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2009年3月 1日 (日)

沢田研二 「湯屋さん」

from『JULIEⅣ~今 僕は倖せです』、1972

Julie4

1. 今 僕は倖せです
2. 被害妄想
3. 不良時代
4. 湯屋さん
5. 悲しくなると
6. 古い巣
7. 
8. 怒りの捨て場
9. 一人ベッドで
10. 誕生日
11. ラヴ・ソング
12. 気がかりな奴
13. お前なら

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「きめてやる今夜」、渋谷・神戸とも大盛況、大興奮、大絶賛の中、無事終了しましたようで何よりです。
無念の欠場となってしまった瀬戸口ですが、先輩の皆様のそれぞれに個性的なレポートや、愛のあるコメントに助けられ、何とか少しばかり参戦していたような気分になってきました。
仕上げに今回のセットリストの中から1曲伝授致しまして、自分の中の「きめ今」を完結させたいと思います。よろしくおつきあい下さいませ。

選曲、迷いました。まず「ブラウン・シュガー」を考え、「アイム・ダウン」「朝日のあたる家」「ツイスト・アンド・シャウト」・・・散々迷いましたが、ここはやはりロッケン・ジュリーとロッケン・YUYAに敬意を表して、直球投げとこうか、と。
アルバム「JULIEⅣ~今僕は倖せです」から、痛快なロックンロール・ナンバー「湯屋さん」、伝授!

風呂屋の息子・湯屋ちゃん♪
とは、もちろんシェケナ御大・内田裕也さんのこと。作詞はジュリー、作曲もジュリー。と言うより、この「JULIEⅣ」収録の全13曲は、すべてジュリー自身が一人で書いたナンバーなのです。

最近、「シングル・コレクション」を購入したり、70年代のLIVE音源を聴いたりして一番驚いたのは、ジュリーが当時、自身の書いたオリジナル曲の発表の場を求めて奮闘、そのクオリティーを強く主張していた、という事実。
考えてみれば、阿久=大野ナンバーでガッチリ固められていた時代を除き、ジュリーは常に作詞・作曲という仕事に貪欲に取り組んでいたのでした。ちょっと見逃しがちな歴史ですね。
ただ、ソロデビュー当時はそんなジュリーの優れたオリジナル曲も、レコード戦略の面からなかなかアルバム収録のOKが出ず、LIVEのみの演奏や、レコーディングされたとしても、シングルB面でのリリースに甘んじていたようです。
最近「シングル・コレクション」で初めて聴いたジュリーの作曲作品はどれも非常に凝っていて、「A面を食ってやる!」くらいの気合を感じました。ファーストシングル「君をのせて」のB面がジュリー作詞・作曲であった事だけでも、充分驚きましたが。

そうやってジュリーが磨き上げていった才能を一気に解放させる時が初めて訪れたのが、アルバム「JULIEⅣ」。前年の「許されない愛」大ヒットを受け、事務所がご褒美として「好きなように1枚アルバムを作ってよし」と、プロデュースまでジュリー自身に任せたという流れだったようです。
ジュリーは喜んだでしょう。目に見えて、好き勝手やってます。
この頃はまだ、「PYGのジュリー」として自身を位置づけていた事もあり、ジュリーはある意味内輪ウケとも言えるプロデュースに走ります。
「歌謡曲では、ラブ・ソングを歌うのが当たり前」という商業戦略からも解き放たれ、ほとんどの楽曲で「友情」、あるいは「家族」といったプライヴェートな人間関係をテーマに作りこまれたアルバム・・・ジュリーの歴史において、ここまで徹底して不良少年なコンセプトを持つアルバムはこの1枚のみです。

そうなるとジュリーも、恩人・裕也さんの事を歌わないわけにはいきません。
70年代のジュリーは、最近とは逆で、まず詞を書いた後にメロディーをつけていく、という作曲方法だったと推測されますが、裕也さんに捧げる詞「湯屋さん」に合わせてジュリーが選んだコード進行は、ズバリロックンロール!シンプルなスリーコードを骨子に、痛快の極地を目指しました。
スリーコードのロックンロール楽曲のスゴイところは、例えば初対面のバンドマン同士が「あの曲知ってる?」と、いきなりセッションを始め、会話するよりも早く、演奏を通じてお互いすぐに打ち解け合ってしまう、という魔法の力を持っているという事です。
そんな楽曲を、普段から気の合っている仲間同士で演奏すれば、どうやったってパーティーになります。「湯屋さん」から滲み出る、何とも楽しげな雰囲気は、ジュリーがこの曲をスリーコードのロックンロールに仕上げた時点で、既に約束されていたと言えます。
イントロのちょっとひねってウキウキした感じや、3番でCからDへ跳ね上がる転調などは、リハを重ねていくうちにバンドメンバーでアイデアを出し合って固められていったのでしょう。
間奏のリードギターが、通常のミドルエイト(8小節)どころか、48小節もの尺を取っているのもポイントで、24小節ずつ、それぞれスライドのアコギとエレキギターの叩き合いになっています。
この間奏部、「きめてやる今夜」の演奏では一体どのような流れだったのか、個人的には非常に気になるところです。
また、この手の楽曲では「やたらと元気のいいコーラス」というのも外せません。できるだけ複数で、ラフに歌うのがカッコいいのです。ですから、「きめ今」で観客一体となってコーラスをやった、とお話を伺った時には、うらやましくて仕方なかったです(半泣)。

