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2009年1月17日 (土)

沢田研二 「MITSUKO」

from『TOKIO』、1979

Tokio_2

1. TOKIO
2. MITSUKO
3. ロンリー・ウルフ
4. KNOCK TURN
5. ミュータント
6. DEAR
7. コインに任せて
8. 捨てぜりふ
9. アムネジア
10. 夢を語れる相手がいれば
11. TOKIO(REPRISE)

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明日は名古屋ですね。
「奇跡元年」セットリストのネタバレ自主規制のため、「24日の東京最終日まで更新を控える!」と先頃宣言しましたが、今や”ジュリーについて語る事が最大の至福”状態の瀬戸口は、そろそろ更新に飢えてまいりました。
東京ドーム参戦の相方・YOKO君に相談したら、「正月コンサートと関係ない曲を伝授すりゃいいじゃん」とのお言葉を頂きました。「そっか~!」って軽いな俺!
というわけで、ポリドール時代のアルバム収録曲でもピックアップして伝授してまいりたい、と。「奇跡元年」演奏曲目については一切触れませんので、セットリストを楽しみにしていらっしゃる名古屋・大阪・そして東京最終のチケットをお持ちの諸先輩方も、安心しておつき合い下さいますよう。

 

さて、今回瀬戸口が11日のCCレモンに急遽参戦して、一番迷惑を被った、というか地団太を踏み悔しがった男は、前述のYOKO君なのである。彼はどのみち東京公演日はすべて仕事とカチ合っていたので参戦はハナから無理だった。昨年暮れに瀬戸口が「正月のチケットがとれん!」とわめいていた頃は、「夏に二人でアッチッチ」と余裕かましていたYOKO君だったが、色々あって瀬戸口は行ける事になった。これだけで相当悔しかったはずだが、彼にとっての悪夢は、11日以降に待っていた。平日の深夜、0時から午前3時に渡り、瀬戸口からの長電話にて、演奏順に、セットリストすべての楽曲の様子を一部始終解説され自慢される、という試練がYOKO君を襲った。勿論、二人とも翌日は普通に仕事の日であった。
今日は、そんな気の毒なYOKO君の大好きな曲を紹介したいと思う。アルバム「TOKIO」から、最高にシブいラブ・ソング「MITSUKO」、伝授!

 

YOKO君とジュリーの決定的な出会いは、小学生にまで遡るという。彼の叔母さんが大のジュリーファンで、叔母さんの家に遊びに行くと、いつも部屋でジュリーが流れている、という状況だったらしい。
数年前のポリドール時代のCD再発時、瀬戸口と共に再発アルバムを聴きまくっていた頃、「いくつかの場面」や「チャコール・グレイの肖像」を聴いたYOKO君は、「叔母さんの部屋の記憶が鮮やかに甦る」とさかんに言っていた。きっと、「時の過ぎゆくままに」や「コバルトの季節の中で」が繰り返し流れていたのだろう。
その叔母さんの名前が「ミツコ」さんなのだそうだ。ジュリーの歌と叔母さんの記憶がリンクしているYOKO君は、アルバム「TOKIO」で2曲目「MITSUKO」を聴いた瞬間、ある種トラウマ的な引きずりこまれ方を体験したらしい。瀬戸口がCCレモンに一人で行く事が決まった時、「俺が行かないライブでMITSUKOを演るのだけは勘弁してくれ~」と哀願していた。俺に言われても、ねぇ。ていうかどう考えても、今後も含め、まず演らないじゃん、万が一演る時は、絶対あなたはその場にいるよ、と瀬戸口は何度も諭したのであった。

 

ジュリーの楽曲で、当時まだブレイク寸前の状態だった糸井重里さんが作詞を担ったものが、僕の知る限りで4曲存在する。有名なのは大ヒットシングルの2曲「TOKIO」と「恋のバッド・チューニング」。残りはアルバムの収録曲で、「G. S. I Love You」のトップを飾る「Hey, Mr. Monkey」、そしてこの「MITSUKO」がそれである。80年代の寵児とも言うべき糸井さんのブレイクに、ジュリーは一役も二役も買ったわけだ。
(1月28日註:すみません。これまたYOKO君大好きな「みんないい娘」(アルバム「BAD TUNING」収録)を忘れてました。申し訳ありません。)
MITSUKO、とローマ字表記なのはちゃんと理由があって、これはいわゆる源氏名というヤツなのである。

