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2009年7月29日 (水)

沢田研二 「Child」

from『REALLY LOVE YA!!』、1993

Reallyloveya

1. Come On !! Come On !!
2. 憂鬱なパルス
3. そのキスが欲しい
4. DON'T SAY IT
5. 幻の恋
6. あなたを想う以外には
7. Child
8. F. S. M.
9. 勝利者
10. 夜明けに溶けても
11. AFTERMATH

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みなさま、本日もたくさんのアクセス、ありがとうございます。
ここ数日で、新しく遊びにいらっしゃって下さる方々も増えているような気がします。
やはり、毎回のLIVEレポ記事を境に、少しずつ検索ヒットしやすくなっているのでしょう。
ベストテンには入ってこないでしょうが、本日の検索ワードの中には

「もっと太ったろか」

というのがありましたよ~(笑)。
ありがたい事です。

そんなみなさまに支えられ、拙ブログは去る26日未明、累計アクセスを10万の大台に載せました。
ジュリーの歴史に詳しいでもなく、LIVEでの容姿を詳細にお伝えするでもなく、ただ自分が書きたいことを長々と書いてしまうスタイルでずっとやっておりますが、それでも多くのみなさまが支持してくださり、叱咤激励を頂きつつ、ジュリー祭りの記事更新以降の半年ちょっとでここまで来ました。
やはり「読まれている」「応援してくれる方がいる」という実感がなければ、更新を続けては来れなかったでしょう。改めて、御礼申しあげます。

今日は、10万ヒット記念リクエストの第1弾。
(もうひと方いらっしゃいます。ウモン様、リクエストお待ちしております。さらに、ニアピンのみなさまも是非どうぞ!)
同世代、新規組とのことで、ジュリーファンの中にあって僕と似通ったスタンスでいらっしゃいます、鯛焼き丸様からのリクエストです。
アルバム「REALLY LOVE YA!!」から、いかにも吉田建さんプロデュース期らしいポップ・ナンバー「Child」、感謝を込めて伝授!

吉田建さんプロデュース、(現時点で)最後のアルバムとなった「REALLY LOVE YA!!」は、演奏面において、次作「HELLO」やその後のセルフ・プロデュース時代への橋渡し的な仕上がりになっています。
楽曲提供者や参加ミュージシャンも多岐に渡り、その意味でも過渡期と言えそうです。

そんな中、建さん自身の「これが最後!」という気合が見えている作品でもあります。
「とにかく、ベースだけは俺が全部弾く!」という。

ドラムスが楽曲の土台とするならば、ベースは基本的な楽曲の色を決めるパートと言えるでしょう。
打ち込み嫌いの建さんが、アルバム制作課程である程度の打ち込み音を導入せざるを得なかったのがちょうどこの時代。
ならば、とアレンジとベースラインでグルーブを持たせたEMI期のジュリー作品。このアルバムも編曲に演奏に妥協なき信念を注いでいます。

「Child」のようなエイトビート(8分音符主体の4拍子)のポップス系ナンバーは、ピックベースが主流ですが、ここでも頑なに指で弾く建さん。
指弾きとピック弾きで最も違いが現れるのは、音の粒の揃え方です。
実際、エイトビートで「ドッドッドッドッ」と同音連打するベースラインは、ピックの方が全然弾き易い。
「Child」で言うと「このままっ、じゃいけない♪」の部分。
ここだけなら、ピックの方が全然楽に弾けるはずです。
それでも指で弾くのは、Aメロのグルーブ感あふれるラインのため。これは、指弾きでなければ出せない味なのですね。

どんな楽器にしてもそうなのですが、「次の小節へと向かっていく意識」を持った演奏者はレベルが高いと言われています。これはある程度キャリアを積んだプレイヤーなら、アマチュアであっても基本的な話ではあるのですが、例えば「Child」のAメロ。
「タクシー、窓に流れゆく♪」の部分。
動き回る独創的なラインもさることながら、Cコード(ドミソの和音)の小節からAm(ラドミの和音)の小節へ移行する際、建さんはCの小節のラスト2拍あたりでもう次のコードAmを意識して、シンコペーションのラインを奏でます。そのラインの中に、CとAmのルート経過音である「シ」の音が噛むのです。
センスに劣る演奏者だと、この部分をピックで、
「ド~ドド~、ド~ドド~、ラ~ララ~、ラ~ララ~♪」
と弾くかもしれませんが、建さんのプレイにそれは有り得ません。
これは、氷山のほんの一角の例なのですが。
ピックベースにはピックベースの良さがありますが、建さんはやはり指弾きならではの発想を持った人ですね。

