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2008年8月

2008年8月27日 (水)

DON DIXON 「GIRLS L.T.D.」

”いかした愛の落武者”ドン・ディクソン。ニック・ロウの大ファンで、アロガンスなるバンドで活動していたが売れず、プロデューサー転向してソコソコ成功、調子に乗ってソロアルバムをリリースしたら一部コアな人々から大絶賛され、その後はマイペースながらコンスタントに新作を出し続けてくれているニクい奴。
彼がもう少し遅く生まれて、90年代半ばに同じ事をやっていたとしたら、間違いなくパワーポップ仕掛け人としてブラッド・ジョーンズと評価を二分していただろう。それくらいの大人物。ただ、ニック・ロウフェチ度が高すぎるのか、自身のアルバムに関してはワザといい加減な、途中で投げ出したようなプロデュース志向が見受けられる。好き勝手にやって、ソコソコ食っていけてるワケだ。羨ましい。今回はそんな彼が唯一渾身・真剣にプロデュースしたと思われるファースト・アルバムから、タイトルチューン「GIRLS L.T.D.」を伝授!

「GIRLS L.T.D.」ってのは通称で、正式な楽曲名は「MOST OF THE GIRLS LIKE TO DANCE (BUT ONLY SOME OF BOYS LIKE TO)」という。あの風体で(落武者)「ボーイズ」とはよく言ったモンだが、まぁ、女の子ひっかけて踊る、なんてのが苦手そうなキャラではあるな。
とにかく名曲、私も含め、延々とニック・ロウとか聴き続けてきた人にとっては、衝撃の、歴史的大名曲なのである。タイトルセンス、詞・曲の構成、アレンジ、ヴォーカル、演奏時間、イントロからエンディングまで、完璧。サビ前に「さぁ行くぞ!」的な隙間を入れる、とか、フェイドアウト間際に一発マヌケに雄叫ぶ、という技は、その後ごくごく自然にSUPER46にとりいれられていった。最もその度合が強いのは、「GET NERVOUS!」収録の「ロックな女」だが、その他色々な曲で、私は「GIRLS L.T.D.」の恩恵を被っている。
残念ながらドン・ディクソン、アルバムを出す度に絶対イイ曲は入っているんだけど、この名曲に比肩しうる程の楽曲はまだ書けていない。ならば、初心者が聴くべきは、ファーストである。
プロデューサーらしいと言えばそうなのだが、この人はとても良いアウトテイクがあるので、ボーナストラック入りのCDをお勧めしたい。私はレコード、通常CD、ボーナス入りCDの3種類持ってますけどね。

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2008年8月26日 (火)

フランク・ザッパ「フレイクス」

SUPER46結成後、楽曲の練りこみについて色々と模索する中、佐々木利剛に勧められて聴いてみたアルバムというのがいくつかある。フランク・ザッパの「SHEIK YARBOUTI」は、その中でもアタリ中のアタリであった。一番好きな曲は「ボビー・ブラウン」、あとは「ダンシング・フール」とか「俺はおまえの中に入っていった」とか。しかし、現在ソロアルバムの新作をルパン魂全開で製作中の私にとって大変価値の高い1曲を、今回はご紹介しよう。「SHEIK YARBOUTI」から、ザッパ独自のルパン魂が満載の迷曲、「フレイクス」、伝授!

とにかくこの曲、ナメている。いや、ザッパは常に姿勢として全てをナメているのだけれど、非常に高度なやり口なので、ナメられたリスナーの方が大絶賛!というのがだいたいのパターン。が、この曲はちょっと異色。というのも、明らかに特定のアーティスト名指しでナメてるってくらい、ザッパにしては解り易いルパン行為が楽曲途中に忽然と襲ってくるのだ。
ナメられた人、それは事もあろうに大御所ボブ・ディラン。本人がこの曲を御存知なのかどうかは知らんが、聴いていたとしたら、本気で怒り狂ったのではなかろうか。この頃のディランはただでさえカトリック洗礼受けた後だ。このアルバムのジャケ、楽曲タイトル、歌詞、すべてがNGなのではないかと。そんな中にふざけきった(としか聴こえない)自分のモノマネが出てくる。こりゃ怒るでしょ。
ただ、このルパンが秀逸な出来なのだから困ったもんだ。佐々木利剛は自分のお気に入りの音楽を人に聴かせる時、その曲の一番オイシイ部分で、聴いている人の反応を楽しむ、という男。このアルバムを上井草(当時)の私の家に持ってきて流し、解説を入れながらの2曲目「フレイクス」。冒頭のファンキーな曲調から一転、ディラン風になる部分で私の顔を真剣にチェックしていたっけなぁ。鮮明に覚えている。私がその時唖然としたのか爆笑したのかはよく覚えていないのだが。
今思えば、その時の「フレイクス」のSUPER46参考対象楽曲は「冬の朝、珈琲屋で」というもので、残念ながらボツとなった曲である。私が、普通のフォーク系アイデアしか捻り出せなかったためだ。
ザッパというのはとにかく構成が高度で、当時20歳ソコソコの私には到底盗めるタマではなかった。ただ、凡才たる私も年季を積み、なんとかエッセンスを注入するくらいにはなっただろう、と。36歳にして作った「ひどい奴」収録の「ワンダフル・ラブ」は、私なりにザッパの引き出しを開けた曲だったりする。しかしそれは「何となくザッパ」の域でしかなかった。新作では「フレイクス」ばりのアレンジに挑戦したい。とてつもなく高度なルパン楽曲をさらにルパンである。そんな事ができるのかいな。

ま、何度も言うがザッパは天才で私は凡人だ。天才ならば、ナメきった行為も素晴らしい楽曲たりうるが、私の場合そうもいかないだろう。せめて礼を尽くし、愛情を持って盗むものである。

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2008年8月18日 (月)

「大空港」メインテーマ

私の言う「大空港」とは某有名映画の事ではなく、70年代後半から80年代にかけてのブームの中、ほとんど評価される事なく終了となった刑事ドラマのタイトルである。私は鹿児島というド田舎で観ていたため全国的に正確なのかどうかは解らんが、月曜9時、フジ系であった。この頃のフジ、刑事ドラマの視聴率については酷いものだったらしい。時間枠は今をときめく「月9」というヤツだが、そんな時代もあったという事だ。
しかしながらこの「大空港」、私は相当好きで(他局に比べてエロかったのだ・・・ってそんな理由かよ!)、とりわけオープニング楽曲は、刑事ドラマ史上最高傑作だと思っている。「刑事魂(デカコン)」というコンピレーションで初めてCD化された時は、嬉しかった。しっかりフルサイズ、ステレオで入っているしね。今日はそんな事で「大空港/メインテーマ」を伝授!

