2023年12月 3日 (日)

ザ・タイガース 「青い鳥」

from『ヒューマン・ルネッサンス』、1968

Human

1. 光ある世界
2. 生命のカンタータ
3. 730日目の朝
4. 青い鳥
5. 緑の丘
6. リラの祭り
7. 帆のない小舟
8. 朝に別れのほほえみを
9. 忘れかけた子守唄
10. 雨のレクイエム
11. 割れた地球
12. 廃虚の鳩

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(※ このお題曲は2011年にも記事を書いています)

大変、大変長らくのご無沙汰でした。

業績不振が続く勤務先では遂に僕の直部署でも大幅な人員削減リストラがあり、ちょうどピーさんの左門町LIVEが終わった翌日、つまり5月下旬から少人数による新体制に。
以来、怒涛に多忙な日々が続いています。
そしてこの先、今のような状況が「落ち着く」という時はおそらく来ないでしょう。
僕自身は会社には、自分のような者を活躍させて貰えた恩義があると思っていますので、身体が動く限りは全力で恩返しをしてゆくつもりです。

そんなわけで、とにかくブログ更新の時間がありません(と言うかネットを見る余裕がそもそも無い)。
たまに時間はあるのですが、肉体労働の負担が激増したので毎日疲れちゃってるんですよねぇ。
こうしてたまに更新があっても、以前のような長文は書けないと思います。ごめんなさい。

さて、今日この日ばかりは頑張って更新。
12月3日は、あの『ジュリー祭り』参加により僕が本格ジュリー堕ちを果たした記念日で、毎年『ジュリー祭り』セットリストからお題を選んで書くことにしています。

今年はザ・タイガースの「青い鳥」にしました。
『ジュリー祭り』で初体感してから、ザ・タイガース復活までの道程で何度も各地LIVEで聴き、今年のジュリー・さいたまスーパーアリーナ公演でもセットリスト入りした名曲です。
そして実はそのさいたまスーパーアリーナ公演のひと月ほど前、ピーさんの左門町LIVEでも「青い鳥」はセットリスト1曲目に配されていました。
今年は多忙のため左門町LIVEのレポすら書けませんでしたから、この機会に少しその時のことなど併せて少し書いておこうと思います。よろしくお願い申し上げます。

まず、さいたまスーパーアリーナでのタイガースのステージを振り返ってみましょう。
残念ながらトッポさんは不参加でしたが、名だたる著名プレイヤーにも「推し」が多いサリーさんのグルーヴ感溢れるピックベース。七福神(仮)のギタリスト2人にソロを譲ることなく「タイガース・オリジナル」を魅せてくれたタローさんのギター。素晴らしい老虎魂のステージでした。

そんな中もしあの会場に、初めてのタイガース・ステージを観にきてみた、というプレイヤー畑の音楽関係者がいたとして、どのメンバーの演奏に感銘を受けたかと彼等が問われたら、8割は「ドラムス」と答えるでしょうね。
もちろん平石さんの的確なサポートも見逃せませんが、ピーさんの演奏は2011年のいわゆる「老虎ツアー」から2013年の完全再結成時のそれと比べて驚異的に進化しているのですよ(と言うか、齢70代に入ってから音がどんどんデカくなっていくのが実は一番凄いこと)。
稽古量と踏んだ場数は裏切らない、というわけですな。

こと「青い鳥」について言えば、左門町LIVEでピーさんは「ドラム叩き語り」をみっちり稽古し演じた直後です。
さいたまアリーナに向けてのタイガース3人リハで、ジュリー不在の中、ドラムスのみならず「仮ヴォーカル」(バンドのリハでは必要不可欠なことです)までピーさんが買って出た、との話も頷けます。


作曲家としてのタローさんの「青い鳥」のコード進行は、この出世作の時点で既に凄い。
ホ短調のメロディーがサビでロ短調に転調するのですが、スタジオアルディの中村社長に伺ったお話では、当時この進行を「おかしい」と難癖をつけた石頭の批評家がいたそうです。
それまでに無かったパターンを受け入れられない、という時点でその人の音楽的器量は窺い知れますが、まぁ理屈よりもむしろタイガース人気への嫉妬だったのでしょうな。メンバーが作曲なぞ生意気だ、程度のやっかみ&イチャモンでしょう。

タローさんのアイデアで斬新なのは転調繋ぎ目のコード使いです。

小 さな幸福を 僕の手にのせたのに ♪
D7  G    C   B7  D7   G      C       F#7

の「F#7」と

青 い鳥  青 い鳥  行かないで ♪
Bm A  F#7  Bm A  F#7  G    A    B

の「B」。
いずれも、直後の転調先のドミナントとして配していて、調号はこの時点で変わるのです。

一方、タローさんの詞まで含んだ楽曲としての「青い鳥」についての僕の印象は、後追いのファンにありがちなように『ジュリー祭り』から十数年の間にずいぶん変わってきました。
「ほのぼのとした朴訥な良い曲」→「後期タイガースへのバンド志向を象徴するような野心作」と来て、今では、コンセプト・アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』の看板曲というイメージです。

瑞々しい詞曲に、タローさん本人が作曲時点では意識しなかったかもしれないメッセージ性を感じます。
ごく当たり前の小さな幸せを、抗い難い理不尽により失ってしまった人々の哀しみ・・・コロナ禍ひいては現在の世界情勢がそう思わせるのかもしれませんが、それもまたタイガース・マジックでしょうし、こうして色々な解釈ができるのは、やはり名曲!の証です。


ということで、駆け足の更新ですみませんでした。

本当にあっという間に師走がやって来ました。
年内ですが、毎年恒例の「自分で自分の誕生日を祝う」12月20日の更新は今年は無理そうです。

ただ、どうしても今年中に書いておかねばならないお題曲が1曲ありますので、年末ギリギリにはなりますが、冬休みに入ったら書く予定です。今度はザ・タイガースではない方のタイガースのお話をね。

多忙のため、先の東京国際フォーラム公演参加も断念・・・今僕の精神的支えとなっているのは、お正月LIVE『甲辰 静かなる岩』渋谷公演になんとか参加できそうだということ。
年末に書くお題は、そのセットリスト予想の1曲、とも言えましょうか。

それでは年の瀬にまた。

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2023年7月 4日 (火)

沢田研二『「まだまだ一生懸命」ツアーファイナル・バースデーライブ!』(2023.6.25 さいたまスーパーアリーナ)

今日7月4日は、生前とても仲良くさせて頂いていたタイガースファン(&ジュリーファン)の先輩、真樹さんのご命日です。

毎年この日はタイガースの曲をお題に更新して真樹さんに捧げていますが、今年は特別。
そう、去る6月25日、見事満員御礼の大成功となった、『まだまだ一生懸命』ツアー・ファイナルにしてジュリー75歳のメモリアルLIVE・さいたまスーパーアリーナ公演のレポをこの日に合わせてupします!

あの年から5年です(ジュリーはMCで「あの時は72、3(歳)だったのかな」と言ってましたが実際は70歳。柴山さんとのギター1本体制がスタートした年でしたね)。
真樹さんはちょうどその年『OLD GUYS ROCK』ツアーの初日武道館公演直前に旅立たれていて、僕が「あれから5年」と数える時、ジュリーのさいたまアリーナのことと真樹さんのこと・・・2つの意味を噛み締めることになるのです。


さて当日。
僕は音楽仲間3人を誘い男性4人での参加。仲間はいずれも同世代です。
拙ブログではお馴染みのYOKO君、この数年ですっかりジュリーLIVE常連となった佐藤哲也君、さらにジュリーLIVEは『OLD GUYS ROCK』ファイナル3daysの中日以来2度目の参加となった中町チカラさん。

中町さんが昭和40年生まれ、佐藤君と僕が41年、YOKO君が42年。
ザ・タイガースを知らず、ソロのジュリーについては「勝手にしやがれ」が小学生だった、という世代ですね。

ですからタイガース・ナンバーは新鮮に聴き、ジュリー黄金期のヒット曲は自らの原風景と重ねながらこの日のステージを楽しみました。
ヒット曲以外のジュリー・ナンバーをまだあまり知らない中町さんにとっては、これほどヒット曲を連発するセトリは初めてでとても盛り上がってくれていたので、「誘ってよかった」とこちらも嬉しく思いました。

YOKO君は『まだまだ一生懸命』ツアーがこのファイナル初参加でしたが、ツアーのセトリは早々に教えていて、その後おもに依知川さんのSNSで各会場の様子は追いかけていたようです。
依知川さんが使用しているベースについて事前に調べてきて、
「赤のプレベは『トライブギター』ってスイスのブランド。ジャズベの方(今回使用)はよく分からないけど、フェンダーのを赤で塗装してリフィニッシュしたんじゃないか」
などと逆に僕に情報量でマウントとってきたり(笑)。

で、僕らのお席ですが、発券の結果アリーナB1ブロック14列目5~8番となりました。
男4人で並ぶので、スタンディングの際後ろの女性のお客さんにご迷惑をかけないだろうか、というのが懸案でしたが席に着いてみるとB1の最後方で後ろのC1ブロックとの間に充分なスペースがあり、ひと安心。
しかもちょうど僕が座った5番の左に1~4番の席は無く、テレビカメラのスペースだったんです。
生放送の映像で左側からステージ方向にアリーナ前方客席を映すシーン、あれは僕の真横の若いカメラマンさんが捉えた映像。
つまり僕らはギリ映っていないのですな~。


さぁ、それでは!
純粋な『灼熱ライヴレポート』カテゴリーでの更新は本当に久々です。早速まいりましょう!

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1曲目「シーサイド・バウンド


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客席の照明が消えた瞬間は、ものすごい拍手でした。
なんと開演からジュリーと七福神(仮)に加えてピーさん、タローさん、サリーさんも揃って入場。これは予想してなかった!
まず通常のバンドでひと通り演奏してから「ゲスト・コーナー」へ、と思っていたのです。ほとんどのお客さんがそう予想していたんじゃないかな。

ジュリーの衣装は虎の着ぐるみです。
動物好きの方々は賛同してくれると思いますが・・・今回の衣装は尻尾のデザインが素晴らしくキュート。

そして「シーサイド・バンド」のあのイントロですよ。これは盛り上がらない筈がない!

YOKO君も同じことを言っていたけど、いつものLIVEだったら僕らは各楽器パートに目移りしながら必死で「今どんなふうに弾いた」みたいなチェックをするのに忙しく、現地にいながらにしてある意味勿体無い聴き方をしてしまうんです。
でも今回は「生中継」を録画していますから(生というのが大きなポイント。後から編集し手を入れることの無い、現場そのままの映像と音がいつでも復習できるというね)。余計なことは考えず、ただただ素直に感じるまま、自然に目にしたままを楽しめる・・・本当に幸せ過ぎる豪華なステージは、この名曲で幕を開けました。

そうそう、間奏でジュリー以外の誰かがひっきりなしに絶叫しているなぁ、と思って聴いていて、映像見直したらピーさんだったんですね。
思えば、老虎ツアーの時にそこは学んでいたんだっけ。すっかり忘れていました。


2曲目「モナリザの微笑

Tigersred

タローさんのハーモニカから。
僕は今回、どの曲もなるべくステージを観るようにしていましたが、「次は何?」というイントロの瞬間はヴィジョン見ちゃうんですよ。この曲のイントロは、ハーモニカを吹くするタローさんがバッチリ抜かれてました。

以前自分で弾き語ってみた時、「Bmは高いなぁ」と感じていた曲。
この日の演奏がオリジナル・キーであったことは映像で確認しましたが、ジュリーのヴォーカル、余裕ですね。
1音下げてイ短調にすれば歌のみならずタローさんのハーモニカ演奏もかなり楽になるんですけど、そこはザ・タイガースのプライドでしょうし、血肉となってもいるのでしょう。


3曲目「落葉の物語

Tigersred

MCを挟んでの3曲目。
タイガース・ファンの先輩方の人気が高い1曲であることを、新規ファンだった僕が『歌門来福』ツアー(2010年)でしみじみ実感させられた名曲です。
当然この日のさいたまアリーナも、会場の雰囲気は「モナリザの微笑」よりもさらにしっとりと、それでいて楽しげな空間に変わります。

サビ最後の「Ah~、Ah~♪」をジュリーが下で歌っていたのが印象に残りました。
「モナリザ~」とともに、ピーさんのスネアが3拍目裏で入る箇所がカッコ良いです。


4曲目「銀河のロマンス

Tigersred

そしてこちらは、先輩方の圧倒的な人気と思い入れの深さをあの『ジュリー祭り』で学んだ名曲(『ジュリー祭り』セットリストでは、この曲が最初のタイガース・ナンバー)。
僕にとっても先輩方とはまた違った感覚での「懐かしさ」を持つ特別な1曲です。

同じヘ長調の「落葉の物語」との繋がりも自然(いずれもオリジナル・キーです)。

留守番組のカミさんは自宅で生中継を観ていて、僕は帰宅してからまず「タイガースの後の休憩の時ってテレビどうなってたの?」と聞くと、「7月の『ジュリー祭り』放映決定の告知映像が流れてた」とのこと。
その放映が先日2日にありましたね。改めて「銀河のロマンス」を観ると、今回の演奏とはずいぶん違うところもあり。変わらないジュリーの眼差しもあり。
ちなみに『ジュリー祭り』の柴山さんが今の僕と同い年です。時が経つのは早い!

