沢田研二 「船はインドへ」
from『JULIEⅥ ある青春』、1973
1. 朝焼けへの道
2. 胸いっぱいの悲しみ
3. 二人の肖像
4. 居酒屋ブルース
5. 悲しき船乗り
6. 船はインドへ
7. 気になるお前
8. 夕映えの海
9. よみがえる愛
10. 夜の翼
11. ある青春
12. ララバイ・フォー・ユー
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本日AMAZONさんから、予約商品発売日延期の通知メールを頂きました。
モノは言う間でもなく「Pleasure Pleasure」。
つまり。
これで少なくとも初日、6曲は知らない曲が演奏されるってことです、僕にとっては。
それもまた、イイものかもしれません。数ヶ月前とは違う!と自負してますから。僕が知らない曲=新曲ってことで(大丈夫かそんな事言って)。
問題は、CD購入をどうするか。
会場販売に参加する(と言うか、心強いお姉さまに売店モッシュをご依頼する)か、このままの状態で10日まで待つか、どっちにしたモンかで悩み中。
いずれにしても、ニューアルバム「Pleasure Pleasure」収録曲のタイトルだけはしっかりと頭に叩きこみ、「あ、これがスマッシュ・ザ・ロックかぁ!」くらいは反応できるような体勢で渋谷に参戦したいと思っております。
さて、「LIVEで聴きたい曲・勝手に伝授~Pleasure Pleasure編」も大詰めとなってまいりました。
今日のお題、これはもう、とてつもなく好きな曲。
この曲がお好きな先輩方も多いのではないか、と思ってます。名盤揃いの70年代アルバム群の中から、「JULIEⅥ~ある青春」収録のドラマティックな大名曲「船はインドへ」、僭越ながら伝授です!
アルバム「JULIEⅥ」は楽曲クレジットが珍しい作りの作品で、作詞・山上路夫&作曲・森田公一コンビと、作詞・安井かずみ&作曲・加瀬邦彦コンビがちょうど収録曲半分の6曲をそれぞれ担当。A、B面に3曲ずつ配置される、という、これは一種のバトル形式ですね。
アルバム全体に、「海」とか「船」というコンセプトがあって。
僕などは自分勝手に、アルバム「JULIEⅡ」の主人公の成長後の物語として、「JULIEⅥ」収録曲を聴いてしまっています。
また、僕はやっぱりコンセプトアルバムフェチなんでしょうか、ZUZU・山上さんそれぞれ、詞に似たようなシチェーションの曲がある、という作りが嬉しいんですよ。
例えば、”恋する船乗り”ってシチュエーション。
ZUZU&加瀬コンビが「気になるお前」で、山上&森田コンビが「悲しき船乗り」。
どちらもアップテンポ、ノリノリのバトルです。
そして、山上&森田コンビの「朝焼けへの道」と”海洋ロマンス”というシチェーション(なんだそれは)でバトルするのが、ZUZU&加瀬コンビの「船はインドへ」なのです。
とにかく、ピアノのイントロから、ラストの盛り上がりへ向けて徐々に昂ぶっていくアレンジと、多彩な表現を使い分けるジュリーのヴォーカルが素晴らしい。
オーケストラも参加していますが、ホーンセクションのメインがホルンってのが楽曲にドンピシャです。荘厳な感じがするんです。
例えば。
♪手を振れば 遠ざかる♪
「手を振れば♪」と「遠ざかる♪」の部分、ここは高音ピアノの緩やかな連打に合わせて呻くように歌われるのですが、その一瞬の隙間に豪快なオーケストレーション。
荒ぶるホルンに加え、ここはドラムスのフィルインも鬼神のようです。ちなみにこの曲、スネアのチューニングがかなり高いですよ。先日の「Shangri-la」の記事を参照してくださいね。
ヴォーカルは、1番Aメロと2番Aメロの表現が全然違います。
1番は、詞が過去のことを歌っていますから、淡々と歌います。ジュリーの声質でなければ成立しない「クールなのに情感たっぷり」という、あの感じですね。
2番では一転して、露骨とも言える感情移入表現。ここは、詞が過去の後悔(1番で語られる)を胸に砂浜をさまよう男の情景描写なのです。
ジュリーは、わななくように、上ずった声で歌います。
この歌唱スタイルは、のちに「いい風よ吹け」で結実しますが、
「歌に、心ごと身体ごと入り込む能力」
というのが、僕がジュリーの特性を第三者に説明する際によく使う言葉です。それを初めて実感させてくれた楽曲が、この「船はインドへ」なのでした。
アルバム収録のZUZU&加瀬さんの楽曲はどれも素晴らしいです。
先に述べた「気になるお前」は、ジュリー相当のお気に入りらしく、LIVE率の高さは往年のヒット曲をも凌ぐものがあります。
軽く作っているような印象を受けるかもしれませんが、「夜の翼」などはこのコンビならではの構成で、アレンジ次第ではシングルにもなり得たでしょう。
ちなみに、山上&森田コンビの楽曲もこれまた名曲ばかりなのですが、そちらについては、「朝焼けへの道」の記事をいずれ書きたいと思っておりますので、その時に。
つまるところ、アルバム「JULIEⅥ~ある青春」が、珠玉の名曲バトルで彩られた大名盤だということ。
未聴の方は、今すぐ聴くべし。
「JULIEⅡ」については僕の個人的な好みで発言している部分もありますが、この「JULIEⅥ」は、万人にとって名盤とされるべき作品だと思っておりますので。
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コメント
このアルバムは、伴奏がロックバンドではなく管弦楽団によるものだということで,古めかしさを感じさせる要素も有りますが、実に素敵なレコードですよね。
ボーカルは『JULIE Ⅱ』よりもふくよかに録音されていて,オーケストレイションとのバランスが程よいですしね。
〔朝焼けヘの道〕と,この曲。どちらも甲乙つけ難い名曲だと思います。当歌手の唄いかたは、音程の不確かさがあるにせよ,それも含め当時の魅力と個性が放たれていて「ジュリーらしさ」を味わえます。
伴奏のビートに少々後乗り気味でけだるく唄う沢田研二,が好きなんですょ。前乗りに急ぐように唄うショーケン,と対象的ですから、PYG時代の共に歌唱している様子を考えると興味深いし、それ以降のシンガーとしての萩原健一,も好ましく鑑賞してきました。
これは,「ジュリー〜ィ」な感じを醸し出すアルバムですねぇ、やっぱり,良い!
