瀬戸口雅資の乱れ撃ち一発伝授!

2008年8月27日 (水)

DON DIXON 「GIRLS L.T.D.」

”いかした愛の落武者”ドン・ディクソン。ニック・ロウの大ファンで、アロガンスなるバンドで活動していたが売れず、プロデューサー転向してソコソコ成功、調子に乗ってソロアルバムをリリースしたら一部コアな人々から大絶賛され、その後はマイペースながらコンスタントに新作を出し続けてくれているニクい奴。
彼がもう少し遅く生まれて、90年代半ばに同じ事をやっていたとしたら、間違いなくパワーポップ仕掛け人としてブラッド・ジョーンズと評価を二分していただろう。それくらいの大人物。ただ、ニック・ロウフェチ度が高すぎるのか、自身のアルバムに関してはワザといい加減な、途中で投げ出したようなプロデュース志向が見受けられる。好き勝手にやって、ソコソコ食っていけてるワケだ。羨ましい。今回はそんな彼が唯一渾身・真剣にプロデュースしたと思われるファースト・アルバムから、タイトルチューン「GIRLS L.T.D.」を伝授!

「GIRLS L.T.D.」ってのは通称で、正式な楽曲名は「MOST OF THE GIRLS LIKE TO DANCE (BUT ONLY SOME OF BOYS LIKE TO)」という。あの風体で(落武者)「ボーイズ」とはよく言ったモンだが、まぁ、女の子ひっかけて踊る、なんてのが苦手そうなキャラではあるな。
とにかく名曲、私も含め、延々とニック・ロウとか聴き続けてきた人にとっては、衝撃の、歴史的大名曲なのである。タイトルセンス、詞・曲の構成、アレンジ、ヴォーカル、演奏時間、イントロからエンディングまで、完璧。サビ前に「さぁ行くぞ!」的な隙間を入れる、とか、フェイドアウト間際に一発マヌケに雄叫ぶ、という技は、その後ごくごく自然にSUPER46にとりいれられていった。最もその度合が強いのは、「GET NERVOUS!」収録の「ロックな女」だが、その他色々な曲で、私は「GIRLS L.T.D.」の恩恵を被っている。
残念ながらドン・ディクソン、アルバムを出す度に絶対イイ曲は入っているんだけど、この名曲に比肩しうる程の楽曲はまだ書けていない。ならば、初心者が聴くべきは、ファーストである。
プロデューサーらしいと言えばそうなのだが、この人はとても良いアウトテイクがあるので、ボーナストラック入りのCDをお勧めしたい。私はレコード、通常CD、ボーナス入りCDの3種類持ってますけどね。

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2008年8月26日 (火)

フランク・ザッパ「フレイクス」

SUPER46結成後、楽曲の練りこみについて色々と模索する中、佐々木利剛に勧められて聴いてみたアルバムというのがいくつかある。フランク・ザッパの「SHEIK YARBOUTI」は、その中でもアタリ中のアタリであった。一番好きな曲は「ボビー・ブラウン」、あとは「ダンシング・フール」とか「俺はおまえの中に入っていった」とか。しかし、現在ソロアルバムの新作をルパン魂全開で製作中の私にとって大変価値の高い1曲を、今回はご紹介しよう。「SHEIK YARBOUTI」から、ザッパ独自のルパン魂が満載の迷曲、「フレイクス」、伝授!

とにかくこの曲、ナメている。いや、ザッパは常に姿勢として全てをナメているのだけれど、非常に高度なやり口なので、ナメられたリスナーの方が大絶賛!というのがだいたいのパターン。が、この曲はちょっと異色。というのも、明らかに特定のアーティスト名指しでナメてるってくらい、ザッパにしては解り易いルパン行為が楽曲途中に忽然と襲ってくるのだ。
ナメられた人、それは事もあろうに大御所ボブ・ディラン。本人がこの曲を御存知なのかどうかは知らんが、聴いていたとしたら、本気で怒り狂ったのではなかろうか。この頃のディランはただでさえカトリック洗礼受けた後だ。このアルバムのジャケ、楽曲タイトル、歌詞、すべてがNGなのではないかと。そんな中にふざけきった(としか聴こえない)自分のモノマネが出てくる。こりゃ怒るでしょ。
ただ、このルパンが秀逸な出来なのだから困ったもんだ。佐々木利剛は自分のお気に入りの音楽を人に聴かせる時、その曲の一番オイシイ部分で、聴いている人の反応を楽しむ、という男。このアルバムを上井草(当時)の私の家に持ってきて流し、解説を入れながらの2曲目「フレイクス」。冒頭のファンキーな曲調から一転、ディラン風になる部分で私の顔を真剣にチェックしていたっけなぁ。鮮明に覚えている。私がその時唖然としたのか爆笑したのかはよく覚えていないのだが。
今思えば、その時の「フレイクス」のSUPER46参考対象楽曲は「冬の朝、珈琲屋で」というもので、残念ながらボツとなった曲である。私が、普通のフォーク系アイデアしか捻り出せなかったためだ。
ザッパというのはとにかく構成が高度で、当時20歳ソコソコの私には到底盗めるタマではなかった。ただ、凡才たる私も年季を積み、なんとかエッセンスを注入するくらいにはなっただろう、と。36歳にして作った「ひどい奴」収録の「ワンダフル・ラブ」は、私なりにザッパの引き出しを開けた曲だったりする。しかしそれは「何となくザッパ」の域でしかなかった。新作では「フレイクス」ばりのアレンジに挑戦したい。とてつもなく高度なルパン楽曲をさらにルパンである。そんな事ができるのかいな。

ま、何度も言うがザッパは天才で私は凡人だ。天才ならば、ナメきった行為も素晴らしい楽曲たりうるが、私の場合そうもいかないだろう。せめて礼を尽くし、愛情を持って盗むものである。

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2008年8月18日 (月)

「大空港」メインテーマ

私の言う「大空港」とは某有名映画の事ではなく、70年代後半から80年代にかけてのブームの中、ほとんど評価される事なく終了となった刑事ドラマのタイトルである。私は鹿児島というド田舎で観ていたため全国的に正確なのかどうかは解らんが、月曜9時、フジ系であった。この頃のフジ、刑事ドラマの視聴率については酷いものだったらしい。時間枠は今をときめく「月9」というヤツだが、そんな時代もあったという事だ。
しかしながらこの「大空港」、私は相当好きで(他局に比べてエロかったのだ・・・ってそんな理由かよ!)、とりわけオープニング楽曲は、刑事ドラマ史上最高傑作だと思っている。「刑事魂(デカコン)」というコンピレーションで初めてCD化された時は、嬉しかった。しっかりフルサイズ、ステレオで入っているしね。今日はそんな事で「大空港/メインテーマ」を伝授!

刑事ドラマのメインテーマと言えば、楽曲がインストなら主旋律楽器はまずトランペット(「Gメン75」)かサックス(「太陽にほえろ!」)ってのが普通だろう。ちょっとひねってエレキギター(「西部警察」)とかストリングス(「特捜最前線」)とか。
で、「大空港」は・・・。
ホルン!これは変わっている。おそらくこのアレンジ選択は、作曲者(失礼ながら聞いた事もない人。名前が覚えられない。もしもその道で有名な方だったとしたら、私の勉強不足だ)が番組の内容に入魂で合わせてきた、飛行機の浮上感のイメージですよ。本来メイン楽器たるトランペットやストリングスが、裏方に回って強烈な刻みを入れている。ホルンとトロンボーンの違いはあれど、ドヴォルザークの「新世界より」第四楽章、あの手法である。
で、トランペットがBメロ部、ストリングスはAメロ2回し目で、エレキギターが間奏で、それぞれソロを貰える。贅沢だなぁ。ベースとドラムスもスゴくて、双方の噛み方、動きの多彩さでは刑事ドラマオープニング史上「西部警察」と双璧か。
しかし、何と言っても一番スゴいのは美しくドラマティックなメロディー構成である。しかも、TVサイズの1分間だけでも(要は1番、って事ですね)キチンと起承転結。もちろんフルサイズで聴くと、より良くなる。離陸の際のなんとなく不安な感じを表現した(のだと思う)イントロも衝撃だし、空の高みへ上昇(のだと思う)、といったAメロ、滞空飛行へと進む(のだと思う)Bメロ、ただただ圧倒されるのみである。同じメロで2番はエレキギターの間奏、これがまた管楽器とは色が変わって何やら荒法師のようだ。素晴らしい。

音楽ばかりを褒めたが、このドラマ、キャストも豪華だった。ボスは鶴田浩二、それをとりまく刑事に緒方拳、中村雅俊、黒沢年男、田中邦衛、岡本富士太、片平なぎさ、永島敏行、高岡健二、そして何故か石川さゆり、といった面々。しかも緒方、中村、永島、黒沢、岡本の順で次々に容赦なく殉職する。短期間の放送でよくもまぁこれだけ・・・豪華過ぎて役者のスケジュール調整がつかず、そうせざるを得なかったという説もある。
未だDVD化の話は聞かないし、再放送も無い。
音源もメインテーマしか入手できない。ま、それ以外の挿入歌とか、全く覚えていないんだけどね。

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2008年8月16日 (土)

ポール・マッカートニー 「グッドデイ・サンシャイン」

今回はリメイクの話である。
ポール・マッカートニーが、ライヴ以外でビートルズの楽曲を純粋に録音作品としてリメイクしたものは、全部で6曲あり、すべて「ヤァ!ブロード・ストリート」に収録されている。「リボルバー」から4曲、というのが非常に興味深い。残りが「イエスタディ」と「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というある種サービス精神的な選曲であるから、ポールが本当に「ビートルズの時より良くなるかもしれない」という気持ちで真剣に取り組んだのは、この「リボルバー」から選んだ4曲だったのではないか、と思う。「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」、「フォー・ノー・ワン」、「エリーナー・リグビー」、それに「グッドデイ・サンシャイン」がそれである。今日はその中から、リメイクならではの聴き方が出来る「グッドデイ・サンシャイン」を伝授!