5曲目「花の首飾り

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ジュリーの「よろしければ、みなさま一緒に歌ってください」で、ファンには次がこの曲と分かった筈です。
トッポさんがゲスト参加できない見込み、というのはファイナルに向けてジュリーが全国ツアーで話してくれていたことで、「最後の最後まで参加のお願いはするけれど、かつみが来れなかった時はみんなで「花の首飾り」を歌ってください」と。

当日やはりトッポさんは不参加でタイガースのオリジナル・メンバーが揃わなかったのは残念でしたが、ヴィジョンには歌詞も流れ、会場でお客さんが一緒に歌っているその場を体感しますと、LIVEにの「声出し」というコロナ禍以前は当たり前のように考えていたことが突然できなくなった長い日々を振り返り「やっとここまで来た」と嬉しく思えました。

キーは1音下げのト短調。それでもイントロのアルペジオ一瞬でそれと分かる・・・やはり偉大な曲です。
「銀河のロマンス」と繋げてきたセトリ順に、ジュリーの何か秘めた思いはあったのでしょうか。
「A面、B面の順番な!」とか(笑)。

6曲目「青い鳥

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「花の首飾り」とこの曲の間に長い長いMC(と言うかタイガース漫談)があり、仕切り直し的に始まったイントロ、リード・ギターを弾くタローさんには普段以上の緊張があったでしょう。

後のジュリー・ソロ・コーナーと比較して明らかなのは、七福神(仮)のバンドメンバーがタイガース・コーナーでは強く意識して一歩退いた演奏をしていたこと。
音響の欲を言えば、サリーさんのベースをもっと上げて欲しかったなぁ。

ちなみに「青い鳥」は、5月に開催された『PEEが奏でる「左門町LIVE2023」』セットリストのオープニングでもありました。
この曲はもちろんのこと、ピーさんは多くのタイガース・ナンバーで「ドラムを叩きながら歌う」スタイルを今はすっかり会得していますから、この日に向けてのゲスト3人でのスタジオ・リハーサルではヴォーカルも買って出たようですね。

7曲目「君だけに愛を

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ここまでの有名曲連発、ならば満を持してこの曲が続くのは必然のセトリでしょう。
サリーさんの熱演が身体の動きだけで分かります。
「若い時にずっと沢田の近くにいたから、俳優業をやっていても、どんな光も眩しくない」というサリーさんの名言を象徴するビッグ・ヒットですよね。

ジュリーの「指差し」は会場隅々までまんべんなく届けられたようです。
アリーナから見上げると、本当に圧巻のフルハウスでしたから。嬉しそうにタイガース・ナンバーを歌うジュリーを実感できたのは、ファンとして何よりの歓びです。


この曲でタイガース・コーナーがいったん終了。
ジュリーの虎の咆哮を合図にメンバーが退場し、20分間の休憩となりました。

この間の場内BGMのコンセプトは明快でした。
ジュリーが「できればこの日一緒にステージに立ちたかった」と考える3人の先輩であり仲間に対してのリスペクト・・・3人とは、ショーケン、堯之さん、大野さんです。

きっとショーケンと堯之さんは天国の特等席から、大野さんは自宅のテレビでゆっくりと、このステージをご覧になっていたでしょう。


8曲目「そのキスが欲しい

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ストライプのスーツに着替えたジュリーが七福神(仮)とともに再びステージへ。

ジュリーのソロ・コーナーのセトリがどうなるのか、というのはファンも色々と妄想したでしょうが、個人的には『まだまだ一生懸命』ツアーの半分くらいを選んで、あと2曲くらい追加する感じかなと予想していました。
しかしいきなり全国ツアーでは唄っていなかった「そのキスが欲しい」ですよ!
一番最初の「シーサイド・バウンド」にも比する、或いはそれ以上の客席のうねりを感じました。

間奏のソロは1回目が高見さんで2回目が柴山さん。
オリジナルとは全然違うフレーズでグワングワンと弾く高見さんと、安定の立ち姿で流麗に「いつもの感じ」を押してくる柴山さんの対比、面白いです。

9曲目「”おまえにチェック・イン”

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さらに畳み掛けるように続く、全国ツアーでは歌われていなかったナンバーです。
タイガースのメンバーをゲストに迎えたコーナーだけでなく、このスペシャルなセトリ。
曲ごとに増してゆくお客さんの高揚感に、僕はやっぱり『ジュリー祭り』を思い出しますねぇ。

後の「ROCK'N ROLL MARCH」は確実にそうと言えますが、この曲も近年のLIVEヴァージョンと比べてエンディング長めじゃないかったですか?勘違いかなぁ。

10曲目「サムライ

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これまた全国ツアーでは歌われていなかったヒット曲!ということで、いやぁジュリー、怒涛の攻め。

これは七福神(仮)の演奏も素晴らしいですねぇ。
柴山さんの安定感はどの曲をとっても当然ですが、他メンバーの見せ場が目立つ1曲。
依知川さんの「サムライ」のベースは、ほんの数コンマ何秒でしょうが、小節頭に「溜め」があるんです。それが平石さんのドラムスと良く合うという。
華麗なピアノはもちろん斎藤さん。その斎藤さんの間奏ソロに突如「キュイ~ン♪」とアドリブ・フレーズを入れてくるのが高見さんです。
このシーンはカメラも抜いていましたから、みなさま是非録画で観返してみて!

11曲目「ダーリング

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録画映像を観て驚いたのが、これオリジナル・キーなんですよ。
ジュリーが「勝手にしやがれ」「時の過ぎゆくままに」あたりをずっと原キーで歌っていることは把握していたけど、少なくとも今回「サムライ」や「ダーリング」「TOKIO」・・・ほとんどの曲でキーを下げていないんです。
特に「ダーリング」は高音部をうろつくメロディーで、そのぶんジュリーも絞り出すようなニュアンスにはなるのですが、やはり改めて説得力が違う!と。

先日の特番でサリーさんが「沢田が一番輝いていたのはソロになってから」と語っていました。
70年代後半のジュリーを指していたと思います。この「サムライ」から続くセトリ数曲は、その頃のジュリーが甦るような選曲だと、サリーさんは控室のモニターでステージを観ていたのではないでしょうか。

演奏面では、ツイン・リードがカッコ良かったです。このアレンジは鉄人バンド期には無かったですね。

12曲目「勝手にしやがれ

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ここから、基本的には全国ツアーのセトリ順を踏襲した流れになっていきます。
改めて「完全無欠のジュリー」としか言いようがない、髄までジュリー!な名曲。

お留守番組でテレビの生放送で観ていらした方々は悔しいでしょうが(カミさんもそう笑)、さいたまスーパーアリーナ・フルハウスというのは言葉にできないほどの絶景で、僕は「勝手にしやがれ」の壁塗りの際2度ほど後方を振り返ってスタンド席までぎっしりの客席の盛り上がりを確認。
素晴らしい眺めでした。
また、アリーナにいてこんなことを書くと怒られるのを覚悟で・・・300、400レベルのスタンドから観ていらした方は「勝手にしやがれ」での会場の光景がどんな感じに見えたのか、知りたいなぁ。

13曲目「時の過ぎゆくままに

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先日のTBS特番で久しぶりにじっくりとTVスタジオ・ヴァージョンの「時の過ぎゆくままに」を観ることができましたが、やっぱり堯之さんの弾くリフは柴山さんとは違うのですね。
堯之さんの方は、2拍目に32分音符のニュアンスが入ります。
ただ、『いくつかの場面』(シングル・レコードも同テイク)での井上バンドのレコーディング演奏時点のリフを忠実に再現しているのは柴山さんの方なんです。
70年代、井上バンド時代のLIVEに参加できていない後追いファンの僕としては、心地よく聴けるのは柴山さんの演奏だなぁと。

僕は「時の過ぎゆくままに」って、LIVEにおいてバックバンドの主張が無ければ無いほど良いと思うんです。
ひたすらジュリーのヴォーカルに惹き込まれたい名曲。だから鉄人バンド期に下山さんが余計な単音の無いアコギ・ストロークに徹していたあのアレンジが好きでした。
七福神(仮)の演奏解釈はそのイメージに近いと思います。他のどの曲でも「おおっ?」という存在感で切り込んでくる高見さんが、ここではまったく目立ちませんから。
それが楽曲の魅力を引き立てるのかな、と。

ちなみにこのことは、冒頭のタイガース・コーナー7曲についても同じことが言えます。
僕らがひたすらザ・タイガースに浸れるためには、たとえ多少のミスがあったとしても「青い鳥」や「銀河のロマンス」「君だけに愛を」は柴山さんでも高見さんでもなくタローさんのリード・ギターが良かった、これがベスト。と、ここで重ねて書いておきたいです。

14曲目「危険なふたり

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さすがにこれは半音下げの変ホ長調でした。
それでも高い「ソ」の音とか出てきますから。僕にこのキーでこの曲歌えと言われたら、若い頃ならともかく今はとても無理ですな~。
それを75歳(ジュリーのヴォーカルについて年齢を引き合いに出すのは野暮でしかありませんが)で問題なく歌うのですから凄い。

「年上のひと、美し過ぎる♪」の指さしを、おもに高いスタンドのお客さんに向けてサービスするジュリー。
最後のAメロ・リフレインで一瞬歌詞を間違えてもすぐさま正解に戻るあたり(「何気なさそうに」→「恋という名の」って、文脈的にも難易度高い戻し方ですよね)、生まれ持っての優れた反射神経はまだまだ健在です。

15曲目「6番目のユ・ウ・ウ・ツ

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これがまたジュリー攻めの選曲。ここでまた、全国ツアーで歌われていなかったヒット曲を挟んできました。
盛り上がるなという方が無理!
もちろんこれまで何度もLIVE
体感できている有名曲ではありますが、それでもさいたまスーパーアリーナでの「特別感」増し増しの選曲でした。

楽曲的には何と言ってもサビ前のBメロが凄い。同じ「A」のコードが配置によって全然違う和音に聴こえるという、西平さんの神作曲なのです。
普段から音楽仲間の評価も特に高い1曲で、YOKO君は相変わらずこの曲のLIVEではラストの「ハイ!」を合わせずにはいられないみたい。

16曲目「TOKIO

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なんと懐かしいイントロ・インパクトよ・・・ここまでのツアーでは昨年のシングル・カップリング「TOKIO 2022」のヴァージョンだったのが、ジュリーはこのファイナル・さいたまアリーナでオリジナル・アレンジを復活させてくれました。

これをして「コロナ脱却!」とするのは油断大敵なのでしょうけど(実際、先週職場の同僚が感染したばかり。今また流行っているみたいです)、やっぱりジュリーファンにはこの数年苦しんできたコロナ禍からの開放を感じさせる真正「TOKIO」でしたよね。
ツアー初日を共にした佐藤君も、今回の正規ヴァージョンを初体感(!)して改めて「やっぱりTOKIOはこっちだよな」と、喜んで腕を振り上げていました。

17曲目「LUCKY/一生懸命

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ここでよくよく考えたら、僕はコロナ禍以来「スタンディング&声出しOK」のジュリーLIVEは初なのだと。
ツアー途中で解禁されたとの情報は得ていたので「さいたまアリーナでも是非!」と祈りながらこの日を楽しみにしていたんだっけ・・・。
オープニングからの興奮で、そんなことすらここまで僕の頭から吹き飛んでいました。

「Ohイーヤーエー、SoイーヤーOh♪」のサビをジュリー達と一緒にコーラスしているお客さんは結構見かけましたし、僕自身が当然その1人で。
「会いたい気持ち」も「会えない想い」も乗り越えた「ジー(J)」と「バー」の歌なのだ、と・・・男性にして後追いファンの僕は、ちょっとした心地よいジェラシーも感じながら感慨に浸りました。

こうなったら「Help!Help!Help!Help!」がこの先「声出し可」でセトリ入りするツアーがあることを期待したいです。
そう、「まだまだ一生懸命」の「まだまだ」には「これからも」という意味もあるんですよね。

18曲目「ROCK'N ROLL MARCH

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いよいよ佳境、という感じで平石さんのドラムが始まった時、もちろんこの曲だとすぐに分かると同時に「あぁ、これでソロ部の本編はラストなんだな」と僕は考えてしまいました。
そういう雰囲気じゃなかったですか?・・・僕だけかなぁ。

渾身のヴォーカルと腕突き上げ、広いステージを何度も左右に駆けるジュリー。
僕としては、アントニオ猪木さんが亡くなられてから初めての生体感となる「ROCK'N ROLL MARCH」ということで、「せいぜいカッコつけて♪」の「カッコ」のところから「1、2、3!」と心の中でカウントして(笑)、思いっきり「DA~!」とやりました。爽快でした。

エンディングが通常ヴァージョンより長めで、それも含めて僕は「本編を締めくくるにふさわしいアレンジ、楽曲」だと勝手に決めてかかっていたわけですが・・・あれっ、ジュリー達まだ退場しないぞ?