刑事ドラマのメインテーマと言えば、楽曲がインストなら主旋律楽器はまずトランペット(「Gメン75」)かサックス(「太陽にほえろ!」)ってのが普通だろう。ちょっとひねってエレキギター(「西部警察」)とかストリングス(「特捜最前線」)とか。
で、「大空港」は・・・。
ホルン!これは変わっている。おそらくこのアレンジ選択は、作曲者(失礼ながら聞いた事もない人。名前が覚えられない。もしもその道で有名な方だったとしたら、私の勉強不足だ)が番組の内容に入魂で合わせてきた、飛行機の浮上感のイメージですよ。本来メイン楽器たるトランペットやストリングスが、裏方に回って強烈な刻みを入れている。ホルンとトロンボーンの違いはあれど、ドヴォルザークの「新世界より」第四楽章、あの手法である。
で、トランペットがBメロ部、ストリングスはAメロ2回し目で、エレキギターが間奏で、それぞれソロを貰える。贅沢だなぁ。ベースとドラムスもスゴくて、双方の噛み方、動きの多彩さでは刑事ドラマオープニング史上「西部警察」と双璧か。
しかし、何と言っても一番スゴいのは美しくドラマティックなメロディー構成である。しかも、TVサイズの1分間だけでも(要は1番、って事ですね)キチンと起承転結。もちろんフルサイズで聴くと、より良くなる。離陸の際のなんとなく不安な感じを表現した(のだと思う)イントロも衝撃だし、空の高みへ上昇(のだと思う)、といったAメロ、滞空飛行へと進む(のだと思う)Bメロ、ただただ圧倒されるのみである。同じメロで2番はエレキギターの間奏、これがまた管楽器とは色が変わって何やら荒法師のようだ。素晴らしい。

音楽ばかりを褒めたが、このドラマ、キャストも豪華だった。ボスは鶴田浩二、それをとりまく刑事に緒方拳、中村雅俊、黒沢年男、田中邦衛、岡本富士太、片平なぎさ、永島敏行、高岡健二、そして何故か石川さゆり、といった面々。しかも緒方、中村、永島、黒沢、岡本の順で次々に容赦なく殉職する。短期間の放送でよくもまぁこれだけ・・・豪華過ぎて役者のスケジュール調整がつかず、そうせざるを得なかったという説もある。
未だDVD化の話は聞かないし、再放送も無い。
音源もメインテーマしか入手できない。ま、それ以外の挿入歌とか、全く覚えていないんだけどね。

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2008年8月16日 (土)

ポール・マッカートニー 「グッドデイ・サンシャイン」

今回はリメイクの話である。
ポール・マッカートニーが、ライヴ以外でビートルズの楽曲を純粋に録音作品としてリメイクしたものは、全部で6曲あり、すべて「ヤァ!ブロード・ストリート」に収録されている。「リボルバー」から4曲、というのが非常に興味深い。残りが「イエスタディ」と「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というある種サービス精神的な選曲であるから、ポールが本当に「ビートルズの時より良くなるかもしれない」という気持ちで真剣に取り組んだのは、この「リボルバー」から選んだ4曲だったのではないか、と思う。「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」、「フォー・ノー・ワン」、「エリーナー・リグビー」、それに「グッドデイ・サンシャイン」がそれである。今日はその中から、リメイクならではの聴き方が出来る「グッドデイ・サンシャイン」を伝授!

「リボルバー」は本当に、ポールにとって重要なアルバムだったのだろう。何故なら、それまでのポールは、ジョンの作る楽曲のレベルについて行こう、と必死だったのが、このアルバムで立場が逆転したからである。ま、私を初め周囲のビートルズフリークとしては、実はそうなってからのジョンの楽曲の方が圧勝だったりするワケだが、世間的評価がこのアルバムからひっくり返ったってのは間違いない。

今日は突然何かっていうと、私の尊敬する棋士の一人、先崎学氏の本を今日たまたま読んでいて、その中にこんな言葉があって印象に残ったのだ。
「人の心をつかむ分野において、技術の進歩というものは、個人の才能の差を隠す事はできない」
というものだ。その本はエッセイ集で、先崎氏は「悪魔のような女」という映画のリメイク版を映画館で観てしまった事についてひどく自分を責め、リメイク版をケチョンケチョンに貶しているのだった。
私は映画に疎いのでこの点よく解らないが、要は先崎氏、「悪魔のような女」のモノクロのオリジナル版がとても好きで、それ故に激怒しているのだ。
この場合、監督が違うワケだから、音楽の世界で言うとカバー曲といった按配なのだが、そういえば「犬神家の一族」のリメイクはヒドかったなぁ、とか連想してしまった。同じ市川昆監督、これは純粋にリメイクの話になる。
創作家は何故、昔やったものを年月を経てやってみようとするのか。気持ちの整理であるとか、ネタ切れであるとか、商業戦略であるとか、そういう場合以外なら、これは単純に技術向上の意識であると思う。技術的な問題で昔はできなかった事が、今なら試せる、という事で、ポールが「リボルバー」の4曲に対して行ったリメイク作業など、正にそんな感じである。
先崎氏の言葉は正しかった。同一人物であるからには、才能の差などなかろうと思うかもしれないが、演奏者やエンジニアなど、周囲の人間はオリジナル録音時とは違う。結論から言えば、音が篭っていようが、演奏が隙間だらけであろうが、ポールの楽曲の場合もビートルズのオリジナルの方が全然良いのだった。
ただ、その中で1曲だけ。私がリメイク版を好んで聴ける曲が「グッドデイ・サンシャイン」である。
もちろん、オリジナルの方が好きである事には変わりはないのだが、この曲だけは、変な技術の媚びみたいなものが無く、好感を持った。これ以外の曲は、アレンジを豪華にしたり、構成や演奏楽器を変えたり、「何を余計な事を・・・」といった過剰作業が多々あるのだが、「グッドディ・サンシャイン」は、何とオリジナル音源の完コピなのである。
純粋に、60年代と比べると、録音機材や演奏技術はこれだけ進歩しました、という単純比較が楽しめる。ポールもごく自然にクールに歌っている。媚びは無い。

結果、やはりオリジナル音源にはスゴいマジックがかかってたんだなぁ、という事にはなるのだが、この曲はリメイクが聴けて良かった。ただ、勝てないもんだねぇ。
ただし、これはあくまで録音の話。ライヴは、全然別物になるからね。ポールには、遠慮なくどんどんやって欲しい。
来日まだ?