「リボルバー」は本当に、ポールにとって重要なアルバムだったのだろう。何故なら、それまでのポールは、ジョンの作る楽曲のレベルについて行こう、と必死だったのが、このアルバムで立場が逆転したからである。ま、私を初め周囲のビートルズフリークとしては、実はそうなってからのジョンの楽曲の方が圧勝だったりするワケだが、世間的評価がこのアルバムからひっくり返ったってのは間違いない。

今日は突然何かっていうと、私の尊敬する棋士の一人、先崎学氏の本を今日たまたま読んでいて、その中にこんな言葉があって印象に残ったのだ。
「人の心をつかむ分野において、技術の進歩というものは、個人の才能の差を隠す事はできない」
というものだ。その本はエッセイ集で、先崎氏は「悪魔のような女」という映画のリメイク版を映画館で観てしまった事についてひどく自分を責め、リメイク版をケチョンケチョンに貶しているのだった。
私は映画に疎いのでこの点よく解らないが、要は先崎氏、「悪魔のような女」のモノクロのオリジナル版がとても好きで、それ故に激怒しているのだ。
この場合、監督が違うワケだから、音楽の世界で言うとカバー曲といった按配なのだが、そういえば「犬神家の一族」のリメイクはヒドかったなぁ、とか連想してしまった。同じ市川昆監督、これは純粋にリメイクの話になる。
創作家は何故、昔やったものを年月を経てやってみようとするのか。気持ちの整理であるとか、ネタ切れであるとか、商業戦略であるとか、そういう場合以外なら、これは単純に技術向上の意識であると思う。技術的な問題で昔はできなかった事が、今なら試せる、という事で、ポールが「リボルバー」の4曲に対して行ったリメイク作業など、正にそんな感じである。
先崎氏の言葉は正しかった。同一人物であるからには、才能の差などなかろうと思うかもしれないが、演奏者やエンジニアなど、周囲の人間はオリジナル録音時とは違う。結論から言えば、音が篭っていようが、演奏が隙間だらけであろうが、ポールの楽曲の場合もビートルズのオリジナルの方が全然良いのだった。
ただ、その中で1曲だけ。私がリメイク版を好んで聴ける曲が「グッドデイ・サンシャイン」である。
もちろん、オリジナルの方が好きである事には変わりはないのだが、この曲だけは、変な技術の媚びみたいなものが無く、好感を持った。これ以外の曲は、アレンジを豪華にしたり、構成や演奏楽器を変えたり、「何を余計な事を・・・」といった過剰作業が多々あるのだが、「グッドディ・サンシャイン」は、何とオリジナル音源の完コピなのである。
純粋に、60年代と比べると、録音機材や演奏技術はこれだけ進歩しました、という単純比較が楽しめる。ポールもごく自然にクールに歌っている。媚びは無い。

結果、やはりオリジナル音源にはスゴいマジックがかかってたんだなぁ、という事にはなるのだが、この曲はリメイクが聴けて良かった。ただ、勝てないもんだねぇ。
ただし、これはあくまで録音の話。ライヴは、全然別物になるからね。ポールには、遠慮なくどんどんやって欲しい。
来日まだ?

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2008年8月14日 (木)

ロン・セクスミス「スノー・エンジェル」

新譜が出たらドキドキしながら即購入する、というアーティストが最近減ってきた。コステロもニック・ロウももう追いかけてはいない。グラハム・パーカーについては、コンスタントにアルバムを出してくれるのが嬉しくて継続購入しているが、大傑作を期待する、という気持ちは無くなった。今の私が、傑作の予感にトキメキながら新譜を待っているアーティストと言えば、ポール・マッカートニー、ジョン・ハイアット、そしてロン・セクスミスである。しかもロン・セクスミスについては、タイムリーで追いかけるようになった5枚目以降、3枚続けてマイ・フェイバリットを更新している。そんなアーティストはもう彼以外にいない。
そのロン・セクスミスのニューアルバムの発売が遅れている。当初の予定日からもう2週間が経つ。何か事情があるのだろうが、最近の彼は社会にグサリ的、な詞が多くなってきているので、余計な心配をしてしまうのだ。
仕方ないので、現時点でのフェイバリットアルバム、「タイム・ビーイング」という最近作を聴き返しながら、じっと待つ日々が続いている。
その中から今日は、2曲目収録の大名曲「スノー・エンジェル」を伝授しよう。

ロン・セクスミスの楽曲スタイルはファーストから何ら変わらない。基本、弾き語りである。そのスタイルにどういうアレンジメント装飾が為されるか、という事がアルバムの色を決めているのだが、こちらは新作ごとに結構目まぐるしい変化がある。熱狂的なファンは、どうも初期の剥き出しであまり飾らないアレンジが好きらしく、5枚目などは散々な言われようがあったりした。が、幸いなことに私にとっては、新作ごとに自分の好みに近づいており、「タイム・ビーイング」でのボブ・ディランとポール・マッカートニーの融合のような作りは、そろそろ牛人会の猛者達にも強引に聴かせてやらにゃイカンな、くらいの手応えがあった。
「スノー・エンジェル」、淡々と進行しているように見えて、仕掛けは満載である。ベースがかなり変な絡み方をするし、サビで噛みこむキーボードが美しいメロを強調する役割を果たす。かなり計算されたアレンジだ。
が、そんな美しいメロで歌われる詞の内容というのが・・・。
ネタバレになるので多くは言えないが、非常に自閉性の高い、孤高な内容である。聴いてもらうしかないが、訳詩もなかなかのレベルなので、日本盤を買うのも良いだろう。決して、「雪の天使がカワイイぞベイビー」みたいな内容ではないのでご安心を。私自身、この曲で言うところの”スノーエンジェルが見える”という感覚は何度か味わった事があるし、普通の人間なら1度や2度はそんな状況に追い詰められた経験があるのではなかろうか。
ま、メロだけ聴いても、すごくイイ曲ですけどね。

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2008年8月13日 (水)

NICK LOWE 「DOSE OF YOU」

ニック・ロウというのは、まぁ一般的にはかなりマイナーなアーティストであろう。このコンテンツの主旨から言えば、一発ドカ~ンと代表曲を紹介する(「CRUEL TO BE KIND」で有無を言わせず平伏させる、とか、「SO IT GOES」でスティーリー・ダン愛好家の口をボールギグ装着状態にする、とか)のが正しい道かと思うのだが、ここは敢えて、そんなマイナーアーティスト、ニック・ロウの楽曲の中でも更に渋めのものを。アルバム「LABOUR OF LUST」から、私の個人的イチ押しナンバー「DOSE OF YOU」、伝授!

この曲を好きになった瞬間、というのが私にはある(今回は結構私的な事書くよ)。
アルバムを聴いた当初は、この曲、まぁ好きは好きだがそれほど印象に残ってはいなかった。グラハム・パーカー「WAKE UP」伝授の項で述べたように、ポップス寄り泣かせメロの方に耳が行ってしまっていた頃である。ちょうど20歳になったくらいか。
1年遅れて佐々木利剛が上京し、SUPER46を結成。自前でオルジナル曲録音に従事し始める。演奏はもっぱら私がメインで、一人で複数の楽器を弾く事に。高校時代のユニット、SSYBMでの演奏経験から、ギターとキーボードは普通に入りこめたのだが、全く初体験の楽器がひとつ。
ベースである。
何をしていいのやらさっぱり解らない。佐藤哲也に相談したら、「ルート弾いてりゃいいんだよ、シンプル・イズ・ベスト!」などと言われ(いや、実話です。彼も若かったのよ)、「そうかそうか、そんで、音色が低けりゃいいワケだな。だったらギターの6弦で弾きゃいいじゃん」と都合良く解釈した貧乏な私。ベース購入など考えもせず、ギターの6弦でルート中心に弾いた音を、MTRのEQでHIGH最低、LOW最高にセッティングしてベースに見立てたプレイでアルバムを2枚作ってしまった。悪評高いSUPER46のファーストアルバム「MAKE KOVE AND PEACE」と、セカンドアルバム「SUPER46 FOR MEN」がそれだ。
アルバムの出来には何故か(何故だ?)自信満々の私だったが、後になって「さすがにベースとは言えんなこりゃ」と反省し、思い切ってベースを購入する。
教則本とかは一切使わず、適当に練習し、適当に録音したのがサードアルバム「BRILLIANT FOOLS」。そこでまた同じ事を思う。ベースが、どうも上手くいってない。ダサい(ベースだけの問題かよ?)。遂に、楽器演奏の追求に生まれて初めて本腰を入れた私は、レコードを聴く際に、意識的にベースを耳で追いかけるようにしよう、と決めた。
で、ヘッドホンで寝転がって聴いた「DOSE OF YOU」が、今までと全然違って聴こえ、驚愕したという話なのである。

20歳の頃は気づきもしなかったが、「LABOUR OF LUST」はニック・ロウのアルバムの中で、ベースのミックスのデカさは群を抜いていた。後に出会った現SUPER46のドラマー渡辺弘によると、このベース全開ミックスってのは、1980年前後のロックレコードにおいて、一種流行だったんだそうだ。
そうして次々に、コステロを聴き直し、イアン・デューリーを聴き直し、ビートルズを聴き直し・・・私の前に新たな世界は広がった。ついでにストーンズも聴き直したが何も無かった(いや、その時の話よ)というのは逆に呆然としたが、耳タコになっていた筈のビートルズの楽曲が全然違う聴こえ方をする、というのは私にとって衝撃的な事であった。この感覚、すべては「DOSE OF YOU」から始まったのだ。故に、この曲は個人的に特別なナンバーなのである。
決して達者な演奏はしていないが、SUPER46の4枚目「GET NERVOUS!」で初めて私は、これはまぁベースと言えるかな、という音を作っている。誰にも言われた事はないが、このアルバムが一応成功した、とされる要因のひとつはベースだと思っている。それまでとは明らかに違うワケだからね。

残念ながら私にはそれほどベーシストとしての才能が無かったらしく、練習を積んだ今でも、腕前は「GET~」の頃のレベルのままだ。
が、パブロックばかりをテープに録音して強引に聴かせ、弟のタカシを洗脳していく過程で、私は散々「ベースを聴けい!」と無理強いし、タカシはそれを素直に実行した。時が経って、彼は当然のようにベースを弾き始めた。キャラ的に合っていたというのもあろうが、楽器を持つずっと前から、その楽器についての自分の好みや、カッコ良いフレーズの引き出しが十二分に蓄積されていた、というのは大きい。
彼はあっという間に私の及ばない高みまで到達してしまった。彼がどんなベースを弾くのかは、SUPER46の6枚目「RAIN ON A SUNDAY」、オリジナル版「YOKOⅡ」、ゴキサール「WAKE UP AND GO TO BED」の3枚を聴け!