19曲目「時計/夏がいく

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ここでこれ!
いやぁジュリーはやっぱりこうでなければ。

さて、全国ツアーからの今セトリの中で何故かBARAKAの3人が特に楽しそうに演奏するのがこの曲です。
まず、平石さんのズシンズシン系ドラムスがとても合うんですよね。ルーズな雰囲気が魅力の名曲なので、グルーブは後ノリが良いのでしょう。

長年ジュリーLIVEにご参加の先輩方は、GRACE姉さんやポンタさんと比べて、平石さんのドラムには視覚的に特徴があると気づかているかもしれません。セッティングの位置が通常より低いのです。
今回は隣にピーさんのドラムセットがありますから、その高低差は歴然。

平石さんのこのセッティングは、ボンゾ・スタイルなのですな(ジョン・ボーナム=レッド・ツェッペリン)。
『時計/夏がいく』での平石さんのドラムには、ツェッペリンの「HOUSE OF THE HOLLY」(アルバム『フィジカル・グラフィティ』収録)のような素晴らしさがあると思いました。

依知川さんと高見さんが顔を見合わせてニコッとするシーンもありましたし、高見さんは「ダーリング」「勝手にしやがれ」でも採用している「ストリングス・パートとのユニゾン」をここでも披露してくれます。

20曲目「君をいま抱かせてくれ

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なるほど、全国ツアーを踏襲した流れです。
この曲も平石さんのドラムスがカッコ良いですが、斎藤さんのピアノがまた素晴らしい!

隣の佐藤君、ノリノリでジュリーの”おいっちに体操”についていきます。

21曲目「愛まで待てない

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もう何も言うことはない・・・ただただ盛り上がりまくるジュリーと客席。

『ジュリー祭り』の年、ジュリーは成功祈願でお酒を断ってたって話を後から知ったんだっけ。
今年ずっと髪を伸ばしていたのは、同じようにさいたまアリーナ成功祈願の願掛けだったのかな。

歌メロ直前、高見さんと差向いになった瞬間にヘアゴムを外したジュリー。
「愛まで待てない」のような高速ビートには、やはりロン毛振り乱し放題のヘドバンが似合いますね。

22曲目「いつか君は

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そして、いい感じに乱れたままの長髪で歌うバラード、これが本編のラストでした。
この大きな舞台に向けての期間の中であんな素敵な主役を張った映画が公開されたのって、ジュリーつくづく「持って」ますよね。
映画きっかけでチケット買った一般のお客さんもきっといらしたでしょうし。

実は僕は、セトリがこの流れなら「約束の地」まで歌うだろうと考えて待っていたんです。
でもジュリーは全国ツアーではアンコール配置だった「いつか君は」(映画公開後に「頑張んべぇよ」と差し替えられたのでしたね)をここに持ってきました。
ジュリー道の師匠が、「約束の地」をジュリーがセトリから外したことについて後日曰く
「あの(会場の)光景を見れば、約束が果たされたことはもう明らかだもの」
と。
なるほどそう考えるのがジュリーファンの在り方か・・・まったく仰る通りです!

柴山さんがゴールドトップに持ち替える際、シールドのトラブルでもあったのでしょうか、イントロ最初の4小節を弾くことができませんでした。
ただ、たとえフレーズ途中からでも正しく泰然と演奏に戻ってくる、これがプロなんですねぇ。

これで本編が終了。この時点でもう、予想よりもたくさんの曲を歌ってくれて嬉しかった!


(MC前)
「河内音頭」

セトリ番号は振りませんが、重要な1曲です。
長半被の衣装に着替えて再登場のジュリー、いつものようにMCが始まるのかと思いきや、ここで嬉しい「河内音頭」のアカペラ歌唱がありました。

そして音楽劇のメンバー(GRACE姉さんも)ステージに登場。「LUCKY/一生懸命」レコーディング・ヴァージョンのコーラス隊が勢揃いした感じでしょうか。
この日はすわさん&山崎さんの合いの手が、親分の歌う「河内音頭」を盛り上げてくれます。

何よりここでジュリーが歌詞を変えて歌ったメッセージ・・・「自分は100歳まで歌う気でいるから、みんなも長生きして」と。
嬉しい・・・ただ、僕はたぶん無理かなぁ。
ジュリー100歳なら僕は82歳。ちょっと想像がつかないしそこまで生きている自信は無いです。

でも逆に考えれば、僕が生きてる間はまだジュリーが元気に歌う姿を観られるということ。
100歳ジュリーの方は大丈夫、実現します。世間が「まさか」と思うことをジュリーは再びやり遂げるでしょう。

次の「約束の地」はどのステージなのでしょうか。
1人でも多くのファンがその場に立ち合えることを願っています。


~アンコール~

23曲目「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」

201112

ピーさん、タローさん、サリーさんのタイガース・メンバーも再登場です。

僕は左門町LIVEのお手伝い期間にピーさんから、さいたまアリーナでピーさん達が参加する演目候補について伺っていましたから(タイトルを連呼し始めた時には焦って「それ以上言わないでください!」とお願いしてしまった笑)、冒頭のタイガース・コーナーが終わっても「まだまだザ・タイガースの曲がある」とは分かっていました。
「でも、どの曲だ?」と。

始まってしまえば納得、お馴染みの洋楽カバー攻勢がアンコールに配されるわけですね。

「タイム」とつく洋楽は星の数ほどあって、その多くが「時代」のニュアンス。でもジュリーが歌う「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」の「タイム」には同時に「瞬間」の意味をも併せて含む気がします。
あの2018年さいたまアリーナの件を考えてみてもそう。逆境の瞬間を「味方(マイ・サイド)」とする才覚あらばこそ、今があり今年のこの公演が実現しました。
タイガースのメンバー、音楽劇のメンバーが僕ら「ジュリーの味方」代表としてこの日のステージに立ってくれたのかな、という思いもあります。

それにしても、「タ~~~イム♪」とジャンプしながら歌うジュリーは、75歳となった今も、どうしてこうもカッコ良いのか(「タイム♪」の前の「I said」が「アッチャ~」みたいに聴こえたり、「Yas, it is」の「t」を律儀に発音するジュリーらしい歌い方が好き!)。

僕は高校生でストーンズを聴き始めて、「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」についてはリアタイで購入した『スティル・ライフ』のLIVEヴァージョンの方をレコーディング・ヴァージョンより先に知ったクチ。
だからこの曲のストーンズならではの「LIVE感」には強い思い入れもあります。

それでも、ジュリーが歌う「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」こそが最高だ、と思っています。
この曲を知ってから40年目の再確認!

24曲目「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」

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おぉ、これか!と。
サリーさんとピーさんの見せ場がありますし、タイガースの洋楽カバーの中でも特にファンの支持が高い1曲かもしれませんね。

僕にとっては、ストーンズやビートルズの曲とは違って「タイガースの演奏から遡ってオリジナルの方を知った」曲でもあります。

この日一緒にいた音楽仲間3人とも、デイヴ・クラーク・ファイヴを知らなかったという事実が判明。「今のはビーチ・ボーイズ?」とか言ってました。
考えてみたら、『ジュリー祭り』以降かなりの本数ジュリーLIVEを観ているYOKO君も、老虎ツアーそしてザ・タイガース再結成のステージには参加していないんです。
改めて「今度原曲も聴かせてやる」と約束。

老虎ツアーの時は歌詞と連動した両手の細かなアクションを魅せてくれていたジュリーですが、今回はスタンドマイクにグイッとかぶりつくようにして伸びやかな発声に専念。これがまたカッコ良かったです。

25曲目「サティスファクション」

201112

残すはこの曲だろう、と予想はできましたけど、やっぱり盛り上がる!
ジュリー道の師匠もLINEで「長半被でサティスファクションだもの、無敵よ!」と大興奮のパフォーマンス。
エンディングにミスもありましたが、なんのなんのカッコ良かった。

演奏が終わると同時に「パ~ン!」と破裂音がして、大会場お馴染みの「ヒラヒラ」が降ってきたので「これで全セトリ終了」か、と誰もが思ったでしょう。
ところが!

26曲目「ラヴ・ラヴ・ラヴ

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ラストにこれを持ってきましたか~!

「段取りの達人」であった真樹さんは、2018年のご自身のお葬式のBGMとしてタイガース・ナンバー数曲を用意されていて、僕も現場にいてそれらの名曲群を聴きながら泣いていたのだけど、そこで「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は流れませんでした。
「悲しいお別れみたいになっちゃうから」と、真樹さんは敢えてこれを選曲から外されたのだ、と後で娘さんから聞きました。

「ラヴ・ラヴ・ラヴ」は、悲しい別れの歌・・・リアルタイムのタイガース・ファンにしか分からない特別な気持ちであり、それがまた名曲の証しでもあると思うけれど・・・。

でもね、もう「ラヴ・ラヴ・ラヴ」って、今はもうそういう曲ではなくなったのでは?と、僕は後追いファンなりに色々と考えてしまいます。
毎年の左門町LIVEで、リハーサルの段階からピーさんがこの曲をニコニコしながら歌っているのを近くで見ていることもあるし、さいたまアリーナのジュリーも本当に楽しそうでしたし。
「L」の字を繰り出すステージと客席双方に絶対の信頼感があるような・・・もしかしたら『ジュリー祭り』の時既にそう感じられたのかもしれないけど、当時の僕はザ・タイガースについてあまりにも無知でした。


素敵な感動のオーラス。
もちろん名残惜しさはありながらも、お客さん皆大満足の拍手をステージに送ったと思います。

最後ジュリーが退場間際に自身の胸をトントン、ってやりましたよね?
あれ、一般的には、特に若い頃に男子が男友達とやる仕草で。例えば高校生だと、クラスマッチに優勝した時とか、文化祭のステージがとてもうまくいった時とか、とにかく力を合わせて結果を出した時「おい、やったな!」みたいな感じで交わし合うポーズです。
自分の胸をトントンした後、そのままその拳で相手の胸をコツンと小突くまでがワンセット。
ジュリーはそこまでエアでやってくれたのかな・・・そこは見逃しましたけど。

とにかくあの瞬間、会場に駆けつけたジュリーファン全員が「ジュリー、やったね!」と思っていたのは間違いないですから、ジュリーのあの仕草はジュリーからのファンへの感謝・・・「ありがとう、やったで!」の意味、と僕は受け取りました。


終演後、僕らは電車で移動し、コロナ前は年に1度は仲間で集まっていた赤羽のいきつけのお店で、ラストオーダーまで久々の酒宴。

不思議とLIVEの感想自体はあまり話題にならなかったんです。
じゃあ何をそんなにひっきりなしに喋っていたかというと、自分たちの今後の音楽活動、創作活動の展望をあれやこれやと。
これは逆にこの日のステージが超絶に素晴らしかったことの裏返しで、アマチュアとは言え音楽をやる僕ら全員、さいたまアリーナのジュリーの凄さから刺激を受けまくっていたのですよ。
僕以外の3人はヴォーカルも得意にしていますから、ジュリーの熱唱にはガツン!と来たことでしょう。

自らの足元を見つめ直して、あれをしたい、これをしたい、オマエはどうだ、これから一緒に何やろう?
・・・と、次から次へとアイデアを語り合う、そうせずにはいられない状態。
今もその感覚は残っています。

実はこの状態って、『ジュリー祭り』直後とよく似ていて。
僕はあの時、突然部屋の大掃除を始めたりしまして(笑)、人生変えなきゃ、くらいの刺激を貰いました。

今回のさいたまアリーナ公演もきっと、多くのお客さんの人生のターニング・ポイントとなる・・・そのくらいの素晴らしさであり、ジュリーの矜持を見せ付けられたステージでもあり、本当に大成功だったのではないでしょうか。
もう「リベンジ」とかそういう次元では無い気がします。

5年前はあれほどニュースになったのに、それに比べたら今回は公演が終わった直後も世間は静かなものでしたが、それはそれで良いんじゃないかな。
たまに「分かってないな~」という類のニュースにも、何故か余裕の気持ちでいられます。

僕はこれからまだまだ慌しい日々が続きますが、とてつもなく大きなエネルギーを得ました。
仕事も趣味も、何でも来い!みたいなやる気に満ちていますよ(笑)。

この日の光景、気持ちは忘れません。
ありがとうジュリー!やっぱりジュリーには大きな箱が似合います!