 

♪会えなくなる日が来るより先に
本当の名前を聞けば良かった♪

 

2番の最後、この2行で明かされるまでは、「MITSUKO」の素性はミステリアスに描かれていて、とてもドラマティックな詞である。詞の才能のある方は皆そうなのだが、ほんの一瞬のワンシーンを採り上げるだけで、言葉や物語が無限に展開していく。「MITSUKO」だって、詞の世界をワンシーンでひとくくりに言うと、「朝起きたら行きずりの女性がいなくなっていた」という、ほんの一瞬を題材にしたものなのだ。
作曲は加瀬邦彦さんだから、名曲は必然。「TOKIO」「恋のバッド・チューニング」もこのコンビである事を考えれば、ほんの限られた数曲だけで、彼等はものすごいレベルの仕事をしている。

 

アルバム「TOKIO」は、ジュリーの音楽性がロックへと本格的に転換していく、その第一歩として位置づけられる。ここではまだクレジットは無いが、エキゾチックスのメンバーが絡み始めている事もあって、前作「LOVE~愛とは不幸を恐れないこと」とは全く音作りが違ってきている。明らかにこのアルバムでは、ロックバンドのサウンドに転じている。
したがって、「ミュータント」のような、ロックを意識していなければあり得ない楽曲も収録されている。そんな中、それまでのジュリーの音と、ロック或いはブルースがイイ感じで融合されている曲がいくつも聴けるのが、アルバム「TOKIO」の最大の特徴。「MITSUKO」や、「捨てぜりふ」はその最たるものだろう。

 

ちなみに、アルバム収録の「TOKIO」は、シングルとはヴァージョン違い(「ロンリー・ウルフ」は同じだけどね)。尺が長めだし、ヴォーカルも違います。特に、フェイドアウト間際のジュリーの「トキオ~」という、半分雄叫びのようなヴォーカルは必聴かと。
アルバムをお持ちでない方は、この機に是非どうぞ。

 

 

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瀬戸口雅資のジュリー一撃伝授!」カテゴリの記事

コメント

はじめまして
ジュリーを音楽的に解説されているのが嬉しくて、
いつも興味深く読ませていただいてます。
MITSUKOいいですね〜。
ただ「源氏名」じゃなくて、
香水じゃないかなって。
どうかしら?

お邪魔しました。
これからもいっぱい伝授してくださいね〜!

投稿: ねこママ | 2009年1月18日 (日) 02時16分

コメントどうもありがとうございます!
恥ずかしながら私、「香水」という呼称を知りませんでした(汗)。御伝授ありがとうございます。
よくYOKO君と「MITSUKOがカラオケであったらなぁ」という話をします。でも「ジュリーファンでもなかなか知らない曲なのかも」と言ったりしていたのです。
ですから、仲間内以外の方が「MITSUKOいいですよね」とおっしゃってくれたのが、なんだかとても嬉しく思われます。
やはりマニアの間では、人気の高い曲なのでしょうか。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年1月18日 (日) 18時03分

こんばんは。

11日にコメントさせていただいた者です。

今回伝授の曲についてでなくて恐縮です。
遅ればせながら、ドームのレポ、じっくり読みつつ勉強中です。
師匠と呼ばせてください!
それがだめなら部長(ジュリー部)!
いやしかし、ドームで懲りているにもかかわらず またまた勉強せずに 
CCにも行ってしまった自分は何なのか。
恥ずかしながら、ドーム時 知ってる曲はほぼ1/4。。。「そのキス」さえ知らなかったんだから。
アリーナに10年早いどころか
ライブに10年早かった。。。
そして
すごくうらやましかったのは
YOKO君氏との殴り合い。
そんなお互いのツボを分かり合う同志とジュリーにいくなんていいですねぇ。
2階席そんな盛り上がりだったんですね~
余談ですが 1階3塁側には
中盤、なんとみかんを食べている御仁がッ!!
ジュリーですよ、ジュリー祭りで生の熱唱ですよあなた。。なのにみかん。
ビックリしました。

