沢田研二 「DAYS」
from『彼は眠れない』、1989
1. ポラロイドGIRL
2. 彼は眠れない
3. 噂のモニター
4. KI・MA・GU・RE
5. 僕は泣く
6. 堕天使の羽音
7. 静かなまぼろし
8. むくわれない水曜日
9. 君がいる窓
10. Tell Me...blue
11. DOWN
12. DAYS
13. ルナ
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先日は嬉しいお知らせが届けましたね。
『沢田研二 TBS PREMIUM COLLECTION』遂に発売!
ジュリーがステージから「TBSの映像集の発売予定がある」と教えてくれたのはいつのLIVEだったかな。
コロナ禍のせいで久しく生ジュリーに会えておらず、自分の中の「リアタイ・ジュリー年表」が曖昧になってきているな、と感じます。イカンイカン!
それにしてもこのオフィシャル発売告知、「音信不通」などと報じた三文フェイク記事が最初に出回った直後、という痛快のタイミングでしたな~。
セブンスターショー、ザ・ベストテン、全員集合・・・今から発売が楽しみです。
さて拙ブログは今日も『BEST OF NHK』カテゴリーでの更新で、採り上げるお題は「DAYS」。
前回に引き続き、5枚のDVDの中で個人的に最もリピート率の高いdisc-2からの選曲となります。
後追いファンの僕でも『BEST OF NHK』収載の映像は、先輩方に授かった貴重な録画編集盤やYou Tube等で「一度は観たことがある」ものが多いのですが、この「DAYS」は初見だったんです。
食い入るように観ましたよ~。
本当に良いものを商品化して頂き感謝感謝。楽曲についての新たな発見もありました。
では今日もキャプチャーを交えて参りましょう!
オリジナル音源は、大名盤『彼は眠れない』のラス前収録。このアルバムは終盤に大沢誉志幸さん提供曲(「君がいる窓」「Tell Me...blue」)と徳永英明さん提供曲(「DAYS」「ルナ」)が2曲ずつ連続するターンがあって、面白い曲並びだなぁと常々思っていました。
特に徳永さんの2曲はラストに固まっていて、ビートルズのホワイト・アルバムじゃないけど「タイプの違う多めの収録曲の中から、独立性が強く後に次の曲が続く感じがしない曲をレコード面の終盤に配置する(ホワイト・アルバムは2枚組なのでA~D面という4つの「終盤」があります)という編集作業があったかもしれません。
徳永さんのジュリーへの楽曲提供は、製作側からすると良い意味で異彩を放っていたのではないでしょうか。
ただ、後追いの僕はまず「DAYS」をこうして『彼は眠れない』収録曲として考えてしまうけれど、DVDの映像は『歌謡パレード』1989年9月27日のステージからの収載。アルバム『彼は眠れない』のリリースは翌月ですから、リアルタイムでこのステージを観た先輩方は、先行リリースのシングル盤『ポラロイドGIRL』のカップリング曲として当時この放送を楽しまれていたものと想像します。
ちなみに「DAYS」はシングルとアルバムでミックスが異ります。
シングルの方は以前先輩から授かった音源を持っていて、個人的には「音の輪郭はアルバムの方が好みかな」とは思うものの、「ポラロイドGIRL」ほどそれぞれのヴァージョンで聴こえ方が大きく変わってくる、という感覚まではありません。
では、そのレコーディング音源と『BEST OF NHK』生演奏ヴァージョンとの比較となるとどうでしょうか。
映像の演奏はもちろんJAZZ MASTER。
ジュリーの新バンドをこの放送で初めて知った、という先輩方も当時多くいらしたのかな。
アレンジはオリジナル音源とほぼ同じ。それでも聴こえ方はまったく違うんですよね。
CDで聴くとキーボードとサンプリングの印象が強く、いかにもこの時代特有の「制御されたバラード」(もちろんそれはそれでクールで素晴らしいのですが)という感じ。
しかしDVDだと特に建さんとポンタさんのグルーヴが凄い!何と言ってもCDと比べベースの音量が大きく聴き取り易いです。
エキゾティックなシンセ・フレーズのループの裏に、とてつもなくポップなコード進行が隠されていたことがよく分かります。
カメラがバンドメンバーのアップを抜かないのが残念・・・と言うのも、建さんの右手がどう見てもダウン・ピッキングの動きなんですよ。
建さんは基本「指弾きの鬼」で、これまで僕が建さんのピック奏法に気がついたのは、20歳の時に生で観た泉谷しげるさんのLIVE(with LOSER)の1曲だけです。
ただ、「DAYS」のフレージングならピック弾きでもおかしくはないのです(この曲はアレンジも建さんですね)。
ポンタさんがヘッドホン・モニターで演奏していているので、このステージでもサンプリングは導入されているのでしょうが、腕利きの各メンバーにそんな硬さは微塵も無くて。
柴山さんはもちろん、ポンタさんと朝本さんも身体の動きが激しいし、それが音に乗っている感じがしてグイグイ引き込まれます。
朝本さんはCDと同じサックスの音色も弾いていますが、この音の導入をはじめとする建さんのアレンジは、当時ソロで世界的ヒットを連発していたスティングの音作りにあやかったんじゃないかなぁ。
JAZZ MASATERのグルーヴは楽曲後半がより素晴らしく、これはメンバーの技量もさることながら、ジュリーのヴォーカルが引き出している面もあるでしょう。
お客さんいっぱいのホール、生演奏で歌うジュリーは歌が進むに連れて熱量が増す、ということは前回記事でも書いた通りです。
↑ ステージ上からホールいっぱいの客席を望む光景は、選ばれた者しか観ることができません。僕らはこうしてDVD映像等のカメラワークで補完鑑賞し、ただただ陶酔するのみ。
で、先輩方には「今さら?」と怒られそうですが、遅まきながら気づきました。
「DAYS」って、相当エロい歌ですね!