鯛焼き丸様のコメントにありましたので、「Child」、ジュリー自身の詞にも触れましょう。
ちょうど「BURNING SEXY SILENT NIGHT」の記事で書きましたが、ジュリーの作詞スタイルはここまで目まぐるしく変遷してきました。
2000年以降確立した「些細な日常の素直な投影」というスタイルの片鱗が、「Child」には窺えます。

「生き急いだヒーロー」時代の詞から、CO-CoLO時代の「素直な吐露」へ。ところが恋愛についての観点で言うと、CO-CoLO時代の詞は、まだ「恋愛」が特別な感情として描かれています。
今のジュリーにとって「恋愛」とは「日常のシアワセ」に包有される感情であり、作詞においてもそれが明らかに前面に出されていますが、「Child」にも部分的にそのスタンスが見受けられます。
「Child」には「サヨナラを決める」というフレーズこそありますが、これは別れの歌ではなく、「気持ちの伝え方が解らない」という、一瞬を捉えたものだと思います。

また、「不思議ちゃん系」と呼ばれる”ジュリー言葉”ももうすでにこの詞にあって、「君があくび♪」なんてフレーズをあのメロディーに載せてしまうのがジュリー流。
数年経つと、キツネだタヌキだ芋だと言い始めてしまうのですが。僕は、それはそれでジュリーの持ち味だと思いますし、何よりも「素直」というベクトルに惹かれています。

あ、最後のコーラス「素直に伝えよう♪」のトコ、先日「影-ルーマニアン・ナイト」の記事で書いた、「トラックを抜き出してエフェクトをかけ、機械的な声にする」という手法を、コーラスパートで使っていますよ。
細かい事ですが、僕はこのようなミックス段階でのちょっとしたお遊びが好きなんです。

蛇足ですが、僕はこの「Child」という曲を聴くと、何故か「DELIC」というアマチュアバンドがイカ天で演奏した楽曲を思い出します。メロディーのアプローチが似ていたんじゃないかと思います。
楽曲のタイトルも覚えていませんが、「個人的には好きだけど、このバンドがブレイクしたりはしないんだろうなぁ」と思いながら観ていた記憶があります。
確か審査員の反応は、建さんが辛口で、銀次兄さんは絶賛してたんじゃなかったかなぁ。

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みなさまからのリクエスト伝授!」カテゴリの記事

コメント

早速の伝授ありがとうございます。もう、感激です~。
相変わらずコード進行の解説は私には難しくて???でしたが(笑)、
ジュリーの歌詞の「素直さ」というご指摘、深く共感しました。
改めて、10万超アクセスおめでとうございます。
勝手な感想ですが、瀬戸口様の文章からは長年のファンの方々、中抜け後に復活のファンの方々、
なりたてファンの方々とジュリーの音楽を分かち合う「喜び」がいつも伝わってきます!
まさにpleasure!!

投稿: 鯛焼き丸 | 2009年7月29日 (水) 22時56分

鯛焼き丸様~。

早速リクエスト曲の記事を書かせて頂きましたが、本当に、過分なお褒めの言葉を頂き、感激しています。

>まさにpleasure!

今の僕にとって、これに勝る嬉しい言葉は無いかもしれません。
これからも、多くの方々とジュリーの音楽を分かち合って行こう、というエネルギーを貰いました。
ありがとうございます。

「Pleasure Pleasure」
本当に素敵な響きの、今のジュリーと、ジュリーファンの方々の気持ちにピッタリのフレーズなんですね~。

また遊びにいらして下さいね!

投稿: DYNAMITE | 2009年7月29日 (水) 23時14分

ドーム復活組みです。

お題の「CHILD」、チャ~ィルドゥ♪のところしか記憶にない。(泣)
そうだ!この春、一気に買い揃えたDVDの中に「REALLY LOVE YA!!」があったはず。

早速、PC画面の左に"ご伝授”を、 右にジュリーのコンサート模様を出して、
さあ、聞き比べ…
うっうっ、演奏は建さんじゃなくて、もう後藤さんだった。
建さんの指がつむぎだすグルーブ感はわからない。
CDアルバムまで手が回らなかったからなぁ。(;ω;)

気を取り直して、今度は、改めてジュリーの詞に注目して「REALLY~」を聞き直し。
確かに「CHILD」では何度も「素直に…」のフレーズが出てきて心に残りますね。
   そうか、この頃からなのか。(近年素直すぎ?)
あら?!「勝利者」という曲、長年芸能界で戦ってきた彼の気持ちを歌っているようで、
なかなかよいではないですか。今回の嬉しい発見です。 (*゚▽゚)ノ

「CHILD」からは少しそれましたが、こんな形で、演奏に耳を澄ましたり、
改めてジュリーの詞のよさ、面白さに気づかされたりして、
”ご伝授”をしっかり楽しませて貰ってます。

くれぐれも、健康と本業をお大切に、時間がある時でいいですから、
また、お願いしま~す。

投稿: 規子 | 2009年7月30日 (木) 08時06分

「CHILD」→「Child」でした。
ジュリーに怒られそう…。

投稿: 規子 | 2009年7月30日 (木) 08時25分

規子様、はじめまして!