ジュリーから授かったエネルギーで、ブログ更新ももう少し頑張らないとなぁ(汗)。

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2023年6月25日 (日)

行ってまいります!

ブログに頂いておりますコメントへのお返事が遅れています。ごめんなさい。
僕自身、まさか還暦を間近に控えたこの歳になって、人生史上2番目の仕事の繁忙期がやってくるとは思ってもいませんでした。

勤務先ではこの4月に大幅な整理解雇が実施され、全盛期にあれだけいた社員数も気づけば20数人に。
当然、残った人員の負担は倍増というわけです。
業種的に斜陽分野であることに加え、今年に入ってからの細々とした経費の急騰は目を覆うばかりです。
紙とかメチャクチャ値上がってます。

でもね。
忙しい、というのは考えようによっては良いもので、あっという間に6月25日がやってきました。
元旦の記事で書いた、「さいたまスーパーアリーナを満員にする!」という今年の目標(僕個人ではなく、すべてのジュリーファンの目標であったでしょう)は見事達成の様相で、あとは実際にその光景を目にするのみです。

僕は、音楽仲間4人で参加します。
また微力ながら1年がかりの地道な声掛けで、把握している限り5人の知人・友人がチケットを買っており、参加してくれるはずです。

今日この日を楽しみに、ここまで頑張ってきました。
明日からは、今日ジュリーからたくさん貰えるであろうエネルギーで頑張っていけます。

最後に。
ジュリー、75歳のお誕生日あめでとうございます!

Julie24

↑ 毎年恒例、「ありがとう」と言ってそうな若ジュリーのショット。
 今年は『グループ・サウンドのすべて』から。



遠方よりお越しのみなさま、どうぞ道中お気をつけて。熱中症にもご注意ください。
今日はともに盛り上がってまいりましょう!

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2023年4月20日 (木)

ザ・ワイルドワンズ 「あなたのいる空」

『All Of My Life~40th Anniversary Best』収録
original released on single、2004

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disc-1
1. 想い出の渚
2. 夕陽と共に
3. ユア・ベイビー
4. あの人
5. 貝殻の夏
6. 青空のある限り
7. 幸せの道
8. あの雲といっしょに
9. 可愛い恋人
10. ジャスト・ワン・モア・タイム
11. トライ・アゲイン
12. 風よつたえて
13. バラの恋人
14. 青い果実
15. 赤い靴のマリア
16. 花のヤング・タウン
17. 小さな倖せ
18. 想い出は心の友
19. 愛するアニタ
20. 美しすぎた夏
21. 夏のアイドル
22. セシリア
23. あの頃
disc-2
1. 白い水平線
2. 涙色のイヤリング
3. Welcome to my boat
4. ロング・ボード Jive
5. 夏が来るたび
6. ワン・モア・ラブ
7. 想い出の渚 ’91
8. 追憶のlove letter
9. 星の恋人たち
10. ハート燃えて 愛になれ
11. 幸せのドアー
12. 黄昏れが海を染めても
13. Yes, We Can Do It
14. あなたのいる空
15. 愛することから始めよう
16. 懐かしきラヴソング
17. 夢をつかもう

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大変ご無沙汰しております。

ここ数年この時期は毎年公私ともに大忙しでございまして、なかなかネットで自分のブログを開く、という時間もありません。
ひとまず5月21日開催『PEEが奏でる「四谷左門町LIVE」 2023』のスタッフ業務を無事終えるまではなかなかブログ更新もままならない状況ですが・・・・

本日4月20日は加瀬さんのご命日。
僕は毎年この日、ザ・ワイルドワンズの楽曲お題で記事を書くと決めています。今日は書かなければ。

ただ、時間も無く楽曲考察まではできませんでした。
今日は2000年代ワイルドワンズのシングル「あなたのいる空」をお題に借りまして、簡単な旅日記の更新にて失礼いたします。

何故この曲を選んだか・・・。
実は僕は去る15日から2日間、母親の23回忌法要のため故郷・鹿児島県霧島市に帰省していたのです。

「あなたのいる空」は、文字通り空に旅立った大切な人を偲ぶ歌(作詞は佐藤純子さん、作曲は当然加瀬さん)。別れからのかなり長い年月を思わせる内容です。

ありがとう あんなにも
   F    G           C    Am

手を  振ってくれて
   Dm7    G7        C

ありがとう あんなにも
   F    G           E7   Am

僕に 愛をくれて ♪
   F     G7      C

東京に戻ってきてから改めて聴いて、法要を終えたばかりのタイミングでもあり涙が出てしまいましたが、鳥塚さんのリード・ヴォーカルによるワンズらしい温かいナンバーで、悲しみよりもむしろこれから先の自分の人生を改めて見つめ直すというメッセージ・ソング。
普遍性の高い名曲だと思います。

それでは旅日記を駆け足で。



鹿児島県霧島市隼人町にある実家への帰省は、コロナのこともあって前回の母親の17回忌法要以来6年ぶりでした。

その6年の間に、飛行機の載り方がガラリと変わっていてまずビックリ。
ネット予約した段階では「何が何やら」と心配でしたが、ANAのアプリをダウンロードしていざ搭乗24時間前からのオンライン・チェックインというのをやってみたら意外と簡単で、空港での面倒な手続きも省かれ、アプリに保存したスマホのバーコードをかざしてスイスイと。

ただこれ、実際やってみるまでは事前の説明とか読んでもチンプンカンプンですから。
「とにかく搭乗バーコードを取得する」のが肝要なのだと今回初めて理解しました。

にしても・・・ANAについては今年4月からチェックインがオンラインのみになったとのことで、1年半前までの僕のようなスマホ持ってない人は、一体どうやって搭乗するのやら。


父親は86歳となった今もまだまだ元気で、薬剤師の仕事も現役。
帰省前はさすがに年齢を考えるともうそろそろヤバイんじゃないかと心配で、突っ込んだ話もしなきゃならんかと兄弟で相談、今回はそれぞれの家族は連れず息子3人のみで帰省したわけですが、杞憂でございました。

ただ、庭のキンモクセイが巨木化してた・・・キンモクセイってこんなに大きくなるのか、と。
車道ではないとは言え枝が道にはみだしていましたから、あれは折を見て手を入れる算段をしなきゃなぁ。

帰省初日は久々に実家で親子4人色々な話をして、夕食は地元では人気の薩摩蕎麦のお店『吹上庵』へ。

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薩摩蕎麦の特徴は、器たっぷりに入っている甘みの強いつゆ。東京のつゆとは全然違います。

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薩摩揚げ。大根おろしも甘めです。


実家は既に父親が不要のものはスッキリ片付けてしまったので布団も余分になく、その後我々兄弟は車で20分ほど移動、全国的にも有名な温泉町・日当山にある『優湯庵』さんに宿泊。
次男の弟が手配、予約してくれていたのは、宿の離れの一軒家(1階が居間と浴場、2階が寝室)を丸ごと使うという贅沢なプランでした。

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『優湯庵』離れ宿。

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裏手を流れるは、我が青春の原風景・天降川。

兄弟3人が同じ部屋に寝泊りするのはそれこそ実家暮らしの時以来で、こんなこともおそらく今回が最後となるのでしょうな~。

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内湯。その奥のドアを開くと・・・

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露天。

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もちろん外からは見えないようになっていますが、完全に「庭にお風呂がある」感覚を堪能できます。


翌日11時より23回忌法要。

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錦織寺(きんしょくじ、浄土真宗)。

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隼人港。遠くにうっすらと桜島が見えます。


法要もつつがなく終わり、空港に戻る途中で昼食。

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日当山の有名店『ラーメン楽天』。

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鹿児島ラーメンの王道、サラサラとんこつ。
『楽天』さんの具はチャーシュー、きくらげ、ネギ、そして写真では隠れていますがもやしと刻みキャベツも結構な量入っていまして、最後にスープと一緒にそれをすくって食べるのが至福の時間です。



というわけで無事帰京し、すぐに慌しい日常に戻っていますが、やはり故郷は良いものです。
しんどい仕事も控えている時に気持ちを切り替えられたのは何よりでした。


例によって次回更新がいつになるかまったく未定なんですけど、僕はおかげさまでこの通り元気にやっています。
もしご心配をおかけしていたとしたら、申し訳ありません。身体の方はいつになく好調ですので。

5月21日の左門町LIVE、そして6月25日のさいたまスーパーアリーナ。
ジュリーファン、タイガースファンのみなさまとの再会を楽しみにしております。
それではまた!

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2023年3月22日 (水)

沢田研二 「衣装」

from『JEWEL JULIE 追憶』、1974

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1. お前は魔法使い
2. 書きかけのメロディー
3. 親父のように
4. ママとドキドキ
5. 四月の雪
6. ジュリアン
7. 衣装
8. ヘイ・デイヴ
9. 悲しい闘い
10. バイ・バイ・バイ
11. 追憶

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1年前の今日、『ジュリー祭り』以来親しくさせて頂いていた長崎在住のジュリーファンの先輩、Nさんが亡くなられました。

Nさんとはコロナ禍からのここ数年お会いできていなくて、今年明けてすぐに長崎の別の先輩が記事にコメントをくださるまで、僕はそのことを知らずにいました。

聞けば、本当に突然の旅立ちだったそうです。
前日21日に体調の異変がありご自身で戸締りもして救急車を呼び入院、緊急手術をされていったんは安定するも夜間に容態が急変し、22日未明に永眠されたと。

そんな経緯を初めて知り呆然と帰宅したその日、旦那様からの丁寧な葉書が自宅に届いていました。何も知らなかった僕は、今年もNさんに年賀状を出してしまっていたのです。
仲良くしてくださったことへの感謝(感謝しなければならないのはこちらの方なのですが)や、さいたまスーパーアリーナ公演を含む今年のツアーをNさんはとても楽しみにされていたことなどがしたためてありました。
そして「妻のことをみなさんそれぞれの思い出の1ページに残して頂けたら幸いです」と結ばれていて、涙が溢れました。

だって、Nさんとの思い出は1ページでは到底足りないのです。

Nさんとは僕らは夫婦で親しくさせて頂いていたので、我が家に泊まって頂いたこともあります。確か、Nさんが『こっちの水苦いぞ』ツアー大宮公演に遠征された時でした。
ちょうどその直前に福岡の先輩が『ヤング』バックナンバーを送ってくださったタイミングで、記事掲載されているジュリーのツアーやトピックをNさんの解説付きで楽しむことができました。
有難いことに我が家を「とても居心地がいい」と仰って、翌朝はカミさんがホットケーキを焼き、お昼は店屋物をとってずっとジュリー話に興じ、夕方まで滞在してくださいました。

Nさんのジュリーについての知識、保管資料は莫大で、例えば今現在も僕の手元にある貴重なスコア『沢田研二/ビッグヒット・コレクション』は、老虎ツアーの福岡→鹿児島2daysをご一緒した際にNさんがわざわざ僕のために持参してくださり、そのままお借りしてしまっているものです。

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他でも、僕が自分で持っていないレコード等の収録曲をお題に記事を書き「ジャケ画像がありません」と付記すると、何もお願いしていないのにup当日中にはお手持ちの資料のジャケ写をメールで送ってくださったり・・・。

今年のさいたまスーパーアリーナ公演では、久しぶりにお会いできるものと思っていました。
本当に残念でなりません。

Nさんから託された資料、ご一緒したLIVEの思い出、伺ったお話の数々は本当に大切な宝物です。
Nさんの一周忌にあたり、改めて心より哀悼の意を捧げます。
長い間ありがとうございました。

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2023年1月19日 (木)

第77回毎日映画コンクール、男優主演賞!