僕は、ジュリーが大先輩・大恩人の裕也さんの事を「ちゃん」付けで歌うのがイイんだよなぁ、と思います。
僕自身、会社の若手の連中や、年下の音楽仲間にタメ口叩かれるのが好き、という変なヤツで、さすがに職場では「瀬戸口さん」と呼ばれますが、食事や飲みに連れていくと全員呼び方が「せとやん」に変わる(笑)。
散々後輩にいじり倒されて、結局食事代は全額持つ。まぁこの年で独身だから出来る事なのでしょうが、そんなキャラは自分自身で気に入っている、数少ない面のひとつです。
比較するのは大変おこがましいのですが、裕也さんもそんな人なのかなぁ、と思ったり。69才まで生きているとしたら、そんな風でありたい、とも思います。

アルバム「JULIEⅣ~今僕は倖せです」、他の収録曲の話をしますと、まず一番有名なのは「不良時代」。ドームでは第2部の1曲目でした。おかげでトイレ行きそこねました。
同じくライブ率の高い曲が「涙」。演奏時間の短いバラードで、これもドームで演りましたね。第2部の3曲目でしたが、瀬戸口はここでトイレに行きました。ジュリーごめんなさい!
タイトルチューンの「今僕は倖せです」。とても良い曲です。ちょっと変わったコード進行、この辺りは作曲家・ジュリーの主張が見えます。
他では、当時の洋楽アレンジへのオマージュが窺える「ひとりベッドで」と「お前なら」が好きで、「ひとりベッドで」での、意表をつくアコギ単音とベースのユニゾンによる瞬殺ブレイクにヤラれ、自作曲でその部分だけパクったりしてます。

あと、文句なく楽しげな歌詞カードが素晴らしい。これもパクりました。
歌詞部(ジャケも)はジュリーの直筆。非常に自己主張の強そうな、尖った字を書くんですね(笑)。
それでイイんです。ロッカーなんですから!

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瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

「決め今」で1曲を、と言われれば迷うところで
好きなのはCANDYとwhisperですが
これは裕也さんとのジョイントには関係ないしなあ

いちばん楽しかったのは「湯屋さん」ですが
楽しいのは歌じゃなくて、合間のかけ合いだったし^^
(コーラスではないんです)
裕也さんに「起きてー!」と呼びかける機会なんて他では絶対ないでしょうから

2コーラス歌って、間奏の部分がかけ合いタイムだったので
瀬戸口さんが期待されるようなギターの叩き合いはなかったと思います(たぶん)

今まで聞いた「湯屋さん」は鼻歌的なシンプルな音でしたが
あんなゴージャスなバックで聞くと全然感じが違いました
ちゃんとした(笑)ロックンロールなんや!
♪ロックンロールな湯屋ちゃ~ん
というところが好きですv
あんなに長い間奏?の後でもきっちり転調してました

投稿: メイ | 2009年3月 1日 (日) 20時03分

メイ様、いらっしゃいませ~。

本当に、今回のメイ様のレポは素晴らしかったです。
僕にとっては総まとめ。
あらためまして、どうもありがとうございました。

「CANDY」の大暴れは観たかったですね…。
あと「Whisper」は、みなさん意外な選曲だったのではないですか?
明らかに、他の曲と毛色が…。
やっぱり、クルクル回るんですね、あの曲。

豪華なバックで「湯屋さん」。
それだけでうらやましいのです。

何とかもう1度、同じメンバーでの再公演を!
今は、その思いだけです~。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年3月 1日 (日) 22時58分

このコンサートがおこなわれた同日に都内某ホールにて開催予定だった[井上尭之さんのバンドコンサート]に行くつもりでした。…チケットは払い戻し受けました。
裕也さんや加瀬さんやムッシュと同様に続けてほしかった望みと,寂しい気持は隠せませんが、予感もありましたし,尭之氏はロックしつづけるというよりも表現を模索するタイプのアーティストなので、納得できます。

さて、アルバム『JulieⅣ』は吉野金次さんの遊び心を感じさせる工夫を感じます。歌声は自然に録れていますねぇ。

あと、ジュリーは字が巧い。絵心ならばショーケンの持前ですねぇ。両者のレコードジャケを開いてて判ることですが。。

投稿: 鉛筆 | 2009年3月 4日 (水) 01時22分

>>ジュリーが磨き上げていった才能を一気に
解放させる時が初めて訪れたのが、
アルバム「JULIEⅣ」

この1文だけで
ポチッとするのに十分な説得力、いいえ
伝授力がありますね~。
ちょっと自粛期にしてるので
今すぐってわけにいかないですが。。

私にとっては「湯屋さん」も新曲ですから
すごく楽しみです!