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2008年8月14日 (木)

ロン・セクスミス「スノー・エンジェル」

新譜が出たらドキドキしながら即購入する、というアーティストが最近減ってきた。コステロもニック・ロウももう追いかけてはいない。グラハム・パーカーについては、コンスタントにアルバムを出してくれるのが嬉しくて継続購入しているが、大傑作を期待する、という気持ちは無くなった。今の私が、傑作の予感にトキメキながら新譜を待っているアーティストと言えば、ポール・マッカートニー、ジョン・ハイアット、そしてロン・セクスミスである。しかもロン・セクスミスについては、タイムリーで追いかけるようになった5枚目以降、3枚続けてマイ・フェイバリットを更新している。そんなアーティストはもう彼以外にいない。
そのロン・セクスミスのニューアルバムの発売が遅れている。当初の予定日からもう2週間が経つ。何か事情があるのだろうが、最近の彼は社会にグサリ的、な詞が多くなってきているので、余計な心配をしてしまうのだ。
仕方ないので、現時点でのフェイバリットアルバム、「タイム・ビーイング」という最近作を聴き返しながら、じっと待つ日々が続いている。
その中から今日は、2曲目収録の大名曲「スノー・エンジェル」を伝授しよう。

ロン・セクスミスの楽曲スタイルはファーストから何ら変わらない。基本、弾き語りである。そのスタイルにどういうアレンジメント装飾が為されるか、という事がアルバムの色を決めているのだが、こちらは新作ごとに結構目まぐるしい変化がある。熱狂的なファンは、どうも初期の剥き出しであまり飾らないアレンジが好きらしく、5枚目などは散々な言われようがあったりした。が、幸いなことに私にとっては、新作ごとに自分の好みに近づいており、「タイム・ビーイング」でのボブ・ディランとポール・マッカートニーの融合のような作りは、そろそろ牛人会の猛者達にも強引に聴かせてやらにゃイカンな、くらいの手応えがあった。
「スノー・エンジェル」、淡々と進行しているように見えて、仕掛けは満載である。ベースがかなり変な絡み方をするし、サビで噛みこむキーボードが美しいメロを強調する役割を果たす。かなり計算されたアレンジだ。
が、そんな美しいメロで歌われる詞の内容というのが・・・。
ネタバレになるので多くは言えないが、非常に自閉性の高い、孤高な内容である。聴いてもらうしかないが、訳詩もなかなかのレベルなので、日本盤を買うのも良いだろう。決して、「雪の天使がカワイイぞベイビー」みたいな内容ではないのでご安心を。私自身、この曲で言うところの”スノーエンジェルが見える”という感覚は何度か味わった事があるし、普通の人間なら1度や2度はそんな状況に追い詰められた経験があるのではなかろうか。
ま、メロだけ聴いても、すごくイイ曲ですけどね。

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2008年8月13日 (水)

NICK LOWE 「DOSE OF YOU」

ニック・ロウというのは、まぁ一般的にはかなりマイナーなアーティストであろう。このコンテンツの主旨から言えば、一発ドカ~ンと代表曲を紹介する(「CRUEL TO BE KIND」で有無を言わせず平伏させる、とか、「SO IT GOES」でスティーリー・ダン愛好家の口をボールギグ装着状態にする、とか)のが正しい道かと思うのだが、ここは敢えて、そんなマイナーアーティスト、ニック・ロウの楽曲の中でも更に渋めのものを。アルバム「LABOUR OF LUST」から、私の個人的イチ押しナンバー「DOSE OF YOU」、伝授!

この曲を好きになった瞬間、というのが私にはある(今回は結構私的な事書くよ)。
アルバムを聴いた当初は、この曲、まぁ好きは好きだがそれほど印象に残ってはいなかった。グラハム・パーカー「WAKE UP」伝授の項で述べたように、ポップス寄り泣かせメロの方に耳が行ってしまっていた頃である。ちょうど20歳になったくらいか。
1年遅れて佐々木利剛が上京し、SUPER46を結成。自前でオルジナル曲録音に従事し始める。演奏はもっぱら私がメインで、一人で複数の楽器を弾く事に。高校時代のユニット、SSYBMでの演奏経験から、ギターとキーボードは普通に入りこめたのだが、全く初体験の楽器がひとつ。
ベースである。
何をしていいのやらさっぱり解らない。佐藤哲也に相談したら、「ルート弾いてりゃいいんだよ、シンプル・イズ・ベスト!」などと言われ(いや、実話です。彼も若かったのよ)、「そうかそうか、そんで、音色が低けりゃいいワケだな。だったらギターの6弦で弾きゃいいじゃん」と都合良く解釈した貧乏な私。ベース購入など考えもせず、ギターの6弦でルート中心に弾いた音を、MTRのEQでHIGH最低、LOW最高にセッティングしてベースに見立てたプレイでアルバムを2枚作ってしまった。悪評高いSUPER46のファーストアルバム「MAKE KOVE AND PEACE」と、セカンドアルバム「SUPER46 FOR MEN」がそれだ。
アルバムの出来には何故か(何故だ?)自信満々の私だったが、後になって「さすがにベースとは言えんなこりゃ」と反省し、思い切ってベースを購入する。
教則本とかは一切使わず、適当に練習し、適当に録音したのがサードアルバム「BRILLIANT FOOLS」。そこでまた同じ事を思う。ベースが、どうも上手くいってない。ダサい(ベースだけの問題かよ?)。遂に、楽器演奏の追求に生まれて初めて本腰を入れた私は、レコードを聴く際に、意識的にベースを耳で追いかけるようにしよう、と決めた。
で、ヘッドホンで寝転がって聴いた「DOSE OF YOU」が、今までと全然違って聴こえ、驚愕したという話なのである。