ソフト・メロウ・マイルド・ロマンチック,…これらも氏の醍醐味のひとつ,だと感じますぅ。
(投稿者の嗜好、もう判っちゃいましたかな?)
投稿: 鉛筆 | 2009年5月31日 (日) 01時10分
鉛筆様、いらっしゃいませ。
>伴奏のビートに後乗りでけだるく歌う
あぁ!そうです。それを書きたかったのでした!
「うめく」とか「わななく」よりも言葉として適切ですね。
さすがです。
「船はインドへ」の2番の歌唱は、本当にそんな感じですよねぇ。
これからもよろしくお願いいたします~。
投稿: DYNAMITE | 2009年5月31日 (日) 10時13分
「骨」とか「調べ」、「忘却」と「天才」もそうだし
今までも私にとって意表をつく単語の曲がいくつもありました。
「ハートの青さなら...」「インチキ小町」あたりはタイトル自体ヘンなの!
(ごめんなさいーー)とさえ思ったり。
でもどれもみんなダイスキになった曲。
今回も「インド?なんでまたインド...」とまず思って、
その後例に漏れずダイスキリストに入りました~
今のジュリーで是非聴いてみたいですねぇ。
新譜発売と、初日が重なるのは過去にあったんでしょうか?
ライブで、まだ誰の前でも演ったことない曲を全くはじめて聴く。
すごく貴重なことですよ、きっと。
私は、ポカンはできるだけ避けたいので
なんとか予習を。。と思ってましたが
今はその「はじめて」を楽しみにしてます~
お正月の「時計」みたいに、
きっと今回もDYNAMITEさんに
ご褒美曲がありますよ!
投稿: シロップ。 | 2009年5月31日 (日) 14時13分
シロップ。様、いらっしゃいませ~。
ありがとうございます~。
ご褒美曲のためにも、しっかり体調管理いたします。
ところで。
「インド」というフレーズはですね。
ロックだと思うのです!
「アメリカ」とかより非日常な感じがするんですよ~。
「船はニューヨークへ」
台無しでしょ~?
僕が今、ジュリーナンバーの「?」フレーズで格闘しておりますのは
「真夏・白昼夢」に出てくる
「芋洗ってる♪」
「いも」はロックなのか?う~む。
いや、大好きな曲なんですけどね。
奥が深い、ジュリー道。
投稿: DYNAMITE | 2009年5月31日 (日) 21時18分
大好きな楽曲です!
今でも時々、聞いています。
「ヴォーカルは、1番Aメロと2番Aメロの表現が全然違います。」
ということは、全然気にしてませんでした。
そう言われると
ちゃんと耳をすまして
きいてみたくなるんですよね。
何気なくいつもジュリーの曲を聞いているわけですが
こういう解説があると
また違った聞き方ができて
ジュリーの歌が何倍もおいしくなっちゃいます。
ところで、
ジュリー^の歌い方は90年代に入り
少し重い感じになっているように思うのですが。
重いにもいろいろあるのでしょうが
素人の私自身が感じることは
声がでにくくなっていたのかなあ~と。
苦しそうというか、、。
でも
そこらへんももし機会がありましたら、なにか感じることがありましたらぜひ、教えてください。
投稿: ナタリー | 2010年1月 5日 (火) 19時46分
ナタリー様
うわ~ありがとうございます。
こんなに遡って読んで頂けているとは…。
自分の記事が自分で懐かしい~。
「船はインドへ」は僕の
日替わり・ジュリーナンバーで一番好きな曲
の常連さんです。
大好きです!
90年代以降は、確かに高音域が厳しくなっている部分はあります。
「ZUZU SONGS」でジュリー本人もそんな事を言っていますね~。
その分、太い声になり、声が前に出やすくなってきていますよ。
もちろんどの時代もすばらしいヴォーカルですが、「自在に声が出る」のは最近のスタイルでしょうね~。
大阪厚生年金では
「その分、よう声が出る!」
と言っていましたよ。
どの分かは、ヒミツです!
投稿: DYNAMITE | 2010年1月 5日 (火) 23時19分