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2009年4月 5日 (日)

沢田研二 「アルシオネ」

from『耒タルベキ素敵』、2000

Kitarubeki

disc-1
1. A・C・B
2. ねじれた祈り
3. 世紀の片恋
4. アルシオネ
5. ベンチャー・サーフ
6. ブルーバード ブルーバード
7. 月からの秋波
8. 遠い夜明け
9. 猛毒の蜜
10. 確信
11. マッサラ
12. 無事でありますよう
disc-2
1. 君のキレイのために
2. everyday Joe
3. キューバな女
4. 凡庸がいいな
5. あなたでよかった
6. ゼロになれ
7. 孤高のピアニスト
8. 生きてる実感
9. この空を見てたら
10. 海に還るべき・だろう
11. 耒タルベキ素敵

---------------------

突然ですが僕は、「いわゆる無骨なロック楽曲のバックでアコースティックギターがガッシャンガッシャン元気よくコードを弾いてるアレンジフェチ」(長いよ)なのです。

意識こそしていませんでしたが、たぶん、中学時代ビートルズを聴きまくっていた頃にその嗜好はすでに刷り込まれていたのでしょう。
だからこそ、ロックパイル(ニック・ロウ)の「Cruel To Be Kind」を聴いて、その後ポップス寄りのパブロックにハマっていったんだと思います。

2000年リリース、ジュリーの記念碑的2枚組アルバム「耒タルベキ素敵」(耒の字がどうしても変換できず、Web上から拾ってまいりました)には、そんな曲がたくさん収録されています。硬派なアレンジに支えられて、威勢良く弾き倒すアコギ、この組み合わせが好きなんですよねぇ。DVDで「生きてる実感」を演ってる時も、下山さんばかり見てしまう、という。

今日はそんな「耒タルベキ素敵」の楽曲群の中から、アコギの使い方が一番僕好みの名曲を。
当ブログのコメント常連さん第1号(たぶん)のシロップ。様のリクエストです。感謝をこめて、「アルシオネ」伝授!

歌詞も素晴らしい、メロディーもキレイで(この曲も「届かない花々」同様、媚のない泣き曲です)、もちろんジュリーのヴォーカルも抜群に良い。アルバムの中でこの曲が一番好き、という方も多いのではないでしょうか。
僕もその一人ではありますが、聴き方がちょっと変。
一番好きな箇所はイントロ、浮遊感のあるシンセに護られてジャカジャカと鳴ってるアコギに、ベースとドラムスが突然絡んで、ヴォーカルに雪崩込むところなんです。

アレンジについては、白井良明さんに一任されていたのか、作曲者の伊藤銀次さんのサジェスチョンがあったのか、そこは定かではありませんが、オマージュ楽曲として、デヴィッド・ボウイの「スターマン」が挙げられます。これは、いかにも銀次兄さんの好みっぽいんですが。
「スペース・オディティ」から「ジギー・スターダスト」までのデヴィッド・ボウイは一貫して、どんな激しい曲でも、どんな壮大なバラードでも、果てはどんな変テコな曲であっても、とにかく元気良くアコギをかき鳴らします。
そこへ、ミック・ロンソンのギターを始めとする、妥協の無い尖った音が噛んでくるのが、アレンジの持ち味なのですね。

メロディーは全然違う曲なのですが、なぜ「アルシオネ」に「スターマン」へのオマージュが取り入れられたのでしょうか。
これはおそらく、歌詞に喚起されたアイデアだと思います。
「星」という単語からだけでなく、「天空を見上げる」とか「夜空から落ちてくる」というイメージ。
ストリングスが不協ギリギリの音階を奏でているのも、その産物のひとつです。

これは、ひとつには「耒タルベキ素敵」というアルバムが、パロディー的要素を多分に含んだ作品である事も踏まえての考察でもあります。
まずは、ジュリー自身の楽曲歴史のパロディー。大沢誉志幸さん作曲の「君のキレイのために」を挙げる間でもなく、その点については僕などよりもジュリーファンの先輩方の方がより楽しんでアルバムを聴いておられるはずです。
もうひとつ、このアルバムには、結構直球の洋楽パロディーがふんだんに盛り込まれているのですね。
「キューバな女」はサンタナのビッグ・ヒット「哀愁のヨーロッパ」であり、「everyday joe」はジミー・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ」であるとか。この2曲は洋楽にさほど詳しくない方でも、「あれっ、どっかで聴いたことあるような・・・」と感じるかもしれません。
「アルシオネ」も、実は結構な直球パロディーなんですよ。興味のある方は、「スターマン」の音源を探してみてくださいね。イントロ注目です。