私的には 「階下にダイブする」曲は
「お前がパラダイス」でした。
がしかし、そういう気持ちにはならなかった。振りがぜんぜん違うのもあったけど
1部では私にはどの曲もしんどそうにみえてしまい、「だいじょうぶ?」という気持ちが半分くらいか。
やっぱりヴィジュアル先行の自分、初ライブの自分には 還暦のジュリーはムリだったのかも。。。
と思ってたら、来ました。
来るのに47曲かかった。
「あなただけでいい」初めて聴く曲だったけど たとえていうなら ステージからジュリーが走ってきていきなり肩をつかまれて口づけされたような衝撃でしたよ。 泣いたー。
瀬戸口さん「本当にこれが60歳の声だろうか」と書いていらしたけれど、まさにその思いだった。
あんな愛の歌を歌える60歳が他にいるだろうかと。
いくらなんでも48曲目で気づくのでは遅すぎるとあきれてらっしゃるでしょうか。
ええ、いつもそうなんです、私なんでも人より遅いのよ。。。
それ以降は知ってる曲だろうが知らないやつだろうがお構いなしに ジュリーの声と歌に
溺れ、そして現在に至るというわけです。
コメント欄なのに非常識な長文失礼しました。
読んでいただけたならありがとうございます。
また勉強が進んだら 報告させてください。部長(ジュリー部)!


投稿: シロップ。 | 2009年1月18日 (日) 23時30分

コメントありがとうございます!
丁寧に読んで頂けているみたいで、とても励みになります!
恥じることはありませんよ~。僕がCCレモンに参戦して改めて感じた事は、「ジュリーはライブに行ってナンボなんだ!」ということなのです。
諸先輩方の中にも、CDはそれほど持ってないけど、ライブでどんどん曲を覚えた、という方が結構いらっしゃるのではないか、そう思いました。
シロップ。様がドームに引き続いてCCレモンに行かれた気持ち、よくわかりますよ!
僕は今回のCCレモン、知らない曲は1曲という結果でした。勉強の成果もあったとは言え、僕にとってはラッキーな選曲だったようです。
しかし、その知らない1曲、というのがものすごく良かったのです。これがライブの醍醐味なんだ、と思いました。シロップ。様は、東京ドームでの「あなただけでいい」がそういう曲だったのでしょうね!

「師匠」は勘弁してください~。さすがにそれは、気合の入ったジュリーマニアの先輩方に申し訳ないです。
そういえば、先日YOKO君から「瀬戸口さん、アンタこの調子でブログ続けてると、ジュリーのライブ観た後に、初対面の人達を引き連れてカラオケ仕切る日とかが、そのうち来るよ!」と脅されました。そうなれば、「部長」と呼ばれても仕方ありません。それもまた、先輩方を差し置いて恐縮な話なのですが、言われてみれば、本当にそんな日がいつか来るような気もします。
そうなれば、シロップ。様ともいつかお会いできる日が来るかもしれませんね!

また遊びに来てくださいね~。勉強の報告、楽しみにしております。お互い精進していきましょう!

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年1月19日 (月) 00時45分

瀬戸口さん、はじめまして。
ドームコンサートのレポ検索中におじゃましまして、ジュリー関連だけ(すみません(笑))読ませて戴きました。
それから、勝手にお気に入りにさせてもらって、更新のたびに楽しく拝見しております。
お若い(私よりはという事で(笑))男性の方が、ジュリーを熱く語るのは嬉しいものです。
で、糸井さん作詞の件で、ちょっとお知らせ。
「TOKIO」で始まった80年。
この年は、シングル4枚とも1曲づつ作詞されてますね。
前半2曲は、ご指摘の「TOKIO」と「バッドチューニング」。
後半は、どちらもB面で、「嘘はつけない」(加瀬邦彦作曲)、「クライマックス」(沢田研二作曲)。
どちらも大好きな曲です。
特に、ジュリー作曲の「クライマックス」は凄いですよ~。(笑)
例の3万円で、体感して下さい。
感想をお待ちしてます。(笑)
長々と失礼いたしました。

投稿: choco-j | 2009年2月23日 (月) 02時17分

choco-j様、はじめまして~。
コメントどうもありがとうございました!