今日は会社の昼休みにコンビニに走りました。
もちろん、こちらスポニチ購入のためです!

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ジュリー、そして映画『土を喰らう十二ヵ月』関係者のみなさまも本当におめでとうございます!

いやぁ嬉しいニュースですな~。
素晴らしいのは、一大イベント・さいたまスーパーアリーナ公演が決まっているその年早々に、こういう形で「改めてその存在が広く世間に届く」ということ。
ここぞという時に運命の女神が味方してくれる、ジュリーの正に「LUCKY/一生懸命」な人生です。

毎朝通勤電車に乗っていると、ラッシュの中で立ったまま器用に折りたたんだスポーツ新聞を読んでいるオッサンを多くみかけます。もちろんスポニチを読んでいる人もいます。
その中で少なくとも僕の年齢のプラスマイナス10歳くらいの間のオッサンならば、確実にジュリーのことは知っている・・・「おっ、あの沢田研二が?」と、普段は読み飛ばしているかもしれない芸能面に、今日はしっかり目を通すはず。
帰宅して奥様にその話をして・・・そんな多くのオッサン達ご夫婦に、なんとかしてさいたまアリーナ公演の情報が届き、「一度行ってみるか」とチケット購入に繋がる流れが生まれることを切に願っています。

思い返してみれば、僕が熱心なファンに遅れること数ヶ月、2008年夏にして『ジュリー祭り』開催の情報を知ったのもスポーツ新聞だったんですよね(その夜YOKO君に電話して東京ドーム参加を即決)。

大事な年の始めにこのおめでたいニュース。
ジュリーって、やっぱり「持ってる」人ですよね!


さて、僕はまたまた忙しくなっています。
まぁ「忙しい」という字は「心を亡くす」と書きますが、今の僕は楽しい忙しさなので、充実しています。

次の更新がいつになるか分からないけど、次回は昨年リリースの吉田Qさん新譜レビューを書くつもりです。

来週から本格的な寒波到来とか・・・みなさま、どうぞお身体ご自愛ください。
今日はジュリーファンとしての喜びのままに、サクッと簡単な更新でした~。

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2023年1月 1日 (日)

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。

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さて2023年の目標ですが・・・今年についてはもう、個人的なことではなくてですね、

ジュリーのツアー・ファーナルさいたまスーパーアリーナ公演を満員にする!

これですよ!
先行の売行きは良いみたいですけど、まだまだこれから一般ピープルも巻き込んでいきたい。
僕だって、『ジュリー祭り』に参加しなければ人生こうはなっていないわけで、今年のさいたまアリーナでもジュリーがそんな人を多く発掘することを願ってやみません。

ともあれ。
2023年もどうぞよろしくお願い申し上げます、

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2022年12月29日 (木)

沢田研二 「コインに任せて」

from『TOKIO』、1979

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1. TOKIO
2. MITSUKO
3. ロンリー・ウルフ
4. KNOCK TURN
5. ミュータント
6. DEAR
7. コインに任せて
8. 捨てぜりふ
9. アムネジア
10. 夢を語れる相手がいれば
11. TOKIO(REPRISE)

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年の瀬はさすがにバタバタしましたが、年内の仕事も昨日を以て無事終了。
冬休み初日、早速の更新です。

2022年最後の記事・・・今日は、去る8月21日に開催された『ゆうちゃん三昧2022』のことを書きます。

拙ブログに度々登場する年長のタイガース・ファンの友人・YOUさんが4年に1度のペースで企画する『ゆうちゃん三昧』は、今回で3度目の開催。
公演サブタイトルに、左門町LIVEをもじって「PEEが奏でない」とあった通り、演奏こそしませんがあのピーさんがトークコーナーのゲストとして参加。会場はおなじみの四谷LOTUSさん、ということで多くのピーファン、タイガースファンも駆けつけたLIVEです。

今回はなんとYOUさん、ジュリーのコピーバンドではアルバム『TOKIO』収録全曲を歌ったのです。
そんなYOUさんのチャレンジ精神溢れる企画にあやかり、この記事は『TOKIO』収録曲である「コインに任せて」をお題に借りることにいたしました。

今夜は陽気に馬鹿騒ぎ ♪
F                       G

ということで、みなさま年の瀬のひととき、よろしくおつき合いください。


①『ゆうちゃん三昧2022』総括

まずは『ゆうちゃん三昧2022』公演全体について、駆け足ですが出演順に振り返ってみましょう。

1.「ゆうちゃんバンド」

『ゆうちゃん三昧』企画では毎回お馴染み、X-JAPANのコピーバンド。僕が観るのは前回の『ゆうちゃん三昧』以来4年ぶりなのかな。

ドラムスの「けん」さんは毎年の左門町LIVEでお世話になっていますし、ヴォーカルの「たけ」さんも昨年の同LIVE出演で顔なじみ・・・なのですが、YOUさん含めてみなさんX-JAPAN仕様にウィッグと化粧で変身していますから、開演前に控室に挨拶にお邪魔した時も誰が誰やら(笑)。
今回ママさんロッカーとしてバンド復帰された紅一点のベースのお姉さんが相変わらず美しくて、彼女だけひと目で「あっ、あの人だ」と分かりました。

意外だったのは、「ゆうちゃんバンド」が1番手の出番だったこと。てっきり大トリだと思っていましたから。
YOUさん曰く
「ジュリーのコピーバンドを出番先にやっちゃうと、ヴォーカルで力を使い果たして(「ゆうちゃんバンド)のギターがうまく弾けなくなるから」
とのことですが、実は他にも理由はあって・・・そこはすぐ後に書きます。

今回は事前にピーさんのゲスト参加が告知されていたのでピーファンのお客さんが多く、ステージと客席での「エ~ックス!」の掛け合いもみなさんおそるおそる、という感じではありましたが、演奏の完成度は過去イチだったと思います。

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客席最後方にいたので、遠目の写真ですが・・・

2.「トークタイム(PEE & YOU)」

左門町LIVEでは恒例、そして思い返せば『ゆうちゃん三昧』第1回でも実現(この時は事前アナウンス無しのサプライズでピーさんが登場)していたピーさんとYOUさんのトークコーナー。
ただ今回は左門町LIVEのような「友情漫才」要素は控え目に、YOUさんは聞き役メインでピーさんの思い出話を引き出す感じでしたね。

ピーさんのお話はタイガース四谷生活時代の回顧に始まり、その後はおもに中井國ニさんとの思い出話。
タイガース晩期のピーさんとしては「(中井さんは)結局会社側の人間だろう」という思いからピリピリした関係であったこと、それから長い年月を経て再会し、昔のことも色々と話をしてわだかまりは完全に払拭されたこと、ピーさんが倒れて帰国入院した際に、中井さんが迎えにきてくれて車椅子を押してくれたこと。そして今度は中井さんが病に倒れた時

「僕の車椅子を押してくれた中井さんを、今度は僕が車椅子で押している・・・不思議な心持ちでした」

僕はタイガースの知識は後追いですが、中井さんの尽力なくしてピーさんの芸能界復帰、さらにはザ・タイガース再結成への道程が開かれなかったことは承知しています。
会場に駆けつけたリアル世代のピーファン、タイガースファンのお客さんは、この日のピーさんのお話にグッと胸を突かれたのではないでしょうか。

3.「刑事魂」(デカダマシイ)

事前にYOUさんからお話を伺っていて、とても楽しみにしていたバンド。
井上堯之バンド・リスペクトを掲げ、さらには曲間に刑事ドラマ風の寸劇を織り込んでくるというマニアックかつユニークなバンドなのです。

拙ブログでは何度も書いているように、僕の音楽的「原風景」は『太陽にほえろ!』サウンドトラックで、40才手前で突然トランペットを始めた時に徹底練習していたのが「行動のテーマ(マカロニ刑事のテーマ)」と「青春のテーマ(ジーパン刑事のテーマ)」。
「刑事魂」は、その2曲ともこの日やってくれました。さすがに格が違います!

「青春のテーマ」はオリジナルではソロがトランペットですが、サックスでも違和感無く素晴らしかったですし、間奏のオルガン・ソロがまた素晴らしい。ギターがこれまた黒子に徹していて素晴らしい、という。

リーダーのベーシストさんは、とにかくサリーさんのベースが好きでこのバンドを結成したのだそうです。
サリーさんばりのオクターブ・フィルも炸裂、感動です。

ちなみに当日大トリ出演、今回YOUさんが結成したジュリーのコピーバンド「てっぺん」は、この「刑事魂」のメンバーがそのままバックを務めます(ギターのみ、今年の左門町LIVEに出演した「おーちゃん」に交代)。
そこで気がつく・・・「刑事魂」のドラマーさんがサウスポーなんですよ。
つまり、「刑事魂」と「てっぺん」はセッティングの都合上続けての出演でなければならなかった、これが先述したバンド演奏順理由のひとつ。
ハイハットが向かって左、フロアタムが右。僕はサウスポーのドラムスを生で観るのは初めてで、とても新鮮でした。カッコ良かったです!

4.「てっぺん」

『ゆうちゃん三昧』では毎回メンバーを変えてジュリーのコピーバンドが結成され、YOUさんがリード・ヴォーカルを務めます。

この企画で「次はアルバム『TOKIO』全曲をやる!」とのアイデアは実は2020年2月には聞いており、採譜も依頼されていました。
第1回左門町LIVEの打ち合わせの席で、ちょうどコロナ禍直前のことです。

僕はその時から「3曲ほど(細部の採譜が)無理っぽい曲があるのですが・・・」とYOUさんにお伝えしておりまして、結局そのうち「MITSUKO」「DEAR」の2曲については本当に不完全な形で採譜提出してしまいました。
それでも見事練り込んでくださった「てっぺん」のメンバーには感謝しかありません。

先述の通り「てっぺん」は「刑事魂」のメンバーがバックで、これは「刑事魂」が井上堯之バンド・リスペクトを掲げている、というのが大きなポイント。
というのは、YOUさんが今回『TOKIO』を採り上げたのは、「井上バンドが関わった最後のジュリー・アルバム」であったからなのです。
僕もジュリーファンの先輩方と接していると、井上バンド時代のジュリーに格別の思いを持つ方が多くいらっしゃって、YOUさんもそのお1人なのですね。

常々YOUさんは「自分は歌が下手」と仰いますが、『ゆうちゃん三昧』の度に僕は毎回YOUさんのヴォーカル・パフォーマンスに圧倒されます。
YOUさんは歌唱の技巧以前に「歌に気持ちを乗せる」ことができる人なのです(同じことはピーさんのヴォーカルについても言えます)。
凡人には、これができないのですな~。

個人的に今回YOUさんの『TOKIO』収録曲中のヴォーカル・ベストとして「捨てぜりふ」を挙げたいです。
これこそ、「気持ちを歌に乗せる」ことができないと成立しない曲ですからね。

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ただセットリスト中、YOUさんの真のベスト・パフォーマンスは『TOKIO』以外の楽曲で生まれたのです。
さてその曲とは・・・。


②『ゆうちゃん三昧2022』 (another story)

続きまして、ここでは他でもない『ゆうちゃん三昧2022』主催のYOUさんと、スペシャルゲストとして登場したピーさんお2人の、舞台裏でのお話を。

まずYOUさん。
今回アルバム『TOKIO』全曲カバーという企画で臨んだわけですが、演目はそれ以外にもありました。
当日の「てっぺん」セットリストをおさらいしますと

