2017年9月18日 (月)

2017.8.20大宮ソニックシティ 沢田研二『50周年記念LIVE 2017-2018』セットリスト&完全レポ(執筆中)

駐:
執筆途中の更新です。
今もなおセットリストのネタバレを我慢されているジュリーファンのみなさまもいらっしゃいますので、”現在○曲目「○○」まで執筆済”という表記はせず、加筆する度に更新日付を変更してゆくスタイルで書いてまいります。
全文を書き終えるまでには半月以上かかるかと思いますが、今回もよろしくおつき合いをお願い申し上げます。
また、絶賛進行中のツアー各会場に参加されたみなさまのご感想、貴重な情報などもコメントにて楽しみにお待ちしています!

☆    ☆    ☆

ジュリー50周年記念ツアーは2週間のお盆休みも明け、大盛況の大宮公演から無事再開されました。
これからファイナルまでが本当に長い・・・物凄いスケジュールです。しかしジュリーは相変わらず元気一杯、気合充分。そんな大宮公演に僕は今年もYOKO君と男2人で参加してまいりました~。

こんな年はもう二度とないと思うんですけど、僕は今回のツアーで、初日NHKホールが上手側端の最前列、この大宮がYOKO君と並びでド真ん中2列目という神がかりの席運に恵まれての参加。感謝、感動、いくら言葉を尽くしても足りません。
この特別なツアーにそんな幸運が巡ってくるとは、真に有難き身に余る光栄であり幸せの極みです。こうなったからにはもう、とにかく全力渾身を尽くしてレポに取り組みたいと思います。

いやはや、それにしても。
実はこれまで僕はジュリーLIVE1桁台の神席経験は(キャリアに比すると)比較的多いのですが、完全にジュリー正面の「どセンター」って初めてだったんですよ。
ご経験のある方ならお分かりの通り・・・ただただ凄いです、ドセンターの神席って。YOKO君も言ってましたが、いつもはしょっちゅうギターのフォームでキーを確かめたり、あれこれとバンドのチェックをしてしまう僕らが、ま~よほど思い切らない限り正面のジュリーから視線を外せないわけです。
それでも僕は何度か柴山さんのギター・ソロをガン見したり「TOKIO」のイントロで依知川さんに見とれたりできましたけど、YOKO君の方は「ジュリーがサイドに動き回る時以外はひたすら視線固まってた」と。
まぁ無理もない。彼は今回「ジュリー以外のLIVE全部含めて今までで一番の神席」だそうですから。打ち上げではお姉さん達に「ご懐妊?」とからかわれていたYOKO君、否定せずに「たぶん双子を授かりました」と(笑)。

そんなこんなでひたすらロックオン気分が続いた幸せな時間でしたが、それ抜きにしても本当に素晴らしいステージでした。ジュリー69歳、心身とも絶好調です。
もちろん声もね。
ロックナンバーもバラードも最高のパフォーマンス、ヴォーカルだったと思います。素晴らしかった!

それに、やっぱり隣でビビッドな反応をされるのは楽しいですねぇ。明らかにジュリーから丸見え状態なのでさすがに例年のような殴り合いはできませんでしたが、YOKO君は「ダイブ曲」のイントロの度に僕の下半身をゴツゴツ拳で打ってきました。
彼の興奮を間近で感じたことで改めて「今年のツアーは特に凄いぞ!」と再確認できました。

開演前のBGMはいよいよ「祈り歌」まで来ました。
マキシシングルですから、CDタイトルチューン以外の3曲が流れます。YOKO君曰く「震災後の曲をこういう大きなホールの音響で聴くと荘厳な感覚に打たれる」とのことですがまったく同感。特に「FRIDAYS VOICE」のような構成の曲はね・・・。

おっと、今ツアーはセットリストの曲数も曲数です。枕は短めに、早速レポ本文にとりかかりましょう。
今回はキッチリ演奏順に書いていきますよ~。
執筆途中での更新スタイルで、記事完成までには相当な日数がかかるかもしれませんが、呆れずによろしくおつきあい下さいませ。

とにかく「どセンター神席」にビビリまくりのYOKO君、ブザーが鳴って場内の灯りが落ちると「うわぁ~~~」と呻きます。僕はそれを横目に余裕のふり。
初日と同じように巨大スクリーンがスルスルと降りてきて(いや~近い!)、YOKO君「?」状態から・・・開演!


あなたに今夜はワインをふりかけ

Omoikirikiza

大宮公演は場所的にも「もう関東圏の会場で1度参加済み」のお客さんが多かったのかな。初日のようにスライドショーが切り替わる度に歓声が沸く、ということはありません。でも隣のYOKO君はしきりに「うおっ!」とか「へ~」とか「おっオーティスじゃん!」とか反応しながら観ていましたね。

巷で話題なのは、このスライドショー最後のショット。今ジュリーが何と言っているのか、という。僕も今回はジュリーの唇の動きを確認してみました。
単に「ありがとう」ではなさそう。至近距離で見た感じだと、最後の1音は「お」行のように見えるんです。とすれば「愛してるよ」説が有力でしょうか。でも最後が「え」行で「ありがとうね」の可能性もあるかなぁ。

スクリーンが上がり、ジュリーの姿を確認するやYOKO君は「やべぇ、やべぇ!」と。
いや、分かる・・・ホント近い。
これが「どセンター神席」の景色なのか~。
イントロが始まるや、たまらずのスタンディング。ジュリーLIVEの前方席で男が2人並びで立っちゃうのは本来とても申し訳ないことです。僕でも170センチ強、YOKO君に至っては180センチ近い身長ですから・・・。
YOKO君は何度か気にして後ろをチラ見したそうですが、「悪いなぁと思うのはもちろんだけど、それでも(後ろのお客さんが)ノリノリな様子だったから本当に救われた」と。有り難いことです。

今ツアーのオープニング、曲数カウント外のオマケとして配された「あなたに今夜はワインをふりかけ」。改めて、特別なショーの幕開けにふさわしい選曲、アレンジなんだなぁと感じました。
それにしても初日同様、ジュリーの喉は冒頭から絶好調。これはジュリー、日頃から相当気合を入れて節制、精進しているのでしょうね。

1曲目「君だけに愛を

Tigersred

多くのじゅり風呂さんもそうされていますが、拙ブログでもジュリーに倣いオープニングの「あなたに今夜はワインをふりかけ」を曲数カウントせず、この「君だけに愛を」から曲順表記させて頂きます。
「どセンター神席」はさすがに音響も凄い迫力で。特に、最初の「君だけ~に~♪」でアッパービートになって以降の依知川さんの「どっ、どっ、どどどど♪」というラインがズンズン身体に響いてきます。
柴山さんのイントロでのアルペジオ→単音瞬時の切り替えは初日と変わらず。

ただ、そんな素晴らしい演奏でも僕らの視線はジュリーだけに釘付け。真正面の至近距離でこの曲を歌うジュリー・・・格別なる挑発。幸せと言うしかありません。
指差しはおもに1階の10列目~20列目くらいを狙っていたでしょうか。僕は追っかけコーラスにも密かに参加。「夢の世界へ♪」からはトッポのパートをこっそり歌ってきましたよ~。

2曲目「自由に歩いて愛して

Pygbest

イントロの瞬間、「うおっ!」と叫びながらジュリーの死角を突いて(笑)僕の太腿をガンガン打つYOKO君。
打ち上げでも話題の中心となったのはこの曲をはじめとするYOKO君初体感のレア曲で、「自由に歩いて愛して」については「俺はもうあのAmのリフは余裕で弾ける!」と自慢顔の彼でしたが、バンド名のことをさかんに「ぴーわいじー」「ぴーわいじー」と連呼。
僕と2人の時は良いけど、お姉さん達がいる場所でそれはアカンで~。

ツアー直前にこの曲の考察記事を書いて、コメントにてKIX-Sのカバー・ヴァージョンの存在を教えて頂きました。音源はまだ聴けてはいないのですが、96年に勤務先から出版していたバンドスコア『KIX-S/BEST-S』の中に収載があったことを先日資料本で確認。

Kixsbests


スコアを見ると、KIX-Sヴァージョンは斬新にアレンジを変えていることが分かります。
キーもオリジナルより1音半高いハ短調です。


大宮でのこの曲で気づいたのは・・・コーダ部で歌メロを締めくくる「NOW THE TIME FOR LOVE♪」の「LOVE」はメロディー自体は冒頭の「誰かが今♪」の「が」と同じなんですが、発声の違いなのかジュリーのヴォーカルは「LOVE」の方がずっと高い音階に聴こえるんだなぁ、と。
ジュリーは「LOVE♪」の瞬間首をググッと上げ目を閉じ熱唱します。シャウトっぽいけど決してメロディーは崩さない、絶品の歌声。
素晴らしいシーンを間近で観て、素晴らしい発声を間近で聴けた、と感動しました。

3曲目「
僕のマリー

Tigersred

大宮でもジュリーのMCは初日と同じく、この曲の前、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の後、「ISONOMIA」の後、そしてアンコール前と計4回。ま~この日はとにかく長かったですが(大宮のMCは毎年長いですけど、それにも増して)、MCについては僕の印象に強く残ったお話に絞ってアンコール前に纏めて書かせて頂くことにします。

さて、よく考えたらYOKO君はこの「僕のマリー」は初体感(『ジュリー祭り』では歌われず、その後の「ほぼ虎」「完全再結成」のツアーには彼は不参加)。
イントロの瞬間に「おっ?」と漏らしたYOKO君、今回の大宮に向けてジュリーのシングルをすべて自力でワンコーラスに編集しクロスフェイドで繋げたCDを作って予習に励んでいたそうです。しかし後で聞くと「ソロの曲でしか作んなかったんだよね」と。
全部詰め込むにはシングル多過ぎだよね、と打ち上げで話したりしました。

ジュリーのソロで体感するこの曲は「夢を見た~♪」の聴こえ方がタイガースとは違います。ジュリーが歌う音階のみが強調されるのです。
それはそれでザ・タイガースの「僕のマリー」とは別物という感じで新鮮でした。

4曲目「
青い鳥

Tigersblue

打ち上げでYOKO君曰く、「俺、タイガースの曲だと「風は知らない」と「青い鳥」が好きなんだよね」と。
彼のジュリー・ナンバーの好み(「古い巣」「バタフライ革命」「WOMAN WOMAN」「ジャンジャンロック」など)を考えると以外や朴訥で穏やかな2曲です。
「青い鳥」はドーム(『ジュリー祭り』)以来でドキッとした、と言っていました。
ほぼ虎、そしてタイガースの再結成LIVE、強引に彼を誘っておけばよかったかなぁと今さらのように後悔します。ピーのドラムスやサリーのベースにYOKO君が感化されない筈がないので・・・。

柴山さんのギターは初日と比べるとかなりタイトに。
でも「あくまで横移動」奏法(ジュリーの視線にビビりつつ必死でチラ見しました笑)は変わっていません!

5曲目「
greenboy

Greenboy
タイガース・ナンバーに続いての選曲に、ジュリーの思いを感じずにはいられません。
その一方で、基本的にはこの曲は赤ん坊から少年へ、少年から大人へ、大人から老人へ、そしてまた赤ん坊へ・・・という「人生一気振り返り」テーマですから、来年の古希イヤーも再度歌われるんじゃないかなぁ、とそんなことを考えながら観ていました。

「ビートポップに尖ってた♪」の箇所だったか、をひと差し指を立てて歌ってくれたジュリー。
この曲は他にも結構ジュリーの動きに見所は多いですよね。「愛まで待てない」ほど派手ではないけれどヘドバンもしますし、エアギターもあります。
衣装のグリーンもあいまって、「デビューからの50年を一気におさらいする」ツアーでのジュリーの真髄のような名曲だと感じました。

それにしても、他でもないこの曲で柴山さんのソロに目が行かないとは・・・畏るべし、センター神席で受けるジュリーの眼力&吸引力!

6曲目「
あなたへの愛

Royal3

今回のこの曲の柴山さんの音、すごくオリジナルに近いですよね。
考えてみれば「あなたへの愛」は普遍的なメロディーが傑出している名曲で、それ故にアレンジ自体もこれまで色々と冒険的な試みが成されてきた1曲です。
ジュリーwithザ・ワイルドワンズがそうだったし、僕が体験していないLIVEでは、何とワルツ・アレンジの時もあったと以前先輩に教えて頂きました。
でも、結局オリジナルのアレンジが一番良い・・・これはみなさまそう思われるでしょう。だから、音色についても今回はじみじみ「いいなぁ」と。
細かいエフェクト設定は分からないけど、「コーラス」を使っているのは間違いなさそう。ストーンズの「If You Really Want To Be My Friend」のような音です。

7曲目「
許されない愛

Julie2

この日僕らは真正面のジュリーのオーラに気圧されてなかなか左右弦楽器隊に目を向けられませんでしたが、GRACE姉さんと泰輝さんについてはジュリーの奥で細かい動きまで自然に観ることができました。

で、「許されない愛」ですが・・・初日とはGRACE姉さんのアレンジが変わりました。Aメロでスネアを4拍打ちです(4拍目は裏のゴーストも挿入)。
これは音も見た目もカッコイイ!
初日のようにだいたい2小節に1度の割合で豪快なフィルを繰り出すアレンジも良いけど、こちらはリズムに骨が入ると言うか、LIVE向きかなぁ。
「あなたへの愛」がオリジナル音源王道の再現ですから、70年代序盤の同時期リリース2曲の繋がりとしても面白かったです。

ジュリーの「あなたが~♪」の狂おしい「が~♪」が相変わらず素晴らしい!
目を閉じて上半身を揺らしながら、ギリギリとした主人公の感情を載せて歌ってくれます。

8曲目「
追憶

Jeweljulie

こちらもGRACE姉さんが名演。細かいハイハットと16分音符で2連打するキックのコンビネーションは、いつ聴いても「生のLIVEならでは」の感動があります。
そう言えばYOKO君が「GRACEさんがキックを打つとバスドラが光る」って話してたんだけど、僕はまったく気づけず。実際そういう仕掛けになってるのか、それともスピリチュアルな現象なのか(僕は全然ダメだけどYOKO君はそっちの感覚も持ってます)。

サビの「ニーナ♪」を気持ち良く伸ばせている時は、ジュリーの喉の調子が良いと思います。
初日もこの大宮も声が絶好調の今ツアー。69歳ジュリーの体調管理にも本当に頭が下がりますね。

9曲目「
サムライ

Omoikirikiza

初日とは違い大宮ではこの曲が終わってもジャケットを脱がなかったジュリー。
結局後の「時の過ぎゆくままに」で脱いだんですが、真ん中のMCだったか、暑い暑いと言いながら
「最近涼しい日が続いていたので忘れてた」
という話をしてくれました。僕は「暑さ」を忘れてた、とその時は解釈したんですけど、もしかしたら「サムライでジャケット脱ぐのを忘れてた」ということだったのかな。
忘れる、と言えばこの日はカウントが始まってから「あっ、次はスタンドや!」と急いでマイクスタンドをとりに戻って「よし!」とばかりにマイクをしっかりはめ込むやいなや歌が始まる、というシーンも楽しめました。

それにしても至近距離の「サムライ」は最高です。
最初のサビと最後のサビで使う手を変えてくるお馴染みの所作が、しなやかと言うか流麗と言うか。
背中の後ろにクイッと手をやる仕草なんて特にね。まだ脳裏にハッキリ映像が残っていますよ~。

10曲目「
君を真実に愛せなくては他の何も続けられない

Teaforthree

YOKO君が「おっ、ティーフォースリー!」と反応したのもつかの間、終わってしまうというアレンジ。
いや~、やっぱり短いですな~。せっかくなら「誓うよOh My Love~♪」のジュリーのロングトーン(「ve」の発音がポイント)まで聴きたいところですが・・・。
でも逆に、短いアレンジだからこそ柴山さんの2度のリフが倍オイシイ!とも言えます。

タロー作曲の短調アップテンポということで、ギターやベースの感触が2013年に生で体感したザ・タイガース再結成時の「色つきの女でいてくれよ」によく似ているなぁ、とも思いました。
ちなみにこの大宮公演の日は、都内の銀座タクトでピーとタローのジョイント・コンサートも行われていました。ジュリーと他のタイガース・メンバーのLIVE日程が近場の会場で完全に重なる、というのは今回が初めてのパターンだったのではないでしょうか。

11曲目「
ス・ト・リ・ッ・パ・-

Stripper

大宮のジュリーLIVEは毎年音響も素晴らしくて、YOKO君はコンソールのお兄さんのことを「短髪の真面目そうな彼」と呼んでリスペクトしているのですが、今回は開演前にPAのチェックを忘れていました(YOKO君が緊張していてそれどころではなかった)。

で、もちろん今年も素晴らしい音響を堪能したわけですが、唯1曲、この「ス・ト・リ・ッ・パ・-」でトラブル(なのかどうかも分からないのですが)がありました。反響音がワンワン言って混沌状態となり、珍しくもジュリーが大きく音程を外して歌っていたのです。
この曲ではジュリーと弦楽器隊がかなりステージ前方に出てきていましたから、僕らの位置の客席も含めて「たまり」に入っちゃったのかな。
依知川さんが「ここです、ここです!」とばかりに強いアタックでルートを強調したり・・・観ている僕らとしては焦りました。でも、ジュリーってこんな時でも堂々としているんですよね。

大宮の次の町田公演のMCでイヤモニの話が出たそうです。これは大宮の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」での出来事を受けてのことだと思います。
イヤモニをしていれば、こういう事態においても伴奏のモニターに支障はない・・・でもジュリーはそれをしない、と。耳をいたわり長く歌い続けたいとの気持ちもありましょうし、タイガース時代のジャズ喫茶の演奏経験で、ジュリーは大抵のことには動じなくなっています。それぞれの条件、状況での対処も自分の中で「こう!」というラインを持っているのですね。
大切に環境をお膳立てされた歌手とは経験地も対応能力も違うということです。
ある意味、今年の大宮の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」は僕らとしては貴重な体験ができた、と考えています。

・・・とここまで書いたところでNasia様のブログを拝見したら、福井公演の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」でも、たぶん同じようなことがあったっぽいです。
う~ん、やはりモニター返し無しのセッティングで「たまり」が発生しているのかなぁ。初日のNHKホールではそんなことはなかったんだけど・・・。

12曲目「
ヤマトより愛をこめて

Konndohakareina

僕は『ジュリー祭り』で本格的にジュリー堕ちしたのですが(これはYOKO君も同様)、それはイコール「鉄人バンドの音」で堕ちた、ということです。

これまで何度か書いている通り、僕は『ジュリー祭り』の佳境で歌われた「ヤマトより愛をこめて」でのGRACE姉さんのドラムスに強く惹かれました。決して主張し過ぎず、それでいて存在感のあるデリカシー溢れたバラード・エイトの刻みにその時僕は、「あの素敵な女性ドラマーは誰?」というド素人状態でした。
その後2000年代のアルバムを購入し、作詞クレジットの「GRACE」さんがそのドラマーだったと分かり、「こういう詞を書く人だからあれほど歌心のあるドラムが叩けるのか」と納得したものです。
ただ、今回の「ヤマトより愛をこめて」はショート・ヴァージョンですからGRACE姉さんのエイトが聴けません。その点はやはり残念・・・でもそのぶん、泰輝さんのピアノ、柴山さんのギターの素晴らしさが伝わりやすいアレンジなのかもしれません。

ジュリーの歌う「ヤマトより愛をこめて」はツアーごと、会場ごとに発声の表情が違うといった感じのことを初日NHKホールのレポで書きましたが、それは柴山さんのギターも同じです。
特に「からだを投げ出す値打ちがある♪」の箇所。直前の小節4拍目から頭の1拍目に繋がる2和音の柴山さんの表現は毎回違います。激情の突き放しだったり、繊細で本当に微かな音だったり。
いつまでも変わらず若々しいルックスのために年齢のことを忘れてしまいがちですが、柴山さんも先日お誕生日を迎えられ何と65歳となりました。
65歳のギタリストが、50曲を演奏する66公演を駆け抜けようという・・・ジュリーだけでなく柴山さんも超人です。真に鉄人です。
柴山さん、遅くなりましたが65歳のお誕生日おめでとうございます。いつまでも、ジュリーの横で素晴らしいギターを聴かせてください。

13曲目「
モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド

Kenjisawadafrance

以前から大好きな曲でしたが、どうやら今年に入って僕はこの曲を「格別に好きなジュリー・シングル」と再評価し改めて惚れ込んでしまったようです。
福岡の先輩のご好意で『沢田研二の愛をもとめて』のラジオ音源を聞くことができ、その中でもパリの話題に特に感銘を受けたからでしょう。

後ほどアンコール前の項で書きますが、この日の大宮の長~いMCで、ジュリーは正にその「パリ・レコーディング秘話」の補足をしてくれたのですよ~。
これは本当に嬉しかった!
「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」のフランス・リリースについて「一等賞になったわけではないので大した自慢話でもないんですけど、まぁ、四等賞だったんです」と紹介してくれたジュリー。やっぱり「苦労しながらも一生懸命やった、そしてその努力がセールスに反映された」のは、当時のジュリーもとても嬉しかったのでしょうし、すごく良い想い出となって記憶に残っているんだろうなぁ。
生で聴いても素晴らしい名曲、素晴らしい歌です。加瀬さんも実際は「いい曲」だと思っているはずですよ(←この加瀬さんの楽曲評価の話題は、後にMCの項で詳しく書かせて頂きます~)。

14曲目「
明日は晴れる

Asitahahareru

この曲のセットリスト配置も興味深いですね。
時代を大きく離れた曲の繋がり、ということで言えば、「greenboy」が「きれいな大人」のキーワードを指摘するまでもなく自然にザ・タイガースのナンバーに続いたように、「モナ・ムール・ジュ・ヴィアン・ドゥ・ブ・ドゥ・モンド」から「明日は晴れる」への繋がりにも何かジュリーの中で特別な意味があるのでしょうか。

考えられるのは、アルバム『明日は晴れる』製作時にジュリーは、セーヌの源流を訪ねる旅番組に出演し、「我が心のラ・セーヌ」という曲が生まれアルバムにも収録されていること。
ジュリーにとって70年代のフランスでの成功の想い出が、2003年のアルバム『明日は晴れる』とリンクしているのかもしれません。

初日の演奏が素晴らしかった柴山さんのギターをガン見するつもりでしたが、ジュリーのオーラに圧されてチラ見しかできず・・・(泣)。
とにかくこの曲のギターは、Bメロ以降の単音と複音のコンビネーションが凄まじいのです。次の松戸公演ではしっかりチェックしなければ~!