今回映像を観て、徐々にジュリーの熱が増してきた2番。歌詞で言うと、ピアスをつけてあげてからのサビまでの流れは本当にヤバイ。
「遠くへ♪」を官能のフレーズとして深読みしてしまいそうになります。
センスの無い僕はCDで聴いている時には「エロさ」まで感じられずにいたのですが、そんな僕でもDVD鑑賞の今にしてそう思えるのは、やはり生演奏のステージで歌うジュリーの凄味でしょう。
「DAYS」と言えば、キンクスに僕の大好きな同一タイトル曲があります。
離ればなれになってしまった人と共にいた過去の日々にリスペクトを捧げ、特別な関係の人間同士が互いに影響し合った体験は、2人が離れても記憶で継続してゆくんだ、という内容の歌です。
作詞(&作曲)をしたキンクスのリーダー、レイ・デイヴィスは、60年代半ばから「ごくごく普通の人間の日常生活、その苦悩や希望、ちょっとした気づきをテーマにした曲を量産します。「DAYS」もその1曲。
ロックがサイケデリックだドラッグだと非日常の世界観を推し勧めた時期にそんなことを始めたので、どうしても「地味なバンド」との評価がつきまとわざるを得なかったキンクス。
しかし時を経た今こそ、その普遍性を世界は広く再評価すべきです。
松井五郎さん作詞の「DAYS」は、「またド派手路線で攻めるぞ!」という89年のジュリー・ナンバーとしては(詞については)キンクスのような「地味」な立ち位置かもしれません。でも『BEST OF NHK』でのジュリーのヴォーカルを聴けば、これは歌手・ジュリーが「長く歌っていきたい」とその慧眼と俯瞰力をして求めた歌ではなかったか、と思えます。
当時シングルのカップリングにこの曲を推したのは、ジュリー自身じゃないのかなぁ。
最後に、もしお分かりになる方がいらっしゃったら教えて頂きたいことが2つほど。
まず第一。
この曲、Aメロの9小節目と13小節目、それぞれの2拍目に「かけ声」(シャウト)があるじゃないですか。
同一の伴奏に異なるメロディーを配した徳永さんの作曲の素晴らしさがあって(1小節目~と9小節目~は同じコード進行)、それを際立たせるためのシャウト・アレンジを建さんが考案したと僕は推測しています。
初聴時からこの箇所がとても好きなのです。
ただ、その「シャウト」フレーズが僕にはこんなふうに聴こえているんですよ。
きみを襲う 寒い声
F Gm
(せいっ!)今夜は
Dm
腕のなかでみつけたもの
C
(せいっ!)夢と名前 つけた ♪
F Gm A7
絶妙なタイミングで差し込まれるスリリングなシャウトに痺れる・・・でも「せいっ!」はちょっと変だ、もしかして「DAYS!」と叫んでるのかな?
そう考えましたが、「で」とは言ってないですよねぇ。
みなさまには、どう聴こえていますか?
そして第二。
ちょうど上記歌詞部、映像のジュリーは「腕のなかで」を「胸のなかで♪」と変えて歌います(テロップの歌詞は音源通り「腕」となっています)。
これは、このステージの時だけなのかな?
いや、僕もファン歴は浅いですが、ジュリーが本来の歌詞を「自分でしっくりくるように」一部変更して歌い、それをツアー中ずっと継続することがある、というのは学んでいます。
例えば2009年、「Pleasure Pleasure」の「ルート」を「コース」に変えたりね。
「DAYS」の場合はどうだったのかなぁ?
先輩方からの御伝授をお待ちしております。
さて次回更新・・・例年ならば日付的には3月11日リリースの新曲の考察に取り組む時期です。
でもまだリリース情報が無いですよね・・・。
もし今年リリースが無かったとしてもコロナ禍の状況を考えれば致し方なし、『BEST OF NHK!』のカテゴリーをさらに進めていきますが、新譜リリースへの期待もまだ断てません。
現時点では次回お題は「未定」とさせてください。
では(たぶん)また2週間後くらいに!
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