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2009年7月23日 (木)

沢田研二 「BURNING SEXY SILENT NIGHT」

from『JULIE SONG CALENDAR』、1983

Juliesongcalender

1. 裏切り者と朝食を
2. ボンヴォワヤージュ
3. 目抜き通りの5月
4. ウィークエンド・サンバ
5. Sweet Surrender
6. CHI SEI(君は誰)
7. YOU'RE THE ONLY GIRL
8. ラスト スパーク
9. 一人ぼっちのパーティー
10. SCANDAL !!
12. Free Free Night
13. BURNING SEXY SILENT NIGHT

----------------------

 

約1名(YOKO君)のためだけに続けてきた、セットリストに全く関係ない「そりゃ今後もLIVEじゃまず演らんだろう」的な、マニアック楽曲・伝授シリーズ。
解禁の大宮まで、あと僅かとなりましたが。

 

しかし、いくら僕がマニアック狙いで書いたお題についても、常に僕の数段上を行き、「この曲好きです」攻撃を浴びせてくださる素晴らしき先輩方。
なんとか先輩方を出し抜きたい、という欲望がフツフツと湧いてまいりました今日この頃なのです(無理でしょうけど)。

 

一体どんな曲について書けば、先輩方をして「そりゃいくら何でもマニアックな・・・」と仰って頂けるのか、と、色々考えた挙句、今日はコレです。
アルバム「JULIE SONG CALENDAR」から大トリのバラード、ジュリー作詞・作曲の「BURNING SEXY SILENT NIGHT」。
今日はこのお題にて、ジュリーが自身の作詞・作曲作品に強く思い入れを抱くようになった経緯などについて、考えてみたいと思います。
伝授!

 

この「JULIE SONG CALENDAR」は、当初レコードが存在せず、カセットテープのみでの発売だったそうですね。
カセットだけをお持ちの先輩方が多いんじゃないんですか~。
「ちゃんとCDで買い直した!」という方、どのくらいいらっしゃいますかね~。いや、このアルバムは先輩方の作品評価含め、その辺り結構微妙な1枚なのかもしれない、と思って。

 

これって一応コンセプトアルバムなんですよね(実際は、ジュリーパーソナリティーのラジオ企画が具体的に音源化したもの)。
それぞれの楽曲がカレンダーよろしく1月の歌、2月の歌・・・と順不同にあって、「BURNING SEXY SILENT NIGHT」は「サイレント・ナイト」ってくらいだから、当然12月の歌(てか、少しは伝授に季節感を出せよ、自分)。
で、この曲だけが作詞・作曲共にジュリー。
他の曲は作曲だけがすべてジュリーのペンによるもの。作詞は、職業作詞家さんではなく(湯川れい子さんだけ例外)、当時ジュリーの周囲にいらっしゃった有名な女優さんとか、女性歌手とか、女流漫画家さんとか・・・。

 

今のジュリーが、自作以外は必ず職業作詞家さんではない身近な女性に詞を書いて貰う、というスタイルを続けていることは、ファンなら誰もが知っています。
20年以上遡ったポリドール時代に、たった1枚だけそういうアルバムがあったのですね。

 

ジュリーはきっと、敢えて言えば素人っぽい、素直な詞が好きなのでしょう。
ジュリー自身の詞は、例えばアルバム「告白」収録曲などは私小説的と言われますが、基本的には「露出」ではなく「素直」な詞を書きたい、と思っているのではないでしょうか。

 

ジュリーは70年代初めから作詞・作曲という作業には貪欲でした。
初期の作詞については、安井かずみさんの影響が強く窺えます(「恋から愛へ」「15の時」など)。
一方では、自身を取り巻く状況をカラッとしたタッチで描く、という手法も多く見られ(アルバム「JULIEⅣ」収録曲など)、いずれにしても、完成度を追求するよりは、「歌いたいから詞にする」というスタンスのように思います。

 

ところが80年代に入ってからのポリドール期は、ジュリーの業界における”気障が似合うイイ男”というキャラクターが強く確立し過ぎ、歌に対して真剣であるが故に、ジュリーは涙ぐましいほどに、そのキャラクターに沿った歌詞作りをしています。
「BURNING SEXY SILENT NIGHT」もその中の1篇と言えるでしょう。
でも、考えてもみますと。

 

♪離ればなれ、きよしこの夜
  たまにいいぜ、ひとりぼっちも
  俺のこと思って、震えて眠ってみなよ♪

 

こんなナルシスト系の詞(しかも直球)、書くまではともかく、自分で歌う事までして恥ずかしくない歌手って、ジュリーくらいなモンでしょう。
僕は、この頃のジュリーの作詞は面白いと思いますよ。「ZOKKON」とかも何気に好きだったりします。

 