ドーム復活→大人買いコースですね!
僕の記事を読んでくださって、改めて聴き直したり、映像を観たり…そう仰って頂けるのは本当に嬉しいです~。

僕も、「REALLY LOVE YA!!」は、CDよりDVDの方が先だったんですよ。
あのDVDは素晴らしいですね。まったく飽きません。
CDが再発されるとなお良いんですけどね…。
数多い名盤の中のひとつだと思っています。

「Child」…大文字小文字の表記違いは、僕もよくある事ですから…大丈夫です!

それにしても、身体のことまで心配してくださって…ありがとうございます。
頑張ります。

これからも是非遊びにいらして下さいね!

投稿: DYNAMITE | 2009年7月30日 (木) 22時29分

こんにちは、はじめまして。
弟にメールをもらって、拝見しました。
ええと、ブレイクしませんでした(w)DELICのボーカル(作詞/作曲)のものです。
件の曲は Feelin'Groovy(素敵な気分) という曲でした。リンク先URLで聴いていただくこともできます(今更ですが)。

覚えていてくださるかたがいることに驚き、感謝します。ありがとうございました。

投稿: masato | 2009年10月16日 (金) 23時08分

masato様

す、す、す、すみません!
まさかまさかDELICさんのヴォーカリストご本人さまからコメント頂こうとは!
ブログって…こわい!

大層なことを申しましたが、寛大に受け止めてくださり感謝の言葉もございません。
曲を覚えていなかったのは、お聴きしたのがイカ天あの1回きりだったからです。

masato様の容姿は覚えております。
キーボードに優雅に手を当てての熱唱。僕が審査員だったら(何を言ってる)間違いなくチャレンジャーですよ。
確か、銀次兄さんから、「ベスト・コンセプト賞」を頂いていましたよね。
キーボード、ベース、ドラムスというスタイルのDELICさんについて、
「ギターがガンガン鳴ってるだけがロックじゃない!」
という銀次兄さんの賛辞も、強く印象に残っていますよ。

いや~しかしびっくりしました。
これからじっくりとHPを拝見させて頂きます。
どうもありがとうございました!

投稿: DYNAMITE | 2009年10月16日 (金) 23時25分

あ、いやちょっと違いますようw
キーボード(ピアノ)がサウンドの要ですが、それは「はかる」というピアニストでして、僕はギター(エピフォンカジノだったかGibson175だったかな)ボーカルのスタイルです。ギターはサウンドにまったく貢献していないんですけれども。

投稿: masato | 2009年10月16日 (金) 23時34分

masato様

再び、すみません!
ホント、失礼なヤツです僕は…(汗)

つまり、アトラクションズ・スタイルですね!
masatoさまがコステロの位置で。

あの~。
出演時にはメガネをかけていらっしゃいませんでしたか?
あの方がヴォーカルだったように記憶しています。

え~と。
HPの方からメールを差し上げました。
よろしくお願い申しあげます!

投稿: DYNAMITE | 2009年10月16日 (金) 23時55分

そうです、アトラクションズスタイルが目指すところで…でメガネをかけていたのはピアノとベースで、僕とドラムは裸眼(正しくはコンタクトレンズ)でした。

でも、実は四人とも目が悪くて、ステージ以外ではみんな黒いセルフレームの眼鏡をかけていて(時代を感じますね)それが面白くて四人で眼鏡をかけて撮った写真もあります。なつかしいなあ。

メールありがとうございました。リンク先の音楽のページ以外、見るべきものはありませんが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

投稿: masato | 2009年10月17日 (土) 00時02分

masato様~!

「Feelin' Groovy」はやはり名曲でした!
その後、他の曲も何曲か聴かせて頂きました。
いや~センスの塊です。素晴らしい!
アトラクションズ好きの僕にはたまらない楽曲・演奏ばかりで…。
メロディーにも仕掛けが多く、感服いたしました~。
さすが、銀次兄さんが絶賛するだけのことはありますよ!

またお邪魔させて頂きますね。

投稿: DYNAMITE | 2009年10月17日 (土) 13時47分

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