鳥肌もたつし・・自分の中学生時代にタイムスリップしてしまうし、…年齢ばれてる?
「自由と憧れと友情」そんなアルバムもあったんですね。「伝説のロックグループ」と言っていただいて何だかやっぱりうれしいです。

投稿: 幸せソナタ | 2009年8月24日 (月) 14時40分

幸せソナタ様

はじめまして!
コメント&リクエスト、ありがとうございます!

「コバルト~」ですか、来ましたね~。
実はこの曲、昨年末にYOKO君(ドームの相方)から「書いて」と言われてまして…。
その頃は自分、90年代-2000年代ジュリーの集中猛勉強中だったため、後回しにして放っておいたまま結局もう8月。

今回、幸せソナタ様からお声がかかったのも何かの運命でしょう。
こりゃ、ごく近々にもリクエストにお応えさせて頂きますよ!

ただ、ちょっとヤバいお話になるかも(爆)。

だって、「コバルト~」の歌詞に出てくる「あなた♪」って、どう考えてもジュリーの事だと思うんだ~。
ジュリー、貰ったラブレターに曲つけてるようなモンですわ…。
ま、無難に「一流は一流を知る」って感じで纏めたいトコですが果たして。

楽しみにお待ちくださいね。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします~。

投稿: DYNAMITE | 2009年8月25日 (火) 00時19分

74年生まれ様

「自由と憧れと友情」を完全網羅したタイガースBOXについて。
いてまえ隊のしゃん様から情報を頂きました。
http://item.rakuten.co.jp/aiaiai/gmvcs-1046/

これはお買い得!
ご参考になさってくださいませ~。

投稿: DYNAMITE | 2009年8月25日 (火) 00時28分

私も「コバルト~」すきすき大好きです。

よろしくお願いしまーす。

えっ、そ、そんなヤバイお話になるんですか?た、たのしみにしています。

投稿: みかん | 2009年8月26日 (水) 16時59分

みかん様

再びいらっしゃいませ~。
「コバルト~」はやはりコバルトの季節に。
9月早々にも記事にしたいと思っております。

先走って少し書きますと

「だから今朝は、何も話しかけません♪」

って歌詞とか特に…これはいかにも女性的な、片思いの男性に向けた視点だと思うんですよね。
ヤバイです、久世さん!

楽しみにしていてくださいね~。

投稿: DYNAMITE | 2009年8月26日 (水) 23時03分

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