って、どこがニック・ロウの伝授やねん!

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2008年8月10日 (日)

スタックリッジ 「ファンダメンタリー・ユアーズ」

知る人ぞ知るサーカス・ロックの第一人者、スタックリッジ。不可思議な歌詞と歌劇のようなステージ、そして英国王道ねじれポップを武器に、70年代に足跡を残した彼等のアルバムから、ジョージ・マーティンのプロデュースによるサード、「山高帽の男」。アルバムのトップを飾るに相応しい、超絶ポップチューン「ファンダメンタリー・ユアーズ」、伝授!

前回のバッドフィンガーにしてもそうなのだが、70年代に入ると、いわゆる”ビートルズ・フォロワー”を売りにしたバンドが数多く登場した。タケノコのように次々に出現したそれらの中で、一流の実力を持ったバンドはひと握りだったが、スタックリッジは最初から少し毛色が違っていて、個性的に、あくまでわが道を進んだ。ジョージ・マーティンが「彼等は第二のビートルズ」とか余計な売り文句を言わなければ、全然リスナー層が違ってきていただろう。ひょっとしたら、バンド延命にはその方が良かったのかもしれない。
とは言っても、ビートルズフリークならではのカッコ良いメロディーを書くバンドである事は確かで、中でもこの「ファンダメンタリー・ユアーズ」は、メロの素晴らしさや、究極にポップな纏まりを見せる、彼等の最高傑作と言える。
スタックリッジのバンド形態は、ちょっと変則的。ベース、ギター、ドラムス、キーボード、バイオリン、フルート。ギターはほぼアコギ。「ファンダメンタリー・ユアーズ」にも、エレキギターは入っていない。それでも、70年代ロックの名ポップチューンとして、何の違和感も無い。
クラシック系の管楽器や木管楽器があると、どうしても押し付けがましいオーケストレーションアレンジに走りがちだが、彼等のアレンジはいい意味で大衆性が無く、劇画的である。楽曲にしても同様。「ファンダメンタリー・ユアーズ」は最高に美しいサビメロを擁しているのだが、最後の最後、普通ならもう一回サビ!な部分でいきなり全然違う旋律のメロトロンが2小節、いきなり転調したかと思ったらブッツリと終わる。私のソロ、「SILENT MORNING」という”短くて変テコなエンディングの曲”があるが、これは「ファンダメンタリー・ユアーズ」からのルパン行為である。

スタックリッジはこのアルバムリリース後、空中分解。残ったメンバーで2枚のアルバムを作るも、解散。90年末にいきなり再結成したが、今はどうしているのやら。
「山高帽の男」は名盤である。最後に言うが、私は本当にちょうどこの時代のドラムス録音処理が大好きなのだ。で、ジョージ・マーティンがこのアルバムをプロデュースした功績というのは、私にとってその1点だったりするワケだ。

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2008年8月 7日 (木)

リンゴ・スター「明日への願い」

う~む。コーナー開設以来、初めて悩む。
リンゴ・スター=ビートルズのドラマー。誰でも知っている。間違いなくメジャーである。ならば、コーナーの主旨から言って、「隠れた名曲」を紹介せねばならないところだ。しかし・・・リンゴ・スターの名前自体はそりゃメジャーだけれど、ソロアルバム聴いてる人って、一体どれほどいるのだろう。私の周囲にもビートルズフリークは多いが、リンゴのソロを3曲以上歌えるのは・・・私しかいない。
実は私も、80年代以降の彼のソロはほとんど知らないくらいなのだ。リンゴには甚だ失礼だが、ここはひとつ彼を、例外的に「無名アーティストの絶対代表曲!」カテゴリーに加えさせていただくことにしよう。
というワケで、リンゴ作曲の最高傑作、並びにシングルの代表曲としても知られる「明日への願い」、伝授!

原題は「IT DON'T COME EASY」。歌詞の内容、メロディーは、とても楽天的とは言えないものだが、リンゴが歌うと何故か癒し系。たぶん、どんな曲を歌っても、彼ならそうなるだろう。例えば、「ヤー・ブルース」とか「ヘルター・スケルター」でも、そうなるだろう。逆に言えば、「グッドナイト」をジョンが歌っていたら結構ヘヴィーだったのではあるまいか。これはある意味スゴイことだ。
「明日への願い」はコード進行もなかなか変わっていて、今で言うところの「民生流」というヤツになろうか。主キーのドミナントコードをマイナーにして使っている。リンゴは作曲の際、キーボードの和音を使って構築していくみたいだから、それも関係しているだろう。「レ・ファ#・ラ」のあとに「ド・ミ・ラ」と弾き、「ド・ミ・ソ」って具合に進行させて作ったんだろうね。気持ちは解るなぁ。Aメロ導入部をスローにしてギターのアルペジオで弾くと、そのまま「ヴィーナス・アンド・マース」が歌えたりなんかして。
イントロのドラムスはカッコいい。当然、リンゴ自身が叩いてる。私はことドラムスの録音状態に関しては、「アビー・ロード」から始まるシンプルディレイ処理(73年くらいまでの流行手法だね)が大好きなので、それだけでも嬉しいのだが、フィルインが2回来る、っていうこのイントロは大変好みなパターンなのである。
リンゴのリードヴォーカルに入る前に、サビの1回しがあり、その部分はバッドフィンガーの2人がゲストで歌っている。こいつらの声色、高いんだよなぁ。高校時代に初めてこの曲聴いた時には、女声コーラス隊が歌ってるのかと思ったよ。

で、この曲、どのCDで入手すれば良いのかという話ですが、これはもう去年リリースされたベスト盤で決まり。「Photograph~The Very Best Of Ringo Starr」というタイトルです。「明日への願い」以外にも、イイ曲いっぱい入ってますよ。

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2008年8月 5日 (火)

GRAHAM PARKER 「WAKE UP」

無名アーティストシリーズ。
皆様そろそろこのコンテンツの特徴を認識し始めた頃かと思いますが、基本、有名アーティストについては、重箱の隅をつついたような埋もれた楽曲を、無名アーティストについては「まずこの曲を聴いてみろ!」的な代表曲を紹介している次第です。
今回は、パブロック界随一の真剣師、グラハム・パーカー入魂のポップチューンを。アルバム「STEADY NERVOUS」」A面4曲目「WAKE UP」、伝授!

この曲を聴いた時は、衝撃を受けました。
私がバカロックンロールに目覚めるちょっと前、まぁ20歳くらいの頃ですかな。まだ若造の私は、パブロックにハマり始めていたと言っても、ちょっと憂いのある泣きポップス寄りの楽曲が好みで、当時、世界で1番好きな楽曲は、ニック・ロウの「WISH YOU WERE HERE」か、エルヴィス・コステロの「EVERYDAY I WRITE THE BOOK」か、てな状況で。今考えると、パブロック連中が一般ウケを目指して少し媚びました、みたいなナンバーに惹かれていたんだなぁ、と。いや、媚びてるとは言え、アレンジの仕掛けや歌詞、メロディー構成は、他ジャンルの追随を許さない楽曲である、とは今でも思いますが。
で。コステロ、ニック・ロウの既発アルバムすべて聴き終え、この2曲を超える楽曲なんて、この世に存在するんかいな、みたいなワケの解らないことを考えていた若きダイナマイトが初めて購入したグラハム・パーカーのアルバムにて、その曲は唐突に襲ってまいりました。
「WAKE UP」。
完璧な曲だと思いました。トキメキのイントロ、気合のヴォーカル、センチな詞と、泣きメロ、間抜けながらもカッコ良いブレイク、統一感のあるアレンジ、それでいてバラードではない、というのが重要で。当時の私の好みをすべて兼ね備えておりました。
パブロック連中はスゴイな、この調子でいくと、他のアーティストにもまだまだ埋もれた大名曲がいっぱいあるかも、と勘違いしたほど、本当にこの曲とは唐突に出会いましたなぁ。
結局、そこまで入れ込むほどの楽曲にはその後なかなか出会うことは無く、前述の2曲と合わせ、私の中で3強時代が長い間続くことになります。ドン・ディクソンの「GIRLS L.T.D.」に出会うまで、3強は並ぶ者を許さず、揺らぐ事なく、20代後半あたりから、次第に私自身の好みの方が変わっていきました。
しかしながら、今でも大好きな曲である事には変わりはありません。さすがに聴いて涙流すような事はなくなった、という話。

アルバム「STEADY NERVOUS」が、グラハム・パーカーの中では異色作なんだ、という事は、その後すぐに認識しました。彼の作品の中で唯一、「売れたい」という狙いで作られたアルバムなのです。長きに渡ってグラハム・パーカーの相棒であったブリンズレー・シュオーツのオッサンが、普通の売れっ子ギタリストみたいな出方をしているのも、このアルバムだけです。ドラムスの音が普通の売れ線ロックよろしく「シャキ~ン!」みたいな処理をされているのは、このアルバムと「HUMAN SOUL」の2枚のみ。
で、売れたのかというと、売れなかったワケです。逆に言えばそれもまた名盤って事ですよ。周りの音が売れ線処理をされていようが何だろうが、一番光っているのは、やはり楽曲とヴォーカルなのですから。

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2008年8月 4日 (月)

デヴィッド・ボウイ 「スーパーメン」(別ヴァージョンの方)

正規テイクよりも別ヴァージョンの方が断然好き、という楽曲がいくつかあります。もちろん正規テイクが大好きな上で更に、という話です。
今回はそんな奇特な傑作群から、別ヴァージョンのクォリティーには定評のあるデヴィッド・ボウイのナンバーを。CD盤「ハンキー・ドリー」にボーナストラック収録の「スーパーメン」別ヴァージョン、伝授!