20歳の頃は気づきもしなかったが、「LABOUR OF LUST」はニック・ロウのアルバムの中で、ベースのミックスのデカさは群を抜いていた。後に出会った現SUPER46のドラマー渡辺弘によると、このベース全開ミックスってのは、1980年前後のロックレコードにおいて、一種流行だったんだそうだ。
そうして次々に、コステロを聴き直し、イアン・デューリーを聴き直し、ビートルズを聴き直し・・・私の前に新たな世界は広がった。ついでにストーンズも聴き直したが何も無かった(いや、その時の話よ)というのは逆に呆然としたが、耳タコになっていた筈のビートルズの楽曲が全然違う聴こえ方をする、というのは私にとって衝撃的な事であった。この感覚、すべては「DOSE OF YOU」から始まったのだ。故に、この曲は個人的に特別なナンバーなのである。
決して達者な演奏はしていないが、SUPER46の4枚目「GET NERVOUS!」で初めて私は、これはまぁベースと言えるかな、という音を作っている。誰にも言われた事はないが、このアルバムが一応成功した、とされる要因のひとつはベースだと思っている。それまでとは明らかに違うワケだからね。

残念ながら私にはそれほどベーシストとしての才能が無かったらしく、練習を積んだ今でも、腕前は「GET~」の頃のレベルのままだ。
が、パブロックばかりをテープに録音して強引に聴かせ、弟のタカシを洗脳していく過程で、私は散々「ベースを聴けい!」と無理強いし、タカシはそれを素直に実行した。時が経って、彼は当然のようにベースを弾き始めた。キャラ的に合っていたというのもあろうが、楽器を持つずっと前から、その楽器についての自分の好みや、カッコ良いフレーズの引き出しが十二分に蓄積されていた、というのは大きい。
彼はあっという間に私の及ばない高みまで到達してしまった。彼がどんなベースを弾くのかは、SUPER46の6枚目「RAIN ON A SUNDAY」、オリジナル版「YOKOⅡ」、ゴキサール「WAKE UP AND GO TO BED」の3枚を聴け!

って、どこがニック・ロウの伝授やねん!

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2008年8月10日 (日)

スタックリッジ 「ファンダメンタリー・ユアーズ」

知る人ぞ知るサーカス・ロックの第一人者、スタックリッジ。不可思議な歌詞と歌劇のようなステージ、そして英国王道ねじれポップを武器に、70年代に足跡を残した彼等のアルバムから、ジョージ・マーティンのプロデュースによるサード、「山高帽の男」。アルバムのトップを飾るに相応しい、超絶ポップチューン「ファンダメンタリー・ユアーズ」、伝授!

前回のバッドフィンガーにしてもそうなのだが、70年代に入ると、いわゆる”ビートルズ・フォロワー”を売りにしたバンドが数多く登場した。タケノコのように次々に出現したそれらの中で、一流の実力を持ったバンドはひと握りだったが、スタックリッジは最初から少し毛色が違っていて、個性的に、あくまでわが道を進んだ。ジョージ・マーティンが「彼等は第二のビートルズ」とか余計な売り文句を言わなければ、全然リスナー層が違ってきていただろう。ひょっとしたら、バンド延命にはその方が良かったのかもしれない。
とは言っても、ビートルズフリークならではのカッコ良いメロディーを書くバンドである事は確かで、中でもこの「ファンダメンタリー・ユアーズ」は、メロの素晴らしさや、究極にポップな纏まりを見せる、彼等の最高傑作と言える。
スタックリッジのバンド形態は、ちょっと変則的。ベース、ギター、ドラムス、キーボード、バイオリン、フルート。ギターはほぼアコギ。「ファンダメンタリー・ユアーズ」にも、エレキギターは入っていない。それでも、70年代ロックの名ポップチューンとして、何の違和感も無い。
クラシック系の管楽器や木管楽器があると、どうしても押し付けがましいオーケストレーションアレンジに走りがちだが、彼等のアレンジはいい意味で大衆性が無く、劇画的である。楽曲にしても同様。「ファンダメンタリー・ユアーズ」は最高に美しいサビメロを擁しているのだが、最後の最後、普通ならもう一回サビ!な部分でいきなり全然違う旋律のメロトロンが2小節、いきなり転調したかと思ったらブッツリと終わる。私のソロ、「SILENT MORNING」という”短くて変テコなエンディングの曲”があるが、これは「ファンダメンタリー・ユアーズ」からのルパン行為である。

スタックリッジはこのアルバムリリース後、空中分解。残ったメンバーで2枚のアルバムを作るも、解散。90年末にいきなり再結成したが、今はどうしているのやら。
「山高帽の男」は名盤である。最後に言うが、私は本当にちょうどこの時代のドラムス録音処理が大好きなのだ。で、ジョージ・マーティンがこのアルバムをプロデュースした功績というのは、私にとってその1点だったりするワケだ。

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2008年8月 8日 (金)

バッドフィンガー 「デイ・アフター・デイ」

(2009年10月1日註:若き日のジュリーがこの曲をカバーしていた事を、先日初めて知りました。遅ればせながら、カテゴリーをジュリー系に移行いたします。ジュリー・カテゴリーになると、何が変わるのか・・・文字が大きくなって改行が増え、目に優しくなります~)


昨夜の伝授で少しだけ触れた、バッドフィンガー。今回はこ奴等にご登場願いましょう。アルバム「ストレート・アップ」収録の代表曲「デイ・アフター・デイ」、伝授!

