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2009年7月18日 (土)

沢田研二 「バタフライ革命」

「JULIE SINGLE COLLECTION BOX ~Polydor Yeas」収録
original released on 1979
シングル「カサブランカ・ダンディ」B面

いよいよ大宮ソニックを1週間後に控え、昨夜は久々に、YOKO君と長電話で真夜中のジュリートーク。
東京ドーム・ジュリー祭りの相方だった彼は、25日の大宮が「Pleasure Pleasure」ツアーデビュー、ネタバレ厳禁男ですのでセットリストの話とかはできないのですが(でも、「マンジャーレが、マンジャーレが」とさかんに言うので、微妙に素っ気ない返事を返してたら「なんだ、演らんのか」と気づかれた)、まぁ多くのジュリーマニアの皆様と同じく、二人ともジュリーについて喋り始めたら、止まらない。

新譜についてYOKO君、「BAMBINO EXCUSE」が一番好き!なのだそうです。
「詞がイイ!」
って・・・変わってると言うか、納得と言うか・・・。

あとは、やっぱりDVD「ジュリー祭り」の話をしましたね。
ポリドール以降のアルバムをほとんど知らずに参戦した12月3日。改めてDVDであのステージを振り返って、僕も彼も感想は同じ。LIVE当日は半分ボケ~状態で観てしまったdisc-2(「Snow Blind」から「ラブ・ラブ・ラブ」まで)が、とにかく素晴らしい!
こんな贅沢なセットリストを理解できない我々が、あの日2階席だったのは当然だね、と。

そして更に、当ブログについて色々と話しているうちに、何故かポリドール時代のシングルB面曲の話になりました。
B面曲を書いた記事で、先輩方の反応が良いのが嬉しいね~、と。

これまでのB面曲伝授は、「おまえのハートは札つきだ」「遠い旅」「若き日の手紙」。
僕がサクッと
「イイ曲は誰にとってもイイ曲って事じゃん」
と、深く考えずに発言したところ、YOKO君はきっぱりと「いや、そんなんじゃない」と。

60年代から80年代、レコードのドーナツ盤を買っていた先輩方のB面曲への思いってのは、特別なのではないか、と彼は言うワケですよ。
ドーナツ盤ってのはたったの2曲だし、何度も繰り返しリピして聴くんだろうけど、A面曲の方は街歩けばラジオから流れてるは、テレビでしょっちゅう観る事もできるはで、そのうちB面曲のみ激リピになっていくんだよ・・・と。

なるほどなぁ。
言われてみれば、僕もポール・マッカートニーのシングルB面曲には特別の感慨がある。自分よりかなり若い世代が「デイタイム・ナイトタイム」について熱く語ってたら、「まだまだ考察が甘いな」と思いつつも、すごく嬉しいだろうしなぁ。

で、そのB面曲。
本当に名曲の宝庫なのですが、YOKO君イチオシなのは「甘いたわむれ」と「バタフライ革命」!なのだそうで。

いや、「甘いたわむれ」は王道だけど・・・。
「バタフライ革命」かよ!

確かにオモロイ曲です。突っ込みドコ満載。
しかし、さすがは新譜「Pleasure Pleasure」から「バンビーノ・エクスキューズ」をイチオシする男・・・YOKO君は明らかに僕とは違う、独特の視点を持っています。
やはりジュリ友って、基本ジュリー楽曲オール好き!な上で、イチオシの曲が微妙にズレた順番で出てくるってのが、話してて一番楽しいんじゃないでしょうかね。

てなワケで、今日はブログ管理者としても予想外のセレクトになりました。
ギンギン時代のジュリー、「カサブランカ・ダンディ」のB面です。悶絶の名曲・「バタフライ革命」、伝授!

無論この時代ですから、阿久悠=大野克夫=ジュリー・トライアングル作品でして、しかもその中にあって後期。つまり、アルバム「LOVE~愛とは不幸を怖れないこと」収録曲のコンセプトが生きているんです。
以前、「雨だれの挽歌」の記事でも書きましたが、この頃は阿久さん作詞のヤンチャが手をつけられないほどのレベルになっていまして。
確信してますが、完全に詞が先にあっての楽曲作りであったろうと思います。
以下、YOKO君と語り合った、当時の阿久=大野コンビについての妄想。