「ハンキー・ドリー」収録の「スーパーメン」別ヴァージョンがオイシイのは、正規テイクが前アルバム「世界を売った男」の収録曲である、という事も大きいですな。正規テイクと別ヴァージョンが同じCDに被っていないわけです。
正規テイクの方もかなりの名曲ですが、アルバム「世界を売った男」の中では地味に押さえた作りの楽曲でした。どちらかと言えば渋さで勝負してるような。
反してこの別ヴァージョン、完全にイッちゃってます。70年代前半のデヴィッド・ボウイ自身の言葉に「脳天を突ん裂くメロディーを心がけている」という、是非とも見習いたい名言がありますが、「スーパーメン」別ヴァージョンは、それがメロのみならず、ヴォーカル、アレンジ一体となった時の爆発力を証明してくれます。
私も一時期、デヴィッド・ボウイの”脳天メロ”については散々研究を重ねました。が、やはり天才には敵わない、というのが当然の帰結で。”脳天メロ”が特に成功した楽曲というのには曖昧ながらも共通項がありまして、Aメロが導入部で傾斜気味、Bメロがクライマックスへ向かっての上昇軌道、サビで大爆発、てな、3部構成のものが多いんです。それが1番、2番と歌モノとして構築されているのですな。これ、天才特有の常人離れした感覚なワケで、いくら真似しても、神髄には至らない。張り合おうなぞ無謀な所業、聴いて感動しているのが一番です。
「スーパーメン」の別ヴァージョンでは、そんな構成が極端に目立つアレンジがなされております。ミック・ロンソンの”脳天ギター”が絡むのはBメロ部から。サビは、やり過ぎではないかと思わせるほどの”脳天ヴォーカル”。どちらかと言うと淡々としていた正規テイクとは、全く別の楽曲であるかのような仕上がりです。

この頃のデヴィッド・ボウイのアレンジをなんとか模倣できないかと思い、私が初めてトライしたのが1991年、SUPER46「ビッグ・クランチ・ジャンボリー」収録の「ウェイティング・フォー・ザ・プレゼント」という曲。
結果は見事に自爆でした。散々な出来で、相棒の佐々木利剛も「これはちょっと・・・」みたいな顔をしてましたなぁ。まぁ私も技量・機材不足でしたし、若造だったからねぇ。
今にして思うと、失敗した原因、思うところはあるのです。当時はミック・ロンソンのギターや、変則構成のドラムス、キテレツなベースラインばかりに耳が行って、一番大切な音を軽視していたんです。
それはズバリ、アコギ。
「スペース・オディッティ」から「ジギー・スターダスト」までのデヴィッド・ボウイ独特のアレンジメントは、いかにエレクトリックな音が徐々に噛み込んできて爆音となり、ほとんど聴こえないような状況になろうとも、最初から最後までガッシャンガッシャンと弾いている、あのアコギの音があって初めて成立しているのですよ。「ウェイティング~」にはアコギ入ってないからねぇ。入れてたら、もう少しはマトモに聴こえたはずなんです。

私は今、久しぶりのソロアルバムを作っています。デヴィッド・ボウイ風の”脳天アレンジ”に再度挑戦しようと考えている曲が、1曲あります。
ま、それについては、伝授するほどのモンでもないですけどね。一部の方々は、楽しみにしてて下さいませ。

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2008年8月 2日 (土)

BILLY BREMNER 「FIRE IN MY POCKET」

昨夜のデイヴ・エドモンズ繋がりで、今夜はロックパイルのギタリスト、ビリー・ブレムナーの登場。
彼がロックパイル全盛期にリリースしたファーストソロアルバム、名盤「BASH!」から「FIRE IN MY POCKET」、伝授!

ビリー・ブレムナーは、一般的には渋いギタリスト的認知度しかなさそうだが、これがなかなか器用な男で、曲作りの才能にも恵まれ、しかもかなり上手いヴォーカリストでもある。
ロックパイルのアルバム「SECOND OF PLESURE」ではニック・ロウ作の「HEART」を歌わせてもらっている程度で、彼のそんな隠れた才能を見出す事は難しい。やはり私もソロを聴くまでは結構この人のことをナメていた。
私が初めて聴いたビリー・ブレムナーのソロは、3曲入りのEPであった。A面にスクイーズの名コンビ、ディフォード=ティルブルックの提供曲「WHEN LOVE GOES TO SLEEP」を持ってこられるあたりからして、レコード業界での彼のソロアーティストとしての才能に対する期待の薄さが窺える(ま、イイ曲ですがね)。シングルくらい名のある作曲者でなくては商売にならん、という事か。無論私も、そのEPは全く期待せずに購入したものだ。あくまでもパブロック関連レコード収集の一環としての条件反射的買い物だったのだ。
が、B面の2曲を聴いて、正直タマげた。「FIRE IN MY POCKET」と「LOUD MUSIC IN CAR」。どちらもビリー・ブレムナーのオリジナル曲で、非常に完成度の高いものであった。特に今回の伝授曲「FIRE IN MY POCKET」は、今で言うところの「元祖パワーポップ系」というヤツで、ニック・ロウの「CRUEL TO BE KIND」やイアン・ゴムの「HOLD ON」に比肩しうる、ポップス寄りパブロッカー独特のオリジナリティーを持っていた。世間の認知度からして仕方無い戦略とはいえ、やはりこの曲をA面でリリースさせてあげたかったよ。
その後の調べで、彼が「BASH!」というフルアルバムを出している事を知り、私とタカシの瀬戸口兄弟は、散々東京中のレコード屋を探し歩いたのだが、当然の廃盤で発見できず。タカシはその過程で別のシングルを1枚発掘し、とんでもない値段で購入したりもした。聴かせてもらったところ、B面の「YES PLEASE!」というのが相当ツボなナンバーで、まだ見ぬフルアルバムへの期待感は高まるばかりの日々だった。

時は経ち、「BASH!」はCDで復刻を果たした。瀬戸口兄弟は揃って購入したのだったが、世間で果たしてどのくらい売れたのかは解らない。そのCDも既に現在、かなりの貴重盤と化している。
結論で言うと、復刻CD収録のオイシイ楽曲は、すべて私の持っているEPと、タカシ所有のシングルで網羅できていた、というオチがつく。でもまぁ、全ての曲を初めて聴いていたとしたら、間違いなく感動したと思うから、やはりこれは名盤なのである。

「FIRE IN MY POCKET」は、堂々と、アルバムのトップに収録されていた。とても良いアルバム導入構成である。また、「YES PLEASE!」はボーナス収録で、CDのラストを飾っていた。
これだけの才能に恵まれた人が、何故にこうも不遇なのか?歌も、詞も、曲も、演奏も素晴らしいというのに。
失礼ながら答えはひとつしかない。
彼はその外見から、「ロックパイルのリトルモンキー」と呼ばれている。ロックパイルの集合写真で見ると、彼はまるでニック・ロウが飼っている小動物のように見える・・・。

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2008年8月 1日 (金)

DAVE EDMUNDS 「DON'T TALK ME」

プロデューサー体質なのにロックンロールバカ。ロックンローラーなのに録音オタク。細い声質だが、好きな歌を歌う時は狂ったかのように一人で盛り上がっりまくる。
パブロック連中の中で一番私に近いキャラだと思います。デイヴ・エドモンズ、1990年のアルバム「CLOSER TO THE FLAME」から、オタクロックンロールの名曲「DON'T TALK ME」、伝授!