このアルバム、何と言っても特筆すべきは、プロデューサーがジョージ・ハリスンとトッド・ラングレン、の2枚看板であるという事だ。
と言っても2人の共同作業ではなく、ジョージが制作途中で力尽きて投げ出してしまった(多分ね)後、トッドが救いの神よろしくポップ洪水アルバムへと纏め上げた、という状況。

ジョージの仕事は鬼気迫る入魂ぶりで、まぁジョンやポール、ひいては世間に対する見栄とかもあったんだろうが、とにかく妥協せず、自分のプロデュース能力以上の、遥か高みを目指したもの。
弟分のバッドフィンガーは文句を言うワケにもいかず、必死にジョージの描く青写真についていこうとするものの、遂に両者電池切れとなる。その辺りの格闘・苦闘状況は、ボーナストラックであるアルバム収録曲の別テイクを聴けば良く解る。
それだけに、最終的に生き残ったジョージプロデュースの4曲は、いずれも難産の末に産み落とされた名曲であり、中でも、シングルにもなった「デイ・アフター・デイ」は、バッドフィンガーの代表曲のひとつとして世間に認知されるに至った。

アルバムのラストを飾る「イッツ・オーバー」にしてもそうだが、ちょっとサイケの匂いがするのがオイシイ。良質のメロディーとひねったアレンジを擁する、ねじれポップ。

「デイ・アフター・デイ」では、ジョージ渾身のスライドギターも炸裂する。
この人、他人の楽曲に参加した時の方が、自分の楽曲よりも生き生きとした音色を奏でるのは一体どういう事だろうか。
推察するに、要は練習の賜物なのだろうと思う。多分彼、自分のアルバムのリードギターについては、ほとんど練習せずにレコーディングに臨んでいる。が、「あのジョージ・ハリスンが遂にギターを弾く」などという状況を迎えた「デイ・アフター・デイ」リードギター録音の際には、必死でフレーズ組み立てて、ちゃんと前日自宅で何回も練習して、いざ本番のスタジオでは「こんな感じでどうだい?」みたいに適当・余裕のふりをして演奏し、最敬礼とかされてたんだろうなぁ、目に浮かぶわ。
考え過ぎかな?

てな事で、そんなジョージとバッドフィンガーの丁々発止を感じとりたいならば、ボーナス付きのCDを買うのが良いでしょう。
話がジョージに偏りましたが、このアルバムをポップ魂あふれる名盤たらしめたのは、どっちかってぇとトッド・ラングレンの功績です。
そこはお忘れなきよう。

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2008年8月 7日 (木)

リンゴ・スター「明日への願い」

う~む。コーナー開設以来、初めて悩む。
リンゴ・スター=ビートルズのドラマー。誰でも知っている。間違いなくメジャーである。ならば、コーナーの主旨から言って、「隠れた名曲」を紹介せねばならないところだ。しかし・・・リンゴ・スターの名前自体はそりゃメジャーだけれど、ソロアルバム聴いてる人って、一体どれほどいるのだろう。私の周囲にもビートルズフリークは多いが、リンゴのソロを3曲以上歌えるのは・・・私しかいない。
実は私も、80年代以降の彼のソロはほとんど知らないくらいなのだ。リンゴには甚だ失礼だが、ここはひとつ彼を、例外的に「無名アーティストの絶対代表曲!」カテゴリーに加えさせていただくことにしよう。
というワケで、リンゴ作曲の最高傑作、並びにシングルの代表曲としても知られる「明日への願い」、伝授!

原題は「IT DON'T COME EASY」。歌詞の内容、メロディーは、とても楽天的とは言えないものだが、リンゴが歌うと何故か癒し系。たぶん、どんな曲を歌っても、彼ならそうなるだろう。例えば、「ヤー・ブルース」とか「ヘルター・スケルター」でも、そうなるだろう。逆に言えば、「グッドナイト」をジョンが歌っていたら結構ヘヴィーだったのではあるまいか。これはある意味スゴイことだ。
「明日への願い」はコード進行もなかなか変わっていて、今で言うところの「民生流」というヤツになろうか。主キーのドミナントコードをマイナーにして使っている。リンゴは作曲の際、キーボードの和音を使って構築していくみたいだから、それも関係しているだろう。「レ・ファ#・ラ」のあとに「ド・ミ・ラ」と弾き、「ド・ミ・ソ」って具合に進行させて作ったんだろうね。気持ちは解るなぁ。Aメロ導入部をスローにしてギターのアルペジオで弾くと、そのまま「ヴィーナス・アンド・マース」が歌えたりなんかして。
イントロのドラムスはカッコいい。当然、リンゴ自身が叩いてる。私はことドラムスの録音状態に関しては、「アビー・ロード」から始まるシンプルディレイ処理(73年くらいまでの流行手法だね)が大好きなので、それだけでも嬉しいのだが、フィルインが2回来る、っていうこのイントロは大変好みなパターンなのである。
リンゴのリードヴォーカルに入る前に、サビの1回しがあり、その部分はバッドフィンガーの2人がゲストで歌っている。こいつらの声色、高いんだよなぁ。高校時代に初めてこの曲聴いた時には、女声コーラス隊が歌ってるのかと思ったよ。

で、この曲、どのCDで入手すれば良いのかという話ですが、これはもう去年リリースされたベスト盤で決まり。「Photograph~The Very Best Of Ringo Starr」というタイトルです。「明日への願い」以外にも、イイ曲いっぱい入ってますよ。

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2008年8月 5日 (火)

GRAHAM PARKER 「WAKE UP」

無名アーティストシリーズ。
皆様そろそろこのコンテンツの特徴を認識し始めた頃かと思いますが、基本、有名アーティストについては、重箱の隅をつついたような埋もれた楽曲を、無名アーティストについては「まずこの曲を聴いてみろ!」的な代表曲を紹介している次第です。
今回は、パブロック界随一の真剣師、グラハム・パーカー入魂のポップチューンを。アルバム「STEADY NERVOUS」」A面4曲目「WAKE UP」、伝授!