・阿久さんの達筆な字で、「バタフライ革命」と書かれた原稿が、大野さんのトコにやってくる。

・今度はどんなのが来るんだろう、と恐れおののく日々を送っていた大野さんは原稿を見て
「出たなッ蝶シリーズ!しかも阿久さん、”革命”って!」
と頭を抱えつつも、勇んでピアノに向かう。

♪男は心に百匹の蝶を飼い
  百人の女を愛するものだ、と
  うそぶくお前を殺してやりたい
  殺してやりたい♪

これは・・・どういう状況?
とにかく当時の阿久さん、フレーズ選択、文節連結の突拍子の無さに血道を上げていらっしゃいます。

どんな風に曲をつけても、詞と曲が合ってない!という結果が予想される。そんなアプローチなのです。言うなれば、これは大野さんに対する挑戦状。
この、詞と曲の微妙なズレ加減が、本当にクセになるんです。「ポリドール・イヤーズ」を購入して、アルバム「LOVE~愛とは・・・」と同じ魅力を持った楽曲に再び出逢えたのは、僕も嬉しかったですね~。

この詞で大野さんが決断した作曲ベクトルは、「TWO」(アルバム「LOVE~愛とは・・・」の1曲目収録)に似ています。
ベースラインに16ビートの跳ねる感覚を持たせた、ノリノリでやぶれかぶれな、「破天荒ポップス」。
てか、それしか無い!・・・のかな?これがもしバラードだったら、作品成立するんだろうか?

あと、阿久さん作詞時代の音源、ピアノの音に必ずコンプレッサーというエフェクターをかけて、固い感じに聴かせるのですが、これも大野さんのアイデアなのでしょうか。いや、船山さんかなぁ。

で、サビがさ。

♪バラの花びらにお酒をためて
  お前の帰りを待っているよ
  死ぬ気でおいでよ、バタフライ
  バタフライ、バタフライ、お前は男♪

え~っ!
バラの花びらにお酒って!
お前は男ぉ~って!
あぁ、ヤバい!書けない、これ以上は!

この頃のジュリーって、小学生の男の子や女の子達も、親におねだりしてシングル盤を買ったりしてたワケですよね。
レコード買って帰ってお子様と一緒に聴いていた親御さんは、どんな御様子だったんでしょうか。
真冬の部屋にもかかわらず、何故かじっとり汗ばむ親御さんの横で、お子様は元気に

♪ばったふら~い、ばったふら~い♪

ソコだけ覚えてジュリーと一緒に歌います。
そう、この「バタフライ♪」連呼の部分を思いきりキャッチーな、明快なポップ・メロディーに仕上げた大野さん勝利の瞬間が、ここにあります。

無論それは、この詞と曲を(内心、なんだかなぁと思いつつも)、ポ~ンとハジけて歌うジュリーのヴォーカルがあればこそ。
当時阿久さんは湯水溢れるがごとくの書きまくり時期で、デビューしたての少女アイドルに対しても、同じアプローチでアイデアをぶつけていました。
あまり売れずに姿を消した方もいます。
YOKO君とも話したのですが、そりゃ当たり前、そりゃ無茶だよ、と。
10代の少女がこの頃の阿久さんの詞を消化するには、よほどズバ抜けたモノを持ってないとねぇ。

70年代後期ってのは、歌謡曲の歴史において、絢爛の時代であると同時に、本物こそが輝きを放つことのできた、やっぱり良い時代だったのでしょう。
阿久さん、大野さん、ジュリーのトライアングルは、その頂点に君臨する組み合わせだったのですね。

しかし、いくら先輩方がB面愛に溢れているとは言っても、果たしてこの「バタフライ革命」に食いついてくださるのかなぁ?

心配だ・・・。

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コメント

お~バタフライ革命!!

Bコレは今でもよく聴きます。
♪甘いたわむれ
♪薔薇の真心
♪夕なぎ ヘビロテです。
TG♪散りゆく青春も。。

YOKO君さんの仰るように
当時はTVやラジオからいやと言うほどA面が流れていたので、
アルバムを聴く時でも無意識に飛ばしてしまい
ヒット曲を聴くのはコンサートだけなのかもしれませんね


>ピアノの音に必ずコンプレッサーというエフェクターをかけて、固い感じに聴かせるのですが
当時のレコードに演奏者のクレジットは載ってませんでした。

「♪勝手にしやがれのピアノは私です。」
と羽田健太郎さんがよくTVであの前奏を弾かれてましたが
あの時代のアルバム曲も参加されていたのではないでしょうか?