あと、ジュリーの歌に気持ちよく身を委ねていてふと「あれっ、このベースはピックの音じゃないぞ!」と気がつき、今度は依知川さんをチラ見。
おおっ、指です、指で弾いてます!
素晴らしいグルーヴ。柴山さんのギターも合わせ、「明日は晴れる」は今セットリスト中バンド演奏のクオリティーが特に高い1曲と言えるでしょう。

15曲目「
コバルトの季節の中で

Tyakoruglay

本来お客さんが手拍子参加するタイプの曲ではないんですけど、あのイントロが始まると思わず身体が反応して手を打ってしまいます(YOKO君もやってた)。
究極にポップなリフ、軽快なエイト・ビート。そして歌に入ると哀愁のメロディーが待っているという。
「これはジュリー本人の作曲作品ですよ!」と世界中に叫びたくなる名曲です。

またラジオ音源の話なんですが、今僕は82年~84年のジュリー出演番組(こちらも福岡の先輩のご好意で聞くことができています)を中心に猛勉強中。
その中に『NISSANミッドナイト・ステーション』(先輩方は当然ご存知の番組でしょうね)で『ジュリーA面ベストテン』『ジュリーB面ベストテン』という企画がありました。ちょうど「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」が最新シングル、という時期の放送で、A面、B面それぞれの名曲群の中でどの曲が一番好きか、というのをリスナーにハガキで応募して貰い、ベストテン形式で発表していくというもの。
これがなかなか興味深い順位でね~。
A面では、今もLIVEの定番で必ず盛り上がる「危険なふたり」「TOKIO」といった曲がその時のファン投票では意外やベストテンから外れているんです。
詳しい内容は”セットリストを振り返る”シリーズで執筆予定の「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」の記事に譲りますけど、他でもない「コバルトの季節の中で」が堂々ベストテン上位にランクされていたんですね。
「ひょっとしたらベストテンに入ってくるかな、とは思っていたんですが、こんな上位にランクインするとは・・・自分で作った曲ですから嬉しい」という感じで喜ぶジュリーの声が印象に残っています。
もちろん今ツアーの超豪華なセットリストにあっても堂々の名曲ぶり。
しみじみ、本当に良い曲ですね。

16曲目「
君をのせて

Acollection

今となっては奇跡のようなソロ・デビュー・シングル。ジュリーのヴォーカル、佇まいはとても自然で気品があって、優雅と言う他ありません。
久世さん作詞の「コバルトの季節の中で」に続く配置も良いですね~。
確か久世さんは「君をのせて」について、「これは男同士の歌だ!」とご熱心だったんですっけ。これは間違いなく歌詞で言うと「肩と肩をぶつけながら♪」の箇所に収束する解釈でしょう。ほら、そんな歌詞の通りに互いの肩をゴツゴツとやりながら「君をのせて」のその歌詞部(だったと思います)を歌うジュリーに見とれている男2人が実際ここに(笑)。
別に事前に打ち合わせていたわけでは決してないのですが、自然にそんな感じになりましてね。こういうのは、女性のファンからすると羨ましい状況なのかな?
すぐ後ろのお客さんにとっては迷惑この上ないでしょうが・・・(申し訳ありません)。

17曲目「
憎みきれないろくでなし

Omoikirikiza

やはりYOKO君も初日の僕と同じ感想を持ったようです。「この曲はベースがあった方がイイ!」と。
ただしその上で「そういう曲をベースレスで見事再現していた鉄人バンドの技量に改めて感服する」とも。これは、今回はセットリストから外れている「カサブランカ・ダンディ」についても彼は昨年のツアーで同じことを言っていたなぁ。いや、本当にその通りです。

初日まじまじとガン見した柴山さんのギターもこの日は音だけを楽しみ、ひたすらジュリーを観続けました。仕草のひとつひとつがなめらかな中で、静から動へのスイッチの切り替えをスパ~ン!と行くのがジュリーの凄さ(憎みきれない~♪」の瞬間とか)。
エロックでもあり、ブラス・ロックでもあり、愛すべきバカ・ロックでもあり・・・でもやっぱりこの曲も「ロック」だけでは語れないジュリーの魅力に満ちています。

18曲目「時の過ぎゆくままに」

Ikutuka

今セットリスト中まだ考察記事未執筆の6曲のうち、この曲だけは今年の”セットリストを振り返る”シリーズでは書かず、来年6月25日、『ジュリー祭り』全セットリスト考察記事の大トリとして採り上げる予定です。
こんなに有名なジュリー最大のヒット曲なのに、リアルタイムでの記憶が僕にまったく残っていないのは何故だろう、と今でもよく考えることがあります。
小学校低学年ということもあって歌番組を観ていなかったのと(と言うかまだ音楽に興味を持つ前だった)、あとこれは最近今さらのように知ったのですが、『悪魔のようなあいつ』って夜10時からの放送だったんですって?完全にアダルト枠じゃないですか(笑)。
まぁそんな状態のヒヨッコ後追いファンが、このジュリー・ナンバーの中で最も有名な曲の考察にどう取り組むか・・・今はそれを迷いながらも楽しんでいる期間。
ジュリーが目の前で歌ってくれた「時の過ぎゆくままに」に、僕はとても健全なイメージを持ちました。
「危ういジュリー」「ガラスのジュリー」のような退廃美を、遅れてきたファンの僕は「時の過ぎゆくままに」の中に感じとるには至りません。
そのぶん、不朽の名曲に新たな切り口を見出すつもりで頑張りたい、と思っています。

大宮の「時の過ぎゆくままに」・・・YOKO君曰く「テレビより近いジュリー」の歌は清らかで健やかで、ただただ素晴らしかったです。

19曲目「
勝手にしやがれ

Omoikirikiza_2

セットリスト前半で「時の過ぎゆくままに」→「勝手にしやがれ」って、どれだけ贅沢なんだ!という。
やっぱりイントロの瞬間に会場がうねる感覚、大宮でもありました。生涯過去最高の神席と言うYOKO君のエキサイトも止まるところを知らず、何とあの彼が今回は堂々と壁塗りアクション!
「これは珍しいなぁ」と思いながら手拍子していたら、「何スカして手拍子なんかしてる?お前もやれ!」とばかりに僕の右手を掴んでグイッと持ち上げるという荒技も食らいました。

ということでジュリーの真正面で男2人も壁塗りに参加。
ジュリーはいつものように細かいパントマイム、後奏での素早い闊歩から最後は全速でセンターに戻ってきてビシ~ッ!とポーズを決めます。
ちょっとよろけるようなフリはあくまで一連の動作についてくる余興でありサービス、と見ました。近くで観ていたら、ジュリー実際は相当に余裕がありますよ。凄まじい体力、天性のステージングに畏れ入るばかりです。

20曲目「愛の逃亡者」

Fugitive

YOKO君大興奮!この曲はまったく予想していなかったようです。イントロ一瞬で「うわっ!」と叫んで僕の太腿をガンガン突いてきます。痛い・・・。

初日見逃していた「うっ!」「はっ!」は泰輝さんとGRACE姉さんの2人が担当していました。
打ち上げでもその話になり「イントロのフェイクやレゲエ風のビートでトリッキーに聴こえるけど、あのかけ声って4拍子の頭なんだねぇ」と。最後のジュリーの熱唱リフレイン「FUGITIVE KIND~♪」の箇所で僕もその点に気がつきました。GRACE姉さんとしては、本来キックを繰り出す箇所、というリズム感を以って発声する感じかなぁ。

あと、この曲についてはYOKO君ともども「演奏が特に素晴らしい1曲!」と確認し合いましたね。
すべてのパートが素晴らしいのだけれど、個人的には泰輝さんが要所で切り込むホイッスル系の音色がメチャクチャ効いていると思います。
もちろん、後ノリ・ビートのギターのお手本のような柴山さんのワウも最高!

21曲目「アリフ・ライラ・ウィ・ ライラ」

Royal80

これは前々からYOKO君に「この曲やったらアンタ”片翼の天使”(プロレスラー、ケニー・オメガ選手のフィニッシュ・ホールド)を仕掛ける!」と宣言を受けていた、彼のダイブ曲のひとつです。
開演前のお茶の時にもその話がチラッと出て、当然僕はネタバレに気遣って「歌うよ」とは言わなかったわけですが・・・何とYOKO君、イントロのドラムの段階でこの曲に反応できず!
他の音が入ってきてようやく「あっ!」と気づいた様子で、痛恨の面持ちで立ち尽くし、僕にちょっかいを出すこともなくそのままジュリーに見入っていました。
打ち上げでは「感動のあまり」と言い訳しきりのYOKO君でしたが、いや確かに素晴らしかったのよ~。
ここからのCO-CoLO3連発のジュリーとバンドのテンションは、あの大感動の初日を凌ぐパフォーマンスでした。これは、ここまで今ツアーの公演を重ねてきたジュリー自身に「CO-CoLO期の曲のお客さんの反応がイイ!」という手応えが出てきて、一層気持ちが入るようになってきたんじゃないかなぁ。
このツアーを機に、来年以降CO-CoLO期名曲群のセットリスト入りの比率upを期待したいですね。
ちなみにYOKO君は「TRUE BLUEと女神も聴きてぇ!」と騒いでいます。まったく同感です。まぁ僕らは「女神」については去年のお正月に聴けてるけどね!と自慢しておきましたが。

いやしかし、この曲のジュリーの動きはただ見とれるしかありません。
「一流の腕前の剣豪は、剣の動きが実際の速さよりもゆっくりに見える。相手はそのスローな剣先の舞いに見入ったまま成す術なく斬られてしまう」
という話を聞いたことがあります。
間近で体感したジュリーの「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」は正にそんな感じですね。

22曲目「STEPPIN' STONES」

Kokuhaku

YOKO君が言うには、開演からこの曲まではジュリーと目が合うと圧倒されて目を逸らしていたそうですが、「STEPPIN' STONES」を歌うジュリーを観て「もうどうにでもしてくれ!」という気持ちになり、ここからはひたすらジュリーガン見状態に変わったのだとか。

ということで、YOKO君にとって大宮ジュリーのベスト・パフォーマンスはこの「STEPPIN' STONES」だったようです。打ち上げでは隣に座ったお姉さんに「何回ステッピン・ストーン言ってるの!」と呆れ笑いされるくらいに、ステッピン・ストーン、ステッピン・ストーンと連呼していました(笑)。
同時に、彼の中で(僕もそうなんですが)CO-CoLOナンバーの評価が凄まじい勢いで急上昇。
長いファンの先輩方は当然CO-CoLO期の素晴らしさを充分に血肉とした自然な状態で今ツアーに臨まれたでしょうが、僕も含め新規ファン、中抜けファンの多くがそんな感覚を持ったのではないでしょうか。

今「STEPPIN' STONES」の音源を聴き返していると、ツアー以前と比べジュリーの歌詞がストレートに胸に飛び込んでくるように思います。
「継続」の尊さ・・・ジュリーにとってそれは「歌」だったのだ、と改めて思い知らされました。

23曲目「
CHANCE

Royal80

怒涛のCO-CoLO3連発は、今セットリストの目玉。
YOKO君が言うように「STEPPIN' STONES」も最高なんだけど、僕の個人的な今ツアー・イチオシは初日に続いてこちら「CHANCE」の方!
とにかく「これほどの名曲だったか!」と。それは曲や演奏の素晴らしさは当然として、「この曲を歌うジュリーのカッコ良さ」を後追いファンの僕は今回初めて知った、ということ・・・それに尽きます。

イントロから魅せるジュリーのアクションに釘づけ。ゆっくりと闊歩しながら大きく身体を上下する姿が異様なまでに逐一カッコイイのと、あとはやっぱりサビ直前の「ぱんぱんぱん!」ですな~。これは実際に生で観ないと分からないカッコ良さです。
YOKO君も、演奏が終わった瞬間にはさすがに「い~や~名曲だな~!」と言ってましたね。

24曲目「
ラヴ・ラヴ・ラヴ

Tigersblue

セットリスト前半の締めくくり。思えば僕とYOKO君が初めて参加したジュリーLIVE・・・あの『ジュリー祭り』もそうだったんですよね。
あの頃僕らにはこの曲について「DVD『Zuzusongs』でも歌っていたタイガースの曲」くらいの知識しか無くてね・・・。あれから9年、まさかザ・タイガースが完全復活して、そのステージを実際目の当たりにするなど予想だにしていなかったことです。

そうそう、タローとの東西ジョイント・コンサートは終わりましたが、今年もピーは二十二世紀バンドと共にLIVEをやってくれます。
12月の会場は四谷。もちろん僕は申し込みました。今年もきっと「ラヴ・ラヴ・ラヴ」がセットリスト本割のトリで歌われるでしょう。
ジュリーも、トリでこそありませんが還暦の二大ドーム、そして今年のデビュー50周年記念ツアーでこの曲をセットリストの重要な位置に配しました。リアルタイムで体感する「ラヴ・ラヴ・ラヴ」に感謝、感謝です。

25曲目「
灰とダイヤモンド

Kakuu

MC明け、セットリスト後半戦の1曲目。YOKO君、またしてもイントロでまったく反応できず・・・。
とは言っても「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」と違い今回の「灰とダイヤモンド」についてはそれも当然。初日は僕自身がこの日のYOKO君と同じ状態でした。
イントロの細部を改めて気合入れて検証したところ、オリジナル音源のヴァイオリン・パートの音階をアナグラム的に導入している、とかそういうこともまったく無く、原曲のアレンジとは完全な別物なのですね。
ジュリワンの時の「あなたへの愛」くらいに原曲とは異なるアレンジです。
ただ、ジュリーの歌に入ると間違いなくあの「灰とダイヤモンド」なわけで、今年限り(たぶんね)の貴重なテイク、存分に楽しみました。YOKO君も松戸ではこの日の僕と同じ感じで聴けるんじゃないかな。

ジュリーの語尾のロングトーンは驚くほど素直で、肩肘張っている感覚が無くて、リリース当時とはまた違った魅力のあるヴォーカルではないでしょうか。
そんな中に変わらぬ「魔性」が保たれている・・・今年のセットリストを妖しく彩る名演ですね!

26曲目「
LOVE(抱きしめたい)

Love

YOKO君は初の生体感、待望の1曲だそうで。
打ち上げでは「この曲だけでなく『LOVE~愛とは不幸をおそれないこと』収録のどの曲も自分にとっては貴重な大感動曲」と唾を飛ばしながら語っていましたが・・・どうもこのアルバム、周囲のお姉さん達はいまひとつ印象が薄い1枚のようで「実家にレコードは持ってるけど・・・」といった話にしか進まず、しょんぼり肩を落とすのYOKO君なのでした。

今回はショート・ヴァージョンですので、あのイントロの印象的なシンセは割愛され、柴山さんのエレキ・アルペジオから曲がスタートします。
個人的にはこの曲のアルペジオはやっぱりオリジナル・アレンジ通りのアコギが良いなぁとは思う一方で、エレキで普通の運指で弾いているだけなのにここまでの説得力・・・柴山さんの凄味も感じ取れました。

ちなみにこの曲、ティアラと前橋で(それぞれ別の理由による)「歌い直し」があったのだとか。
特にティアラは完全に丸々2度聴けたということですから、お客さんはラッキーでしたね。羨ましい!

27曲目「
TOKIO

Tokio

初日後、この曲のエンディングが変わったと先輩に教えて頂き、僕はてっきりPAのディレイ設定が変わったものとばかり思っていました。実際はそうではなくて、ジュリーの「自分ディレイ」になったのですね!

ここまで僕はジュリーの圧倒的なオーラの前にバンド演奏のガン見ができずにいましたが、遂にこのイントロで依知川さんのベースに見とれてしまいました(おいっちに体操しながらね笑)。
いやぁこれぞプロの技!この指弾きの素晴らしさは是非みなさまにも注目して頂きたいです。
ちなみに僕は9月1日に依知川さんのバンド「BARAKA」の鶴ヶ島公演(埼玉です)を観てきました。ジュリーのLIVEではピック弾きと指弾きを楽曲に応じて使い分ける依知川さんですが、BARAKAでは完全に指弾きの超絶プレイ(しかも5弦ベース!)でした。このBARAKAのLIVEについては大宮レポートを書き終えましたら改めて記事を書かせて頂くつもりでいます。

「STEPPIN' STONES」以降「箍が外れた」と言うYOKO君は、この「TOKIO」でも珍しく最初からおいっちに体操に参加。彼をよく知る僕にとってはそのことだけで「ど真ん中神席」の威力を実感できる「TOKIO」でした。

28曲目「
ウィンクでさよなら

Royal2

ジュリーの「ときお・・・ときお・・・」の「自分ディレイ」から間髪入れずイントロへ。
この流れは「TOKIO」エンディングの唐突さをそのまま盛り上がりに変える勢いがあり、「なるほど」というセットリストの流れです。ジュリーとしては計算してのことでしょうね。

最初の「あい・ら~びゅ~♪」の求愛ポーズは僕らの斜め右のお席のお姉さんが独り占め!
この時のジュリーはステージ前方ギリギリまで進出していましたから、僕ら2列目から観ていても「うわ、近い!」とビクンとするほど。最前列のそのお姉さん、倒れちゃうんじゃないかと思いましたよ~。

29曲目「
危険なふたり

Royal

僕もYOKO君も大好きなシングル(2人ともリアルタイムの記憶は無いんですけどね)。
セットリストとしては常連ですが、何度聴いてもまったく飽きない1曲です。
YOKO君とこの曲の話をする度に話題に挙がるのは、「リフのどの部分がチョーキングなのか」と。
僕は今回、その点完璧に(顔はジュリーを向いて、目だけ柴山さんチラ見という状況でしたが)確認しました。1音目ではなく、2音目から3音目でやってるんですね。

どうやら今ツアー、「年上のひと・物色」コーナーはナシ、とジュリーは決めているようで、ちょっと残念・・・。
でも歌詞に合わせたパントマイムは随所にあり、肉眼でそれを楽しめる神席、本当に有難いことです。

松戸公演に誘っているベーシストの友人は、YOKO君とスタジオに入った際にこの曲を合わせたことがあるそうで、依知川さんのベースをはじめ「危険なふたり」の生演奏を楽しみにしているのだとか。早く来い11月!