この曲を聴いた時は、衝撃を受けました。
私がバカロックンロールに目覚めるちょっと前、まぁ20歳くらいの頃ですかな。まだ若造の私は、パブロックにハマり始めていたと言っても、ちょっと憂いのある泣きポップス寄りの楽曲が好みで、当時、世界で1番好きな楽曲は、ニック・ロウの「WISH YOU WERE HERE」か、エルヴィス・コステロの「EVERYDAY I WRITE THE BOOK」か、てな状況で。今考えると、パブロック連中が一般ウケを目指して少し媚びました、みたいなナンバーに惹かれていたんだなぁ、と。いや、媚びてるとは言え、アレンジの仕掛けや歌詞、メロディー構成は、他ジャンルの追随を許さない楽曲である、とは今でも思いますが。
で。コステロ、ニック・ロウの既発アルバムすべて聴き終え、この2曲を超える楽曲なんて、この世に存在するんかいな、みたいなワケの解らないことを考えていた若きダイナマイトが初めて購入したグラハム・パーカーのアルバムにて、その曲は唐突に襲ってまいりました。
「WAKE UP」。
完璧な曲だと思いました。トキメキのイントロ、気合のヴォーカル、センチな詞と、泣きメロ、間抜けながらもカッコ良いブレイク、統一感のあるアレンジ、それでいてバラードではない、というのが重要で。当時の私の好みをすべて兼ね備えておりました。
パブロック連中はスゴイな、この調子でいくと、他のアーティストにもまだまだ埋もれた大名曲がいっぱいあるかも、と勘違いしたほど、本当にこの曲とは唐突に出会いましたなぁ。
結局、そこまで入れ込むほどの楽曲にはその後なかなか出会うことは無く、前述の2曲と合わせ、私の中で3強時代が長い間続くことになります。ドン・ディクソンの「GIRLS L.T.D.」に出会うまで、3強は並ぶ者を許さず、揺らぐ事なく、20代後半あたりから、次第に私自身の好みの方が変わっていきました。
しかしながら、今でも大好きな曲である事には変わりはありません。さすがに聴いて涙流すような事はなくなった、という話。

アルバム「STEADY NERVOUS」が、グラハム・パーカーの中では異色作なんだ、という事は、その後すぐに認識しました。彼の作品の中で唯一、「売れたい」という狙いで作られたアルバムなのです。長きに渡ってグラハム・パーカーの相棒であったブリンズレー・シュオーツのオッサンが、普通の売れっ子ギタリストみたいな出方をしているのも、このアルバムだけです。ドラムスの音が普通の売れ線ロックよろしく「シャキ~ン!」みたいな処理をされているのは、このアルバムと「HUMAN SOUL」の2枚のみ。
で、売れたのかというと、売れなかったワケです。逆に言えばそれもまた名盤って事ですよ。周りの音が売れ線処理をされていようが何だろうが、一番光っているのは、やはり楽曲とヴォーカルなのですから。

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2008年8月 4日 (月)

デヴィッド・ボウイ 「スーパーメン」(別ヴァージョンの方)

正規テイクよりも別ヴァージョンの方が断然好き、という楽曲がいくつかあります。もちろん正規テイクが大好きな上で更に、という話です。
今回はそんな奇特な傑作群から、別ヴァージョンのクォリティーには定評のあるデヴィッド・ボウイのナンバーを。CD盤「ハンキー・ドリー」にボーナストラック収録の「スーパーメン」別ヴァージョン、伝授!

「ハンキー・ドリー」収録の「スーパーメン」別ヴァージョンがオイシイのは、正規テイクが前アルバム「世界を売った男」の収録曲である、という事も大きいですな。正規テイクと別ヴァージョンが同じCDに被っていないわけです。
正規テイクの方もかなりの名曲ですが、アルバム「世界を売った男」の中では地味に押さえた作りの楽曲でした。どちらかと言えば渋さで勝負してるような。
反してこの別ヴァージョン、完全にイッちゃってます。70年代前半のデヴィッド・ボウイ自身の言葉に「脳天を突ん裂くメロディーを心がけている」という、是非とも見習いたい名言がありますが、「スーパーメン」別ヴァージョンは、それがメロのみならず、ヴォーカル、アレンジ一体となった時の爆発力を証明してくれます。
私も一時期、デヴィッド・ボウイの”脳天メロ”については散々研究を重ねました。が、やはり天才には敵わない、というのが当然の帰結で。”脳天メロ”が特に成功した楽曲というのには曖昧ながらも共通項がありまして、Aメロが導入部で傾斜気味、Bメロがクライマックスへ向かっての上昇軌道、サビで大爆発、てな、3部構成のものが多いんです。それが1番、2番と歌モノとして構築されているのですな。これ、天才特有の常人離れした感覚なワケで、いくら真似しても、神髄には至らない。張り合おうなぞ無謀な所業、聴いて感動しているのが一番です。
「スーパーメン」の別ヴァージョンでは、そんな構成が極端に目立つアレンジがなされております。ミック・ロンソンの”脳天ギター”が絡むのはBメロ部から。サビは、やり過ぎではないかと思わせるほどの”脳天ヴォーカル”。どちらかと言うと淡々としていた正規テイクとは、全く別の楽曲であるかのような仕上がりです。

この頃のデヴィッド・ボウイのアレンジをなんとか模倣できないかと思い、私が初めてトライしたのが1991年、SUPER46「ビッグ・クランチ・ジャンボリー」収録の「ウェイティング・フォー・ザ・プレゼント」という曲。
結果は見事に自爆でした。散々な出来で、相棒の佐々木利剛も「これはちょっと・・・」みたいな顔をしてましたなぁ。まぁ私も技量・機材不足でしたし、若造だったからねぇ。
今にして思うと、失敗した原因、思うところはあるのです。当時はミック・ロンソンのギターや、変則構成のドラムス、キテレツなベースラインばかりに耳が行って、一番大切な音を軽視していたんです。
それはズバリ、アコギ。
「スペース・オディッティ」から「ジギー・スターダスト」までのデヴィッド・ボウイ独特のアレンジメントは、いかにエレクトリックな音が徐々に噛み込んできて爆音となり、ほとんど聴こえないような状況になろうとも、最初から最後までガッシャンガッシャンと弾いている、あのアコギの音があって初めて成立しているのですよ。「ウェイティング~」にはアコギ入ってないからねぇ。入れてたら、もう少しはマトモに聴こえたはずなんです。

私は今、久しぶりのソロアルバムを作っています。デヴィッド・ボウイ風の”脳天アレンジ”に再度挑戦しようと考えている曲が、1曲あります。
ま、それについては、伝授するほどのモンでもないですけどね。一部の方々は、楽しみにしてて下さいませ。

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2008年8月 3日 (日)