1.「TOKIO」
2.「MITSUKO」
3.「ロンリー・ウルフ」
4.「KNOCK TURN」
5.「ミュータント」
6.「DEAR」
7.「コインに任せて」
8.「捨てぜりふ」
9.「アムネジア」
10.「夢を語れる相手がいれば」
11.「most beautiful」
12.「勝手にしやがれ」

ご覧の通り、最後の2曲がアルバム『TOKIO』以外の選曲です。

過去2回の『YOUちゃん三昧』を思い起こすと、セットリストにはそれぞれ強力な「勝負曲」があり、第1回(2014年)で「残された時間」、第2回(2018年)で「」が採り上げられ、YOUさんは渾身のパフォーマンスを魅せてくれました。
第3回の今年は「most beautiful」がその「勝負曲」に当たります(「てっぺん」では、伴奏のメインをピアノではなく「おーちゃん」の8分の6アルペジオでアレンジ。この演奏解釈には一本とられましたね)。

ですから本来、今日の記事お題も「most beautiful」とするのが王道なのですが、なにせ僕がまだ正式な形でCDを所有しておらず(したがって採譜時の歌詞中仮名使いも、以前先輩から授かった音源からの聴き取りでした)、今回「記事お題」とすることは見送りました。
いずれ佐山さんのアルバムを購入した暁にじっくり考察記事を書くつもりです。

そんな中で今日、ここでどうしてもこの曲にまつわることで書いておきたいのは・・・。

今年になってから、たまたまネット検索でこの名曲を知ったというYOUさんが「これは凄い歌だ!」とひと目(ひと聴き?)惚れしたことで急遽『ゆうちゃん三昧2022』セトリ入りとなったわけで、採譜担当の僕としても「毎回毎回、なんちゅう難曲を・・・」と頭を抱えつつも(汗)、「思い立ったら考えるよりも先にまず動き、見事決行してしまう」YOUさんらしい英断に改めてのリスペクトを持ったものです。

さて、「most beautiful」のジュリーのペンによる歌詞内容はジュリーファンのみなさまには説明不要ですね。
ジョン・レノンの「ウーマン」やポール・マッカートニーの「マイ・ラヴ」にも匹敵する、熱烈直球の求愛。
YOUさんはきっと最愛の奥様のためにこの曲を捧げ歌うんだな、と思いながら採譜作業をなんとか済ませ、当日を楽しみにしていました。

ところが、LIVE本番を前にYOUさんの奥様が思いもよらぬことから重篤の状態となってしまわれたのです。
「最悪の事態も覚悟するように、お医者さんから言われました」とYOUさんから連絡を頂いたのは、もう『ゆうちゃん三昧2022』開催まで残り僅か数日というところでした。
それでもYOUさんは大変な心労をお客さんには微塵も見せず、LIVEを成功させました。
僕も含め、事情を知る関係者数人はそんな状況下でYOUさんが歌う「most beautiful」を聴いたのです。

あの日のYOUさんの歌が「素晴らしい熱唱」なんて言葉では済まない魂の吐露であったことを、僕はこの場を借りてみなさまにお伝えしたい・・・。
そして、きっとYOUさんの一念が通じたのでしょう、LIVE後に奥様は見事回復し、無事退院されたことも併せてお知らせしておきます。

続いてピーさんのお話。
毎年の左門町LIVEで万事ピーさんに尽くされているYOUさんの意気に感じていらしたのでしょう、今回ピーさんはトークコーナーへのゲスト出演と事前の出演告知を快諾、LIVEの盛況にひと役買いました。
この男気こそがピーさんなのです。

当日ピーさんは開演前には控室にスタンバイ、プログラム1番手のX-JAPANカバー・バンド「ゆうちゃんバンド」の演奏を客席から鑑賞されました。
僕は事前にYOUさんから
「もしピーさんが客席から観たい、ということになったら、万一のためにガードをお願いします」
と指令を受けておりまして、ピーさんが会場奥の関係者席に着席されると、ひとまず少し離れた横位置に仁王立ち(いや、世界一頼りないボディーガードですな笑)。
しかし心配は無用、お客さんの多くはピーさんの入場に気づかれて振り返りながらザワザワ、とはしていたものの失礼なことをする方など皆無で、さすがはYOUさんのお客さんです。

そうしていますとピーさんはひとつ空いている隣席を指して「瀬戸口さん、座ったら?」と・・・。
僕のような者にまでこの気遣い、重ね重ねですがこれがピーさんの男気であり人柄なのですよ。

お言葉に甘え着席、色々なお話を伺った中で特筆すべきは、今後の音楽活動についてピーさんが
「反戦を掲げていきたい」
とキッパリ仰ったことです。
「タイガースにも反戦歌はたくさんある。『ヒューマン・ルネッサンス』もそういうアルバムだしね」
と。
そんなタイガース・ナンバーをLIVEで少しずつ採り上げていかれるのでしょう。

また、昨年から怒涛のリリース・ラッシュが続いているオリジナル曲も、タイガース回顧や対コロナというテーマに加え、ジャケット・デザインも含めて、憂うべき世界の状況を反映するコンセプトの作品が増えてきました。
現在レコーディング中、と先日ブログで書いていらした曲もきっとそうではないでしょうか。

僕は二十二世紀バンドのLIVEは年明けの四谷に参加する予定で、既に公演を終えた関西のセットリストはネタバレしないようにしていますが、ブログのアクセス解析を見ると「おっ!」という社会性の強いタイガース・ナンバーの記事に多くの訪問があったりして、「LIVEでやってくれたのかなぁ?」と想像を逞しくしているところです。

そうそう、LIVEと言えばピーさんは二十二世紀バンドのツアー後に、エディ藩さん、ミッキー吉野さんとのジョイントLIVEも控えていて(2月12日横浜、3月12日神戸)、これはYOUさんのプロデュース企画なのです。
詳しくはこちら


ピーさんはジュリーより2つ年上、僕のちょうど20歳上になります。
YOUさんもそうですが(YOUさんの方は僕のひとまわり年上です)、ピーさんもなんとお元気なことか・・・僕もまだまだ老け込むわけにはいきませぬ。
僕はお2人にお会いするたびそんな思いで、大いにエネルギーを貰っているのです。


③「コインに任せて」

最後になりましたが、今日の記事お題に借りた「コインに任せて」について少しだけ。

YOUさんは「この曲好きなんです」と仰っていて、いかにもジュリーらしいビート系は僕も好むところ。でも決して『TOKIO』の中で目立つ曲ではありません。
ただ、アルバムの重要なピースとして無くてはならない1曲。速水さんの作曲作品、というのが意味深いのです。

『TOKIO』に作品を寄せた作曲家は、まず直近3作『思いきり気障な人生』『今度は、華麗な宴にどうぞ。』『LOVE ~愛とは不幸を怖れないこと』で全曲を担当していた大野さん。
さらに加瀬さんに加えてBOROさん、りりィさんのビッグネームも連なり、豪華な布陣です。
そして堯之さんと速水さん。ジュリー・アルバムへの作曲提供は久々ですよね。これをどう捉えるか。

何度か書いてきていますが、僕は『TOKIO』というアルバムは製作当初、『JEWEL JULIE Ⅷ 追憶』のような「ジュリーと井上バンドの作品」をコンセプトにスタートしたのではないか、と考えています。
加瀬さんの「TOKIO」が突き抜けて仕上がった段階で、コンセプトが変わっていったという説です。

凄い名盤ですけど、トータル・コンセプトのイメージはバラけているじゃないですか(だからこそ、統一感を持たせるために「TOKIO」のリプライズが必要だった、と)。
これを単に70年代と80年代ロックの境界、とだけ考えるのは片手落ち。
「井上バンド」の存在を考えて初めて合点がゆく構成のアルバムだと思うのですよ。堯之さんの「DEAR」と速水さんの「コインに任せて」はその意味で重要です。

「コインに任せて」は採譜自体の苦労はありませんでしたが、作業してみて改めてメロディーや小節、音符割りの面白さを再確認できました。例えば

お前 酔わせてくれる女 ♪
    Dm      B♭        C  Dm

とか

悲劇と喜劇は 裏表 ♪
B♭          C7      F

などの箇所は、普通のパターンより遅らせた拍でメロディーが繋がり、独特のせり上がりを感じます。
速水さん提供のジュリー・ナンバーは、どれも味わい深いですよね。



さぁ、2022年ももうすぐ終わりです。
今年の僕は体調面でも仕事面でもなかなかに厳しい局面がありましたが、3年連続で左門町LIVEに関われたことは貴重な体験でしたし、ジュリーのツアーや映画のおかげもあって濃厚な1年を過ごせたなぁ、と思います。

2023年も公私ともに頑張らなくては。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。

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2022年12月20日 (火)

沢田研二 「whisper」

from『CROQUEMADAME & HOTCAKES』、2004

Croquemadame_20221219191501

1. オーガニック オーガズム
2. whisper
3. カリスマ
4. 届かない花々
5. しあわせの悲しみ
6. 
7. 夢の日常
8. 感情ドライブ
9. 彼方の空へ
10. PonpointでLove

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まずはみなさま、さいたまスーパーアリーナの先行予約抽選結果はいかがでしたか?

僕は音楽仲間と併せ計4枚を申し込み、無事当選いたしました。
広い会場ですから普通に手続ミスなく申し込めば自動的に当選だろう、と踏んでいたのですが、聞けば落選された方もいらっしゃったとか。
やはり今回は色々な意味で特別な公演ですし、関東圏のみならず全国各地のジュリーファンが名乗りを挙げ駆けつけてくださる、ということなのでしょう。

「さいたまアリーナを満員に!」との目標に近づけているようで、そこは嬉しく思います。
あとは落選された方々が今後無事チケット購入が叶うことを祈りつつ、僕は僕でまだまだ周囲への声がけ頑張っていきます!

さて、私事ながら今日は僕の誕生日。
56歳になりました。遂にアラカン突入です。

毎年この日は「ジュリーが今の自分と同じ年齢の年にどんな歌を歌っていたか」をテーマに記事お題を選んでいますが、少し前までは
「同い年のジュリーはこんなに元気じゃないか!自分もまだまだ行けるはず!」
と励まされる感覚が大きかったのが、ここ数年は
「これで僕と同い年?信じられん。やっぱりジュリーは凄過ぎる!」
と、ただただ感嘆し自分の情けなさを嘆く、みたいなパターンに変わってきたような気がするなぁ。

今年なんて特にそうですよ。
なにせジュリーが56歳を迎えた年にリリースしたアルバムは『CROQUEMADAME & HOTCAKES』。
すべてのジュリー・アルバムの中でも1、2を争うパワフルな名盤ですからね。

僕はと言えば、会社の健康診断結果に一喜一憂、普段もちょっとしたことで身体にガタがきていると実感させられたり。
それに比べて56歳のジュリーの健啖なことよ・・・今の僕と「どっこい」なのは老眼くらいじゃないですか?(『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の歌詞カードは読みやすいよね!笑)

今日はそんなジュリー56歳リリースの名曲から、「whisper」を採り上げます。
2度目のお題記事、ヒヨッコ時代執筆の過去記事では書ききれなかったことを大長文で・・・と意気込んでいましたが、ここへきてまた少し忙しくなり充分な下書き期間がとれず、予定より少なめの分量となってしまいました(それでもまぁまぁ長文ですが汗)。
それでは、参ります!
よろしくおつき合いくださいませ。


①改めて、『きめコン』セトリに地団太踏んでみた

『ジュリー祭り』で本格ジュリー堕ちを果たした僕はその勢いを駆って、明けてお正月の『奇跡元年』には(先輩方の手助けもあり)参加を果たしましたが、その後の裕也さんとのジョイント『きめてやる今夜』は見送ってしまいました。

開催が平日だったこと、澤會さんに入会しておらずチケット購入が難しかったこと等が一応理由として挙げられるものの、新規ファンであった当時の僕の熱量が「ジュリーのソロ」のみに向けられていたことも事実です。
もし同時期にソロLIVEが開催されるスケジュールだったら、相当無理してでも参加していた筈。

その頃はまだ裕也さんや加瀬さんとジュリーの深い関係まで把握しておらず、タイガースですらよく知らない状況。さらに翌年のジュリーwithザ・ワイルドワンズの噂が流れてきた時も、最初は「え~っ、普通のソロ・ツアーが良いなぁ」と思ってしまったくらいですから。
正にヒヨッコ、『きめコン』のチラシを『奇跡元年』で手にしていながら
「裕也さんとのジョイントか・・・まぁここは我慢しておこう」
と考えてしまった自分を、今は叱りつけたい!