30曲目「
ダーリング

Konndohakareina

YOKO君、指舐めやらなかったなぁ。『ジュリー祭り』では堂々とやってたんですが。

さて、この項を書いている時点でツアーは神戸公演が終わったところ。
じっくり書き進めているとは言え、さすがに50曲もあるとなかなか完結が見えませんが、その間ジュリーの髪も順調に伸びているようで、先輩方のお話ではフサフサ感も出てきたそうです。
となると僕はこの「ダーリング」の「短い髪の毛を手で確認しながら無理やりかき分ける」ヴァージョン、大宮で見納めだったということですな~。

最前列のお姉さま方は、「あなたが欲しい♪」からのアクションをジュリーに倣って完璧に合わせます。
「勝手にしやがれ」の壁塗り同様、こういうのは後方席から観ると圧巻でしょうね。

31曲目「
麗人

Royal3

イントロ、久々にYOKO君が僕の太腿をゴツンゴツンと。ようやく彼も「麗人」の初体感成りました。
「追憶」同様にこの曲についてもYOKO君曰く「グレースのキックはバスドラが光る!」のだそうで。これが本当にそういう演出(仕掛け)になっているのか、特別な感性を持っている人だけに見える光なのか・・・今後の参加会場で神席チケットをお持ちのみなさま、チェックをお願いいたします~。

ジュリーの首のアクションは、明らかに架空の三つ編みを振り回していますよね。最後の「アァァ!」は信じられないほどカッコイイです。
エキゾティクス期では個人的には一番好きなシングル。加えて、作曲家・沢田研二の凄味を感じさせるヒット曲でもあります。
「恋はもともとそういうもの♪」と「心ばかりか体までも♪」の2行のメロディーの並びだけで、ジュリーの天賦の才が隠し切れずにほとばしってしまう大名曲!

32曲目「
SPLEEN~六月の風にゆれて

Panorama

初日はただただ矢継ぎ早に繰り出される名曲の数々に心奪われポ~ッとするばかりで、バンド演奏の細かい点の記憶がほとんど残りませんでした。
例えばこの「SPLEEN~六月の風にゆれて」は、2012年にセトリ入りした際には2番からキーボード以外の楽器が荘厳なフェスティバルのように噛み込んでくるアレンジでしたが、「さぁショート・ヴァージョンの今ツアーはどうなってる?」と大宮では特に注目。

今回は、演奏が泰輝さん、歌うジュリーと完全な2人体制のようですね。
GRACE姉さんが何か味つけをしている可能性はありますが、柴山さんと依知川さんはフリーのようで。
これはこれで、50曲という贅沢なセットリストの流れの中でひと捻り効いているアレンジと言うか、強いアクセントになっていたと思います。
セトリの配置的にも、一般ピープルに「こんな曲も歌ってたんだよ」と引っかかりを持って貰えそうな感じ。松戸では終演後に音楽仲間から「エリナー・リグビーみたいな曲があったね」と話題に上る1曲なんじゃないかな。

33曲目「
きわどい季節

Royal80

初日、大宮と今ツアーを2度体感して、もうセットリストの演奏順は完璧に覚えた・・・と言いたいところだけど、正にこのレポを書いていく際に「はて?」と分からなくなったのが「きわどい季節」と前曲「SPLEEN~六月の風にゆれて」の順序。
どっちを先に歌ったんだっけなぁ、と(汗)。

こういう時は敬愛する他じゅり風呂さんにお邪魔してカンニングするわけです。
星のかけら様のところで曲順を確認させて頂きつつ、今ツアーのセットリストにシングルのリリース年を付記してくださっている御記事を改めて拝見しました。
CO-CoLO期の名曲が多く採り上げられていることに、今更のように喜びを噛み締めます。
ツアー前、多くのジュリーファンの予想の中には「1年に1曲で計50曲」説があり、僕も「律儀なジュリーのことだからその可能性はあるなぁ」と思いましたが実際にはそうではなく・・・星のかけら様が纏めてくださったところによれば、まず1978年が4曲と最も多く採り上げられ、次いで1982年と1987年が3曲ずつ。
78年と82年についてはまぁ妥当と言うか「確かにこれは外せないか~」という一般ピープルにもお馴染みの曲が並ぶ一方で、87年から3曲のセトリ入り(「きわどい季節」「STEPPIN' STONES」「CHANCE」)というのは本当に素晴らしいサプライズでしたね。

「きわどい季節」はやっぱり加瀬さんを送る2015年のツアーを強く思い出す1曲。
同時に、ジュリーの歌を通じて阿久さんの詞に87年という時代を確かに感じ取れます。
ちなみにYOKO君は阿久さんのジュリーへの最後の提供曲である「Stranger -Only Tonight」の詞をいたく気に入っていて、開演前には「聴きたい、聴きたい」と言っていましたが今回はお預け。
いつか僕らが生体感できる日は来るのでしょうか。

34曲目「
鼓動

Iikazeyofuke

先日、日頃からジュリー道の師と仰いでいる先輩からティアラのレポを頂きました。
その先輩の独特の視点、感性には毎回驚嘆させられっ放しで、今回も新鮮な気持ちで拝見しましたが、特に僕がビビッ!と来たのは

”今セトリでは、「greenboy」「明日は晴れる」「鼓動」の3曲の”重心”が面白い”

とのお言葉。
確かに「greenboy」と「明日は晴れる」の特殊な配置には僕も気づいていたけれど、「鼓動」を合わせての3曲を、今年の豪華絢爛なセットリストの「重心」と読み解く感性には目からウロコです。言われてみますとまったくその通りなんですよね。
ジュリーの絶妙なバランス、独特のプロデュース感覚。加えて、先輩によればこの3曲はジュリーの歌に「覚醒する」感じを受けるのだそうです。
これも何となく分かります。「ヒット曲」ではないけど、外に向かって真摯に、ひたむきに「歌手・ジュリー」が開放される3曲、ということでしょう。
次回参加の松戸公演では、もう一度無心に戻って「鼓動」の歌声に注目してみたいと思います。

35曲目「
忘却の天才

Boukyaku

YOKO君待望のダイブ曲。
本当は興奮してもっと大暴れしたかった筈ですが、目の前のジュリーに気圧されて「うぉ!」とか「素晴らしい!」とか口を突くのが精一杯の状態のようでした。
彼は覚さんの「突き抜け系」の詞が大好きで、特にこの曲は語り口が好みドンピシャなのだとか。
考えてみればYOKO君のオリジナル曲にズバリ「いいじゃん」ってのがありますからね(←ただしこちらは男同士の歌です笑)。

生で聴くと改めて歌詞だけでなくヴォーカルもアレンジも相当キテる曲だなぁ、と。
で、こういうセットリストの流れで聴くと、たとえテイクは同じだとしても、シングル盤のCDが欲しくなってきます(この曲に限ったことではありませんが)。
数年前にはLIVE会場で2000年代のシングルCD販売がありましたよね?今はどうなんだろう・・・。

36曲目「
ポラロイドGIRL

Karehanemurenai

大変な盛り上がりで、ジュリーのジャンプもキレッキレ、バンドの演奏も最高だったのですが・・・大宮のこの曲についての僕の感動は、エンディングの水噴きシーンにすべて持っていかれてしまいました。
今回のセトリでは基本、この曲と「愛まで待てない」でジュリーの水噴きがありますよね。僕は今まで、ジュリーの水噴きはステージ前方からお客さんに飛沫がかからないギリギリのラインを計算して「ぷ~っ!」とやっているのかなぁと考えていました。
しかし。

ど真ん中2列目までは若干量飛んでくるんですね!

いや、本当に微々たる量で、例えて言うなら「あれっ、雨かな?」という程度なんですが、なにせジュリーが一度口に含んだ水飛沫なわけですから。
たぶん最前列のドセンターのお姉さん達にはもっとハッキリ「ポツポツッ」って感じだったんだろうなぁ。
そして・・・飛沫が噴き上がるシーンがすごくゆっくりに見えるんです。幻想で虹が見ちゃうくらい。
厳かな、畏れ多い瞬間です。
いやいや、得難い体験でした。こんなことはもう二度と無いでしょうな~。

37曲目「
Pray~神の与え賜いし

Pray

瑞々しく胸に染み入るヴォーカル。特に「こと~ではな~く~♪」の箇所は声量も上がり艶も増して、メロディーの美しさを再確認しました。

震災後のマキシ・シングル群は収録曲すべてそうですが、CDで聴くと確かに僕らの中に痛みを残す、ということはあります。でも実際に生のLIVEで聴くと、この曲などはジュリーのヴォーカルに「痛み」はまったく無い、と感じます。
2012年のツアーで、『3月8日の雲』収録4曲を歌い終えていったん休憩が入り、セットリスト後半初っ端に続けざまに歌った「約束の地」「君をのせて」「我が窮状」「時の過ぎゆくままに」のバラード4曲を僕は当時京極夏彦さんの小節になぞらえて「憑き物落とし」のバラードだと解釈したことがありました。今考えると2013年の「Pray~神の与え賜いし」はそれ自体が前年の憑き物落とし的なタイトルチューンだったのかなぁ、と。
歌詞には怒り、悲しみがあり具体的に特定の人物への揶揄も含まれる過激な作品ではありましょうが、やはりジュリーの場合は「生の歌を聴いてそれぞれがどう感じるか」が肝要。
心洗われるバラード・・・僕らファンにとってこれも間違いなくジュリーの名シングル曲です。

38曲目「
un democratic love

Undemocraticlove

リリース順ではなく、前曲「Pray~神の与え賜いし」とバラードを繋ぐセトリ配置で臨んだジュリー。
この2曲には「祈り」の共通点もあります。それは、特定の人物への怒りや糾弾を明確に内包させつつ、最終的にはそのマイナスの感情を大きく凌ぐ清らかな志を持つ者の深い祈りです。
もちろん楽曲への解釈はリスナーそれぞれで、この「un democratic love」については「嘆き」を見て取る若いジュリーファンがいらっしゃることも知っていますが、僕個人はこの曲に「後ろ向き」だったり「落ち込んでいる」といった感覚はまったく持ちません。
前向きで、堂々と矜持を歌い聴き手に希望を託す、勇気あるバラードだと思っています。
これは、対外的に問題作と捉えられるのを承知で踏み出す勇気というものではなく、自らの内から自然に溢れる勇気なのですね。この勇気はどんな人でも持っているはずのものだけど、多くの人は自分が持っているその力に気づけないでいて、ジュリーの歌はそれを思い出させてくれる、奮い起こしてくれるのです。
ですから僕の中でこの曲は「自由に歩いて愛して」とも(聴く際の気持ちが)似ています。
今年の「un democratic love」はショート・ヴァージョンで、僕が曲中で一番好きな歌詞部「君と同じ以上に 自由が好きだよ♪」は歌われないのだけれど、初日、大宮ともにジュリーの歌うこの曲を聴いて、僕自身が持つささやかな勇気の確信を新たにしました。

泰輝さんのピアノも素晴らしい入魂の指さばき。
歌詞のことだけでなく、志の高い名曲だと思います。

39曲目「
こっちの水苦いぞ

Kottinomizunigaizo

初日のレポで、僕はこの曲を聴くたびに故郷・鹿児島の川内原発を思う、と書きました。そのせいか、目の前のジュリーが「霧島の廃炉想う」と歌ったように錯覚してしまった、と・・・。
有難いことに大宮では、錯覚ではない出来事が。
ステージを下手から上手へと歩いてゆく途中、ちょうど僕の目の前を通りかかったジュリーがこの日確かに「鹿児島」と歌いました(「桜島と川内断層」の部分)。
歌詞を変えて歌ったのではなく、「桜島」が誤って「鹿児島」になってしまった感じでしたが、これにはさすがにドキリとさせられました。

一方、今ジュリーがツアーを邁進する中、原子力規制委員会が新潟柏崎刈羽原発6、7号機について「再稼動適合」の見通し、とのニュースがありました。
刈羽が川内や伊方などと異なるのは、これは東京電力の原発であり、「東電が原発を稼動させる適性があるのか否か」という議論が審査段階で持ち上がっていることです。東電側のコメントとしてニュースでは「覚悟」の文字が躍っていますが、僕には現時点でその言葉に対し「軽々しいな」という印象しかありません。

ジュリーの「こっちの水苦いぞ」の詞には2つの側面があると思います。
まずは「誰かが吐き捨てた飴玉に群がる蟻がごとき人間の欲望の様を俯瞰して見よ」という面。
もうひとつは「この空しいマネー・ゲームをいつまで続ける気でいるのか」という面です。
昨年亡くなったプリンスが「マネー・ドント・マター・トゥー・ナイト」という曲で1991年に歌っていたように、名も無き一般人の視点で語られ始めた詞が発展し、世の経済面、軍事面への言及に至るというメッセージ・ソングは、「後になって振り返ってみれば、それは誰の身にも起こり得ることだったのだ」という警鐘の喚起でもあります(プリンスの場合は湾岸戦争を念頭にしていることは確実)。
名も無き一般人のひとりである僕のような者のしょうもない日常に起こり得ることで例えるならば、僕はギャンブルから足を洗って20年以上になりますけど、時代が変わり、今は競馬の馬券もスマホで簡単に買えちゃうんだとか。財布持ってウインズに行って、お札が減っていくのを目で見ながら結局スッカラカンになってトボトボ帰宅するのと違い、スマホのギャンブルはお金が実態の見えない「数字」でしかないわけで、「財布からお札がなくなる」という明確な「際限」がありません。
欲望にまかせて続けていると、気づかない間に取り返しのつかない大変な状況になってしまう・・・そんな様子を世の経済、軍事の「生産と消費」(凄惨と傷悲)に当て嵌めてみろ、ということ。「こっちの水苦いぞ」は、そうした手法の名曲だと僕は考えています。

YOKO君曰く、「この曲のコーダ・アルペジオはステージの左(下山さん)と身体に染み付いていたので、右の柴山さんが弾いた瞬間はスリリングだった」と。
僕はお正月に聴いてるからそんな感覚は無かったけど、言われてみればそうだなぁと思いました。
柴山さんはアルペジオへ移行する瞬間にエフェクターは踏みますが、それまでの歪み系を合わせて生かした設定となっていて、完全に擬似アコギ設定で弾いたお正月とは音色がかなり違いますね。

40曲目「
ISONOMIA

Isonomia

今年もYOKO君と個別にジュリーの新譜2曲を採譜しまして、大宮のビフォーで答え合わせをしました。
「ISONOMIA」については、イントロから続く「A→Aadd9→Asus4→A→Aadd9→A→BonA」
もお互いまったく同じフォームでコピー(「A」を2フレットのローコードで弾く)していたことが分かり、「これは間違いないね」と言っていました。
そういう話が直前に出るとやっぱり柴山さんの手元を確認したくなり、この曲ではジュリーのオーラに全力で抵抗して上手をチラ見。すると・・・柴山さん、かなりのハイフレットで弾いてる!
これはYOKO君もチェックしていたようで、終演後に「ハイだったねぇ」と。
後でCDを聴き返してもローにしか聴こえなくて、これはYOKO君もそう言っていますから、CDでの白井さんの演奏と、ステージでの柴山さんの演奏が異なっている可能性が考えられるところ。次回松戸公演の直前にCD音源を聴きこんで、柴山さんの演奏とのトーンなどに違いがあるかどうか再度確認したいと思います。

案の定YOKO君、手拍子の変則箇所にあたふた。
目の前でジュリーが物凄い迫力で歌っているので、僕も「依知川さんを見て!」とはとても言えず(笑)。
まぁ、松戸ではおそらくYOKO君、後方席からのリベンジとなるでしょう。これ以上神席が続いたら、さすがにバチが当たります。

41曲目「
シーサイド・バウンド

Tigersred

大宮はこの曲の前のMCも長くてね~。
と言うか「灰とダイヤモンド」の前のMCからもう長くて、その度に「長くなってきましたので、続きはまた後で!」と、大長編MCを3度に分けてしてくれた感じ。
結果、公演時間は驚異の3時間15分。大宮は毎年MCが長いですが、ここまで長かったのは初めて体験しました。そのMCの内容については509曲目の前に!

この日の「シーサイド・バウンド」では初日には聞けなかったジュリーのタイガース・オリジナルなシャウト・フレーズもあり、大いに盛り上がりました。
YOKO君も楽しそうにしていましたが間奏のステップはスルー。これはジュリーファンとしてはいただけませんな~。松戸では開演前に指導しておきます。

42曲目「”おまえにチェック・イン”

Wonderfultime

柴山さんのエフェクト設定が大きく変わりました。
初めて生で聴いた『ジュリー祭り』以降ずっと、この曲での柴山さんのギターはぶっとい音でサスティンもディレイも効きまくって、とにかく豪快にはっちゃけて弾くイメージがありましたが、大宮ではほとんどナチュラル・トーンの設定。
エフェクターを踏み忘れたとは思えないですし(もしそうなら途中で修正したはず)、これは柴山さんが「今日はこう」と決めた設定だったのでしょう。この日だけそうしたのか、それとも初日以降何処かの会場でそうしてからずっとそうしているのかは不明ですが・・・。
細く繊細な音をゴリゴリに弾く感じです。派手さはありませんが逆にギタリストとしての実力が伝わりやすい、余分な装飾の無いソリッドなソロと言えます。
加えて、ギター1本の編成にあって依知川さんの小節頭打ちのグルーヴ、泰輝さんの細かいフレーズ挿入も引き立ち、「ジュリーが自由に泳げる」アレンジへと昇華。次回松戸で再度のチェック・ポイントです。

間近で観るジュリーの「OH MY GOD♪」は格別。
あと、片足に重心を乗せている時のジュリーは膝の角度が本当に綺麗ですねぇ・・・。


☆    ☆    ☆

註:執筆途中の更新です。続きはこれから!

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2017年9月 2日 (土)

吉田QさんLIVE 出演時刻、入場方法など詳細のお知らせ

大宮レポの執筆途中ですが、明後日までこの記事がトップに来ます(それまでの間、レポの加筆はそのままの日付で更新していきます)。

さぁ、以前お知らせした吉田Qさんの下北沢LIVEが迫ってまいりました。繰り返しますと


日時:9月4日(月)
場所:下北沢 BASEMENT BAR


お店の当日スケジュール情報はこちら
下北沢駅からちょっと歩くみたいですけど、こちらの案内に従って行けば迷わずに辿り着けそうです。

さて、行こうかどうしようか、と迷っていた方や、「時間が分からないと予定が立たない」という方、「ライヴハウスの入場の仕方が分からない」というジュリーファンのみなみなさまに、最新最終の情報です。

まずQさんの出演時刻ですが、20時(午後8時)の予定です(お店は18時半オープン、19時開演。おそらくQさんは3番目の出演者ということでしょう)。
ライヴハウスというのは「お目当ての出演者だけ見る」お客さんが大半ですし、Qさんをお目当てのみなさまは、20時を目指して来店すればOKです。
これなら平日の仕事帰りに立ち寄れる、という方も多いのではないでしょうか。
僕も当初は会社を早退するつもりでしたが、これで定時上がりでも余裕で間に合いそうです。

次に入場方法です。
ジュリーファンのために今回、Qさんがお店に特別な心遣いを伝えてくださいました。
お店に到着したら、カウンターで

吉田Qさんで取り置きしてある貴族部です

と申し出てください。
これだけで、予約者扱いということで入場できます(普通に当日入場するよりお値段が安くなります)。
つまり、「貴族部(きぞくぶ)」の合言葉により「吉田Qさんのはからいでチケット予約してある人」である条件を満たすことになるのです。
より優雅に
「吉田Qさんを見に来た貴族部の者だが?」
と言うもよし。とにかく「吉田Q」「貴族部」という2つの言葉をお店に伝えれば大丈夫です。
あとは入場後ドリンクを注文しライブを楽しむだけ。

僕は一応30分前の入場(Qさんのひとつ前の競演者のステージから見られるような感じ)を目指します。会場に着きましたら気軽にお声がけください。

Qさんのお話では、30分ほどのステージになるそうです。関東圏のQさんのLIVEは本当に貴重な機会ですので、ジュリーファンのみなさまも奮ってご参加下さい。
それでは明後日、会場でお会いしましょう!