とにかくこの人の場合、自作曲よりカバーの方がヴォーカルの気合ノリ充分というのは、どうしたわけか。
まぁ、原曲への愛ゆえに、下手にカッコつけるような小細工も無く、捨て身のあまり周りが見えなくなっている説が有力。捨て身のヴォーカルというのは、良い。佐々木利剛曰く「刺す感じ」が表現に加わるのである。良いヴォーカリストというのは、どんな曲を歌う際にも自然にそれができるのだが、残念ながらデイヴ、音程は確かだけれどいかんせん線が細い。それが、自分の大好きな曲をカバーすると、水を得た魚の如く生き生きとし、見事に弾けまくるヴォーカルテイクが録れるのだから、面白いモンである。私で言うと、ヒーロー物の主題歌をカラオケで歌う時に、天から何かが降りてくるような感覚があるが、多分そんな感じだろう(本当かよ)。

という事で、デイヴ・エドモンズにはカバーの名曲がいっぱいある。オリジナル音源も良いけれど、デイヴのヴァージョンの方が更に良い、というナンバーが何曲もあるのだ。エルヴィス・コステロの「GIRLS TALK」、ニック・ロウの「HEART OF THE CITY」、グラハム・パーカーの「CRAWLING FROM THE WRECKAGE」、カーソル・フライヤーズの「TELEVISION」、ブリンズリー・シュウォーツの「IT'S BEEN SO LONG」。
大体それらは70年代後半から80年までのロックパイル時代に集中しており、ロックパイルが解散してジェフ・リンとくっついたあたりから、どうもヴォーカル処理がオシャレな感じになってしまい、しまいにはドラムスが打ち込みになったりもして、多くのファンが離れてしまった。
そんな中、90年にリリースされた「CLOSER TO THE FLAME」は久しぶりの名盤であった。「INFORMATION」あたりでデイヴに見切りをつけてしまった人がいたら、是非聴いて欲しい。ヴォーカルも演奏も気合漲る傑作である。
収録曲のうち、イチ押しなのが今回伝授する「DON'T TALK ME」だ。オリジナルはミッキー・ジャップ。この人がまた、デイヴに輪をかけたような神経質なロックンロール職人で、媚びるという事をしない。延々と地味なロックンロールアルバムを作り続けて変人扱いされ、少しは稼ぎのある他のパブロック連中に楽曲を提供してどうにか食い繋いでいるような男である。一番有名なのは、ニック・ロウに提供した「SWITCH BOARD SUZAN」だろうか。
「DON'T TALK ME」にしても、ミッキー・ジャップのオリジナルヴァージョンは何の派手な演出があるわけでもない、とことん地味なアレンジの、今にも夕陽に溶けて無くなってしまいそうなナンバーである。
ところがデイヴのヴァージョン、これはスゴい。ロックパイルのファンが聴いたら、無条件に立ち上がって踊りだしてしまうというカッコ良さ。オリジナルでは超適当だった譜割りや間奏もキチンと練り直され、お約束のコーラスと、TKOばりのホーン・セクションが入る。そこへきて捨て身としか言いようのないヴォーカルだ。日本語にすると「じゃかぁしい!」みたいなフレーズの連呼、吐き捨てるように歌う。間奏直前のアドリブシャウト、「SHIT!」がまたクールで渋いのだ。

このアルバムには、ミッキー・ジャップがもう1曲、「STOCKHOLM」なる変テコな曲を提供していたり、ジョン・ハイアットが作曲クレジットに名を連ねる「I GOT YOUR NUMBER」など、イイ曲がたくさん収録されている。
ロックパイルが好きな人は、買って損のないアルバムかと思う。ジェフ・リンの色が抜け切ってない曲も、まぁ少しはありますけどね。

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2008年7月30日 (水)

ボブ・ディラン「セイヴド」

3夜連続となる”有名アーティストの無名楽曲”シリーズ。
超大物ボブ・ディランからセレクトしたのは、アルバム「SAVED」。多くの熱狂的ファンを失望のどん底に陥れたという、悪名高い「宗教3部作」の中でも特に不評だったアルバムだ。その収録曲からズバリ、タイトルチューンを伝授!

ディランがキリスト教の洗礼を受けて作った宗教3部作、とは「スロー・トレイン・カミング」「セイヴド」「ショット・オブ・ラヴ」の3枚のアルバムを指す。
別に宗教どうのが悪いワケではない。が、多くのファンにとってディランと言えば、まず何よりも歌詞である。多少曲がバラエティに欠けたとしても、音作りが粗かっとしても、熱心なファンはそれまで、ディランの詞の世界があれば、どんなアルバムでもOKだったのだ。
それがこの宗教3部作時代は、いきなりすべての歌詞が
「神様ありがと~!」「神様バンザイ!」
みたいな事になってしまったから、世間は混乱した。どれくらい混乱したかというと、いきなりグラミー賞をプレゼントするくらい混乱したのだった。実際、ディランには全く似合わない余計な金字塔である。
そのグラミー賞対象楽曲「ラブ・サムバディ」が収録されているのが「スロー・トレイン・カミング」。そして「ショット・オブ・ラヴ」にも一応「ハート・オブ・マイン」という代表曲が収録されていて、この2枚の世間的評価は、どうにか面目を保っている。
ところがこの「セイヴド」。
有名な楽曲は、無い。ディランの全キャリアを通じても、この事態だけで珍しいアルバムだと言える。
詞の内容はまぁ前述の通りでナンなのだが、私がこのアルバムを結構良く聴くのは、演奏のテンションが高いからである。荒削りだが、弾けている。特にピアノを始めとする鍵盤類とドラムスがスゴイ。「ショット・オブ・ラヴ」と比べれば演奏の入魂度は歴然である。
タイトルチューンの「セイヴド」は忙しいアップテンポで、譜割りすらマトモに決めない状況で録音されたと思われるが、プレイヤーが完全にどっかイっちゃってる感があり、非常にフレキシブルである。最近のSUPER46録音で目指そうとしている高みがここにある。これだけ演奏がブッ飛んでしまえば、世間で不評を託った女声ゴスペル軍団のコーラスも気にならないのだ。
このアルバムでは他にも「イン・ザ・ガーデン」とか「セイヴィング・グレース」といった渋い楽曲がB面に固まっているので、充分アルバム全体を通して聴くことができる。決して世間に無視されるような作品ではないのだ。
ただ、詞に関してはやはり、なぁ。
ジョージ・ハリスンの「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」の兄弟盤のようだ・・・。

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2008年7月29日 (火)

ビリー・ジョエル「場末じみた場面」

”メジャーアーティストのマイナー楽曲”路線は本日も続きます。
原題「THE GREAT SUBURBAN SHOWDOWN」。ビリー・ジョエルのサードアルバム「ストレートライフ・セレナーデ」A面3曲目、伝授!

「ストリートライフ・セレナーデ」というのは実に地味なアルバムで、認知度はかなり低い。「ストレンジャー」以降の大ブレイクによって、ビリー・ジョエルの過去作品が次々にプレスを重ねていく中、このアルバムだけはなかなか日本盤が出なかった。それほど不評だったのである。
彼はセカンド・アルバム「ピアノ・マン」で一度はスターダムへと駆け上がっている。誰もが次回作でのド派手な売れ線を期待したワケだが、作られたサードは、人生の殻に閉じこもる、非常にストイックで個人的な内容であった。「ピアノ・マン」収録曲の多くが、第3者的な視点からカッコイイ人生描写をメインとしているのに対し、「ストリートライフ・セレナーデ」においては、己の葛藤や脆さを私的に表現した楽曲が多い。
あと、音作りも地味だ。前作プロデューサーのフィル・ラモーンが一旦離れたことにより、きびらやかなアレンジ演出は封印された。これは、ウケない。大体、私が大好きなアレンジというのは、世間にはあまりウケないのである。
そう、私はこのアルバムのアレンジが好きなのだ。タイプは全然違うが、「ナイロン・カーテン」と同じくらい好きである。特にアコギが良い。目立たないが非常にしっかりとしたバッキングで、楽曲に独特の色をつけている。
本日伝授する「場末じみた場面」、これは別にマニアックな進行をするワケでも、斬新な仕かけがあるワケでもない。いたって普通の、ビリー・ジョエル好きの人が聴いたら絶対に気に入るような美しく素直なメロディーを擁した名曲だ。私はダメだが、「オネスティー」が好きな人にもウケるだろうし、私も大好きな「ウィーン」みたいな珠玉の小品が好きな人にもウケるだろう。一度聴いたらすぐにメロディーを覚え、カラオケで検索して見つからずに悔しい思いをするに相違ない。要は、いかにもビリー・ジョエルらしい優れた楽曲であるにもかかわらず、あまりにも世間に知られていない、ということだ。
詞は、後ろ向きである。サビで高らかに郷愁を歌い終えたあと、Aメロに戻って「あぁ、でも無理にテンション上げようとしてもダメだぁ。やっぱ、このまま隅でコソコソしていよう」・・・かいつまむとこんな感じ。でも、決して滅々とした曲ではない。ケセラセラの境地か。

ビリー自身の弾く、間奏のリードシンセの音色が妙に切ない。結構弾きまくって超絶テクなんだけど。
ビリー・ジョエルが好きで、まだこの曲を知らない人は多いと思う。
普通に名曲なので、この機に是非。

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2008年7月28日 (月)

ザ・キンクス「気どり屋」

原題は「THE POSEUR」。レコードでの正規リリースは無く、同時代のアウトトラックとして、アルバム「SLEEPWALKER」CD盤にボーナス収録された。いわゆる幻の未発表曲、というヤツである。伝授!

実は昨日、当コーナーについて佐々木利剛から感想とアドバイスを頂いたのだが、曰く、「有名どころのアーティストの、無名な作品の紹介に力をいれてほしい」
これは私も明らかに意図するところであったので、その部分、できる限り頑張って伝授していこうと思った。で、今回はキンクス。
彼等が現代のロックリスナーにとって、どの程度メジャーなのか(「ユー・リアリー・ガット・ミー」しか知らん、という人が大半かも)どうかはさておいて、主に私と同世代以上の年齢層にコアなファンが多く存在するのは間違いない。今回は、厚かましいながらも、そのコアなファン層、キンクスリスナーの大先輩方へ向けての伝授となる。

先輩方は、当然キンクスをレコード収集していたであろう。押し寄せるCD普及の波に反発しつつも、やっぱりCDで買い直したりもしただろう。ただ、それはキンクスのどの時代までですか?という話なのである。
熱心なファンの方なら、パイ時代のアルバムはすべて買い直したでしょうな。再発含め3回買い直した、ってパターンもあるかも。RCA時代は好みでピックアップして揃えた?いや、ボーナス欲しさにRCAも結局全部買い直した、という方が多いのではなかろうか。
でも、アリスタ時代は?
二の足を踏んでませんか?