沢田研二 「バイバイジェラシー」

~from「S/T/R/I/P/P/E/R」、1981

(註: え~、東京ドーム以降に当ブログへお越しの皆様へ
この「バイバイジェラシー」伝授の記事は、まだジュリー祭りの情報も無く、それまで通りフツ~に好きでジュリーを聴いていた頃に書かれたものです(今はフツ~ではない、ということですね)。
従って、瀬戸口のジュリーに対する愛情というのは、現在の1億分の1程度であります(それでも、俺はジュリーファンだ、と言っていたワケだから我ながら許せん)。
今は、ジュリーの楽曲について、こんな高飛車な文章はとても書けません。

削除してしまおうかとも考えましたが、楽曲に対する考察においては今と変わりなく、ただ一点、愛情の不足からくる記述の有り様が問題なだけでしたので、このまま残すことにいたします。
誤解しないで頂きたいのは、瀬戸口はこの頃も、「バイバイジェラシー」という曲は大好きだったのです。そうでなければ伝授したりはしません。
先輩方には、何卒その点、ご配慮頂きつつおつき合い下さいますよう。
それにしても、今となっては、この文章は・・・汗汗汗汗汗汗 註おわり)

さて今夜は、またしてもロックパイル関連、ビリー・ブレムナー繋がりで、ジュリーこと沢田研二最強のロックアルバム「ストリッパー」から、「バイバイジェラシー」、伝授!

どこがロックパイル繋がりやねん!
って、ご尤もなことで。実はこの「バイバイジェラシー」、日本歌謡曲きっての大泥棒楽曲の傑作なのであります。

まぁ私も佐々木利剛より”ルパン”の称号を授かって相当の年月が立ちますが、「ほぼ替え歌状態」な大パクリ作曲については、さすがに高校生で卒業いたしましたがな。というよりも、合わせ技だの部分抜粋だのといったテクニックを習得し、ただのパクリでは飽き足らなくなった、と言った方が正解でしょうか。進化しているのかタチが悪くなっているのか。でもおかげで最近は、パロディーをやらせたら西新宿で右に出る者はいない、と称えられております。

で、世間のパクリ曲を告発してりゃ世話ないですがね。
今回伝授のこの「バイバイジェラシー」、これは言い訳できません。
元ネタはズバリ、昨日ちょっと触れました、ロックパイルの「HEART」。ビリー・ブレムナー渾身のヴォーカルとギターが炸裂する、ニック・ロウのペンによる名曲です。
いや、ルパンにもホドがある。イントロ同じ、リズム同じ、Aメロ同じ、Bメロのクリシェ(ココが一番オイシイ部分)進行も同じ、クリシェ直後に一瞬演奏が止まる・・・これも同じ、ドラムスの叩き方まで同じ。

つまり、強引にくっつけた感のあるサビ(ココだけメロがフォークっぽくなる)以外、すべて同じ!
タカシに聴かせたら、完全に固まっておりましたが(怒っていたのかもしれません)。
これねぇ、作曲者の加瀬さんの仕業なのか、プロデューサーの銀次兄さんの仕業なのかは解りませんが、思い切ったモンですね。多分、「ロックパイルなんて誰も知らねぇだろ、いてまえ、いてまえ!」みたいなノリも、あったんでしょうな。

しかし私、この曲許せるんですわ。イイ曲だと思ってます。
何故なら。
アルバム「ストリッパー」はロンドンレコーディングでしてね。収録曲のいくつかは、地元のパブロッカーがゲスト参加してるんですよ。
ポールキャラック、そして・・・ビリー・ブレムナー!
そう、「バイバイジェラシー」のリードギターは、ビリー・ブレムナーが弾いているのです。彼にとって、つかの間の地味な栄光だったロックパイル、その自分の持ち歌が明らかに盗まれてしまっている楽曲で、入魂のギターをオーヴァーダブ・・・あんた、そりゃこの業界でノシていくにはイイ人すぎまっせ!とでも言いたくなりますが、まぁこれが熱演でして。
もし相手がチャック・ベリーだったら、完全に告訴されてますわな。

ビリー・ブレムナーとて、内心は「オイオイ」てな感じだったでしょうが、ギャラ貰って一杯やればすべて終わり。ニック・ロウに電話かけて、「いや~今日の仕事はまいったぜ」てな事を言ったかどうかは不明。
「ストリッパー」では他にも数曲、彼がギターを弾いてます。コーラスやってる曲もあります。
ロックパイルが好きな方、チェックして下さい。歌謡曲だろ、ってナメてはいけません。非常に完成度の高いロックアルバムですので。
で、「バイバイジェラシー」、是非とも身構えて聴いてくださいな。

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2008年8月 2日 (土)

BILLY BREMNER 「FIRE IN MY POCKET」

昨夜のデイヴ・エドモンズ繋がりで、今夜はロックパイルのギタリスト、ビリー・ブレムナーの登場。
彼がロックパイル全盛期にリリースしたファーストソロアルバム、名盤「BASH!」から「FIRE IN MY POCKET」、伝授!

ビリー・ブレムナーは、一般的には渋いギタリスト的認知度しかなさそうだが、これがなかなか器用な男で、曲作りの才能にも恵まれ、しかもかなり上手いヴォーカリストでもある。
ロックパイルのアルバム「SECOND OF PLESURE」ではニック・ロウ作の「HEART」を歌わせてもらっている程度で、彼のそんな隠れた才能を見出す事は難しい。やはり私もソロを聴くまでは結構この人のことをナメていた。
私が初めて聴いたビリー・ブレムナーのソロは、3曲入りのEPであった。A面にスクイーズの名コンビ、ディフォード=ティルブルックの提供曲「WHEN LOVE GOES TO SLEEP」を持ってこられるあたりからして、レコード業界での彼のソロアーティストとしての才能に対する期待の薄さが窺える(ま、イイ曲ですがね)。シングルくらい名のある作曲者でなくては商売にならん、という事か。無論私も、そのEPは全く期待せずに購入したものだ。あくまでもパブロック関連レコード収集の一環としての条件反射的買い物だったのだ。
が、B面の2曲を聴いて、正直タマげた。「FIRE IN MY POCKET」と「LOUD MUSIC IN CAR」。どちらもビリー・ブレムナーのオリジナル曲で、非常に完成度の高いものであった。特に今回の伝授曲「FIRE IN MY POCKET」は、今で言うところの「元祖パワーポップ系」というヤツで、ニック・ロウの「CRUEL TO BE KIND」やイアン・ゴムの「HOLD ON」に比肩しうる、ポップス寄りパブロッカー独特のオリジナリティーを持っていた。世間の認知度からして仕方無い戦略とはいえ、やはりこの曲をA面でリリースさせてあげたかったよ。
その後の調べで、彼が「BASH!」というフルアルバムを出している事を知り、私とタカシの瀬戸口兄弟は、散々東京中のレコード屋を探し歩いたのだが、当然の廃盤で発見できず。タカシはその過程で別のシングルを1枚発掘し、とんでもない値段で購入したりもした。聴かせてもらったところ、B面の「YES PLEASE!」というのが相当ツボなナンバーで、まだ見ぬフルアルバムへの期待感は高まるばかりの日々だった。