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2017年8月21日 (月)

ネタバレ解禁のお知らせ

昨日、待望の大宮公演に行ってまいりました!
素晴らしいステージ、そして『ジュリー祭り』以後に僕が参加したジュリーLIVEの中では史上最長のMCにより、3時間をゆうに超える大興奮の公演でございました。

ジュリーはお盆休みをはさんでも相変わらず元気でしたよ~。髪も良い感じで伸びてきましたし、動きもしなやか、お肌もピカピカ。何より歌声の素晴らしさ・・・喉も絶好調を維持しているようです。
まだまだ続く歴史的ツアー、これからのジュリーも本当に楽しみですね。

さて、大宮レポ執筆開始前ですが、かねてよりお知らせしていた通り今日のこの記事をもってコメント欄などすべて、セットリストのネタバレ解禁とさせて頂きます。
まだネタバレ我慢続行中のかたもいらっしゃるかと思います。今後、うっかり拙ブログ記事本文、コメントに目を通してしまわぬよう充分お気をつけください。

大宮のレポは、初日同様書き終えるまでにはかなり時間がかかってしまいそうです。
書き終えてから一括のupとするやり方も考えましたが、この先の各地公演にご参加のみなさまからの情報、ご感想をコメントにて心待ちにしていることもあり、ひとまず近日中に執筆途中の状態でupし、ネチネチと日々書き加えてゆくことにします。
なるべく早く最初のupができるよう頑張りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

それでは、YOKO君とシャララダンスを踊ってきた大宮公演のレポ開始まで、しばしお待ちを~。

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2017年8月 8日 (火)

下北沢『BASEMENT BAR』にて、吉田QさんのLIVEが決定!

こちら本館の更新は久しぶりです。
迷惑なノロノロ台風、猛暑と大変な気候が続いていますがみなさま大丈夫でしょうか。

僕は昨日ようやくツアー初日・NHKホール公演のレポートを書き終えたところ(3週間かかりました)。
ネタバレ我慢中のみなさまもまだまだ多いと思いますが、頑張ってくださいね。我慢するだけの値打ちは絶対にある!と断言できるツアーですから。

さて今日は・・・情報をご存知ない方々も多いと思いますので、この場でお知らせです。
あのジュリーwithザ・ワイルドワンズ「涙がこぼれちゃう」「いつかの”熱視線ギャル”」の作詞・作曲者としてお馴染みの吉田Qさん、来月のLIVEが決定しています!
(Qさんの関東圏でのLIVEは、2010年千葉ポートパークの夏フェス以来)

日時:9月4日(月)
場所:下北沢 BASEMENT BAR


お店の当日スケジュール情報はこちら
お店への詳しいアクセスはこちら

Qさんご本人のお言葉によれば

ライヴを観にいくというよりラジオを聴きにいく感覚で来て頂ければ、戸惑いが軽減されると思います

とのこと。
よく分からない・・・(笑)。

お店のスケジュールに掲載されている競演者の方々についてチラッと検索したりして・・・ますますどんなイベントなのか想像がつかなくなりました(笑)。
ただ、いかにもQさんらしい独特のステージになるだろう、という予感はプンプンしますね。
イベントの概要やQさんの出番のだいたいの時刻など、新たに情報が入手できましたらおいおいこの記事に追記してまいります。

平日の開催ですが、滅多にない貴重な機会です。幸いにも個人的には勤務先の決算作業を終えたばかりの日程ということで、当日は僕もなんとか仕事を早退して駆けつけたいと思っています。
ご都合よろしければジュリーファンのみなさまも是非お越しください。会場でお会いしましょう!

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2017年7月15日 (土)

恒例・ネタバレ専門別館side-Bのご案内

いよいよです!
初めて生でジュリーを観た『ジュリー祭り』東京ドーム公演から9年目、今度は「デビュー50周年記念」という歴史的なツアーに再びリアルタイムで立ち会える歓び・・・実感も沸いてきました。
何よりもまず、無事にこの時を迎えられることに感謝しなければなりませんし、全国各地のジュリーファンが皆、この記念すべきツアーに無事参加できますように、と祈らずにいられません。

さて、いつものように拙ブログでは今日からしばらくの間、セットリスト・ネタバレ完全禁止体制を敷かせて頂きます(念のためこの記事はコメント欄を閉じています。また、過去記事への新しいコメントについては、みなさまのご判断で閲覧するかどうかをお決めください)。

初日のレポートは毎度お馴染み

dynamite-encyclopedia(side-B)

に執筆いたします。例によって簡単な記事を1本upしておりますので、レポ執筆開始まではそちらでみなさまのコメントをお待ちしています!

一方、ご自身が参加される公演日までネタバレ我慢、という方もいらっしゃると思いますが、僕のブログでのネタバレ解禁は、8月お盆明けにYOKO君と参加する大宮公演の日となります。お盆を挟んでセトリが少々入れ替わる可能性も考えていますが、そちらも大宮公演の時点でネタバレいたしますのでご注意ください。

望外の素晴らしい席を授かってしまった初日・NHKホール公演。僕はチケットを受け取ったその日からずっとニマニマが続いていました。
しかし!
いつもお世話になっているジュリー経験豊富な長崎の先輩の「そのニマニマが、当日ド緊張に変わるのです」という有難きお言葉が、前倒しで既に今日から現実となっております(汗)。
今夜はちゃんと眠れるんだろうか・・・。

それでは、今回もネタバレ解禁まで別館side-Bにておつき合いくださいませ。
よろしくお願い申し上げます!

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2017年7月12日 (水)

PYG 「自由に歩いて愛して」

released on 1971、single

Nowthetimeforlove

side-A 自由に歩いて愛して
side-B 淋しさをわかりかけた時

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大雨の深刻な被害に襲われた九州。日に日に拡大してゆく被災のニュースに心が痛みます。
そして昨日、今度は僕の実家がある故郷・鹿児島で大きな地震が起きました。ジュリーファンの先輩方からもご心配頂きましたが、地震発生後すぐに父親の無事を確認できたことは幸いでした。

何処で起ころうと、地震のニュースは本当に怖い。
今回鹿児島市内で観測されたのは震度5強。僕が東日本大震災の日に職場で体験した大きな揺れは震度5弱でしたから「あれ以上だったのか」と驚きました。
鹿児島というのは活火山・桜島の噴火こそ日常茶飯事ですが、大きな地震は珍しい土地なのです。

こんな時どうしても考えてしまうのは、鹿児島では川内原発の2基が稼働中である、ということ。
もし津波があったら、もし想定外の自然災害が起こったら、もしそれが引金となり過酷な「人災としての原発事故」の悪夢が故郷・鹿児島の地で繰り返されていたら・・・僕は素晴らしい席を授かっているジュリーのデビュー50周年ツアー初日・NHKホール公演への参加を断念しなければならなかったでしょう。

災害や事故というのは決して他人事などではないのだ、と改めて考えこみます。
今回の鹿児島の地震では現時点で大きな被害の情報はありませんが、たとえ被害がほとんど無かったとしても、川内原発のことも含めてそれは望外の奇跡だったのだ、と考えるべきです。
現在の鹿児島県知事、三反園さんは、「川内原発を止める」と選挙を戦い勝利した人。当選後に一転、「消極的再稼働容認」へと変節しています。
今、どのようにお考えなのでしょうか。
ひとまずは気をとり直していつものように記事を更新しますが、なんともやりきれない思いです・・・。


いや、沈みがちな枕で失礼しました。
『沢田研二50周年記念LIVE 2017-2018』の開幕までいよいよあと数日、というところまで来ました。個人的にもなかなか慌ただしい猛暑の日々なのですが、大きな楽しみを目前に控え、僕は身体の方は絶好調。
初日NHKホールにご参加予定の方、その後の各地方が私の初日、という方それぞれに気持ちも盛り上がっている頃でしょう。体調おもわしくない方、大変な困難の中にある方も、皆ジュリーのデビュー50周年をお祝いに万難排して駆けつけようという歴史的ツアーです。遂に始まるのですね。
みなさまの無事のご参加を改めてお祈りいたします。

今日は”全力で外しにいったのに当たっちゃった!パターンを期待したいセットリスト予想シリーズ”第3弾にして締めくくりのお題。ツアー開幕を待つ先輩方の多くが「是非」と期待を寄せていらっしゃる名曲です。
僕自身は「セトリ入りはかなり可能性低いのでは」と考えている曲ですが、いつもお世話になっている先輩から記事のリクエストを頂き下書きを始めてみますと「いや、もしかしたら」と思わないでもありません。
後追いファンのヒヨッコはそのあたりもブレブレで、何と言っても先輩方の思い入れであったり実体験を想像するだに荷が重い、とは思うんですけど、この機に頑張って書いておこうと思います。

困難や悲しみに直面した時には、本当に勇気づけられ奮い立てる名曲だと思います。
PYG「自由に歩いて愛して」、僭越ながら伝授!



Img001



①それでも「ロックである」としか言いようがない!

「ロックである、とかロックではない、とか言ってるアンタが一番ロックじゃないんだよ」
これは椎名林檎さんのパラドックス的な名言です。
ジュリー本格堕ち以前、いやほんの数年前までの自分なら「なんじゃそりゃ?」と気にも留めなかったであろう言葉。でも今は、僕のような者が肝に銘じ常に自戒せねばならない真理なのだろうと思っています。

『ジュリー祭り』以降ずっとジュリーを観続け、同時に過去の作品やパフォーマンスも勉強してゆく中で、「ロック」の枠に囚われていると見えてこないジュリーの魅力って本当にたくさんあるのだなぁと学びました。
もちろんジュリーはロックです。今現在、世界中の誰よりもジュリーはロックだと僕は思っていますし、それはジュリーという歌手の過去50年間の積み重ねがあってのことでもあり・・・大人になって、身の丈程度には金銭的な余裕もできたからこそ自分の中で厳選するロックというものが出てきて、そこで僕は確かにジュリーを選んでいるわけですが、「ロック」を掲げ固執することがジュリーへの理解を狭めていると感じること、これまで何度も体験しています。
これ、ガチガチのロックファンが遅れて「ジュリー堕ち」した際の宿命的な感覚なんですかね~。

例えば、僕がPYGの『ゴールデン☆ベスト』で「自由に歩いて愛して」のLIVEヴァージョンを初めて聴いた時。ジュリーのMC、曲紹介が終わってあの素晴らしい堯之さんのイントロのギターが始まるまでの数秒間に、「キャ~!」という女の子の悲鳴が聴こえて一瞬戸惑った、ということが確かにありました。
これが「ロック」の定義に囚われていたがための違和感、その最たる例。リアルタイムで「本物」を見抜き「自由に歩いて愛して」を世間の逆風ものともせず支持していたのはその女の子達であって、正しいのは彼女達であり、僕の「ロック」が間違っていたのだと後々に気がつくことになります。
僕は感性が鈍い方だし、自分でがんじがらめになった「ロック」を標榜するのはやめようと今では充分気をつけているつもりですが、まだまだ未熟です。

それを自覚した上で改めて、そして敢えて書くと、PYGの「自由に歩いて愛して」はそれでも
ロックである、としか言いようがない!
のです。
僕の未熟や(当時の)世間の狭量を根こそぎ吹き飛ばすほどに「ロック」なナンバー。
それを理屈ではなく感性で汲み取っていた女性ファンの先輩方、そして僕より10年早く生まれ、変人扱いされながらも(と想像いたします)タイガースやPYGをロックバンドとして真っ当に評価されていた男性ファンの先輩方には、心底頭が下がります。
ですから僕は安井かずみさんの詞についても、何やら自分のひとりよがりな固執(心の扉)をこじ開けられるような感覚で聴いてしまいます。

誰か  が今   ドアを叩い た ♪
Fmaj7   G  Am    Fmaj7  Em  Am

文字にすればたったこれだけのフレーズ。
安井さんのこの曲の詞は全編に渡ってそうですが、難しいことは何ひとつ言っていない、書いていない・・・なのに驚くほど深くて、思索的。聴く者はメロディーを追いながら安井さんの明快な言葉に心を強く叩かれ、揺さぶられ、目覚めさせられます。
冒頭から配され圧倒的なまでに根を下ろすキメのメロディーに、よくぞこの詞が載ったものです。

「自由に歩いて愛して」は、言う間でもなくショーケン→ジュリーのツイン・ヴォーカルが最高に嵌った、という意味でも世紀の大名曲。
Aメロがショーケンでサビがジュリーですが、単に「割り振った」だけの安易なリレーではありません。双方の適性、個性を踏まえ、堯之さんの作曲やバンドのアレンジに必然性があります。
まずはリズム。
Aメロは1971年にして驚異の16ビートです。ショーケンの個性でもある引き摺るような粘りの発声

この 心の とびらを 開けろと
Am G  Am G     Am G      Am  G   

今  やさしい 季節が 来たんだ ♪
Am G     Am  G    Am G       Am  G

「こ~の♪」「(ここ)ろ~の♪」「(とび)ら~を♪」と、2小節目からのシンコペーションのメロディーで「引き摺る」「貼り付く」独特の発声が生かされます。
メロディーとしては60年代末から70年代初頭のカウンター・カルチャー系の手法ですけど、日本語でまったく無理なくそれをやっている、というのが凄いです。

一方サビでは一転エイトビートのニュアンスが強くなり、メロディーは(コーラス・パートも含めて)究極にポップ。正に「心の扉」が開かれる瞬間の開放感。
ここぞ!のジュリーですね。

空はみんなの 愛はあなたの
C           F      C           F

ものになる時 今こそ ♪
C            F          E7

でも、ジュリーwithザ・ワイルドワンズの「プロフィール」もそうですが、曲の最初から通してジュリーのソロ・ヴォーカルだったとしたら、ここまでの開放感は出ないように思うんですよ。
面白いのは、これがタイガースになるとジュリー→トッポの方がサビの開放感が強いという・・・リレー形式ツイン・ヴォーカルの相性、役割って不思議ですよね。

個人的には、シングル大名曲とは言え「自由に歩いて愛して」にせよ「十年ロマンス」にせよ、今年ジュリーが「デビュー50周年」として特別にショーケンやトッポのパートを自ら通してフルで歌う、というイメージは沸きにくいです。2曲とも過去にジュリーは1人で歌ったことはありますけど、ツイン・ヴォーカルの相棒のヴォーカリストに対して、またオリジナル楽曲に対してのリスペクトは、年齢を重ねたが故にジュリーの中で深まっているような気がするからです。
また、僕はジュリーのヴォーカルが当然大好きではありますが、「自由に歩いて愛して」はショーケンがAメロを歌ってこそ完成する、とも思います。
しかしこれも所詮は僕の現時点での個人的な想像に過ぎませんからね。
見事ジュリーに僕の予想・想像を裏切られる状況も楽しみにしていますが・・・さて、先輩方が切実に願うサプライズのセットリスト入りは成るでしょうか。

もし実現したら僕は、2014年のツアー・ファイナル・東京国際フォーラム公演の直後、この曲に勇気づけられていたことを思い出すだろうな、と夢想しています。


Nowthetimeforlove2


②堯之さん×大野さん、最強のシングル盤!

ここではPYGの演奏、アレンジ面について掘り下げたいと思いますが、「もし今年のツアーでセトリ入りしたら」というところからその重要性を考えてみましょう。

お正月LIVEのMCで全国ツアーの予定を話してくれた際にジュリーは「(デビュー50周年にちなんで)50という数字には拘りたい」と宣言してくれました。
ジュリーが「考えに考えて」至った結論は、「ワンコーラスのアレンジにすることで、セットリスト50曲を実現する」とのアイデア。その時には「フルコーラスで50曲を歌って欲しい」と安易に考え「え~~っ!」などと声に出してしまった僕らでしたが、よく考えればジュリーの方法はとても豪華かつ現実的で、「これしかない!」ものだと分かりますよね。
今は皆が「それぞれの曲がどんなアレンジになるのか」をツアーの楽しみのひとつとしているはず。

「ワンコーラス」とは言っても基本「1番+サビもう一丁!」のアレンジ・スタイルが多数を占めるでしょう。
そんな中、「間奏のバンドのソロ・パート」をフルで再現する曲がいくつかあるのではないでしょうか。「この曲はこの楽器のソロが無ければ」と考えられる曲・・・僕はもし「自由に歩いて愛して」がセットリスト入りするならば、そのうちの1曲になると予想します。

PYGの全音源の中で僕が白眉と考える間奏テイクは2つあって、「自由に歩いて愛して」での大野さんのオルガン・ソロと、「淋しさをわかりかけた時」での堯之さんのギター・ソロです。
奇跡的なシングル両面。しかも大野さんのオルガンが乱舞する「自由に歩いて愛して」が堯之さん作曲、堯之さんのストイックなギターが炸裂する「淋しさをわかりかけた時」が大野さんの作曲、と演奏の主役と作曲クレジットが入れ替わっているのが素晴らしい。
PYGがいかにバンドとして秀でていたかを証明するようなこのシングルは、堯之さんと大野さんのキャリア中最強の1枚と言えるのではないでしょうか。

「自由に歩いて愛して」にはこのオルガン・ソロは欠かせない・・・今回のツアーで特別なショート・ヴァージョンのアレンジが施されたとしても、泰輝さんはきっとこのソロを再現してくれると僕は思っています。
具体的には、1番を歌ってオルガン・ソロの間奏、その後に「Now the time for love♪」のコーダ・リフレインで締めくくる構成ではないか、と。

この曲に「欠かせない」と言えば当然堯之さん考案、渾身のギター・リフもそうですね。
イントロはじめ何度も登場するフレーズ、コピーする立場からするとこれがメチャクチャ難しい!
譜面見ただけで「うへぇ・・・」と唸ってしまいます。


Nowthetimeforlovescore1

↑ 『沢田研二/イン・コンサート』より

何が難しいって、「1、2、3、4」の4拍子に構成音それぞれをキッチリ組み込むことからして至難の業です。
「Am」ローコード・アルペジオのヴァリエーションではあるんだけど、綿密な16分音符にひとつの無駄な音(いわゆる「指の運動」的な安易な音の挿入)が無い上に、通常のアルペジオとは運指も音階移動も全然違うし、3拍目を「裏の裏」のシンコペーションで入らなければなりません。リズムが乱れやすいんです。
LIVEヴァージョンでの堯之さんの安定感はハンパないです。自らがストイックに考案したオリジナル・フレーズだからこそ、の名演でしょう。

今回のツアーでセットリスト入りしたら、もちろん柴山さんなら問題なく再現はできますが、さすがにニコニコしてはいられないはずですよ。
「眉間に皺寄せる」柴山さん渾身の表情に注目です!

このように、PYGの演奏、特に「自由に歩いて愛して」のそれは非常にレベルが高く、しかもオリジナリティーに満ちています。
「自由に歩いて愛して」がリリースされた時、世のロック・リスナー達は「遂に日本でこういう曲が出るようになったか!」とリアルタイムで思わなければならなかったわけで、今でこそPYGのニュー・ロックは高い評価を得ていますけど、当時は頭の固い連中も少なからずいたみたいですね。下手すると僕も10年早く生まれていたらそんな連中に追従していたかもしれません。
断言しますが、それは単なる「やっかみ」ですから。

ちなみに、繰り返しておきますとPYGの音の素晴らしさはまず堯之さんのギターと大野さんの鍵盤。
ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)の有名な発言もあって、世間ではサリーのベースの評価が際立っていますが、PYGでのサリーはどちらかと言うと自分の役割を黙々とこなしている感じです。考案力、構成力はやっぱり堯之さんと大野さんですよ。
この点は、しっかりここで書いておきたいです。

③ソロ曲以外のセトリ入り・大予想!