ただ、作詞の経験値を増すに連れ、ジュリーとしては「もっと歌いたい事がある!」というストレスが徐々に大きくなっていったでしょう。
この事は、事務所から離れた経緯と無関係でもないような気がしますが、いかがでしょう。
事実、独立直後の「灰とダイヤモンド」或いは「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」の作詞手法は、「BURNING~」とは全く違いますから。
ただ、70年代から80年代にかけてのジュリーの様々な作詞スタイル変遷は、現在の作品に大きな実りをもたらしている事は確かだと思います。

 

では、作曲についてはどうでしょうか。
こちらについては、天賦の才能を感じるのです、僕は。
「BURNING~」のメロディーは本当に美しい。この曲以外にも、ジュリーの作曲作品にはどんなアレンジにも耐え得る普遍的な美しさを擁するナンバーがたくさんあります。
「BURNING~」で言うと、間奏サックスソロの転調部とかは結構あざといアレンジですが、押しつけがましさはありません。それは、元の歌メロディーが良いからなのです。

 

アルバム「JULIE SONG CALENDAR」には、ジュリーの作曲キャリアの中で見逃すことのできないナンバーがいくつかあります。何より、アルバム全体を通して、イメージが重複してしまう似たような曲が無く、バラエティーに富んでいる事はもっと評価されて良いはずです。

 

アルバム収録曲で、「BURNING SEXY SILENT NIGHT」以外の僕のお気に入りは「ボンヴォワヤージュ」(詞・湯川れい子さん)、「Sweet Surrender」(詞・原由子さん)、「ラストスパーク」(詞・青島美幸さん)。
また、「す・て・き・にかん違い」(詞・多岐川裕美さん)については、相互リンクさせて頂いております「僕らは、いつも楽しい驚き!」さんにて、keinatumeg様が素敵な記事を書いていらっしゃいます。

 

さぁ、「カセットだけ持ってるけど、しばらく聴いてないなぁ」という先輩方、久しぶりにいかがでしょう?
エキゾチックスの演奏も、相当良いですよ!

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瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

はい。この歌好きです
クリスマスになると思い出します
この頃は特定の誰かを想定した作詞じゃなかったので
「お前」を自分に妄想して悶え死にそうでした(まだ乙女でしたから

私はジュリー作曲の歌が好きですが、ひいき目じゃなく
「この歌好き」と思うとジュリー作曲だった、という感じです
このアルバムでイチバンのお気に入りは「Sweet Surrender」
この曲が入っているからカセットを買ったのか
なにか特典がついていたから買ったのかはもう忘れましたがw
のちに一斉CD化された時にこれも入っていたので
CDも持ってます~

そうそう、ここで詞を提供してくれた多岐川裕美さんにお返しした曲(順序は逆かも)
「酸っぱい経験」?だったっけ
♪ショックだったわ~ という出だしがまさにショッキングで、けっこう好きですw


投稿: メイ | 2009年7月23日 (木) 22時04分

メイ様、いらっしゃいませ~。

久々に完全スルーのお題を書いてしまったか、と弱気になっておりましたが…さすがでございます。
このアルバムのCDも買われたのですね~。

なるほど、特定の相手に向けていない楽曲だと、ジュリーのお相手になれるという事ですか~。
さすがは女性の観点ですね、僕は考えた事もなかったです(当たり前か)。
それでメイ様は「告白」が……納得。

記事にも書きましたように、「Sweet Surrender」は僕もこのアルバムで好きな曲のひとつです。
初めて聴いた時には、「Wonderful Time」の返し歌のように感じました。
いいメロディーですよね。

多岐川さんの曲については全く知りませんでした。
♪ショックだったわ~♪
聴いてみたいです~。

投稿: DYNAMITE | 2009年7月23日 (木) 23時54分

DYNAMITE さん こんばんは。
完全スルーしていたわけではありませんよ。
色々紐解いておりました。

このカセットテープ リアルタイムでは買えず(資金繰りが。。)後年CDで購入しました。
手元には地元で'83 1月26日「MISS CAST」のコンサートで貰った
予約受付中のチラシが残っていました。
(ジュリーがラジオのマイクの前で頬杖付いてる写真付き)


*******************
3/5発売 予約受付中
予約特典:JULIEオリジナル卓上カレンダー

7月のテーマ曲「SCANDAL!!」が正月映画「男はつらいよ」の挿入歌に!!