投稿: | 2009年3月 4日 (水) 01時27分

すみません、
↑私でした~

投稿: シロップ。 | 2009年3月 4日 (水) 01時29分

はじめまして。いつも楽しく読ませ頂いております。「きめ今」で多分ご協力出来る事があります。メールを頂けると嬉しいです。 もし、ACTまで辿り着く事がありましたら、ACT宮沢賢治のベートーベン運命にのせて歌われた「雨にもまけず」を伝授お願い致します。ACTは普段のコンサートでは聞けない歌の宝庫です。

投稿: わるい奴 | 2009年3月 4日 (水) 08時20分

みなさま、コメントどうもありがとうございます!

鉛筆様

ちょうどその日が尭之さんの…
そうだったのですか…。

実は僕は、ジュリーに堕ちるずっと以前から、尭之さんの音にはそれとは知らずに堕ちていたんですよ。
「太陽にほえろ」のサントラが、子供の頃から大好きだったんです。
トランペットの練習は、無理矢理自分で譜面起こしてまで「青春のテーマ」とか「仲間のテーマ」とか。

ジュリーに堕ちる資質は、しっかり自分の中に蓄えられていたのですね。

吉野さんのこと、勉強になりました。
言われてみればクレジットの字が大きい。

ジュリーの字は、ハネる部分が入魂の筆致で、特徴があります。
加えて、すごく几帳面で丁寧。
文字の配列もキレイですよね。

シロップ。様

あ~自粛期なんですか~。
実は僕もそうなんです。
でも。
初期で言うと、「JULIEⅡ」「Ⅳ」「Ⅵ」「いくつか」「チャコール」は持っておいた方がいいですよ~。
マチガイないですから!
ただ、あんまり夏ツアーの予習にはならないと思う…。

会員さんには、スケジュールの通知が今日来たみたいですよ!

わるい奴様

って、すごいハンドルネーム!

ACTについては、しばらく前に「別館ジュリー」のメイ様が「シェイクスピア」の過去レポを書いておられて、そちらを読んで非常に興味を持っているのですが。
なにせ入手が。
オフィシャルでは普通に注文可能らしいのですが、何故注文方法がFAX…?

道は険しいです。

仕事柄、全くの無知ではないとは言え、僕に果たしてベートーベンの伝授などできるのでしょうか?
う~む…。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年3月 4日 (水) 21時41分

しゃん様が載せてくださってますね!
非澤会員としては
ほんっとにありがたいです(;´Д⊂

「未曾有」の呪縛で
期待よりも不安でいっぱいになっちゃってるんですが
日帰り可範囲で、tryしてみます・・


投稿: シロップ。 | 2009年3月 4日 (水) 23時22分

シロップ。様

夏が来ますねぇ。

メール送らせて頂いていますよ。
連携して、争奪戦に臨んで参りましょ~!

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年3月 4日 (水) 23時55分

おひさしぶりですこんばんわ。
いつも、なるほどそうだったのかと納得やら感心やらで楽しく勉強させていただいております。
私事で恐縮ですが、私がジュリーを発見した1977年当時の「じゅり勉」は、瀬戸口さんとはだいぶ違い、今にして思えば簡単でした。動画はないし、レコードもショップに行けば注文しなくても並んでいましたから。
そんな中で見つけたこのアルバム、装丁はちょっと胡散臭くて何これ?なんですが、一度聴いてびっくりしました。
そして沢田研二という「人間」が大好きになりまた。
これが根底にあるから、その後作り込んで歌を演じている時代にも納得してついて行けたし、セルフプロデュースになっても「今僕~」の発展進化形として聴き続けていられるのだと思います。
そういう意味では私にとっては基本の1枚で、30数年を経て「決め今」で存在感を示せたのがとても嬉しいです。

投稿: M・U | 2009年3月20日 (金) 22時15分

M.U.様、おひさしぶりです~。

同感なのです。
ジュリーって基本的に、自分の言葉で歌いたい人なんですよね。
だって、他の作詞家さんが書いたものでも、あれだけ詞の世界に没頭して歌う人ですから、自作の詞と曲の場合は、そりゃ気持ちの入り方も違うでしょう。

僕は後追い組ですので、ジュリーのセルフプロデュース期のアルバムを一気に聴きましたが、やはり「Ⅳ」のイメージが頭にありましたよ。

しかし。
レコードショップに行けば、普通に並んでいた時代があったんですねぇ。

レコード版の「Ⅳ」って、見てみたいんです。
あのジャケと字を、特大サイズで見たい~♪

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年3月21日 (土) 11時47分

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