今日はPYGがお題ということで、このチャプターでは「ジュリーが選ぶシングル50曲」の中にソロ以外(ザ・タイガース、PYG、TEA FOR THREE、ジュリーwithザ・ワイルドワンズ)でどんな曲がセットリスト入りするかを、あくまで個人的な予想として書いておきましょう。

まずは、ソロ曲との曲目数がどのくらいの比率になるか・・・これは35:15から40;10くらいでしょうかね~。そのほとんがタイガース・ナンバーではないでしょうか。
でも、タイガースで「鉄板」だと僕が思うのは「君だけに愛を」と「青い鳥」くらいなんですよ。「僕のマリー」や「シーサイド・バウンド」「銀河のロマンス」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」といった、普通に考えれば鉄板曲の中から何か1曲「あれっ、そう言えばやらなかったね」という曲が出てくるかもしれない、と考えています。
ジュリー独特の感覚で選曲されるんじゃないか、と。
ただタイガースの曲をかなり多く歌うだろうとは思っていて、希望的観測ながら、まだ一度も生で聴いたことがない「素晴しい旅行」に期待しています。

で、タイガースはタイガースでもまったく分からないのが同窓会期。「十年ロマンス」「色つきの女でいてくれよ」いずれも、ジュリーが今回トッポのパートを自分で歌う、というイメージが僕には沸きません。
ジュリー・ヴォーカルで通すイメージが沸くシングルということなら「銀河旅行」ですが、まさかねぇ。
よって、「同窓会期のタイガース・ナンバーは今回は無し」と予想しておきます。もちろん、予想が外れることを楽しみにしつつ、ですよ(笑)。

次にPYG。
これは「花・太陽・雨」で堅いと思っています。でもそれはPYGを1曲のみと考えた場合で、もし2曲歌うなら今日のお題「自由に歩いて愛して」以外考えられませんね。先輩方の思いが届くことに期待しましょう。

続いてTEA FOR THREE。
普通ならエアポケットに入ってしまいそうなところなんですが、何処の会場でしたか、ジュリーがお正月のMCでTEA FOR THREEの話をしてくれたそうですね。
昨年のタローの古希LIVEで、本割の間客席からステージを観ていたジュリーは、TEA FOR THREEの曲をタローさんが歌うのを久々に聴いて「エエ曲やな」と改めて思った、と。
そんな話が全国ツアー内容告知MCの最中に語られたわけですから、「君を真実に愛せなくては他の何も続けられない」の今回のセトリ入りは相当に有力。
この数ヶ月の間にジュリーの気が変わっていなければ、新規ファンの僕も遂にTEA FOR THREEナンバー初の生体感となります。これまた楽しみです!

最後にジュリワン。採り上げられるならば「渚でシャララ」しかあり得ないけど、ちょっと厳しいかなぁ。
でももし実現したら、会場の皆でダンスを踊るというあの2010年以来の楽しい時間が再現されます。
加瀬さんを送るツアーとなった2015年、セトリのネタバレ我慢に悶々としながらYOKO君が「渚でシャララ」のダンスを夜な夜な練習していた、という笑い話があるんですけど、「ジュリワンツアーで、客の中で1人スカしてダンスに参加しなかったことだけが、俺の中で加瀬さんに対する唯一にして最大の心残り」と言うYOKO君に、今年思わぬリベンジの機会が訪れるのか・・・可能性は低いと見ますが大きな楽しみのひとつとしたいです。

さぁ、みなさまの予想はいかがでしょうか。
日曜日には答が出るのです。本当に楽しみですね。


それでは、オマケです!
今日はいずれもMママ様からお預かりしている切り抜き資料で、時期的にはPYGのデビュー前。
タイガースの解散も含め、この特殊な僅かな期間の空気は、僕のような新規ファンにとって想像することすらなかなか難しいんですよね・・・。


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ということで、NHKホール初日前にあと1本、恒例のside-Bご利用のお願い記事を書くことは書きますが、これで僕もあとはひたすらツアー開幕を待つばかり。
「どん底」「CHANCE」「自由に歩いて愛して」と予想してきまして、さぁこの3曲のセットリスト入りは果たして実現するのでしょうか。
もう少し時間があればあと「muda」と「DOWN」も書いておきたかったのですが、もし歌われたら”セットリストを振り返る”シリーズで採り上げることにしましょう。
まぁそれ以外の記事未執筆のシングル曲で、今年のセトリを振り返るシリーズについては少なくとも「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」「愛まで待てない」の2曲を必ず書くことになるだろう、と思っていますけどね。

とにかく、毎日この暑さです。
僕は今年も『奇跡元年』タオルに保冷財をくるんで首に巻きつつ仕事をしていますよ。あと数日油断せず、しっかりと体調管理をしなければ。
みなさまも熱中症などには充分お気をつけください。

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2017年7月 6日 (木)

沢田研二 「CHANCE」

from『ROYAL STRAIGHT FLUSH 1980-1996』
original released on 1987、single


Royal80

disc-1
1. TOKIO
2. 恋のバッド・チューニング
3. 酒場でDABADA
4. おまえがパラダイス
5. 渚のラブレター
6. ス・ト・リ・ッ・パ・-
7. 麗人
8. ”おまえにチェック・イン”
9. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
10. 背中まで45分
11. 晴れのちBLUE BOY
12. きめてやる今夜
13. どん底
14. 渡り鳥 はぐれ鳥
15. AMAPOLA
16. 灰とダイヤモンド
17. アリフ・ライラ・ウィ・ライラ~千夜一夜物語~
disc-2
1. 女神
2. きわどい季節
3. STEPPIN' STONES
4. CHANCE
5. TRUE BLUE
6. Stranger -Only Tonight-
7. Muda
8. ポラロイドGIRL
9. DOWN
10. 世界はUp & Fall
11. SPLEEN ~六月の風にゆれて~
12. 太陽のひとりごと
13. そのキスが欲しい
14. HELLO
15. YOKOHAMA BAY BLUES
16. あんじょうやりや
17. 愛まで待てない

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今週、こちらは蒸し暑い日が続いています。
全国的にも暑いようですが、それだけならまだしも、台風や大雨の被害のニュースを見ると「また今年も・・・」とやるせない気持ちになります。
このところ毎年のようにこの季節は極端な天候となり、今年もこちら東京、埼玉では昨日、ダムの取水制限が決まったりして水不足が懸念されている一方、西の地では猛烈な雨で大変な被害が発生。特に故郷・九州の深刻な被害には絶句するしかありません。

相次ぐ痛ましいニュースで無力感、焦燥感に駆られますが、僕にできるのは「普段通りの記事を書くこと」しか無いのです。
平穏無事、とは本当に尊いものです。
全国各地のジュリーファンのみなさまの、今回のツアーへの無事のご参加をお祈りいたします。

そのジュリーの全国ツアーですが、今回はチケットの発送が変則的だったそうで、後便となっていた方々の元には昨日あたりからチケットが届き始めているようですね。まだ届かない、と気が気ではないご様子の先輩もいらっしゃいますが、やっぱり実際にチケットを手にするまでは落ち着かないものですからねぇ。

ということで、『沢田研二 50周年記念LIVE 2017-2018』ツアー開幕までいよいよ10日ほどとなりました。
今日のお題は
全力で外しにいったのに当たっちゃった!パターンを期待したいセットリスト予想シリーズ
の第2弾。
「ジュリーが選ぶ50曲に入るかどうかギリギリのライン」だと個人的に考えるシングルA面曲の中から、CO-CoLO期の名曲を採り上げます。
またまた大長文になりそうなので、枕もそこそこに参りましょう。87年リリース、ソリッドな名演にして名曲「CHANCE」、伝授です!


①ジュリー・ヴォーカルの高音適性

今のジュリーが、シングル曲に限らず過去幾多の名曲群をLIVEで採り上げる際、「意地になって原曲のキーで歌っている」曲もあれば、現在の声域で歌い易くキーを下げて歌われる曲もあります。
僕は絶対音感を持ちませんがひと通りの楽器をやるので、コード・フォームであったりフレットのポジショニングであったり楽器のチェンジなどからそのあたりに気がつくケースが多いんですよね。
では、ジュリーは現在、どんな曲、どんな基準でキーを下げる場合があるのでしょうか。

これは単純に音階の問題ではなさそうです。ある程度は、高い「ソ」の音あたりが目安となっているようですが、「カサブランカ・ダンディ」などは「意地になって」原曲のままのキー(ホ短調)で歌っています。
また、「君をのせて」もジュリーはずっとオリジナル・キー(ハ長調→嬰ハ長調)で歌い続けているんですけど、こちらは「意地になって」いる感じはまったく無くて。あの転調後のサビの高音を昔のままに堂々と歌うジュリーは本当に凄いです。リリース当時はどうだったのか分かりませんが、今ジュリーは「君をのせて」を「なんて俺の喉に合う歌なんだ」と毎回新たな感動を覚えながら気持ちよく歌っているように見えます。
いずれにしてもこの2曲は当然今回のツアーでもセットリスト入りするでしょう。

一方、「最近ご無沙汰」な曲をセットリストに組み込んだ際に、ジュリーならば今の声域でも気合入れれば充分対応できる音域であるにも関わらず、キーを下げて歌う場合があります。2015年、加瀬さんに捧げるために久々に披露してくれた「恋のバッド・チューニング」などはそのパターンでした。
要は今のジュリー自身の感覚として「歌い慣れ」ているかどうか、「自分の喉に合っているかどうか」という、傍から推し量ることのできない基準でキー設定の目安とする場合があるのではないでしょうか。

「シングルばかり50曲を歌う」と宣言している今回のツアー、久々に歌うことになる曲も多くあるでしょう。その中に「メロディーの最高音が高いソの音以上」なんてシングル曲はゴロゴロしているわけです。
そこでジュリーが「ちょっと今の自分の喉には辛いかな」と考えてキーを下げる曲もあるでしょうし、「よし、これはいけそうだ!」と原曲キーで歌う曲もあるはず。
そこで今日のお題「CHANCE」。メロディー音域について言えば、この曲はもうとんでもなく高いです!
高い「ソ」の音どころか最高音は「ラ」にまで至りますし、高い「ミ」から「ラ」までをうろつくサビのメロディーは、例えば僕のような普通の男性がカラオケで歌ったら息も絶え絶え、声がひっくり返りまくります。

ジュリーとて、さすがに69歳となってこの曲をオリジナル・キーで歌うというのはキツイ。しかし重要なのは、この曲がジュリー自身の作曲作品だということ。
「渚のラブレター」「バタフライ・ムーン」・・・ジュリーには普通の男性ではとても太刀打ちできない高音域のメロディーを擁する作曲作品が数多くあります。
自分でギターを弾きながら作曲するわけですから、メロディーを考えながら平気でその音域を口ずさめているわけで、ジュリーが生来の声の良さに加え優れた声域の持ち主であることは、こうした自作曲のキー設定で証明できますね。

もうひとつ、「CHANCE」はジュリーが高音域ヴォーカルを特に自在に操る曲調・・・ブルース進行を土台として作曲、アレンジされている点にも注目。
ジュリーはもちろん若い頃はどんな曲だって高い「ラ」の音は楽々出ていました。『Zuzusongs』で、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を歌った後に「いや~、高っかい!」と息を整えながら、昔は「G」どころか「A」も楽に出た、と語っていますが、この「A」というのが「CHANCE」のメロディー最高音である高い「ラ」の音のことです。
裏を返せば、『Zuzusongs』の時点でジュリーは「最近はG(高い「ソ」の音)ですらキツくなってきた。でも今歌った「ラヴ・ラヴ・ラヴ」では意地になって「A」を出しとるんやで」という意味。
「苦しいことは苦しい」と吐露しているわけです。
その後の90年代後半そして2000年代のナンバーにも高い「ソ」「ラ」の音は楽曲によって時折登場し、ジュリーは問題もなく歌っています。つまり同じ高音でも、ジュリーには「出しやすい」曲調、メロディーというものがあると考えられます。

高い「ラ」の音は、2005年の「GO-READY-GO」を最後にしばらく封印されます。
再度登場したのは2012年「F.A.P.P」「カガヤケイノチ」の2曲。これは「自分自身が限界ギリギリの高音で歌うことをしないと意味がない」とのジュリーの決意でありキー設定の例外であったと僕は考えます。『PRAY FOR EAST JAPAN』第1作なのですからね。
ですからジュリーが「年齢を重ねても高い音が歌いやすい」曲調として「GO-READY-GO」はひとつの判断基準となりそうです。
「GO-READY-GO」はブルース進行でこそありませんが、せりあがるロックなメロディーはジュリーが歌うブルース調の過去のナンバーの特徴とも言え、それは「CHANCE」とも共通するもの。もし今回のツアーで「CHANCE」が採り上げられるとすれば、ジュリーは「意地になって」でも原曲のキーで歌うと僕は予想します。

まぁ、キーを下げる下げない抜きにして、「CHANCE」のような(最近は)レアなシングル曲がセットリスト入りするかもしれない、と期待を抱かせるデビュー50周年記念LIVE・・・開幕が本当に楽しみですね。

②楽曲全体の考察

まずはジュリー・ヴォーカルについての補足です。
「CHANCE」のヴォーカルは、いわゆる「ダブル・トラック」なのですね。僕は初めてレコーディング音源を聴いた時(2009年、『正月歌劇』を勧めてくださった先輩にお願いして、CO-CoLO期のシングル音源を授かった頃のことです)、「ジュリーの本テイクをコンマ数秒ずらした新たな複製トラックを作成」したミックスダウンの手法によるダブル・トラックであろうと思い込みました。
でもその後聴き込んで「いや、違う!」と。

これ、ジュリーが別々に歌ったテイクを同時に流しているんですよ。パッと聴いただけだと、音程のみならず抑揚や音の伸ばし方まであまりにキレイに2つの声が揃っているので、機械の作業だと勘違いしてしまいます。
持って生まれたセンス(天才です!)に加え、徹底的に「こういうふうに歌う」と決めて本番レコーディングに臨むという「準備怠りなし」の努力。凄いぞジュリー!
それでもジュリーとて人間。よ~く聴くと2つのテイクには微妙なズレ、違いがあることに気づきます。
とは言え僕レベルで把握できているのは、歌の最後の最後にたったの2箇所。

オレのボスは「チャンス」あんただけさ
F#m7                         Bm7

古い愛され方 彼女は知らない ♪
      C#7                            F#m7

「彼女は、知らない~♪」の語尾のロングトーンを切る位置が少しだけ違うのと、直後の「Ah!Ah!Ah!」のシャウトが、(おそらく2度目のテイクの方は)「Ha!Ha!Ha!」と変わっています。
さすがにこのメチャクチャ高音域のサビをリフレインしていてジュリーも若干苦しくなり、咄嗟に「息を吐く」ようなスタイルのシャウトに切り替えたのかなぁ、と僕などはニヤリとしてしまうのですが、それも含めて「CHANCE」のヴォーカルは圧巻。
ジュリーの全身全霊を感じずにはいられません。

このように「CHANCE」は凄まじい高音ヴォーカルがまず最大の魅力ですが、CO-CoLOの演奏がまたまた素晴らしい。ジュリーの全シングルの中で最も「ソリッド」なナンバーと言えるでしょう。
「ソリッド」とは楽曲を評する際にしばしば使われる表現ですが、同じ「硬質」の魅力を表す言葉として「ハード」とはしっかり区別をつけたいものです。
僕の中では、いくつかの単体の楽曲において例外はあるにせよ、基本アルバム『sur←』までが「ソリッド」であり、『愛まで待てない』以降が「ハード」です。
いずれも大絶賛の意を込めての評価ながら、「ソリッド」という表現が最もふさわしいのはCO-CoLOのアレンジ、演奏であり、その中でも「CHANCE」は最高峰だと僕は考えています。

まずはアレンジ。音作り以前に、調の解釈でCO-CoLOならではの特性があります。
Aメロが嬰ヘ長調のブルース、Bメロとサビが近親移調して嬰ヘ短調の歌謡曲よりのロック。
同じ曲の進行上でサブ・ドミナントが「B7」なのか「Bm7」なのかでここまで印象が違うというのがCO-CoLOならではの渋さ、素晴らしさ。
でもね。

金曜日の夜が始まり 又オレは一人になった
F#7                         B7                         F#7

着飾ったshow-windowに
C#7

横目でwink ツイてないのさ ♪
B7                                F#7

その作曲家としての個性、キャリアから推し測ると、ジュリーはおそらくAメロの「F#7」の箇所をすべて「F#m7」で作ってプリプロしていたと思うのですよ。
それをCO-CoLOがジュリーのヴォーカルに合わせてコードまで踏み込んでいじっているのではないかと・・・。嬰ヘ長調のAメロのブルース・アレンジこそがCO-CoLOの「ソリッド」真骨頂ではないでしょうか。

僕はCO-CoLO時代の石間さんのギターを聴いていて、「まるでミック・テイラーみたいだなぁ」と思うことがよくあります。ただしそれはストーンズ時代のミックではなく、ストーンズ脱退後、80年代にボブ・ディランのバックでレコーディングに参加していた頃のミックのギターのイメージなのですね。
双方どう違うかと言うと、これがそのまま「ハード」と「ソリッド」の違いでして。
ストーンズ時代はとにかくヴォーカル部であろうがなんであろうが容赦なく弾きまくり、しまいには「誰かアイツに、そこではギターを弾かなくていい、と教えてやれ!」な~んて言われたこともあったみたいですけど、僕も含めて特にミック在籍時のストーンズの音作りには熱烈なファンも多いです。
ところが数年後のディランのバックになると、これがとにかく渋い!ベタ~ッと絡みつくような独特のフレージングや音色、運指は変わらないのだけれど、どこか一歩退いていると言うのか、「ソロです!」という箇所になってもバッキングっぽい音を続けたり、敢えて単音に切れ目を作ったり、要は「間」があるんですよ。
それが逆に不思議な存在感となって、ディランの孤高の世界観に合うのです。

この微妙にして絶妙なバランスが、僕にはジュリーのヴォーカルと石間さんのギターの相性に重なります。
堯之さんや柴山さんとはまた異なる「ジュリー・サウンドのギター」。CO-CoLOの音は石間さんのギターである、と言っても良いんじゃないかなぁ。
例えば「CHANCE」の間奏での「じれったさ」(←良い意味ですよ!)、後奏の「収拾のつかなさ」(←これも絶賛の意で言ってます)なども本当に独特。
僕はジュリー・ナンバーにディランを感じることってほとんど無いのだけど、CO-CoLO期のいくつかの曲については例外です。それは石間さんのギターによるところが大きい、と思っています。

アレンジ全体としては、やはりCO-CoLO、キーボードとパーカッションの活躍が真っ先に多くのリスナーの耳を捕えるでしょうか。
キーボードはイントロから全編を彩る単音が2種類と、シンセベース。当然ながらこの曲は普通にエレキベースも入っていますから、シンセも合わせてツインベース体制ということになりますが、シンセベースの方は要所要所にビシッと噛み込んでくるスタイル。通常のシンセベースよりもオクターブ上で弾いているっぽいですね。

どのパートもニューウェイヴから派生し枝分かれした様々な洋楽ロックの趣向、流れを踏襲していることは間違いないと思われ、『NON POLICY』の頃のようなシティ・サウンドとは似て非なるもの。
80年代半ばのエイティーズ・ロック直系の演奏とアレンジ、その中でも優れた大衆性を押し出したサウンドからの影響・・・YOKO君は「ダイア・ストレイツを思わせる」と言っていましたが僕はホール&オーツです。
例えばこの曲(「
ポゼッション・オブセッション」)。
どうです、CO-CoLOっぽいなぁと思いません?