TBSラジオ「夜はきままに」で放送される毎月のテーマ曲(S.57・4~S.58・3 )を集めた特別企画。

4月~1月までの曲目(他12曲+1曲)

 
********************

12月はCHI・SEI-君は誰ー
になってますから おそらく
♪BURNING SEXY SILENT NIGHTは+1曲だと思われます。

このラジオを聴いた覚えもないのでよくわからないのですが。。

♪BURNING SEXY SILENT NIGHT
'83 武道館 大阪
「沢田君からのメリークリスマス」
で歌われたそうです。
くれトモさんが今でも鮮明に出だしを覚えている と言ってました。
羨ましいです。

多岐川裕美さんに作曲した'82発売
♪黒のオートバイ
ジュリーがNHK 昼のプレゼントに出演した時
多岐川裕美さんが番組で歌ってたのを後日見ましたよ。

投稿: くれーぷ | 2009年7月24日 (金) 01時40分

こんにちわ。
私はこちらの常連の皆様ほどには極めたファンではないと思っておりますが・・・
このCD持ってますよ~。そしてこの曲好きです~。
DYNAMITE様の、隅々にまで届く御選曲にはいつも感激しています。
次は何かしら?と楽しみに日参させていただいてます。
今回もさすがという感じで嬉しかったです~。

投稿: oba | 2009年7月24日 (金) 16時13分

みなさま~

コメントありがとうございます!
やはり僕は、「伝授」などとは言いながら、いつの頃からか、記事を書いた楽曲について、みなさまの感想や貴重なお話が聞きたくて更新していたみたいです。

くれーぷ様

そうそう。そうでした!
このアルバムを買った直後、wikiか何かで読みました、そう言えば。
「BURNING~」は、13番目のオマケの曲だったんですよね。
だからこの曲だけ作詞もジュリー。
その事をすっかり忘れてましたよ。

「スキャンダル!」のお話は、知りませんでした。色々と逸話があるもんですねぇ、ジュリーの楽曲は。

それにしても、又聞きとは言え、くれトモ様。
83年の!
83年の~、ぶ、武道館ですと~!!

想像するだけで…トビそうです。

oba様

僕、oba様とかなり好みの曲が似ているかも知れません。
「雨だれの挽歌」の記事にコメント頂いた時に、そう思いました。
琴線のポイントが近いのでは、と嬉しく思ったものです。
「BURNING~」もお好きとは、素晴らしい!
とても励みになります。

これからも、メジャーなものから重箱の隅まで、色々な楽曲にチャレンジして参ります!

投稿: DYNAMITE | 2009年7月24日 (金) 23時41分

DYNAMITE さん
今頃は大宮で盛り上がっているのでしょうね。
50日ぶりのジュリーは?

♪スキャンダル
ご存知とばかり思っていました。
'82 12月公開 お正月映画
「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」

映画冒頭 寅さんの夢のシーン
ミュージカル仕立て「スケコマシのジュリー」が♪スキャンダル歌っています。

DVDも出てますしレンタルもできます。
お暇な時に~
http://shochikuonline.jp/cinfo/s/000000257a

投稿: くれーぷ | 2009年7月25日 (土) 19時18分

くれーぷ様

ありがとうございます!
82年の寅さん、と聞いて、「あぁ!」と手を打った次第です。
基本的なことでしたね・・・。

さて大宮。
盛り上がってまいりました。
エライ暑かったのですが、暑いネタMCは無し。

吉田拓郎さんに詞曲を依頼した事があったが「今は詞が書けない」ということで頓挫した、という新たなお話が。

その他、詳しいことは明日~。
おやすみなさいませ。

投稿: DYNAMITE | 2009年7月26日 (日) 01時19分

初めまして やっこと申します。
時々拝見して、するどい考察に感心しておりました。
お歴々の皆様のコメントも懐かしく拝読させていただきました。

お題の「BURNING SEXY ~」は、ちょっと
「決めてやる今夜(JULIE作曲の方)」にも通じるものがありますね。

皆様のおっしゃるとおり、この曲は
ラジオ「日産ミッドナイトステーション・沢田研二 夜は気ままに」の
JULIEが作曲する「今月の歌」の番外編で作られたようです。
手元のラジオ音源では82年12月22日放送でかけていましたが
もう少し前に出来立てのこの曲を
JULIEがギターで弾き語りした記憶があります。

83年の「沢田君からのメリークリスマス」
武道館は12月23・24日でしたが、私は23日のイヴイヴに行きました。
たしかメガネが配られ、JULIE登場前に当時最先端の3D映像を
上映したように思います。

懐かしい事を思い出させていただき、有難うございました。
曖昧な記憶で長々失礼いたしました。

投稿: やっこ | 2009年7月26日 (日) 21時43分

やっこ様

はじめまして!
コメントありがとうございます~。

この曲をジュリーが弾き語り!!
ラジオ全盛の、いい時代ですね~。

82年と言えば、僕も相当なラジオホリックでしたけど、このアルバムを購入するまで、番組の事は全く知りませんでした。

そして。
「手元のラジオ音源」とおっしゃいましたか!

渋谷でお会いした方々にもいくつか貴重な資料などを見せて頂いたりしましたが、タイムリーなジュリーファンのみなさまがお持ちの品々、あまりにも垂涎過ぎます~。

投稿: DYNAMITE | 2009年7月27日 (月) 01時33分

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