アリスタを買い直すなら、今です。明日まとめ買いに行きましょう。この時代の未発表曲はボーナストラックとして大体出揃ったと思われるし、だいたい今買い逃したらパイやRCAと違って廃盤になってしまう可能性がある。「SLEEPWALKER」に限らず、アリスタ時代CDのボーナストラックはどれも良い、これは保証しましょう。
今回伝授する「気どり屋」は、元々アリスタ移籍第1弾のアルバムタイトルチューンとして作られたナンバー。地味過ぎる、と判断されボツとなり、結局「スリープウォーカー」なるインパクト抜群の楽曲が誕生したワケだから、それはそれで良しとしよう。
が、この「気どり屋」、名曲である。
アリスタ時代はハードロック色がどうも・・・と思ってる先輩方、この曲はパイ後期の良さがありまっせ。渋い、変な曲。詞もメロディーも、キンクスならでは。カク~ンと降下する感じで転調して、いつの間にか元に戻ってる。譜割りも変。クセになる。エンディングのカッコ悪さ(褒めてます)も天下一品。安易なフェイドアウトに走らず、演奏時間3分以内でキッチリ結論を出す、潔さ。

まぁここまで書けば、世のキンキーフリークは、明日レコード屋に行くでしょう。でも、そろそろ店頭から姿を消している時期のような気も・・・。
健闘を祈ります。

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2008年7月27日 (日)

THE SQUIRE 「NO TIME TOMORROW」

誰も知らないアーティストシリーズ。今回はSQUIREというバンドでおつき合いを。
普通に「SQUIRE」でネット検索してヒットするのは、これとは同名の全然違う、私の好みとはかけ離れたバンドでして、つまるところ、本日紹介するSQUIREなるバンド、もうすでにロック界では忘却の彼方という状態。CDはタンジェリンというレーベルからベストが2枚出ておりましたが言うまでもなく今は廃盤、音源を皆様が探し求めるのは難儀かとは思いますが、比較的入手し易いのが、先述したタンジェリンレコードのコンピレーションです。今日はその中に収録されておりますSQUIREの代表曲「NO TIME TOMORROW」、伝授!

タンジェリンレコードは、いわゆる80年代ネオ・モッズ専門のレーベルでございまして、60年代回帰みたいなバンドばかりを揃えた変な集団でした。
当時の新たなモッズ・サウンドというのは、まぁはっきりとブームにはなっておりましたが、60年代回帰と言っても、どちらかというとザ・フー寄りな奴等の方が売れておりました。このタンジェリン一味は、ハッキリとしたキンクス寄りで、セールス的には散々。レーベルの看板はザ・ジェットセットという、曲がキンクスでアレンジがビートルズという妙なパロディバンド、売れていないながらもこ奴等が核となり、レーベル2番手をDIRECT HITSやらTHE MOMENTSやらと争っていたのがこのSQUIRE、というワケです。

SQUIREは一言で言うなら「不器用なキンクス」。いいメロディーを書き、モッズらしいカッコ良い演奏をするのですが、どうも最後の仕上げが淡白で、随分損をしているように思います。それでも初期は、曲の良さだけでグイグイ引っ張っていく、勢いみたいなモノがありました。後期になると親分のJETSETを真似てホーンセクションを導入しますが、肝心のアレンジャーがあんまりヤル気なかったのか超適当で、おざなりな感じに曲にのっかっているように聴こえ、楽曲の昇華に貢献したとは言えません。
そんな後期作品の中、群を抜いて傑作、奇跡的にアレンジが輝いている曲が「NOTIME TOMORROW」です。
タイトルでピンとくる方もいるかと思います。キンクスの隠れた名曲、「THIS TIME TOMORROW」からインスパイアされたんでしょうな。そんなタイトルの曲を、サイケデリックに纏めてしまえ、という投げやりなアイデアがズバリ成功。イントロの第九導入、突然ドラム、怪しげなオルガン系シンセサイザー、クールなサイドギター、意表を突くブレイク、異様なエフェクトヴォーカル。サイケフェチには絶対ウケる要素が目白押しです。それこそ、この1曲だけを採り上げるならば、XTCのデュークス名義楽曲にもヒケをとりません。
私は聴くにしても作るにしても、パロディーという手法が大好きですが、その際の絶対的な決め手は、元ネタに対する愛情だと思っております。タンジェリン一味には、非常にマニアックな形ではありましたが、それが基本路線としてありました。
機材の進歩や理論追及により、何かをパクってもそれを解らないように仕上げる、そんな行為が横行し始めた昨今。ややもするとそれが安易な道として私を誘う事もありますが、今日この「NO TIME TOMORROW」を伝授するにあたり、イカンイカン、と自らのルパン魂を呼び起こした次第でありました。

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2008年7月25日 (金)

ジョン・レノン「心のしとねは何処」

原題はズバリ「SCARED」。
ジョンのソロにあって、邦題に気合の入っているという点では「ジョンの魂」にもひけをとらないアルバム「心の壁、愛の橋」、A面ラスト収録。伝授!

私、ジョンのソロはまず「ジョンの魂」を買ったわけですが、次に何を買うべきか、レコード屋でウンウン唸った挙句、これにしました。同じ経験を持つ方も多いと思いますが、言う間でもなく、邦題に騙されたというワケです(あと、ジャケ買いってのもあるな)。
いや、改めて言うと、良いアルバムなんですよ。他の作品には無い、泥酔して愚痴っぽい感じがあってたりして(それの何処がエエねん、言わんといて)。ただねぇ。買って帰って聴き終わった時は、ヘコみましたよ。高校1年の時ですけどね。邦題から判断して、「ジョンの魂」よりイイかもしれない、とか思いこんで買いましたから。

いや、ホントこのアルバムの邦題はスゴイ。
「愛を生きぬこう」「真夜中を突っ走れ」「枯れた道」「果てしなき愛」「夢の夢」「予期せぬ驚き」「鋼の如く、ガラスのように」「愛の不毛」・・・。
そして何と言っても、「心のしとねは何処」ですよ。
私は当時「共産党宣言」とか読んでいた(誕生日に佐々木利剛がプレゼントしてくれた。今考えると意味わかんね)ような、にわかセクト少年でありましたから、何やらジョンの哲学とか斬新な思想とか、この邦題に期待したワケですよ。
で、訳詩とか読みながら聴いてみたところ、ですね。この曲はどういう事を歌ってるかというと

「怖いよ~♪暗いよ~♪」

・・・・・・。
ま、懐かしい思い出ですな。その後すぐに、イイ曲だな、と普通に好きになりましたからね。
このアルバム、全編にわたり強引なブラスアレンジが施されているのが特徴でして、この曲でもおどろおどろしいブラスが曲間を埋め尽くしています。私のブラスアレンジ好きって、高校時代によく聴いていたこのアルバムと、ストーンズの「スティッキー~」、ビリー・ジョエルの「イノセント・マン」、この3枚で完全に刷り込まれたんだと、今にして思います。コステロの「パンチ・ザ・クロック」を手本に、具体的な技法を習得するまでは、単なる耳年増だったんですな。

結論、ブラスアレンジ好きな方は是非どうぞ。
それにしても、この間小原達夫先生がカラオケで「イマジン」収録の「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」を歌ってらっしゃるのを聴いていて愕然としましたが・・・。
「心のしとねは何処」と、ほぼ、おな・・・。

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2008年7月23日 (水)

THE BOOMTOWN RATS「ANOTHER PIECE OF RED」

イケイケ縦ノリ野郎→パンクとポップス融合の旗手→ニューウェーヴの帝王→気難しい反体制ロック伝道師→トホホなテクノバンド→と、短い活動期間中に目まぐるしく変身したバンド、ブームタウン・ラッツの4枚目「モンド・ボンゴ」A面4曲目収録。我こそは”変なイイ曲フェチ”である、という皆様には是非知って頂きたいナンバーです。伝授!

ボブ・ゲルドフ率いるブームタウン・ラッツの4枚目と言えば、ズバリ彼等の評価が急降下したアルバム。ただ、このアルバム、決して駄作ではないのです。世間が勝手に3枚目路線(解り易いニューウェーブ・ポップ)を期待していただけでね。
ボブ・ゲルドフ曰く「日常慣れ親しんで口ずさんでいたメロディーが、実はとんでもないメッセージソングだった」というのがまぁ、このバンドの狙いなワケですが、この「慣れ親しんだメロディー」という部分が、4枚目にして若干・・・いや、かなり怪しくなってきました。なんだかラップ系の曲が目立ち始めたんですな。
それでも、「象の墓場」とか、ポップな楽曲もチラホラと収録されてて。アルバム通して聴いた感じは悪くないです。当時は散散な言いようをした人も、「改めて聴き返すとなかなかイイじゃん」って思うんじゃないかなぁ。

で、お題の「ANOTHER PIECE OF RED」。
「赤」=「反体制」・・・って、ベタだなぁ、と責めるなかれ。ボブ・ゲルドフにしてみたら、「俺がやらずに誰がやる!」とかマジに考えてたはずですから。
歌詞の内容は、ですね。

「♪今日も世界のどこかで共産主義者が弾圧された♪」

これが、サビです。え?聴く気無くした?まぁそう言わんと。驚くなよ、この曲はバラードなのだ!
ちょっとねじれた、美しいメロディー。メロだけ聴けばXTCみたい。
アレンジも、一見は普通。1番はしっとりと、ピアノメインで聴かせ、2番からはリズム隊がキチンと噛み込んで盛り上げる・・・いや、盛り上げようと努力している。
が、いかんせんこの歌詞だ。サビの歌詞があまりと言えばあまりなため、その瞬間曲が一瞬止まる。ピアノがガ~ン!と鳴って「今日も世界のどこかでぇ~♪」と来るワケだ。
おそらくボブ・ゲルドフの指示だろう。サビ直前にいきなりスネアドラムのロールが噛みこむ。ビビらせてどうする!と思わず突っ込みたくなる。Aメロの普通さに対して、サビアレンジの何と不気味な事よ。

この曲のイイところは、そんな構成でこんな詞なのに、長くない、という点です。”珠玉のバラード小品”と言っても差し支えは・・・あるか(泣)。
でもね。変てこなねじれポップが好き、って人は、聴いて損はない楽曲ですから。早く入手しないと、再発CDもいずれ廃盤になりますよ。

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2008年7月22日 (火)

ジョージ・ハリスン「オ・ラ・イ・ナ・エ」

原題は「DREAM AWAY」。
セールス成績がジョージ自身の圧力によって非公開とされた(自爆のような気がする)アルバム「ゴーン・トロッポ」、B面4曲目収録。映画「バンデッドQ」主題歌としてシングルカットにもなった痛快なポップチューン、伝授!