時は経ち、「BASH!」はCDで復刻を果たした。瀬戸口兄弟は揃って購入したのだったが、世間で果たしてどのくらい売れたのかは解らない。そのCDも既に現在、かなりの貴重盤と化している。
結論で言うと、復刻CD収録のオイシイ楽曲は、すべて私の持っているEPと、タカシ所有のシングルで網羅できていた、というオチがつく。でもまぁ、全ての曲を初めて聴いていたとしたら、間違いなく感動したと思うから、やはりこれは名盤なのである。

「FIRE IN MY POCKET」は、堂々と、アルバムのトップに収録されていた。とても良いアルバム導入構成である。また、「YES PLEASE!」はボーナス収録で、CDのラストを飾っていた。
これだけの才能に恵まれた人が、何故にこうも不遇なのか?歌も、詞も、曲も、演奏も素晴らしいというのに。
失礼ながら答えはひとつしかない。
彼はその外見から、「ロックパイルのリトルモンキー」と呼ばれている。ロックパイルの集合写真で見ると、彼はまるでニック・ロウが飼っている小動物のように見える・・・。

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2008年8月 1日 (金)

DAVE EDMUNDS 「DON'T TALK ME」

プロデューサー体質なのにロックンロールバカ。ロックンローラーなのに録音オタク。細い声質だが、好きな歌を歌う時は狂ったかのように一人で盛り上がっりまくる。
パブロック連中の中で一番私に近いキャラだと思います。デイヴ・エドモンズ、1990年のアルバム「CLOSER TO THE FLAME」から、オタクロックンロールの名曲「DON'T TALK ME」、伝授!

とにかくこの人の場合、自作曲よりカバーの方がヴォーカルの気合ノリ充分というのは、どうしたわけか。
まぁ、原曲への愛ゆえに、下手にカッコつけるような小細工も無く、捨て身のあまり周りが見えなくなっている説が有力。捨て身のヴォーカルというのは、良い。佐々木利剛曰く「刺す感じ」が表現に加わるのである。良いヴォーカリストというのは、どんな曲を歌う際にも自然にそれができるのだが、残念ながらデイヴ、音程は確かだけれどいかんせん線が細い。それが、自分の大好きな曲をカバーすると、水を得た魚の如く生き生きとし、見事に弾けまくるヴォーカルテイクが録れるのだから、面白いモンである。私で言うと、ヒーロー物の主題歌をカラオケで歌う時に、天から何かが降りてくるような感覚があるが、多分そんな感じだろう(本当かよ)。

という事で、デイヴ・エドモンズにはカバーの名曲がいっぱいある。オリジナル音源も良いけれど、デイヴのヴァージョンの方が更に良い、というナンバーが何曲もあるのだ。エルヴィス・コステロの「GIRLS TALK」、ニック・ロウの「HEART OF THE CITY」、グラハム・パーカーの「CRAWLING FROM THE WRECKAGE」、カーソル・フライヤーズの「TELEVISION」、ブリンズリー・シュウォーツの「IT'S BEEN SO LONG」。
大体それらは70年代後半から80年までのロックパイル時代に集中しており、ロックパイルが解散してジェフ・リンとくっついたあたりから、どうもヴォーカル処理がオシャレな感じになってしまい、しまいにはドラムスが打ち込みになったりもして、多くのファンが離れてしまった。
そんな中、90年にリリースされた「CLOSER TO THE FLAME」は久しぶりの名盤であった。「INFORMATION」あたりでデイヴに見切りをつけてしまった人がいたら、是非聴いて欲しい。ヴォーカルも演奏も気合漲る傑作である。
収録曲のうち、イチ押しなのが今回伝授する「DON'T TALK ME」だ。オリジナルはミッキー・ジャップ。この人がまた、デイヴに輪をかけたような神経質なロックンロール職人で、媚びるという事をしない。延々と地味なロックンロールアルバムを作り続けて変人扱いされ、少しは稼ぎのある他のパブロック連中に楽曲を提供してどうにか食い繋いでいるような男である。一番有名なのは、ニック・ロウに提供した「SWITCH BOARD SUZAN」だろうか。
「DON'T TALK ME」にしても、ミッキー・ジャップのオリジナルヴァージョンは何の派手な演出があるわけでもない、とことん地味なアレンジの、今にも夕陽に溶けて無くなってしまいそうなナンバーである。
ところがデイヴのヴァージョン、これはスゴい。ロックパイルのファンが聴いたら、無条件に立ち上がって踊りだしてしまうというカッコ良さ。オリジナルでは超適当だった譜割りや間奏もキチンと練り直され、お約束のコーラスと、TKOばりのホーン・セクションが入る。そこへきて捨て身としか言いようのないヴォーカルだ。日本語にすると「じゃかぁしい!」みたいなフレーズの連呼、吐き捨てるように歌う。間奏直前のアドリブシャウト、「SHIT!」がまたクールで渋いのだ。

このアルバムには、ミッキー・ジャップがもう1曲、「STOCKHOLM」なる変テコな曲を提供していたり、ジョン・ハイアットが作曲クレジットに名を連ねる「I GOT YOUR NUMBER」など、イイ曲がたくさん収録されている。
ロックパイルが好きな人は、買って損のないアルバムかと思う。ジェフ・リンの色が抜け切ってない曲も、まぁ少しはありますけどね。

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