あと、GRACE姉さんがジュリーに詞を提供し始めたのがこのアルバムからで、いきなり「アルシオネ」みたいな傑作を書いちゃうんですから、スゴい人です。本職ドラマーさんですよ・・・才媛です。
姉さん、宇宙ネタ、というか浮遊ネタがお好きのようで、この「アルシオネ」のパターンを応用したのが、次アルバム「新しい想い出2001」収録の「心の宇宙(ソラ)」、浮遊感を突き詰めたのが「忘却の天才」収録の「不死鳥の調べ」、といったように、彼女の詞もどんどん進化していきます。アルバム「耒タルベキ素敵」は、詩人・GRACE女史の出世作でもあるわけです。

で、最後に。
もう懺悔のしようもありませんが、僕は以前書きました通り、CD「耒タルベキ素敵」を紛失中であります。一応、音源も歌詞カードもさる筋から揃える事はできました(感謝)が、決して良い事ではありませんし、イバれる話でもありません。恥じ入る次第なのです。
思うところもあり、ここ1ケ月、人生で初めて自らの意思で部屋の掃除などしております。それでも現時点まで発掘には至っておりません。
ジュリー祭りの相方、YOKO君曰く
「プラケースのCDなら考えにくいが、ダブルの紙ジャケってのがポイント。おそらく「週刊プロレス」のページの間に挟まったまま捨てられたのであろう」
との名推理。

否定できん・・・。

あ。
本文とは関係ありませんが、音楽劇「探偵~哀しきチェイサー」参戦のみなさま、おつかれさまです。楽しいお芝居だったようですね。
拙ブログの「探偵~」伝授ページのアクセス数に、ちょっとビビっておりますです・・・。

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みなさまからのリクエスト伝授!」カテゴリの記事

コメント

おはよう 瀬戸口様

これはこれは今日の目覚め曲です!!
用事があるのでお先に失礼します...o(*^▽^*)o

投稿: 04 | 2009年4月 6日 (月) 07時33分

DYNAMITEさん こんばんは

「アコギ」がアコースティックギターということを初めて知りました

CD「耒タルベキ素敵」そうですね。
紙パック(?)ですものね。
目玉焼きだったり、6pチーズだったり、BOOKタイプだったりと、保存に困りますよね。
私は車で聴くのがメインなので、CDケースに入れ替えてます。
紙パックは滑らないので、雑誌に紛れ込むという可能性高しでしょうか。
無事発掘されることを祈っておりますわ

遅くなりましたが「探偵-チェイサー」も私の大好きな大好きな歌です
大好きな曲、沢山、沢山ありますけれど
初めてレコードを聴いた時、強く心に残って、映画のワンシーンを想像していましたよ。
♪ひんやりと重いコルト~~♪

投稿: みゆきママ | 2009年4月 6日 (月) 20時24分

こんばんは~

いやぁ、ジュリ勉を始めて4ヶ月弱
ドーム80曲中20曲しか知らなかったのに
伝授リクエストをお願いする日が来るとは。。
私事ながら
感慨深いものがあります(;´Д⊂

なんてどうでもいいですね。
すみません。

リクエストに応えていただいて
ありがとうございました。
いつも
「ステキ」「カッコイイ」「泣ける」
など直球な感想のみで聴いていますが、
そして、イントロ以降
ついついジュリーの声ばかり
ガン聴き(なんてあるのか?)してしまってますが、
私もスキかもしれません、
「硬派なアレンジに支えられて、威勢良く弾き倒すアコギ」
というヤツが。

デヴィッドボウイ、これまた未知の世界
ですが「スターマン」探してみます、YouTubeで。

紛失(廃棄!?)の件...
私も「GSILoveYou」の歌詞カード
失くしてます。。(CDは ありますよ!!)
それはやはり、紛失当時はジュリー愛が
まったく不足していたのだと、
思い知るしかないようです。。
今なら絶対失くさないのに....

投稿: シロップ。 | 2009年4月 6日 (月) 20時41分

みなさま、今日もコメントありがとうございます!

04様

朝のおでかけ前の忙しいときに、遊びにきてくださっているのですね…。

ありがとうございます。
僕の記事、いつもややこしい長文で申し訳ないです…。

みゆきママ様

僕が、数あるジュリーCDの中で一番収納に困っているのは「明日は晴れる」!
アレは一体、どうしろ、と…?
壁にかけとく…とか…なんでしょうか?