ジョージ・ハリスンの作る楽曲ってのは、数少ない例外はあれど、かなり変テコな作りで、サビのメロディーがキチンと着地しないのである。
それで成立するの?と言うなかれ。成立するのだ。ポーンと宙に投げ出されたような変な快感がある。「サムシング」で言えば「あ、どんのぉ~、あ~いど~んの・お・お・お」の「ど~んの・お・お・お」の部分だ、と言えば解ってもらえる?
で、「オ・ラ・イ・ナ・エ」だが、この曲のサビ、とりあえずは解り易い。曲構成で言うと「サビ+Aメロ+サビ+Aメロ+サビ・・・」これが延々と続く。この頃のジョージはとにかくサビ押し大王であった。
ところが、このサビがまた、着地しないのである。サビの最後のメロディーが、そのままAメロ頭への導入コードになっているのだ。従って、サビを歌ったら、必ずAメロに移行しなくてはならない。Aメロで歌を終了するワケにはいかないから、またサビへ戻る。が、サビを歌ったら最後、曲は再びAメロへと雪崩込む。あぁ、輪廻転生、メビウスの輪、終りなき戦い、永遠の風車。
で、この曲、どうやって終わるかというと、5度目のサビの途中で、「もう助けてくれ~」とばかりにブッツリと叩き斬られるのだ。私はこれ、ジョージ一流のシャレのような気がする。彼は、そういう自嘲ブラックジョーク・キャラのように思えるのだ。でもまぁ、ただの買いかぶりかもしれませんが。

なんだか褒めてるんだかからかってるんだか解らない伝授になっていますが、いや、イイ曲なんです本当に。
ちなみに私、「バンデッドQ」は高校時代に映画館で観ました。佐々木利剛も一緒でした。田舎なもんで、「幻魔大戦」との2本立てでした。ジョージ・ハリスンがキース・エマーソンに圧勝、という光景は、今思うと安田忠夫対ジェロム・レバンナのようでありました。

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2008年7月21日 (月)

倉橋ヨエコ「涙で雪は穴だらけ」

泣きそうである。
ヨエコさんの最終日に行けなかった。腰痛で、動くことができなくなってしまったのである。持病なので、1年に数回、最悪な状態に陥るのは仕方ないとして、何でこんな大事な日に当たってしまったのか。
代理で同僚に行ってもらったが、彼に聞いたとて、どの曲をやってどの曲がラストで・・・とか全然解らんのである。全く、自分に腹が立つ。
ただ、昨日リハで気合の入っていたこの曲は絶対やったであろうと思われる。「涙で雪は穴だらけ」・・・悲しみの伝授!

ヨエコさんの曲で何が一番好きか、と言われると相当迷うとは思うが、「涙で雪は穴だらけ」「ピエロ」「花とダンス」・・・この3曲のいずれかになるだろう。
「涙で・・・」を知ったのは、ヨエコさんを聴くようになってずっと後、結構最近になってからである。アルバムには収録されていないのだ。シングル「損と嘘」のB面(と言っていいのか、現代は?)曲なのだ。
彼女の曲で、譜面にしたら一番美しいのは、たぶんこの曲だ。大体、3連符でシンコペしてるってだけで音符の並びは流麗になるものだが、この曲はその他にも、考えられない転調がある。突飛な転調、というだけなら誰だって作れる。その転調にあたって、楽曲の流れが美しく、自然である、というのがスゴイのだ。この手の作曲で神技の使い手と言えば、倉橋ヨエコか佐々木利剛(天才時代の)か、ってなモンである。

アレンジも素晴らしい。徐々にパーカッションが増えていく展開、ブラシのドラムスも素敵。ヴォーカルだってスゴイ。「溶けてしまえ~」の「しまえ~」は本当に溶けてしまいそうな抜けの良さだ。
そして歌詞。すさまじく暗い。夢も希望もない。自分の存在を全否定、歌詞だけとってしまえば、ここには救いなど全くない。
それでも、暗くは聴こえない。初めてヨエコさんを聴いた時、BBSだったと思うがこう書いた。
「ひたすらに後ろ向きな詞を、元気に前向きに聴かせるのが彼女の特性」

「涙で雪は穴だらけ」はその最高峰。ライブに来た熱心なお客さんの中にも、「この曲は知らないなぁ」って人が結構いたかもしれない。CD販売部隊も、シングルまでは用意してないみたいだったし。
皆さん、「損と嘘」のシングルを買いましょう。

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2008年7月20日 (日)

倉橋ヨエコ「帰りたい家」

遂にやってまいりました。ヨエコさんの解体ツアー・ファイナル、東京キネマ倶楽部2DAYS!今日(もう0時回って日付変わってるけど)はその初日であります。
私瀬戸口も、無論行ってまいりましたよ。スタッフに方に無理矢理「楽譜自分で運んで自分で売りますけん、どうかどうか」と頼みこみ、開演1時間前のセッティングから入場。おお!リハや!リハやっとる!白いドレスで「溶けてしまえ~♪」って歌ってる!溶けます!ほんと、溶ける~!完全バンド形式かぁ・・・あれ、根上さんって、モヒカンだったのか!

隣に、やはり外部からいらっしゃったCD販売の方々が。あまり詳しくないらしく「どれが売れるんですかねぇ」と聞いてきました。私は迷うことなくDVD「狂鍵★ヒットパレード」を指差し、「これは相当イクと思いますよ」。・・・理由は簡単、今日のライブのチケット、あっという間のソールドアウトだったから、そうやって今日来る熱心なファンのお客さんは、たいていCDは持っているだろう、と。DVDだけまだ買ってない、って人が多いんじゃないかと思って。
結論から言えば、大当たりでした。あと、様子見てると、CDも昔のインディー時代の方が売れてたみたい。やっぱ、みんな最近のCDは持ってるってことですわな。

そういう意味では楽譜も同じ。特殊なジャンルだから、CDやオリジナルグッズみたいにはいかないけれど、会場販売で30冊売れたってのは、相当なモンなのですよ。

さて本題。
今夜のライヴのラインナップから、ヨエコさんファースト・ミニアルバム「礼」収録の名曲「帰りたい家」、伝授!

アーティスト本人の口から、「この曲はどういう状況で、こういう気持ちで作った」なんてなかなか聞く機会がないじゃないですか。今夜はそういったMCもたくさん盛りこんでくれてました。その中で私が「おお、そうだったのか!」と手を打ったのが、この「帰りたい家」。
たぶん故郷の風景、故郷の人に向けた歌なんだろうな、というのは思っていたけれど、すごく具体的な情景を、ヨエコさんは教えてくれました。

大学最後の年に歌い出し、「歌手になるまで田舎にゃ帰らん!」と決めた。生活のため、アルバイトをかけもち。渋谷でやった事務のバイトが上手く出来ずに怒られ、ゴミ出しの最中、泣きむせんでいると、ちょうど銀座線の車両が地上に出てくるのが見えた。それを見て、故郷の木曽川にかかる鉄橋を走る電車を思い出した。そして、故郷にいる従姉妹の女の子が「歌手になったらヨエコって名前にしなよ」と言ってくれた事も思い出した。早くそうなりたい、ヨエコって名前にしたよ、とその子に早く言いたい・・・

♪あの電車に乗りたい
 あの子の家まで行けるんだってさ
 いつか、乗ろう♪

あの歌詞は、そういう事だったんですよ。完全に曲を覚えてる人、お客さんの中にもたくさんいたと思いますが、みんな感銘を受けたと思いますよ、このネタ明かしは。他の曲についてもいろいろなエピソードを紹介してくれましたが、私はこの「帰りたい家」のMCが一番印象に残りました。

さぁ、明日は本当にファイナルです。もちろん、私も行ってまいります。実はかなり腰イタイけどさ、気合だ、気合!

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2008年7月18日 (金)

ANY TROUBLE「YESTERDAY'S LOVE」

さて、コンテンツ開始以来、アーティスト的には著名処が続いておりましたが、1日1曲伝授を謳う以上、毎回そういうワケにはまいりません。「誰すかそれ?」みたいなマイナーなアーティストも、今後かなりな割合で混ざってくる事でしょう。
今回は、パブロック創生期にその実力をほんの少し垣間見せたまま消えていったバンド、エニー・トラブルのファーストシングル「イエスタデイズ・ラヴ」伝授!