最近「以前から読んでました」とおしゃって頂ける方がチラホラと。
いや~嬉しいと同時に少し恥ずかしいのです。
僕が、ドームの不勉強状態から、必死こいて頑張ってきている様を、追っかけて読んで下さっているのかと思うと。

でも、嬉しい事には変わりありません。力になります!

そして。
すごいタイミングですよ。
「MITSUKO」の記事に、糸井さんのB面曲のこと、加筆しなきゃ、と思いながらも寝てしまったのが、昨夜の話です。
寝てしまったおかげで、こうしてコメント頂けたんだから、もう書かないでいいや~。
ありがとうございます(爆)。

2曲とも、いい曲ですよねぇ。
JULIEのB面曲がここまで良いとは、思っておりませんでした。
「シングルコレ」買って良かったです。
でも、先輩の皆様は、レコードで知っていらっしゃるわけですから。
やっぱり格が違いますよね。

これからも、僕の気がついていない点がありましたら、色々と教えてくださいませ。
今後とも、よろしくお願いいたします~。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年2月23日 (月) 22時10分

浮かれ景気の80年代を予見させるパッケージとアレンジ,によるアルバム『TOKIO』
発売時、高校三年生だった投稿者は,それまでの三部作のように即購入を躊躇した。
まず、題名がしっくり来ない,内容を推測できない、そしてジャケが派手…等が理由だったんだろう。
近年にラジオで教授坂本氏がイトイ氏について「YMOからオイシイとこ取りだなぁと思ってて…実際に会ってみるとイイヒトだった」という意味の発言をしていた。
さらに近年ラジオでイトイ氏は「いろんな仕事をしたけど、作詞は仲間からの評判が悪かった。洗練さがないでしょ…」という意味の発言をしていた。

裏話は置き、投稿者の見解ですが。
[企画センス]はイトイ氏の裁量大ですよね。でも、レコジャケ帯の広告文「眠れなくなるよ。」には感心できませんでした。

さて収録曲。東京とはいえミクロな視点で、裏街や横町や繁華街暗がり,で織りなされる男女劇が多い。〜BORO氏作品の個性が光り、作曲提供した尭之氏・大野氏・速水氏らも関西系の人,沢田氏も同様。
だからこのアルバムは『大阪物語』風味が強い。アレンジと演奏で,マクロな東京の彩りを与えてますねぇ。

ところで先行シングル曲[ロンリー・ウルフ]〜好きなのですが…
当時、教室の隣席男子が「新曲,メロディーは良いけど、歌詞はキライだな。ジュリーを意識しすぎで,わざとらしい」…う〜む。十代の感性は侮れないよねぇ、確にそうかもしれん。作詞者KTJ氏は阿久先生の域には達してなかったってことかな。

でも[ロンリー・ウルフ]は良いよね。ショーケン氏が大野さんのデモテープ聴いたときに「これ、唄うよ俺」って言った程なんだしね。

『音楽劇・探偵〜哀しきチェイサー』東京公演を4.14、観ました。
アルバム『TOKIO』〜投稿者の現在の解釈は、その影響も有るんですぅ。

投稿: 鉛筆 | 2009年4月18日 (土) 00時14分

鉛筆様

相変わらず神出鬼没でいらっしゃいますね~。
過去記事へのコメントは、管理者にとって予想外の出来事で、とても嬉しいのです。
これは、ブログを書いておられる方、皆そうだと思います。

>アルバム「TOKIO」は、大阪物語である。
…なるほど…言われてみますと確かに。
大変好きなアルバムで、「捨てぜりふ」「DEAR」「MITSUKO」などたまらなく好きなのですが、どういうワケか僕は「素肌~」がダメなんです。
ファンの人気も高い曲なのに…。イカンですこの状態は。
でも、この先参戦のLIVEで演ってくれたら、掌返す事でしょう。
それまでは、100回くらい聴いて克服するしかないですね。

「ロンリー・ウルフ」については…。
伝授の時に語りたいと思います。しばらくお待ちになってくださいませ~。

投稿: 瀬戸口雅資 | 2009年4月18日 (土) 02時15分

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