「探偵~哀しきチェイサー」は、楽曲として、先輩方の人気は相当高いようですね。
「生きシア」ツアーはさぞかし大騒ぎだったことでしょう…うらやましいです。

今年はどうでしょうねぇ。
ともあれ、みゆきママ様が、無事予定通りにすべての会場に参戦できます事を、祈っております。
なんたって、安城。
僕は、みゆきママとドキドキ、の予定でございますので。

シロップ。様

かたじけのうございます。
もはや、僕にとってははるか仰ぎ見なければいけないお方のリクエスト…ずいぶんお待たせしてしまいました。

ジュリーの声をガン聴き、って、それが結局一番正しい聴き方なんだと思います。
僕は言わば、過剰分析マニアなので、「そんな聴き方もあるのか~」程度で何卒…。

「探偵」のお芝居、行かれるんですよね。
しばらくメイ様のトコに行くのはガマンした方が良いです。
「探偵」の痛快なレポを書いてくださってます。
ネタバレってお断りして下さってるのに、面白過ぎて全部読んじゃいますから、たぶん。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年4月 6日 (月) 23時55分

すいません。人のネタバレは禁止、自分は痛快にネタバレのメイです(^^ゞ

「来るべき素敵」の時に白井良明さんが
「隠しメロディをいっぱい仕掛けたのでそれも楽しんで」
というようなことを書かれていたのですが
私は「青い鳥」しかわかりませんでした
洋楽系だったのですね~
わかる人には楽しいアルバムだったんだ

紙パックでも通常サイズの物はちゃんとありますが
目玉焼きもゴールドディスクも忘却ブックも
パッケージだけで中身が見あたりません(号泣)
ケースを移し替えた後、どっかに紛れ込んだものと。
私も掃除します

投稿: メイ | 2009年4月 7日 (火) 00時21分

メイ様

本当に痛快なレポで堪能いたしましたよ~。

目のつけどころが独特なんですよねぇ、メイ様の文章は。
あと、みなさん、笑う準備をしてから読んでおられると思います(僕だけ?)。

CDだけ抜き出して保管している方々は多いんでしょうね。2002年以降のあの形態のヤツは。

僕は残念ながらタイムリーで購入しておらず、ほぼ一気買いでしたが…
先輩方のお部屋に、毎年毎年おかしな形のアルバムが所在もなさげに増えていく様子を想像すると、ちょっと笑ってしまいます~。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年4月 7日 (火) 23時18分

こんにちは。

やっと…やっと、伝授曲に知った歌がきました!

こちらでオススメいただいたこのアルバム、まさにどの曲も順番のつけようのない、素晴らしい作品の数々。

この曲、声をのばす…気持ちよさげな、ちょい上を見つめて歌うお姿を妄想してしまいます。
勿論、ガンガンジュリーも最高!なんですが、「アルシオネ」「月からの秋波」「確信」が好きです。

「月から~」は、「怖ぁい!」でいつもずっこけます…。

「確信」は私には別格です。
ジュリー祭りで、初めて聞いて心に残る歌詞とメロディでした。知らない曲ばかり最初にきて呆然とする私に(わ・た・し・に、って?)、ジュリーは言いました。
「ごめんねぇ、知らない曲ばかりで。でもね、こんな曲も私はずっと歌ってきたんですっ」
(確かこんな感じでした)

…もう、ついていこう、と決めました。わからんなりに、必死で聞いていました。

そして「確信」収録アルバムを購入し、「アルシオネ」にも出会い、またまたオススメアルバム「G.S.I LOVE YOU」を入手したら、中学生の時からタイトルがわからず聞きたかった「CAFEビァンカ」にも巡り会いました!

ほんとに、もう瀬戸口様サマです。お礼申し上げます!
えらい「アルシオネ」から脱線しましたが、名曲は名曲を呼ぶ、ということですね。
長文、大変失礼致しました。

投稿: wine | 2009年4月10日 (金) 11時00分

wine様、いらっしゃいませ~。

名盤が名盤を呼び、名曲が名曲を呼ぶ。
本当にそうなんですよ~。

「月からの秋波」も名曲です。
「確信」は、wine様と同じく、ドームの印象が強いですね。かなり前半で来ましたしね。

僕も新規堕ち組ですので、次から次へと、聴いた事の無いアルバムを買い求めましたが、それはそれは、至福の時期でありました。

よく皆様から「聴いた事のないアルバムが多くて…」というコメントを頂いたりしますが、それはとてもうらやましく、幸せな状態であると思います。
僕は、残すところあと1枚になってしまいました。なんだか寂しいのです。

と、思っていたら、ニューアルバム情報が…。
wine様も、まずはニューアルバム、ツアーに向けて要チェックですよ!

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年4月10日 (金) 22時02分

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