リーダーのクライヴ・グレッグソンはまだソロで頑張っているけれど、まぁ売れてはいませんな。立ち位置的にはイアン・ゴムよりもずっと下でしょう。他のメンバーは・・・どうしているんだろうねぇ。結局エニー・トラブルってのは、クライヴ・グレッグソンのワンマンバンドだったという事になるんでしょうか。
「イエスタディズ・ラヴ」が1曲目に収録されたファーストアルバム「WHERE ARE ALL THE NICE GIRLS」はなかなかの名盤で、起伏に富んだメロディーが、縦ノリなロックに載ってビシバシ居並ぶ構成は、エルヴィス・コステロのファーストに似て好感度大であります。
ただ、2枚目以降は、クライヴの趣味なのか知らん、やけにベタなアレンジが目立ち始め、パブロックの範疇からは遠のいていきます。この「イエィタディズ・ラヴ」は後期にリメイクなどやってますが、ちょっと台無しなバラードになってたりして。
ですので、彼等が最も光っていたのは、まさにデビュー時ということで。ファーストシングル「イエスタディズ・ラヴ」がこのバンドの最高傑作でしょう。
パブロック黎明期のお約束、疾走する2分台。短い演奏時間の中に、いくつもの仕掛けがあって、圧倒されている間に曲が終わってしまうというこの快感。
他のパブロック連中のデビュー曲と比較しても遜色なく、むしろ上位に位置づけられるこのナンバー、この機会に是非とも、お試しあれ。

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2008年7月17日 (木)

ローリング・ストーンズ「100年前」

原題は「One Hundred Years Ago」。
ストーンズEMI期にあって、最も賛否両論の分かれるアルバム「山羊の頭のスープ」A面2曲目、伝授!

私はこのアルバム、好きだ。EMI期では「メインストリートのならず者」の次によく聴く。わざとらしい、とマニアの間では敬遠されがちな「悲しみのアンジー」だって、好きだ。だいたい、歌詞がスゲェじゃん。
そう、このアルバムにはイイ詞がたくさんあって。詞が良くて、曲の魅力が倍加しているナンバーが多いのよ。
中でも出色なのが「100年前」「ドゥー・ドゥー・ドゥー」「ウィンター」の3曲。しかもそれぞれ詞のタイプは全然違う。衝動的で、カッ飛んだ発音でカッコイイ単語を吐き出しまくる、「ドゥー・ドゥー・ドゥー」。抒情的で、”ストーンズ限定・泣きのバラード”の中でも屈指の構成力で押す「ウィンター」。そして、幻想的で、頭どっかイッちゃってる感、空中浮遊を体験できる「100年前」。
言うなら「100年前」は、歌詞だけなら「サタニック・マジェスティー」に収録されていてもおかしくないってことです。さすがに曲の方は洗練されてきていて(いや、「サタニック~」の曲が悪い、というワケではないが)、4分足らずの尺の中、後半1分半くらいは延々とミック・テイラーがリ-ドギターを弾きまくっているという(笑)。これ、下手するとドツボな構成失敗パターンですが、この曲の場合、かえってそれがサイケデリック・サウンド回帰のように聴こえてなんとも心地よい。その”サイケな感じ”を強調しているのが、歌詞なのですな。
”空をのたくる竜を眺めながら・・・”とか、まぁ真剣に書いたかどうかはともかく、雑多な色や形がイメージ収束されていく手法は、さすがミック・ジャガー。ストーンズはキース!と言う人、結構多いのだけれども、私は少数派ながら堂々のミック派です。

あと細かい事ですがこの曲、イントロ1小節ってのがイイと思うんだ~。おかげで1行目の歌詞が、凄く光ってる。

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2008年7月16日 (水)

ポール・マッカートニー「きっと何かが待っている」

原題は「That Would Be Something」。
ポール・マッカートニーのソロ第1作アルバム、「McCartney」2曲目に収録。伝授!

このアルバムは、歌モノ8曲、インスト6曲という構成でありまして、もちろんインストの中にもイイ曲はあるのですが、収録された歌モノが妙に貴重に聴こえる、という風変わりなアルバムなのですな。
ところが最近になって、その貴重な歌モノ8曲のうち、なんと5曲までもがベストアルバム「ウイングスパン」に組みこまれてしまいまして、「ウイングスパン」を先に聴いてしまった人に対しては、どうにもこのファーストアルバムを強く推せない、という事態が生じております。
ベストに漏れた歌モノは次の3曲。

A-2「きっと何かが待っている」
B-1「ウー・ユー」
B-3「テディー・ボーイ」

このうち、「テディー・ボーイ」はビートルズ時代、ホワイトアルバムのアウトテイクという事で結構知られている曲ですが、残された2曲のカワイそうなことよ。

実は最近、SUPER46の佐々木利剛から、彼の新曲のドラムスを依頼されましてな。
出してきた指示が、「ポールのようなドラムス」。
ドラムスの指示でポール・マッカートニーを持ってくる辺り、佐々木も並の感性ではありません。逆に大したモンですわ。
で、考えた。
ポールがドラムス叩いた曲で、一番面白いプレイをしているのは、どれだろう?

そう、私が出した結論は、この「きっと何かが待っている」なのです。
ハッキリ言いますが、とってもいい加減なプレイです。ファーストアルバムの収録曲は、おそらくドラムスはすべて後録りです。まず、ギターかピアノと仮歌録ったその後に、ドラムスを強引に重ねているものと思われます。
その中でも、「きっと何かが待っている」のドラムスは、ある程度の構成案を組み立てた上で叩いているのですが、やっているうちに構想がメチャクチャに崩れ去っていくのが、素人の方が聴いても一目。スカッとさわやかな空振りも1箇所あったりとか。ポールがこの曲をベストに収録したくなかった気持ちも、まぁ解らんでもありません。
しかしながら、とても個性的な着想を持ったプレイなのですね。
特に、ワケのわからん裏のタイミングで繰り出されるオープンハイハットの刻みが素敵。っても、2番ではその部分がリムショットにとって代わり、サビでオープンハイハットに戻そうとしたら、1箇所忘れて急遽タムロールで誤魔化したり、3番に至っては間違えて表で刻んでしまったりとか、う~ん、この全く収拾つかん有様は、逆にオモロイぞ。
楽曲として優れている事は間違いなく、アンプラグドのライブヴァージョンがDVD「アンソロジー~マッカートニー・イヤーズ」に収録されてまして、こっちは妙にカッコ良いブルースナンバーへと変貌しておりますが、まぁせっかくこの記事を読んでくれた皆様、ちょっと冒険のつもりで、ファーストアルバム収録のオリジナルヴァージョンを聴いてみては?
特にドラムス注目ね。

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「ちりとてちん」メインテーマ

ちょっと思うところがあって、今日から密かに、新コンテンツを発動します。
私DYNAMITEこと瀬戸口雅資、長い年月をかけての事ではありますが、いつの間にやら音楽全般に異様に詳しくなり、ゴタク大王と化してしまいました。日頃好んで聴いているマニアックなロックはもとより、仕事の事情や元来の凝り性な体質もあって、ジャンルを問わず様々な楽曲の詳細データやアレンジ進行が蓄積され、私の脳は今や音の洪水状態であります。
書き溜めた自作曲を形にしてゆく事も私の野望としてあるのですが、この脳に積み重ねられた膨大なウンチクを少しずつ吐き出し、世間に伝えてゆく事もまた、己に課すに足る使命なのではないかと。だってさ、ちょっと考えると愕然としますぜ。1日1曲を休みなく継続したとして、どんなに長く見積もっても、1万曲の伝授は絶対無理なんだからさ。
とりあえず、思いついた楽曲から地道に、まずは100曲を目指して。それが過ぎたら200曲を目標に、といった感じでやっていこうかと考えます。とりあえず今日から、基本的に毎日更新していくつもりであります。

さて第1回。ロックから入らないトコロがイイわけですよ。ずっと続けていこう、という意思が見えるでしょ?
ということで、唐突ではありますが、NHK朝ドラ「ちりとてちん」のメインテーマを伝授したいと思います。
作曲の佐橋俊彦さんは、知る人ぞ知るTV映像音楽の大御所。柔和な顔立ちで指揮を振る姿は気の優しいおじいちゃん、てな感じですが、その実かなりシビアな方でして。
10年以上前に音楽を担当した「激走戦隊カーレンジャー」がDVD化されるにあたって付随したブックレットにインタビューが掲載されているのですが、なかなか過激な御発言が。
かいつまんで言うと、最近の特撮番組について、「クラシックの理屈も勉強しとらんそこいらの若造に音楽を担当させるな!」みたいな事をおっしゃってるわけです。
諸手を上げて「その通り!」とは言い難いですが、本気で仕事に向かう姿勢は文句無しにカッコイイ。もちろん言うだけの事は成していて、1年間の放送だった「激走戦隊カーレンジャー」は、番組1本だけでアルバム7枚、シングル14枚を発売するという、挿入歌の宝庫と化したのです。後にも先にも、特撮でこんな事態はあり得ないでしょう。
それでも少し前までの佐橋さん、一般的な知名度はさほどでもなかったのです。ま、今は違うという事ですね。「ちりとてちん」で大ブレイクしたワケですよ。
「ちりとてちん」メインテーマは、佐橋さんの特性がそのまま語れるような名曲です。すごく高度な計算に基づいて作曲されているのですが、巧みにアレンジされ、整えられた最終形は、耳馴染みの良い、覚え易く解り易い作品になっているという。安易なウケ狙いとはほど遠い、これぞプロの仕事であります。
私事ですが、私の務める会社が「やさしい癒し系ミュージック・ピアノ曲集」という楽譜を出してまして、これ、同じタイトルで数回楽曲入れ替えの改訂をしておるんですが、前回がイマイチな販売実績であったにも関わらず、最新版は売れ行き好調。これ絶対、「ちりとてちんメインテーマ」の収録が貢献していると思うのです。
初心者がやさしいアレンジでピアノ弾く事ができる、それは同時に、主旋律が優れているという事に他なりません。
あ、蛇足ですが、私が「ちりとてちん」にハマっているのは、決して音楽だけではありませんので。
来たる7月25日発売の、DVD-BOX最終巻が待ち遠しい~。

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