沢田研二「不死鳥の調べ」
from『忘却の天才』、2002
1. 忘却の天才
2. 1989
3. 砂丘でダイヤ
4. Espresso Capuccino
5. 糸車のレチタティーボ
6. 感じすぎビンビン
7. 不死鳥の調べ
8. 一枚の写真
9. 我が心のラ・セーヌ
10. 終わりの始まり
11. つづくシアワセ
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東京ドーム・ジュリー祭りの熱がまだ醒めない。
先週SUPER46でスタジオ入りした時も、珍しく俺がリードヴォーカルを何度も繰り返しリハーサルしたがるので、相方の佐々木利剛もちょっとびっくりしていた。当然、ジュリーの影響である。創作ベクトルが歌に向いてしまっているのだ。
ドームを終えて一番感じたのは、90年代から21世紀の未聴のアルバムをもっと勉強しなければ、次のライブに参戦する資格はない、という事だった。このブログにコメントを下さった女性の方の「ほとんどの曲を知っていた」という発言に、とにかく思い知らされた。何故我々が2階席だったのか、これで納得した。俺やYOKO君は、アリーナにはまだ10年早い、という事なのだ。
その10年を半年で埋めるべく、早速2枚購入。中古でネット注文した「パノラマ」はまだ届かないが、2002年のアルバム、「忘却の天才」が昨日届いた。
実は、こちらはそれほど期待していなかったのである。軽い気持ちで聴きはじめ、5、6曲目まで進んだ段階で、「これはなかなかの名盤!」と思った。キーボードが一切排除され、ギター、ベース、ドラムスのみのアレンジによる無骨なサウンド。1曲につきギターは3本程度重ねられているが、すべて白井良明さんのプレイ。アルバムのプロデューサーでもある彼の事を、失礼ながら今まで俺は「良明」だの「白井」だの軽々しく呼んでYOKO君と話していたが、昨日の時点で呼称は「白井さん」に変わった。柴山さんと同格である。ブラボー!
(1月9日註:すみません、プロデューサーはジュリー自身です。白井さんはチーフアレンジャーですね。大変失礼致しました。)
で、何かって言うと、アルバムが7曲目「不死鳥の調べ」にさしかかったところで、完全ノックアウト状態になった、という話ですわな。伝授!
アルバム全体は、昨日今日で5回聴いた。が、「不死鳥の調べ」だけは、30回は聴いた。しかも、昨夜遅くにコードを起こして、今日も散々弾き語った。もう、完璧に歌える。
G.S.系のアップテンポ短調進行。イントロはエフェクト効かせたコード突き放しがたったの2小節。いきなりジュリーのヴォーカルがシンコペで絡む。右サイドのアコギが素晴らしく、1回し目と2回し目では表情がガラッと変わる。そして何より秀逸なのは「日本のポール・マッカートニー」の異名をとる伊豆田洋之のコーラス。
構成もちょっとひねっていて、A→B→C→間奏→B→C→A→B→Cと来る。まぁ間奏がAメロ進行だから、普通と言えば普通だが、たいして考え無しに組み立てたとしたら、間奏の後はAメロ2番がきそうなものだ。明らかな洋楽構成、それでいて、懐かしい昭和の雰囲気。素晴らしい。
しかしこれで、2000年代のアルバムまで短期間でガツガツ聴きまくる事になりそうだなぁ。こんなイイ曲を知らなかったんじゃね、話になりません。
ただ、「不死鳥の調べ」はひょっとすると、90年代以降のジュリーの楽曲で、俺にとって頭抜けて好きな曲になるのかもしれない。ドームのご褒美に、そういう曲と真っ先に知り合えたのかもしれない・・・そんな予感が。
ライブヴァージョンがないか、とコンサートDVD作品をすべてチェックしたが、無かった。残念・・・。これからYou Tubeで探す!
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コメント
▽アルバムについて.
*ジュリー50歳の『第六感』を聴き、しばらく間を置いていました。軽快なサウンド好みの僕は、重たい編曲を受けいれ難く、それ以後の新譜購入を敬遠していたんです。
が…、
*ダイナムさんの薦めで購入した『来タルベキ素敵』は受容できました。
*2000年代モノで、最初に『俺たち最高』を入手したのがいけなかった。ベースギター好きなので、ベースが無いうえに硬い音作りだなぁと感じたんです。僕が魅了される収録曲が無かったしね。
*でも、『CROQUEMADAME&HOTCAKES』を購入したら、良い感じを受けたのです。ベースは有るけど鍵盤楽器が無し。これも僕には難儀な音かなと思っていたら、…伊豆田さんのコーラスがキーボード的役割を果たしている。全体の音像も重圧感なく聴き心地よし。
*2012年5月現在、
ダイナムさんのブログでの流れには[白井良明の編曲アルバムからベースレス鉄人バンドの自立まで]が語られていますよね。その考察には学ばされました。
*いま僕は、
『忘却の天才』と
『明日は晴れる』…ネット注文した二つのアルバム作品が到着するのを待っています。
*貴ブログの真摯な緻密さに影響を受けたのですぅ。もちろん自分なりの判断に基づいてです。
(2005年をキッカケに、絶対に買わないアルバムもありますしネ)〆.
投稿: 鉛筆 | 2012年5月25日 (金) 13時36分
鉛筆様
ありがとうございます!
この記事へは4年目にして鉛筆様が初のコメントですか…。この頃はまだまだひっそりとしたブログでした。
伊豆田さんのコーラスがキーボードのよう…本当にそうですね!
何となくそう思ってはいましたが今までは言葉にできていませんでしたので、なるほど!と。
『忘却の天才』では、おそらく鉛筆様は正にコメントをくださったこの曲、「不死鳥の調べ」がお好みと見ましたよ。
もちろん伊豆田さん大活躍の曲ですからね…。
投稿: DYNAMITE | 2012年5月27日 (日) 11時59分
◇(ダイナム様からのコメ返しへの伝言.ゆえ御返書は無用です)
*『忘却の天才』が到着。今さっき通して聴いたら…
《不死鳥の調べ》は、
ギターの音色が控え目だし。色彩感と香りを意識した優雅な詞に絵心を喚起され。曲調は程好い疾走感がタイトルどおり飛翔を思わせる。
HOLLIES愛好者としての僕には、この楽曲がアルバム中で最も気に入りました。
「ダイナムさんの洞察はスゴイ!」
投稿: 鉛筆 | 2012年5月27日 (日) 15時51分
鉛筆様
いやいや、やはりこの曲はお好みでしたか!
僕自身ドーム体験以前は、せっかく購入した『耒タルベキ』を「音が大きすぎるなぁ」という理由でしばらく放置していた(恥)ように、音の好みが偏っていました。
まだそれを払拭しきれていない時期に聴いた『忘却』で「不死鳥の調べ」のような曲は、2000年代ジュリーへ傾倒する橋渡しとなってくれたのです。
余談ながら、昨日購入した昭和43年発行の歌本には、「バスストップ」のスコアも掲載されておりました~。
投稿: DYNAMITE | 2012年5月28日 (月) 08時59分