いずれにしても「CHANCE」は80年代半ばから後半の海の向こうの「売れ線」的な音作りであることは確かで、特に僕などはエイティーズ・ロックがドンピシャの世代ですから、初聴時から「懐かしい」タイプの名曲だと感じたものでした。
もちろん今年のツアーで「CHANCE」が採り上げられたとしてもリリース当時そのままの雰囲気にはならないでしょう。でも、泰輝さんがきっとシンセの3つの音色をキッチリ再現してくれる筈ですし、「ハード」のみならず「ソリッド」の名手でもある柴山さんは、原曲のアレンジに忠実な音階でギターを奏でてくれると思います。

そしてジュリーのヴォーカル。今の声で歌ったらメチャクチャにカッコイイと思いますよ!
たぶん生で聴いた時に一番痺れる箇所は

こんなはずじゃないのに
Bm                          A

Oh My God 逆らう罰あたり ♪
G#7            C#7

この2番のサビ直前の刺激的なフレーズ。ここはジュリーも松本さんの歌詞を受けて、今現在の世相も重ね合わせて気合入れて歌うんじゃないかな。
今年の新曲「ISONOMIA」で歌われている「ヒエラルキー」ってわけじゃないだろうけど、世の不公平をして「身をわきまえろ」的な天の決定に「罰当たり上等!」で逆らってやろうってのがね、ジュリーの好むロックなコンセプトだと思いますから。
リリース当時とはまた違ったジュリーの歌詞解釈、気持ちがググッと入ってくると思いますよ。

あ、でも今回はもし「CHANCE」がセットリスト入りしたとしても、2番まで歌わないアレンジになるのか・・・。
まぁ贅沢を言うはやめましょう。
とにかく、一度は生で聴いてみたい名曲・・・正に今年はその「チャンス」です!
松本さんの詞は様々な解釈ができそうですが、その中から「一攫千金」的なニュアンスを掘り起こして、当時あの豪快なアクション(札束をばらまく)のアイデアが生まれているわけですよね。
さすがに小道具の再現は無理としても、身振りだけでもジュリーのあのカッコイイ動きを今年のツアーで僕ら新規ファンも追体験できたら、と妄想しています。

③私的セトリ予想・CO-CoLO期シングル篇

今回僕がセットリスト予想記事で書く3曲はいずれも「セットリストに入るかどうかは微妙だけど是非期待したい」位置にあるシングルで、今日の「CHANCE」も実際歌われるかどうかは可能性半々、もしくはちょっと分が悪いかな、という感じです。
では、他のCO-CoLO期シングルはどうでしょう?
これが前回の『A面コレクション』とは違って、「絶対」と言い切れる鉄板曲は無いんですね(あ、「灰とダイタモンド」を一応CO-CoLO期とするなら鉄板かとは思いますが)。そんな中で個人的にセットリスト入りの可能性上位として考えているのは「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」「STEPPIN' STONES」の2曲です。

まず「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」の方は、『ジュリー祭り』の80曲からは惜しくも漏れましたが、明けて2009年のお正月LIVE『奇跡元年』ですぐに採り上げられているところを見ると、当初ジュリーが『ジュリー祭り』に向けてひとまず88曲の候補を挙げた中には入っていた曲だったと考えられます。
その後も2010年の『歌門来福』で歌われるなど、ジュリーにとってはお気に入りの自作曲(作詞・作曲)で、今年厳選される「50曲のシングル」の中にCO-CoLO期代表曲のひとつとして加わる可能性は充分。
一方こちらもジュリー自身の作詞・作曲による名曲「STEPPIN' STONES」については、個人的に「正にこの2017年の特別なツアーで歌われることを約束されていたような歌詞」との思いがありまして。
ちょうど30年前、ジュリーがしっかりと見据えていた「虹色のかすか光」は今やハッキリと輝きを現しジュリーファンならば誰の目にも見えています。各会場大盛況間違いなし!の歴史的ステージにふさわしいシングル曲と言えるのではないでしょうか。

その他ですと、「女神」「きわどい季節」の2曲は、比較的最近セットリスト入りを果たしている(つまり『ジュリー祭り』以降採り上げられたことがあり、新規ファンの僕でも生で体感できている)こと、あとは阿久さんの作詞作品という共通点があります。
採り上げられたとしても不思議はありませんが、見送られたとしても(もちろん残念ですが)納得はできる、という本当に微妙な位置づけの2曲です。でも、「CHANCE」よりほんの少しだけ優位かもしれません。
残る1曲が「TRUE BLUE」。これはいつもお世話になっている先輩が期待していらっしゃいますし、僕としても是非とも生で聴いてみたい名曲なんですけど、今年の「デビュー50周年記念」50曲の括りで考えるとセットリスト入りは厳しそうです。
むしろ来年の古希イヤー、噂されている武道館3daysでのセトリ入り候補として考えてみたいと思うのですがいかがでしょうか。

こうしてみると「CHANCE」はギリギリ見送られてしまうのかなぁ、とも考えてしまいますが、所詮はこのヒヨッコの個人的な予想ですから。
ジュリーの歌人生を共に歩んでこられた目利きの先輩方の「いや、「CHANCE」歌うならココしかないでしょ!」という力強いコメントをお待ちしております(笑)。


それでは、オマケです!
今日は87年繋がりということで、『Keep on Running』ツアー・パンフレットから数枚どうぞ~。


Keeponrunning01

Keeponrunning02

Keeponrunning03

Keeponrunning07

Keeponrunning12


それでは次回更新は、いよいよ”全力で外しにいったのに当たっちゃった!パターンを期待したいセットリスト予想シリーズ”第3弾にして締めくくりのお題。
ズバリ、「周囲の多くの先輩方の、本当に熱烈なセトリ入り希望を耳にしている」大名曲です。
個人的には「う~ん、歌われない可能性の方が高いんじゃないかなぁ」とは思っているんですけど、長いファンのみなさまから圧倒的に切望されている曲のようで、「DYさんが予想記事書いちゃうと選曲から漏れちゃいそうだけど、でもこの機に書いて欲しい」との有難くも恐縮なリクエストを頂きました。

先達のみなさまの深い思い入れを想像すると大きなプレッシャーもかかる・・・そんな特別な1曲ではありますが、なんとか頑張って書いてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!

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2017年7月 1日 (土)

沢田研二 「どん底」

from『A面コレクション』
orginal released on 1984、single


Acollection

disc-1
1. 君をのせて
2. 許されない愛
3. あなただけでいい
4. 死んでもいい
5. あなたへの愛
6. 危険なふたり
7. 胸いっぱいの悲しみ
8. 魅せられた夜
9. 恋は邪魔もの
10. 追憶
11. 愛の逃亡者
12. 白い部屋
13. 巴里にひとり
14. 時の過ぎゆくままに
15. 立ちどまるな ふりむくな
16. ウィンクでさよなら
disc-2
1. コバルトの季節の中で
2. さよならをいう気もない
3. 勝手にしやがれ
4. MEMORIES(メモリーズ)
5. 憎みきれないろくでなし
6. サムライ
7. ダーリング
8. ヤマトより愛をこめて
9. LOVE(抱きしめたい)
10. カサブランカ・ダンディ
11. OH!ギャル
12. ロンリー・ウルフ
13. TOKIO
14. 恋のバッド・チューニング
disc-3
1. 酒場でDABADA
2. おまえがパラダイス
3. 渚のラブレター
4. ス・ト・リ・ッ・パ・-
5. 麗人
6. ”おまえにチェック・イン”
7. 6番目のユ・ウ・ウ・ツ
8. 背中まで45分
9. 晴れのちBLUE BOY
10. きめてやる今夜
11. どん底
12. 渡り鳥 はぐれ鳥
13. AMAPOLA
14. 灰とダイヤモンド

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『沢田研二 50周年記念LIVE 2017~2018』、初回チケット発送が始まっていますな~。どうやら今回は発送日に時間差があるらしく、僕の周囲ではまだ到着していない人の方が多いくらいですが、我が家は早々に初日のチケット2枚を受け取ることができました。
カミさんと参加するんですけど、授かったチケットは・・・ま~思いもかけず素晴らしい席で。以来、ず~っとニマニマが止まりません。
何度見てるんだ、ってくらい頻繁にNHKホールの座席表を開いてポ~ッとしております。この歴史的ツアーの初日に、本当に有難く畏れ多いことです。
初日については落選しなかっただけでもう「ラッキ~!」という感じで、良席の期待など全くしていなかったので、想定外の素敵な巡り合わせに感謝しかありません。

さぁ、いよいよ今月16日、ジュリーのデビュー50周年記念・全国ツアー開幕ということで、拙ブログでは今日からセットリスト予想シリーズに突入、厳選した3曲のお題考察に取り組みます。題して

”全力で外しにいったのに当たっちゃった!パターンを期待したいセットリスト予想”シリーズ

お正月LIVEで、「50という数字にはこだわりたい」とシングル50曲+αのセットリストを予告してくれたジュリーですが、2009年以降のマキシシングルはもちろん、ザ・タイガース、PYG、TEA FOR THREE、ジュリワン・・・A面だけでも100曲超えるシングル名曲群の中から、果たしてどの曲が選ばれるのでしょうか。
お正月LIVEでジュリーの「おそらく漏れはないと思いますが・・・」との言葉がありましたので、ジュリーは一般ピープルまで対象に「みなさまご存知の曲」についてはすべて歌う気でいるでしょう。
ギター1本体制で「時の過ぎゆくままに」をどうアレンジしてくるか、というのが見所のひとつです。

そんな中、「選ばれるか選ばれないか微妙なラインにいる曲は?」というのが今回の僕のセトリ予想のコンセプトとなります。
まず今日は、問答無用にして究極のベスト盤とも言える『A面コレクション』収録曲で、そんなギリギリの線上に位置する曲を探してみましょう。

『A面コレクション』、収録全44曲。
50という数字よりは少ないですけど、あくまでこれは85年リリース「灰とダイヤモンド」までのシングルA面曲を並べたもの。「灰とダイヤモンド」に続く「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」以降のシングルなど、セットリスト候補曲はまだまだ他にもあるわけですから、この圧倒的3枚組『A面コレクション』ですら、数曲(10数曲?)はセットリストから外れることが予想されます。
そこでみなさま、考えてみてください。
『A面コレクション』から今回のツアーで残念ながら漏れてしまうのはどの曲だと思いますか?

みなさまのお考えで一番手に挙がりそうなのが「MEMORIES」でしょうか。いや、僕もみなさまももちろん大好きな1曲ですよね。ただしこの曲は海外戦略がメインで、日本でのリリースについては「一応」という感じだったでしょうから一般ピープルの認知度も低く(実際、僕はYOKO君に『A面コレクション』を借りるまでは知らない曲でした)、厳選50曲の中には入ってこないと思われます。
では、その次にみなさまが「う~ん・・・」と悩みに悩んだ結果、多くの方が二番手に挙げそうだなぁと個人的に想像している曲。それが今日のお題です。

僕がこれまでお話を伺ったりコメントを読ませて頂いたりしたジュリーファンの先輩方、本当にたくさんいらっしゃるんですが、未だこの曲を「大好き!」と仰る方には出逢ったことがありません。
でもね。
「イヤよイヤよも好きのうち」とも申しまして、実は先輩方もLIVEでもう一度聴いてみたいんじゃないか、今のジュリーが生で歌うのを体感したら「最高!」と仰るんじゃないか・・・僕はそんなふうに想像しながら、サプライズなセットリスト入りを期待しているところです。
84年リリースのシングル。
名曲ですよ・・・「どん底」、伝授!

Donzoko83


↑ 『YOUNG SONG』84年5月号より

①阿久=大野時代をオマージュする意義

僕はリアルタイムでは知らなかったのですが、この曲を歌っていた頃「今が”どん底”です」という、83年からシングルのセールス苦戦の状況が続いていたジュリーの自虐的(?)な発言もあったそうですね。
言われてみれば歌番組全盛期に10代を過ごした僕も、「どん底」をテレビで歌うジュリーを見かけたのはほんの数回だったような気がします。

今日の記事では最後のチャプターで84年新春のラジオ音源のことを書きますが、そこでは84年一発目のシングル「どん底」リリースにあたって「ヒットに飢えている」ジュリーの様子がヒシヒシと伝わってきます。
「去年(83年)は今ひとつだった」と振り返り、とにかくこの新曲で巻き返したいと。
結論から言えば「どん底」はジュリー自身やスタッフ、ファンが期待したような結果を出せませんでしたが、「なんとか大ヒットを!」と気合を入れて世に送り込まれたシングルであったことは間違いなさそうです。

83年のシングル「背中まで45分」「晴れのちBLUE BOY」「きめてやる今夜」の3曲について、「きめてやる今夜」で色々と賞を貰った、ちょっと盛り返した、との認識があり(ラジオでジュリー曰く、「もちろん一番大きいの(大賞)はトシちゃんとか細川さんのところへ行ったわけですが・・・」とのこと)、製作サイドも「やっぱりジュリーはキザでギンギンな曲がヒットするのではないか」と狙ったのでしょう・・・84年のニュー・ソングル「どん底」はB面の「愛情物語」も併せ、70年代後半のセールス黄金期の阿久=大野ナンバーへのオマージュを明快に見てとることができます。
作詞・大津あきらさん、作曲・編曲・井上大輔さん。
ジュリーのセールス黄金期へのオマージュを託すには申し分のない組み合わせであり、実際「どん底」はとても良い曲なんですけど、僕自身この曲がジュリー・シングルの中で特に好きな曲かと言われればそうではありません。長いジュリーファンの先輩方もそれは同様なのではないかと推察いたします。
リアルタイムでテレビでチラッと曲を聴いた時、「勝手にしやがれ」の二番煎じだと感じたものでした。

でも、何故か今気になる曲なんです。本当に「二番煎じ」なんて括ってよい曲だろうか、と。
LIVEでバ~ン!とあのイントロが流れ、69歳のジュリーがあのアクションも交えて歌ったら、歌詞や曲調とジュリーの年齢の乖離など微塵も感じずメチャクチャ盛り上がるシングル曲なんじゃないか、とね。
むしろここは一丁、「勝手にしやがれ」と繋げて歌って欲しい!と希望しています。

僕のような新規ファンには分からない感覚ですが・・・一昨年のEMI期アルバム再発時、これまでずっとジュリーをリアルタイムで観て、曲を聴き続けてこられた先輩方の多くが、CO-CoLO時代のアルバムについて「あの頃は馴染めなかったけど、今改めて聴くとすごく良い」と仰っています。どこの会場でしたか、LIVE前に近くの席に座っていらしたお2人連れの先輩が『TRUE BLUE』についてそんなお話をされていたのを耳にしたりもしています。
これね、たぶんポリドール期の終盤のシングルやアルバムについても同じ感覚はきっとある、と僕は想像しているんです。さらに言えば、「どん底」の場合は「生のLIVEで聴いたら絶対」なのでは、と考えるわけです。

いや、もちろん「どん底」は純粋に音源作品としても名テイクです。腕ききのエキゾティクスの演奏は各パートとも自在かつ綿密ですし、ジュリーのヴォーカルもヴァースごとに表情を変え、ドツボに嵌った恋人同士のシチュエーションをズバリ叩き斬っています。
物語の状況やフレージングは「勝手にしやがれ」を受けていますが、「どん底」の大津さんの詞には80年代ならではの「リアル」があります。主人公の「普通さ」が逆に、あのブッ飛んだ阿久=大野ナンバーの世界観へのオマージュを面白く掘り下げているのです。

ドアを蹴って行ってくれ
E♭m

しゃくなドラマに仕立ててくれ
B♭m

やけに想い出 しぼんでいるから ♪
A♭               G♭        A♭    B♭m

「勝手にしやがれ」の主人公は自ら率先してヤケンパチのハイテンション状態ですが、「どん底」では
「いっそヤケンパチにしてくれ」
って感じじゃないですか。「俺はこのどん底のシチュエーションで、なんとかテンションを上げていきたいんだ!」というのははからずもこの時期のジュリーのセールス状況を投影しているようですし、ひいては僕らが過ごしてきた「モノが溢れかえっているけど真に自分が求めているものを探しあぐねている」80年代半ばの世の中の閉塞感をも思い起こさせます。

なんとか「突き抜けて」生きたい。たとえ今、最悪の状況に身を置いていたとしても。

今が最悪  男と女
D♭  B♭m  G♭  A♭

続けてゆくなら 涙をおくれよ
D♭    B♭m     G♭         A♭

サヨナラするなら 台詞はいらない
F7                      B♭m           G♭

答えは背中に投げてくれ
Cm7-5          F7        B♭m

どっちにしたって どっちにしたって
A♭                   G♭

やってられない どん底さ ♪
F7                   A♭     B♭m

1984年・・・みなさまも思い出してみてください。人々の生活、そして音楽の世界でもスマートに「アツくならない」ことがカッコ良いとされた時代です。でも皆本当は感情の吐露に飢えていたのではないでしょうか。
だからジュリーが阿久=大野時代のシチュエーションに再挑戦したかのような「どん底」には、今振り返って「あぁ、あの頃だからそれをやることに意味があったんだ」と思わせるものがあります。当時ヒットはしなかったけど、「ジュリー・シングルに「どん底」あり!」を是非今回のツアーで改めて体感したいものです。

ちなみに、これは楽器弾く人限定の感覚かもしれませんが、この曲のイントロは「福幸よ」のそれと似ているのです(トニックのマイナー・コードからディミニッシュへの進行は、キーこそ違いますがまったく同じ理屈)。


Donzoko113

↑ 同い年の男性ジュリーファンの方がコピーしてくださった貴重なバンドスコア!まさか「どん底」のバンドスコアなんてモノがこの世に存在していたとは・・・。

僕は今年のお正月LIVEの1曲目、イントロ一瞬だけ「まさかのどん底来た!」と勘違いしましたからね。後にYOKO君にその話をしたら、「いや、『祈り歌LOVEDONG特集』ってツアーで「どん底」はさすがにナイでしょ!」と笑われました。
ただし今回の全国ツアーは状況が違います。マイナー→ディミニッシュの初っ端3秒で「おおっ、今度こそどん底キター!」と即座に反応したい、と妄想しています!

②『ROYAL STRAIGHT FLUSH Vol.3』について

このチャプターでは、「どん底」が収録されているベスト盤『ROYAL STRAGHT FLUSH Vol.3』の話をちょっとしておきたいと思います。

僕が完全に「ジュリー堕ち」したのは2008年の『ジュリー祭り』東京ドーム公演でしたが、これまで何度か書いているように、僕にはその前に数年間の”第一次ジュリー堕ち期”があります。2005年にリマスター再発された3枚の『ROYAL STRAIGHT FLUSH』から、『Vol.2』をたまたま聴いて「これは」と感動したことがきっかけで、残る『1』『3』もすぐに聴き、さらにはポリドール期の全オリジナル・アルバム大人買いへと繋がっていったのでした。
そんな経緯が無ければ僕が『ジュリー祭り』にYOKO君を誘って「行ってみようか」と言い出すこともなかったのは明らかで、僕にとって『ROYAL STRAIGHT FLUSH』の3枚は『A面コレクション』以上に大切な、特別なベスト盤ではあるんですけど、ある程度ジュリーのポリドール期について(音源だけは)血肉としたかなぁという時期、ふと「ロイヤルの『3』って個人的にはお気に入りで大好きな想い出の1枚だけど、果たしてこの選曲で正解なんだろうか」と考えたことがありました。

『ROYAL STRAIGHT FLUSH』の収録曲構成は、まず冒頭1曲目にリリース当時の「最新シングル」をド~ン!と配して販促的な要素を持たせ、残りの11曲と併せて豪華な「ベスト」とするものですよね。
『1』の「カサブランカ・ダンディ」、『2』の「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」、『3』の「どん底」。
「今、旬なジュリー・シングル」が1曲目としてそれぞれの『ROYAL STRAIGHT FLUSH』の「顔」となります。

まず『1』は、ソロ・デビューから「カサブランカ・ダンディ」までのジュリーのキャリアの中から「誰もが知る」正に最強のラインナップ。厳選された文句のつけようのない圧倒的な「ベスト」です。
次に『2』の収録曲構成を見てみますと、「OH!ギャル」から「ス・ト・リ・ッ・パ・-」までの全シングル8曲。残る4曲に、惜しくも『1』の選曲から漏れてしまっていたシングルの中から「ウィンクでさよなら」「コバルトの季節の中で」「立ちどまるな ふりむくな」「さよならをいう気もない」をピックアップしています。当時既に『1』を購入済みのリスナーにとってはバランスの良い選曲で、こちらも先輩方は「文句なし」だったでしょう。

対して『3』の場合は・・・。
「麗人」から「どん底」までの全シングル7曲。ここまでは問題無しとして、残りの5曲で『1』から漏れていたシングル曲の収載は「あなたへの愛」のみ。あとは「勝手にしやがれ」「サムライ」「TOKIO」「ス・ト・リ・ッ・パ・-」という定番曲を再度収録しています。
いや、これは84年当時としては最適の選曲であったのかもしれません。レコードの時代ですし、もしかするとその頃『1』『2』の重版が止まり、お店で入手し辛くなっていた可能性も考えられます。新曲「どん底」を押し出し、新たなファンを開拓しようというなら、「ジュリーと言えばこの曲!」という大ヒット・ナンバーを『1』『2』と重複させる手はアリだったでしょう(まぁそれなら「危険なふたり」「時の過ぎゆくままに」も併せて全14曲にすべきだったのでは・・・とも考えますが、さすがに収録時間的にレコードの溝がキツイかな?)。
ただ、今になってみるとね。
ジュリーはその後も現役で歌い続けて、今年はデビュー50周年、「シングルばかり歌う」全国ツアーで、さらに新しいファン、中抜けのファンを獲得するでしょう。それはもう間違いない。そんなファンが、「やっぱりジュリーは凄い!何かCDを聴いてみよう」となった時、まず『ROYAL STRAIGHT FLUSH』はとても求め易い。『1』を買って、感動して『2』も買って・・・さらに『3』も買おうかと思ったら「あれっ、4曲かぶってるなぁ」みたいな感じになりはしないかな?と。

だからやっぱり僕は『3』の選曲については、当時としては無理っぽかったのかもしれないけど、まだまだ『1』に漏れたシングルもあったわけですから、「あなたへの愛」に加えて、「君をのせて」「あなただけでいい」「死んでもいい」「胸いっぱいの悲しみ」「魅せられた夜」「愛の逃亡者」「白い部屋」「巴里にひとり」の中から4曲選んで収録した方が良かったんじゃないか、と(今さらのように)考えてしまうわけです。
そのあたり、『ROYAL STRAIGHT FLUSH』3枚それぞれをリアルタイムで購入してこられた先輩方はいかがでしょうか。あ、でも先輩方はどのみちシングル盤も購入していらっしゃるから「重複」はさほど気にならない・・・むしろ日常茶飯事な感じだったのかなぁ?
まぁ僕自身も、半数以上の重複なんてまるで問題なく、喜んで『黒盤』買いましたけどね・・・。

③ジュリーがラジオで語った「どん底」の話

とんでもない大長文を避けるために記事をチャプター分けしているのに、今日はいつも以上に長くなってしまいますが・・・少し前に福岡の先輩から『愛をもとめて』以外のジュリーのラジオ音源を授かっておりまして(厖大な量です!じゅり勉途上の身としては本当に感謝、感謝です)、その中に「どん底」について語られている84年元旦放送のものがありますので、この機会に書いておきたいと思います。
これは『ニューイヤー・トップスター・スペシャル/おめでとう沢田研二です』という新春特番のようです。


今年にかける意気込みであるとか、あれこれを面白おかしく、おとそ気分でお届けしたいと思います。

とのことで、長尺で色々な話をしてくれるジュリー。「あっ、それ当時聴いた!」と仰る先輩方は多いでしょうけど、当然僕は今回初めて聴いたラジオ音源。
冒頭では「初夢」の話とかしてくれていますが、それは来年の元旦に更新する記事のネタにとっておきましょう(鬼が笑うで~)。
他、「きめてやる今夜」や『山河燃ゆ』の話題などもまたいずれの機会に譲り、番組の最後、ニュー・シングル「どん底」リリース告知(この時点で曲はもう完成していて音源を流してくれています)に絡めてジュリーが語る84年の展望の話を書いていきましょう。


今年は歌の方でも頑張らなければいけない、と言っておりますが、どういう具合に頑張るのか・・・2月の1日に新曲が出ます!これは普通のことではございません。普通ですと1月中に出す(笑)!