改めて『きめてやる今夜』のセットリストを調べてみますと、涎とともに悔し涙が出てくる・・・なんですかこの貴重過ぎるラインナップは。

まず、豪華絢爛の洋楽カバー。
「アイム・ダウン」「ブラウン・シュガー」なんて元々思い入れのある楽曲です(「アイム・ダウン」は、ポールのLIVEでも未だ体感できていない・・・)。
「傷だらけのアイドル」は、後に『前夜祭』で歌われた時の感動を複数の先輩方から聞くことになりますが、『きめコン』に参加してさえいれば僕もここで体感できていたんですよねぇ。

そして、ジュリー・オリジナル・ナンバーで目を惹く2タイトル・・・「CANDY」と「whisper」です。

どちらも現時点で『ジュリー祭り』以降『きめコン』でしかセトリ入りしていない曲。つまり僕は未体感。
「CANDY」の方は、この先LIVEに参加し続けていればいつか出逢える曲のように思えますが、やっぱり悔しいのは「whisper」ですよ。
これ、もう生で聴くことは叶わないんじゃないか、なんてレア曲を見逃してしまったんだ僕は・・・と今、地団太を踏んでいます。

とにかく「whisper」は『ジュリー祭り』後の怒涛の「じゅり勉」過程で大好きになった1曲です。
どういうふうに好きなのか、惹かれるのか。ひとまず涙をぬぐって(笑)、次項で書いていきましょう。


②「ビートルズライク」なパワー・ポップ

まずこれ、タイトルが良いじゃないですか。
「whisper」・・・覚さんの詞を追っていくと、「囁き」に留まらない意味を持つことが分かります。

歌の主人公は、テレビなんか消して「君」のwhisperが聞きたい、と言います。
確かにテレビから流れ耳に入る音は猛々しくしかも一方通行で、それに比べれば暗がりの中近い距離で交し合う人間の声は静かな「whisper」でしょう。
ポイントは、主人公と「君」の関係性。
昨日今日知り合って口説いている歌ではなくて、これはある程度年季の入った夫婦或いは恋人同士の情景。
これまで何度も聞いてきた「君」の幼い夏の思い出話をもう一度聞きたい、と言っているのですから。
この歌での「whisper」は、日本語なら「睦言」と変換したいところですね。

さて、「whisper」はパワー・ポップです。
「パワー・ポップ」なるジャンルの中で僕が好むバンドやアーティストは、総じてビートルズの匂いがします。
別格過ぎてそう呼ばれることはない(と思う)けど、そもそもポールがビートルズ解散後に結成したウイングスは完全にパワー・ポップ・バンドだったと思っていますし。
そして、ジュリーの「whisper」は正に僕好みのそんなパワー・ポップ・ナンバーなのです。

まず、これは2009年に書いた記事でも一応考察していますが、白井さんのアレンジはバッドフィンガーの「NO MATTER WHAT(嵐の恋)」を意識しているようです。
全体的な演奏トラックのアンサンブルはもちろん、歌い出し直前に前奏をいったんストップさせて、パワフルなヴォーカルをソロで聴かせておいてからAメロに突入していく手法も。

ジュリーファンのみなさまなら「バッドフィンガー」のバンド名は知らずとも、「デイ・アフィター・デイ」「ウィザウト・ユー」といった楽曲はジュリーのカバーでご存知かもしれませんね(「ウィザウト・ユー」については、ジュリーはニルソンのヴァージョンをカバーしていますが、オリジナルはバッドフィンガーです)。
バッドフィンガーは「パワー・ポップの元祖」とされているバンドで、彼等は元々ビートルズが「アップル・レコード」を立ち上げ独立した直後に、ビートルズのメンバー肝いりで同社からデビューした(前身バンドは別名)という経緯があります。
アップル・レコードの新人発掘にはビートルズ自身も深く関わっていて、バッドフィンガー名義のファースト・アルバムに収録された「マジック・クリスチャンのテーマ」はポールの作詞・作曲作品でしたし、アルバムによってはポール、ジョージの演奏ゲスト参加クレジットもあります。
つまり「ビートルズ直系」のバンドがパワー・ポップというジャンルを作り上げていったわけです。

そこで、「whisper」の中にバッドフィンガーから遡るビートルズ・オマージュを探してみると、「ノー・リプライ」(『ビートルズ・フォー・セール』収録)が挙げられます。

SLOW DANCE  SLOW DANCE ♪
          F#m    A          F#m

ここですね。
「ノー・リプライ」サビのキメ部をオマージュしています。

僕は「whisper」を初めて聴いた時、この箇所の詞に違和感がありました。
何故唐突に歌詞構成との脈絡が無い「SLOW DANCE」のフレーズが出てくるのか、と。

得意の深読み(邪推とも言う汗)をしますと、もしかしたらココ、白井さんのビートルズ・オマージュによってアレンジ最終段階で付け加えられたヴァースなのでは?
歌詞の追加も本当に最後の最後、というわけです。もちろん覚さんではなく、白井さんかジュリーのどちらか。
だって歌詞カードに明記が無いんですよ。最初から覚さん考案のフレーズだったらそれは無いでしょう。

作曲者の八島さんのプリプロ音源が聴ければ、この説が合っているかどうかわかるのですが・・・ファンの勝手な無いものねだりですな~。

それにしても、八島さんのメロディーとジュリー・ヴォーカルの相性は抜群ですよね。
パワー・ポップの特色はまず「ハードな演奏と甘いメロディーの融合」ですが、例えば「whisper」なら

くちびるを寄せてよ もっと近くに ♪
A               Bm C#m  D    E    A

このせり上がっていく感触、パワフルなのに哀愁もあって。これがまた「ビートルズライク」と言えるのです。

さらにこの曲はジュリー特有のジャンル「エロック」でもあります。
完全にピロートークですからね。男性の僕も、やっぱりエロいジュリーは大歓迎、大好物です。

そんな大好きな「whisper」がセトリ入りした『きめてやる今夜』は、関東・関西各一夜の2公演のみ・・・だったのでしたっけ?
覚さんの詞を借りれば正に

星空 それより 贅沢な一度きりの夜 ♪
   C#m       F#7   Bm   B7     E7

という貴重なLIVEだったのだ、と今さらながらに思います(この歌詞部のメロディーもとてもイイ!)。
参加できたみなさまが本当に羨ましい・・・。


③56歳?信じ難いパワーと色気の大名盤!

最後に、大好きなアルバム『CROQUEMADAME & HOTCAKES』について。

『ジュリー祭り』後すぐに購入した数枚のアルバムのひとつで、その時も「凄い!」とは思いましたが、いざ自分自身がリリース時のジュリーと同じ年齢になってみるとなおさら感嘆、ひれ伏すしかない名盤ですな~。
あと、もし新規ファンの方が読んでくださっていたら、これはツアーDVDもメチャクチャお勧め!
ジュリーのパフォーマンス、セトリも演奏も凄いし、ジュリー史上2番目に奇抜な「全身トカゲ」衣装も見どころです(長らく奇抜度は「史上1番」だったんだけど、最近になってあの「全身猫」に抜かれました笑)。

先述の通り「パワー・ポップ」はバッドフィンガーが元祖とされますが、90年代オルタナ全盛期にアメリカ、カナダを中心に優れたバンドが多く出て来て、僕はメリーメイカーズやファストボール、オーズリーといったあたりを夢中で聴いていました。
個人的には「パブ・ロック」「ネオ・モッズ」と並び、呼び名を聞いただけで心躍るロック・ジャンルです。

で、これは白井さんのアレンジが大きいと思いますが、ジュリーについては2001年『新しい想い出2021』から2005年「greenboy」までは完全にパワー・ポップなアルバムだと思います。
そんな中「キャッチーなメロディーとハードな演奏、アレンジ」の融合性で言えば、2002年『忘却の天才』と2004年の『CROQUEMADAME & HOTCAKES』が双璧と言えましょう。

『CROQUEMADAME & HOTCAKES』の場合は、「whisper」は分かり易いんですがその他の曲でも白井さんならではの「あっ!」と驚くビートルズ・オマージュがあって、「オーガニック オーガズム」が「イエスタディ」だったり、「PinpointでLove」が「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」だったりと、ビートルズマニアの僕としては採譜がとても楽しい1枚。

そしてこれも先述した「エロック」の要素がアルバム全体を通して重要です。
「Whisper」以外では冒頭の「オーガニック オーガズム」と大トリ「PinpointでLove」、そして「感情ドライブ」。
ジュリー56歳にしてエロ全開です。

クロックマダムを模したキュートなパッケージも含めて大好きなアルバムですね~。

で、ですよ。
この名盤、意外や2000年代のアルバムの中では他と比べLIVEセトリ率が低いのです。
これまで僕が体感できているのは、常連曲「届かない花々」ともう1曲「彼方の空へ」のみ。
その意味でも「whisper」が降臨した『きめコン』不参加を悔いています。

果たしてこの先、未体感8曲を生で聴く機会が巡ってくるのかどうか。
個人的には「感情ドライブ」がBARAKAメンバーの演奏スタイルにとても合う曲だと思いますから、七福神(仮)でのセトリ入りに期待を持ってはいるのですが・・・。


それでは、次回は年内最後の更新です。
去る8月21日、年長のタイガース・ファンの友人であるYOUさんが開催した『ゆうちゃん三昧2022』のことを書きたいと思います。

この企画LIVE『ゆうちゃん三昧』は2014年、2018年に続く3度目の公演。過去2回と同様、今年もYOUさんはジュリーのコピー・バンドを結成し(毎回メンバーが違います)、今回は何とアルバム『TOKIO』収録曲をすべてカバーする、という内容でした。
よって記事お題は、まだ未執筆の『TOKIO』収録曲の中から選びます。

トーク・コーナーにゲスト参加されたピーさんの話題含め、『ゆうちゃん三昧2022』を総括できれば、と。
よろしくお願い申し上げます!

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2022年12月10日 (土)

沢田研二 「いつか君は」

from『いつか君は』、2022

Itukakimiha

1. いつか君は
2. 遠い夏

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original released on 『愛まで待てない』、1996

Aimadematenai_20221208181801


1. 愛しい勇気
2. 愛まで待てない
3. 強いHEART
4. 恋して破れて美しく
5. 嘆きの天使
6. キスまでが遠い
7. MOON NOUVEAU
8. 子猫ちゃん
9. 30th Anniversary Club Soda
10. いつか君は

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関東も先週から一気に朝晩寒くなりました。
フォーラム公演があった11月は例年になく暖かかった印象ですが、さすがに12月となりますとね。
映画『土を喰らう十二ヵ月』をきっかけに改めて覚えた二十四節気で言うと、今は「大雪」ですから。

さて今日はその『土を喰らう十二ヵ月』主題歌となった「いつか君は」がお題です。
せっかくの機会ですので、昨年の『キネマの神様』に続き『ジュリー出演映画レビュー』のカテゴリー第2弾としてこの記事を更新いたします。
あと、みなさまの映画のご感想などもコメント欄にてお聞かせ頂ければ嬉しいです。
今日もよろしくおつき合いください。


①映画『土を喰らう十二ヵ月』レビュー!
 (注:ネタバレを含みますので御注意ください)

ひと言、素晴らしかった!
この名作がジュリー主演という奇跡、なるほど中江監督のキーワードは「色気」ですか~。
まずは監督の慧眼に感謝、感謝です。

最近は、視覚的にも聴覚的にも煽りたててくるような映画が増えているじゃないですか。
それはそれで良いのだろうけど、僕の嗜好にはこのくらい淡々と、味わい深く進行していく作品が合うなぁ。
観終わった後にまったく疲れず、穏やかな活力が漲ってくる映画はそうそうありません。個人的にここ数年で観た中では「イエスタディ」と双璧です。

さて僕はこの映画、フォーラム公演があった週末の土曜日に池袋まで観に行きました。
公開からは日が経っていたのにお客さんの入りは7、8割の盛況。年齢層も広くて、ジュリーがフォーラムMCで話していた「爺さん婆さんばかり」なんてことはなかったです。
若いカップルも見かけたましたから、世の映画好きの方々にとってかなりの話題作なんだろうなぁと。
また、土井先生の料理のファン、という層も多くいらっしゃるようですね。

今回ムビチケを手配してくれて一緒に行ったカミさんも大満足の様子で(『キネマの神様』の時は「う~ん、良いんだけど・・・」と微妙な感じだったっけ)、ちょうど正午くらいに鑑賞を終えて2人でまずとりかかったのが、「近場の和食の店を探しまくる」という(笑)。
いや、この映画を観た後にお腹のすいていない人なんていないでしょう。
結局入ったのが、一品料理も充実したこちらのお蕎麦屋さん。美味しかったですよ!