村上“ポンタ”秀一さんも70年代はスタジオミュージシャンで
歌謡曲のほとんどを彼が叩いていたそうです。
もちろんジュリーも百恵ちゃんもピンクレディも。。
グレープのアルバムにも写真入で載ってます。
赤い鳥のドラム姿もNHKで見ましたよ。

ポンタさんの著書「自暴自伝 」より
http://item.rakuten.co.jp/book/4057910/

ごめんなさい、ちょっと外れてしまいましたね。

投稿: くれーぷ | 2009年7月18日 (土) 22時20分

くれーぷ様、いらっしゃいませ~。

「勝手にしやがれ」が羽田さんとは、意外でした。でも、言われてみますと、途中歌の部分で噛みこんでくる辺りは、クラシカルなタッチですね。

クレジットが無いので断言はできませんが、「サムライ」はシングルが大野さん、アルバムが羽田さんのような気がします。

ポンタさんのあの時代の活躍は凄まじいですよね。
あと、後藤次利さんとかも。
スタジオミュージシャンから見ても、ジュリーの楽曲はちょっと違う意気込みがあったのではないでしょうか。
その後プロデュースをしたり、ツアーメンバーになったり。

音のプロフェッショナルとしてジュリーに関わった人が、それぞれリスペクトを持ってその後のジュリーの仕事に積極的に絡んでいく歴史は、後追いの僕も感動します。

さぁ。
九州ツアーを終えてくれーぷ様が徐々に冷静になられたトコで、今度は僕がテンション上げて行きますよ~。
いよいよ大宮、大宮ですよ!
その次週は安城に遠征~♪

投稿: DYNAMITE | 2009年7月18日 (土) 23時15分

追伸です。

♪勝手にしやがれ 
ドラムはポンタさん。
ご自身が仰ってたそうです。

くれトモさんに確認してきました

投稿: くれーぷ | 2009年7月19日 (日) 16時32分

くれーぷ様、今日もありがとうございます!

さすがに「バタフライ革命」の記事はマニアック過ぎたか~、と思っておりますが、さすがはくれーぷ様。

勝手にしやがれ、ドラムスはポンタさんですかぁ!
ピアノが羽田さん…
ベースは下手すると後藤次利さんかも…と妄想してます。
いえ、考えてみますと「勝手」はCD音源を全然聴き込んでいなかったのですよ~。
有名過ぎる、というのもナンですね。

聴き返してみました。
最高の演奏ですね!
特にパーカッション、このタッチは斉藤ノブさんではないでしょうか?

投稿: DYNAMITE | 2009年7月20日 (月) 00時00分

こんにちは!
すごーく久しぶりなので、覚えおいででしょうか?(笑)
「バタフライ革命」結構好きですよ。
この曲に関しては、keinatumegさんが2年前に書かれてます。
「バタフライ革命」で検索すると出てきますよ。
私も少しコメントに参加しております。(笑)
お暇でしたらどうぞ。

投稿: choco-j | 2009年7月20日 (月) 15時58分

おお、蝶々レヴォリューションですね。
ちょっと不思議な歌詞で「???」となりますが、
私は腐女子視点で解釈してます。「悪魔のような・・・」の
野々村さんが良ちゃんに向けて歌うとコレだな~、と。
好きに解釈できるドラマ性も、歌詞の味わいの一つということで。本当か?

それよりラストのドラムがボスンボスンと、何か布団叩きをしているように感じる私って、ヘンでしょうか。

投稿: 白兎 | 2009年7月20日 (月) 17時18分

みなさま、今日もコメントありがとうございます!

choco-j様

もちろん覚えておりますよ~。
こちらこそ、忘れないでいて頂けてたんだなぁ、と大変嬉しいです。

keinatumegさんの記事、拝見しました。
お二人とも、さすがの感性。
事前にあの御記事を拝見していたら、僕のこの記事、書けていたかどうか…。

それにしても、「バタレボ」には参りました~。

白兎様

いらっしゃいませ~。
なるほど良ちゃんですね!それは楽しい解釈ですね~。

choco-j様の仰る通り、女性視点の詞なんだとは思いますが、どうしても「バラ」のくだりが引っかかっていましてねぇ。

いずれにしても、リスナー泣かせの詞であり、先輩方もある意味注目していた曲だったのですね!
記事書いて良かったです~。

投稿: DYNAMITE | 2009年7月20日 (月) 20時00分

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