ここでジュリーが笑っているのは、84年のジュリーはこの元旦のラジオの仕事が終わったら1週間の休みなのだそうで、「こんなこと初めてですよ!」と。
働き者のジュリーですからねぇ・・・物足りない、ウズウズする、みたいな雰囲気が伝わってきます。長い「休み」があることに自嘲気味にもなっているんですね。


エネルギーを溜めて、2月からドッ!とこう突っ走ろうという。この(新曲の)タイトルがなんと「どん底」。
酒飲みの東京近辺の人は「新宿に”どん底”という酒場があったなぁ」とか、読書家の人ならゴーリキーのね、僕は読んどりませんが、話だけは知っております・・・そっちを思い出しているかたもいらっしゃるかもしれません。


実は僕も、ゴーリキーは読んだことがありません・・・。
ジュリーは明るい調子でさらに話を続けますが、その声から「僕はもっともっと仕事がしたい!」感がますます伝わってくるという。


僕は(去年1年を)シビアに反省しているんです。
「背中まで45分」、ズッコケた。井上陽水に騙された・・・ウソウソ(笑)。「晴れのちBLUE BOY」・・・これは過激に走った。加瀬さんが「これは絶対売れる!」と言った・・・加瀬さんに騙された(もちろんこれも冗談です)。人のせいにしてはいけない!
そこで、大ちゃんだ、あの井上大輔さんだ、と言って「きめてやる今夜」。自分の作った曲を捨ててまで井上さんに作って貰った。これで賞をたくさん貰ったけど、いまひとつだった。こういう反省の上に立ちまして、今年は自分の枠をもっと拡げよう、と。


で、問題はここからの話なんです。僕が今日このラジオ音源のことを書いたのは、先輩方に教わりたいことがあるから・・・ジュリーはこの後、新規ファンの僕にはまるで分からない「84年の予定」について話すんです。


今年はアルバムを2枚出す!

と。
そこまで聞いていた段階で僕はそれを『NON POLICY』と先述の『ROYAL STRAIGHT FLUSH Vol.3』のことだと思いました。でもどうやら違うみたいで。
まず「
全国ツアー最中の夏に1枚出す、派手なアルバムにしたい!」と話してくれて、これは間違いなく『NON POLICY』のことですわな。続けて「今はまだ詳しく話せないのですが、秋くらいに」ということで

これはタネも仕掛けもある・・・話せない話というのが面白い話だ、と思って貰っていいわけです。「えっ、何で?何でそうなってるの?」と(ラジオを聴いてくれているみなさまが)思うような話ですから。話したくてしょうがない、でも話せない。

これは一体・・・?
84年の秋にアルバムは出てません・・・よね?もしかして僕の知らない企画盤とか、ショーとかあったのでしょうか。それともこの時のジュリーの話はその後立ち消えになったとか?
僕にはまったく分かりません・・・。

ともあれジュリーは番組の最後に


今年は本当に、バッチシ決めてみるからね!


と宣言。同時期の『ヤング』にも記述があったように、ジュリーがこの新曲「どん底」に並々ならぬ気合で臨んでいたことを改めてこのラジオ音源で学びました。

繰り返しになりますけど、結果としてセールスの成功は勝ち取れなかったシングル「どん底」。
ジュリー自身にも、長いファンの先輩方にとってもこのシングルは苦い思いが未だ残っている不遇の曲なのかもしれません。でも、もしジュリーが今回のデビュー50周年記念ツアーでこの曲を採り上げたとしたら、リリース当時の気合、意気込みをそのまま改めて再現してくれるような、素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれるのではないでしょうか。
最高にカッコイイですよ、きっと。
実現したら、それがそのまま最後の機会となるかもしれませんしね。ここはひとつ、「どん底」のセットリスト入りを大いに期待しようではありませんか!


それでは、オマケです!
先日ピーファンの先輩に新たにお借りした貴重な切り抜き集の中に、ちょうど84年繋がりで『ときめきに死す』の資料がありましたので、今日はそちらをどうぞ~。


Tokimekinisisu1

Tokimekinisisu2

Tokimekinisisu3

Tokimekinisisu4

Tokimekinisisu5


それでは次回更新は・・・。
今日は『A面コレクション』から「セットリスト入りギリギリ線上」の曲を考えました。次はCO-CoLO時代のシングル群に目を向けてみたいと思います。
これは『A面コレクション』以上に悩みどころですよ。どの曲も「この機に歌ってくれる」ようでもあり「ギリギリのところで割愛される」ようでもあり・・・。
でもジュリー自身がかつてMCで語った「心を込めて作ったのに、一度のツアーしか歌っていない曲もある」ようなアルバム収録曲、隠れた名曲と比較した時、「今回のツアーではもしかしたら・・・」と、光を当てられる機会を僕らファンが期待できるぶん、やっぱり「シングルA面」というだけでそれは特別な曲なんですよね。

みなさまもCO-CoLO時代のシングルの中で、「是非今回のツアーで聴きたい」と考える意中の曲はあるでしょう。ですので、お題曲だけではなく「CO-CoLOのシングル」という括りの話も少しだけ交えるつもりです。
どうぞお楽しみに!

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2017年6月25日 (日)

沢田研二 「愛の神話・祝祭という名のお前」

from『act#4 SALVADOR DALI』、1992

Salvador1

1. スペイン・愛の記憶
2. 愛の神話・祝祭という名のお前
3. ガラの私
4. VERDE ~みどり~
5. 眠りよ
6. 愛はもう
7. 黒い天使
8. 恋のアランフェス
9. 白のタンゴ
10. 誕生にあたっての別れの歌

---------------------

6月25日です。

ジュリー69歳のお誕生日です。おめでとうございます!


Pic010

↑ 近年恒例、「ありがとう」と言ってそうな若き日のジュリーのショットを今年も貼っております。これは・・・50年前くらいですか?

ジュリーファンにとっては、年に一度の祝祭日ですな~。全国各地でお祝いムードに包まれ「おめでとう」の声が飛び交う宴が催されていることでしょう。
僕は今日はこれから、男性タイガースファンの先輩であるYOUさんのLIVEに出かけます。ジュリーの歌を演奏してくれるわけではないみたいだけど、何と言ってもこの日付ですから、YOUさんお馴染みの長~いMCの内容には期待しています。
出かける前にこのブログでも、ジュリー誕生月に開催中の”act月間2017”の締めくくりお題としまして、今日はとてもおめでたい祝祭の名曲を採り上げ、ジュリー69歳のお誕生日に捧げたいと思います。

現時点で『actCD大全集』全discの中で個人的に最も好きな作品『SALVADOR DALI』から、「愛の神話・祝祭という名のお前」です。僭越ながら伝授!


Salvador2


僕がactナンバーで特に惹かれている曲は、まず『EDIT PIAF』収録のジュリー作詞・作曲作品である「エディットへ」。カバー曲だと『BORIS VIAN』収録の「俺はスノッブ」、或いは『SHAKESPERE』収録の「私は言葉だ」。
そして・・・actと言えばこの黄金コンビ、加藤直さん作詞、cobaさん作曲のオリジナル・ナンバーとなりますと、「とても1曲に決められない!」というくらい拮抗して惚れ込んでいる名曲が5曲。『BORIS VIAN』の「墓に唾をかけろ」、『NINO ROTA』の「SARA」、『BUSTER KEATON』の「another 1」、『ELVIS PRESLEY』の「無限のタブロー」、さらには今日のお題曲『SALVADOR DALI』の「愛の神話・祝祭という名のお前」です。

ちょっと前に放映された阿久悠さんの特集番組で、どなただったか忘れてしまいましたが、阿久悠さんの作詞を「狂気の伝達である」と語っていた方がいらっしゃいました。「狂気」と言うと少し怖い表現ですが、要はまず阿久悠さんがブッ飛んだ詞を書く、それを読んだ作曲家が「スパーク」してメロディーを作る、それがまた歌い手にも「スパーク」して伝達してゆく、ということ。
詞曲いずれが先にせよ、加藤さんとcobaさんのactナンバーには、かつての阿久=大野コンビが魅せてくれた「スパーク」の伝達と同じパワーを僕は感じます。
特にこの「愛の神話・祝祭という名のお前」。突き抜け、振り切った歌詞。短調の明快なメロディーでグイグイと容赦なく攻めてくる曲想。これはあの「勝手にしやがれ」とも共通しています。

単純にうわべだけの「スパーク」で詞曲によりかかってしまうレベルの歌手では、逆に作詞者・作曲者の「スパーク」は聴き手に伝わらないと思うのですよ。
「勝手にしやがれ」もそうですけど、ジュリーはそんなスパークの高熱を程好い温度までに冷ましてから自分に引き込む俯瞰力があり、耳あたり良く伝える驚異の才能の持ち主。「どんなことを歌っている」とか、「曲の進行はこういう理屈になっている」とか以前に、得体も知れず伝わってくるその歌声は驚くほどポップで大衆性があって、ハチャメチャにスパークしている楽曲の根本がとても分かりやすい形で耳に、心に入り込んできます。

「愛の神話・祝祭という名のお前」は、言うなれば「お前は俺のすべて」という歌ですよね。

私の子供  私の 母親
   Cm  Fm7     B♭7  E♭maj7

私の   恋人 私の女神 私のガラ ♪
   A♭maj7  Fm7 Dm7-5    G7   Cm

この情熱・狂乱のサビを歌手が押しつけがましく詞曲のスパーク温度をさらに上げて、沸騰して歌ったらかえって興ざめしそう。その点、ジュリーの歌、発声の温度は絶妙です。それがジュリー流、天性の「スパーク」。
語尾を子音と母音の2段階に分ける、色っぽくメロディーに絡んいるようでもあり突き放しているようでもあるジュリー独特の鼻濁音の発声を聴いていると、これはもうジュリー以外の人には歌えないだろう、ここまで伝えられないだろうと聴き手の方が興奮してスパークしてしまうという(笑)。
「これが天下の沢田研二じゃ、皆頭が高い!」と全世界に勝手に叫びたくなる名曲・・・ということで僕の中では「愛の神話・祝祭という名のお前」は、「勝手にしやがれ」と同格です。

ただ、考察記事を書こうというからにはここでちょっと興奮を抑えまして、なけなしの俯瞰力を総動員して程好い温度のスパーク伝授をしなければなりません。
ここからは楽曲の魅力を冷静に探っていきましょう。

祝祭という名のガラ
   A♭                Cm

まといつく緑の故郷 ♪
     A♭             Cm

実は、この曲を知るまで僕は「gala」という英単語を知らなかった(或いは忘れてしまっていた)のです。
改めて辞書を引いてみますと


Gala

ダリの奥さんであるガラについては昨年「眠りよ」の記事中で書きましたのでここでは割愛しますが、「ガラ=祝祭」の発想から加藤さんがビシッとキメたタイトルが「愛の神話・祝祭という名のお前」。
ジュリーという歌手が歌えばこのタイトルが「大上段」にはならないんですよね。歌の主人公(ダリ)の誇り高き断言であり、真理となるのです。

にしてもこの加藤さんの名篇、よくぞここまでメロディーにもお芝居の題材にも「嵌った」ものです。
舞台はスペイン、スペインと言えばフラメンコ。フラメンコは「情熱の音楽」であるとよく言われていて、メインの楽器であるギター演奏にしてもそうなのですが、その「情熱」を表現するためには逆に演じ手が「クール」であることが肝要だとされます。
淫らな官能、狂おしい求愛をして「愛の神話・祝祭という名のお前」という加藤さんの詞はとてつもなくクールであり、ジュリーの歌も同様です。
この曲に表れているのは、加藤さん、cobaさん、ジュリーによる「クールにスパークする狂気の伝達」ではないでしょうか。cobaさんのメロディーも、こんなに情熱的な曲なのに俯瞰力が物凄い。

はじめにカダケス 永遠の私の海
            Fm7        G7       Cm

それから熱烈 旅に誘う私の舟 ♪
            Fm7   G7         Cm

キーはハ短調。
メロディー、コード進行は短調ポップスの王道です。大げさな部分、トリッキーな部分は無いんですよ。サビはモロに「枯葉」進行だったりします。
ただし、「ここはまぁこんな感じでいいや」という妥協や迎合は一切ありません。
王道にしてオリジナル、一分の隙もなく練りこまれた各ヴァースの繋ぎ目と展開。そのプロフェッショナルな俯瞰力が「情熱の音楽」へと昇華されます。

「クールなスパーク」とは決して「おとなしい」ということではありません。詞も曲も、ジュリーの歌そして演奏もすごくテンション高いですよね。
それはcobaさんのアコーディオンからギターへとリレーする間奏を聴けば誰しも感じられる
でしょう。

『SALVADOR DALI』全編の演奏でcobaさんのアコーディオンと並び特筆すべきは、2本のギターのアンサンブル。スペインが舞台ということで採り入れられているフラメンコ・ギターです。
収録曲中多くの曲で登場する、じゃかじゃかとかき鳴らすように弾く奏法は、普通のアコギとは違い「ストローク」ではなく「ラスゲアード」なる呼称があります。これ、右手の爪で弾くらしいんですよ(僕には無理。指弾きはできるんですが、爪はなんだか怖くて・・・)。
ロック奏法においても僕の好きなギタリストの1人であるウィルコ・ジョンソンのように「爪弾き」の名手はいるんですけど、やっぱりフラメンコのラスゲアードというのは独特。「愛の神話・祝祭という名のお前」では、お馴染みトレモロ奏法と共にフラメンコ特有のラスゲアードを堪能することができます。
そこに噛みこむアコーディオン、バリージョ・・・「眠りよ」の記事でも書いたのですが、新規ファンの僕が遡って聴くと、『SALVADOR DALI』の演奏の魅力は「よくぞベースレスでここまで」という、言わば鉄人バンドのフラメンコ版という感じのcobaさんの素晴らしいアレンジあらばこそ。パターン的に特化した、ある意味「偏って」いるのにこれほどジュリーの歌とマッチするとは・・・ジュリー、cobaさん双方畏るべし!なのです。

そうそう、フラメンコって演奏の最中に時々シャウトと言うか、「かけ声」が入るじゃないですか。
「愛の神話・祝祭という名のお前」の間奏でも、よ~く聴くと「や~!」みたいなオフマイクの声が入っていて、僕はそういう「忘我の発声」みたいなニュアンスがメチャクチャ好きです。
CD1曲目「スペイン・愛の記憶」ではそんな声がハッキリ聴こえて、僕は当初それらを「間奏を盛り立てるジュリーの声」だと思ったのですが(いや、曲によっては実際そうかもしれませんが)、「VERDE ~みどり~」で伴奏がタップのみになりジュリーが歌う箇所でもかけ声が聴こえてきますから、「あぁ、これはバンドが”情熱のフラメンコ”を体現しているんだな」と気がついた次第。

ま~しかし、この曲は何と言ってもジュリーのヴォーカルなのですな~。
今回改めて『SALVADOR DALI』のCDを通して聴いて、やっぱり僕はactCD大全集のディスクの中ではこの作品が一番好きかなぁ、と思いました。
act全編に言えることなんでしょうけど、ジュリーの凄さは先程から書いている「俯瞰力」に加えてその驚嘆すべき「吸収力」「進歩力」に尽きると思います。新たな歌、新たなジャンルに挑むたびに、その楽曲の進行であったりアレンジであったり、とにかく「優れて特化している面」を軽々と吸収、会得してさらにまた次の新しい段階へと進んでゆく、年齢など関係ない成長。現在2017年も未だに続いているジュリーの特性・・・『SALVADOR DALI』はそんなジュリーの素晴らしい特性が実感し易い作品ではないかと思うのです。
フラメンコという良い意味で偏ったジャンルのアレンジ、独特のメロディー、官能の表現、ベースレスのアレンジ・・・ジュリーはそのすべてに悠々と対応し、歌手としてどんどん高みに昇っていきます。

ちょっと話が逸れるようですが・・・将棋界の新たなスーパースター・藤井聡太四段の大活躍については一般のニュースでも大きく採り上げられていますからみなさまもご存知でしょう。
彼に敗戦したあるベテラン棋士がこんなことを言っています。「今の藤井四段は、漫画のヒーローを見ているようだ」と。
どういうことかと言うと、史上最年少記録でプロ棋士に昇段した藤井四段は、直前の三段リーグ戦(将棋界では三段までが修行中の「奨励会員」で、四段以上がプロ棋士)を13勝5敗の成績で通過し四段に昇段しています。これは過酷な三段リーグにあって当然素晴らしい成績ではありますけど、その当時彼はまだプロではない奨励会員(三段)を相手に5敗している、ということでもあるわけですね。
それが一転、プロデビュー後の圧倒的な連勝劇(明日、歴代新記録の29連勝に挑戦します。ここまで来たら偉大な記録更新を見てみたいですが、相手の増田四段もかなりの強敵です)。
先述の棋士に言わせると、若き(というかまだ中学生なんですけど)藤井四段はプロデビュー後、対局相手の強い部分、優れている部分を易々と吸収し、次の対局までに信じられないほど強さを増していて、そんな状況が対局ごとにず~~っと続いている、と。
将棋の棋戦というのは勝ち続ければ続けるほど相手が強くなっていくわけですから、これを少年ジャンプの漫画で例えるならば、黄瀬涼太のパーフェクト・コピーが時間無制限で持続し、しかもコピー元の本家を凌ぐ強さを身につけ続けているということ(『黒子のバスケ』を知らない方々にはまったく分からない例えで申し訳ありません)。その棋士の言葉に説得力があるのは、連勝中の藤井四段と別棋戦で2度対戦して敗れている棋士だからです。1度目の対戦と2度目の対戦で、藤井四段の短期間での進化、成長を身をもって体感したのですね。

ジュリーの歌人生(これまでの道のり)って、正にそんな感じだと思うのですよ。
その中でもactシリーズ、特に『SALVADOR DALI』でのジャンプ・アップは驚異的。
「愛の神話・祝祭という名のお前」については、前後の年によく似た曲調、”短調のメロディーでバシバシ攻める”情熱系の名曲をジュリーは歌っています。91年の「涙が満月を曇らせる」、93年の「そのキスが欲しい」。いずれも大変な名曲ですが、ジュリーの歌の表現、柔軟性は、この3曲で年々グ~ッと右肩上がりでしょ?
ジュリーはデビューから50年、休まずそんな進化を続けているんだろうなぁと思える、その分かり易い楽曲例として「愛の神話・祝祭という名のお前」は本当に貴重なテイクだと僕は考えます。

個人的にこの曲のジュリーのヴォーカルで一番痺れるのは、サビのダメ押し部。嬰ハ短調への半音上がりの転調間際の声の伸ばし方です。
これもかつて歌った「スマイル・フォー・ミー」であったり「君をのせて」であったり「あなたへの愛」であったり・・・ずっと以前から「サビのダメ押し転調」曲を歌い吸収し続けてきたジュリーが、『SALVADOR DALI』の世界観を受けて応用し進化を遂げてこういうヴォーカルになっているわけで。
信じられないほどに素晴らしい、としか言えません。

今日で69歳となったジュリー。来年の古希イヤー、さらにその後・・・僕らはまだまだジュリーの底知れぬ進化を楽しむことができそうですね。
「男子3日会わざれば刮目して見よ」と言いますけど、まずは7月からの全国ツアー。チケット到着を心待ちにしながら、刮目して初日・NHKホールに参加したい、と意気込んでいる今日この頃です。
チケット到着が待ち遠しい!