で、夕食は大根を炊いて味噌をつけて・・・これがメインであとは味噌汁と漬物とご飯のみ。「これで充分だよねぇ」と言い合いながらね。
心の底からそう思えましたが、精進の足りない僕らが「一汁一菜」の志を持てたのは結局この1食だけ。まだまだツトムさんや土井先生のようにはいきませんな~。

ジュリー以外のキャストも魅力的でした。
松たか子さん演じる真知子さん、前中半と後半で雰囲気がガラリと変わる!さすがです。
眼鏡をかけラフな格好で山荘を訪れ、大きな口を開けてツトムさんの料理に舌鼓を打つ真知子さんも、とても山にキノコ狩りになんて向いてそうもないパリッとしたスーツで、婚約したことを知らせにきた真知子さんも、どちらも素敵。
印象深いシーンは、やっぱり山荘の床で眠れずに考え込みながら月を見つめるシーンですねぇ。
言うだけ野暮ですが、営みの後の情景・・・真知子さんがツトムさんと共に暮らすことをいったんは決意した瞬間、じゃないのかなぁ?

また、『太陽にほえろ!』の後番組『太陽にほえろ!PART2』で女ボスだった奈良岡さん、さらにその後番組『ジャングル』レギュラー刑事役の火野さん、『スウィングガールズ』で知った西田さんは元々贔屓の役者さんですし、「こういう役を演じたらピカイチ」な尾身さんもとても良かった。
加えて「さんしょ」の可愛らしさ、健気さはもちろん、たった2度の登場シーンで見事に季節の移ろいを表現してのけたカエルさんの名演(?)も光りましたね~。

そして、何と言ってもジュリーのツトムさんです。
前記事でも少し書きました。ジュリーは「あれは、僕本人ではなくて演じているんですよ」と話してくれて(フォーラムMCより)、もちろんそれはそうなんですけど、ファンから見るとジュリーとツトムさんってすごくリンクするように感じます。
「いい男ね~」「せやろ」のシーンに限らずね。

ファンの妄想承知で細かいところを挙げれば、お義母さんの家で軽やかな音をたてて沢庵を食べるシーン、ジュリーはこういう食べ方しそうだなぁ、とか。
畑や池を見に行くシーンは、僕らが普段LIVEで観ている、終演して最後にしずしずとステージからはけてゆくジュリーの所作そのまま。
「一緒に暮らさないか?」と真知子さんを誘う時の、照れて遠慮がちに見えながら実は有無を言わせぬ一途な熱を感じる(これが、中江監督の求めた「色気」でもあるのかな?)ところなんかも。

スクリーンにツトムさんが現れ、下から上に顔のアップが移動していくとこちらは「おお~、ジュリーだぁ!」となる・・・でも劇中ではそれが違和感なくツトムさんで。
仕方ないよね・・・僕らはいつもジュリーを見てきて「無洗米はあまりおいしくない。お米はやっぱり自分でとがないと」といつかのMCで話してくれた、そんなジュリーを知っていますから。
「お米をといでいるジュリーが見れた!」みたいな感覚は、この映画におけるジュリーファンだけの特権です。

厳しい真冬の季節に限られた食材で工夫を凝らすこと、これはジュリーの音楽活動の手法に通じるでしょうし、水上さんの原案本『土を喰う日々』で最重要のキーワード「精進」は、今年の新譜「LUCKY/一生懸命」のコンセプトに通じます。

では、そんなジュリー演じるツトムさんが劇中で大悟に至った「明日も、明後日も、と考えずに今日1日を過ごす」、寝る前には「みなさん、さようなら」といったんこの世との別れを告げ、翌日を無事に迎えるという生き方は、ジュリー自身が推した主題歌「いつか君は」とどのように繋がるのでしょうか。
次項ではその名曲について考察していきましょう。


②永遠なんてないことを許せるつよさ

ズバリ、↑ この歌詞部でしょうな~。
先日の「いい風よ吹け」の記事で書いたように僕は『敦盛』の境地には程遠く、「この世」が永遠でないという真理に向き合うことすら怖いです。まして「許せる」なんて到底。
けれども、僕は無理かと思いますが何かのタイミングでその真理を受け入れられる資質を持つ人はきっと世に多くいて、『土を喰らう十二ヵ月』でのツトムさんの場合は自らの体調の異変がきっかけだったのだろうと解釈できます。
そしてツトムさんを演じるジュリーは、おそらく既に「受け入れる」腹を括れている人ですよね。

「いい風よ吹け」「桜舞う」「護られている I love you」等、自作詞曲で感じられるジュリーの死生観。
これはジュリーが覚和歌子さんの作詞曲を、自身が辿る年齢とリンクしつつ歌えた経験が大きいんじゃないかなぁ、と僕は考えていて。
「約束の地」で芽生えて「いつか君は」で確立、とすると腑に落ちる気がするんですよね。
これは正に『土を喰らう十二ヵ月』でツトムさんが直面する死生観ですから、ジュリーが「この映画に合う」と「いつか君は」を推したことも頷けます。

曲想で言っても「長調のバラード」はこの映画のエンドロールにふさわしい。
ただ、中江監督が「主題歌を沢田さんの歌にしたい」と打診しなければそれも実現しなかったわけで・・・ジュリーファンはとても喜んでいますよ、監督!

今回記事を書くにあたって採譜をして歌ってもみたんですけどね、まぁ男声としてはキーが高い高い!
アルバム『愛まで待てない』は、他にも「愛しい勇気」「強いHEART」あたりメチャメチャ高くて、96年のジュリーの喉は充実、円熟を迎えていたようです。

またこのアルバムは、我が国が生んだ傑出のスーパー・ギタリストの1人である故・大村憲司さんが深く関わった最後のジュリー作品でもあり、「いつか君は」はその大村さんの作曲作品(当然アレンジも大村さん)。
映画の世界観を考え合せると、ジュリーには今回、覚さんのみならず大村さんへの改めてのリスペクトがあったかもしれません。

リマスターのことも書いておきましょう。
収録2曲のオリジナルが96年と2006年ということで、リマスターしてもさほど劇的な変化は無いだろうと思っていましたが、聴いてみたら「全然違う!」という。
個人差あろう中での僕の感想は「演奏の聴こえ方はオリジナルの方が好きだけど、ジュリーのヴォーカルはリマスター万歳!」です。

まず演奏の聴こえ方は、「ああ、今年の『LUCKY/一生懸命』ってこうだよなぁ」という仕上がり。
これが世の現在のマスタリング王道なのでしょう。『LUCKY/一生懸命』は初聴ですから違和感はまったくありませんでしたが、オリジナルが耳に沁み込んでいる「いつか君は」「遠い夏」のリマスターは「あれ?」となります。
低音が前に出て、高音が引っこんでいる印象。「ズシ~ン」という耳辺りをして「こっちの方が好き」という方も大勢いらっしゃると思うけど、僕はもうちょっと高音が軽くキラキラしてる方が馴染むんです。

「リミックス」ではなく「リマスター」ですから、各トラックのフェーダー・バランス自体は変わりません。
イコライジング補正の上で、おもに「音圧の向上」を志すと、おのずと低音が際立つ・・・この「今現在の世のリマスター手法」の特色、去る9月に吉田Qさんとお会いした際に色々とお話ししたので、年明け早々に書く予定のQさんのアルバム・レビュー記事(Qさん、結局年内に書くことができずすみません)で触れたいと思います。

次にジュリーのヴァーカル、こちらは今回のリマスターの方が好きです。
「かすかな呼吸で♪」の「かすか」の箇所にドキッとして、「ここ、ジュリーこんなに色っぽく歌ってたんだっけ?」と再度オリジナルと聴き比べ、「やっぱりリマスターの効果だな」と思いました。
僕はよく「ジュリーは「か行」と鼻濁音系の発声が素晴らしい!」と書きますが、今回の「いつか君は」リマスターでは「さ行」にヤラレてしまった感じですね。
みなさまはいかがでしょうか。

大切な人との別れを思い起こさせる歌というのは、どうしたって切なさ、悲しさが同居します。
実は僕も先日、長い間勤務先でお世話になった方(勇退されるまでの十数年は、僕の直属の上司でした)の訃報に接したばかり。
そんな状況で聴く「いつか君は」は胸が詰まる・・・しかしそれは楽曲とジュリーの歌にそれだけ訴えかける力があるということ。
流れ落とされる、というのかな。

『土を喰らう十二ヵ月』のような映画の主題歌が「いつか君は」で良かった、良い映画だったなぁ、と思います。


③カップリング「遠い夏」の謎

最後に、『いつか君は』カップリング(個人的には「B面」と呼びたい)の「遠い夏」について少し。

僕はこの曲が大好きでずいぶん前にお題記事を書き終えていたんですけど、11月にシングルCDのリリースがあったからでしょう、拙ブログ過去記事としては異例のアクセス数を頂いていたようです。
11月ページ別アクセス解析スクショがこちら。

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注目すべきは「入口回数」の数字で、これは「最初にどのページから訪問されているか」を表します。
常連の読者様は、だいたい最初はトップページに来てくださって、その後各ページを読んでくださるという順序かと思います。その場合は、トップページが「入口回数」にカウントされるわけです。

そこで11月の「遠い夏」の「入口回数」の数字を見ますと、ちょっと桁違い。つまり、ハッキリ「遠い夏」についての情報を求めての訪問が多いということなんですよね。
なにせ本格堕ち間もない時期に書いた記事・・・アクセス解析を見て冷や汗が出ましたが、読み返してみるとヒヨッコ時期にしてはまぁまぁ考察っぽい内容になっていて、ホッとしました。

今日ここで考えたいのは、「遠い夏」が今回シングル・カップリングに抜擢された理由です。
選曲は当然ジュリーで間違いないでしょうが、何故この曲が選ばれたのでしょうか。

まず、僕はてっきり「遠い夏」も映画『土を喰らう十二ヵ月』の挿入歌なのかと思い込んでいて、劇中で季節が夏を迎えたあたりで「さぁ来るか、来るか」と待ち構えていました。
しかし最後まで「遠い夏」がかかることはなく・・・意外でした。ストーリーやシーンを邪魔せず、素晴らしい意味で淡々とスクリーンに溶け込める歌だ思うんだけどなぁ。

だから、結果挿入歌ではなかったけれど、ジュリーはやっぱり「遠い夏」を「いつか君は」と別の側面から「この映画に合っている」と考えカップリングに決めたのではないか、と僕は考えたいのですが、どうでしょうか。

いずれにしても、ファンの間でも特に語られる機会がさほど多くはなかった隠れた名曲が、思わぬ形で今見直され再評価を得ているのはとても嬉しい。
僕は年明けの渋谷には参加できないのですが、またセトリの入れ替えがあって「遠い夏」を歌った!なんてことになったらホント悔し泣きしそうです(笑)。『きめてやる今夜』の時の「whisper」以上に地団太踏みそう。
まぁ、今回のセトリは流れ的に完璧ですから、入れ替える曲の予想はまったくつきませんけどね。
実現の暁には是非コメント欄に速報をお願い申し上げます。僕に地団太踏ませてくださいね。


ということで次回更新は、僕の56歳の誕生日である12月20日を予定しています。

毎年この日は「今の僕と同い年のジュリーがどんな歌を歌っていたか」をテーマにお題を選んでいます。
ジュリーが56歳の年にリリースしたアルバムは、あのパワフルな大名盤『CROQUEMADAME & HOTCAKES』。
収録曲ではまだ「カリスマ」「夢の日常」が未執筆なのですが、今回は『過去記事懺悔やり直し伝授!』のカテゴリーにて、「2度目の記事」のお題を採り上げます。さっきチラッとタイトル出した曲ね。
これまた先日の「いい風よ吹け」同様「好き過ぎてヒヨッコ時代早々に書いてしまったものの、考察内容に後悔を残す記事」のひとつ。
白井さんのアレンジ・オマージュ元とか、書きたいことが山積みな名曲です。どうぞお楽しみに!

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