それでは次回更新は・・・。
少し間隔が開きますが、いよいよジュリーのデビュー50周年記念全国ツアーが開幕する7月ということで、セットリスト予想シリーズに突入します。じっくりと3曲に絞って書こうと思っていて、お題も決めています。

拙ブログのセトリ予想と言えば、本人は当てる気満々で書いているのに蓋を開けたらてんで見当外れ、という”恒例・全然当たらないセットリスト予想”を毎回掲げています。ただし今回はちょっと路線が違うんです。
なにせ、ジュリー本人が「シングルばかり50曲歌う」と宣言しているのです。まだ記事未執筆のジュリー・シングルも数少なくなってきていますが、今回例えばその中から「愛の逃亡者」「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」「背中まで45分」「アリフ・ライラ・ウィ・ライラ」「STEPPIN' STONES」「愛まで待てない」・・・これらのうち3曲選べば、全お題的中が濃厚なんですよ。
でもね。

そんなの、僕のブログらしくないじゃないですか!

ここはひとつ、「う~ん、その曲は50曲の中に入ってくるかどうか・・・」というギリギリのラインにいるシングルを厳選して3曲書いてみようかと。
もちろん僕的に「可能性はある」と考える曲であり、「是非生で聴いてみたい」という曲達です。
ですから、個人的には「これはまぁやらんだろう」と考えている「MEMORIES」とか「Stranger -Only Tonight」などは逆に書きません(もちろん、その2曲も万一セトリ入りしたらサプライズで嬉しいですよ!)。
あくまで、お読みくださるみなさまも一緒に「う~ん、ジュリーが選ぶ50曲の中に入るかって言うと、さてどうかなぁ?」と悩みつつ期待も持たせられる、といった感じの3曲で勝負を賭けます。題して

全力で外しにいったのに当たっちゃった!パターンを期待するセットリスト予想”シリーズ(←長いよ)。

渾身の厳選シングル3曲、どうぞお楽しみに!

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2017年6月21日 (水)

沢田研二 「王様の牢屋」

from『act#2 BORIS VIAN』、1990

Boris1

1. 俺はスノッブ
2. 気狂いワルツ
3. 原子爆弾のジャヴァ
4. 王様の牢屋
5. MONA-LISA
6. きめてやる今夜
7. カルメン・ストォリー
8. 夜のタンゴ
9. 墓に唾をかけろ
10. 鉄の花
11. 脱走兵
12. 進歩エレジー
13. バラ色の人生

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『大悪名』終わってしまいましたね・・・。
僕はラス前の17日に観劇し、千秋楽の18日は遠征の先輩方にお誘い頂き打ち上げだけ参加しまして、お話を伺うことができました。
最前列で観劇されていたMママ様からは、記念のお宝も頂いてしまいました。


20170618

とにかく素晴らしいフィナーレだったようです。

僕が参加した17日も大盛況でした。ジュリーのマルガリータはみなさまのお話通りとても似合っていました。本当に「カッコイイ親分」に見えますよね。
歌はもちろん素晴らしかった中で特に印象に残ったのは、曲のタイトルが分からないんですけど(恥)、一番最初にジュリーがソロで歌うワルツのバラード(柴山さんのアルペジオ伴奏)。詞もメロディーも沁みました。
当然お芝居も素晴らしく、下戸の朝吉親分(漠然さん)がお酒を飲んで「うげ~」となるシーンでは、お客さんの反応から「あぁ、このシーンは公演を重ねてどんどんユーモラスに変化しているんだな」と分かりました。

あとは前半のクライマックス、噂に聞いていた漠然さんが数珠を引きちぎるシーン。
もっと乱暴なシーンを想像していたんですけど、横に伸ばした数珠をスッと引っ張りちぎるのか~。なるほど、その方が「力持ちの親分」な感じが伝わるんですね。

僕はジュリーの音楽劇はこれまで『雨だれの挽歌』と昨年の『悪名』しか観ていませんから、ストーリーや挿入歌の繋がりが理解できていない部分も多いとは思います。それでも「これが最後」の音楽劇集大成の雰囲気はビシビシ伝わってきました。

他の出演者では、僕は『ちりとてちん』(2007-2008年のNHK朝ドラ。主演は貫地谷しほりさん)の大ファンですから(完全版のDVD持ってます)、徒然亭小草若役の茂山宗彦さんの演技を楽しみにしていました。
茂山さんの演技はもちろん期待通りに懐かしくとても良かったことに加え(そ~こ~ぬ~け~に最高でしたがな~)、改めて感嘆したのはこちらも『ちりとてちん』に出演されていた松永玲子さんの存在感でした。台詞がダイレクトに脳に飛び込んでくる感じで。
『ちりとてちん』で松永さんは主人公の故郷である小浜(福井県)の『魚屋食堂』の女将(と言うか「噂話好きのおばちゃん」)を演じていらっしゃいました。劇中、一人娘の順ちゃんの結婚が決まる回は松永さんが登場するシーンの中でも屈指の泣かせどころでしたが、「楽天的」なキャラが嵌った上での松永さんの「悲しみ」「戸惑い」の表現が素晴らしく、その個性はこの『大悪名』でも大いに、半端なく発揮されていました。
(『ちりとてちん』を観ていなかったみなさまには、よく分からない話ですみません・・・)

演奏陣ではやっぱりcobaさんですね~。
1本柱が通ると言うのか、演奏だけでなくその佇まいも含めて「バンマス」感、「音楽監督」感バリバリのプロフェッショナルです。生で体感できて感激です。

先日YOKO君にメールで『大悪名』観劇の報告をしてcobaさんのことを書いたら、彼は「ビョークの『ホモジェニック』はよく聴いてる」とのこと。
『ホモジェニック』はビョーク1997年リリースのアルバムで、ワールドツアーのメンバーだったcobaさんも当然レコーディング・メンバーとして参加しています。
僕は17日の観劇前にランチをご一緒した先輩から、cobaさんとジュリーの関わり(actを音楽監督のみに専念し伴奏陣からは外れた経緯など。この時のジュリーの「男気」はジュリーファンの間ではとても有名な逸話のようですね)を改めてレクチャーして頂けたのですが、ビョークの活動とリンクしてみると、なるほど当時cobaさんはactの曲作りと並行して世界で大活躍されていたわけです。
そんな歴史があって、ジュリー最後の音楽劇に駆けつけ渾身の演奏で花を添えてくださったcobaさん・・・そう考えると、ずっとジュリーを観続けてこられた先輩方の思いが今回の東京芸術劇場(もちろん他会場も)のあの熱気を作っていたのかもしれません。
劇の最初の演奏シーン、cobaさんのソロでジュリーはじめ出演者がcobaさんを取り囲むようにして踊っていた時のお客さんの拍手とかね・・・今思い出してようやく「あぁ、特別な公演だったんだなぁ」と。

昨年魅せられた柴山さんのギターと熊谷さんのドラムスも、cobaさんが入ることで昨年とはまた違い完全に「バンド」のアレンジで挑んできましたね。
ブルース調、或いはロックな曲ではチェロがベースを弾く(指で弾いていた曲もありましたね)というのもこの編成ならでは、でしょう。各パートに見せ場があり、本当に贅沢なバンド・サウンドでした。

カーテンコールでの役者陣、演奏陣、そのステージと満員のお客さんの一体感。2階席ならではのそんな光景を目に焼き付けて帰宅しました。
今回はDVDの発売予定が無いことを先日聞きまして驚いています。ジュリー最後の音楽劇『大悪名』を、1度の参加でしたが生で観ることができ、幸運でした。


さて、1週間ほど間が開きましたが今日は”act月間2017”第4回の更新です。
相変わらず「伝授!」などと言いながら実は記事を書き終えた後にみなさまから逆伝授を賜る、というスタイルの考察が続きます。『大悪名』千秋楽の日の打ち上げでも、ご一緒した先輩方から改めて「美しき天然」について教えて頂きましたし、今回もきっと更新後に勉強することがたくさんあるでしょう。

今日のお題は前々から、『大悪名』でのcobaさんの生演奏を聴いた上で閃いた曲を、と考えていました。
観劇を終えて色々と考えたんですけど、やっぱり「ワルツ」の曲が良いんじゃないかなぁ、と。
2階2列目(A席)だった僕の席からは5人の演奏陣がよく見えましたが、双眼鏡は持参しなかったのでcobaさん達の細かい表情までは分かりませんでした。
でも、なんとなく「あっ、cobaさん目を閉じて弾いてる!」と感じたのは、劇中で3曲(だったと思います)披露されたワルツ・ナンバーだったんです。
そこで今日は、いかにもcobaさんが目を閉じて弾いていらっしゃる光景が目に浮かんできそうなactのワルツ・ナンバーをお題に採り上げることにします。
『BORIS VIAN』から「王様の牢屋」、僭越ながら伝授!


Boris3


先輩とのご縁を頂いて念願の『actCD大全集』購入が叶った時、僕がまず最初に聴いたのがこのdisc-2『BORIS VIAN』でした。
理由は、収録曲にクレジットされていた「きめてやる今夜」「脱走兵」がお目当てだったから。その2曲はいずれも期待通りに素晴らしかったのですが(と言うか「きめてやる今夜」の方はリズム解釈にビックリした)、初めてCDを通して聴いて特に衝撃を受けた曲は「墓に唾をかけろ」「鉄の花」そしてこの「王様の牢屋」。僕がまず『BORIS VIAN』の中で大好きになったのはこの3曲でした(今は「俺はスノッブ」が一番好きになっています)。
『BORIS VIAN』が最初、というのはactのCDを聴く順番としてはとても良かったように思います。
「オリジナル・アルバムのジュリーとは違う!」強烈な感覚が分かり易い作品と言えるのではないでしょうか。

さて、「王様の牢屋」。みなさまご存知のように、actの「王様の牢屋」は2つありますね。
エディット・ピアフの歌ですから当然『EDIT PIAF』でも採り上げられています。素晴らしい名演ですが、そちらのヴァージョンはですね・・・僕のレベルでは到底採譜不可能!というくらい凝ったアレンジでございまして(この曲以外も、『EDIT PIAF』は難解なアレンジの曲が多いです)、すぐには考察に手をつけられません。
対して『BORIS VIAN』の「王様の牢屋」の方はポップ性が高いと言いますか、おそらくcobaさんの和音解釈は原曲に近い感じなのかな。
何とか自力の採譜も成りましたので今日はこちらを採り上げようという次第です。

映像を観ていない上、僕はボリス・ヴィアンの人物像もほとんど知らないに等しいので、何故エディット・ピアフのこの曲が『BORIS VIAN』で歌われたのかすら分かっていないんですけど、ちょっとネットで調べましたら、ボリス・ヴァイアンがエディット・ピアフの歌声を
「電話帳を読んだだけでも人を泣かすことができる」
と語った有名な逸話があるそうですね。
獄中にある想い人のこと女性の一人称で歌う「王様の牢屋」。それを男性のジュリーが切なく歌う・・・actならではの名演、名曲ですよね。

先程「自力で採譜した」と書いたように、この曲のスコアはまだ見つけることができていません(たぶんこの世に存在はしていると思うのですが・・・。エディット・ピアフの歌でact関連曲については、既に記事を書き終えている「群衆」の他、「愛の讃歌」「バラ色の日々」「水に流して」「私の神様」などのスコアは見つかっています)。
ただ、この曲に少し触れている文章は見つけました。


Img51835

↑ ピアノ伴奏譜『シャンソン名曲アルバム②』から解説ページ、「待合室」の項より

シャンソンのスタンダード・ナンバーって、どれも詞が良いんですよね。
また、「王様の牢屋」も日本語のカバーが幾多存在していて、その中には牢屋に閉じ込められているのが女性、という斬新な視点で歌われる日本語詞もあるのだそうです(これは、先輩ジュリー・ブロガーでいらっしゃるRスズキ様の過去記事で勉強しました。ありがとうございます!)。獄中の女性が彼氏に「ここにきて!」と訴える内容なのだとか・・・ひえ~。

actの「王様の牢屋」は、原詞のシチュエーションを踏襲しているようです。

お城の奥深くにある 王様の牢屋に
    Em Bm7   Em  D      C    B7   Em

閉じ込められた私のあの人
     G              Em  Bm   Em

Oh  Oh Oh Oh! ♪
Am  D7       G

前回「丘の上の馬鹿」の記事で「歌へと集約する詞曲一致」ということを書きましたが、いやぁ「王様の牢屋」もその点素晴らしい!

actでのキーはホ短調(原曲のオリジナル・キーはまだ調べきれていません)。しかし「閉じこめられたあの人 ♪」からは平行移調させる長調のニュアンスも含みます(着地のコードがGで、続く「二度と・・・♪」のヴァースからは明快にト長調)。にも関わらずここは出だし以上に悲しいんです。
詞が悲しいから、だけではありません。例えト長調のヴァースでも、メロディーそれ自体確かに悲しい感じがする・・・驚くべきことです。
この「長調の哀愁」を加藤直さんが見事に日本語で表現しきった日本語詞。それを「悲しい歌」「切ない歌」を歌わせたら天下一品のジュリーが歌うわけですから、物語の説得力が凄まじい!
しかもジュリーはこの曲では完全に「演じて」いますよね。それは前回採り上げた「丘の上の馬鹿」とはまた異なるジュリー・ヴォーカルの醍醐味です。

僕が最も愛するジュリー・アルバム『JULIEⅡ』制作時に池田道彦さんから「おまえは、”歌で演ずる”ということをやった方がいい」と言われ、その言葉がACTにも繋がっている、と『ジュリー三昧』で語られている、その「歌で演ずる」様子がCDだけでヒシヒシと伝わってくる作品が『BORIS VIAN』です。
僕がactを聴き始めて最初期に感じとっていたジュリーの魅力は「キュート」で、昨年の『悪名』を観劇することで追体験したような気分になったものでしたが、僕がそんなジュリーの魅力に気づけたのは、『BORIS VIAN』初聴時に受けた印象が大きいと思います。
『BORIS VIAN』には、語りかけるような、台詞を言っているような歌が多く、僕はそんなふうに歌うジュリーをまずは「キュート」だと感じたわけですね。
もちろん今日のお題「王様の牢屋」でも、そんなヴォーカル部が登場します。

罪ならあります 私も盗みました
C                           G

はい 王様 あの人の心を ♪
        Am           B7      Esus4  Em

この「はい」がね・・・初めて聴いた時はドキリとしました。これは、リアルタイムでジュリーの生歌を聴いた先輩方もそうだったんじゃないですか?

そして、「いかにも目を閉じて弾いていそうな」cobaさんのアコーディオン。
『大悪名』で生演奏を聴いて改めて感じたのですが、アコーディオンって不思議な楽器ですよね。他のパートとは流れている時間(リズム)が違っているような。
例えば「王様の牢屋」では

二度と出られないというのは本当ですか ♪
       C                  G         C           G

この、ジュリーの切ない「本当ですか♪」を追いかける「レミレミレミ・・・♪」の音色が、とてもゆっくり、ゆったりと 聴こえます。でも決して全体のテンポが変わっているわけではなくて、cobaさんのアコーディオンだけ別の時間が流れているように感じられるのです。
まるで主人公の女性の心情がそのまま伴奏に乗り移っているようで、これはアコーディオンという楽器でなければ出せないニュアンスなのでしょうね。

僕はactの映像を観ていないので状況はよく分からないのですが、この曲ではいったん「演奏終わったかな」というお客さんのフライングがあって、そこからドドドド~ともうひと盛り上がりあるじゃないですか。
今聴いていると、そのエンディングと同時進行で何やら舞台が動いているような感覚を受けます。
『大悪名』で曲のエンディングの間にセットが変わるシーンが何度かあり、僕はたぶんそれを「王様の牢屋」の荘厳なエンディングに重ねて聴いているのです。
ですからそれは「今まで(『大悪名』観劇以前)は感じていなかった」聴こえ方になっているということ。

このように、物語や曲調は全然違うのに、今の僕にとって「王様の牢屋」は何故かジュリー最後の音楽劇『大悪名』の様々なシーンを思い出しながら聴いてしまうactワルツ・ナンバーとなっています。
『BORIS VIAN』はactの中でも特にワルツ率の高い作品で、CDでは「気狂いワルツ」→「原子爆弾のジャヴァ」→「王様の牢屋」とワルツの曲が続いています。
ワルツって不思議な既視感があって、「何かを思い出す」脳の働きを刺激するリズムなのかなぁと思います。ジュリーが少年時代から心に残る歌として「美しき天然」を挙げているのも、ワルツのリズムに導かれる郷愁なのではないでしょうか。

僕はたまたま今回「王様の牢屋」を聴いて、観劇したばかりの『大悪名』を思い出しているわけですが、先輩方はこの曲を聴くとどんなことを思い出すのでしょう。
やっぱり生で観劇された『BORIS VIAN』でのワンシーン?それとも同年のツアー『単純な永遠』のこと?
いずれにしましても、新規ファンの僕としてはただただ羨ましいばかりです・・・。


それでは次回更新は・・・昨年と同じく、今年の”act月間”締めくくりのお題をジュリーのお誕生日に捧げたいと考えています。
今月から来月頭にかけてはちょっと予定が立て込んでいて(男性タイガース・ファンの先輩であるYOUさんのLIVEに行ったりします)、じっくり下書きする時間も無いのですが、なんとか6月25日の更新を目指し、「これぞジュリー!」という大好きなactオリジナル・ナンバー(加藤さん作詞、cobaさん作曲)を採り上げます。もちろんcobaさんのアコーディオンも大活躍する名曲ですよ~。

それが終わったら次は7月。
デビュー50周年の全国ツアーに向けて、”全然当たらないセットリスト予想”ならぬ”全力で外しにいくセットリスト予想”シリーズに突入の予定です。
今回ばかりは「外す方が難しい」ですからねぇ。でもそれは逆に、「全力で外しにいったのに当たっちゃった!」みたいな結果を実は期待しているわけで、当然ながら「是非聴きたい」曲ばかりを書くということなのです。

最後の音楽劇が大成功で閉幕し、今ジュリーファンは次なる大きな楽しみ・・・全国ツアーのチケット到着・第1弾を心待ちにしているところですよね。
例年のように、まずは8月までの公演のチケットが届けられるのでしょうか。到着は今月末か、来月頭か、もうちょっとギリギリになるのか・・・本当に楽しみです。
あまりに楽しみ過ぎて、早々に8月までの各会場のサイト様へのリンクなどサイドバーに貼ってみましたが、実は「五所川原」だけ座席表のページを見つけられないんですよ。僕の探し方が悪いのかなぁ?

とりあえずジュリー69歳の誕生日まであと数日、今年の拙ブログ”act月間”ラスト1曲の考察に全力でとり組みます。よろしくおつきあいのほどを・・・。

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